1: 2009/08/08(土) 21:38:13.68 ID:iMQe5rYf0
男「傭兵だ」
娘「ヨウヘイさんですか?」
男「そうだ」
娘「ヨウヘイさんは何をしている人なんですか?」
男「村を守っている」
娘「それは頼もしいです」
男「そうか」
娘「でもなんで守っているのですか?」
男「頼まれたからだ」
娘「ヨウヘイさんですか?」
男「そうだ」
娘「ヨウヘイさんは何をしている人なんですか?」
男「村を守っている」
娘「それは頼もしいです」
男「そうか」
娘「でもなんで守っているのですか?」
男「頼まれたからだ」
2: 2009/08/08(土) 21:40:37.45 ID:iMQe5rYf0
娘「誰に頼まれたのですか?」
男「この村の村長に」
娘「それはそれは、ご苦労様です」
男「ありがとう」
娘「いえいえ」
男「………」
娘「………」
男「………」
娘「話しかけてくださいよ」
男「俺が話す必要なんて無い」
娘「会話は大切です、コミュニケーションは大事です」
男「この村の村長に」
娘「それはそれは、ご苦労様です」
男「ありがとう」
娘「いえいえ」
男「………」
娘「………」
男「………」
娘「話しかけてくださいよ」
男「俺が話す必要なんて無い」
娘「会話は大切です、コミュニケーションは大事です」
3: 2009/08/08(土) 21:44:44.03 ID:iMQe5rYf0
娘「もし明日にでもあなたが病気になったらどうするんですか」
男「そんなもの、要らない心配だ」
娘「その間、あなたの畑の手入れはどうするんですか?生活は?」
男「……お前は色々勘違いしていないか?」
娘「何をですか」
男「俺は傭兵だぞ?」
娘「ヨウヘイさんなんですよね?」
男「………」
娘「………」
男「いや、もうどうでもいい」
娘「よくわかりませんが、わかりました」
男「そんなもの、要らない心配だ」
娘「その間、あなたの畑の手入れはどうするんですか?生活は?」
男「……お前は色々勘違いしていないか?」
娘「何をですか」
男「俺は傭兵だぞ?」
娘「ヨウヘイさんなんですよね?」
男「………」
娘「………」
男「いや、もうどうでもいい」
娘「よくわかりませんが、わかりました」
4: 2009/08/08(土) 21:49:01.30 ID:iMQe5rYf0
娘「ともかく、会話は大事ですから話ましょう」
男「俺に話せることなんて無いぞ」
娘「あなたに口は無いのですか?」
男「俺の口は物を喰う為にある」
娘「それは詭弁と言うものだと思います」
男「話なんぞ殆どしたことない」
娘「だからこそ、話すいい機会と考えるべきなのでは?」
男「そう考える人ではないんだ」
娘「まったく、男らしくないひとですね」
男「ペラペラ喋る男の方が少ないと、俺は思っている」
娘「まったく…」
男「すまないな」
男「俺に話せることなんて無いぞ」
娘「あなたに口は無いのですか?」
男「俺の口は物を喰う為にある」
娘「それは詭弁と言うものだと思います」
男「話なんぞ殆どしたことない」
娘「だからこそ、話すいい機会と考えるべきなのでは?」
男「そう考える人ではないんだ」
娘「まったく、男らしくないひとですね」
男「ペラペラ喋る男の方が少ないと、俺は思っている」
娘「まったく…」
男「すまないな」
5: 2009/08/08(土) 21:52:09.57 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、そろそろ日も落ちてきましたし」
男「ああ、帰れ」
娘「なに命令してるのですか、あなたも帰りなさい」
男「何を言っている」
娘「あなたこそ何を言っているのですか」
男「……ともかく、帰れ」
娘「……ハッ!!」
男「どうした?早く帰れ」
娘「なるほど、そういうことですか……」
男「なんだ?」
娘「仕方ありません、私の家に来てもいいですよ?」
男「何トチ狂っている」
男「ああ、帰れ」
娘「なに命令してるのですか、あなたも帰りなさい」
男「何を言っている」
娘「あなたこそ何を言っているのですか」
男「……ともかく、帰れ」
娘「……ハッ!!」
男「どうした?早く帰れ」
娘「なるほど、そういうことですか……」
男「なんだ?」
娘「仕方ありません、私の家に来てもいいですよ?」
男「何トチ狂っている」
6: 2009/08/08(土) 21:55:26.34 ID:iMQe5rYf0
娘「あなた、居場所がないのでしょう?」
男「まぁ、そうだな」
娘「ですから、作ってあげましょうと言っているのですよ」
男「別に要らん」
娘「なるほど、ヨウヘイさんは意地っ張りさんなのですね」
男「………」
娘「まぁいいでしょう、それではまた明日」
男「………」
娘「無返事は失礼ですよ?」
男「……じゃあな」
娘「ま、追及点としておきましょう。では」
男「まぁ、そうだな」
娘「ですから、作ってあげましょうと言っているのですよ」
男「別に要らん」
娘「なるほど、ヨウヘイさんは意地っ張りさんなのですね」
男「………」
娘「まぁいいでしょう、それではまた明日」
男「………」
娘「無返事は失礼ですよ?」
男「……じゃあな」
娘「ま、追及点としておきましょう。では」
7: 2009/08/08(土) 22:00:39.79 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「いい天気ですね」
男「まったくだ」
娘「こんなに晴れていると心もぽかぽかです」
男「それはよかった」
娘「ヨウヘイさんは晴れて良いと思うことはないんですか?」
男「遥か遠くまで見える、何が起こっているか解り易くなるところだな」
娘「それは、目が悪い私には羨ましいです」
男「……そうか」
娘「この前も鍬とモップを間違えて土にピッタンピッタンと」
男「お前は何をやっているんだ……」
男「……おはよう」
娘「いい天気ですね」
男「まったくだ」
娘「こんなに晴れていると心もぽかぽかです」
男「それはよかった」
娘「ヨウヘイさんは晴れて良いと思うことはないんですか?」
男「遥か遠くまで見える、何が起こっているか解り易くなるところだな」
娘「それは、目が悪い私には羨ましいです」
男「……そうか」
娘「この前も鍬とモップを間違えて土にピッタンピッタンと」
男「お前は何をやっているんだ……」
8: 2009/08/08(土) 22:05:35.70 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、私は田畑を耕してこなければなりませんが」
男「そうか」
娘「他に言うことは無いのですか」
男「……?」
娘「こんな貧相な娘が、今から鍬を持って畑に向かうのですよ?」
男「……あぁ、頑張れ」
娘「あなたは人として大事な何かが欠落しています」
男「そうか」
娘「ちなみに、胸が貧相とか思いましたらこの鍬で叩きますよ」
男「娘、それは箒だ」
男「そうか」
娘「他に言うことは無いのですか」
男「……?」
娘「こんな貧相な娘が、今から鍬を持って畑に向かうのですよ?」
男「……あぁ、頑張れ」
娘「あなたは人として大事な何かが欠落しています」
男「そうか」
娘「ちなみに、胸が貧相とか思いましたらこの鍬で叩きますよ」
男「娘、それは箒だ」
9: 2009/08/08(土) 22:10:48.85 ID:iMQe5rYf0
男「……平和、だな…… 今は……」
娘「まったく、その平和を食い潰すのは悪いと解らないのですか」
男「どうした、まだ昼だぞ」
娘「お昼休みです、この暑い日にずっとやってられません」
男「朝は気持ちいいと」
娘「朝のあの瞬間と、今は時間が違いますよ」
男「そうか」
娘「しかし、誰か手の空いている人が手伝ってくれませんかね」
男「………」
娘「仕事もせずに、ダラダラしている人とかいませんかね」
男「………」
娘「毎日のんびりしているだけで、食い潰している人とかいませんかね」
男「………」
娘「まったく、その平和を食い潰すのは悪いと解らないのですか」
男「どうした、まだ昼だぞ」
娘「お昼休みです、この暑い日にずっとやってられません」
男「朝は気持ちいいと」
娘「朝のあの瞬間と、今は時間が違いますよ」
男「そうか」
娘「しかし、誰か手の空いている人が手伝ってくれませんかね」
男「………」
娘「仕事もせずに、ダラダラしている人とかいませんかね」
男「………」
娘「毎日のんびりしているだけで、食い潰している人とかいませんかね」
男「………」
10: 2009/08/08(土) 22:17:47.44 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、そろそろ仕事の時間です」
男「そうか」
娘「それでは、失礼します」
男「ああ」
娘「……まったく、本当に働かない方ですね」
男「それは済まない」
娘「貴方がそれでいいならもういいです、では」
男「ああ」
………
娘「ところで、鍬はこんなに重かったでしょうか?」
男「ちゃんと見て掴め、杭を抜こうとするな」
男「そうか」
娘「それでは、失礼します」
男「ああ」
娘「……まったく、本当に働かない方ですね」
男「それは済まない」
娘「貴方がそれでいいならもういいです、では」
男「ああ」
………
娘「ところで、鍬はこんなに重かったでしょうか?」
男「ちゃんと見て掴め、杭を抜こうとするな」
11: 2009/08/08(土) 22:20:11.29 ID:iMQe5rYf0
男「……今日も、何事もなかったな」
娘「ただ立っているだけで何かが起こると思っているのですか」
男「時々な」
娘「まったく、そんなでは貴方はそのうちに死んでしまいますよ?」
男「その覚悟は出来ている」
娘「な、なんて覚悟をっ!!」
男「?」
娘「貴方は親に恥ずかしいと思わないのですかっ!!」
男「そんなことは何回も考えた」
娘「……駄目だこの人、筋金入りです…」
男「……?」
娘「ただ立っているだけで何かが起こると思っているのですか」
男「時々な」
娘「まったく、そんなでは貴方はそのうちに死んでしまいますよ?」
男「その覚悟は出来ている」
娘「な、なんて覚悟をっ!!」
男「?」
娘「貴方は親に恥ずかしいと思わないのですかっ!!」
男「そんなことは何回も考えた」
娘「……駄目だこの人、筋金入りです…」
男「……?」
12: 2009/08/08(土) 22:24:10.25 ID:iMQe5rYf0
娘「世の中にあなたの様な人がいるなんて…」
男「まぁ、住む世界が違うってことだ」
娘「そんな世界感は知りたくありません」
男「俺も知って欲しくないと思っている」
娘「そんな他人事みたいに」
男「……」
娘「貴方は労働の素晴らしさを知らないだけです」
男「ふむ」
娘「あの開放感や充実感を味わったことがないのです」
男「なるほど」
娘「まぁ、私は面倒ですとかつまらないですとか思いますが」
男「お前は何が言いたいんだ」
男「まぁ、住む世界が違うってことだ」
娘「そんな世界感は知りたくありません」
男「俺も知って欲しくないと思っている」
娘「そんな他人事みたいに」
男「……」
娘「貴方は労働の素晴らしさを知らないだけです」
男「ふむ」
娘「あの開放感や充実感を味わったことがないのです」
男「なるほど」
娘「まぁ、私は面倒ですとかつまらないですとか思いますが」
男「お前は何が言いたいんだ」
13: 2009/08/08(土) 22:28:21.20 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「おはよう」
娘「さて、今日は働いてもらいますよ」
男「わかった」
娘「昨晩私なりに……ってあれ?」
男「どうした?」
