1: 2010/02/16(火) 12:19:28.26 ID:ao5qGhMyO
女勇者「やっと…やっと魔王を倒せた……」

女勇者「永かった……本当に…永かった……」

女勇者「それも…今日やっと……終わった……」

女勇者「よく一人でここまでこれたな…我ながら感心する……」

女勇者「魔王を倒す為、たった一人で村を出て50年……皆元気かな?」

女勇者「やっと胸を張って帰れる!!」

4: 2010/02/16(火) 12:24:17.04 ID:CCZEYL0O0
50を超えて”女”勇者だと……っ

5: 2010/02/16(火) 12:27:06.34 ID:6C3zP8c9O
婆じゃねぇかwwwww

7: 2010/02/16(火) 12:29:31.59 ID:ao5qGhMyO
ーー女勇者の村

女勇者「この辺りは何も変わってないな……」

女勇者「本当は記憶が薄れてて分からないけど」

女勇者「でも確か…ここを曲がれば………」

女勇者「見えた!!」

女勇者「お父さん!お母さん!!私…帰ってきたよ~!!!」

~村に着いた女勇者が見たものは……廃村となった故郷であった……

9: 2010/02/16(火) 12:36:31.09 ID:ao5qGhMyO
女勇者「え……誰もいない…??」

女勇者「何………で……?」

女勇者「道も荒れ果てて……雑草だらけ……」

女勇者「家も……朽ちて屋根や床が抜け落ちてる……」

女勇者「お父さん!?お母さん!?」

女勇者「皆!!どこへ行ったの?!」

元主要道路で佇む女勇者が村の入口に立つ看板に気が付く

女勇者「あれ…?何これ…?かすれてて読みづらいな……えーっと、村…移転の……お知らせ…?」

11: 2010/02/16(火) 12:58:02.76 ID:ao5qGhMyO
女勇者「村…移転…?」

女勇者「え?!どこに!!」

女勇者「つ、続き!!」

女勇者「……長年雨に打たれたせいで…ぼやけて読めない!!!」

女勇者「せめて地図だけでも解読できれば……」

女勇者「えっと、現在地は………ここかな?」

女勇者「…………地図も滲んでて分からない!!」

女勇者「…………どうしよう……」

12: 2010/02/16(火) 13:06:40.78 ID:ao5qGhMyO
女勇者が茫然としている間も時は過ぎ、辺りは段々と闇に包まれだす

女勇者「…………グスッ」

女勇者「……どうして…」

女勇者「皆……酷いよ……」

女勇者「一生懸命……魔王倒したのに……」

女勇者「皆………私を置いて……いなくなって……」

女勇者「私……帰る場所……どうしたら………ブル」

女勇者「……さ、寒くなってきた……とりあえず家に……帰ろう……」

14: 2010/02/16(火) 13:14:30.82 ID:ao5qGhMyO
女勇者は元自宅へ帰った

女勇者「………ただいま」

母「お帰りなさい女勇者!!魔王を倒してくれたのね!!」

父「はっはっはっ!流石女勇者だ!!父の自慢の娘だ!!」

女勇者「お父さん!お母さん!!」

しかし、そこにはもちろん誰もいない。迎え入れてくれる父も母も、暖かい暖炉の火さえも…

女勇者「お父さん……お母さん……」

15: 2010/02/16(火) 13:30:36.66 ID:ao5qGhMyO
女勇者「………寒い……」

そう言うと女勇者は暖炉に小枝を焼べる

女勇者「えっと、マッチは……あった」

女勇者「あ、あれ…?使えない……」

女勇者「あ……あははは……あ、当たり前だよね……」

女勇者「誰も住まなくなって……もう大分経つみたいだし……」

女勇者「こんな時、魔王みたいに魔法が使えたら便利なんだけどな…」

16: 2010/02/16(火) 13:41:50.25 ID:ao5qGhMyO
女勇者「人間に……魔法なんか使える訳ないよね……」

女勇者「……でも…た、確か……魔王は……こうだったっけ…?極大火炎魔法!」

両手を掲げ、女勇者が唱えると手の中が光りだす

女勇者「え?えっ?」

ドゴォォォォン

次の瞬間、燃えるはずのない、目の前の暖炉自体が燃え上がる

女勇者「あ…あ……」

17: 2010/02/16(火) 13:46:19.09 ID:ao5qGhMyO
女勇者「う……嘘……」

女勇者「私……魔法が使え……る?」

女勇者「………何で?」

炎は大きくなり、暖炉のみならず次第に家自体を燃やしだす

女勇者「あ……火……まずい!このままじゃ家が燃えちゃう!!」

女勇者「水…水は!!」

18: 2010/02/16(火) 13:54:24.79 ID:ao5qGhMyO
しかし、時既に遅く、炎は大きくなり家全体に及び、女勇者は慌てて外へ駆け出す

女勇者「あ………あはは………火だ…これで寒くないや……」

燃え落ちる自分の家を、座り込み呆然と見つめる

女勇者「………これで……本当に帰る家……なくなっちゃった……グスッ」

21: 2010/02/16(火) 14:04:29.09 ID:ao5qGhMyO
山賊A「何だ今の音は??!!」

山賊B「雷でも落ちたか?!」

山賊A「おい!あっちに火の手が上がってるぞ!」

山賊B「マジかよ!せっかくの隠れ家が燃えちまったら大変だ!消火に行くぞ!」

山賊A「おう!!」

山賊達が消火に向かった先で見たのは…

山賊B「お、おい!ちょっと待て!」

山賊A「何だよ!早く消さねぇと!」

山賊B「シーッ!!あそこ見てみろ」

山賊A「はぁあ?……って、女?!」

22: 2010/02/16(火) 14:10:22.50 ID:kGBvEM+D0
>>21
女勇者いくつだwww

23: 2010/02/16(火) 14:11:19.07 ID:yPk1ituO0
>>22
16で旅に出るのが王道だろ!
16+50だよ!

