1: 2011/02/05(土) 20:40:52.89 ID:1wIXIYj8O


ほむら「……先週、汚れてしまったから家に持ち帰ったの。今朝、忘れてしまって」

まどか「だからスリッパなんだね」

ほむら「うっかりしていたわ。朝は、いつもぼうっとしてしまうの」

まどか「ほむらちゃんって……お寝坊さん?」

ほむら「……否定はしない」

まどか「ふふふ」

ほむら「くすっ」

4: 2011/02/05(土) 20:43:13.03 ID:aZRyqWl/O
やめて

6: 2011/02/05(土) 20:46:16.18 ID:1wIXIYj8O
教室

まどか「ほむらちゃんはいつも眠そうにしてるよね」

ほむら「そうかしら」

まどか「うん、だって休み時間もずっと机に顔を伏せて寝てるでしょ」

ほむら「……さ、最近コーヒーに凝っていて。そのせいで夜に眠れないの」

まどか「ええっ、コーヒー? ほむらちゃんって大人っぽい趣味があるんだねー」

ほむら「ただ、家で豆を挽くのが楽しいだけよ」

まどか「そうだ! 今日の放課後、ほむらちゃんの家で飲んでみたいなぁ……なんて」

ほむら「……え」

13: 2011/02/05(土) 21:03:56.61 ID:1wIXIYj8O
まどか「だめ、かな?」

ほむら「………今日は用事があるから、ごめんなさい」

まどか「いつなら大丈夫?」

ほむら「あ、明日なら………いえ、明後日にはきっと都合が良いわ」

まどか「じゃあ明後日ね。私、楽しみにしてるよ」

ほむら「あまり期待しないで」

まどか「あ、先生来ちゃった。またあとでね」




ほむら「………嘘、ついちゃった」

16: 2011/02/05(土) 21:18:48.01 ID:1wIXIYj8O
授業

先生「はいじゃあ次の段落の日本語訳、ほむらさんお願いします」

まどか(ほむらちゃんって勉強も運動も出来るから凄いよね)

さやか(あんな完璧超人、私は初めて見たよ)

まどか(憧れちゃうなぁ……)


ほむら「……おかしいわ」 ゴソゴソ

先生「ほむらさん、どうかしました?」

ほむら「すみません、ノートを忘れてしまったみたいで」

先生「しっかりしてくださいね」

ほむら「おかしい、確かにここに……」 ブツブツ

さやか(たはは、焦ってるぞ。可愛いやつめー)

クスクス

まどか(さやかちゃん、笑っちゃだめだよー)

さやか(クラスの皆もにやにや笑ってるし、良いじゃんか)

18: 2011/02/05(土) 21:23:46.67 ID:1wIXIYj8O

昼休み

さやか「ご飯食べに行こ」

まどか「うん! あ、そうだ。今日はほむらちゃんも一緒に……とかは」

さやか「ええー、あいつ暗いしさ。なに考えてるかわかんなくて話しづらいよ」

まどか「そうかな……そんなことない、と思う……けど」

さやか「いこーいこー」

まどか「ま、待ってよー!」

22: 2011/02/05(土) 21:40:58.32 ID:1wIXIYj8O
ほむら「……」もぐもぐ


ほむら「……」もぐもぐ


キャハハハハハハッ!


ほむら「!」びくっ


ほむら「…………」もぐもぐ


26: 2011/02/05(土) 21:53:00.75 ID:1wIXIYj8O
図書室


ほむら(嘘をついてしまったからには、最後までつき通さなければ)

ほむら(コーヒーに関する本は……)


マミ「あら、あなたも本を借りに来たの?」

ほむら「……」ふいっ

マミ「それとも、教室に居場所がなくて、図書室へ避難してきたってところかしら」

ほむら「あなたには関係のないことよ」

マミ「あら、図星なのね」

ほむら「……」

マミ「そのスリッパを見ると……陰湿な嫌がらせでも受けてるんじゃない?」

ほむら「違う!」

マミ「まあ、私には関係のないことね。怒らせてしまってごめんなさい」

ほむら「謝罪には及ばないわ」

マミ「じゃあね」

29: 2011/02/05(土) 21:57:47.94 ID:xVKnYXQQ0
マミさんも友達いないのにね・・・

32: 2011/02/05(土) 22:02:13.46 ID:1wIXIYj8O


ほむら(……今朝、下駄箱に上履きがなかった)

ほむら(そして、さっきの英語のノートも……)

ほむら「私、は………」



ほむら(……コーヒーの勉強、しなければ)

35: 2011/02/05(土) 22:09:11.70 ID:1wIXIYj8O
教室

「でさー、今日の体育。あの子休んでたじゃない?」

「うんうん」

「だから私……」


ガラガラ


ほむら「……」

ほむら(私が教室に入ると、途端に静かになるのはなぜかしら)

