1:2019/01/16(水)23:34:52 XSO
彡(゚)(゚)「最後まで読んだのに犯人がわからへん……」
6:2019/01/16(水)23:36:49 XSO
彡(゚)(゚)「なんでやろう、結局どんな話やったのかよく分からへん……」

彡(゚)(゚)「氷川が逮捕されてたから、たぶん氷川が犯人なんやろけど」

彡(゚)(゚)「短いし、もっぺん読み直したろ」


一時間後


彡(゚)(゚)「やっぱり佐藤やな」

彡(゚)(゚)「いや小泉かも……」

彡(゚)(゚)「小泉……小泉って誰やったっけ……」

彡(゚)(゚)「そもそも誰が被害者やったっけ……そうや氷川や……」



彡(゚)(゚)「というわけなんやけど」

(´・ω・`)「病院行ったほうがいいと思う」
7:2019/01/16(水)23:38:23 XSO
彡(゚)(゚)「二度も読み直したのに犯人がわからへんのや」

(´・ω・`)「うーん、そもそも、最後まで犯人がわからないミステリもいくつかあるんだよ」

(´・ω・`)「東野圭吾とか、恩田陸もそんなの書いてるし」

(´・ω・`)「一番有名なのは芥川龍之介の「藪の中」だね」

彡(゚)(゚)「そうなんか?」

彡(゚)(゚)「でも探偵が「矢野さん、あなたが犯人です」って言うんや」

(´・ω・`)「? じゃあ矢野が犯人じゃないの?」
9:2019/01/16(水)23:40:26 XSO
(´・ω・`)「そのあとでさらにドンデン返しがあるの?」

彡(゚)(゚)「えーとな、推理のあとで最初の動機が密室になって」

彡(゚)(゚)「探偵が刑事を借金で撲頃して」

(´・ω・`)「説明がヘタすぎる……」


彡(゚)(゚)「こいつはワイの友人や」

彡(゚)(゚)「ミステリーが好きなやつで、ワイの大学にミス研を立ち上げた奴や」

彡(゚)(゚)「どのぐらいミステリー好きかというと、マジカルミステリー劇場のビデオを全話ぶん持ってるほどで」

(´・ω・`)「何ブツブツ言ってるの?」
11:2019/01/16(水)23:42:16 XSO
(´・ω・`)「わかったよ、じゃあ僕もそれ読むから」

彡(゚)(゚)「そうか、持ってきてるで、これや」

(´・ω・`)「ふーむ、「殺人事件」シンプルなタイトルだね」


1時間後


彡(゚)(゚)「犯人わかったか?」

(´・ω・`)「……えーと」

(´・ω・`)「白河、いや、森、じゃなくて深水……」

(´・ω・`)「お、おかしい、別にほのめかす終わり方じゃないのに、犯人が思い出せない」

彡(゚)(゚)「深水なんておれへんかったで?」

(´・ω・`)「えっ」
17:2019/01/16(水)23:45:31 XSO
彡(゚)(゚)「なんや、お前もワイと同レベルやな」

(´・ω・`)「敗北感すごい」

(´・ω・`)「というかこの本、文章がおかしいんだよ」

彡(゚)(゚)「そうなんか」

(´・ω・`)「えーとね、探偵が調査を始めるシーンはこんな感じでしょ」


――探偵の円山だか早坂だかは、古典的な、スタイルの象徴、と、しての
森の虫眼鏡を取り出し、フローリングの床に、這いつくばって足跡を、
収集し始めた、何か手伝うこと、は、あるかと容疑濃厚な、赤星または
白河が深水に問いかける、と、アリバイ工作の矢野は森、を容疑者として
辻村と捜査を始め、て、石黒がまず第一発見者とし、て、証言を約束
したのであった。


彡(゚)(゚)「何かおかしいか?」

(´・ω・`)「おかしい オブ オール」
18:2019/01/16(水)23:48:51 XSO
(´・ω・`)「誰が誰に話しかけたのか分かりにくいし、やたら人物が多いし」