26: 2010/02/16(火) 14:14:06.94 ID:ao5qGhMyO
山賊A「な、何でこんなとこに女が?」

山賊B「知るかよ!見た感じ15、6ってとこか…」

山賊A「ば、化け物じゃないよな…?」

山賊B「さぁ、どうだろうな??」

山賊A「よ、よせよ!お、おらぁそういう話し、ダメなんだよ……」

山賊B「へっ!情けねぇなぁ!!」

山賊A「あ!おい!!どこ行くんだよ!!」

山賊B「どこって…女が一人でいるんだ…例えそれが化け物だとしても、やる事は……」

山賊A「ば!ばか!お前!!祟り殺されるぞ!!………お、俺も行く!ま、待ってくれ!!」

山賊二人は座り込んでいる女勇者に近付いていった

27: 2010/02/16(火) 14:16:55.70 ID:WT2jH3v/0
やはり年をとらなかったのか

30: 2010/02/16(火) 14:25:07.37 ID:ao5qGhMyO
山賊B「よお、姉ちゃん!どうしたんだ?こんなとこに一人で?」

山賊A「こここ、こんばんは!はじめまして!山賊Aです……」

不意に背後から声を掛けられ驚き振り向く女勇者

女勇者「え……え…?ひ……と……?」

山賊B「何だよそんな驚いた顔して。俺が化け物に見えるってか?」

山賊A「見えちゃいますよね~!怖がらせてごめんね!じゃ、そういう事で…」

女勇者「人だ……良かった!村人がいた!!」

33: 2010/02/16(火) 14:31:55.74 ID:ao5qGhMyO
山賊B「で、どうしたんだよ、こんなとこで?」

女勇者「あの!!魔王倒して帰ったら火事で!魔法が使えて!誰もいなかったんです!!」

山賊A「や、ヤバいよ…絶対化け物だ…何言ってるか分かんねぇよ……い、行こうぜ……」

山賊B「お前は黙ってろ!!そうかそうか、そいつは大変だったな!」

女勇者「はい……グスッ」

山賊B「良かったら俺達の隠れg………家に来ないか?腹減ってるだろ?暖かいスープがあるぜ?」

女勇者「はい!!」

そう返事をし、女勇者は立ち上がり山賊達の後に着いて行った

35: 2010/02/16(火) 14:42:44.78 ID:ao5qGhMyO
ーー山賊隠れ家

山賊B「そうかそうか、魔王を倒して意気揚々と村に帰ってきたら、誰も居なかった…と」

女勇者「はい……」

山賊B「で、家に帰って暖炉に火をおこそうとして魔法使ったら火事になった…」

女勇者「です……」

山賊A「ヤバいよ…こいつ頭イッちゃってるよ……関わらない方がいいって…」

山賊A「人間が魔法使える訳ねぇって!それに勇者が魔王倒しに出たのって50年は昔って…」

山賊B「いいから黙ってろ!ここんとこ女日照りだったんだぞ!」

山賊B「化け物だろうと頭逝かれた女だろうとヤレりゃあいいんだ!」

山賊A「わ、分かった…大人しくする…」

38: 2010/02/16(火) 14:53:25.84 ID:ao5qGhMyO
山賊B「大変だったなぁ!良かったら今日は泊まってけ!」

女勇者「いえ…そこまでお世話になるのは…」

山賊B「なぁに、かまやぁしねぇよ!遠慮なく泊まってけや!その分、俺らも遠慮はしねぇがな!」

女勇者「ありがとうございます!」

山賊B「いいって事よ!じゃあ、俺らもそろそろ楽しませてもらうかね!おい!抑えつけろ!!」

女勇者「え?えっ?きゃあ!!な、何?」

山賊B「なぁーに、恐がるこたぁねぇ!ちょっと俺らの相手になってくれりゃあいいんだ!」


39: 2010/02/16(火) 14:59:47.40 ID:ao5qGhMyO
女勇者「…………エグッ…エグッ」

山賊AB「」

女勇者「………どうしよう」

女勇者「……私……人…………殺しちゃ……った」

女勇者「どうしよう…どうしよう、どうしよう!!」

女勇者「そ、そうだ!か、隠しちゃえば……」

女勇者「ここには誰も来ないだろうし……誰がやったかバレない…」

女勇者は辺りを見回すが隠せそうな場所がない

女勇者「そ、外に穴掘って埋めるしか…」

40: 2010/02/16(火) 15:04:06.82 ID:IBZiV1Q60
なーにぃー!殺っちまったなぁ!!

43: 2010/02/16(火) 15:16:10.85 ID:ao5qGhMyO
女勇者「あ……でも、野良犬に穴掘り返されたら……」

女勇者「どうしよう……」

女勇者「骨も残さず処理するには……」

女勇者「そ、そうだ!!魔法!!」

女勇者は火炎魔法で家もろとも焼き払った

女勇者「ここに居たらまずいよね…」

女勇者「よし、自分の村を探しに行こう!!」

こうして、女勇者の旅はまた始まった

46: 2010/02/16(火) 15:29:08.75 ID:0CkaONFs0
後の魔王である

48: 2010/02/16(火) 15:32:21.91 ID:ao5qGhMyO
女勇者「探すって言っても………」

女勇者「どこを探せば…」

女勇者「迷ってても仕方ない…」

女勇者「とりあえず、隣町に行ってみよう!!」

女勇者「何か判るかもしれないし!」

女勇者は隣町へと歩いた

49: 2010/02/16(火) 15:44:28.21 ID:ao5qGhMyO
女勇者「魔王が死んで、魔物が出なくなったから楽だなぁ」

女勇者「………」

女勇者「………もし」

女勇者「もし隣町も無かったらどうしよう……」

女勇者「こんな事なら、夜営しながら魔王城から直接帰るんじゃなかった…」

女勇者「街や村に寄っていれば……」

女勇者「人……殺さなくて……済んだかもしれないに…」

女勇者「か、考えてたって仕方ない!もうすぐ隣町だし、私の村がどうなったか………え?」

ふと見上げた隣町の方角には黒煙が昇っていた

53: 2010/02/16(火) 15:52:38.76 ID:ao5qGhMyO
女勇者は駆け出した。何故黒煙が昇っているか心配したからではなく

『人が居る』ただそれが嬉しかったから…

女勇者「煙りが出てるって事は!!」

女勇者「人が居るって事だよね?!」

女勇者「わた、私の事や…村の事……知ってるかもしれない人が!!」

息を切らせながら走り、たどり着いた隣町は焼け跡だった

女勇者「………え…?」

55: 2010/02/16(火) 16:04:00.40 ID:ao5qGhMyO
女勇者「何で……?」

女勇者「どうして………」

女勇者「あ!あそこに人が!!すみません!!」

自分の家があったであろう場所を見ている人に声を掛ける

町人「……はい」

女勇者「な、何があったんですか!?」

町人「………分かりません…私が気付いた時には…町はもう火の海で…」

女勇者「そ、そうですか…」

女勇者「あの……他の人達は……」

町人「……生き残った人は皆、広場に居ますよ…」

57: 2010/02/16(火) 16:15:13.73 ID:ao5qGhMyO
ーー広場

女勇者「すみません!隣村の事で聞きたい事が…」

「知らん!邪魔だ!!」

「今はそれどころじゃないんだ!」

「他人の世話なんかしてる余裕はない!」

何人にも声を掛けるが、皆冷たくあしらう…

女勇者「どなたか!お願いです!隣村の事を教えて下さい!!」

そんな女勇者を遠くから見ていた老人が話し掛けてきた

老人「お嬢さん……」

59: 2010/02/16(火) 16:27:26.69 ID:ao5qGhMyO
女勇者「は、はい!!!」

老人「しきりに隣村の事を聞くが……どうしてかな?」

女勇者「お爺さん!知っているんですか?!」

老人「まぁな…」

女勇者「教えて下さい!お願いします!!」

老人「ふむ………教えてやらない事もないが……条件がある」

女勇者「条件…?あ、お金…情報料ですか?あまり持ち合わせないんですが…」

老人「そんなもんはいらんよ。何、簡単な事じゃよ」

女勇者「な、何でも言って下さい!!」

老人「教える変わりにヤラせてくれないかな?」

女勇者「え?!」

63: 2010/02/16(火) 16:34:04.62 ID:ao5qGhMyO
女勇者「あの…ヤラせてって……その……」

老人「嫌かな?言っておくが、隣村の事を知っているのは私だけじゃよ?他の町人に聞いても教えてくれなかったじゃろ?」

女勇者「た…確かに……」

老人「どうするかね?一発やっとくかな?」

女勇者「………ほ、本当に……知ってるの…?」

老人「もちろん!」

女勇者「…………」

67: 2010/02/16(火) 16:40:41.42 ID:ao5qGhMyO
女勇者「………ごめんなさい!やっぱりいいです!自分で何とかします!ありがとうございました!!」