ほむら(……まだ時間もあるし、トイレに)

ほむら「!」


ほむら(ナプキンが、ない……)

40: 2011/02/05(土) 22:23:32.25 ID:1wIXIYj8O
放課後

さやか「まどかー、帰ろっか」

まどか「うん」

仁美「二人ともなんて仲のよろしいこと……ああ、美しきことかな!」

さやか「まだ誤解してるの? 私たちは違うって」

仁美「私たちは違う、普通じゃないと思いながらも、荊の道は恋の道……よよよ」

まどか「あ、あはははは」

42: 2011/02/05(土) 22:37:38.78 ID:1wIXIYj8O

ほむら「……」

さやか「あ、また一人でいるなーあの優等生」

仁美「あの方、孤高といった雰囲気で、なんだかお声掛けもしづらいですわね……」

まどか「ほ、ほむらちゃんはいい人だよ。話してみると普通だし」

さやか「まどかは、やけにアイツの肩を持つなぁ」

仁美「それは初めて味わう仄かな嫉妬の苦み………」

さやか「そこ、変なナレーションいれるな」

43: 2011/02/05(土) 22:44:52.18 ID:1wIXIYj8O
まどか「ほむらちゃーん!」

ほむら「あ、……」ふいっ

まどか「あれ………どうしちゃったのかな」

さやか「ああいうヤツなんだって。早く帰ろう」



ほむら「……ぐすっ」


ほむら「う、ぐすっ………うぅう……」


ほむら「……うぇっ、ぐす………」

ほむら「………うぇぇえん……ひっく、うえぇぇぇぇぇん……」

46: 2011/02/05(土) 22:47:13.90 ID:1wIXIYj8O
QB「これで良かったのかい」

マミ「ええ、わざわざありがとう」

QB「僕に泥棒させた魔法少女は君が初めてだよ。マミ」

マミ「泥棒なんてさせたつもりはないわ。ちょっとしたお使いでしょう」

QB「これで本当に魔法少女が増えるのかい?」

マミ「そうよ。まどかちゃんは必ず、私のパートナーになるんだから」

QB「やれやれ。なんだか論点がすり代わっている気がするよ」

マミ「うふっ、あははははははっ!」

47: 2011/02/05(土) 22:49:36.40 ID:iUtn6SAY0
おや・・・マミさんのようすが?

64: 2011/02/05(土) 23:38:36.49 ID:1wIXIYj8O
翌日 昇降口

マミ「あら、おはよう」

ほむら「……」

マミ「どうしたの? なんだか顔色が悪いみたい……」

ほむら「気にしないで」

マミ「……あなたのことが心配なの。なにかあったんじゃない?」

ほむら「知らないわ」

マミ「なら……いいのだけど。じゃあね」 にやり

65: 2011/02/05(土) 23:40:36.51 ID:1wIXIYj8O
教室

ざわざわ

ほむら(なにか騒がしいわね……)

ガラガラ

ほむら「!?」

ほむら「どうして、こんな……」


ヒソヒソ

「ほむらさん来ちゃった」

「誰があの子の席に花瓶なんて置いたのよ……」

「私じゃないってー……」

「誰か片付けなさいよ」

「明日自分の席に置かれてたらどうするの?」

まどか「おはよー、ほむらちゃん。教室入らないの?」

67: 2011/02/05(土) 23:55:21.10 ID:1wIXIYj8O

ほむら「……おはよう」

まどか「あっ……机……」

ほむら「いいのよ。すぐ片付ける」

まどか「……うん。でも、困ったことがあったら、言ってね?」

ほむら「ありがとう。その言葉で少し、―――救われた」

71: 2011/02/06(日) 00:09:59.16 ID:TwhBm+40O
授業

まどか(ほむらちゃん、どうしてあんな……)

さやか(うーん……やっぱり妬んでるやつが居るのかも)

まどか(ね、妬むって?)

さやか(あの優等生って万能じゃん? 運動も抜群だから、プライド傷つけられた子もいるんじゃないかな)

まどか(でもあんなの、酷いよ……)

さやか(そうだね。放課後、あいつも誘って帰ろうか)

まどか(……うん)


