1:2018/11/14(水) 22:07:49.442 ID:om9e9eD50.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    宮川巧流(みやがわ たっくる)(20) 大学生

    【虚構のイエローフラッグ】

    ホーッホッホッホ……。」
2:2018/11/14(水) 22:08:23.861 ID:om9e9eD50.net
とある大学。ここはあらゆる運動部でトップの成績を誇る日本有数のスポーツ強豪校だ
グラウンドでは屈強なアメフト部員たちが猛々しい声を上げ練習している

井上コーチ「宮川なにやってんだ!しっかり相手にぶつかって何がなんでも止めろ!!」

宮川「…はい、すいません!!」

コーチの注意に不服そうな表情で答える一人の生徒

テロップ「宮川巧流 (20)大学生 」

内田監督「どうだ、宮川のほうは」

井上コーチ「スピード、パワー、体格、個々の能力は決して悪くありません。しかし…」

内田監督「…メンタルが弱い。か」

井上コーチ「怖いのか相手に向かっていく気持ちが今ひとつ足りない。勿体ないですね」

内田監督「体は使えばいくらでも鍛えられる。だが精神面はなかなか難しいからなあ」

内田監督「ちょっと荒療治も必要かもしれん。誰しもが通る道だ」

井上コーチ「このままでは大学で終わりでしょうね。せめて実績を作ってやれれば…」
4:2018/11/14(水) 22:09:11.219 ID:om9e9eD50.net
試合後、コーチに呼び出される宮川

宮川「えっ!?次回の試合出れないかもってどういう事ですか!?」

井上コーチ「お前からは今一つやる気が感じられないんだよ。なぜもっと向かっていかない?」

宮川「自分は…一生懸命やってるつもりなんですけど」

井上コーチ「つもりじゃダメなんだよ。せっかく能力はあるんだから闘志を見せてくれ」

井上コーチ「お前のポジション、DL(ディフェンシブライン)は相手の攻撃を常に止める役割だ」

井上コーチ「接触が主なポジなのにお前は怖がって全然止めにいけてないじゃないか?」

宮川「…すみません」

井上コーチ「相手を壊すかもとか、自分が壊れるかもとか、ビビってる部分があるんじゃないのか?」

井上コーチ「気持ちは分かるがそこから一歩踏み出さないといつまでもこのままだぞ」

井上コーチ「相手を潰すくらいの気持ちを出さないと今後試合で使う事は難しくなるかもしれん」

宮川「…」
5:2018/11/14(水) 22:10:10.214 ID:om9e9eD50.net
帰り道、落ち込んだ様子で公園沿いの道を歩く宮川。横には大きな湖が広がっている

宮川「はぁ…また気持ちが弱いって言われちゃったな。どうしよう」

宮川「自分でもわかってるけど怖くてできない。俺アメフト向いてないのかな」

湖を眺めながらどうしようもないもやもやした気持ちを吐き出す宮川

宮川「そもそも井上も内田も嫌いなんだよ。前時代的っていうか、本当合わないや」

宮川「あいつらがいなくなってくれればもっとノビノビできるのに…」

喪黒「ホーッホッホ、何だかえらく落ち込んでますねえ」

突然妙なサラリーマン風の男が話しかけてくる

宮川「は、はぁ…」

喪黒「いやあえらくがっしりしてらっしゃる。何かスポーツでも?」

宮川「ああ…アメフトをやってまして、でもなかなか上手くできなくて」

喪黒「もしよろしければお話お聞かせください。何か力になれるかもしれません」
6:2018/11/14(水) 22:11:26.392 ID:om9e9eD50.net
公園のベンチに腰掛け、事のいきさつを話す喪黒に話す宮川