老人「ほっほっほっ!そういうと思った!冗談じゃよ!ほっほっほっ」

女勇者「え?」

老人「抱きたくても、もう枯れとるわい!ほっほっほっ」

女勇者「じゃあ……」

老人「うむ、教えてもよいが条件がある」

女勇者「またヤラせろじゃ……」

女勇者は疑いの眼差しで老人を見る

老人「そう警戒しなさんな。何、簡単な事じゃ。この町を襲った奴らを倒してくれ」

69: 2010/02/16(火) 16:45:56.30 ID:kGBvEM+D0
この女勇者は50年戦ってきたんだろ?
隣町ならこの爺さんが若いころに会ってるかもしれないのに・・・

月日とは非常なものだな。

70: 2010/02/16(火) 16:47:45.03 ID:ao5qGhMyO
女勇者「それってつまり……」

老人「そいつらを…殺してくれ」

女勇者「殺……す……」

老人「ちと言葉がまずかったな。退治してくれればよい」

女勇者「で、でも!わ、私……人を殺すなんて………」

老人「ふむ?お嬢さんは何か勘違いしておらぬか?」

女勇者「え?」

老人はニコリと笑うと話し始めた

75: 2010/02/16(火) 17:01:49.61 ID:ao5qGhMyO
老人「この村を襲ったのは魔物じゃよ」

女勇者「魔物…?」

老人「そうじゃ」

女勇者「そんな……魔王が死んで、魔物は居なくなったはずじゃ……」

老人「ふむ………」

女勇者「それが……何で……」

老人「とにかく、この町を襲ったのは間違いなく魔物だった」

老人「それを倒せるのはお嬢さんしかおらぬでな」

女勇者「わ、分かりました…」

老人「ありがとう」

77: 2010/02/16(火) 17:10:16.96 ID:ao5qGhMyO
老人「そいつらは、先程からお嬢さんが聞きたがっている隣村に巣くっている」

女勇者「え?隣村に?」

老人「左様。人と同じ姿形をしているが、魔王が造りだしたれっきとした魔物じゃ。今じゃ山賊一味と名乗っている」

女勇者「それじゃ……私が殺したのは…?」

老人「うん?まぁ、そういう訳で奴らの退治をお願いできんかな?」

女勇者「はい!!」

老人「ありがとう、女勇者ちゃん。奴らの気性は荒い。気をつけての」

女勇者「任せて下さい!!」

81: 2010/02/16(火) 17:47:01.42 ID:ao5qGhMyO
女勇者は来た道を戻り隣村へ向かう

女勇者「良かった……私まだ…勇者で居られる…」

女勇者「そうよね!あんな覆面被ってパンツ一枚だけの奴が村人の訳ないよね!」

女勇者「おかしいと思ったのよ!!」

女勇者「でも……何で魔物が…?」

女勇者「魔王が死んで、魔物も居なくなったはずなのに…」

女勇者「まさか……魔王はまだ生きて…る?」

83: 2010/02/16(火) 17:58:31.67 ID:ao5qGhMyO
女勇者「着いた!まさか魔物退治にまた戻って来るとは思わなかったけど…」

女勇者「確か、隠れ家はあっただったよね…」

女勇者が隠れ家へ向かおうとすると叫び声がした

カ○ダタ「なんじゃこりゃー!!」

山賊一味「「どうしたんですかボス?…なんじゃこりゃー!」」

カ○ダタ「何で隠れ家が全焼しとんのじゃー!」

山賊D「じ、自分に言われても分からないっす!」

カ○ダタ「山賊AとBはどうしたー?!」

山賊G「隣町を襲ってる間、留守番してたはずですが…」

カ○ダタ「さてはあいつらかー!隠れ家燃やしやがったのはー!!」

女勇者「あ、ごめんなさい、それ私がやりました」

カ○ダタ「誰やお前ー!!」

84: 2010/02/16(火) 18:07:53.56 ID:ao5qGhMyO
女勇者「あ、はじめまして。女勇者っていいます」

カ○ダタ「あ、どうもご丁寧に。自分カ○ダタっていいます」

山賊一味「CですDですEですF…………」

女勇者「あ、これはどうもどうも」

カ○ダタ「何で馴れ合っとんのじゃー!!貴様か!貴様が俺の隠れ家を燃やしたんかー!!」

女勇者「あ、ついでに山賊ABも倒しました。私を襲おうとしたので」

カ○ダタ「なんじゃとー!山賊ABの敵だー!!貴様を倒してパンツ一枚の刑にしてやる!!」

~~カ○ダタと山賊C~Lが現れた!

85: 2010/02/16(火) 18:15:02.59 ID:ao5qGhMyO
女勇者「悪いけど、さくさくと終わらせてもらうね!」

カ○ダタ「笑わせるな!パンツ一枚でコサックダンス踊らせてやる!!野郎共!かかれ!!」

山賊一味「ヒャッハァー!」

女勇者「えっと、確か……連続雷撃魔法!!」

山賊一味「シビビビビ!!」

カ○ダタ「え……?」

86: 2010/02/16(火) 18:23:55.02 ID:ao5qGhMyO
カ○ダタ「あのぉ……一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