72: 2011/02/06(日) 00:20:33.36 ID:TwhBm+40O
放課後

さやか「おーい、ほむら!」

ほむら「……なに」

さやか「私たちと一緒に帰ろうか」

まどか「ねっ、ほむらちゃん?」

ほむら「……あれほど『まどかに近づくな』って言っていたのに、どういう風の吹き回し?」

さやか「……まあ、お前がいけ好かないのは変わりないけどさ」

さやか「まどかは心を許してるみたいだし、そんなに悪いヤツでもなさそうだなって」

まどか「さ、さやかちゃん、もっとオブラートに包んで……」

73: 2011/02/06(日) 00:21:27.33 ID:TwhBm+40O
ほむら「私は……」

仁美「今日は喫茶店に寄りましょうか。いいお店見つけたの」

さやか「賛成賛成! いっくぞー」

ほむら「ちょっと、まだ話が」

まどか「ほむらちゃん、行こう?」

ぎゅっ

ほむら「あ、……ええ」


74: 2011/02/06(日) 00:24:20.67 ID:TwhBm+40O
喫茶店

さやか「いい雰囲気だ」

仁美「でしょう? この時間なら混んでいないし」

店員「御注文はお決まりですか」

まどか「私は、この餡蜜お願いします」

仁美「私も同じのを」

さやか「わ、た、し、はーっと、コーヒーお願いします」

まどか「さやかちゃん、ダイエットだー」

さやか「うるへー」

ほむら「私もコーヒーを」


店員「では御注文を繰り返させていただきます。餡蜜がお二つに―――」

75: 2011/02/06(日) 00:27:46.81 ID:TwhBm+40O

仁美「んー、美味しいですわ」

まどか「ほむらちゃん、コーヒーが趣味なんだよね」

さやか「へー、渋いなぁ」

仁美「お家でいれたりしていらっしゃるの?」

ほむら「ええ。自分で飲みたい銘柄を選ぶのは楽しいものよ」

さやか「私にとっちゃ全部同じ味だけどなー」

まどか「上條くんのためにも、ダイエット頑張ってね」

さやか「そ、それは違うっての!」

仁美「ふふふ。あら、いけない……お稽古に遅れちゃうわ」

さやか「あー、もう時間か」

仁美「ではお三方、ごゆっくり」

まどか「じゃあねー」

77: 2011/02/06(日) 00:31:55.83 ID:TwhBm+40O
―――――
―――

さやか「そろそろ帰ろっか」

まどか「そうだねー」


店員「ありがとうございました」

カランコロンカラン

さやか「ほむら、話せば結構普通じゃん」

ほむら「話す前には、どう思われていたの?」

さやか「陰険な性悪」

まどか「さ、さやかちゃん」

ほむら「それはそれは、光栄ね」

さやか「冗談も言えるし、あははは」

まどか(なんか、打ち解けたみたいでよかったなぁ……さやかちゃんとほむらちゃん)

79: 2011/02/06(日) 00:34:04.37 ID:TwhBm+40O
さやか「じゃあ私はここで」

まどか「うん、バイバイ」

ほむら「……さよなら」

さやか「じゃあね!」


ほむら「……強引な人ね」

まどか「でも、嫌じゃないでしょ?」

ほむら「………そうかも、しれない」

まどか「えへへ」

81: 2011/02/06(日) 00:37:19.39 ID:TwhBm+40O

まどか「ほむらちゃんって一人暮らしなんだ」

ほむら「ええ。一緒に暮らすと、なにかと不便だから」

まどか「不便って……どういうこと?」

ほむら「……心配、されたりして」

まどか「それは、……ま、魔法少女だから?」

ほむら「そう。いちいち、外出する理由を考えるのも面倒」

まどか「大変、なんだね……」

ほむら「もう慣れたことだし、――――!」

82: 2011/02/06(日) 00:41:10.45 ID:TwhBm+40O
まどか「どうしたの?」

ほむら「離れなさい、いますぐ!」

まどか「もしかして、これ……」

ほむら「――――ここはもうすぐ、魔女のテリトリーになる」

89: 2011/02/06(日) 01:00:45.37 ID:TwhBm+40O

まどか「ほむらちゃんはどうするの?」

ほむら「気は進まないけれど、残るわ」

まどか「そうだ、マミさんも居ればきっと……私、呼んでみるよ」

ほむら「……止めなさい。グリーフシードのために、巴マミが襲ってくる可能性もある」

まどか「マミさんは、そんな人じゃないよ……」

ほむら「私は考えられる可能性をすべて排除したい。魔法少女として、当然のことなの」

まどか「なら、私が……私がほむらちゃんと一緒に行く」

92: 2011/02/06(日) 01:07:53.26 ID:TwhBm+40O
ほむら「なっ……」

まどか「『心配なの、ほむらちゃんのこと』」

(『心配なの、ほむらちゃんのこと。ここ最近、ずっと元気がないわ。ご飯もあまり食べてくれないし―――』)