(´・ω・`)「常に2・3人をまとめて呼ぶから誰が行動してるのかも分かりにくい」

(´・ω・`)「、て、みたいに助詞が読点で挟まれてるのは、作家の個性としても異様だ」

彡(゚)(゚)「ほーん、ワイはそのへんは気にならへんかったけど……」

(´・ω・`)「この本100ページしかないからね」

(´・ω・`)「なんか豆知識とかがやたら多いし、短い発言での会話が続くから、テンポ自体はいいんだよ」

彡(゚)(゚)「ふむふむ」

彡(゚)(゚)「あれかなあ、わざと読みにくくする芸みたいなことかな」

(´・ω・`)「そういう本もたしかにある……」

(´・ω・`)「極端に難解な語彙を使ったり、時系列をめちゃくちゃに入れ替えたりね」

(´・ω・`)「かのラノベ三大奇書、「戦乱学園」はこの比じゃなかったし」

彡(゚)(゚)「ほーん」
19:2019/01/16(水)23:49:52 XSO
(´・ω・`)「でもこの本は、妙に読みやすい……こんなに乱雑な文章なのに」

(´・ω・`)「この文章、まるで……」

(´・ω・`)「…………」

(´・ω・`)「やきう君、この本ってどこにあったの?」

彡(゚)(゚)「大学の喫煙室やで、あそこに置いてる本は持ってってええことになってるんや」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「なるほど、犯人が分かったかも知れない」

彡(゚)(゚)「?」
22:2019/01/16(水)23:53:41 XSO
(´・ω・`)「スマホで検索してみよう」

(´・ω・`)「やっぱりだ、この本のタイトルも、作者もヒットしない」

(´・ω・`)「そもそも背表紙に書籍コードもない、奥付もない、これは市販の本じゃない」

彡(゚)(゚)「どういうこっちゃ?」

(´・ω・`)「この本はね、たぶんAIが書いた本だと思う」

彡(゚)(゚)「AI?」

(´・ω・`)「そう、こんなふうに乱雑な文章はAIっぽい」

(´・ω・`)「文章の自動生成は助詞が苦手で、だからこんな不自然な助詞の置き方になるんだ」
23:2019/01/16(水)23:54:49 XSO

彡(゚)(゚)「せやけど、なんでそんな本が喫煙室に?」

(´・ω・`)「うちの大学の情報学部か、どっかのサークルの仕業じゃないかな」

(´・ω・`)「AIにミステリーを書かせて、それに偽の装丁をかぶせて本に仕立てる」

(´・ω・`)「それを喫煙室に置いて、誰かに読ませるという実験だと思う」

彡(゚)(゚)「なるほどなあ」
24:2019/01/16(水)23:56:01 XSO
彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)(あれ、せやけど)

彡(゚)(゚)(ワイ、喫煙室に一人でおるときに拾ったし、戻さへんかったら実験にならへんよな)

彡(゚)(゚)(それに、原住民の言ってた深水ってキャラ、やっぱり居らんかった気がする……)

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「なあ、本を戻しに行くから、ちょっと一緒に来てくれ」

(´・ω・`)「?」
26:2019/01/16(水)23:58:44 XSO
彡(゚)(゚)「よし、この教室からやったら喫煙室が見えるわ」

(´・ω・`)「どうしたの? 双眼鏡まで用意して」

彡(゚)(゚)「あの本、やっぱり何かおかしいんや」

彡(゚)(゚)「実験のためいうても、あんなしっかり装丁を作るやろか? カバーなんか外しとけばいいのに」

(´・ω・`)「それはそうだけど」

彡(゚)(゚)「しかし喫煙室ってあんまり人が来えへんな」

(´・ω・`)「今の時代、あんまり利用する人も居ないしね」
27:2019/01/17(木)00:00:40 7p3
(´・ω・`)「あんまり使われない棟の、さらに一番奥にあるし」

彡(゚)(゚)「あ、誰か来たで」

彡(゚)(゚)「……なんやあれ、2メートルぐらいある」

彡(゚)(゚)「……肌が緑色や、襟を立てたコートと、帽子で隠してるけど…‥」

彡(゚)(゚)「口が前に突き出してる、キバも見える……」

(´・ω・`)「えっ……」

(´・ω・`)「な、なに、あのトカゲみたいな顔の人」
28:2019/01/17(木)00:02:18 7p3
彡(゚)(゚)「コスプレじゃないな、妖怪か宇宙人ちゃうか」