女勇者「何??」

カ○ダタ「あなた様はもしや魔王様で?」

女勇者「違うよ?私は女勇者って言ったじゃん!人間だよ!」

カ○ダタ「ふざけるなー!!人間が魔法使える訳ないだろー!!」

女勇者「使えちゃうんだから仕方ないじゃん。極大火炎魔法!!」

カ○ダタ「ぎゃーーーー!!!」

女勇者「よし、片付いた!!隣町に戻ろ!」

女勇者は無事山賊一味を退治し隣町へ戻っていった

93: 2010/02/16(火) 18:56:32.48 ID:ao5qGhMyO
隣町へと戻った女勇者は老人のとこへ走って行く

女勇者「お爺さん!」

老人「おお!よく戻ったの!して…」

女勇者「うん!退治してきたよ!」

老人「そうかそうか!流石は女勇者ちゃんじゃ!!」

女勇者「まぁね!!」

女勇者「あれ…?私お爺さんに名前教えたっけ…?」

老人「いいや」

女勇者「じゃあ何で私の名前知ってるの?」

老人「ふむ……さて、何から話そうかの」

そう言って老人は広場にある噴水の縁に腰をかけた

97: 2010/02/16(火) 19:16:19.70 ID:ao5qGhMyO
老人「まず、女勇者ちゃんが住んでいた村だが…落ち着いて聞いて欲しい」

女勇者「うん…」

老人「あの村は、魔王軍の襲撃を受け滅びた。女勇者ちゃんが旅立って半年後の事だ」

女勇者「え…?な、何で……」

老人「何故襲ってきたのかは分からない……ただ、その襲撃になす術なく村人は皆殺しにされたよ……」

女勇者「そんな……じゃあ…お父さんやお母さんは……」

老人「亡くなられた………」

女勇者「う………そ………」

女勇者は老人の前に力無く崩れ落ちる

98: 2010/02/16(火) 19:28:11.01 ID:ao5qGhMyO
老人「あの村の状況を見たとおもうが…崩れた屋根や壁等は永い間放って置いたからではない」

女勇者「………」

女勇者「でも……でも!!村の入口に移転のお知らせの看板が!!」

老人「あれは私が立てた」

女勇者「どうして……」

老人「女勇者ちゃんが帰って来た時、村が無く、ショックを受けないように…それと真実を教えようと思ってね」

老人「最近では、奴らが巣くってて新しい看板に取り替えにいけなかったがね」

女勇者「そう……だったんだ…」

100: 2010/02/16(火) 19:34:09.16 ID:ao5qGhMyO
女勇者「………グスッ…せっかく……魔王を倒したのに……村が……皆が……」

老人「気持ちは……良く分かる……」

女勇者「お爺さんに……お爺さんに何が分かるって言うのよ??!!」

女勇者「両親を亡くして!帰る家も!村も無くした私の気持ちが!!」

老人「分かるんだよ……」

女勇者「どうしてよ!!」

103: 2010/02/16(火) 19:42:00.44 ID:ao5qGhMyO
老人「先程、村人は皆殺しにされたと言ったが、それは少し間違いだ」

女勇者「え………」

老人「実は、一人生き残った男がいた」

女勇者「それって………」

老人「私だよ。両親や嫁、子供を亡くし、帰る家も村も無くして…生きる屍同然じゃ死んだも同じだからね」

女勇者「だからさっき……」

老人「そう…皆殺しにされたと言った」

女勇者「で、でも!私は…お爺さんの事知らない……」

老人「私の顔を良く見て思い出してごらん」

104: 2010/02/16(火) 19:56:50.31 ID:ao5qGhMyO
女勇者「あ……あぁ……もしかして……」

~~女勇者・回想

道具屋主人「お!女勇者ちゃんは今日も剣の練習かい?」

女勇者「うん!!もうすぐ旅立ちだからね!」

道具屋主人「あまり無理するなよ!女の子なのに、最近切り傷が増えて困るってお母さんが言ってたぞ!」

女勇者「はぁーい!」

105: 2010/02/16(火) 19:57:49.21 ID:ao5qGhMyO
道具屋主人「ところで……最近良い薬草が自生してる場所を見つけてな!それがあれば少しくらい怪我してもへっちゃらだ!」

女勇者「本当!?教えて教えて!!」

道具屋主人「教えてやってもいいが…条件がある」

女勇者「条件?」

道具屋主人「ヤラせてくれたら教えよう!!」

女勇者「え………そ、それって………」

道具屋主人「ふふふ……一発やっとくか?」

106: 2010/02/16(火) 20:00:41.35 ID:ao5qGhMyO
道具屋主人嫁「あんたはまた馬鹿な事言って!!女勇者ちゃんをからかわない!!全く!!」ボカッ

道具屋主人「痛!!か、かぁちゃん!!ご、ごめんよ~!!」

道具屋主人嫁「ごめんね、女勇者ちゃん!うちの馬鹿が変な事言って!」

女勇者「いえ!!仲良くてうらやましいです!あ、赤ちゃん産まれたんですよね?今度抱っこさせて下さい!」

道具屋主人嫁「ええ!」

~回想終了

女勇者「道具屋の…お兄さん!!」

老人「ああ」

107: 2010/02/16(火) 20:03:51.59 ID:ao5qGhMyO
老人「やっと思い出してくれたか。随分ヒントをあげたんじゃがな」

女勇者「お、お兄さん………」

老人「お帰り、女勇者ちゃん」

女勇者「おに…さぁーん!!」

女勇者は子供の様に大声を上げ、老人に抱き着きながら泣いた

女勇者「わた………わだじ……」

老人「うんうん、辛く永い旅を良く我慢したね…」

老人は女勇者を優しく抱き留め頭を撫でた

108: 2010/02/16(火) 20:05:02.24 ID:uPoEsCwR0
で、何故女勇者が老けてないのかと魔法が使えるかだな

109: 2010/02/16(火) 20:06:46.49 ID:3gUnArwg0
>>108
その事を道具屋主人も気にしてないな

113: 2010/02/16(火) 20:18:15.12 ID:ao5qGhMyO
ひとしきり泣いた後、女勇者が老人に言った

女勇者「でも…酷いよ!何で最近に会った時に教えてくれなかったの?」

老人「私も信じられなくてね……」

女勇者「何を…?」

老人「女勇者ちゃんが旅立って50年……」

女勇者「うん……」

老人「なのに…何で女勇者ちゃんは歳を取ってないんだい?」

女勇者「あ………」

115: 2010/02/16(火) 20:28:23.42 ID:ao5qGhMyO
女勇者「じゃあ、今度は私が話すね…」

老人「ああ」

女勇者はポツリポツリと話しはじめた

女勇者「私が旅立って…1年たった頃、もう魔王城の近くだった…」

女勇者「ある魔物を退治した時に、その魔物が言ったの」

老人「何て?」

女勇者「不老不死に興味はないか?俺はその秘密を知っている。見逃してくれたら教えてやるって…」

老人「不老不死……」

116: 2010/02/16(火) 20:39:51.45 ID:ao5qGhMyO
老人「それで?」

女勇者「凄く…心が揺れ動いた……だって!不老不死になれたら、いつまでも皆と一緒に暮らせるもの!!」

老人「うん…」

女勇者「だから…私ね……教えてもらったの……秘密を……」

老人「………」

女勇者「そしたら、私が魔王退治の旅を続けている限り、魔王の呪いで魔王が死ぬまで、老いる事も死ぬ事もないって…」

老人「そうだったのか…」

118: 2010/02/16(火) 20:51:59.41 ID:ao5qGhMyO
女勇者「それで私…ずっと旅をしてたの……魔物を退治しながら……」

老人「そうだったのか……」

女勇者「でも…一人で旅するのに疲れちゃって……魔物は退治しても退治しても出てくるし……」

老人「それなら一度村に帰っても良かったんじゃ?」

女勇者「できなかった…不老不死の条件が、私が魔王退治の旅をする事だったから…」

女勇者「もし…私が村に帰ってその呪いが解けるのが怖くて…」

老人「そうか…」

121: 2010/02/16(火) 20:56:36.40 ID:ao5qGhMyO
女勇者「それで…不老不死じゃなくてもいいから、両親のとこに戻りたくて…魔王を倒したの…でも…」

