1: 2012/12/07(金) 19:30:36.75 ID:CPXz7wym0
事務所にて

♪ いーしや~きいも~♪
♪ やきいも~♪

響「外から聞こえるこの声……石焼き芋の屋台だぞ」

貴音「あなた様ぁ」クネクネ

P「貴音……食べたいのか?」

貴音「無論です。ああ、後生ですから」

真美「兄ちゃ→ん。真美も焼き芋、食べたいよ→」

真「それって、プロデューサーのおごりですか? やーりぃ!」

P「まあ、いいか。小鳥さんも食べますよね、焼き芋」

小鳥「はい。BLと、お芋が嫌いな女の子はいませんから」

貴音「びぃえる?」

P「女の子?」

5: 2012/12/07(金) 19:32:50.16 ID:CPXz7wym0
あずさ「屋台のお芋って、美味しいのよね~」

春香「家庭でも、新聞紙にくるんでレンジかけたりするんだけど、やっぱり石焼きにはかなわないよねー」

やよい「えんせきがいせんこうか、ですねよー」

千早「まあ、なんでもいいですけど」ゴクッ

P「よし、買ってくるか。待ってろみんな」

9: 2012/12/07(金) 19:35:22.08 ID:CPXz7wym0
たるき亭前

P「ええと……石焼き芋屋は……」

ヤーキイモー……

P「え? もしかして行っちゃった? はあ。遅かったか……」

10: 2012/12/07(金) 19:36:43.19 ID:vPaodfztO
で、だれが放屁するの?

13: 2012/12/07(金) 19:38:22.31 ID:CPXz7wym0
事務所にて

P「という訳だ、ゴメンみんな」

真美「え→」

真「もう口の中、甘いお芋の準備オーケーだったのに」

やよい「ざんねんですー……」

貴音「……」ボロボロ

春香「まあまあ、今日は私のクッキーにしてよ。きっと次に売りに来たら、今度こそプロデューサーさんが買ってくれるから。ね、プロデューサーさん」

P「ああ。次は必ずな」

16: 2012/12/07(金) 19:41:11.43 ID:CPXz7wym0
翌日

♪ いーしや~きいも~♪
♪ やきいも~♪

貴音「あなた様っ!」

P「おっ、来たみたいだな。よし、じゃあ買ってくる」

貴音「あなた様、ご武運を。雪歩!」

雪歩「はいですぅ」カチッカチッ

P「火打ち石……俺、焼き芋を買いに行くだけなんだけど……まあいいか」

19: 2012/12/07(金) 19:45:28.43 ID:CPXz7wym0
たるき亭前

P「ええと……石焼き芋屋は……」

イーシヤーキイモー……

P「え? ええっ!? も、もうあんな遠くに?」

P「……」

P「戻るか、事務所に」

貴音「うええ……うええええ……」

P「な、泣くなよ貴音」

貴音「焼き芋が……食べたかったのです……ううう」

22: 2012/12/07(金) 19:49:05.68 ID:CPXz7wym0
雪歩「はうぅ……きっと、私の切り火がヘタだったからですぅ」

P「い、いやいや、違うよ雪歩。買えなかったのは、俺が不甲斐ないからだ」

伊織「そこまで言うからには、対策もちゃんと考えてるんでしょうね?」

P「ああ。昨日も今日も、あの石焼き芋屋が来たのは3時だ。明日はその時間に、事務所の前で待ちかまえる」

やよい「なるほどー。声が聞こえてから買いに行くんじゃなくて、もう待っているんですね」

あずさ「じゃあ明日こそは……楽しみね~」

P「ええ。期待していてください」

24: 2012/12/07(金) 19:53:01.33 ID:CPXz7wym0
更に翌日 たるき亭前

P「そろそろ3時……」

真「どうですか? 来ましたか、プロデューサー」

P「おお、真。普段通りなら、もうすぐだと思っているんだけどな」

真「ええ。それにしても、寒いですね」

P「まったく。この寒空に、立っているだけだと本当に……!」

♪ いーしや~きいも~♪
♪ やきいも~♪

P「聞こえてきたぞ。例の石焼き芋屋の声……あれ?」

真「え? ええっ!?」

25: 2012/12/07(金) 19:53:17.58 ID:kaUIWrQb0
というか屋台速すぎるだろwww
それとも事務所から一階までものすごく時間かかるのか

29: 2012/12/07(金) 19:55:22.00 ID:CPXz7wym0
♪ いーしや~キイイイィィィーーーン……彡ビユウッ彡……ンモー……やきいも~♪

