1: 2012/05/28(月) 20:26:27.61 ID:71xOOSCC0
勇者「え、ちょ、どういうこと?」

猫「にゃ~にゃ~」トテトテ

勇者「え、なに、これどういうこと?もしかして場所間違えた?」ポカーン

猫「にゃにゃ~」スリスリ

勇者「ごめんなさい、こういうときどういうリアクションすればいいかわからないの」

猫「な~」ぽんぽん

勇者「そんな慰められてもねぇ……」

猫「にゃ?」

勇者「…は!わかった!つまりこういうことか!」

4: 2012/05/28(月) 20:29:33.09 ID:71xOOSCC0
魔王「もうじき勇者がやってくる。しかし、正直勝てるかどうかは五分五分だ」

魔王「ならばやつの隙を突いて、確実に殺す手を考えなければならんな」

魔王「……む、そうだ。思いついたぞ。変身!」ボワッ

魔王猫「にゃにゃ!(ふふ、完璧だ!素晴らしく愛らしい三毛猫だ!)」

魔王猫「にゃーにゃにゃ(やつが私という愛くるしい猫ちゃんに夢中になってる隙を狙い…)」

魔王「死ね!勇者よ!!」

勇者「ぐあああああ!!!卑怯なっ……でもやられちゃう!!」バタン

魔王「ははははは!なんという完璧な筋立て!自分の頭脳が恐ろしいぞ!」


勇者「…ってことに違いない!」

猫「……」ハァ

8: 2012/05/28(月) 20:31:40.29 ID:71xOOSCC0
勇者「というわけで猫に扮した魔王、悪いけど死んでもらいます」スッ

猫「……!!」ビク

勇者「ごめんね、これも世界の平和のためなんだ」ジリジリ

猫「……にゃ、にゃあ…」ガクガク

勇者「くっ……いや、ためらっちゃだめだ!こんなこと今まで何度も遭ったじゃないか!甘えは捨てるんだ勇者!」

猫「……っ」プルプル

勇者「ぐ………うあああああああ!!」

猫「!?」ビク

10: 2012/05/28(月) 20:34:27.59 ID:71xOOSCC0
勇者「ちくしょおお無理に決まってんだろうがーー!うちにだってペットとして猫飼ってるんだよー!殺せるわけないだろー!」