娘「いや、わかった、と聞こえたような気がして…」
男「聞えたもなにも、そう言ったんだ」
娘「……本当ですか」
男「ああ」
娘「お母様、私はやりました」
男「そこまで喜ぶものなのか…」
14: 2009/08/08(土) 22:33:27.89 ID:iMQe5rYf0
男「で、俺は何をすればいい」
娘「では、この鍬で畑の残り半分を耕してもらいます」
男「わかった、お前は?」
娘「私は、この種を蒔いております」
男「そうか、ところで種って釜の中に入っているのか?」
娘「そんなわけないでしょう」
男「わかったから一度家に帰れ」
娘「では、この鍬で畑の残り半分を耕してもらいます」
男「わかった、お前は?」
娘「私は、この種を蒔いております」
男「そうか、ところで種って釜の中に入っているのか?」
娘「そんなわけないでしょう」
男「わかったから一度家に帰れ」
15: 2009/08/08(土) 22:36:22.29 ID:iMQe5rYf0
ザクッ、ザクッ…
男「終わったぞ」
娘「全然駄目ですね」
男「駄目出しか」
娘「ただ力任せに振り下ろしてるだけですね、それではいけません」
男「なら、どうすればいい」
娘「叩きつけるのではなく、掘るようにするんです」
男「ほぅ」
娘「ちょっと貸してください」
男「終わったぞ」
娘「全然駄目ですね」
男「駄目出しか」
娘「ただ力任せに振り下ろしてるだけですね、それではいけません」
男「なら、どうすればいい」
娘「叩きつけるのではなく、掘るようにするんです」
男「ほぅ」
娘「ちょっと貸してください」
16: 2009/08/08(土) 22:44:06.80 ID:iMQe5rYf0
ザクッ、ズッ… ザクッ、ズッ…
娘「こうです、わかりましたか」
男「良く出来ているな」
娘「当たり前です、これで生活しているのですから」
男「そうか」
娘「むしろ、なぜ貴方は出来ないのですか……」
男「こんなこと、殆どやったことがないからな」
娘「なにとんでもないことを言っちゃってるんですか」
男「おかしいか?」
娘「おかしいに決まってるでしょう」
男「そうか」
娘「こうです、わかりましたか」
男「良く出来ているな」
娘「当たり前です、これで生活しているのですから」
男「そうか」
娘「むしろ、なぜ貴方は出来ないのですか……」
男「こんなこと、殆どやったことがないからな」
娘「なにとんでもないことを言っちゃってるんですか」
男「おかしいか?」
娘「おかしいに決まってるでしょう」
男「そうか」
17: 2009/08/08(土) 22:50:10.84 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、お昼休みです」
男「やっとか、中々大変だな」
娘「そうでもないですよ、慣れれば簡単です」
男「そうか」
娘「今日のお昼ご飯です、どうぞ」
男「いいのか?」
娘「いらないなら捨ててしまいます」
男「なら貰う」
娘「はい、どうぞ」
男「やっとか、中々大変だな」
娘「そうでもないですよ、慣れれば簡単です」
男「そうか」
娘「今日のお昼ご飯です、どうぞ」
男「いいのか?」
娘「いらないなら捨ててしまいます」
男「なら貰う」
娘「はい、どうぞ」
18: 2009/08/08(土) 22:56:57.29 ID:iMQe5rYf0
モクモク……
男「美味いな」
娘「しっかり体を動かせて働いた後の食事は美味しいものです」
男「そういうものか」
娘「そういうものです」
男「そうか」
モクモク……
娘「お茶をどうぞ」
男「ありがとう」
……
娘「いい天気ですね」
男「そうだな」
娘「先日より今日の方が気持ちいいでしょう」
男「……そうだな」
男「美味いな」
娘「しっかり体を動かせて働いた後の食事は美味しいものです」
男「そういうものか」
娘「そういうものです」
男「そうか」
モクモク……
娘「お茶をどうぞ」
男「ありがとう」
……
娘「いい天気ですね」
男「そうだな」
娘「先日より今日の方が気持ちいいでしょう」
男「……そうだな」
19: 2009/08/08(土) 23:05:46.44 ID:iMQe5rYf0
娘「今日は一日、お疲れ様でした」
男「ああ」
娘「お陰で仕事もはかどりましたよ」
男「それはよかった」
娘「ということで、お礼をさせてもらいたいとおもいます」
男「別にいらん」
娘「他人の好意を無碍にするのは失礼ですよ」
男「そうか」
娘「ということで、家に招待しましょう」
男「わかった」
男「ああ」
娘「お陰で仕事もはかどりましたよ」
男「それはよかった」
娘「ということで、お礼をさせてもらいたいとおもいます」
男「別にいらん」
娘「他人の好意を無碍にするのは失礼ですよ」
男「そうか」
娘「ということで、家に招待しましょう」
男「わかった」
20: 2009/08/08(土) 23:08:42.13 ID:iMQe5rYf0
娘「こちらが私の家です」
男「普通の家だな」
娘「私は普通の人ですから」
男「そうだな、俺は何を言っているんだか」
娘「偶然話しかけてきた女性が、実は高貴な生まれであわよくば結婚して」
男「それは何の話だ」
娘「貴方の脳内計画を」
男「それは無い」
男「普通の家だな」
娘「私は普通の人ですから」
男「そうだな、俺は何を言っているんだか」
娘「偶然話しかけてきた女性が、実は高貴な生まれであわよくば結婚して」
男「それは何の話だ」
娘「貴方の脳内計画を」
男「それは無い」
21: 2009/08/08(土) 23:11:24.57 ID:iMQe5rYf0
娘「お食事の時間ですよ」
男「ありがとう」
娘「いえ、余りかたくならずにしてください」
男「そうか」
娘「これは昼間のお礼ですから、気を使われると寧ろ嫌です」
男「そうか、なら出来る限り楽にさせてもらうよ」
娘「そうしてもらえると、こちらも楽です」
男「ところで、お前の食事はパンだけなのか?」
娘「失礼な、ちゃんとスープもありますよ」
男「そうだな、俺にはスープだけしかくれないのかと思った」
男「ありがとう」
娘「いえ、余りかたくならずにしてください」
男「そうか」
娘「これは昼間のお礼ですから、気を使われると寧ろ嫌です」
男「そうか、なら出来る限り楽にさせてもらうよ」
娘「そうしてもらえると、こちらも楽です」
男「ところで、お前の食事はパンだけなのか?」
娘「失礼な、ちゃんとスープもありますよ」
男「そうだな、俺にはスープだけしかくれないのかと思った」
22: 2009/08/08(土) 23:14:27.65 ID:iMQe5rYf0
男「ご馳走様」
娘「はい、お粗末さまです」
男「美味しかったよ」
娘「それは体をしっかり動かしたからですよ」
男「いや、それだけじゃない」
娘「他に何があると言うのですか」
男「お前の料理が上手かったからだろう」
娘「にゃにおいってるのですか」
男「噛んでいるぞ」
娘「コホン、何を言っているのですか」
男「思ったことをそのまま言っただけだが」
娘「でしたら、その言葉を素直に受け取っておきます」
男「そうか」
娘「はい、お粗末さまです」
男「美味しかったよ」
娘「それは体をしっかり動かしたからですよ」
男「いや、それだけじゃない」
娘「他に何があると言うのですか」
男「お前の料理が上手かったからだろう」
娘「にゃにおいってるのですか」
男「噛んでいるぞ」
娘「コホン、何を言っているのですか」
男「思ったことをそのまま言っただけだが」
娘「でしたら、その言葉を素直に受け取っておきます」
男「そうか」
23: 2009/08/08(土) 23:18:00.91 ID:iMQe5rYf0
男「本日はありがとう」
娘「いや、しかし大丈夫なのですか?」
男「世話になりっぱなしは悪いし、これくらいの方が丁度いい」
娘「そうですか、まぁベッドで寝たい時がありましたら部屋を貸してあげますよ」
男「ありがとう、その時はよろしくお願いするよ」
娘「はい、それでは御自愛を」
男「あぁ」
バタンッ
………
娘「家ってこんなに暗いところでしたっけ?」
男「お前は何をしてる」
娘「あれ?ヨウヘイさんはなぜ室内にいるのですか?」
男「娘、ここは外だ」
娘「いや、しかし大丈夫なのですか?」
男「世話になりっぱなしは悪いし、これくらいの方が丁度いい」
娘「そうですか、まぁベッドで寝たい時がありましたら部屋を貸してあげますよ」
男「ありがとう、その時はよろしくお願いするよ」
娘「はい、それでは御自愛を」
男「あぁ」
バタンッ
………
娘「家ってこんなに暗いところでしたっけ?」
男「お前は何をしてる」
娘「あれ?ヨウヘイさんはなぜ室内にいるのですか?」
男「娘、ここは外だ」
24: 2009/08/08(土) 23:28:57.41 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「おはよう」
娘「今日もいい天気ですね」
男「そうだな」
娘「気分もいいので、張り切ってご飯を作りましょう」
男「それは楽しみだ」
………
娘「ところでなぜヨウヘイさんがここに?」
男「一々夢遊病の者を連れて行くのが面倒でな」
娘「それはお疲れ様です、大変でしたのですね」
男「誰のせいだと思ってるんだか」
娘「ところでなぜここに?」
男「自覚なしか、そうか」
男「おはよう」
娘「今日もいい天気ですね」
男「そうだな」
娘「気分もいいので、張り切ってご飯を作りましょう」
男「それは楽しみだ」
………
娘「ところでなぜヨウヘイさんがここに?」
男「一々夢遊病の者を連れて行くのが面倒でな」
娘「それはお疲れ様です、大変でしたのですね」
男「誰のせいだと思ってるんだか」
娘「ところでなぜここに?」
男「自覚なしか、そうか」
25: 2009/08/08(土) 23:33:41.92 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、今日も働きに行きましょうか」
男「あぁ、頑張れ」
娘「………」
男「なんだ」
娘「貴方もですよ」
男「なに?」
娘「働かざる者喰うべからず、です」
男「ふむ」
娘「朝食を食べた貴方に拒否権はありません」
男「なるほど、今度から気をつけよう」
男「あぁ、頑張れ」
娘「………」
男「なんだ」
娘「貴方もですよ」
男「なに?」
娘「働かざる者喰うべからず、です」
男「ふむ」
娘「朝食を食べた貴方に拒否権はありません」
男「なるほど、今度から気をつけよう」
26: 2009/08/08(土) 23:36:20.80 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、畑までやってきました」
男「今日は何をするんだ」
娘「主に水撒きと苗植えです」
男「なるほど」
娘「ヨウヘイさんはバケツで水を汲んできてください」
男「わかった、ところでバケツはどこだ」
娘「あそこにあるじゃないですか」
男「あれはゴミ箱だ」
男「今日は何をするんだ」
娘「主に水撒きと苗植えです」
男「なるほど」
娘「ヨウヘイさんはバケツで水を汲んできてください」
男「わかった、ところでバケツはどこだ」
娘「あそこにあるじゃないですか」
男「あれはゴミ箱だ」
27: 2009/08/08(土) 23:42:47.42 ID:iMQe5rYf0
ドスンッ
男「水だ」
娘「有難う御座います、やはり力仕事は男手が一番ですね」
男「否定はしないがな」
娘「それは、不本意であるということですか」
男「安易だということだ、現に俺は俺よりずっと力の有る女性を見たことがある」
娘「それは女性といいませんよ」
男「そうか、素晴らしい女性だったぞ」
娘「そうですか」