真「……」

P「……」

真「……確か、ドップラー効果って言うんですよね。ああいう現象」

P「……ああ。ものすごいスピードだったな。法令速度違反も甚だしい」

真「……」

P「……」

真「というか……」

P「絶対、売る気ないだろ! あの石焼き芋屋!!」

30: 2012/12/07(金) 19:56:22.68 ID:Fp2oeRtC0
ビルの中を走り抜ける真っ赤な焼き芋

34: 2012/12/07(金) 19:58:19.99 ID:CPXz7wym0
P「と、いうわけだ」

貴音「ふええ……ふえええん……」

響「たかねー。元気出して欲しいぞ」

貴音「わたくし、わたくしね。きょうこそはおいもたんが、たべられるとおもっていたの」

春香「貴音さん、ショックで幼児化しちゃってますね」

貴音「ひびきおねえたーん」

響「よしよしだぞ。なあプロデューサー、そういう事ならもうあの焼き芋屋はあきらめて、どこかよそで……」

P「いいや!」

雪歩「えっ!?」

35: 2012/12/07(金) 19:58:23.59 ID:v0u0FKyZO
\ブッ!/

36: 2012/12/07(金) 19:58:54.25 ID:y8nNXYqG0
アイドルのオナラはよ

38: 2012/12/07(金) 20:00:17.74 ID:+AHwk5Qw0
>>35
我那覇くん臭い

37: 2012/12/07(金) 19:59:41.05 ID:CPXz7wym0
P「石焼き芋屋だというアナウンスをしておきながら、売る気が無いあの態度に、俺は腹が立ってきた」