ほむら「………あなたも、私の家族みたいに心配するのね」

まどか「ほむら、ちゃん?」

ほむら「うんざりなのよ……、私がどんな思いで戦ってるか、知りもしないのに……!!」

まどか「そ、そんなつもりじゃ……」

ほむら「……今すぐ逃げなさい。テリトリーの中で、あなたの無事は保障できないから……」

93: 2011/02/06(日) 01:10:05.82 ID:TwhBm+40O
QB「その点については安心してくれていいよ」

まどか「きゅうべぇ!」

QB「僕が居れば、万が一、君が魔女にやられることがあっても、まどかを魔法少女にすることができる」

QB「君も知っての通り、まどかは素晴らしい逸材だし、一人でも戦えるよ」

まどか「ほむらちゃん……お願い。きっと、邪魔にならないから」

ほむら「……でも」


ゴオオッ

ほむら「……」

まどか「こ、ここは……魔女の領域?」

QB「こうなったら仕方ないね。覚悟を決めるしかない」

ほむら「……決して離れないで、ついてきて」

まどか「うん!」

113: 2011/02/06(日) 08:56:13.21 ID:TwhBm+40O
きしきしきし ざわ……ざわ……

まどか(……マミさんと何度か来てるけど、慣れないなぁ)

ほむら「………」

ぎゅう

まどか「痛たたた、ほむらちゃん。手、強く握り過ぎだよー……」

ほむら「あ、……ごめんなさい。つい」

まどか「心配させてごめんね?」

ほむら「それは、もう許してる」

まどか「えへへ、………ありがとう」

116: 2011/02/06(日) 09:21:14.34 ID:TwhBm+40O
ほむら「魔女は、まだ孵っていないみたいね」


QB「そうだね。魔法の使用は極力控えて探索した方がいい」


ほむら「まどか」

まどか「な、なにかな」

ほむら「あなたはまだ、魔法少女になるつもりでいるの?」

まどか「私、は……」

ほむら「……実を言うと、私は少し嬉しかった」

まどか「え……?」

118: 2011/02/06(日) 09:30:46.29 ID:TwhBm+40O
ほむら「あなたを魔法少女にさせまいとする私の行動が、とても大きな誤解を与えてしまったけれど」

ほむら「あなたは私を、避けないでいてくれた。一人のクラスメイトとして接してくれた」

まどか「……うん」

ほむら「私を嫌っていたあの子とも、今日のように親しくなれた。あなたのお陰で」

まどか「私は、なにも……」

ほむら「いいえ、あなたはとても大きな恩を私に売ったの」

まどか「ほむらちゃん……」

123: 2011/02/06(日) 09:42:59.40 ID:TwhBm+40O
ほむら「だから……あなたは絶対に、魔法少女にならないで」

ほむら「あなたとはずっと、友達で居たい」


まどか「……えへへ、私……ほむらちゃんの友達になれたんだ」

ほむら「そ、そういうこと。―――私は魔法少女として、あなたやあなたの大切な人………きっと皆を守ってみせるから」

まどか「分かった。約束するね。私は……魔法少女にならないよ」

QB(………これで良かったのかい、マミ)


ほむら「……ありがとう」

QB「二人とも、気をつけて! あそこの卵、もうすぐ生まれそうだよ!」

130: 2011/02/06(日) 09:55:34.35 ID:TwhBm+40O
九兵衛の指した場所では、既に卵が自ら揺れ動いていた。
やがて卵は膨張を始め、三倍ほどの大きさになったところで爆ぜた。

飛び出して来たのは、一見無害そうな可愛らしい魔女―――Charlotteだ。

ほむら「隠れていて。たぶん、すぐに終わるから」

ほむらは地を蹴って飛翔し、Charlotteとの距離を詰めた。
生まれたての魔女は、自分が何者であるかさえ了解していないようだ。
首を傾げて、ほむらの様子をじっと観察している。
二者の距離が数メートルにまで近づいた。

すると、まどかの目には異様な光景が映った。

まどか「ほむらちゃんが……ぶ、分裂した?」

それはほむらの魔法少女としての能力だった。
ほむらがCharlotteの周囲をゆっくりと歩いて回ると、その残像が魔女を取り囲むように幾つも現れる。
Charlotteはどこか楽しげに、その魔法の幻影を眺めていた。

やがて好奇心を抑えられなくなったのか、何人ものほむらの内、一人に触れて――――その瞬間、大爆発が起こった。

132: 2011/02/06(日) 10:08:40.82 ID:TwhBm+40O
まどかのもとに、物凄い爆音と、それに一瞬遅れた衝撃が届いた。
なにかに掴まっていなければコロコロと転がってしまうほどだった。

辛うじて顔を上げると、ほむらがこちらを向いて立っている。
立ち上る焔の真っ赤な光を背にした少女の、その表情は、まどかには逆光でよく見えなかった。
多分、笑っているのかもしれない。

まどか「ほむらちゃん、だいじょ……」

その瞬間、まどかは見た。
ほむらの後ろに、大口を開けた化け物が這い寄っていた。

まどか「ほむらちゃん!」

蛇のように変身した魔女からの攻撃に、ほむらは反応した。
身を翻すと同時に後ろに一歩大きく跳躍して、Charlotteから距離を置く。

全力の攻撃を仕掛けたのにも関わらず、何故この魔女は倒れない?