男「最初会って、80歳の婆さんに投げとばされた時はショックだったがな」
娘「それは人間ではありません」
男「水だ」
娘「有難う御座います、やはり力仕事は男手が一番ですね」
男「否定はしないがな」
娘「それは、不本意であるということですか」
男「安易だということだ、現に俺は俺よりずっと力の有る女性を見たことがある」
娘「それは女性といいませんよ」
男「そうか、素晴らしい女性だったぞ」
娘「そうですか」
男「最初会って、80歳の婆さんに投げとばされた時はショックだったがな」
娘「それは人間ではありません」
28: 2009/08/08(土) 23:50:31.87 ID:iMQe5rYf0
男「さて、流石に水が余ったな」
娘「本当ですね、こういう時は」
男「どうするんだ」
娘「道に水撒きでもしましょう、涼しくなりますし面倒も少なくなります」
男「なるほど」
娘「ということで、水撒き先に居ると濡れてしまいますから気をつけてください」
男「ああ、わかった」
娘「行きますよ、えいっ!」バシャッ ドンッ
ギギギギ………
ドゴォ ザッバァァァ……
男「……水撒きとはこんな豪快なものだったか」ポタポタ…
娘「ゴメンナサイ、悪気はありませんでしたが水溜を倒してしまいました」
男「そうだな、ついでに俺も巻き込まれた」ポタポタ…
娘「そうですね」
娘「本当ですね、こういう時は」
男「どうするんだ」
娘「道に水撒きでもしましょう、涼しくなりますし面倒も少なくなります」
男「なるほど」
娘「ということで、水撒き先に居ると濡れてしまいますから気をつけてください」
男「ああ、わかった」
娘「行きますよ、えいっ!」バシャッ ドンッ
ギギギギ………
ドゴォ ザッバァァァ……
男「……水撒きとはこんな豪快なものだったか」ポタポタ…
娘「ゴメンナサイ、悪気はありませんでしたが水溜を倒してしまいました」
男「そうだな、ついでに俺も巻き込まれた」ポタポタ…
娘「そうですね」
29: 2009/08/08(土) 23:57:26.99 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、お風呂の準備が出来ました」
男「ありがとう」
娘「いえ、私が悪いので気にしないで下さい」
男「それでは、湯を貰っていくぞ」
娘「どうぞ」
ザバッ…
男「ありがとう、では」
娘「ちょっとなに考えてるのですか」
男「おかしいか?」
娘「片手のバケツにお湯を汲んで、なにかのギャグですか」
男「え?」
娘「え?」
30: 2009/08/09(日) 00:00:53.96 ID:iMQe5rYf0
娘「ちょっと待ってください、いつもお風呂はどうしているのです?」
男「そこの川で水を汲んで、布で体を」
娘「なるほど、それで今日は目の前にお風呂がありますよ」
男「だから、湯を貰って今日は暖かい布で体が拭けると」
娘「冗談はいいのでお風呂に入ってください」
男「……?」
娘「え、じゃなくて」
男「……そういえば、風呂とはなんだ」
娘「………え?」
男「そこの川で水を汲んで、布で体を」
娘「なるほど、それで今日は目の前にお風呂がありますよ」
男「だから、湯を貰って今日は暖かい布で体が拭けると」
娘「冗談はいいのでお風呂に入ってください」
男「……?」
娘「え、じゃなくて」
男「……そういえば、風呂とはなんだ」
娘「………え?」
31: 2009/08/09(日) 00:07:11.91 ID:iMQe5rYf0
男「……これが、風呂か…」ホカホカ
娘「どうでしたか」
男「落ち着かん、今度からは遠慮する」
娘「なんと贅沢な」
男「ところで俺の服はどうしたんだ」
娘「今洗って乾かしてあげてますよ」
男「このヒラヒラした服はなんだ」
娘「それは、私の父のものです」
娘「どうでしたか」
男「落ち着かん、今度からは遠慮する」
娘「なんと贅沢な」
男「ところで俺の服はどうしたんだ」
娘「今洗って乾かしてあげてますよ」
男「このヒラヒラした服はなんだ」
娘「それは、私の父のものです」
32: 2009/08/09(日) 00:09:54.63 ID:iMQe5rYf0
男「そうか、なんか落ち着かんな」
娘「そうですか?案外似合ってますよ、可愛く見えて」
男「可愛くなんかない!!」
娘「ひっ、どどどうしましたか!?」
男「可愛くなんか、僕は、違う!俺は可愛くない、可愛く……」
娘「あ、あの、ヨウヘイさん?」
男「………取り乱した、すまない」ガクガクブルブル
娘「は、はぁ…」
娘「そうですか?案外似合ってますよ、可愛く見えて」
男「可愛くなんかない!!」
娘「ひっ、どどどうしましたか!?」
男「可愛くなんか、僕は、違う!俺は可愛くない、可愛く……」
娘「あ、あの、ヨウヘイさん?」
男「………取り乱した、すまない」ガクガクブルブル
娘「は、はぁ…」
47: 2009/08/09(日) 01:52:34.12 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、そろそろ遅いですし寝ましょう」
男「あぁ、そうだな」
娘「寝る時はソチラの部屋を使ってください」
男「わかった」
娘「それでは、おやすみなさい」
男「おやすみ」
バタンッ
男「……そういえば、なんで俺はここに居るんだ?」
………
男「仕事もしていなかったな、この頃」
男「あぁ、そうだな」
娘「寝る時はソチラの部屋を使ってください」
男「わかった」
娘「それでは、おやすみなさい」
男「おやすみ」
バタンッ
男「……そういえば、なんで俺はここに居るんだ?」
………
男「仕事もしていなかったな、この頃」
48: 2009/08/09(日) 01:56:29.29 ID:iMQe5rYf0
ザザザッ……
男「A点、異常なし」
ザザザッ……
男「B点、異常なし」
ザザザッ……
男「C点、異常なし」
ザザザッ……
男「人影……?」スッ…
コツッ……コツッ……
男「歩幅、格好から女性と認識、というか……」
娘「クー、クー……」コツッ…コツッ…
男「なにやってるんだ」
娘「ここは農民の村です……クー、クー…」
男「どんな寝言だ」
男「A点、異常なし」
ザザザッ……
男「B点、異常なし」
ザザザッ……
男「C点、異常なし」
ザザザッ……
男「人影……?」スッ…
コツッ……コツッ……
男「歩幅、格好から女性と認識、というか……」
娘「クー、クー……」コツッ…コツッ…
男「なにやってるんだ」
娘「ここは農民の村です……クー、クー…」
男「どんな寝言だ」
49: 2009/08/09(日) 02:01:22.46 ID:iMQe5rYf0
チュン……チュンチュン…
娘「おはよう御座います」
男「ああ、おはよう」
娘「さて、朝食の準備をしましょうか」
男「いや、いらない」
娘「え、どうしましたか?」
男「今日は手伝わない」
娘「……なるほど、でしたら今日の食事は一人分の支度でいいんですね」
男「あぁ、それでは」
ガチャ バタン
………
娘「おはよう御座います」
男「ああ、おはよう」
娘「さて、朝食の準備をしましょうか」
男「いや、いらない」
娘「え、どうしましたか?」
男「今日は手伝わない」
娘「……なるほど、でしたら今日の食事は一人分の支度でいいんですね」
男「あぁ、それでは」
ガチャ バタン
………
50: 2009/08/09(日) 02:05:19.50 ID:iMQe5rYf0
男「異常はなし、と……」
………ぐぅ~
男「……そういえば、飯を取ってなかったんだったな」
………
男「まぁ、一日食わなかったくらいで死ぬこともないだろう」
娘「ですが、心を貧しくします。食事は大切ですよ」
男「……こんにちは」
娘「まったく、こんなことだと思ってましたよ」ホイッ
男「……これは?」
娘「お昼ごはんの余りです」
男「貰っていいのか?」
娘「食べないのでしたら、捨てるだけです」
男「……ありがとう」
娘「どう致しまして」
………ぐぅ~
男「……そういえば、飯を取ってなかったんだったな」
………
男「まぁ、一日食わなかったくらいで死ぬこともないだろう」
娘「ですが、心を貧しくします。食事は大切ですよ」
男「……こんにちは」
娘「まったく、こんなことだと思ってましたよ」ホイッ
男「……これは?」
娘「お昼ごはんの余りです」
男「貰っていいのか?」
娘「食べないのでしたら、捨てるだけです」
男「……ありがとう」
娘「どう致しまして」
51: 2009/08/09(日) 02:10:26.89 ID:iMQe5rYf0
男「ムグムグ……」
娘「まったく、働かずに食べる食事は美味しいですか?」
男「美味いとは思う」
娘「そうですか」
………
娘「私は、考えを変えました」
男「なんだ」
娘「色々と、大目に見ようと思います」
男「………」
娘「貴方に野垂れ死にされると私の心によくありませんからね」
男「それは有難う」
娘「まぁ、食事には来て下さい。無理矢理働けなんていいませんから」
男「いいのか?」
娘「好意を無下にするのは無礼ですよ?」
男「……ありがとう」
娘「ふふっ、どう致しまして」
娘「まったく、働かずに食べる食事は美味しいですか?」
男「美味いとは思う」
娘「そうですか」
………
娘「私は、考えを変えました」
男「なんだ」
娘「色々と、大目に見ようと思います」
男「………」
娘「貴方に野垂れ死にされると私の心によくありませんからね」
男「それは有難う」
娘「まぁ、食事には来て下さい。無理矢理働けなんていいませんから」
男「いいのか?」
娘「好意を無下にするのは無礼ですよ?」
男「……ありがとう」
娘「ふふっ、どう致しまして」
52: 2009/08/09(日) 02:14:55.21 ID:iMQe5rYf0
娘「まったく、私はなにを考えているのでしょうか……」
コツコツ………
娘「ああいう人は、甘い顔をすればその分駄目になるというのに」
コツコツ………
娘「でも、ほおっておけませんし……貧乏くじですよ」
コツコツ……
娘「明日からまた二人分作らなければならないのですか」
コツコツコツ……
娘「まぁ、せっかくですから頑張りましょうか」
コツコツコツ……
娘「って、なんで頑張らなきゃならないんですか……ふむ…」
コツコツ………
娘「ああいう人は、甘い顔をすればその分駄目になるというのに」
コツコツ………
娘「でも、ほおっておけませんし……貧乏くじですよ」
コツコツ……
娘「明日からまた二人分作らなければならないのですか」
コツコツコツ……
娘「まぁ、せっかくですから頑張りましょうか」
コツコツコツ……
娘「って、なんで頑張らなきゃならないんですか……ふむ…」
53: 2009/08/09(日) 02:18:45.06 ID:iMQe5rYf0
娘「よし、完璧です」
グツグツ……
娘「パンもありますしスープも、でも他に一品くらいつけちゃったりしても…」
………
娘「って、私はなにを考えているんですか! たかが夕食になにしちゃってるんです!!」
グツグツ……
娘「……で、でも、食べてくれるのでしたら美味しいと言ってもらいたい、そう!そういうことです!!」
トントントン……
娘「それに、男の人はたくさん食べるって……」
トントン ガチャ
男「夕食を貰いに来たのだが、迷惑か?」
娘「そういう事を言ってしまうと、本当に迷惑だと思ってても言えないものですよ」トントン……
男「そうか」
娘「しかし、貴方も間が良いですね。丁度準備が終わりましたよ」カタッ
男「カツオブシはナイフで作るものなのか」
グツグツ……
娘「パンもありますしスープも、でも他に一品くらいつけちゃったりしても…」
………
娘「って、私はなにを考えているんですか! たかが夕食になにしちゃってるんです!!」
グツグツ……