喪黒「ふぅむ、宮川さんには強い心が必要なようですなあ。だったら…」

喪黒はおもむろに鞄からマウスピースを取り出す

宮川「喪黒さん。僕は仮にもアメフトやってるんですよ。マウスピースなら沢山持ってます」

マウスピースの装着はルールで義務づけられておりもし忘れることがあれば反則行為となる
試合に出ることすらできなくなるのだ

喪黒「ホーッホッホ、これはちょっと変わったタイプのマウスピースなのです」

喪黒「いざという時装着すればきっとあなたの力になってくれるはずですよ。どうそお使いください」

宮川「え、お金なんて持ってないですよ…」

喪黒「いえいえお代はいただきません。ただちゃんと毎日6時間の消毒と乾燥を絶対に忘れずに」


帰宅後、そのマウスピースを嵌めてみるとかなりしっくりくる。が、特段変わったことはない

宮川「まあ…マウスピースも馬鹿になんないしな。使ってみるか」
8:2018/11/14(水) 22:13:32.840 ID:om9e9eD50.net
試合当日。例のマウスピースをつけて試合に臨む
するとコーチに呼び出される

井上コーチ「どうだ。気持ちはしっかり作ってきたのか?」

宮川「はい…」

井上コーチ「なんだその生返事は!!相手をぶっ潰すくらいの気合はないのか!!」

決して悪いコーチではないがこのやたら圧の強い言い方が本当に性に合わない。耳障りだ

井上コーチ「そんなんじゃ悪いがやはり試合には使ってやれないな」

その時、自分の意思に反して口の中がもごもごと動いた

宮川「監督ゥ!!俺絶対この試合勝ちたいんです!ぶっ潰す覚悟もできてます!!」

井上コーチ「!? 宮川本当か!喧嘩するくらいの勢いでいけるのか!?」

宮川「俺マジでやってやりますよ!!向こうのクォーターバック潰してやりますよ!」

井上コーチ「おお!まるで人が変わったみたいじゃないか!よし!ぶっ潰してやれ!お前ならできる!」
10:2018/11/14(水) 22:14:55.956 ID:om9e9eD50.net
宮川「ヘヘッ!あいつらに泣き見せてやりますよ!!!んじゃあ失礼します!!」

口がひとりでに動き思ってもない事をどんどんと喋る。マウスピースが勝手に口を動かしているんだ
宮川は部屋を出ると口を抑えて一目散にトイレの個室に駆け込む

宮川「はぁはぁ…なんなんだこのマウスピース!!くそっ!」

慌ててマウスピースを外そうとするとまた勝手に口が動き出す

マウスピース(以下MP)「おいおいちょっと待てよ。俺を外すと反則で試合に出れなくなるぞ」

宮川「会話できるのか!?勝手にあんなこと言って…一体何のつもりだよ!!」

MP「ああでも言わないともう二度と試合に出してもらえなかったぜ?」

宮川「そ、それはそうだけど…!」

MPを非難する宮川。だが傍目には一人二役で喋ってるようにしか見えない

MP「いいか?俺には考えがある。お前を救い、鬱陶しい内田と井上を失脚させる案がな」
11:2018/11/14(水) 22:20:57.741 ID:om9e9eD50.net
宮川「ええっ?」

MP「アイツら嫌いなんだろ?それに正直お前はアメフト選手として秀でたもんがあるわけでもない」

MPのストレートな物言いにたじろぐ宮川。しかし内容は確かに的を得ている

MP「その両方の問題を一気に解決できる案があるんだよ。いいから俺に任せてみろ。うまくいく」

疑心暗鬼になりつつもその自信にあふれた力強い言葉に引っ張られてしまう宮川
そうこうしているうちに試合の時間が近づく。準備をしなくては

MPが勝手にしゃべりだす。この異常な状況が呑み込めないまま試合に臨む宮川
試合も佳境にはいるなか、またMPが宮川の口を使って話しかけてくる

MP「おい、今から相手のクオーターバックに思いっきりタックルしろ。多少の加減はしろよ」

宮川「な、何言ってんだよ!?こんな状況でタックルなんて意図的すぎるじゃないか!」

MP「それでいいんだ。いいか、お前は今から内田と井上に命令されて反則に及ぶ哀れな被害者になるんだ」

宮川「はぁ!?」

MP「お前の反則であの鬱陶しいジジイ二人を失脚させてやるのさ。お前を馬鹿にしたあいつらをな」
12:2018/11/14(水) 22:22:12.370 ID:om9e9eD50.net
宮川「ど、どういう流れでそうなるんだよ!!」