真「うわあ、プロデューサーが燃えてる」

P「焼き芋を楽しみにしていた貴音を、こんなにしてくれた借りもある」

貴音「ひびきおねえたーん。このごほんよんでえ」

響「はいはい。ええと……濃厚な鶏ガラと、魚介のコハク酸のうま味が絶妙に織りなす味のハーモニーは……」

P「絶対に、あの石焼き芋屋から買ってやる! みてろ!!」

貴音「がんばってね、おにいたん」キャッキャッ

40: 2012/12/07(金) 20:01:31.56 ID:CPXz7wym0
さらに翌日 たるき亭前

春香「な、なんですかこの車は!」

P「俺の愛車、ハチロクだ。初期型のGTアペックスだぞ」

春香「そ、そうなんですか。すごいですね」

雪歩「じゃあ、いつも使ってる車は?」

P「あれは、765プロの営業車だ。さすがに、ハチロクで営業回りはできないからな」

響「? じゃあこのにハチロクって車は、どういう車なんだ?」

46: 2012/12/07(金) 20:05:23.95 ID:CPXz7wym0
P「コイツは軽量で後輪駆動だからな、得意技は……ドリフトだ」

やよい「ドラフトですかー! うっうー、燃えますねー」

P「やよい、ドラフトじゃなくてドリフトな」

真美「そ→だよ、やよいっち。ドラフトじゃなくて、ドリフだYO!」

P「いやだから、ドリフトな」

亜美「亜美たちね→こないだCSでドリフの特集を……兄ちゃん! うしろ! うしろ!」

P「なんだ? えっ!?」

ヒュッ

51: 2012/12/07(金) 20:09:09.39 ID:CPXz7wym0
真「へへっ、驚きましたか? プロデューサー」

雪歩「ま、真ちゃん……今、自転車で車の上を飛び越えて……」

真「ボクの愛車、ビアンキですよ」

響「すごいぞ真!」

真「今時の流行はカーボンフレームですけど、ボクはこの頑丈なフレームが好きなんですよね」

千早「え? もしかして真は、自転車であの石焼き芋屋さんを追いかけるの?」

真「うん! プロデューサー、どっちが先に焼き芋を買うか、勝負ですね!」

千早「いくらなんでも、車と自転車じゃあ差がありすぎじゃないかしら」

P「そうだな。誰かハチロクに乗ってくれるか? まあ女の子が3人乗っても、それほどの重量にはならないだろうけど」

春香「はいっ!」

真美「はいは→い!」

響「自分もいいか?」

54: 2012/12/07(金) 20:15:11.30 ID:CPXz7wym0
P「よし、じゃあ小柄な真美と響は悪いが後ろに乗ってくれ」

春香「! じょ、助手席に私が……」

亜美「はるるん、はるるん! よだれよだれ」

P「? ははは、春香も意外に食いしん坊だな。待ってろ! あの焼き芋、全部買い取ってやる」

あずさ「あの屋台の車の焼き芋を全部ですか!? それはお腹いっぱいになりそうね~うふふ」

貴音「焼き芋で満腹!? この想像は、めちゃくちゃぐらっときます……」

P「いいぜ……好きなだけ食べても。よし、真は先行してスタートしてくれ」

真「はい、じゃあ後で」

P「みんなはハチロクに乗っててくれ、石焼き芋屋がたるき亭の前を通り過ぎたら、スタートする」

真美「行ってくるね、亜美。そんじゃあ……♪ ミラクル~スタ↑ト♪」

亜美「♪ スタ←ト♪ いってら~」

響「今、なんか変な歌声だったぞ。よいしょっと」

春香「あ、じゃ、じゃあよろしくお願いしますね。プロデューサーさん」

P「よし、じゃあエンジンかけるな。春香、シートベルトは着けておけよ」

58: 2012/12/07(金) 20:21:20.91 ID:CPXz7wym0
グオフゥ ガォフォ ドドドドドドド

春香「やっぱりいつもの車とは、音が違いますね」

P「150馬力あるからな。……!」

♪ いーしや~きいも~♪
♪ やきいも~♪

P「来たな!」

♪ いーしや~キイイイィィィーーーン……彡ビユウッ彡……ンモー……やきいも~♪

真美「兄ちゃん! 今だよ」

P「スタートだ」

ギョオ ギィヤァアア ゴアオォ

春香「うわ、速い!」

真美「兄ちゃん、かっこE→!」

P「これでも昔は、秋名の下りでならしたモンだぜ」

響「意外だぞ」

61: 2012/12/07(金) 20:27:05.91 ID:CPXz7wym0
P「というか、あの石焼き芋屋……差が縮まらない」

真美「一級品のお芋を載せた、いいマシンじゃないかな→」

響「向こうも相当、速いぞ」

P「こっちも本気を出さないと……な!」

ギュオオオォォォンンン

春香「うわ!」

真美「兄ちゃんが本気になった!?」

響「す、すごいぞ。段々、追いついてきた」

P「先行して逃げるより、後ろから追っかける方が有利だってのは、常識だろ」

春香「アイドルと一緒ですね」

響「春香、なかなか鋭い事を今日は言うんだな」

67: 2012/12/07(金) 20:32:00.69 ID:CPXz7wym0
P「確かにな。後ろから追いかけるアイドルは、じっくりとラインもリズムも観察できる。テクがありゃあ、そのコピーもやれるぜ」

真美「亜美もね→、そいえばモノマネ得意なんだよ」

響「器用だもんな。それで、誰のモノマネが一番似てるんだ?」

真美「ん→……やっぱ一番は、真美のマネかな」

響「それって、モノマネかー?」

P「よおし、追いつくぞ」

春香「ぷ、プロデューサーさん! カーブですよ!! カーブ!!!」

ズギュア

真美「え?」

響「い、石焼き芋屋……タイヤが滑りながら曲がったぞ!」

P「ジョーダンだろ。100キロ以上、軽く出てる……それなのに直ドリに入った」

春香「それってすごいんですか?」

P「公道であんなことする奴、見たことねえっ!!」

真美「兄ちゃんもやって、やって→!」

71: 2012/12/07(金) 20:37:05.55 ID:CPXz7wym0
響「ちょ、真美! 余計なことを……」

ギュウウウンンン

春香「わ、わっほおおおぉぉぉいいい!!!」

P「Do-Dai? 真美!」

真美「すごいすごい! 真美、しびれちゃったよぉ→」

春香「ちょ、ちょっと、プロデューサーさん! こ、怖いです! 怖いですよおぉ!!」

真美「もっかいやってえ→!」

春香「ちょ、ちょっと真美!」

P「こうか?」

ギュウオォォォンンン キキキッ

春香「が、ガードレールがこっちに……ひいい!」

ボスッ

真美「あはははははは! た→のし→!」

響「真美……今、わざと自分の胸にぶつかってきただろ?

75: 2012/12/07(金) 20:43:09.16 ID:CPXz7wym0
真美「や→、同乗者がひびきんで良かったよ。千早お姉ちゃんじゃあ、エアバックの代わりにならないモンね→」