猫「……」

勇者「くっ…でもどうしたらいいんだ。魔王が目の前にいるっていうのに、みんなが私の帰りを待ってるっていうのに」

猫「…にゃ?」

勇者「そ、そんなつぶらな目で見ないで!」ササッ

猫「……にゃにゃ」フリフリ

勇者「な、なに?ついてこいってことか?」

猫「……」トトトト

勇者「一応、目を離すわけにはいかないしな。あれが魔王だったとしても、そうでないとしても」

11: 2012/05/28(月) 20:37:29.51 ID:71xOOSCC0
猫「にゃ」ギィ

勇者「……(何気に怪力だな)」

猫「にゃっ」クイクイ

勇者「…なんすかここ、って寒っ!」ブルブル

猫「にゃ~、にゃ」ストン

勇者「そこでお座りされても…。私にどうしろっていうんだ。ん?何かいい匂いが」

猫「にゃふふふ」

勇者「この中か?よっこいせ」ギィィ

勇者「おぉ、なんか食料が置いてあるぞ」

グゥゥゥ

勇者「そういえば、最後のセーブポイントから何も食ってなかった」グゥゥゥ

12: 2012/05/28(月) 20:40:26.83 ID:71xOOSCC0
勇者「コンロは、そこか。ここをこうして……あれ?点かないぞ?」カチカチ

猫「……にゃっ」ポイ

勇者「これは炎の魔石。これを炭に使うのか?」

猫「にゃん」コク

勇者「なるほどな。しかしいいのか?魔石って結構貴重なんじゃ…おわちっ!」ボウ

猫「にゃはははwwwww」

勇者「そこ!笑うな!魔法あんま得意じゃないんだよ!って、これをそのコンロに入れればいいのか」ポイン

ボワアアアアア

勇者「おぉ、さすが魔石。これで料理とかは問題ないな。…ってあれ?私、ここで暮らすの?」

14: 2012/05/28(月) 20:44:22.45 ID:71xOOSCC0
猫「にゃっ!」

勇者「じょ、冗談じゃない!私には帰る家が…あ、あれ、開かない!どうして!入るときは開いたのに!」ガチャガチャ

猫「にゃん」ペター

勇者「うぅ……窓は……だめだ。一枚くらいなら割れそうだけど、何十も層になってる。あう…まじで出られないのかよ…」ショボン

グゥゥゥ

勇者「そして追い打ちをかけるかのように空腹。仕方ない…とりあえず御飯食べよう」

猫「……」

勇者「このでっかい肉でも焼こうかな」ドン

勇者「包丁は…、ないな。もう、この剣はそういうために使うわけじゃないのに」スッ

勇者「たぁ!」ガキッ

勇者「かてぇ!何これ!」

猫「くああぁぁぁ」フワァ

15: 2012/05/28(月) 20:47:42.01 ID:71xOOSCC0
勇者「冷凍した何かのアイスくらい硬い…いやいや、そういう言い方だとこの剣に失礼だな。よーし、それじゃあ」

ボワッ

猫「にゃ?」

勇者「魔法は苦手だけど、魔力を剣に込めて使うのは得意なのさ。これなら熱で溶けて切れるはず!たぁぁ!」ガッ

勇者「いってぇぇぇ!!!!ブルーメタル製の鎧も切り裂くはずなのに、なんだこの肉!肉のくせに生意気だぞ!!」

猫「くあぁぁぁ」フワァ

勇者「くっそう、猫にも馬鹿にされてるし……このまま焼くわけにもいかないし、どうしよう…」グゥゥ

猫「……」トトトト

猫「にゃっ」ポイ

勇者「ん?何だこれ」

16: 2012/05/28(月) 20:52:29.19 ID:71xOOSCC0
猫「……Zzz」グゥ

勇者「寝てるし。これも魔石か…?なんか禍々しい色してるけど。魔力込めてみるか」ギュッ

ブゥゥンン

勇者「うわわ!け、剣だと?なんなんだこれ。って、うわぁ…見るからに『魔剣です』って形状」

勇者「一応勇者なんだけどなぁ。聖剣はたくさん使ったけど魔剣なんて初めてだ。…魔剣かどうか確証ないけど。これで切れっかな?」ブゥン スパッ

勇者「あっさり切れた!豆腐みてぇに切れた!すげぇ、魔剣すげぇ!…私の聖剣、泣いてもいいんだぜ…」

勇者「まぁいいや。さいの目切りにしていただこう」



勇者「はぁ、食った食った。ちょっと臭ったけど中々な味だっt」

猫「にゃーにゃー」グイグイ

勇者「あーはいはい、行きます行きますって。そんな急かすな」

17: 2012/05/28(月) 20:55:34.56 ID:71xOOSCC0
猫「にゃ」ピタ

勇者「ここは?」ガラッ

勇者「…風呂、だな」

猫「にゃっ」

勇者「確かに、水浴びとかあんましてなかったから、ちょうどいいけどさ」

猫「にゃん」

勇者「あの、お湯の色がまた禍々しいんだけど、毒とかないよね?ねぇ?」

猫「…」プイッ

勇者「今目逸らしたでしょ!ねぇ!明らかにそうでしょ!」

猫「……」ザブン

勇者「ね、猫が大丈夫なら、人間でも問題ない、よな?一応毒消し草噛んでおこう」ヌギヌギ

猫「…にゃふぅ」ポカポカ

19: 2012/05/28(月) 20:58:07.47 ID:71xOOSCC0
勇者「ふぅ、わひほいいひゅらな(割といい湯だな)」

猫「にゃ?」

勇者「れもまらゆらんれきらいぞ。りょうりんにこひあこほわわい(でもまだ油断はできないぞ。用心に越したことはない)」

猫「にゃ…にゃあ?」

勇者「ろふへひほうはんへるんはよ!ほふにははっはらはるいはらは!(毒消し草噛んでるんだよ!毒にかかったらまずいからな!)」

猫「…ぷっ」

勇者「(猫に吹き出された…くそう、なんたる屈辱だっ…モゴモゴ)」

20: 2012/05/28(月) 21:03:03.47 ID:71xOOSCC0
勇者「さて、そろそろ寝る時間だけど…やっぱりここは探索しないとな。どこかに出口があるかもしんないし」