MP「奴らをどうにかしなきゃお前は試合にも出れない。実績も残せず終わる。実業団なんざ夢のまた夢さ」

MP「でも奴らはこれからも強豪校の名監督、名コーチとして安泰の日々だ。それでいいのか!?」

確かにMPの言う通りだ。俺はこんなに悩んで苦しんでるのにあいつらはのうのうと試合を眺めてる
練習中もキツイ言葉を投げかけられたこともある。思い出していたら一気に怒りが込み上げてきた

次の瞬間、宮川は相手選手にタックルしていた。反則の笛が鳴る―――

それからの事は記憶があいまいだ。試合後泣いてしまった自分をチームメイトが慰めてくれた
コーチや監督が「よくやった。お前は優しすぎるんだ。気にするな」と声をかけてくれた
断片的にそんな事くらいしか覚えてはいない



それから数日後、ネットであっという間にあの試合のことが拡散されていった
13:2018/11/14(水) 22:24:10.582 ID:om9e9eD50.net
MP「いやあ思った通りだ。見ろよお前のタックルの瞬間が綺麗に収められてるぞ」

宮川「馬鹿野郎!!お前のせいでこんな大事になって…俺の特定までされてるんだぞ!もう終わりだよ!」

自分の部屋で布団にくるまりながら泣き声で言う宮川。口に指を突っ込みMPを掴む

宮川「やっぱお前なんか捨てる。粉々に壊して焼いて猫に食わせてやる!!!!」

MP「待てって!!お前だけでこの状況乗り切れるのか!?俺ならやれるけどな!!」

宮川「何を乗り切るってんだ!!宮川を吊し上げろってキモいネット民が大騒ぎしてんだぞ!」

MP「だから好都合なんだよ。お前は顔出しで会見しろ。そして誠実にすべてを話すんだ」

宮川「お前馬鹿かよ!なんで自分から攻撃に晒されるんだよ!!」
14:2018/11/14(水) 22:25:22.633 ID:om9e9eD50.net
MP「もうお前の素性はネットじゃ知れ渡ってる。今更隠れたって無駄だ。ならいっそ矢面に立つ」

MP「内田と井上は今もコソコソ逃げ隠れしてるからな。対比でお前の潔さが際立つだろ」

MP「そしてお前は連中に命令されたと、パワハラで追い詰められてやるしかなかったと話すんだ」

宮川「そんなの嘘じゃないか…すぐにばれるよ!!」

MP「パワハラなんてのは個人の受け取り方次第。弱い立場を押し出せばなんだって通るさ」

MP「お前が選手で奴らが指導側だったのは事実だ。お前が指導を恐怖に感じればそれはパワハラなんだよ」

MP「どこの組織にも現体制を忌々しく思う奴は必ずいる。そいつらを取り込み会見を開くんだ」

宮川「そんなの…うまく言える自信ないよ…」

MP「そのための俺だろ?俺はお前のクオータバック。司令塔さ。俺に任せとけば問題はない」
15:2018/11/14(水) 22:31:00.531 ID:om9e9eD50.net
とても信じられなかったがこいつに頼る以外この状況をどう動かせばいいかわからない
半ば逃避でこいつの支持通り動いた。会うべき人間に会い嘘と本当のギリギリを話す

内田体制に不満を持ち、自分がその座に座りたい人間
内田や井上の厳しい指導に不満を持っていたチームメイトや教師
そうした人物に根回しするようにMPは「俺は被害者だ。でも俺にも多大な責任がある」
という論調で仲間を増やしていった。決して責任逃れにならないような言い方を心掛ける

宮川は正直感心しきりだった。人は言い方ひとつでこんなにも思惑通り動くものなのか

MP「驚いてんだろ?俺の話術とそれにあっさり乗っかってくる連中の軽さに」

ふと一人になった時にMPが話かけてきた。見抜かれている

MP「人間なんてのはな。真実なんてどうでもいいんだよ。それが自分にとって都合がいいかどうかだ」

MP「ネットの連中なんて特に顕著なもんさ。事件が起これば何も知らない外野共が自分の理想のシナリオを押し付ける」

宮川「そういや俺もネットで横柄な乱暴者とか適当なこと書かれてたっけ…」

MP「それの方が攻撃するのに気持ちいいだろ?その程度の知能と良識しかないんだよ連中は」
16:2018/11/14(水) 22:33:45.873 ID:om9e9eD50.net
MP「逆にそれを利用してやればいい。会見後、お前の世間的評価は180度変わるぜ。見てな」

