1:2016/03/20(日) 17:57:00.088 ID:uKYGwpsd0.net
<ラーメン屋>

客(ふむ……どことなく香川を思い起こさせるいい味だ)チュルチュル…

客「!」ブッ

客「おい、このラーメンゴキブリが入ってるぞ!」

店主「なんですって!?」

店主(まずい……どうにかしなければ!)
5:2016/03/20(日) 18:02:02.930 ID:uKYGwpsd0.net
客「麺に埋もれてたから、ちょっと食べてから気づいたぞ! どうしてくれる!」

店主「……お客様」

客「なんだ?」

店主「ゴキブリが入っていて……なにか問題があるのでしょうか?」

客「なにぃ!?」
6:2016/03/20(日) 18:05:04.324 ID:uKYGwpsd0.net
客「だ、だって……ラーメンにゴキブリっておかしいでしょ! どう考えても!」

店主「そうでしょうか?」

店主「こう考えてみて下さい」

店主「たとえば、このゴキブリがチャーシューだったらどうでしょう?」

客「嬉しい……!」

店主「ね?」
8:2016/03/20(日) 18:07:47.596 ID:uKYGwpsd0.net
客「いや、待て待て、ごまかされないぞ!」

店主「チッ」

客「今、舌打ちしたろ!」

店主「ちがいます。今のはチャーシューの“チ”です」

客「それならいいんだ」
11:2016/03/20(日) 18:11:54.579 ID:uKYGwpsd0.net
客「話を戻すけど、今回入ってたのはチャーシューじゃなくてゴキブリだ」

客「チャーシューは食えるけど、ゴキブリは食えない!」

客「ラーメンに食えないものが入ってるってのはやっぱりおかしいだろ!」

店主「え、ゴキブリって食べられますよ?」

客「え、そうなの?」

店主「海外ではゴキブリを食用としてる国もあるくらいです」

客「へぇー」
12:2016/03/20(日) 18:14:24.543 ID:uKYGwpsd0.net
客「いやだけど、やっぱりおかしいって!」

客「日本ではゴキブリを食べる習慣ってほとんどないし」

店主「ほとんどっていうか、全然ないですよね」

客「いいじゃないか! ほとんども全然も似たようなもんだ!」

店主「全然違います」

客「ちくしょぉぉぉぉぉ!」
16:2016/03/20(日) 18:18:56.980 ID:uKYGwpsd0.net
客「と、とにかく……ラーメンに昆虫が入ってるのはどう考えても異常事態でしょ!」

店主「果たしてそうでしょうか?」

客「なに……?」

店主「もし、このゴキブリがヘラクレスオオカブトだったら、どうでしょう?」

客「嬉しい……!」

店主「ね?」
17:2016/03/20(日) 18:20:31.337 ID:VVP1I0C8a.net
わろた
18:2016/03/20(日) 18:21:03.486 ID:uKYGwpsd0.net
客「いやだけど、これはヘラクレスオオカブトじゃなくてゴキブリじゃん!」

店主「チッ」

客「またチャーシューの“チ”か?」

店主「今のは舌打ちです」

客「それならいいんだ」
20:2016/03/20(日) 18:22:07.581 ID:cwXFU03Nd.net
ジャンプに連載されて最短でおわってくやつや
22:2016/03/20(日) 18:24:46.732 ID:uKYGwpsd0.net
客「とりあえず、注文にないものがラーメンに入ってたとか」

客「昆虫がラーメンに入ってたとか、それに関しては認めよう。全てを許そう」

店主「お客さん、チョロイですね」

客「うん、よくいわれる」

客「だが、一番の問題がまだ残っている」

店主「なんでしょう?」

客「ゴキブリは……汚い!」
28:2016/03/20(日) 18:27:40.067 ID:uKYGwpsd0.net
客「汚いものが食い物に入ってた! これは飲食店としてやっちゃマズイでしょ!」

客「どうよ!?」

店主「どうよって、私に問いかけないで下さい」

客「ごめん」

店主「ついでに反論しておきましょう。このゴキブリは汚くありません」

客「なにっ!?」
33:2016/03/20(日) 18:30:18.905 ID:uKYGwpsd0.net
店主「見て下さい、ラーメンの汁にたっぷり浸かったおかげで……」

店主「黒いボディがテカテカと光って、ほら美しいじゃございませんか」

客「たしかに……こうして見ると悪くないかも。ちょっとした宝石みたいだ」

店主(よし、あと一押し!)