老人「不老不死だったのは自分だけだった…」

女勇者「みたい……道具屋のお兄さんはお爺さんになってるし……何より……村の…皆が……」

老人「………」

124: 2010/02/16(火) 21:06:38.12 ID:ao5qGhMyO
女勇者「それと……あのね……」

老人「どうしたんだい?」

女勇者「私……魔法が使えるようになったの……」

老人「何だって!?それは本当かい!?」

女勇者「うん……何でかは自分でも分からないけど…」

老人「それは他の人に言ったのかい?!」

女勇者「言ってないよ!!」

125: 2010/02/16(火) 21:12:16.45 ID:ao5qGhMyO
老人「良いかい、女勇者ちゃん」

女勇者「うん……」

老人「人は、絶対に魔法は使えない。もし、魔法が使えるのなら、それはもう魔物と同じだ」

女勇者「違う!!!私は人間だもん!!!」

老人「シーッ!声が大きい」

女勇者「ごめんなさい……」

老人「良いかい?魔法が使えるってのは二人だけの秘密だ。分かったね?」

女勇者「うん………でも…私これからどうしたら……」

126: 2010/02/16(火) 21:22:44.61 ID:ao5qGhMyO
老人「魔法は…いつから使えるようになったんだい?」

女勇者「この前…魔王を倒して村に戻ってから…」

老人「そうか………」

女勇者「どうしよう……」

老人「もしかしたら、魔王と戦った事に原因があるかも…」

女勇者「魔王と?」

老人「一度、魔王城に戻ってみたらどうだろう。何かヒントがあるかもしれないな…」

女勇者「………分かった!行ってみる!!それで、普通の女の子になって戻ってくる!そしたら…」

老人「そしたら?」

女勇者「奥さん…は無理があるから、私を孫として、一緒に暮らしてくれる?帰る家がないのは…淋しいから…」

老人「ああ。いいとも」

こうして女勇者は、また魔王城へと旅立っていった

129: 2010/02/16(火) 21:37:42.95 ID:ao5qGhMyO
女勇者が隣町を旅立って一月がたった

女勇者「…もうすぐ魔王城」

女勇者「最初に来た時は1年近くかかったけど…魔物と遭遇しないだけで随分と早く来れたな…」

突然、後ろの茂みから物音がする。女勇者は素早く剣を抜き構える

女勇者「そこにいるのは誰!?出て来なさい!!」

女勇者「出て来ないなら……」

女勇者はジリジリと間合いを詰める

魔物「ま、待て!俺だ!!久しぶりだな、勇者の姉ちゃん!」

女勇者「貴様!あの時の魔物!!」

魔物「とりあえず、俺は戦う気はないんだ!その物騒なもの仕舞ってくれないか?」

132: 2010/02/16(火) 21:43:41.00 ID:ao5qGhMyO
女勇者「例え貴様が人間だったとしても、それはできないな…」

女勇者「こんな人里離れて、しかも魔王城の近くにいるとなると、警戒したくもなる」

魔物「相変わらずおっかねぇなぁ…今のあんたにゃ手出ししないってのに。で、どうだい?不老不死は楽しんでるかい?」

女勇者「そうだ!貴様!!良くも嘘を教えてくれたな!!」

魔物「嘘?俺は嘘なんて教えてないぜ?事実、姉ちゃんは不老不死だろ?」

134: 2010/02/16(火) 21:49:21.77 ID:ao5qGhMyO
女勇者「戯れ事を!!それに、魔王亡き今も何故貴様は生きている!!」

魔物「へへ…教えてやってもいいが……今回も見逃してくれよ?」

女勇者「………いいだろう」

魔物「そいつはどうも。ついでに、それ仕舞ってもらえないか?」

女勇者「それは出来ない相談だな。いいからさっさと話せ!さもなくば斬る!!」

魔物「へいへい、分かったよ」

135: 2010/02/16(火) 21:58:48.57 ID:ao5qGhMyO
魔物「じゃあ、話しますかね」

女勇者「勿体振らずにさっさと話せ!」

魔物「へいへい。全く勇者の姉ちゃんは会話ってのを楽しもうとしないんだから…」

魔物はブツブツと薄ら笑いを浮かべながら話しだした

魔物「勇者姉ちゃんは魔王様と戦っただろ?」

女勇者「……ああ」

魔物「その時、魔王様に………ぐぁあ!!」

女勇者「ど、どうした!!」

突如、魔物が苦しそうに悶えはじめた

137: 2010/02/16(火) 22:05:42.02 ID:ao5qGhMyO
女勇者「おい!どうした!!おい!!」

魔物「魔王様に……がはぁっ……まおう……さ…ま……何…故…」

女勇者「魔王がどうした?!続きは!」

魔物「書庫……だ……書…庫…に…行け……全て…は…そこ…に……」

女勇者「おい!おい!!」

それだけ言うと、魔物は息絶え消えていった…

女勇者「書庫…?」

138: 2010/02/16(火) 22:15:19.92 ID:ao5qGhMyO
魔物に言われた通り女勇者は魔王城の書庫に向かっていた

女勇者「前に来た時に探索して場所は分かるから、奴に言われた通り書庫に向かうけど…」

女勇者「果たして…奴の言葉を信じて良いの…?」

女勇者「罠かもしれない…それに……」

女勇者「さっきから…誰かに見られてる様な視線を感じる……しかも、複数…」

女勇者「こんな状況で、行っても良いのか…?」

女勇者が迷っている間に、書庫の扉の前に到着した

141: 2010/02/16(火) 22:28:03.08 ID:ao5qGhMyO
女勇者「迷っていても仕方ない!入る!!」

扉を勢い良く開けると、数え切れない程の本が、本棚にビッシリとまるでドミノの様に並んでいる

女勇者「うへぇ……この中から探すのか……気が遠くなりそう……」

女勇者「どうしようかな……この中から探すには、100年以上かかりそうだ…」