妙に鋭いその言葉に宮川はいつしか頼もしさを感じるようになっていた
そして会見当日。発言をすべてMPに任せる。MPは朴訥ながら誠実に、終始落ち着いたトーンで話す

「監督、コーチにパワハラの末命令されたと感じた。そこはきっちり追及してほしい」

「でも責任は実行した自分にあると思う。けがをさせた選手には改めて謝罪したい」

「監督、コーチの事件後の発言に対して自分が今言う事はない。そんな立場ではない」

マスコミの質問にも冷静に答え、地雷は決して踏まない。徹頭徹尾完璧な受け答えだ
そして宮川が何より驚いたのはMPのこの発言だった

「自分はアメフトを引退する。もし求められたとしても決して戻らない」

なんて事を言うんだ!?とも思ったが今更これはMPが勝手に…とも言えるはずがない
自分はアメフトがしたくてMPの言うとおりにしていたのに。ととまどいが襲う

会見が終了した。多くの大人たちが現れては消えやがて部屋で一人になるとMPが話しかけてくる

MP「安心しろ。お前は必ずアメフトに戻れる。一夜たてばお前を取り巻く状況は一変する」

MP「そのために敢えて強く引退宣言したんだ。あそこで甘い事言うとそこをつつかれる。山口メンバーみたいにな」
17:2018/11/14(水) 22:37:15.145 ID:om9e9eD50.net
翌日、その言葉はまさに現実になった
マスコミは一斉に「勇気ある宮川選手。20という若さで全ての責任を背負い逃げずに事件の全容を話す」と
宮川を悲劇のヒーローとして持ち上げはじめたのだ

テレビもネットも一気に宮川を擁護し、内田井上を悪の象徴として取り上げる
特にネットの掌返しはすさまじく「宮川可哀想!内田と井上を吊し上げろ!!殺せ!!」と言わんばかりの
流れが出来上がっていた

宮川「し…信じられない…あんなに俺へのバッシングばかりだったのに」

MP「だから言ったろ。この国の連中は逃げずに謝り責任をとる奴が何より大好きなのさ。真実かどうかは二の次」

MP「切腹やらカミカゼが美談になっちまう日本特有の美意識。潔さの美学ってやつだ」

宮川「やった!!これで内田と井上は終わりだざまあみろ!!…でも俺も選手生命終わっちゃったよ…」

MP「急ぐなよ。そのうち必ずお前は復帰できる。世論がそうなってるんだから」

宮川はふとtvを見る。コメンテーターたちがこぞって「彼を引退させてはいけない」と口を揃える
まるで日本中が自分の味方になったような気分だ。こんな大逆転劇は試合でもそうそうお目にかかれない

宮川「でも…パワハラ認定はやっぱり微妙じゃないかな。現に命令されたわけじゃないし」

MP「そこの新聞記事見な。敵の敵は味方ってやつだぜ」
18:2018/11/14(水) 22:40:31.493 ID:om9e9eD50.net
そこには反則タックル後に内田と井上が示し合わしたかのように
「やりましたね」「おお」というやりとりしていた
という証言をある部員から得た。なる記事だった
その証言がタックルが命令であったことを強く裏付けることになったのだという

MP「まあおおかた内田か井上を嫌いな部員がテキトーこいたんだろうな」

宮川「まああいつらを嫌いな部員は少なからずいただろうからね…」

MP「こういう便乗野郎がいるおかげでお前は安泰だ。胸張れよ」

それからはまさに人生が変わった。多くの人たちから「頑張ってね」「応援してるよ」と
暖かい声を変えられるようになり、正直モテるようにもなった

一方内田と井上は数々の言動やその職務内容までが逐一攻撃対象となり
その後の会見もMPとは対照的なもので火に油を注ぐ結果となった。それから数か月…
19:2018/11/14(水) 22:42:08.610 ID:om9e9eD50.net
宮川「え!?アメフトに復帰!?」

