1:2018/12/23(日) 01:25:45.138 ID:h9tJ0MAi0.net
課長「ガミガミガミガミガミガミ…」

先輩「クドクドクドクドクドクド…」

男「すみません、すみません、すみません!」



男「はぁ……今日もずっと怒られっぱなしだった。下っ端はつらいなぁ」

紳士「おおっ……あなたはもしや!」

男「?」

紳士「少し、お時間よろしいですか?」

男「かまいませんけど……」
2:2018/12/23(日) 01:30:17.933 ID:h9tJ0MAi0.net
―喫茶店―

男「俺になにか?」

紳士「私、こういう者です」サッ

男「ペレペーニョ王国の宰相……?」

紳士「はい」

男「ペレペーニョなんて聞いたことないんですけど」

紳士「なにぶん、中央アジアの小国ですので」

男「で、ペレペーニョ王国の人がなんの用?」

紳士「実はあなたの家系が、現在のペレペーニョ王の遠い親戚であることが判明したんです」

男「へえ……?」

紳士「その結果、あなたにもペレペーニョ王国の王位継承権があることが分かったんです」

男「え、俺が!?」
4:2018/12/23(日) 01:32:40.722 ID:h9tJ0MAi0.net
男「ってことは、俺、王様になれるんですか!?」

紳士「ただし、今の継承順位は47位……」

男「47位……ずいぶん下ですね」

紳士「今のままでは到底継承することはかないません」

紳士「しかし! 30万円お支払い下されば、この継承権を……なんと一位にして差し上げます!」

男「えっ、一位にしてもらえるんですか!?」

紳士「いかがいたしましょう?」

男「うーん、ちょっと考えさせて下さい……」

紳士「分かりました。また三日後にお会いしましょう」
5:2018/12/23(日) 01:32:53.415 ID:XyzAQHiV0.net
宗教とか壺みたいな
6:2018/12/23(日) 01:33:26.574 ID:K1JvK0Ro0.net
買った!
7:2018/12/23(日) 01:34:08.994 ID:PYwtKoyPr.net
ゴボウ抜きすぎる…
8:2018/12/23(日) 01:35:00.933 ID:iBksm0VJ0.net
こんな話でも100人にすれば1人か2人は引っかかるんだろうなあ
9:2018/12/23(日) 01:35:40.131 ID:h9tJ0MAi0.net
―会社―

同僚「やめとけやめとけ!」

男「なんで?」

同僚「んなもんに30万も払うなんてアホのやることだ」

男「だって……王だぞ!? 30万で王になれるんだぞ!?」

男「あの劉備だって、漢の王様の末裔ってとこから蜀の皇帝になったんだ!」

同僚「劉備なんて知らねーよ」

同僚「うまい話には裏がある。詐欺に決まってるだろ、そんなもん」

同僚「30万受け取ってドロン……よくある話さ」

男「そりゃそうだよな……」
12:2018/12/23(日) 01:38:31.733 ID:h9tJ0MAi0.net
―銀行―

男「……といいつつ、30万円下ろしてしまった」

男(99%あいつの話はウソだ……そんなことは分かってる)

男(だけど、もし1%本当だったら……)

男(俺は賭けてみたいんだ! その1%に!)
13:2018/12/23(日) 01:39:31.741 ID:3O4vGi720.net
1%だけ本当でも仕方ないがな
16:2018/12/23(日) 01:41:37.632 ID:h9tJ0MAi0.net
三日後――

男「30万です」

紳士「たしかに……頂戴いたしました」

男「これで、俺が王になれるんですよね!?」

紳士「はい、間違いなく」

紳士「事態が進捗しましたら、すぐにご連絡差し上げます」

男「お願いします!」
17:2018/12/23(日) 01:43:34.584 ID:h9tJ0MAi0.net
男「……」


男「……」


男「……」


男「……来ない」

男「すぐ連絡するっていったのに……ちーっとも連絡が来ない!」
18:2018/12/23(日) 01:45:48.513 ID:h9tJ0MAi0.net
男「……ん」

TV『昨日、この男が逮捕されました……』

男「……これ、あいつじゃん! あの紳士じゃん!」

男「なんだよ……あいつやっぱり詐欺師だったのかよ!」

男「はぁー……!」ドサッ

男「覚悟してたとはいえ、騙されたと確定しちまうとショック大きいなぁ……」
21:2018/12/23(日) 01:48:49.063 ID:h9tJ0MAi0.net
ピンポーン…