女勇者「見たい本があるんですが!!誰か居ませんかぁ~?!」

女勇者「……って、誰も居ないよね…」

???「呼んだか?」

女勇者「ひぇっ!」

143: 2010/02/16(火) 22:36:13.31 ID:ao5qGhMyO
???「自分で呼んでおいて、何を驚いておる」

女勇者「いや、いきなり背後から声掛けられたら誰だってビックリするよ!!!」

女勇者「しかも、お爺さん気配の消し方がハンパないし!全然気が付かなかった!」

ドワーフ「ワシはここで司書をやっているドワーフじゃが…おまえさんは……」

女勇者「あ、女勇者って言います」

ドワーフ「ほう……これはまた珍しい……なるほどのう……」

女勇者「あの……何か…?」

145: 2010/02/16(火) 22:41:54.47 ID:ao5qGhMyO
ドワーフ「おまえさんの読みたい本はこっちじゃよ」

女勇者「え……、私まだ何も言ってない……」

ドワーフ「探しているのは魔法と魔王様についての本じゃろ?」

女勇者「ど、どうして分かったんですか?!」

ドワーフ「何、顔に書いてあったからの」

女勇者「か、顔に…?」

女勇者は自分の顔をペタペタと触る

ドワーフ「おまえさんは面白いの!今のは物の例えじゃ」

女勇者「は、はぁ…」

146: 2010/02/16(火) 22:48:57.41 ID:ao5qGhMyO
ドワーフ「ここに魔法に関する本、こっちに魔王様に関する本じゃ」

女勇者「あ、ありがとうございます!」

ドワーフ「どうせ暇じゃからな。暇ついでに一言言っておこうかの」

女勇者「な、何でしょう?案内したんだからヤラせろとかは無しですよ!?」

ドワーフ「何を言っている?まず、読むなら魔法関係の本からにしなさい。それだけじゃ」

女勇者「は、はぁ…」

149: 2010/02/16(火) 22:57:19.74 ID:ao5qGhMyO
ドワーフが立ち去った後、女勇者は魔法関係の本を手にする

女勇者「一応…こっちから読めって言われたから…とりあえず……」

女勇者「えっと、オークでも分かる魔法100選?1日3分で身につくマジックマスターへの道?」

女勇者「どれも胡散臭い……他には…」

女勇者「あ!これにしよう!古代魔法と現代魔法~魔法の今昔~」

女勇者「どれどれ?」

155: 2010/02/16(火) 23:15:56.62 ID:ao5qGhMyO
女勇者「フムフム…色んな魔法があるんだな…」

女勇者「なになに?魔法は4つの核からなっている。攻撃、防御、補助、移動である」

女勇者「そして、それら全ては行で出来ている。火、水、雷、氷、土である」

女勇者「………よく分からない…と、とりあえず呪文だけ覚えればいいか!うん!!」

女勇者「便利そうなのは……これとあれと………こんなもんかな?」

女勇者は本を閉じ元の場所にしまい、魔王関係の本を手に戻った

156: 2010/02/16(火) 23:26:40.44 ID:ao5qGhMyO
女勇者「次は……魔王関係の本か……」

女勇者「どれにしようかな…美しい武闘家 魔王?皆に愛される魔王になるには?」

女勇者「ほ、他の……えっと、魔王のセクハラ日記?魔王のいけない遊び?」

女勇者「………ふざけとんのかぁーい!!もっとまともな本はないの?!まともな本は!!」

女勇者「魔王の歴史……これはまともそうね…」

158: 2010/02/16(火) 23:41:49.70 ID:ao5qGhMyO
女勇者「えっと…?」

女勇者「魔族の歴史は古く、人がまだ道具を使う以前から居た。その頃は魔族にとって楽園であった…フムフム」

女勇者「しかし、人が増殖し、道具を使いだしてから、楽園は崩れはじめた…」

女勇者「奴らは我々の土地を奪い、同胞を殺し略奪の限りを尽くした」

女勇者「そんな時に産まれたのが、のちの我々魔族の長である初代魔王だ」

女勇者「この初代は魔と人との間に産まれ、性格は残虐、横暴、利己主義であった」

女勇者「初代は自分以外は信じず、我々の同胞を次と殺していき、忠実なる部下を魔法で造りだし、この世を支配しようとした」

161: 2010/02/16(火) 23:55:17.45 ID:ao5qGhMyO
女勇者「む…難しい……もっと簡単に……そうだ!ドワーフさーん!」

ドワーフ「なんじゃ」

女勇者「すみません!魔王の歴史を簡潔に詳しく教えて下さい!」

ドワーフ「全く…最近の若いのの活字離れにも程がある…」

女勇者「お願いします!」

ドワーフ「簡単に言うぞ?おまえさんが戦った魔王は2代目じゃ」

女勇者「2代目?じゃあ初代は?」

ドワーフ「死んだよ。我々同胞に殺されてな。そして、初代が死ぬと同時に、魔法で造った魔物も消えた」

ドワーフ「が、初代は死ぬ間際に自分の意思を継ぐ者として2代目を造った自分の死後も生きながらえる者をな」

女勇者「なるほど…」

162: 2010/02/17(水) 00:04:39.99 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「だが、この2代目も厄介でな」

女勇者「厄介?」

ドワーフ「初代の記憶を引き継ぎ、初代ではなしえなかった魔法を開発した」

女勇者「それはどんな…」

ドワーフ「転身魔法じゃよ」

女勇者「転身魔法…?」

ドワーフ「簡単に言うと、誰かに乗り移り、時が来たら復活する魔法ってこじゃ」

女勇者「そんな事が……できるんですか…?」

167: 2010/02/17(水) 00:15:21.51 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「できる」