ほむらは考えようとするが、あまりの激痛に頭が回らない。


―――――Charlotteは、食いちぎったほむらの右腕を夢中で貪っていた。

134: 2011/02/06(日) 10:23:39.49 ID:TwhBm+40O
――――――

片腕を失ったほむらの動きは鈍り、ほとんど紙一重で攻撃をかわし続けていた。
ぎりぎりのところで分裂し、反撃を試みているが、魔女はほとんどダメージを受けていない。

まどかは泣きじゃくりながらも、絶対にほむらから目を逸らすまいとしていた。

QB「魔法少女の能力は、精神状態に影響を受けやすいんだ。ほむらは最近、少し学校で追い詰められていたし………」

Charlotteが一撃に倒れなかった理由もそこにある、と九兵衛は考えていた。

QB「まどか、契約はいつでもできるからね。君がしたいと思ったとき、しなければと思ったときに……」

ほむらは体力に限界を感じはじめていた。
片腕になりながらも戦えていたのは、気力に依るところが大きい。
しかし、今その気力さえも尽きようとしている。

ほむら(なんとか、しなければ)

137: 2011/02/06(日) 10:35:01.93 ID:TwhBm+40O
弱点は分かっている。
体表とは違って脆い口内であれば、ほむらの能力で十分に破壊できるだろう。
しかし、相手もそれを分かっていて、なかなか隙を見せない。

持久戦となればほむらが圧倒的に不利だった。
今も白い魔法装束が血に濡れて、赤色の部分が大きくなりつづけている。

まどか「きゃっ」

崩れた瓦礫に当たりそうになったまどかは、思わず声を上げてしまう。
魔女の注意が僅かに逸れた。

――――今しかない。

ほむらは、常人にはとても目で追えないスピードで駆ける。
魔女の回りには、何十体という虚像が構築されていった。

魔女はそれらを、尾の一振りで消し飛ばす。爆発が幾つも起きるが、まったく意に介していない。

だが壊しても壊しても、ほむらの残像は増えつづける。お互いの根競べが始まっていた。

ほむらは残像を巧妙に配置することで、既にダメージを受けているはずの体表面を狙った攻撃を試みた。
平気な顔をして影達を薙ぎ払っていたCharlotteだったが、その表情は苦悶の色を増している。

そして、消えていった残像たちの最後に残ったのは、――――力尽きてうずくまったほむらの姿だった。

139: 2011/02/06(日) 10:48:09.15 ID:TwhBm+40O
まどか「ほ、ほむらちゃん……!」

ほむら「だめ、よ……」

ほむらは絞り出すような声でまどかを諭す。

ほむら「変なことを考えては、だめ。あなたは私が守る……必ず」

Charlotteは大口を開けて、ほむらに迫る。

ほむら「……さようなら」

ほむらは最後にそう言って、魔女の口の中へ自ら飛び込んだ。


―――爆発。

142: 2011/02/06(日) 10:56:24.53 ID:TwhBm+40O
大きな爆発だった。
これまでのどんな爆発よりも、ずっとずっと強い。
Charlotteは炎に包まれ、跡形もなく吹き飛んだ。

どちゃり、と嫌な音がする。
まどかがそちらを見ると、人の脚が飛び散っていた。
それはほんの数分前まで、魔女を相手に地を駆けていた、細く、白く、美しい脚だったはずなのに。