猫「……」フリフリ

勇者「別にあいつが邪魔してくるんなら容赦しないけど。興味なさそうだしな。さて、行くか」

勇者「地下はまだ踏破してなかったな。手に入れそこねた宝箱とかないかな」キョロキョロ

勇者「…特にないか。しかし、ここって何なんだ?魔王城に来たはずが、奥で待ってたのは猫だし」

勇者「おかしな点はまだあったな。この城、魔物が全然出ないんだよな。宝箱も開封済みだったりするし。もしや、玉座の裏に隠し通路があるのか?」

勇者「ここは…。鍵は、いらなそうだな」ギィ

勇者「!?」

21: 2012/05/28(月) 21:05:57.61 ID:71xOOSCC0
勇者「なっ…なんだ、ここ。屍だらけじゃないか」

勇者「それに、どれも自殺したような格好だ。どういうことだ?精神的な拷問部屋なのか?」

勇者「うっ…気分が悪い。こんなとこさっさと出よう」ダダダ

勇者「はぁ…なんだったんだ、あそこは。普通に考えれば、魔王に捕まった人間の末路のように思うけど」

勇者「捕まるくらいだったら、魔王直々に手を下したほうが早いと思うし…」

勇者「人体実験か…?ううん、わからん。いいや、玉座の裏を見てこよう」

22: 2012/05/28(月) 21:08:32.22 ID:71xOOSCC0
猫「…!」スッ

勇者「ちょっとそこ、どいてくれないか」

猫「……」スタスタ

勇者「(あっさりだな)動くかな、よっ」ズズッ

勇者「動いたけど、別に何もないな。風が吹いてるわけでもないし」

猫「なぁ~」スリスリ

勇者「懐かれる理由がいまいちわかんないけど、…ふああ、今日は色々ありすぎて眠いな。寝よう、そうしよう。出口は明日探せばいいか」ゴロン

勇者「………Zz」

猫「……」ペロペロ

23: 2012/05/28(月) 21:12:15.75 ID:71xOOSCC0
勇者「うーん、えっと、ここは、そっか、魔王城で一泊したんだっけか」コキコキ

猫「なぁー」

勇者「お早う。あぁ、起きたてでお腹空いたな。何か作るか」

猫「にゃ~」

勇者「…うーん、なんか得体のしれない草とかあるな。冷蔵庫にあるから食用なんだろうけど、食べるか?」スッ

猫「…」プルプル

勇者「なんだよ、じゃあ一人で食うからな」ガリ

勇者「ブフーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

勇者「まっじぃぃぃ!!!まるで数週間放ったらかしたカレーの匂いをそのまま味に転換させたくらいまずい!」ゲホゲホ

猫「ぷっw」

勇者「笑うな!ちくしょう!おかげで目ぇさっぱりしたわ!」

24: 2012/05/28(月) 21:16:18.53 ID:71xOOSCC0
勇者「ふふふ、だがわかったぞ。こういうのはアク抜きをすればいいんだ!そうすれば食えないほどにはならないはずだ!」

猫「くあぁ……」ポリポリ

勇者「まずは水を張って点火!」

ボワァ

勇者「沸騰したら草投入!」ドボドボ

勇者「アクを丁寧に取ったら…ってアクでねぇ!…うぅ、ほんとに大丈夫かな」

猫「……」フリフリ

十分後

勇者「よし、そろそろいってみるか」パクッ

勇者「バフォォッ!!!まっず!生よりマズッ!!まるで砂糖と塩を入れ間違えて作ったケーキくらいまずっ!」ペッペッ

26: 2012/05/28(月) 21:20:26.44 ID:71xOOSCC0
勇者「くそ…まるで常識が通用しない草だなこれは…」ギュッ

勇者「ん?草を握ったら汁が垂れてきたぞ」ポタポタ

勇者「……ぺろ、まっずうう!あ、これはもしかしたら!」ピキーン

猫「……にゃ?」

勇者「よし、こんなもんだろう、あむっ」モグモグ

勇者「お…おぉ、そうか!この草は握り潰すことで葉腋をしぼり出すのか。なーるほど!雑巾絞りして食えってことだな!」

猫「…にゃぁ」

勇者「おぉ猫。今気分がいいからお前にもやろう、ほら」ポイ

猫「…」モシャモシャ

勇者「よーし!この調子でどんどん料理を作るぞ!なんか当初の目的からずれてるけど気にしない!」

27: 2012/05/28(月) 21:24:40.41 ID:71xOOSCC0
勇者「ふぅ……こんなに食材で頭を使ったのは初めてだ…特にあの妙な形したキノコ、石突以外に麻痺毒があったのはびっくりだわ。三途の川が見えた」