響「自分も、そんな代わりにはなりたくないぞ!」

春香「そういえばプロデューサーさん? この車、助手席にエアバックは?」

P「ない!」

春香「ううう……やっぱり」

P「だが安心しろ」

春香「え?」

P「運転席にもない!」

春香「なんの救いにもなりませんよ! それってつまり、一蓮托生って事じゃないです……一蓮托生?」

79: 2012/12/07(金) 20:50:15.09 ID:CPXz7wym0
~春香の妄想~

P「春香、俺と春香は一蓮托生。その意味は、わかるな?」

春香「はいっ! 私の人生はプロデューサーさんのもの、プロデューサーの人生は私のもの。そうですね?」

P「近いが、違う」

春香「え?」

P「春香の人生は俺のもの、俺の人生も俺のもの」

春香「ほげえ~」

80: 2012/12/07(金) 20:51:48.88 ID:CPXz7wym0
春香「うふふ……末永く、よろしくお願いしますね……うふふ」

P「春香?」

響「なかなか差が縮まらないぞ」

P「ああ、カーブのドリフトはあっちが速い。直線じゃあコッチが速いが……」

響「プロデューサー?」

P「他人の走りを見て刺激されるなんて……あんなスゴイものを見せられると、体がムズムズしてじっとしていられない」

真美「ね→。なんか真美、お腹空いてきた→。はるるん、なんか持ってない?」

春香「え? いや、今はなんにも」

真美「ぶ→。今のはるるんは、サイテ→だよ! 助手席に置いてある荷物だよ!」

響「まあまあ真美、今に焼き芋が食べられるから、我慢するんだぞ」

真美「真美、お腹空いたんだもん! ね→兄ちゃん!! どっかで止まってなんか買おうよ→!!!」

P「ここで止まるわけにはいかないだろ」

真美「真美、パンが食べたいよ→! ね→。パン買ってよ!! パン、パン!!!」

P「うるせーな! 後ろからパンパンパンパンと!! うるさくってしょーがねぇ!」

83: 2012/12/07(金) 20:57:59.29 ID:CPXz7wym0
春香「ぷ、プロデューサーさん。もう止めましょうよ」

P「え? 春香?」

春香「私、怖いです。この車も、今運転しているプロデューサーさんも、こんなレースも」

響「春香……」

春香「いつもの優しいプロデューサーさんに、もう戻ってください。お願いです」

真美「はるるん……」

P「言っておくが、俺はこれがレースだと思っちゃいない。楽しく走るための車と速く走るための車は何が違うのかを、みんなに教えてやる……これは、おつかいだ」

春香「こんな命がけの、おつかいは嫌です!」

P「! 春香……わかったよ」

春香「プロデューサーさん……」

P「このまま帰ろう。帰りはドライブ気分で、な」

春香「はいっ!」

87: 2012/12/07(金) 21:04:20.29 ID:CPXz7wym0
事務所にて

真美「ただいま→!」

響「ふう、疲れたぞー」

春香「プロデューサーさんとドライブ……幸せでした」

P「……春香、俺が暴走している時に、窘めてくれてありがとうな」

春香「え? あ、いいえ。生意気を言っちゃって、ごめんなさい」

P「いや、お陰で目が覚めた」

春香「プロデューサーさん……」

P「みれんたらしく、乗らないのに所持していた車だけどな、もう売ることにするよ」

春香「そんなことしなくても。大好きな車なんですよね?」

P「いや、大事な人を乗せるには不安があるからな」

春香「え?」

P「ちゃんとエアバックのついてる、安心な車を買うよ」

春香「……はいっ! 私、嬉しいです。すごく……嬉しいです」

真「はい、4人の分の焼き芋」

89: 2012/12/07(金) 21:05:27.60 ID:CPXz7wym0
春香「ありがとう、真。あの、それってつまり……ん? 真!?」

真「随分と遅かったよね。どこ行ってたんですか?」

響「ま、真! 石焼き芋……買えたのか!?」

真美「ど→やって!?」

真「あの猛スピードの車は、宣伝カーなんだって」

P「へ?」

春香「え?」

響「え?」

真美「え→!」

真「売る方の屋台は、後からゆっくりと来てたよ?」

響「うぎゃー! なんだそりゃー!」

P「あんな苦労して、無駄骨だったのか……」

真美「ショック→!」

91: 2012/12/07(金) 21:07:22.13 ID:CPXz7wym0
春香「ま、まあいいじゃないですか」

P「春香?」

春香「お芋も買えたし、それに……」

P「そうか……そうだな。じゃあさっそく次のオフに、新車を見に……行こうか?」

春香「はいっ!」

貴音「ほんほうにおひひいへすへ」モグモグ


おわり

93: 2012/12/07(金) 21:09:27.82 ID:CPXz7wym0
以上で、終わりです。

ありがとうございました。

94: 2012/12/07(金) 21:10:30.78 ID:30IHsTZJi

97: 2012/12/07(金) 21:14:08.81 ID:y5R5/LH00
面白かった。乙。

引用元: P「みんなに焼き芋を、ご馳走しよう」