まどか「ほ、ほむら……ちゃん、ほむらちゃん……!」

まどかはその肉塊に縋り付いて泣き叫んだ。
永遠に失われた少女の名を呼びながら。

146: 2011/02/06(日) 11:08:49.95 ID:0vJ5FIeYO
ほむほむ…

147: 2011/02/06(日) 11:09:05.82 ID:cmf1wqoD0
何故殺した

150: 2011/02/06(日) 11:50:25.20 ID:TwhBm+40O
マミ「……遅かった」

まどか「マミさんっ……ほ、ほむらちゃんが……」

マミ「ごめんなさい、もう少し早く来ることができれば……」

まどか「ぅう……」

マミ「落ち着いて。ほむらさんはあなたを助けた。命懸けでね。彼女は彼女の役目を全うしたのよ」

まどか「ほむら、ちゃん……」

マミ「……このグリーフシードは、彼女の形見ね」

153: 2011/02/06(日) 12:01:27.01 ID:TwhBm+40O
ゴオオッ

まどか「あっ……」

マミ「戻ったわね。……ほむらさんの死体は、あちらに残ってしまうの。弔ってあげられないのが、可哀相だけれど」

まどか「そんな……ほむらちゃんは、どうなっちゃうんですか」

マミ「どうにもならないわ。きっとあのまま」

マミ「彼女、一人暮らしだったみたいだし……警察に捜索願が出されるのも、もう少しあとのことかしら」

まどか「……ひどい……ひどいよ、そんなの」

マミ「それが……魔法少女の最後。彼女のこと、覚えておいてあげましょう。私たちだけでも」

156: 2011/02/06(日) 12:13:23.21 ID:TwhBm+40O
翌日

さやか「ほむら、今日は学校に来てないな……」

仁美「あんなことがあった後ですしね……」

まどか「………」

さやか「おーい、どうしたー?」

まどか「えっ? あ、なんでもないよっ」

さやか「熱でもあるんじゃないか?」 ぴと

まどか「わわわ、顔が近いよーさやかちゃん」

仁美「あらあら、まあまあ!」

157: 2011/02/06(日) 12:18:39.71 ID:TwhBm+40O
(ほむらちゃんのこと、言わないほうがいいのかな)

まどか(…………)

(言ったらきっと、さやかちゃんは傷つく。仁美さんには、上手く説明できない……)

まどか(………)

(私は、どうすれば良いんだろう)

まどか(……)

まどか「……コーヒーを飲む約束だったっけ……」

159: 2011/02/06(日) 12:27:49.80 ID:TwhBm+40O
放課後 ほむらの家

まどか「……開いてるわけ、ないよね」

がちゃり

まどか「うそ……入れる」


まどか(可愛い部屋だなぁ。もっと大人っぽいと思ってた)

まどか「あ、コーヒーの本……」

まどか「でも……借りた日が一昨日だ」

まどか(そしてこれは……日記? 読んじゃって、いいかな)

162: 2011/02/06(日) 12:35:22.83 ID:TwhBm+40O
○月×日

ちょっとしたことから嘘をついてしまった。
コーヒーが趣味なんて、出まかせもいいところ。
つい、大人っぽく振る舞いたくなってしまう。
あの子の前では、特にそう。

まどか(そういえば、あの時のほむらちゃん……受け答えがぎこちなかったな)

まどか「……ふふっ、あはははは」

まどか「あはっ、あはは……ぅ……うう」

まどか「……ぐすっ、うぇええぇえん………」

164: 2011/02/06(日) 12:41:05.59 ID:TwhBm+40O
QB「泣いてるのかい、まどか」

まどか「あっ、きゅうべぇ……」

QB「君が責任を感じる必要はないよ」

まどか「違うの。なんだか、ほむらちゃんのこと……今ならもっと分かってあげられる気がして」

QB「そうかい……」

まどか「ねぇ、きゅうべぇ。私を……」

(「絶対に………魔法少女にはならないで」)



まどか「……私の願いを叶えて」

166: 2011/02/06(日) 12:47:46.34 ID:TwhBm+40O
QB「いいよ。君の願いはなに?」

まどか「ほむらちゃんを、普通の女の子として生き返らせて欲しいの」

QB「……魔法に関する記憶は消えてしまうことになるけど、いいのかい?」

(「あなたとは、友達で居たいから……」)

まどか「う、うん。そっちの方がきっと、ほむらちゃんにとっても幸福だから」

QB「あと一つ……ボクの力が限定されてしまうことがあるんだ」

まどか「どういうこと?」

QB「例えば君が『魔女を根絶して』と願っても、ボクにはできない。魔女に関してだけは、不可能な範囲の願いなんだ」

QB「ほむらは自分自身を爆発に巻き込んで死んでしまったから、きっと生き返らせることはできると思う」

QB「けど、魔女に奪われてしまった右腕だけは戻ってこないかもしれない」

QB「それでも、いいのかい?」

169: 2011/02/06(日) 12:53:59.60 ID:TwhBm+40O

(「あなたやあなたの大切な人……きっと皆を守ってみせる」)