猫「にゃあん」

勇者「お、お前も満腹でご機嫌かな?」

猫「……」スリスリ

勇者「まぁさ、魔王のことは気になるけど、自分で何かを発見して成功させたときって、すっごい嬉しいよな」

猫「にゃあ」

勇者「それが、私の使命である『魔王退治』だったんだ。だけどさ、魔王とはいえ、人間とそんな変わらない生き物なわけじゃない」

猫「にゃ」

勇者「それがなんであろうと、『誰かを殺すために存在する』『勇者』でいるの、結構重荷だったんだ」

猫「んにいぃ」

勇者「はは、ごめんな。お前に愚痴っても仕方ないのに」

28: 2012/05/28(月) 21:27:37.71 ID:71xOOSCC0
勇者「で、ここは?」

猫「にゃー」

勇者「あぁ、ここで灯りをつけるのか。ほい」ボッ

勇者「おぉ、これは……えっと、家庭菜園?」

猫「…」コク

勇者「しかし、またこれは珍妙な果物ばっかりだな…。ちょっと味見」ポリ

勇者「すっぱっ!これは酸味がすごいな!こっちは…うっわぁ甘すぎ。一回舐めただけどオール虫歯になれるな。こっちは……」

猫「………」ジィ

猫「……」トトトト

29: 2012/05/28(月) 21:30:39.78 ID:71xOOSCC0
勇者「おはよーう!今日はメガ出目金のフルーツソース添えにしたよ」

猫「にゃあ♪」

勇者「冷蔵庫の奥見たら馬鹿でかい目した魚があってさ、そいつ身がほとんどないんよ。で、どこが美味いと思ったら、骨なんだわ骨。びっくりだけど、この桃尻みかんに合うんだ」

猫「にゃっ」

勇者「ふぅ、あの家庭菜園、何か日差しみたいな装置があるから肌がちょっと焼けてきたんだよな。でも、インドア生活なのに健康的に見えるからどっこいどっこいだよな」

猫「にゃあ」

勇者「なんか、ここで暮らすのも悪くなくなってきたな。魔王が帰ってきたりしたら、戦わないといけないけど」

31: 2012/05/28(月) 21:33:08.24 ID:71xOOSCC0
勇者「はっ!」ボシュ

猫「…にゃ?」

勇者「あぁ、お前か。見てよほら!苦手だった魔法がなんかやりやすくなってるんだ!」ボッ

猫「にゃあにゃあ」

勇者「普段食べてるのに魔力でも詰まってるのかな?冒険のときは魔法より脳筋ゴリ押しプレイだったから気づかなかったけど、使い慣れると魔法も便利だね」

猫「にゃあ」

勇者「これなら、いつ魔王が来てもおかしくないな!はぁっ!」ドンドンッ

猫「………」

勇者「来るならいつでも来い!魔王!」

猫「……」スタスタ

35: 2012/05/28(月) 21:36:14.51 ID:71xOOSCC0
勇者「ふあぁ、もうどのくらいここに住んだかな…。あれ?猫?」

シーン……

勇者「猫は気まぐれっていうから、どっか遊びにでも行ったのかな?まぁ朝御飯でも食べ…」

勇者「ん?これは…?」

勇者「魔石の欠片?どこまで落ちてるんだ?ヘンゼルとグレーテルじゃあるまいし」

勇者「んん、ここまでは来てなかったな。あいたっ!」ゴン

勇者「ここでなくなってる。よっと」ギィィ

勇者「ん?なんだ?石版かな?表面がつるつるしてるけど…」

ポチ

勇者「あ、な、なんだ?何か移って………えっ?」

36: 2012/05/28(月) 21:39:41.48 ID:71xOOSCC0
『今入った情報によると、遂に魔王が蘇ったようです』

勇者「なんだって!魔王が蘇った!?今まで姿を見せなかったのは、封印されていたからか!」

『特派員が撮影した情報によりますと、魔王城の画像を入手しました。こちらです』

勇者「…これ、私が今いる城じゃないか。ということは!もう既に魔王が待ち構えてるかも!こうしちゃいられない!」ダダダ

『…あ、続報が来ました。えー、今入った情報によりますと…』


『国王が、勇者を派遣すると発表しました』

38: 2012/05/28(月) 21:41:42.13 ID:71xOOSCC0
勇者「魔王!いるのか!」バン

勇者「…いない。どういう、ことだ?」

勇者「ん?あれは…」

勇者「これは、魔石?一体誰が。あの猫か?やっぱり、あいつが魔王だったのか?」

勇者「…わからない、何がどうなってるんだ。顔でも洗いに行こう」



勇者「え、嘘……な、なんだよこれ?」

39: 2012/05/28(月) 21:45:05.25 ID:71xOOSCC0
勇者「黒い肌…禍々しい瞳、額から伸びた角…な、なんで?なんで私が…こんな姿に?」