彡(゚)(゚)「本を拾ったで……中を開いて確認してる」

(´・ω・`)「に、逃げようよ、あんなのに関わったら危ない……」

彡(゚)(゚)「もう遅い」

(´・ω・`)「え?」

彡(゚)(゚)「あの本の近くにトラバサミ仕掛けてたんや」


バチーーーーン


(´・ω・`)「ええええええええええ」
32:2019/01/17(木)00:06:24 7p3
トカゲ「ぎゃああああああああ、足があああああああ」

彡(゚)(゚)「捕まえたけど、どうしよかな」

(´・ω・`)「これ教授とかが掛かってたら退学あるよね」

彡(゚)(゚)「お前は誰や、なんでこの大学におるんや」

トカゲ「あががが、わ、ワイはカッパ族や、この大学で寝泊まりさせてもろてるんや」

彡(゚)(゚)「カッパには見えへんけど、それはええわ」

彡(゚)(゚)「その本は何やねん、何の実験をしてたんや」

トカゲ「実験? ち、違う、これはワイの忘れもんや、ただの暇つぶしや」

(´・ω・`)「暇つぶし?」

トカゲ「これは「読んだつもりの本」なんや」

彡(゚)(゚)「なんやて?」
33:2019/01/17(木)00:08:13 7p3
トカゲ「この本には、カッパの特別な技術がつこてある」

トカゲ「読む人間の記憶野を漁って、適当な名前と文章を引っ張り出してくるんや」

トカゲ「ほんで、文章を作ってミステリーの体裁に仕立てよる」

トカゲ「客観的に見るとバラバラな文章やけどな、本人の頭の中から引っ張り出したセンテンスの羅列やから、すごく読みやすいんや」

(´・ω・`)「なるほど、妙にすらすら読めると思った……」

彡(゚)(゚)「だから原住民の読んだ後に、キャラが増えてたんやな」
34:2019/01/17(木)00:10:28 7p3
彡(゚)(゚)「せやけど、なんでそんな本を読むんや?」

トカゲ「カッパ族……水棲人類と自称するもんもおるけど、ワイらは長く生きるからな」

トカゲ「真っ当に読書をしてると、頭の中が情報でパンクしてまうんや」

トカゲ「でも読書をしたい欲はある、そういうときにこの本を読むと、何かを読んだ気分だけが味わえるんや」

トカゲ「ワイらの国では普通の読書はもう廃れててな、この本しか読まれてへん」

(´・ω・`)「この本だけ……?」

トカゲ「本だけやない、音楽も映画もや」

トカゲ「見る人間の脳から情報を集めて、その場で作る、特に内容はないけど、満足感は残るんや」
35:2019/01/17(木)00:12:01 7p3
彡(゚)(゚)「なんだかなあ、寂しそうな国やで」

トカゲ「そうかな? 人類だって近くそうなるんちゃうか?」

トカゲ「テレビだって、毎日似たようなことを……」

彡(゚)(゚)「なんかまとめようとしてるけど、普通に警察と自衛隊と韮沢さん呼ぶからな」

トカゲ「ちょ、ちょっと待て」

トカゲ「分かった、いくら欲しい」

彡(゚)(゚)「高く売れそうでできれば特許料とかで儲かりそうなものくれ」

(´・ω・`)「要求がえぐい」
37:2019/01/17(木)00:13:51 7p3

彡(゚)(゚)「結局この本しか貰えへんかったな」

(´・ω・`)「人類が価値を理解できそうなものはこれだけだって」

(´・ω・`)「といっても、本の仕組みだとか素材だとか、未知の技術がぎっしりで」

(´・ω・`)「簡単に世の中に出せるものじゃないけどね」

彡(゚)(゚)「しゃあないなあ、まあカッパの恨みを買ってもあかんし、我慢しよか」

(´・ω・`)「すでに買ってそうな気もする」
38:2019/01/17(木)00:15:44 7p3

彡(゚)(゚)「それにしても、あんな本だけが娯楽とはなあ」

(´・ω・`)「うーん、でも、あの文章……」

(´・ω・`)「AIが作る文章に似てるのは、勿論この本もAIが入ってるからなんだろうけど」

(´・ω・`)「なんだか嫌な予感がするよ、AIの文章生成って」

(´・ω・`)「究極的には「読んだつもりになれる文章」になっていくのかな」

彡(゚)(゚)「ワイらが気にしてもしゃーない」

彡(゚)(゚)「人の寿命は短いし、こんな本で暇つぶししてる暇もないやろ」

(´・ω・`)「ははは、そうだね」
40:2019/01/17(木)00:18:00 7p3
彡(゚)(゚)「それにしても」

(´・ω・`)「うん」

彡(゚)(゚)「あれやっぱりカッパちゃうよな……」

(´・ω・`)「……咄嗟に、ごまかしたんだろうね」

彡(゚)(゚)「ごまかすのヘタすぎるやろ……」


(おしまい)
42:2019/01/17(木)00:18:57 pAj
将棋星人とかのニキか?
おつやで
43:2019/01/17(木)00:19:32 pTQ
乙やで、タケノコゾンビが好きやったわ
彡(゚)(゚)「このミステリー……何かおかしい」
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1547649292