娘「……で、でも、食べてくれるのでしたら美味しいと言ってもらいたい、そう!そういうことです!!」
トントントン……
娘「それに、男の人はたくさん食べるって……」
トントン ガチャ
男「夕食を貰いに来たのだが、迷惑か?」
娘「そういう事を言ってしまうと、本当に迷惑だと思ってても言えないものですよ」トントン……
男「そうか」
娘「しかし、貴方も間が良いですね。丁度準備が終わりましたよ」カタッ
男「カツオブシはナイフで作るものなのか」
54: 2009/08/09(日) 02:21:58.63 ID:iMQe5rYf0
男「ご馳走様でした」
娘「お粗末様でした」
男「相変わらず美味しかった」
娘「褒めたところで何も出ませんよ」
男「そんな期待、していない」
娘「まぁどうでもいいです」
男「明日は手伝うぞ」
娘「そうですか、でしたら早めにお休みになった方が良いですよ」
男「そうだな」
娘「では、お先におやすみなさい」
男「うん、おやすみ」
娘「お粗末様でした」
男「相変わらず美味しかった」
娘「褒めたところで何も出ませんよ」
男「そんな期待、していない」
娘「まぁどうでもいいです」
男「明日は手伝うぞ」
娘「そうですか、でしたら早めにお休みになった方が良いですよ」
男「そうだな」
娘「では、お先におやすみなさい」
男「うん、おやすみ」
55: 2009/08/09(日) 02:26:57.18 ID:iMQe5rYf0
………
男「………」
娘「………」
男「なんでここに居る」
娘「私の家です、どこに居ようと勝手です」
男「そうだが、さっき寝ると」
娘「いつ寝るかも私の勝手です」
男「そうか」
………
娘「何か話してください」
男「いきなりなにを言う」
娘「会話は大事なコミュニケーションです」
男「まったく…」
娘「つまらないのです、何か娯楽を提供してください」
男「俺をなんだと思ってるんだ」
男「………」
娘「………」
男「なんでここに居る」
娘「私の家です、どこに居ようと勝手です」
男「そうだが、さっき寝ると」
娘「いつ寝るかも私の勝手です」
男「そうか」
………
娘「何か話してください」
男「いきなりなにを言う」
娘「会話は大事なコミュニケーションです」
男「まったく…」
娘「つまらないのです、何か娯楽を提供してください」
男「俺をなんだと思ってるんだ」
56: 2009/08/09(日) 02:31:48.63 ID:iMQe5rYf0
娘「……つまり貴方のご両親はご立派な方だったと」
男「立派なんてものじゃないよ」
娘「ご立派ですよ、それなのに貴方はこんな……」
男「そうか、でも俺と親父は似たようなものだったぞ」
娘「ダメ息子は大抵そういう事を言うものですから」
男「耳の痛いことだ」
娘「少しは自覚してください」
男「そうだな、すまない」
娘「私に謝られても困りますよ」
男「それじゃ、俺はどうすれば良いんだ?」
娘「そうですね、父親さんに笑われないようにしろ、としか言えませんね」
男「なるほど」
………
男「立派なんてものじゃないよ」
娘「ご立派ですよ、それなのに貴方はこんな……」
男「そうか、でも俺と親父は似たようなものだったぞ」
娘「ダメ息子は大抵そういう事を言うものですから」
男「耳の痛いことだ」
娘「少しは自覚してください」
男「そうだな、すまない」
娘「私に謝られても困りますよ」
男「それじゃ、俺はどうすれば良いんだ?」
娘「そうですね、父親さんに笑われないようにしろ、としか言えませんね」
男「なるほど」
………
57: 2009/08/09(日) 02:35:18.43 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、本当にそろそろ寝ます」
男「そうか」
娘「ヨウヘイさんも早く寝てくださいね」
男「あぁ」
………
娘「……ヨウヘイさん」
男「なんだ」
娘「話し相手になってくれて、ありがとう」
男「……あぁ」
娘「では、おやすみなさい」
バタン
………
男「…………仕事に行こう」
男「そうか」
娘「ヨウヘイさんも早く寝てくださいね」
男「あぁ」
………
娘「……ヨウヘイさん」
男「なんだ」
娘「話し相手になってくれて、ありがとう」
男「……あぁ」
娘「では、おやすみなさい」
バタン
………
男「…………仕事に行こう」
58: 2009/08/09(日) 02:40:48.87 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「今日はヨウヘイさんより早く起きられました」
男「そうだな」
娘「ということで、食事に手間をかけてみました」
男「それは楽しみだ」
娘「そういってもらえると嬉しいです」
男「ところで今は何時だろうな」
娘「お昼時ですかね……」
男「寝すぎだな」
娘「貴方もですね」
59: 2009/08/09(日) 02:45:03.51 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、朝の分を取り戻すために頑張りましょう」
男「あぁ、そうだな」
娘「ヨウヘイさんにもたくさん仕事を回しますので、そのつもりで」
男「あぁ…」
娘「どうしましたか?」
男「なんでもない」
娘「そうですか、それではこのスコップをもって下さい」
男「それは物干竿だ」
男「あぁ、そうだな」
娘「ヨウヘイさんにもたくさん仕事を回しますので、そのつもりで」
男「あぁ…」
娘「どうしましたか?」
男「なんでもない」
娘「そうですか、それではこのスコップをもって下さい」
男「それは物干竿だ」
60: 2009/08/09(日) 02:49:18.20 ID:iMQe5rYf0
男「暑いな」
娘「仕方ありませんよ、遅くなった私たちが悪いのです」
男「そうだが、それでもな」
娘「確かにこれは気が滅入りますね……」
男「水でも汲んでくるか」
娘「それをどうするんですか」
男「地に撒けばマシになるだろう」
娘「なるほど」
男「お前が昨日言っていたことだぞ」
娘「そうですね、ならお願いします」
男「わかった」
娘「仕方ありませんよ、遅くなった私たちが悪いのです」
男「そうだが、それでもな」
娘「確かにこれは気が滅入りますね……」
男「水でも汲んでくるか」
娘「それをどうするんですか」
男「地に撒けばマシになるだろう」
娘「なるほど」
男「お前が昨日言っていたことだぞ」
娘「そうですね、ならお願いします」
男「わかった」
61: 2009/08/09(日) 02:53:07.53 ID:iMQe5rYf0
ザバァ
男「これでいいか」
娘「はい、十分です」
男「今度は倒してくれるなよ」
娘「当たり前です、同じことを二度もやるお馬鹿さんではありません」
男「そうか」
娘「まったく、少しは信用してください」
男「あぁ、悪かった」
………
男「どうしたんだ」
娘「……背が届かないんです」
男「………そうか」
男「これでいいか」
娘「はい、十分です」
男「今度は倒してくれるなよ」
娘「当たり前です、同じことを二度もやるお馬鹿さんではありません」
男「そうか」
娘「まったく、少しは信用してください」
男「あぁ、悪かった」
………
男「どうしたんだ」
娘「……背が届かないんです」
男「………そうか」
62: 2009/08/09(日) 02:58:24.57 ID:iMQe5rYf0
男「だから、俺がやると言っているだろ」
娘「いいえ、これは私がやります」
男「効率悪いぞ」
娘「そういう問題ではありません、これは意地です」
男「……まぁ、頑張ってくれ」
娘「はい」
グググッ……
男「その梯子から落ちるなよ」
娘「そんなことあるわけ」ズルッ
ドボンッ……
………
男「……水溜の中に、か… 助けなきゃな……」
娘「いいえ、これは私がやります」
男「効率悪いぞ」
娘「そういう問題ではありません、これは意地です」
男「……まぁ、頑張ってくれ」
娘「はい」
グググッ……
男「その梯子から落ちるなよ」
娘「そんなことあるわけ」ズルッ
ドボンッ……
………
男「……水溜の中に、か… 助けなきゃな……」
63: 2009/08/09(日) 03:02:16.64 ID:iMQe5rYf0
娘「ハァ、ハァ…… し、死ぬかと思いました……」
男「そうか」フイッ
娘「た、助けてくれて有難う御座います」
男「気にするな」フイッ
娘「まったく、お陰でビショビショです」
男「あぁ、さっさと服を変えて来い」フイッ
娘「いえ、涼しくなりましたのでこれでいいと思います」
男「いいから変えて来い」フイッ
娘「……なんでこちらを見ないのですか?」
男「……透けてるぞ、それ」
娘「………」
男「そうか」フイッ
娘「た、助けてくれて有難う御座います」
男「気にするな」フイッ
娘「まったく、お陰でビショビショです」
男「あぁ、さっさと服を変えて来い」フイッ
娘「いえ、涼しくなりましたのでこれでいいと思います」
男「いいから変えて来い」フイッ
娘「……なんでこちらを見ないのですか?」
男「……透けてるぞ、それ」
娘「………」
64: 2009/08/09(日) 03:06:18.16 ID:iMQe5rYf0
娘「……見ましたか?」
男「見てない」
娘「見たのですね?」
男「見てない」
娘「嘘はおやめ下さい、見たのですね?」
男「見てないし、見えてもいない」
娘「私の胸は見えるほど大きくもない、とでもいいたげですね」
男「それはない」
娘「どうせ胸はありませんよ! あんなものはただの脂肪の塊、邪魔です!」
男「ならどうしてそう固執する」
娘「えいっ」
――――――――――――
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「もう夕刻ですよ、あなたは寝ぼすけさんですね」
男「そう、みたいだな」
男「見てない」
娘「見たのですね?」
男「見てない」
娘「嘘はおやめ下さい、見たのですね?」
男「見てないし、見えてもいない」
娘「私の胸は見えるほど大きくもない、とでもいいたげですね」
男「それはない」
娘「どうせ胸はありませんよ! あんなものはただの脂肪の塊、邪魔です!」
男「ならどうしてそう固執する」
娘「えいっ」
――――――――――――
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「もう夕刻ですよ、あなたは寝ぼすけさんですね」
男「そう、みたいだな」
65: 2009/08/09(日) 03:09:08.07 ID:iMQe5rYf0
男「すまないな、一日寝てただけみたいだな」
娘「気にしないで下さい、私も余り気にしてませんので」
男「そうか」
娘「さて、ご飯にしますよ」
男「あぁ、ところで質問なんだが」
娘「どう致しましたか」
男「頭が痛いのだが、なにか心当たりはないか?」
娘「知りません」
男「そうか、些細なことでも」
娘「知りません」
男「そうか」
娘「そうです」
………
娘「気にしないで下さい、私も余り気にしてませんので」
男「そうか」
娘「さて、ご飯にしますよ」
男「あぁ、ところで質問なんだが」
娘「どう致しましたか」
男「頭が痛いのだが、なにか心当たりはないか?」
娘「知りません」
男「そうか、些細なことでも」
娘「知りません」
男「そうか」
娘「そうです」
………
66: 2009/08/09(日) 03:12:15.20 ID:iMQe5rYf0
男「今日はすまなかった」
娘「いえ、過ぎてしまったことですから気にしないで下さい」
男「そういうわけにはいかないだろう」
娘「う~む…」
男「俺はどうすればいい」
娘「でしたら、なにか面白い話をしてください」
男「お、面白い……」
娘「あぁ、そこは気にしないで下さい 何でもいいので娯楽を提供してください」