大学職員「世間や学校関係者はもちろん被害者の父親も君の復帰を望んでいてね」

大学職員「学校には毎日君の復帰を嘆願する電話や資料が来るんだ。どうか復帰してくれないか?」

宮川「…僕にアメフトやる資格はありません。でも応援してくれる人がこんなにいるなら…」

まさに望まれての復帰も実現した。すべてがMPの言うとおりになったわけだ

他にも高須クリニックの院長がスポンサーになりたいと言ってきたり
某xリーグのチームから秘密裏にスカウトの話まで来ている
20:2018/11/14(水) 22:45:37.437 ID:om9e9eD50.net
復帰戦の日、ふとスタンド見ると多くのファンが詰めかけていた
多くの人が「宮川選手おかえりなさい」などの旗や幕を用意してくれている

アメフト選手として何か秀でていたわけでもない自分がこんなヒーローになれるなんて
あの事件以前はただの目立たない一選手だったのに

宮川「すごいよMP、なんでそんなに人の心がわかるんだ?」

MP「イジメ自殺のニュースが出るとネットで加害者を地獄に落せ!って異常なほど怒る奴がいるだろ?」

MP「なんで他人の為にあそこまで怒れるんだ。と思うかもしれないがあれは自分の為に怒ってんのさ」

宮川「どういう事?」

MP「ああいうので怒り狂う奴は過去にいじめられた経験がある。被害者と自分を同一視してるんだ」

MP「赤の他人のイジメっ子を追い詰めることで過去自分をいじめてた奴らに復讐してる気になってんのさ」

MP「だからあんなに必死になれる。お前の一件もそれだ」

MP「世の中、パワハラとまではいかずとも弱い立場でいいようにされてる可哀想な奴が多いのよ」

MP「そんな連中がお前と自分を同一視して悪の権化内田井上コンビを地獄に落せって叫んでるわけさ」
21:2018/11/14(水) 22:50:54.773 ID:om9e9eD50.net
宮川「なるほど…俺の為に怒るってより自分の為に…」

MP「そういう奴らにとってお前は善人かつ被害者じゃなくちゃいけないんだ。真実なんて興味ないのさ」

いちいち言葉に説得力がある。現にすべてMPの行った通り事が進んでいる。最高の相棒だ

喪黒「ホーッホッホ、宮川さんじゃあないですか」

そうやって街を歩いていると、ふと後ろから声をかけられる

宮川「ああ喪黒さん!!お久しぶりです!!」

喪黒「色々大変でしたねえ。私のお渡ししたアレのせいかとヒヤヒヤしてたんですが」

宮川「とんでもない!!あのMPのおかげで僕は今最高に幸せなんですから!!」

喪黒「おおそうでしたか。それは良かった」

喪黒「ところであのMP、ちゃんと大切に使ってくださってますよねえ?」

宮川「? 当然ですよ。毎日ちゃんと言われた通り消毒、乾燥もしてますし」

喪黒「MPはアメフト選手の基本…決して蔑ろにすることはないようお願いしますよぉ?」

顔面をグイッと寄せて念を押してくる喪黒。不気味さを感じつつ笑顔を作りもちろんと答える
23:2018/11/14(水) 23:05:57.452 ID:om9e9eD50.net
それから数日後、家でくつろいでいた宮川に電話が入る

友達「おう宮川、ちょっと遊び来ない?合コンぽいのやってんだけど」

友達「宮川友達だよって伝えたら女の子たちすげえ盛り上がっちゃってさぁ」

宮川「マジで!?行くよ行く!!ちょうど暇だったし!!」

ふと机の上の消毒液に浸したMPに目をやる宮川

宮川「浸したばっかだし6時間経つまでに帰ってくりゃいいか」
25:2018/11/14(水) 23:08:47.685 ID:om9e9eD50.net
個室の飲み屋、いい感じに酒も入り皆まったりとしたムードだ