男「はい」ガチャッ

兵士「男様ですね?」

男「そうですけど……」

兵士「ただいまより、次代王であるあなたをペレペーニョ王国へとご招待します」

兵士「同行なさって下さい」

男「え!?」
26:2018/12/23(日) 01:51:45.113 ID:h9tJ0MAi0.net
ブロロロロロ…

男「これからホントにペレペーニョ王国に行くの?」

兵士「はい、成田から直通便が出ております」

男「出てんの!?」

男「ってことは、あの紳士は詐欺師じゃなかったのか。なんで逮捕されたんだろう?」

兵士「あなたを迎えに行く途中、出来心で痴漢をしたそうです」

男「なにやってんだあの人……」



キーン…
28:2018/12/23(日) 01:55:12.529 ID:h9tJ0MAi0.net
―ペレペーニョ王国―

国王「おお、おぬしが宰相が申していた日本人か」

男「はいっ!」

国王「宰相の尽力で、王位継承権第一位となったと聞く」

男「仰せの通り……」

国王「王というのは非常に過酷な仕事だ。しっかりと務めてもらいたい」

男「頑張ります!」
31:2018/12/23(日) 01:57:54.324 ID:h9tJ0MAi0.net
国王「ってわけで、バトンタッチ!」パシッ

男「へ?」

国王「これでおぬしが王様ね!」

男「はぁ」

国王「じゃあ、あとは頑張ってねー!」タタタタタッ…

男「えー……行っちゃったよ……」

男「王位継承って、こんな簡単に済むもんなのか……」
33:2018/12/23(日) 02:00:04.868 ID:h9tJ0MAi0.net
ワァァァァ… ワァァァァ…

男「ん?」

兵士「大変です、陛下! 反乱軍が宮殿に押し寄せてきました!」

男「なにいいいいいいいい!?」

男「反乱軍ってなんだよ!? どういうことだよ!?」

兵士「この国の王政はすでにボロボロで、今まさにクーデターされてる真っ最中なのです!」

男「なんだってええええええええ!?」
34:2018/12/23(日) 02:02:48.718 ID:PYwtKoyPr.net
あちゃー
35:2018/12/23(日) 02:03:29.280 ID:h9tJ0MAi0.net
男「お、俺も逃げる!」

兵士「ダメです! 王が逃げるなど!」ガシッ

男(くっそー……こういうことだったか!)

男(あの国王や宰相、貧乏くじを引き受けてくれるマヌケを探してたんだ!)

男(30万払わせたのは、途中で怪しくなっても辞退されないようにするためか!)

男(このままじゃ、俺の王としての最初の仕事は、殺されることになっちまう!)

男(こういう時、劉備ならどうする……?)

男(きっと孔明を頼るはず! 孔明ならこういう時は――)
38:2018/12/23(日) 02:05:55.646 ID:h9tJ0MAi0.net
男「宮殿の門を全部開け!」

兵士「えっ?」

男「音楽隊なども動員して、さあ入ってらっしゃいと歓迎するのだ!」

兵士「しかし、そんなことしたら敵が宮殿内に――」

男「いいからやれ! 国王命令であるぞ!」

兵士「かしこまりました!」
39:2018/12/23(日) 02:07:50.121 ID:h9tJ0MAi0.net
男「どうだ」

兵士「城門を開けたら、反乱軍が怪しんでかえって入ってきませんね!」

男「そうだろうそうだろう。きっと疑心暗鬼になってるにちがいない」

兵士「あっ、反乱軍が引き上げていきます!」

男「よし、追撃しろ! こちらに背を向けている今がチャンスだ!」

兵士「はいっ!」
41:2018/12/23(日) 02:10:49.050 ID:h9tJ0MAi0.net
パチパチパチ…

兵士「陛下のおかげで、我ら王国軍が大勝できました!」

男「君たちもよくやってくれたよ」

兵士「そういえば、陛下のお名前は?」

男「うむ、そうだな……」

男「劉備と孔明をフュージョンさせて……“リュウメイ”とでも名乗ろうか」

兵士「おおっ、リュウメイ様!」

リュウメイサマバンザーイ… バンザーイ… バンザーイ…
42:2018/12/23(日) 02:11:07.070 ID:uzMayFXI0.net
軽いノリ 好きだわ
45:2018/12/23(日) 02:12:28.721 ID:6H/Af8Vwr.net
バンザーイ!
47:2018/12/23(日) 02:13:22.015 ID:h9tJ0MAi0.net
男「戦況はどうか?」