男「……まぁいいか」
娘「いえ、過ぎてしまったことですから気にしないで下さい」
男「そういうわけにはいかないだろう」
娘「う~む…」
男「俺はどうすればいい」
娘「でしたら、なにか面白い話をしてください」
男「お、面白い……」
娘「あぁ、そこは気にしないで下さい 何でもいいので娯楽を提供してください」
男「……まぁいいか」
67: 2009/08/09(日) 03:17:21.38 ID:iMQe5rYf0
男「親父はプレゼントを持って家の前に立ち、静かに待った」
娘「そ、それで……」ワクワク
男「人の気配を察知してから、飛び出して『付き合ってくれ』と言おうとした」
娘「それでっ!」ワクワク
男「だがそこに立っていたのは相手の父親で……」
娘「な、なんですかその落ちは!」
男「いや、そんなことを言われても……」
………
娘「もう遅いですね」
男「そうだな」
娘「それでは、そろそろ寝ましょう」
男「あぁ、おやすみ」
娘「はい、おやすみなさい」
バタンッ
男「……俺は、なにを話しているんだ」
娘「そ、それで……」ワクワク
男「人の気配を察知してから、飛び出して『付き合ってくれ』と言おうとした」
娘「それでっ!」ワクワク
男「だがそこに立っていたのは相手の父親で……」
娘「な、なんですかその落ちは!」
男「いや、そんなことを言われても……」
………
娘「もう遅いですね」
男「そうだな」
娘「それでは、そろそろ寝ましょう」
男「あぁ、おやすみ」
娘「はい、おやすみなさい」
バタンッ
男「……俺は、なにを話しているんだ」
68: 2009/08/09(日) 03:20:15.83 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「おはよう」
娘「さて、朝の食事ですよ」
男「あぁ」
娘「今日はパンスープです」
男「………」
娘「た、食べたことないんですか?パンスープを」
男「素直に言え」
娘「パンを落としてしまいました、すみません」
男「おはよう」
娘「さて、朝の食事ですよ」
男「あぁ」
娘「今日はパンスープです」
男「………」
娘「た、食べたことないんですか?パンスープを」
男「素直に言え」
娘「パンを落としてしまいました、すみません」
69: 2009/08/09(日) 03:24:38.01 ID:iMQe5rYf0
男「ご馳走様でした」
娘「お粗末さまでした」
男「仕事だったな」
娘「はい、今日は雑草を取り除く作業をしてもらいたいと思います」
男「わかった、どうすればいい」
娘「まずは手で大きなものを抜いて、細かいものはこれで掘ってしまえば」
男「で、お前はなんで壁を叩いているんだ」
娘「器具を取ろうとしているだけです、2,3個もあるのに触れられませんが」
男「……娘、これは何本に見える」ヒョイ
娘「三本ですね」
男「一本だ馬鹿、寝てろ」
娘「お粗末さまでした」
男「仕事だったな」
娘「はい、今日は雑草を取り除く作業をしてもらいたいと思います」
男「わかった、どうすればいい」
娘「まずは手で大きなものを抜いて、細かいものはこれで掘ってしまえば」
男「で、お前はなんで壁を叩いているんだ」
娘「器具を取ろうとしているだけです、2,3個もあるのに触れられませんが」
男「……娘、これは何本に見える」ヒョイ
娘「三本ですね」
男「一本だ馬鹿、寝てろ」
70: 2009/08/09(日) 03:27:48.72 ID:iMQe5rYf0
娘「はふぅ…」
男「熱があるんだ」
娘「目がまわります……」
男「我慢しろ」
娘「でも仕事が…」
男「俺がやる、安心しろ」
娘「でも……」
男「こういうときの為に、俺がいるんだろう」
娘「………」
男「任せろ」
娘「……任せました」
男「熱があるんだ」
娘「目がまわります……」
男「我慢しろ」
娘「でも仕事が…」
男「俺がやる、安心しろ」
娘「でも……」
男「こういうときの為に、俺がいるんだろう」
娘「………」
男「任せろ」
娘「……任せました」
71: 2009/08/09(日) 03:31:31.09 ID:iMQe5rYf0
………
娘「もう、何時間たったのですか……」
………
娘「あぅ、頭が痛い……」
………
娘「………」
娘「……グスッ…やだ……」
……
娘「パパ、ママ……グスッ…・・・
置いて行かないでぇ……」
72: 2009/08/09(日) 03:33:09.21 ID:iMQe5rYf0
ガチャッ
男「戻ったぞ」
娘「………」
男「おい、大丈夫か?」
娘「え……あ、だ、大丈夫です」
男「そうか、ならよかった」
娘「は、はい…」
男「今は熱を下げることに集中しろ、いいな」
娘「はい……」
男「飯は俺が作る、熱を下げる草も取って来たしな」
娘「食事を作れるのですか」
男「食える物、ならな」
男「戻ったぞ」
娘「………」
男「おい、大丈夫か?」
娘「え……あ、だ、大丈夫です」
男「そうか、ならよかった」
娘「は、はい…」
男「今は熱を下げることに集中しろ、いいな」
娘「はい……」
男「飯は俺が作る、熱を下げる草も取って来たしな」
娘「食事を作れるのですか」
男「食える物、ならな」
73: 2009/08/09(日) 03:35:26.30 ID:iMQe5rYf0
娘「ご馳走様でした」
男「あぁ」
娘「なんとも言いがたいものでしたね」
男「言っただろ、食える物だと」
娘「もう少し料理に関心を持つべきだと思います」
男「次はこれを飲め」
娘「なんですか?」
男「熱を下げる効果がある」
娘「でしたら、いただきます」
コクッ…… バフンッ!
娘「ゲフッ、ゲフッ…… これは何ですか」
男「薬、というものだ」
娘「人の飲み物ではありません、拒否します」
男「いいから飲め」
男「あぁ」
娘「なんとも言いがたいものでしたね」
男「言っただろ、食える物だと」
娘「もう少し料理に関心を持つべきだと思います」
男「次はこれを飲め」
娘「なんですか?」
男「熱を下げる効果がある」
娘「でしたら、いただきます」
コクッ…… バフンッ!
娘「ゲフッ、ゲフッ…… これは何ですか」
男「薬、というものだ」
娘「人の飲み物ではありません、拒否します」
男「いいから飲め」
74: 2009/08/09(日) 03:38:01.52 ID:iMQe5rYf0
娘「不味い物は滅べばいいんです……」
男「後は安静にしていろ」
娘「わかりました」
男「欲しいものはあるか」
娘「水と娯楽です」
男「なにを言っている」
娘「今日一日暇だったんです、何か話をしてください」
男「……まぁ、わかった」
男「後は安静にしていろ」
娘「わかりました」
男「欲しいものはあるか」
娘「水と娯楽です」
男「なにを言っている」
娘「今日一日暇だったんです、何か話をしてください」
男「……まぁ、わかった」
75: 2009/08/09(日) 03:40:56.23 ID:iMQe5rYf0
男「ということで親父は母親の名前を叫んで突っ走ったんだ」
娘「ほ、ほぅ……」ドキドキ
男「そして母親も親父に向かって走り出し…… そして」
娘「………」ドキドキ
男「親父を殴り飛ばした」
娘「なんでですかっ!!」
男「いや、俺に言われても」
………
娘「いや、楽しかったです」
男「それは何よりだ、そろそろ寝るだろ」
娘「はい」
男「じゃあ、俺は行くぞ」
娘「はい、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
娘「ほ、ほぅ……」ドキドキ
男「そして母親も親父に向かって走り出し…… そして」
娘「………」ドキドキ
男「親父を殴り飛ばした」
娘「なんでですかっ!!」
男「いや、俺に言われても」
………
娘「いや、楽しかったです」
男「それは何よりだ、そろそろ寝るだろ」
娘「はい」
男「じゃあ、俺は行くぞ」
娘「はい、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
76: 2009/08/09(日) 03:43:34.17 ID:iMQe5rYf0
………
娘「………」
………
娘「………怖くない、怖くない……」
………
娘「怖くなんてない、怖くなんて……」
………
娘「………」
………
娘「………怖くない、怖くない……」
………
娘「怖くなんてない、怖くなんて……」
………
77: 2009/08/09(日) 03:45:43.80 ID:iMQe5rYf0
男「おはよう」
娘「お、おはよう御座います」
男「……目も赤い、まだ悪いのか」
娘「いえ、もう大丈夫です」
男「少し待て」ピトッ
………
男「まだ熱は有る、寝ていろ」
娘「本人は大丈夫と」
男「いいから寝ていろ、仕事は俺がやる」
娘「……はい…」
78: 2009/08/09(日) 03:49:56.48 ID:iMQe5rYf0
………
娘「なにも……することがない…」
………
娘「私は、動かなくていい」
………
娘「私は……居なくていい……?」
………
娘「だから、捨てられた……?」
………
娘「って、駄目です、違います、そうじゃない!」
………
娘「私は…… 要らなくないです……」
娘「なにも……することがない…」
………
娘「私は、動かなくていい」
………
娘「私は……居なくていい……?」
………
娘「だから、捨てられた……?」
………
娘「って、駄目です、違います、そうじゃない!」
………
娘「私は…… 要らなくないです……」
79: 2009/08/09(日) 03:51:56.07 ID:iMQe5rYf0
男「こんなところか……」
ザクッ……
男「雑草は無、根から殲滅した、立て直すことはないだろう
って、俺はなにをしているんだか……」
………
男「まぁ、いいか」
娘「良くないですよ」
男「……なにしているんだ」
娘「まだ甘いです、まったく…… 私が居ないと駄目ですね」
男「そんなことを聞いていない、帰れ」
娘「ここは私の畑です。あなたに任せっぱなしでグチャグチャにされては困ります」
ザクッ……
男「雑草は無、根から殲滅した、立て直すことはないだろう
って、俺はなにをしているんだか……」
………
男「まぁ、いいか」
娘「良くないですよ」
男「……なにしているんだ」
娘「まだ甘いです、まったく…… 私が居ないと駄目ですね」
男「そんなことを聞いていない、帰れ」
娘「ここは私の畑です。あなたに任せっぱなしでグチャグチャにされては困ります」
80: 2009/08/09(日) 03:53:39.44 ID:iMQe5rYf0
男「それは悪かった、どうにかする」
娘「初心者の方にそんなことは出来ません」
男「指示だけ出してくれ、それだけでいい」
娘「それだけでよければこんなことになっていません、働きます」
男「熱がなければそれでもいい、だが今は駄目だ」
娘「この程度で大事になると? そんなわけありません」
………
男「わかった、勝手にしろ」
娘「はい、勝手にさせてもらいます」
男「ああ、俺も勝手にする」
娘「………」
コツ、コツ、コツ……
男「勝手に家へ連れて行かせてもらう」ピタッ
娘「……?」
娘「初心者の方にそんなことは出来ません」
男「指示だけ出してくれ、それだけでいい」
娘「それだけでよければこんなことになっていません、働きます」
男「熱がなければそれでもいい、だが今は駄目だ」
娘「この程度で大事になると? そんなわけありません」
………
男「わかった、勝手にしろ」
娘「はい、勝手にさせてもらいます」
男「ああ、俺も勝手にする」
娘「………」
コツ、コツ、コツ……
男「勝手に家へ連れて行かせてもらう」ピタッ
娘「……?」
81: 2009/08/09(日) 03:55:24.57 ID:iMQe5rYf0
グググッ!