女「ふぅ~やばい飲み過ぎちゃったぁ」

隣の女が頬を赤らめやたらと宮川に寄りかかる。こちらもまんざらではない
しかしどうしても時間が気になる

宮川「あ、あー…俺そろそろ帰らないと…」

女「ええーまだ早いしこのままどっか行きませんかぁ?」

女「アメフトやってる人ってすごいタフそうですよねぇ。色々」

あからさまに胸を押し付けてくる女

宮川(…まだ大丈夫だ…時間ギリギリまでなんとか…)
26:2018/11/14(水) 23:11:27.768 ID:om9e9eD50.net
結局酒の勢いも手伝いその女と夜を明かしてしまった宮川
大慌てで家に帰ってくるなり急いで消毒液からMPを取り出す
乾かした後、嵌めてみると普通に装着出来た

宮川「なんだよ、ボロボロになって嵌らなくなったりしたらどうしようかと思ったよ」

一安心するとMPをはめたまま大学へ向かう宮川。その合間も色んな生徒から声援をかけられる
大学に着くと大学職員からの呼び出しがかかる。今度はどんな良いニュースが待っているのか

宮川「失礼します!!何のご用でしょうか!!」

大学職員「…えらく元気だな。君、新聞とか読まないのかね」

流石に昨日の件で大慌てで家を飛び出したので…とはいえず言葉に困る宮川
すると大学職員がうんざりした顔で朝刊を差し出す
28:2018/11/14(水) 23:17:26.045 ID:om9e9eD50.net
宮川「う、内田井上どっちも無罪!?パワハラは認められず…僕が書類送検!?」

宮川「どうしてこんなことになってるんですか!?」

大学職員「いや君がタックルしたのは事実だし、二人が命令したって証拠も出なかったしねぇ…」

宮川「タックル後にあいつら示し合わせて「やりましたね」とか言ってたんでしょ!?立派な証拠じゃないですか!」

大学職員「それが…その証言した部員がそれは嘘でしたと認めたんだよ」

宮川「ええっ!?」

大学職員「命令認定はその証言に寄るところが大きかったから…それもそのうち報道されるだろう」

宮川「そんな…そんなことって…」

絶望の淵に立たされる宮川。その時突然部屋のドアが開く。現れたのは内田と井上だった

宮川「アアッ!?」

内田「宮川、やってくれたな。お前が私らを気にくわなかったのはわかるが…嘘は駄目だ」

静かに語る内田。しかしその言葉の端々から深く激しい怒りが感じられる

井上「書類送検も決定した。きっちり罰を受けるんだ」
29:2018/11/14(水) 23:20:05.687 ID:om9e9eD50.net
宮川(なぁ、助けてくれよMP。俺が悪かったから、何か言ってくれよ!!)

宮川は必死でMPに語りかけるがやはり返事は帰ってこない。氏んでしまったかのように

内田「平穏なアメフト人生を送れればいいな。ただし私はお前を決して許さない」

宮川「~~~!!!!!!!」

宮川は突然狂ったように頬を叩き、唇を叩き、喚き始める
口元からは血が吹き出し、頬は腫れ上がる。その常軌を逸した行動に驚く内田たち

宮川「なあ!!何か言えよ!!たった一回忘れただけじゃないか!!何拗ねてんだよ!!」

それでもMPは何も答えない

宮川「アアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!!」

たまらず叫びだし部屋の外に飛び出していく宮川

大学からも飛び出して走り出し喪黒と会ったあの湖沿いの公園を目指す
いた。喪黒がいた。宮川はボロボロの口元で叫ぶように呼びかける

宮川「も、喪黒さん!新しいMPをもらえませんか!!お金ならいくらでも払います!!」
30:2018/11/14(水) 23:24:38.201 ID:om9e9eD50.net
喪黒「宮川さん。あなたMPを雑に扱いましたねえ?あれほど言ったのに」