女勇者「そんな!それじゃ無敵じゃないですか!!」

ドワーフ「そうじゃな。だが、その魔法にも弱点がある」

女勇者「それはどんな…」

ドワーフ「そこの本に載っておる。後は自分で調べろ」

女勇者「はい!ありがとうございました!でも、凄く詳しいんですね!」

ドワーフ「その本を書いたのはワシじゃしな。全て、自分の目で見て記憶している事を書いたまでじゃ」

そういうとドワーフは去って行った

女勇者「え…って事は…」

170: 2010/02/17(水) 00:24:20.34 ID:sTNWJjx1O
女勇者「さて、その魔法の弱点は………あった!」

女勇者「なになに、一度転身すると、最低半年間はその身体に入っていなくてはならない」

女勇者「なぜ半年かと言うと、次にその魔法を使えるようになるのは半年後だからだ」

女勇者「それ以内に出てしまうと、その魔法は使えないばかりか、魔力不足の為まともに戦えないからだ…」

女勇者「……って事は…その転身先を半年以内に見つけて引きずりだせば、今度こそ魔王を退治できる!!」

171: 2010/02/17(水) 00:34:50.36 ID:sTNWJjx1O
女勇者「それからそれから?」

女勇者「その転身魔法を解除する呪文は……」

女勇者「コジ……違うな……」

女勇者「難しくて読めない……もっと勉強しとくんだった…」

女勇者「えっと…コギ…コギト…?」

女勇者「エル…エルゴ………スム?」

女勇者「コギト・エルゴ・スム!」

その瞬間、女勇者の胸の辺りが怪しく光り、次第にその光りは胸の前で型を成して行く…

女勇者「え!?な、何?これ??」

200: 2010/02/17(水) 08:11:49.40 ID:sTNWJjx1O
女勇者「な、何これ?!」

光りの玉はやがて型を成し、女勇者の見覚えのある者になった

女勇者「な……ま、魔王!?」

魔王「………」

魔王と呼ばれるそれは部屋の中を見回す

魔王「………久しぶりだな、女勇者よ」

女勇者「くっ……!し、信じられない…このプレッシャーは……」

女勇者「本当に魔力が弱ってるの…?」

女勇者は剣を抜き身構える…が、何者かにより剣を叩き落とされる

女勇者「痛っ!!」

202: 2010/02/17(水) 08:20:18.23 ID:sTNWJjx1O
魔王「………ドワーフか」

ドワーフ「お久しぶりです、魔王様」

女勇者「ドワーフさん!何で?!」

ドワーフ「何でも何も、ワシは魔王様の部下だからの」

魔王「………ふん」

魔王「ここで戦闘になっても困るのでな…別の場所に移動するか。ドワーフよ、連れてまいれ」

ドワーフ「はは!」

女勇者は手枷をドワーフに嵌められ連れていかれた

203: 2010/02/17(水) 08:28:17.26 ID:sTNWJjx1O
ーー魔王城・玉座の間

魔王「女勇者よ、3ヶ月振りだな…またこうやって貴様に会えて嬉しいぞ」

女勇者は魔王の前にひざまづかされる

女勇者「くっ!!」

魔王「まぁ、ちと早過ぎる再会ではあるがな…」

女勇者「倒したと思ったのに……まさか私の中にいたなんて……」

魔王「貴様の中は、結構居心地が良かったぞ…くくくっ」

204: 2010/02/17(水) 08:39:43.27 ID:sTNWJjx1O
魔王「村に帰った時の絶望感……」

魔王「魔物を人だと勘違いし、殺した事への恐怖感……」

魔王「村を襲ったのが我が軍と知った時の憎しみ……」

魔王「全て貴様の中から見ていた……」

魔王「どれも馳走であったわ…く…くくっ」

女勇者「くっ…ま…魔王……!!絶対にあんたを許さない…!」

魔王「そんな格好でか…?くっくっくっ」

207: 2010/02/17(水) 08:50:41.99 ID:sTNWJjx1O
女勇者「私の中で見ていたと言ったわね…まさか魔王城の外で会った魔物は…」

魔王「ああ、我が消去した。我が造った魔物だからな…貴様の中にいてもその位はできる」

女勇者「何故そんな事をした!?」

魔王「奴は余計な事をベラベラと話し過ぎるのでな……」

女勇者「じゃあ…私が魔法を使えたのは…」

魔王「そう、我が居たからだ……」

魔王「魔法が使えた事への貴様の狼狽振り……ふふ…今思い出しても心が躍る…」

女勇者「あんたは…どこまで人を馬鹿にすれば………」

209: 2010/02/17(水) 09:08:12.00 ID:sTNWJjx1O
魔王「さて、他に聞きたい事はあるかな?」

女勇者「………」

魔王「無ければ……そろそろ貴様を始末するとしようか……」

女勇者「くっ…こんなところで…!」

魔王「ドワーフよ……女勇者の首を落とせ」

ドワーフ「はは!」

女勇者「こんなところで…もう少しで…魔王を倒せた…はずなのに……」

魔王「人間の…死に直面した時の絶望感…それが唯一我を倒せる勇者のものとなると……くくくっ」

魔王「たまらんなぁ!はぁーはっはっはっ!!」

女勇者「くっ…例え…例え首だけになろうと!!必ずあんたの喉笛に噛み付いてやる!!!」

210: 2010/02/17(水) 09:15:12.12 ID:sTNWJjx1O
女勇者は首を投げ出され、その頭上にはドワーフが構える剣が怪しく光る

ドワーフ「最後に何か言いたい事は?」

女勇者「………ない」

ドワーフ「そうか。ならワシから一つ尋ねたいんじゃが」

女勇者「………何?」

魔王「何をしている!早く斬り落とせ!!」

ドワーフ「おまえさん、魔法書は読んだか?」

女勇者「………ええ」

ドワーフ「そうか」

そう言うとドワーフは勢いよく剣を振り下ろした

211: 2010/02/17(水) 09:24:28.62 ID:sTNWJjx1O
ドワーフの振り下ろした剣は鈍い音を響かせ、女勇者の首を落とす

女勇者「………」

魔王「貴様!!裏切ったか!!」

はずだった…ドワーフが斬り落とした物は女勇者の首ではなく手枷だった

ドワーフ「裏切る…?我々同胞を幾多と殺してきた貴様の口から出る言葉とは思えんのぉ!!」

ドワーフのその言葉を聞いても、女勇者は何が起きているのか理解出来なかった

ドワーフ「おまえさん!早く立つんじゃ!!」

女勇者「え…は、はい!!」

213: 2010/02/17(水) 09:38:44.95 ID:sTNWJjx1O
ドワーフに促され立ち上がる女勇者に、ドワーフは剣を渡す

ドワーフ「この剣を使え!!ワシが鍛えた一級品じゃ!おまえさんが持ってたナマクラより切れ味は鋭いぞ!!」

女勇者「ありがとうございます!!」

魔王「貴様らぁ!!」

ドワーフ「よいか、そのまま斬り掛かっても魔王を倒すのに時間がかかり逃げられる可能性がある!」

ドワーフ「しかし、弱っている今の魔王なら一撃で倒す事もできる!!」

女勇者「どうすれば!!」

魔王「貴様らに死よりも辛い苦しみを与えてくれる!!」

214: 2010/02/17(水) 09:46:21.83 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「何の為に魔法書を読んだのじゃ!その剣に魔法を纏わせるんじゃ!」