まどか「……うん。きっと、私がほむらちゃんの右腕になるから」

QB「じゃあ、もう注意すべきことはないよ。早速まどかを、魔法少女にする」

まどか「お願い、きゅうべぇ」

170: 2011/02/06(日) 13:00:00.38 ID:TwhBm+40O
マミ「そう……魔法少女に」

まどか「はい。だから、私に戦い方を教えてください」

まどか「友達も、家族も……皆を守れるように」

マミ「……分かった。私の経験からアドバイスできることは、なんでも教えてあげる」

マミ「これから一緒に、この街を守らなきゃね」

まどか「はい! ……ありがとうございます、マミさん」

マミ「お礼はいいの。これから私たちはパートナーなんだから。……ね?」

172: 2011/02/06(日) 13:02:32.11 ID:TwhBm+40O
――――――

QB「君が助けに入っていれば、ほむらは生き延びたかもしれないよ」

マミ「いいの。あの子が死ぬことで、まどかちゃんが魔法少女になったのだから」

マミ「……それに少し、目障りだったし」

QB「ほむらは、魔女退治の邪魔をしたことはないだろう?」

マミ「私のまどかちゃんとあの子が一緒に居るだけで、気が狂いそうだった」

マミ「あの子が居ると、まどかちゃんは魔法少女になってくれない……そう思ったしね」

マミ「いま思い出しても、あの子の死に際は傑作よ……ふふっ」

QB「マミ……君は」

175: 2011/02/06(日) 13:05:45.02 ID:TwhBm+40O
――――――

ほむら「……」

ほむら(右手を失った事故のショックで私は記憶を失った、と説明を受けたけど)

ほむら(………どうしてかしら)


ほむら「誰かの手を強く、握っていた気がする」

178: 2011/02/06(日) 13:12:53.22 ID:TwhBm+40O


終わりです。
読んでくださった方、ありがとうございました。

179: 2011/02/06(日) 13:14:46.44 ID:ynHNB9uE0

180: 2011/02/06(日) 13:15:50.44 ID:Nf/Iu8ZJ0
マミひでぇww

181: 2011/02/06(日) 13:16:12.42 ID:LDa/dDQpO
え?

182: 2011/02/06(日) 13:16:44.88 ID:eybw9PI/0
おい

215: 2011/02/06(日) 22:36:56.00 ID:TwhBm+40O
Epilogue

まどか「ほむらちゃん、朝だよー。起きてー」

ほむら「ん……おはよう、まどか」

まどか「今日のご飯は鯖と、あさりのお味噌汁だよー」

ほむら「うん」


まどか「はい、ほむらちゃん。あーん」

ほむら「し、食事にはもう慣れたから……大丈夫」

まどか「そう? なら、最後の一口ってことで……あーん」

ほむら「……あーん」

まどか「美味しい?」

ほむら「……とても、美味しい」

217: 2011/02/06(日) 22:44:20.85 ID:TwhBm+40O
学校

さやか「おーっす、まどかー」

仁美「おはようございます」

まどか「おはよー」

ほむら「……おはよう」

さやか「ほむらも一緒か。まどかはいつまで通い妻やってるんだよ」

まどか「ええっ、通い妻ってそんな……でも……」

ほむら「少し世話を焼きすぎなの。私、そのうちあなた無しでは生きられなくなりそうよ」

仁美「お二人はもうそんな仲に!?」

まどか「は、早合点だよ仁美さんっ」

218: 2011/02/06(日) 22:53:54.98 ID:TwhBm+40O
まどか「そういえばほら、ほむらちゃん」

ほむら「そうね。さやかと仁美に、お願いがあるの」

さやか「なになに?」

ほむら「今日、私の家でお茶会しようと思うのだけど、その、よかったら……」

さやか「いいねー。行くいく!」

仁美「素敵ですわね。是非、参加させてもらいますわ」

ほむら「あ、ありがとう」

まどか「良かったね、ほむらちゃん!」

ほむら「ええ……」

219: 2011/02/06(日) 23:06:10.01 ID:TwhBm+40O
さやか「なにか、お菓子持ってかなくちゃなー」

仁美「帰りにケーキを買っていきましょう」

マミ「あらあら、なんのご相談?」

さやか「マミさん! 実は今日、ほむらの家で茶会をやるんです」

マミ「素敵ねぇ」

まどか「マミさんも、どうですか」

マミ「お邪魔じゃないかしら」

さやか「大丈夫だよな、ほむら?」

ほむら「え、ええ」

マミ「ありがとう。それじゃあ放課後にね」

223: 2011/02/06(日) 23:15:59.31 ID:TwhBm+40O
教室

ほむら(どうしてかしら)

ほむら(マミさんにだけは、私……自然に接することができない)

まどか「ほむらちゃん、ノート写し終わったよ」

ほむら「ありがとう……いつも私のために」

まどか「ううん。左手で書くの、難しいもんね」

ほむら「……どうして、こんなに親切にしてくれるの?」

まどか「……ほむらちゃんを、愛してるから」

ほむら「な……それって……」

まどか「……あははっ、なんてね。冗談だよー! 冗談!」

まどか「今日のお茶会、頑張ろうねっ」


ほむら(……冗談、か。なにを落ち込んでるの、私は)