宮川「たった一回消毒液から取り出すのを忘れただけなんですよ!!別に蔑ろにしたわけじゃ…」

喪黒「たった一回でも忘れれば試合にさえ出れないのがMP。十分な過失ですよ」

喪黒「残念ですがそのMPはもうありません。諦めてください」

宮川「このままじゃ僕はアメフトを諦めざるを得なくなるんです!!」

喪黒「人生はアメフトだけじゃありません。その体格なら仕事はいくらでもありますよ」

喪黒「運送業とか、警備員とか。ねえ」ニヤリ

そう言ってあっさり去って行ってしまう喪黒。絶望に打ちひしがれその場によろける宮川
喪黒の後姿を見てふつふつと怒りが湧いてくる

宮川「僕にはアメフトしかないんだ…アメフトができない人生なんか意味がない…」

ゆらりと立ち上がるとぐっと腰を落とし、喪黒の背中を睨みつける宮川
右の拳を地面につけると下半身に力を集中し、太ももの筋肉をこれでもか強張らせる

宮川「これが…相手をぶっ潰してやるって気持ちか…もっと早く気づきたかったよ」
31:2018/11/14(水) 23:28:04.455 ID:om9e9eD50.net
全力のタックルをかまそうと喪黒の背中目がけて飛び出す宮川

宮川(一切の手加減なんかしない!!僕のアメフト愛を鼻で笑ったお前が悪いんだ!!)

迫る宮川を背中に感じながら不敵に笑い出す喪黒

喪黒「ホーッホッホ、私に向かってくるなんて十分血気盛んじゃあありませんか」

喪黒「それほどまでにアメフトで生きていきたいのですねえ。お察しします」

ぐるりと振り向き宮川と対峙する喪黒。さっと指を宮川に向ける

喪黒「では一生アメフトができるようにしてさしあげます!!!!!!!!!!!!」

喪黒「ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!」

宮川「タックラアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ」



部員たち「おーい、宮川ー」「練習始めるぞー」

大学のグランドでは部員たちが宮川を探している

部員「先に帰っちゃったかな。ラインも無視だし」

部員「まああんな事があったら練習する気になんねえよ…」
32:2018/11/14(水) 23:31:00.758 ID:om9e9eD50.net
そう話す部員たちに話かける喪黒

喪黒「すみません。このボール。こちらのじゃないですかあ?」

その手にはアメフトのボールがある。表面にはそこの大学名が記されている

部員「あ、多分うちのです。どこでこれを…」

喪黒「大学の外を歩いていると道に落ちてたので拾ってきたのです」

部員「ああきっと誰かが蹴って外に出しちゃったんだ。すみません」

喪黒「いえいえ、練習頑張ってくださいねえ」

部員は渡されたボールをまじまじと見つめる。触ると少し形がいびつなようだ
なんとなくどこかで見たような気もする

遠くからチームメイトが「おーい!もう練習始めちゃおうぜー」と呼びかけてくる
返事をし、ボールを抱え走り去っていく部員

ボール ≪…チガウ…ココニ…イルンダ…ダレカキヅイテ…≫

当然そのささやきに気付く者は誰もいない。夕暮れを背負った広いグランドに部員たちの声がこだまする
33:2018/11/14(水) 23:32:46.754 ID:om9e9eD50.net
喪黒「ホーッホッホ、これで心置きなく一生アメフトができるでしょう」

喪黒「しかしながら世間とは本当に怖ろしいものですねえ」

喪黒「勝手に被害者と自分を同一視し、加害者を追い詰めることで過去の復讐を果たそうとする」

喪黒「事の真相より自分が気持ちよくなりたいだけの人。なんと醜い事でしょう」

喪黒「そもそも外野に誰が被害者で加害者か。なんてことどこまでわかるのでしょうねぇ?」

喪黒「内田さんたちがお咎めなしとなって正義も糞もないと怒ってる方々…」

喪黒「その正義ってただあなたにとって都合のいいシナリオなだけじゃあありませんか?」ニヤリ

喪黒「ニュースやネットで何か知った気になって正義の使者気取りはほどほどになさってください」

喪黒「そんな事してもあなたの惨めな過去は書き換えられないのですから…ホーッホッホッホッホ…」



喪黒福造「パワハラに負けない力をこのマウスピースが与えてくれます」 アメフト部員「本当にそんな物が…!?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1542200869