女勇者「しかし!私の中にはもう魔王は…」

ドワーフ「いいからやれ!!」

女勇者「はい!!極点火炎魔法!!」

魔王「無数氷矢魔法!!」

魔王よりも一瞬早く女勇者が唱えた魔法は炎の蛇の様になり剣へ纏わり付く

が、魔王の放った無数の氷の矢が女勇者を襲う

ドワーフ「しまった!」

217: 2010/02/17(水) 09:57:32.32 ID:sTNWJjx1O
ドワーフは女勇者の前に飛び出し、その身に氷の矢を浴びる

ドワーフ「がっ……はぁ!」

女勇者「ドワーフさん!!」

魔王「ちょこまかと邪魔をしおって!!」

ドワーフ「ワシなら心配はいらん…今のうちに…魔王を討つんじゃ……ゴフッ」

女勇者「でも!!」

魔王「ふん!これで邪魔者はいなくなった!女勇者よ!今度こそ死ね!」

ドワーフ「我々同胞の敵討ち……たのん…だ……ぞ……」

女勇者「ドワーフさん!魔王……まおぉぉおう!!!」

218: 2010/02/17(水) 10:14:23.39 ID:sTNWJjx1O
魔王「極大水魔……」

女勇者「たぁぁぁああああ!!!」

魔王の詠唱より先に女勇者の剣が魔王の心臓に突き刺さる

魔王「……がふっ」

女勇者「うわぁぁあああ!!!」

女勇者は魔王の左肩まで斬り上げる

魔王「く……そ……我が野望も……ここまで…か」

219: 2010/02/17(水) 10:16:04.67 ID:sTNWJjx1O
女勇者「はぁ……はぁ……」

剣に纏わり付いていた炎の蛇は切り口より魔王の体内に入り、魔王の全身を飲み込んで行く

魔王「くくくっ…我はこれで滅ぶ……が、必ずやまた復活するだろう……」

女勇者「その時は…私がまたあんたを倒す!私が無理でも!必ず私の子孫が倒す!!」

魔王の指先が紫色に光る

魔王「ふふ……いいだろう……今、貴様に呪いを掛けた……子々孫々……未来永劫…戦おう………」

女勇者「望むところよ!!」

魔王の身体は激しく燃え上がり灰と化した

220: 2010/02/17(水) 10:22:51.50 ID:sTNWJjx1O
勝利の余韻に浸る暇もなく、女勇者はドワーフに駆け寄る

女勇者「ドワーフさん!ドワーフさん!!」

女勇者の呼び掛けにドワーフは応えない

女勇者「ダメだよドワーフさん!せっかく皆の敵を討ったんだよ!!」

女勇者「その喜びも知らずに死んじゃダメだよ!!一緒にお祝いしようよ!!」

女勇者「お願い!目を醒ましてよ!!ドワーフさん!ドワーフさーーん!!!」

221: 2010/02/17(水) 10:28:36.64 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「なんじゃ、五月蝿いの!もう少し休ませんか!」

女勇者「え?」

ドワーフ「何を泣いておる?ワシは大丈夫だと言ったじゃろ」

女勇者「あれ?死んだんじゃ……」

ドワーフ「勝手に殺すな!あれはフェイクデスと言って、一時的に仮死状態になって傷を癒す技じゃ!!」

女勇者「そうだったんだ!!良かった!!」

223: 2010/02/17(水) 10:37:47.28 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「ふむ……終わったみたいじゃの」

女勇者「うん!!ドワーフさんのおかげで魔王倒せたよ!!」

ドワーフ「そうじゃろそうじゃろ!全てワシのおかげじゃ!」

ドワーフ「魔王の倒し方を教えたのも、氷の矢から守ったのもワシじゃ!感謝するがよい!!」

女勇者「うん…分かってる…」

ドワーフ「何で脱いでいる?」

女勇者「え…?だって助けてやったんだから、感謝の気持ちを込めてヤラせろって事じゃないの?」

ドワーフ「誰が言うか!!ワシはかぁちゃん一筋じゃ!!」

女勇者「あはは!冗談ですよ!!」

ドワーフ「全く…近頃の若いもんは……礼儀と言うものを……ブツブツ」

226: 2010/02/17(水) 10:46:44.78 ID:sTNWJjx1O
ドワーフ「これから、おまえさんはどうするんじゃ?」

女勇者「うん、お家に帰ろうかと思ってる!」

ドワーフ「しかし、おまえさんの村は…」

女勇者「大丈夫!新しい家見つけたの!!それに、家族も!!」

ドワーフ「そうか。なら達者でな」

女勇者「ありがとう!!あ、この剣お返しします!」

ドワーフ「おまえさんにくれてやる。同胞の敵を討ってくれた礼と、戦友との絆の証じゃ」

女勇者「………ありがとうございます!!」

女勇者は剣をギュッと抱きしめ、ドワーフに一礼し後ろ姿を見送った

227: 2010/02/17(水) 10:55:27.01 ID:sTNWJjx1O
隣町へと帰る途中…

女勇者「結局、魔法の事はどうにもならなかったな…」

女勇者「ドワーフさんの話しだと、一度得た魔力はそのまま残り魔法も使えるままになるって事だし…」

女勇者「はぁー……どうしよう…」

女勇者「道具屋のお兄さん………おじいちゃんにまた相談しなきゃ!」

女勇者「魔王の呪いもなくなって、私の時間も動き出すし!これでやっと普通に歳が取れる!!」

230: 2010/02/17(水) 11:08:44.44 ID:sTNWJjx1O
女勇者「あれ……?呪い……?」

女勇者「確か…魔王は……『子々孫々…未来永劫……戦おう』って……」

女勇者「って事は……?魔王はまた復活する…?」

女勇者「どうしよう!何で私あんな事言っちゃったの?!これじゃ…これじゃぁ……」

女勇者「終わんないよぉ~~~!!!」


233: 2010/02/17(水) 11:15:44.87 ID:sTNWJjx1O
~隣町に戻ったのち、女勇者は王の元へ訪れ魔王がまた復活する事を伝えた

王はその言葉を信じ、魔王からの侵略を防ぐ為に軍を強化する事を誓った

その際、女勇者は人でも魔法が使え、以降の魔王との戦闘でも有効な手段となる事を力説

その意見を受け入れた王により、魔導隊が組まれ、女勇者はその長として活躍した。のちの大魔導師の誕生した瞬間である


234: 2010/02/17(水) 11:21:17.43 ID:sTNWJjx1O
ーー幾年月が過ぎ…

母「起きなさい勇者…今日はあなたの誕生日…王様に会いに行く大切な日よ」

勇者「分かったよ、母さん」

母「魔王が復活した今、魔王を倒せるのはあなただけ…あなたの曾祖母がしたようにね…」

勇者「分かってるってば。でも、その曾祖母ってどんな人だったの?」

母「彼女は命を賭け世界を救い、この世に魔法を広めた凄い人なのよ…彼女の名は……」

~~~~~

女勇者「皆に魔法を教えたし、引き継ぎも完了したし、子孫も残せたし!これでやっと私の役目も…」

女勇者「終わっ………た!」

~fin

237: 2010/02/17(水) 11:29:09.97 ID:sTNWJjx1O
良かった……ちゃんと終われた……

自分的には何故勇者や魔法使い、賢者や僧侶何かが魔法を使えるようになったのか…
ってのを書けたらなぁ~何て思いで書いてました!

まぁ、あまり上手く書けてませんでしたが…未熟の致すところです……

ですが、こうやって無事完結出来たのは、支援・保守・ご意見を頂いた方達の賜物です!!
本当に感謝の気持ちでいっぱいです!!

238: 2010/02/17(水) 11:29:12.82 ID:2NKvWuf7P
いちおつ

239: 2010/02/17(水) 11:30:06.21 ID:98vo+Yx40
おもしろかったよ


242: 2010/02/17(水) 11:31:38.87 ID:pGcCttvd0
いちおつ
自分も魔法仲間キャラなら誰でも使える設定はアレだな
もっと神秘性があっていい

251: 2010/02/17(水) 13:14:39.55 ID:6R5mqmt/0
乙でした

300: 2010/02/17(水) 23:40:07.01 ID:mIr0cxSs0
乙!

引用元: 女勇者「終わっ………た!」