娘「え、えっえええ!!」
男「やはり軽いな」
娘「こ、これって、お、お姫様抱っこって、さ、触らないで下さい!」
男「拒否する」
娘「いや、その、ええと……」
男「今のお前はおかしい、連れて行ってやらなければなにをするか不安だ」
娘「でも、あの、あぅ……///」
男「静かにしていろ」
娘「……はぃ///」
娘「え、えっえええ!!」
男「やはり軽いな」
娘「こ、これって、お、お姫様抱っこって、さ、触らないで下さい!」
男「拒否する」
娘「いや、その、ええと……」
男「今のお前はおかしい、連れて行ってやらなければなにをするか不安だ」
娘「でも、あの、あぅ……///」
男「静かにしていろ」
娘「……はぃ///」
82: 2009/08/09(日) 03:59:05.05 ID:iMQe5rYf0
男「いいな、寝ていろ」
娘「………」
男「寝なければ、治るものも治らん」
娘「……寝たくありません」
男「馬鹿を言うな」
娘「本気です、働きたいんです」
男「仕事は俺がやる、気にするな」
娘「……なんで、ですか…」
男「……?」
娘「なんでそんなこと、するんですか……」
男「世話になっているからだ」
娘「私がそれを望んでいないのに?」
男「死ぬかもしれないのに、放っておくことは出来ない」
娘「………」
男「寝なければ、治るものも治らん」
娘「……寝たくありません」
男「馬鹿を言うな」
娘「本気です、働きたいんです」
男「仕事は俺がやる、気にするな」
娘「……なんで、ですか…」
男「……?」
娘「なんでそんなこと、するんですか……」
男「世話になっているからだ」
娘「私がそれを望んでいないのに?」
男「死ぬかもしれないのに、放っておくことは出来ない」
83: 2009/08/09(日) 04:03:19.94 ID:iMQe5rYf0
娘「…私が、死ぬことすら望んでいたらどうするんですか」
男「それは関係ない」
娘「なんでですか」
男「俺がそれを望んでいないからだ」
娘「……身勝手です」
男「だが本心だ」
娘「………」
男「さて、俺は仕事に行ってくるぞ」
娘「………話を聞いてください」ギュッ
男「何の話だ」
娘「……聞けば解ります」
男「それは関係ない」
娘「なんでですか」
男「俺がそれを望んでいないからだ」
娘「……身勝手です」
男「だが本心だ」
娘「………」
男「さて、俺は仕事に行ってくるぞ」
娘「………話を聞いてください」ギュッ
男「何の話だ」
娘「……聞けば解ります」
84: 2009/08/09(日) 04:07:22.12 ID:iMQe5rYf0
男「馬鹿を言うな、畑仕事があるだろ」
娘「そんなの、いいです」
男「良くないだろ」
娘「いいから、ここに居てください」
男「俺にそうする理由がないぞ」
娘「元々、働く理由もないはずですよ」
男「……どうしたんだ」
娘「ここに、居てください……」
男「……わかった」
娘「そんなの、いいです」
男「良くないだろ」
娘「いいから、ここに居てください」
男「俺にそうする理由がないぞ」
娘「元々、働く理由もないはずですよ」
男「……どうしたんだ」
娘「ここに、居てください……」
男「……わかった」
85: 2009/08/09(日) 04:09:17.86 ID:iMQe5rYf0
娘「………」
男「………」
娘「………」
男「………おい、娘」
娘「私、お父さんとお母さんが居たんです」
男「いや、当たり前だろ」
娘「ここでみんな一緒に暮らしてて、とても楽しかった
私の畑も、家も父と母の残していったものです」
男「……ん…」
娘「お父さんは夜遅くまで働いて、私はお母さんの料理を手伝ってて
お裁縫や家具作りなんてこともやってました」
男「ふむ」
娘「でも、父と母は私を捨てたんです」
男「捨てた?」
娘「そうじゃないのですけど、ね……」
男「……訳が解らん」
男「………」
娘「………」
男「………おい、娘」
娘「私、お父さんとお母さんが居たんです」
男「いや、当たり前だろ」
娘「ここでみんな一緒に暮らしてて、とても楽しかった
私の畑も、家も父と母の残していったものです」
男「……ん…」
娘「お父さんは夜遅くまで働いて、私はお母さんの料理を手伝ってて
お裁縫や家具作りなんてこともやってました」
男「ふむ」
娘「でも、父と母は私を捨てたんです」
男「捨てた?」
娘「そうじゃないのですけど、ね……」
男「……訳が解らん」
86: 2009/08/09(日) 04:13:47.86 ID:iMQe5rYf0
娘「父と母は、何か悪いことを考えていたようです
それが村の人にばれて、捕まってしまい…… 多分殺されたのだと思います」
男「なるほど」
娘「私は両親から何も聞かされておらず、色々ありましたがこうして村に暮らせています」
男「ふむ」
娘「私を、娘を巻き込まない為に事情を話さないという、両親の愛に包まれた子だと思いますか?」
男「さぁな」
娘「私は、一緒に死にたかった」
男「……何を言っている」
娘「私は、親に隠し事をされていたんですよ?
家族が、親が世界の全てでした、でもそれに騙されたんですよ?」
男「それは、騙されたとは違うだろ」
娘「それくらいわかってます! でも、結局は違わないんですよ!」
それが村の人にばれて、捕まってしまい…… 多分殺されたのだと思います」
男「なるほど」
娘「私は両親から何も聞かされておらず、色々ありましたがこうして村に暮らせています」
男「ふむ」
娘「私を、娘を巻き込まない為に事情を話さないという、両親の愛に包まれた子だと思いますか?」
男「さぁな」
娘「私は、一緒に死にたかった」
男「……何を言っている」
娘「私は、親に隠し事をされていたんですよ?
家族が、親が世界の全てでした、でもそれに騙されたんですよ?」
男「それは、騙されたとは違うだろ」
娘「それくらいわかってます! でも、結局は違わないんですよ!」
87: 2009/08/09(日) 04:16:16.48 ID:iMQe5rYf0
娘「一番信じていた親に、結果として裏切られたんですっ!」
男「………」
娘「私は何を信じればいいんですか? なにに縋っていいんですか?
私は弱い人間です、縋れるものがなければ生きることも出来ないんです」
男「……お前は…」
娘「そうですよ? 結局世話をしているのも、あなたに話しかけているのも
私のためです、『立派な私』に酔ってるだけです! それがなんなんですか!?」
男「……そうか…」
娘「わかったら、行ってください…… さよなら……」
………
男「………」
娘「私は何を信じればいいんですか? なにに縋っていいんですか?
私は弱い人間です、縋れるものがなければ生きることも出来ないんです」
男「……お前は…」
娘「そうですよ? 結局世話をしているのも、あなたに話しかけているのも
私のためです、『立派な私』に酔ってるだけです! それがなんなんですか!?」
男「……そうか…」
娘「わかったら、行ってください…… さよなら……」
………
88: 2009/08/09(日) 04:19:14.18 ID:iMQe5rYf0
………
娘「なんでまだ居るんですか」
男「……俺はどうすればいい?」
娘「………え?」
男「お前は何を必要としているんだ?」
娘「え、ええと……」
男「今までの生活を続けられればいいのか?」
娘「え? そ、そうです……」
男「そうか」
娘「え? ……え?」
男「なんだ? 結論は出ただろう」
娘「……私、酷いことを言ってますよ?」
男「俺はそう思わなかった」
娘「………」
男「他に話すことはあるか?」
娘「……ないです」
娘「なんでまだ居るんですか」
男「……俺はどうすればいい?」
娘「………え?」
男「お前は何を必要としているんだ?」
娘「え、ええと……」
男「今までの生活を続けられればいいのか?」
娘「え? そ、そうです……」
男「そうか」
娘「え? ……え?」
男「なんだ? 結論は出ただろう」
娘「……私、酷いことを言ってますよ?」
男「俺はそう思わなかった」
娘「………」
男「他に話すことはあるか?」
娘「……ないです」
89: 2009/08/09(日) 04:23:21.97 ID:iMQe5rYf0
娘「でも…… なんといいますか……」
男「聞いてくれ」
娘「は、はいっ」
男「もし、お前の『縋る』という行為が、今までの生活にあったなら
今までどおり縋ってくれ」
娘「……いいんですか?」
男「その方が、俺も助かる」
娘「……そう、ですか…」
男「そうだ」
娘「そうですか」
男「そうだ」
娘「……有難う御座います」
男「礼を言われるようなことをされた憶えはないぞ」
娘「茶化さないで下さいよ」
男「聞いてくれ」
娘「は、はいっ」
男「もし、お前の『縋る』という行為が、今までの生活にあったなら
今までどおり縋ってくれ」
娘「……いいんですか?」
男「その方が、俺も助かる」
娘「……そう、ですか…」
男「そうだ」
娘「そうですか」
男「そうだ」
娘「……有難う御座います」
男「礼を言われるようなことをされた憶えはないぞ」
娘「茶化さないで下さいよ」
90: 2009/08/09(日) 04:26:15.16 ID:iMQe5rYf0
………
男「飯はあり合せの物だがな」
娘「それ、私の物なんですけどね」
男「まぁ気にしないでくれ」
娘「まったく…… 有難う御座います」
男「気にするな」
娘「気にしますよ、それではいただきます」
男「あぁ」
………
娘「なんでしょう、全くすくえません」
男「娘、それはナイフだ」
男「飯はあり合せの物だがな」
娘「それ、私の物なんですけどね」
男「まぁ気にしないでくれ」
娘「まったく…… 有難う御座います」
男「気にするな」
娘「気にしますよ、それではいただきます」
男「あぁ」
………
娘「なんでしょう、全くすくえません」
男「娘、それはナイフだ」
91: 2009/08/09(日) 04:28:33.03 ID:iMQe5rYf0
………
娘「それでは、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
娘「………」
………
娘「………怖くない、怖くない……」
………
娘「本当に怖くない…… 私は単純なのでしょうか……」
………
娘「まった……く…… クー……」
………
娘「それでは、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
娘「………」
………
娘「………怖くない、怖くない……」
………
娘「本当に怖くない…… 私は単純なのでしょうか……」
………
娘「まった……く…… クー……」
………
92: 2009/08/09(日) 04:32:23.95 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「ご飯の準備が出来ました」
男「そうか」
娘「終わりましたら、早速畑に行きますよ」
男「元気そうで何よりだ、ところで」
娘「なんでしょうか」
男「外はまだ暗いぞ」
娘「その分、仕事がありますよ?」
男「………」
娘「張り切ってご飯も作りましたので、頑張りましょう」
男「……わかったよ…」
93: 2009/08/09(日) 04:34:51.36 ID:iMQe5rYf0
ガチャッ
娘「さあ、行きましょうか」
男「あぁ」
娘「どうしましたか」
男「もう完調だな」
娘「当たり前のことを言わないで下さい」
男「…そうだな」
娘「なんですか」
男「気にするな」
娘「気にしますよ」
男「そうか」
………
男「とりあえず、靴を履こうか」
娘「さあ、行きましょうか」
男「あぁ」
娘「どうしましたか」
男「もう完調だな」
娘「当たり前のことを言わないで下さい」
男「…そうだな」
娘「なんですか」
男「気にするな」
娘「気にしますよ」
男「そうか」
………
男「とりあえず、靴を履こうか」
94: 2009/08/09(日) 04:37:34.14 ID:iMQe5rYf0
数日後
娘「さて、今日も一杯働きましたね」
男「……そうだな」
娘「どうしましたか」
男「すまないが、明日は抜ける」
娘「そうですか、わかりました」