店主「それにゴキブリって、エビと似たような食感らしいですよ」

店主「つまり、ラーメンにゴキブリが入っててもなんの問題もない!」
36:2016/03/20(日) 18:33:31.122 ID:uKYGwpsd0.net
客「……焦ったな」

店主「は……?」

客「勝負を焦って、あんたはミスを犯した。それも致命的な」

店主「ミス……だと……!?」

客「そう、俺はエビが嫌いなんだ!」

店主「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
45:2016/03/20(日) 18:38:09.015 ID:uKYGwpsd0.net
客「どれぐらい嫌いかっていうと」

客「伊勢海老も嫌いだし、かっぱえびせんも嫌いだし、エンターブレインも嫌いだ」

客「そんな客に、エビと全く同じ存在であるゴキブリ入りラーメンを出す……」

客「客商売としてあるまじき行為だ!」

店主「ぐっ、ぐぐぐっ……ぐっ……!」
49:2016/03/20(日) 18:41:33.839 ID:uKYGwpsd0.net
店主「だ、だったら……俺のおじいちゃんの遺言を教えてやる!」

店主「食べ物の好き嫌いをいう奴は……一流になれない!」

客「ぐうっ!?」

客「たしかに……なんとなくそんな気もしてきた……」

客「だ、だけど……俺は一流のはずだ!」

客「現に今もこうして、一流のクレーマーとしてあんたと戦ってるじゃないか!」
53:2016/03/20(日) 18:44:28.293 ID:uKYGwpsd0.net
店主「一流のクレーマー……? 笑わせてくれるぜ」

客「なんだと!?」

店主「一流のクレーマーだったらなぁ……」



店主『たとえば、このゴキブリがチャーシューだったらどうでしょう?』

客『嬉しい……!』



店主「こんなやり取りしねえよ!!!」

客「しまったぁぁぁぁぁ!」
59:2016/03/20(日) 18:47:13.146 ID:uKYGwpsd0.net
店主「しょせん貴様は客としてもクレーマーとしても、人間としても……」

店主「三流だったってことだ! この半端者が!」

客「ぐぅぅ……!」

店主「私の勝ちだ」

客「だけどさ……三流でなにが悪い?」

店主「!?」
65:2016/03/20(日) 18:50:52.231 ID:uKYGwpsd0.net
客「あんたは確かに今は一流のラーメン屋かもしれねえ」

客「だけどあんたにだって、二流や三流だった時期はあるはずなんだ!」

店主「くっ……!」

客「それを棚に上げ、未熟な人間を三流呼ばわりするあんたこそ、真の三流じゃないのか!」

店主「あびゃびゃっ、びゃっ!」
69:2016/03/20(日) 18:53:44.406 ID:uKYGwpsd0.net
店主「……ところで」

客「ん?」

店主「“真の三流”って、なんかかっこいいね」

客「たしかに!」

店主「“真の一流”だと、装飾しすぎ感があって、どことなくウソっぽさがあるけど……」

客「“真の三流”だと、いかにも宝石の原石って感じがする!」
75:2016/03/20(日) 18:55:47.971 ID:uKYGwpsd0.net
客「決まりだな」

店主「ああ、決まりだ!」

店主と客「俺たち二人揃って、真の三流だったんだ!!!」





ゴキブリ「フッ、笑わせてくれる」
85:2016/03/20(日) 19:00:05.421 ID:uKYGwpsd0.net
店主「お前は……」

客「ゴキブリ!? 生きてやがったのか!」

ゴキブリ「なーにが、真の三流だよ」

店主「なんだと!?」

客「俺たちを侮辱することは、いくらゴキブリでも許さんぞ!」
93:2016/03/20(日) 19:03:05.181 ID:uKYGwpsd0.net
ゴキブリ「だって、さっきから聞いてりゃ」

ゴキブリ「あんたらは“俺がラーメンに入ってた”って前提で話をしている」

ゴキブリ「だけど、こうも考えられねえか?」

ゴキブリ「“ラーメンの方から俺を入れた”って」



客と店主「あっ……」
100:2016/03/20(日) 19:07:28.891 ID:uKYGwpsd0.net
ゴキブリ「そう、このラーメンはその辺をカサカサ歩いてた俺の下にさっと潜り込み」

ゴキブリ「俺をドンブリの中に入れたのさ!」



客「そうだったのか……!」

店主「意外な真相!」



ゴキブリ「こんなことに気づかないようじゃ、お前ら三流ですらねえ」

ゴキブリ「まだまだ独りよがりの“自己流”よ!」



客「三流への道は……」

店主「厳しい……!」
101:2016/03/20(日) 19:10:09.002 ID:uKYGwpsd0.net
客「しかし……このラーメンはどうしてそんな真似をしたんだろう?」