勇者「ん?ま、魔石が!?」ペカー


?「失礼するよ」

勇者「君は誰だ!?なんで私があんな姿になったんだ!?」

?「まず単刀直入に教えてあげよう。この世には、魔王なんかいないんだ」

勇者「!? ど、どういうことだよ!」

?「僕も、君と同じように魔王を倒しにやってきた勇者…いや、今じゃただの猫か」

勇者「ね、猫!君なのか!」

猫?「うん。よく聞いてくれ、勇者」

勇者「う、うん」

42: 2012/05/28(月) 21:48:56.59 ID:71xOOSCC0
猫?「人類は魔王という偽りの存在を恐れていた。しかし、魔王なんて実際はいない。でもモンスターは現れるし、モンスターが頻出することを魔王が蘇った、と誤解していたんだ」

勇者「……」

猫?「だから、人間は魔王という存在を作り上げ、それを打ち倒す勇者を生み出した。魔王を倒すことで、人間は永遠の安息を求めたんだ」

勇者「魔王がいないのに、勇者を……」

猫?「でも、この城には人間の負のエネルギーが充満して、それが蓄積されてやがて魔王城という存在になった。魔王のいない魔王城、滑稽とは思わないか?」

勇者「それは…」

猫?「ここで暮らしたものは、魔王という存在に成り果てる。君はまだ姿だけだけど、そのうち身も心も魔王となる」

勇者「私が…魔王に…!?」

44: 2012/05/28(月) 21:51:46.34 ID:71xOOSCC0
猫?「ここにある食べ物を食べ、風呂に浸かり、果物を食べ、徐々にその身体は魔王という存在に変化していく。魔力が上がったりしたのは、その予兆だよ」

勇者「私が…魔王に」

猫?「歴代の勇者はそれに気が付き、そうならないよう自ら生命を絶った。君が見た牢屋は、魔王を拒んだ勇者の最期なんだ」

勇者「あれが、先代の勇者達…」

猫?「このまま君が何もしなければ君は死ぬ。餓死か自殺かは知らないけど」

勇者「どうすれば…どうすればいいんだ?」

猫?「答えは簡単さ。僕になればいい」

勇者「え?」

45: 2012/05/28(月) 21:54:11.16 ID:71xOOSCC0

猫?「言っただろ?僕も元勇者だって。魔王にもならない、でも死ぬのも嫌だ、だったら猫になればいい。そして、次の勇者が来たら、僕と同じように勇者を魔王へ、そして魔王になる前に同じく猫にすればいい」

勇者「そ、それじゃあ無限ループじゃないか。そんなんじゃ、いつまでたっても」

猫?「永遠なんてないよ。いつか平和は乱される。逆に、僕らがそれを繰り返せば、平和は維持される」

勇者「…っ!」

猫?「思い出して。僕達の、勇者の使命を。勇者とはなに?勇者とは人々に何をもたらずの?」

勇者「………それは、それは……っ」

猫?「…………」

46: 2012/05/28(月) 21:57:38.01 ID:71xOOSCC0
勇者「よし、この螺旋階段の先に魔王がいるはずだ!行くぞ!」タタタ

勇者「ここだな!」バンッ

勇者「待たせたな魔王!今度こそ貴様を倒しに……」

猫(元勇者)(こんにちは、勇者。そして、未来の魔王。でも大丈夫、私が、絶対に君を魔王にはさせないから)

猫(元勇者)「にゃぁ」

勇者「ね、猫ぉ!?」


おわり ありがとうございました

48: 2012/05/28(月) 21:59:55.96 ID:WG8q4jjAO
勢いはあったな

53: 2012/05/28(月) 22:15:03.38 ID:gKXi7Ury0
おつ

引用元: 勇者「魔王、今こそ決着のとk」 猫「にゃ?」 勇者「ええ!?」