224: 2011/02/06(日) 23:23:50.35 ID:TwhBm+40O
放課後 ほむらの家

マミ「お邪魔します」

さやか「初めて入るけど、わりと女の子っぽい部屋だね」

仁美「あら、アリスの人形。可愛らしいですわ」

まどか「ほむらちゃんの趣味って、けっこう乙女なんだよ」

ほむら「……あまり、人の部屋をじろじろ見ないで」

225: 2011/02/06(日) 23:30:50.66 ID:TwhBm+40O

マミ「ベランダは西に向いてるのね。夕焼けがよく見える」

ほむら「……はい。赤々としていて……」

マミ「―――世界を真っ赤に染める、太陽の断末魔。素敵ねぇ」

ほむら「!」 ぞくり

ほむら(なんなの、この感覚)

マミ「ね、ほむらさん……?」

ほむら「…………なんですか」

マミ「お茶にしましょうか」 にこり

226: 2011/02/06(日) 23:34:40.75 ID:TwhBm+40O
コトコト

まどか「ほむらちゃーん、お湯が沸いたよ」

ほむら「じゃあ、あとは私が」

まどか「ほ、本当に一人で大丈夫なの」

ほむら「ええ。片腕でもできること、増やしていきたいの」

まどか「……うん。頑張って。見守ってるから」


ほむら(カップを使ってお湯を少し冷まして……)

ほむら(しっかり色が出たら、濃くならないように手早く葉っぱを……)

ほむら(……できた、あとは運ぶだけ)

228: 2011/02/06(日) 23:39:07.30 ID:TwhBm+40O
さやか「おっ、紅茶だ」

仁美「とっても良い香り!」

がちゃ

ほむら「はい、まどか」

まどか「ありがとう」

ほむら「さやかと、仁美」

さやか「どもども」

仁美「いただきます」

ほむら「そして、マミさん」 すっ

マミ「……」 にこり

ほむら(!)

229: 2011/02/06(日) 23:42:08.45 ID:TwhBm+40O
カタン!

ほむら「ご、ごめんなさい。紅茶が……」

マミ「あらあら、大丈夫よ。慌てないで」

ほむら「早く拭かないと―――!」

ガチャン

まどか「あ、カップが」

マミ「………テーブルから落ちて、割れちゃったわね」

さやか「……」

仁美「………」

230: 2011/02/06(日) 23:46:38.30 ID:TwhBm+40O
ほむら「す、すぐ片付けます」 すっ

かちゃり かちゃり

まどか「ほむらちゃん、手伝うよ」

ほむら「大丈夫よ、このくらい。私一人で―――つっ」

ぽたっ

マミ「大丈夫じゃないわ。指まで切ってしまって」

ほむら「わた、私は……一人で」

マミ「『片腕じゃ』無理よ。私も手伝うから」

235: 2011/02/06(日) 23:49:23.86 ID:TwhBm+40O
ほむら「……うぅっ……ごめんなさい……私、役立たずで………」

さやか「き、気にすんなって。高級なカップいくつも持ってるくせにさー、あはは」

仁美「この紅茶、桃の香りがしますわ」

まどか「あ、この葉っぱはね……」

――――――――――

マミ「じゃあ、私たちはこれで」

さやか「ほむらのこと、頼んだぞ」

まどか「………うん、じゃあね」

仁美「お邪魔しました」

がちゃん

236: 2011/02/06(日) 23:54:22.47 ID:TwhBm+40O

ほむら「……ぐすっ、ぅええええん……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫だよ」

ぎゅっ

ほむら「私は……もう一人じゃなにもできない……」

まどか「そんなことないよ。ほむらちゃんはできる。一人でなんでも……」

ほむら「無理よ、できっこない……ダメなの」

まどか「……いまは、できなくてもいいよ。少しづつ、頑張ろうね」

237: 2011/02/07(月) 00:00:04.83 ID:a35Uup47O
ほむら「まどか……まどか……」

まどか「なぁに?」

ほむら「ずっと、傍に居てくれる?」

まどか「……もちろんだよ」

ほむら「ありがとう……!」

ぎゅっ

まどか(ほむらちゃんとの約束、破ってしまったことは)

まどか(いくら謝っても、謝り切れないから)

まどか「西日、もう落ちちゃったね」

ほむら「……ええ」

まどか(ずっとずっと、私が守ってあげるね―――ほむらちゃん)

Negative/Happy/End

240: 2011/02/07(月) 00:15:03.43 ID:a35Uup47O
マミさんの扱いひどくね?って方も居ると思いますが、魔法少女らしいマミさんはきっとこんな風です。良くも悪くも。
ほむらちゃんに関しては、そういう趣旨だったと思って許してください。
保守とか感想、本当にありがとうございました。

242: 2011/02/07(月) 00:36:12.72 ID:hJo7M0U70
ほむほむマジほむほむ


243: 2011/02/07(月) 00:49:20.45 ID:Nbf7uXX2O
ほむ

引用元: まどか「ほむらちゃん、上履きはどうしたの?」