男「あぁ、済まない」
娘「気にしないで下さい」
男「そうか」
娘「その分、仕事が増えるだけですから」
男「………」
娘「さて、今日も一杯働きましたね」
男「……そうだな」
娘「どうしましたか」
男「すまないが、明日は抜ける」
娘「そうですか、わかりました」
男「あぁ、済まない」
娘「気にしないで下さい」
男「そうか」
娘「その分、仕事が増えるだけですから」
男「………」
95: 2009/08/09(日) 04:40:34.11 ID:iMQe5rYf0
ガサガサッ
男「……足跡…か……」
ガサッ
男「丁寧に人の形跡まで残しやがって……」
………
男「……」
………
男「伝達前に、やれるか……」
男「……足跡…か……」
ガサッ
男「丁寧に人の形跡まで残しやがって……」
………
男「……」
………
男「伝達前に、やれるか……」
96: 2009/08/09(日) 04:42:49.87 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「……おはよう」
娘「元気がないですね」
男「こんなものだ」
娘「そうですか、とにかく食事にしましょう」
男「あぁ」
娘「まったく、元気がないですね」
男「……すまないな」
97: 2009/08/09(日) 04:44:09.98 ID:iMQe5rYf0
………
男「まさか、あそこまで近くに居たとはな……」
………
娘「こんにちは、働かない男さん」
男「それは誰のことだ」
娘「ヨウヘイさんのことです」
男「まったく……」
娘「そんな貴方にお昼ご飯をもってきてあげました」
男「……ありがとう」
娘「回ってワンとお鳴きなさい」
男「いらん」
娘「冗談です」
男「まさか、あそこまで近くに居たとはな……」
………
娘「こんにちは、働かない男さん」
男「それは誰のことだ」
娘「ヨウヘイさんのことです」
男「まったく……」
娘「そんな貴方にお昼ご飯をもってきてあげました」
男「……ありがとう」
娘「回ってワンとお鳴きなさい」
男「いらん」
娘「冗談です」
98: 2009/08/09(日) 04:45:30.64 ID:iMQe5rYf0
娘「あなたはそんなにここに居たいのですか」
男「まぁな」
娘「まったく…… もう慣れましたけど」
男「お前はなんでここに来たんだ」
娘「貴方みたいな人をほっとけないからですよ」
男「それは済まない」
娘「言葉が違いますよ」
男「……ありがとう」
娘「いえ、どう致しまして」
男「まぁな」
娘「まったく…… もう慣れましたけど」
男「お前はなんでここに来たんだ」
娘「貴方みたいな人をほっとけないからですよ」
男「それは済まない」
娘「言葉が違いますよ」
男「……ありがとう」
娘「いえ、どう致しまして」
99: 2009/08/09(日) 04:46:43.50 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、私はもう一働きしてきます」
男「あぁ」
娘「これからは力仕事が多いですね」
男「……済まない」
娘「……まったく、いいですよ」
男「今夜の分はいらない」
娘「言われなくても作りませんよ」
男「そうか」
男「あぁ」
娘「これからは力仕事が多いですね」
男「……済まない」
娘「……まったく、いいですよ」
男「今夜の分はいらない」
娘「言われなくても作りませんよ」
男「そうか」
100: 2009/08/09(日) 04:47:59.73 ID:iMQe5rYf0
娘「なんであれを冗談か何かと思ってくれないのでしょうか」
………
娘「本当に来ないとは思っておりませんでした」
………
娘「そういえば、あの方はそういう人でしたね……」
………
娘「仕方ないのでいただきましょう」
モグモグ……
娘「…んくっ……まったく、一人の食卓は寂しいですね」
………
娘「本当に来ないとは思っておりませんでした」
………
娘「そういえば、あの方はそういう人でしたね……」
………
娘「仕方ないのでいただきましょう」
モグモグ……
娘「…んくっ……まったく、一人の食卓は寂しいですね」
101: 2009/08/09(日) 04:50:20.73 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「おはよう」
娘「まったく、昨日は何をしていたのですか」
男「向こうの森に居た」
娘「そうですか」
男「済まない、朝飯もいらない」
娘「え、な、なぜです?」
男「忙しいからだ、じゃ」
バタンッ
娘「……忙しい……?」
男「おはよう」
娘「まったく、昨日は何をしていたのですか」
男「向こうの森に居た」
娘「そうですか」
男「済まない、朝飯もいらない」
娘「え、な、なぜです?」
男「忙しいからだ、じゃ」
バタンッ
娘「……忙しい……?」
102: 2009/08/09(日) 04:53:06.75 ID:iMQe5rYf0
………
男「まだ、動きはない まだ、な」
………
娘「まったく、またここですか」
男「娘、か」
娘「忙しいと言ってなにをしているのかと思えば…… まったくです」
男「……お前、荷は?」
娘「に?なにを言っているのですか?」
男「なん……だと…!!」
娘「どどどどうしましたここ怖いですよ!」
男「……すまない、気にするな」
娘「は、はぁ……?」
男「まだ、動きはない まだ、な」
………
娘「まったく、またここですか」
男「娘、か」
娘「忙しいと言ってなにをしているのかと思えば…… まったくです」
男「……お前、荷は?」
娘「に?なにを言っているのですか?」
男「なん……だと…!!」
娘「どどどどうしましたここ怖いですよ!」
男「……すまない、気にするな」
娘「は、はぁ……?」
103: 2009/08/09(日) 04:55:09.13 ID:iMQe5rYf0
男「………」
娘「今日は隣の人もなんだか忙しそうにしておりましたよ」
男「そうか」
娘「ところで、ヨウヘイさんは今日なにをしていたのですか」
男「村長の所に行っていた」
娘「そうですか、まぁ内容は気にしないでおきましょう」
男「なぁ娘、一緒にこの村を離れないか?」
………
娘「え?」
………
男「なに真っ赤になっているんだ?」
娘「……知りません!」
娘「今日は隣の人もなんだか忙しそうにしておりましたよ」
男「そうか」
娘「ところで、ヨウヘイさんは今日なにをしていたのですか」
男「村長の所に行っていた」
娘「そうですか、まぁ内容は気にしないでおきましょう」
男「なぁ娘、一緒にこの村を離れないか?」
………
娘「え?」
………
男「なに真っ赤になっているんだ?」
娘「……知りません!」
104: 2009/08/09(日) 04:58:50.92 ID:iMQe5rYf0
………
娘「なるほど、村が襲われそうになっているのですか」
男「あぁ、村にはもう伝わっている、まさかお前に伝わってないとは……」
娘「そうですか」
………
男「まぁ、伝わってよかった」
娘「そうですね」
男「さっさと準備しろ」
娘「なにを言っているのです、私は残りますよ」
娘「なるほど、村が襲われそうになっているのですか」
男「あぁ、村にはもう伝わっている、まさかお前に伝わってないとは……」
娘「そうですか」
………
男「まぁ、伝わってよかった」
娘「そうですね」
男「さっさと準備しろ」
娘「なにを言っているのです、私は残りますよ」
105: 2009/08/09(日) 05:01:47.72 ID:iMQe5rYf0
男「…馬鹿を言うな」
娘「いたって真面目です」
男「今から襲われるんだぞ!」
娘「らしいですね」
男「…死ぬぞ」
娘「ヨウヘイさん、質問です」
男「なんだ」
娘「全てを捨てて生きるのと、全てを守って死ぬのは、どちらが幸せだと思いますか?」
男「死ねば、どんなことも戯言だろ」
娘「私はそんな人ではありませんので」
男「………」
娘「いたって真面目です」
男「今から襲われるんだぞ!」
娘「らしいですね」
男「…死ぬぞ」
娘「ヨウヘイさん、質問です」
男「なんだ」
娘「全てを捨てて生きるのと、全てを守って死ぬのは、どちらが幸せだと思いますか?」
男「死ねば、どんなことも戯言だろ」
娘「私はそんな人ではありませんので」
男「………」
106: 2009/08/09(日) 05:04:20.53 ID:iMQe5rYf0
娘「この土地には、どんな形でも私の父や母が眠っています
父や母の思い出全てが詰ってます。といえば聞こえはいいですが
ここがあるから、今の私が存在出来ます
ここを捨てたら今後『私』として生きていけません
外見だけ私に似た、『全てを捨てた私』として生きなければなりません」
男「下らん」
娘「ですが、私には命をかけるに値します」
男「そんなものの為に死ぬのか! それでいいのか!?」
娘「私は、それでいいと思います」
男「……クソが……」
娘「同い年くらいの子がなにを言ってますか」
父や母の思い出全てが詰ってます。といえば聞こえはいいですが
ここがあるから、今の私が存在出来ます
ここを捨てたら今後『私』として生きていけません
外見だけ私に似た、『全てを捨てた私』として生きなければなりません」
男「下らん」
娘「ですが、私には命をかけるに値します」
男「そんなものの為に死ぬのか! それでいいのか!?」
娘「私は、それでいいと思います」
男「……クソが……」
娘「同い年くらいの子がなにを言ってますか」
107: 2009/08/09(日) 05:07:00.81 ID:iMQe5rYf0
………
男「ここに残るんだな?」
娘「はい」
男「狂っているのか」
娘「いたって普通ですよ」
男「怖くないのか」
娘「そんなわけないじゃないですか」
男「なら……!」
娘「ここを失うことの方が、ずっと怖いんですよ……」
男「……っ」
娘「私だって、死にたくないんですよ、気付いてください、バカ……」
男「……」
男「ここに残るんだな?」
娘「はい」
男「狂っているのか」
娘「いたって普通ですよ」
男「怖くないのか」
娘「そんなわけないじゃないですか」
男「なら……!」
娘「ここを失うことの方が、ずっと怖いんですよ……」
男「……っ」
娘「私だって、死にたくないんですよ、気付いてください、バカ……」
男「……」
108: 2009/08/09(日) 05:09:52.80 ID:iMQe5rYf0
娘「さて、晩御飯にしましょうか」
男「そうか」
娘「今日はもっと美味しいのを作ってみせますよ」
男「それは期待だ」
娘「既に貴方が食べることが決まってるのですか」
男「だめか」
娘「構いませんよ」
男「ありがとう」
娘「いえ、こちらこそ有難う御座います」
男「そうか」
娘「今日はもっと美味しいのを作ってみせますよ」
男「それは期待だ」
娘「既に貴方が食べることが決まってるのですか」
男「だめか」
娘「構いませんよ」
男「ありがとう」
娘「いえ、こちらこそ有難う御座います」
109: 2009/08/09(日) 05:13:19.61 ID:iMQe5rYf0
娘「その時、私のお母さんがですね……」
男「ふむ」
………
娘「もう、遅くなりましたね」
男「そうだな」
………
娘「それでは、おやすみなさい」
男「あぁ」
ガチャ バタン
………
男「………」
男「ふむ」
………
娘「もう、遅くなりましたね」
男「そうだな」
………
娘「それでは、おやすみなさい」
男「あぁ」
ガチャ バタン
………
男「………」
110: 2009/08/09(日) 05:15:00.68 ID:iMQe5rYf0
ガチャ
娘「………」
男「……寝れなくて、こっちに来た」
娘「……身勝手ですね」
男「あぁ、すまない」
娘「まったく」
………
男「怖く、ないのか?」
娘「怖いです、今も震えてます」
男「そうか」
娘「でも、外に逃げる勇気もないんです」
男「そうか」
娘「………」
男「……寝れなくて、こっちに来た」
娘「……身勝手ですね」
男「あぁ、すまない」
娘「まったく」
………
男「怖く、ないのか?」
娘「怖いです、今も震えてます」
男「そうか」