店主「うむ、それを問いたださねばならん!」

店主「ラーメンよ、どうしてこんなことを!? 答えるんだ!」





「……」
106:2016/03/20(日) 19:13:47.501 ID:uKYGwpsd0.net
店主「――いや、ちょっと待て!」

店主「これは……これはラーメンではない!」

客「え!?」

ゴキブリ「なにいってんだよ!?」

店主「これは……うどんだ!」



うどん「……バレたか」
113:2016/03/20(日) 19:17:32.804 ID:uKYGwpsd0.net
“ふむ……どことなく香川を思い起こさせるいい味だ”



客「そういえば……なにか違和感があると思ったら! これはうどんだったのか!」

店主「いつの間にか、私のラーメンとすり替わり――」

ゴキブリ「俺をどんぶりに入れ、ラーメンとして客に出されたってわけか……」

店主「なぜ、こんな手の込んだことを!?」



うどん「……」
116:2016/03/20(日) 19:21:32.061 ID:uKYGwpsd0.net
看板娘「ごめんなさい、全てあたしが悪いの!」ガラッ

店主「君は近所のうどん屋の、美人で気立てがいいと評判の看板娘ちゃん!」

店主「まさか、私の店の評判を落とすために、このうどんを潜り込ませたのか……!?」

店主「君みたいないい子がそんなことするなんて、とても信じられない!」



うどん「……そうじゃない」
117:2016/03/20(日) 19:24:25.504 ID:uKYGwpsd0.net
うどん「全ては……この私が計画したこと」

うどん「看板娘殿は、店主殿……あなたを好いていた」

店主「!」

うどん「しかし、このラーメン屋は常に繁盛していて、看板娘殿が告白する暇などない」

うどん「だから、評判を落とせばあなたが暇になる……と考えてしまったのだ」

店主「そうだったのか……」
120:2016/03/20(日) 19:27:07.229 ID:uKYGwpsd0.net
店主「ならば今ここで答えよう!」

看板娘「!」

店主「私も……君が好きだ。忙しい時期を過ぎたら、告白するつもりでいた」

店主「いや、むしろもう結婚しよう!」

看板娘「店主さんっ!」



ゴキブリ「ヒューヒュー!」

うどん「看板娘殿、おめでとう」
123:2016/03/20(日) 19:29:32.914 ID:uKYGwpsd0.net
店主「これで私と君は晴れて婚約者同士」

店主「だが……私はこのお客様に対して責任を取らねばならない」

店主「私がどんぶりの中身をチェックしていれば、この悲劇は起こらなかったのだから」

看板娘「それは違うわ!」
129:2016/03/20(日) 19:33:11.615 ID:uKYGwpsd0.net
看板娘「うどんを止められなかったあたしが悪いの!」

うどん「違う。全ては私の責任だ……罰せられるべきは私」

ゴキブリ「違うね! うどんの中から脱出しようとしなかった俺が悪い!」

店主「いいや……ラーメンがうどんにすり替わったことに気づかなかった私が悪い!」



客「どれも違う!」

客「ラーメンを注文してうどんが出てきたのに、気づかず食ってしまった俺が悪いんだ!」
133:2016/03/20(日) 19:36:05.440 ID:uKYGwpsd0.net
客「よって、責任を取らせてもらう!」

店主「どうする気ですか、お客様!」

客「決まっているだろう……この悲劇を“喜劇”に変える!」

客「君たち二人を祝福することによってね!」

客「君たちの結婚式では、この俺が仲人を務めさせてもらうよ!」

ワァッ……!
137:2016/03/20(日) 19:41:54.787 ID:uKYGwpsd0.net
店主と看板娘「ありがとうございます!」

うどん「我々ももちろん」

ゴキブリ「出席させてもらうぜ!」

店主と看板娘「是非来てくれ!」



客「――しかしッ!」

客「店主さん、あなたには結婚する前に、まだやるべきことがある!」

店主「ま、まさか……婚前交渉!?」

看板娘「きゃっ……!」ポッ
142:2016/03/20(日) 19:45:07.145 ID:uKYGwpsd0.net
客「お腹減っちゃったから……早くラーメン出して下さい」グゥゥ…

店主「これは失礼!」







おわり
143:2016/03/20(日) 19:46:05.559 ID:A2KTSQKm0.net
おつか
146:2016/03/20(日) 19:48:15.625 ID:yRtMJ3xc0.net
148:2016/03/20(日) 19:50:51.579 ID:6juT+n0Kr.net

勢いあってよかった
客「このラーメンゴキブリが入ってるぞ!」店主「なんですって!?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1458464220