兵士「王国軍と反乱軍の戦いは、一進一退の攻防が続いております」

兵士「リュウメイ様の指揮は的確ですが、反乱軍の士気も高いので……」

男「これ以上長引かせると、国力がますます低下するばかりだな」

男「よし……ならばいっそ反乱軍のリーダーと一騎打ちしてみるか」

兵士「一騎打ち!?」

男「ああ、一対一でケリをつける」

男「このリュウメイと反乱軍のリーダー……勝った方がこの国の王というわけだ!」
49:2018/12/23(日) 02:16:20.109 ID:h9tJ0MAi0.net
兵士「反乱軍リーダーは一騎打ちに応じました」

兵士「リュウメイ様、剣をお取り下さい」

男「うむ」チャキッ

男「もし俺が敗北した場合、弔い合戦などするでないぞ」

兵士「はい、その場合は反乱軍に降伏いたします」

兵士「あっ、反乱軍リーダーがやってきました!」

男「来たか……」

男「む!?」
51:2018/12/23(日) 02:19:28.721 ID:h9tJ0MAi0.net
男「お前は……同僚!?」

同僚「王が代わったと聞いてまさかと思ってたが、やっぱりお前だったか」

男「お前が反乱軍リーダーだったなんて……」

同僚「俺は腐りきったペレペーニョを立て直すために立ち上がった」

同僚「しかし、お前とは戦いたくなかった……」

男「だからあの時、俺の王位継承を止めようとしたのか……」

同僚「その通りだ……だが、こうなってはもう仕方あるまい! 決着をつけよう!」

男「望むところ!」
52:2018/12/23(日) 02:20:41.262 ID:6H/Af8Vwr.net
マジかよ
53:2018/12/23(日) 02:22:05.135 ID:ZBg2+hVo0.net
同僚はペレペーニョのなんなんだよw
55:2018/12/23(日) 02:22:50.234 ID:D1gk52430.net
ペレペーニョで笑う
56:2018/12/23(日) 02:23:43.280 ID:h9tJ0MAi0.net
男「でやぁぁぁぁぁっ!」

同僚「だあぁぁぁぁぁっ!」

ガキンッ!

キンッ! ギィン! ガキン! ギャリッ! ギィンッ!

男「うりゃぁぁぁぁぁっ!!!」

ドシュッ!

同僚「ぐふっ! さ、さすがだ……。気迫が違ったか……」ドサッ
60:2018/12/23(日) 02:28:09.087 ID:h9tJ0MAi0.net
男「同僚!」

同僚「これでこの国は……お前の、ものだ……」

同僚「ペレペーニョを……いい国に、してくれよ……」

男「ああ……約束するッ! 世界中から羨ましがられる国にしてみせる!」

同僚「頼んだぜ……リュウメイ……」ガクッ

男「同僚ッ!」

男「同僚ォォォォォォォォォォォッ!!!」
63:2018/12/23(日) 02:31:08.523 ID:h9tJ0MAi0.net
この後、ペレペーニョ王国は新しい王のもと、数々の画期的な改革を成し遂げ、

飛躍的に成長していくことになる。


治安は万引きすら起こらないほどとなり、GDPは先進諸国を追い越し、

軍隊は勇猛にして最新、大国ですらうかつに手を出せないレベルとなった。

近々常任理事国入りも検討されるという。



もはや、ペレペーニョ王国をアジアの小国と見なす者はいなくなっていった。
67:2018/12/23(日) 02:33:04.234 ID:h9tJ0MAi0.net
後世の人々は、ペレペーニョ王国を語る時、必ずこう言ったという。


“ペレペーニョにリュウメイあり”と――







― 完 ―
70:2018/12/23(日) 02:38:17.564 ID:D1gk52430.net
ペレペーニョはサラリーマンの国だったんですね
71:2018/12/23(日) 02:38:48.872 ID:UpWiJnjA0.net
詐欺師のくだりは?
72:2018/12/23(日) 02:41:20.366 ID:3eZnknHlr.net

日本でリュウメイ様の名前を見れるとは思わなかった
66:2018/12/23(日) 02:32:39.075 ID:LbbPnXvt0.net
アニメ化したら教えて
男「えっ、30万円支払えばある王国の王位継承権第一位にしてもらえるんですか!?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1545495945