娘「でも、外に逃げる勇気もないんです」
男「そうか」
111: 2009/08/09(日) 05:17:09.64 ID:iMQe5rYf0
娘「……生きていたいです」
男「………」
娘「でも、私、臆病だから、思い出も大事だから、動けないんです……」
男「………」
娘「助けて……」
男「………」
娘「…………よし! 弱音は全部、吐きました これで大丈夫です」
男「…そうか」
娘「そろそろ本当に寝ますよ」
男「そうか、なら俺も寝よう」
娘「はい、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
………
男「大丈夫なわけ、ないだろうが……」
男「………」
娘「でも、私、臆病だから、思い出も大事だから、動けないんです……」
男「………」
娘「助けて……」
男「………」
娘「…………よし! 弱音は全部、吐きました これで大丈夫です」
男「…そうか」
娘「そろそろ本当に寝ますよ」
男「そうか、なら俺も寝よう」
娘「はい、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ」
バタンッ
………
男「大丈夫なわけ、ないだろうが……」
112: 2009/08/09(日) 05:18:07.72 ID:iMQe5rYf0
娘「おはよう御座います」
男「おはよう」
娘「さぁ、食事にしましょうか」
男「……悪い、娘」
娘「話はご飯を食べてからです」
男「…あぁ」
113: 2009/08/09(日) 05:19:08.60 ID:iMQe5rYf0
娘「で、なんですか?」
男「俺は行く」
娘「それは当たり前でしょう、あなたもなんて許しませんよ」
男「それで、万が一の話なんだがいいか?」
娘「なんでしょうか」
男「もし生きてたら、また飯を食いに来てもいいか?」
娘「とんでもない身勝手ですね」
男「すまない」
娘「まったく、もう諦めてますよ」
男「それは残念だ」
娘「まったく……なんで好きに……」ブツブツ
男「なんだ」
娘「なんでもないです」
男「俺は行く」
娘「それは当たり前でしょう、あなたもなんて許しませんよ」
男「それで、万が一の話なんだがいいか?」
娘「なんでしょうか」
男「もし生きてたら、また飯を食いに来てもいいか?」
娘「とんでもない身勝手ですね」
男「すまない」
娘「まったく、もう諦めてますよ」
男「それは残念だ」
娘「まったく……なんで好きに……」ブツブツ
男「なんだ」
娘「なんでもないです」
114: 2009/08/09(日) 05:22:10.11 ID:iMQe5rYf0
娘「それでは、これはお弁当です」
男「ありがとう」
娘「どう致しまして」
………
男「それじゃ」
娘「それは追及点です」
男「……?」
娘「もっと良い言葉を考えてください」
男「ええと?……じゃ、また」
娘「まったく、酷いですね」
男「それはすまない」
娘「ギリギリ合格にしてあげますよ、また会いましょう」
男「うん、また」
ガチャ バタンッ
娘「……さて、色々と備えなければですね」
男「ありがとう」
娘「どう致しまして」
………
男「それじゃ」
娘「それは追及点です」
男「……?」
娘「もっと良い言葉を考えてください」
男「ええと?……じゃ、また」
娘「まったく、酷いですね」
男「それはすまない」
娘「ギリギリ合格にしてあげますよ、また会いましょう」
男「うん、また」
ガチャ バタンッ
娘「……さて、色々と備えなければですね」
115: 2009/08/09(日) 05:23:57.09 ID:iMQe5rYf0
男「さてと、備えも終わった」
………
男「罠も全部作った、武器はありったけ……まったく…」
………
男「親父、女性は人をダメにするって本当だな」
………
男「多弁になったし、餓鬼っぽくなった……」
………
男「でも、アンタの言うとおり幸せな気持ちだよ、ったく……
俺は、アンタが誇れる息子になっているか?」
………
男「……命に代えても、村には通さねぇ」
………
男「罠も全部作った、武器はありったけ……まったく…」
………
男「親父、女性は人をダメにするって本当だな」
………
男「多弁になったし、餓鬼っぽくなった……」
………
男「でも、アンタの言うとおり幸せな気持ちだよ、ったく……
俺は、アンタが誇れる息子になっているか?」
………
男「……命に代えても、村には通さねぇ」
116: 2009/08/09(日) 05:26:23.98 ID:iMQe5rYf0
娘「……今日で4日目、ですか…」
………
娘「畑、大丈夫でしょうか……」
………
娘「ちょっと外に出てみましょうか」
………
娘「えっと、お鍋のふたと鍬を……」
………
………
娘「畑、大丈夫でしょうか……」
………
娘「ちょっと外に出てみましょうか」
………
娘「えっと、お鍋のふたと鍬を……」
………
117: 2009/08/09(日) 05:28:21.31 ID:iMQe5rYf0
娘「これで一週間でしょうか、本当に狙われているんでしょうか」
………
娘「まぁ、用心するに越したことはないでしょう」
………
娘「用心、用心…ようじん……」
………
娘「グー……グー……」
………
娘「まぁ、用心するに越したことはないでしょう」
………
娘「用心、用心…ようじん……」
………
娘「グー……グー……」
118: 2009/08/09(日) 05:30:19.19 ID:iMQe5rYf0
娘「ん、なんか外が騒々しいですね」
ガチャッ
娘「あれ…… 皆さんが戻ってきていますね」
………
娘「ということは、もう安心していいのでしょうか?」
………
娘「まったく、何事もありませんでしたし、人騒がせな話ですよ」
………
娘「さて、こうしては居られませんね、あの人がまた食事に来るでしょうから」
ガチャッ
娘「あれ…… 皆さんが戻ってきていますね」
………
娘「ということは、もう安心していいのでしょうか?」
………
娘「まったく、何事もありませんでしたし、人騒がせな話ですよ」
………
娘「さて、こうしては居られませんね、あの人がまた食事に来るでしょうから」
119: 2009/08/09(日) 05:44:37.93 ID:iMQe5rYf0
娘「……遅いですね」
………
娘「女性を待たせるとは、やっぱり悪い男です」
………
娘「なんで来ないんですか、まったく……」
………
娘「……来て、くださいよ…」
………
娘「女性を待たせるとは、やっぱり悪い男です」
………
娘「なんで来ないんですか、まったく……」
………
娘「……来て、くださいよ…」
134: 2009/08/09(日) 21:26:02.39 ID:iMQe5rYf0
………
娘「村の入り口…… ここはあなたのお気に入りの場所じゃないんですか?」
………
娘「私はここに居るんですよ?」
………
娘「ひょっこり、待たせてゴメンなんて、言いに来ないんですか?」
………
娘「そうですか……」
………
娘「そっちがその気なんでしたら、こっちも黙っていられません」
………
娘「この街で、貴方を待ち続けてあげますよ、まったく…」
娘「村の入り口…… ここはあなたのお気に入りの場所じゃないんですか?」
………
娘「私はここに居るんですよ?」
………
娘「ひょっこり、待たせてゴメンなんて、言いに来ないんですか?」
………
娘「そうですか……」
………
娘「そっちがその気なんでしたら、こっちも黙っていられません」
………
娘「この街で、貴方を待ち続けてあげますよ、まったく…」
135: 2009/08/09(日) 21:33:35.59 ID:iMQe5rYf0
ずっと後のある日
娘「まったく、隣町まで足を伸ばしても
今回もそれらしい情報はありませんか……
どこに居るというのですか」
………
娘「まぁ、約束ですので仕方なく待たせてもらいますよ……ブツブツ」
………
娘「っと、誰か来たようですね 前みたいに粗相のないようにしなければ……ええと」
コツコツコツ………
娘「んん、コホン。 おはよう御座います、ここは農民の村です」
end
娘「まったく、隣町まで足を伸ばしても
今回もそれらしい情報はありませんか……
どこに居るというのですか」
………
娘「まぁ、約束ですので仕方なく待たせてもらいますよ……ブツブツ」
………
娘「っと、誰か来たようですね 前みたいに粗相のないようにしなければ……ええと」
コツコツコツ………
娘「んん、コホン。 おはよう御座います、ここは農民の村です」
end
137: 2009/08/09(日) 21:37:08.67 ID:fZ6JKZ4xO
なんと……!
138: 2009/08/09(日) 21:39:39.89 ID:bXYvBPUrO
1乙
面白かったよ
面白かったよ
139: 2009/08/09(日) 21:51:12.56 ID:iMQe5rYf0
人生に於いて、ほんの短い時間を過ごした場所だった
でも、目を瞑ればその瞼に、写らない日など無い
俺は、今日そこに帰る
?「今まで有難う、本当に助かったよ」
??「だが、やっぱりわかんねぇなぁ? 俺達ぁ救世主様だぜ?」
???「その辺の討論はもう済んだでしょう?」
??「だがなぁ!」
???「でも、確かに気になるなぁ。 なにか、大事なものがあるのかい?」
「あぁ、俺の、何より大事なものだ」
あいつは相変わらずなのだろうか、笑っているのだろうか、泣いているのだろうか
それとも、怒っているのだろうか
?「それじゃ、ここでお別れだね」
これから、彼らは英雄として生きていくだろう
俺も望めばそこに行けるらしい、だが
「あぁ、じゃあまたな」
どうやら、俺は平凡に、合格点を貰って生きたいようだ
muriyari happy end
でも、目を瞑ればその瞼に、写らない日など無い
俺は、今日そこに帰る
?「今まで有難う、本当に助かったよ」
??「だが、やっぱりわかんねぇなぁ? 俺達ぁ救世主様だぜ?」
???「その辺の討論はもう済んだでしょう?」
??「だがなぁ!」
???「でも、確かに気になるなぁ。 なにか、大事なものがあるのかい?」
「あぁ、俺の、何より大事なものだ」
あいつは相変わらずなのだろうか、笑っているのだろうか、泣いているのだろうか
それとも、怒っているのだろうか
?「それじゃ、ここでお別れだね」
これから、彼らは英雄として生きていくだろう
俺も望めばそこに行けるらしい、だが
「あぁ、じゃあまたな」
どうやら、俺は平凡に、合格点を貰って生きたいようだ
muriyari happy end
140: 2009/08/09(日) 21:54:26.46 ID:iMQe5rYf0
今まで見てくれて有難う御座いました
>>139の最後は、自分がとにかくハッピーなの大好きなので
無理矢理作ったものです、脈絡ないです、酷い出来です
でも、書かずにいられなかった俺を許してくださいorz
一応、>>135で終りです。ですから、コレは無いと思った方は
見なかったことに(-w-; ゴミンナサイ
では、これからバイトがあるので失敬させてもらいますm(_ _)m
お付き合いしていただいた皆様、本当に有難う御座います
>>139の最後は、自分がとにかくハッピーなの大好きなので
無理矢理作ったものです、脈絡ないです、酷い出来です
でも、書かずにいられなかった俺を許してくださいorz
一応、>>135で終りです。ですから、コレは無いと思った方は
見なかったことに(-w-; ゴミンナサイ
では、これからバイトがあるので失敬させてもらいますm(_ _)m
お付き合いしていただいた皆様、本当に有難う御座います
141: 2009/08/09(日) 22:04:47.06 ID:4tJE/xLC0
乙です
うん、やっぱハッピーエンドっすよ。大好きっす
うん、やっぱハッピーエンドっすよ。大好きっす
143: 2009/08/09(日) 22:25:10.73 ID:PrO5B2yo0
おつでした
引用元: 村娘「あなたはどちら様ですか?」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります