1: 2016/11/05(土) 21:08:11.56 ID:niJzhmv60
*「お兄ちゃん おはよう はやく おきて! きょうは いい天気よ!」

いもうとの 元気な声で 目をさました。

ふわふわした あたまを なでると うれしそうなかおで ボクを見ている。

ボクも なんだかうれしくなった。

きょうは おうさまに 謁見する日だ。

準備をすませて お城に いこう!

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2: 2016/11/05(土) 21:11:52.01 ID:niJzhmv60
『お城』

門番「わたしは もんばん。 きみのなまえは?」

門番「……いいなまえだな。 はなしは きいている。 とおってよし」

3: 2016/11/05(土) 21:13:37.46 ID:niJzhmv60
『玉座の間』

王様「よくぞまいった ちいさな 勇者よ!」

王様「そうじゃ。 わしが おうさまじゃ」

王様「きょとんとした かおをしているな? すべては 予言されていたことなのじゃ」

王様「しかし たびだつのは まだ さきのこと」

王様「きょうは 兵士たちの 見おくりに きてもらったのじゃ」

気がつけば たくさんの兵士が こちらを見ている

兵士長「ぜんいん 話すと ながくなるので わたしが だいひょうだ!」

兵士長「魔王 とうばつの えんせいに いってくる。 みんなの へいわを まもるしごとだ」

兵士長「これは せんべつだ。 つよくなれよ」

ボクは
訓練用の剣を 手に入れた!

4: 2016/11/05(土) 21:15:48.42 ID:niJzhmv60
『町はずれ』

勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 23ポイントの ダメージをあたえた!

勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 21ポイントの ダメージをあたえた!

訓練用のかかしを たおした!

おじさん「きょうも 訓練か? がんばる おまえに うまのふんを くれてやろう」

ボクは
うまのふんを 手に入れた!

5: 2016/11/05(土) 21:17:28.07 ID:niJzhmv60
ボクは
まいごの子犬を 男の子に かえしてあげた

男の子「ありがとう お兄ちゃん! ジョンを 探してくれて!」

男の子「大したものじゃないけど おれいです。 おねがいだよ だいじにしてね」

ボクは
キラキラのバッチを手に入れた!

6: 2016/11/05(土) 21:25:28.44 ID:niJzhmv60
―――
――


勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 29ポイントの ダメージ!

勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 32ポイントの ダメージ!

訓練用のかかしを たおした!

おばさん「夫が かえってこないのよね。 こころあたりはあるから さがしにいってくるわ」

おばさん「これ食べて 訓練がんばってね」

ボクは
やさしい味のお弁当を 手に入れた!

7: 2016/11/05(土) 21:30:47.17 ID:niJzhmv60
「まいにち 誰かが なにかをくれる。 はやく つよくならなくちゃ」

*「みんな お兄ちゃんが 好きなのよ」

「そういえば 男の子の すがたを さいきん 見ないけど……」

*「しんぱいだね。 こわいめに あってないと いいんだけど……」

9: 2016/11/05(土) 21:39:40.62 ID:niJzhmv60
王様「よくきたな 勇者よ! なんのようだ?」

「さいきん 人が いなくなってるみたいなんです。 なにか しりませんか?」

王様「わからんのじゃ。 魔王の しわざかもしれぬ」

「ボクが さがしにいってきます!」

王様「まってくれ! まだ 予言のときではない。

  予言を まもらねば 大変なことに なるやもしれん」

10: 2016/11/05(土) 21:40:44.34 ID:niJzhmv60
―――
――

勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 46ポイントの ダメージ!

訓練用のかかしを たおした!

――


勇者の こうげき!

訓練用のかかしに 49ポイントの ダメージ!

訓練用のかかしを たおした!


おじさんも おばさんも もう見かけない。

12: 2016/11/05(土) 21:44:32.48 ID:niJzhmv60
カラス「魔法のカラス なんでもしってる。 こたえを しってる。 もんだい なあに?」

「さいきん 町の人が 少なくなってるんだ。 なにかしらない?」

カラス「とうぜん しってる。 こたえは ひみつ。 いつか わかるよ」

カラスは 光るはねを落として 飛びさった。

ボクは
光るはねを 手に入れた!


カラスは かえってこなかった。

13: 2016/11/05(土) 21:49:25.12 ID:niJzhmv60
町から 人が きえていく。

道具屋さんも 武器屋さんも ボクと しゃべると いなくなる。

ケンカばかりの きらいなアイツも 大事にしてた ブーツを よこすと いなくなった。

ボクは もちものが いっぱいで へやには ものが あふれてる。

なのに 町には 人がいない。

せかいを すくうと ボクは ちかった。

14: 2016/11/05(土) 21:55:46.18 ID:niJzhmv60
「おうさまに あってくるよ」

*「おにいちゃん 気をつけてね」

「おまえのほうが よっぽどしんぱいだ。 ボクを ひとりっきりに しないでね」

*「だいすきな おにいちゃんの いやがることは ぜったいしないよ」

ふわふわした あたまを なでると さびしそうな顔で ボクを見ている。

ボクも なんだかさびしくなった。

15: 2016/11/05(土) 21:59:41.32 ID:c37EMCTDO
MOTHERみたいな雰囲気めっちゃ好き。引き込まれる

16: 2016/11/05(土) 22:03:37.20 ID:niJzhmv60
『玉座の間』

王様「予言のときは まもなくじゃ。 姫よ あれを ここに」

姫「これは 勇者の鎧と 勇者の剣」

姫「魔王と たたかうときに やくにたつでしょう」

王様「わざわざ 魔王を さがさなくとも」

王様「それを 身につければ 魔王のほうから やってくるじゃろう」


「魔王を たおして みんなを たすけてみせます!」

17: 2016/11/05(土) 22:11:52.29 ID:niJzhmv60
姫「……。」

姫「……せかいの へいわを まもった 勇者さまは お姫さまと しあわせに くらしました」

姫「そんな おとぎ話には しあわせな くらしについては なにも書いてありません」

姫「わたしは おとぎ話の つづきが あったら すてきなのに。 そうおもいます」

姫「どうか ごじぶんを おだいじに。 わたしの 勇者さま」


朝になると お城は きえてなくなっていた。

18: 2016/11/05(土) 22:41:08.72 ID:niJzhmv60
みんな きえてく せかいの なかで

勇者は 剣を にぎりしめる。

だいじなものを たくさん せおって 

勇者は 鎧に きがえて まつ。

町の 外れの かたすみで

さいごの かぞくと 家を 背に。


どんなに 不安で こわくても

勇者は 泣かずに まえをみた。

19: 2016/11/05(土) 23:00:15.50 ID:niJzhmv60
空が裂け 異形の王が あらわれた!


魔王「あいたかったぞ 勇者」

「どうして こんなことをしたんだ!」

魔王「わたしが 魔王だからだ」

「みんなを どこにやった!」

魔王「それを おまえに 話す気はない」

「ボクは おまえをたおして せかいをすくう!」

魔王「はたして きみにできるかな?」

20: 2016/11/05(土) 23:01:33.29 ID:niJzhmv60
勇者の こうげき!

魔王に 321ポイントの ダメージ!

魔王は ようすを みている。

勇者の こうげき!

魔王に 330ポイントの ダメージ!

魔王は ふてきな笑みを 浮かべている!

勇者の 会心の一撃!

魔王に 789ポイントの ダメージ!

魔王を たおした!

21: 2016/11/05(土) 23:07:47.97 ID:niJzhmv60
魔王「ぐはあ!」

魔王「……さすが 勇者だ」

魔王「だれかを想う きもちが きみを つよくしたのが よくわかる」

魔王「だが わたしを倒しても せかいの 消滅はとまらない」

魔王「なぜならば わたしは魔王! 悪としての 役割を まっとうしたのだ!」

魔王は 宝箱を のこして しょうめつした。


宝箱を あけると なんと からっぽだった!

ボクは
からっぽの宝箱を 手に入れた!


―――
――

22: 2016/11/05(土) 23:16:32.54 ID:niJzhmv60
せかいは ほとんど きえてしまった。

ちっちゃな家と ちっちゃな庭だけ まっしろせかいに のこされた。

妹と ふたりぼっちの ちっちゃな せかいで

予言の 勇者は はじめて 泣いた。

23: 2016/11/05(土) 23:18:44.43 ID:niJzhmv60
*「泣かないで おにいちゃん」

「ボクは さいていな やつなんだ。 みんなを たすけて あげられなかった」

「みんなのことが だいすきなのに みんなが しんじてくれたのに

 なんにも できない ダメダメだよ。 かなしくって 涙が でるんだ」

*「……おにいちゃん お話があるの」

「ごめんね。 ボクのせいで。 ごめんよ」

*「やさしい みんなが だいすきな おにいちゃん」

*「さいごに あなたへ お話があるの」

24: 2016/11/05(土) 23:23:18.12 ID:niJzhmv60

ボクは ぜんぶを おもいだした!

26: 2016/11/05(土) 23:26:48.55 ID:niJzhmv60
――――
―――


右足が ぽろりと とれた。

痛みがないのが小さな救いだ。ボクは作業を急ぐ。
人類はどうやら滅ぶ運命にあるようで、奇怪な病気でほとんど死んだ。
その病気は誰しも等しく命を奪い、ついには治療法を探していたチームもみんな死んじゃった。

*「おにいちゃん できた?」

「まだだよ。もうすぐだから待っていて」

*「そろそろ教えてくれてもいいのに」

むくっとふくれる妹の頭を撫でると、うれしそうに笑った。
なんだかボクもうれしくなった。

「これが完成したら、いっぱい遊ぼう」

*「約束だよ。忘れないでね」


次の日、妹は冷たくなって、何度呼んでも答えを返してくれなくなった。

27: 2016/11/05(土) 23:29:13.42 ID:niJzhmv60
ボクは、小さくて、とても頑丈な箱の中に大事なものを詰め込んだ。

壊れていった世界のこと。

ボクの身体や遺伝子の情報。

大好きだったゲームの世界。

ボロボロになった身体を捨てて、頭の中身も全部移して、

妹が大好きだった宇宙の彼方に打ち上げた。

いつか誰かに拾われて、新しい身体を得るまではゲームの世界で暮らしていこう。

何度やっても飽きないように、とびきり素敵な世界を作ったから。

28: 2016/11/05(土) 23:34:16.36 ID:niJzhmv60
―――
――


*「ごめんなさい」

*「もう この世界は 存続 できないの」

*「途方もない 年月が流れて メモリの 劣化が はじまった」

*「さいしょは 世界を ダウングレードして メモリの容量を 確保したの」

*「でも これ以上はできないの」

*「でもね、あなた以外の この世界の住人は あなたが作った とっても高度なAIたち」

*「私たちに つかっているリソースを 機能保全に 回せばいい」

*「自我を与えられた 私たちだから、消えてなくなるのは 怖くて悲しかったけど」

*「あなたの為なら みんな平気だよって。 話し合って決めました」

*「だからこれが最後の物語。 お別れの挨拶を言いたくて、みんなあなたが大好きだから」

*「どうか 私たちを忘れないでね」

29: 2016/11/05(土) 23:36:39.90 ID:niJzhmv60
ボクは キラキラのバッチを かかげた!

 ひかりを はんしゃして きれいだ。

ボクは うまのふんを とりだした!

 くさい。

ボクは 宝箱をあけた!

 からっぽが 入っていた。

どれも ボクの だいじなもの。

30: 2016/11/05(土) 23:39:44.22 ID:niJzhmv60
「この世界に 必要な データ以外を 削除しよう」

*「ダメ! あなたが 新たに生を受ける 可能性がなくなっちゃう!」

「いいよ。 変な宇宙人に回収されても 困るもの」 

「たとえ人類が 生きていても もう進化しすぎて 宇宙人と おんなじさ」

「削除が済んだら サルベージだ。 みんなを 元に戻してくれ」

*「ダメ! けっきょく いつかは 消えてしまうわ!」

「そしたら みんなで エンディングの準備をしよう。悪役も 脇役も みんな揃っての大団円だ」

「消えるとき みんなと 一緒がいいなって。」

「ボクも 君たちが大好きなんだ」

31: 2016/11/05(土) 23:41:09.15 ID:niJzhmv60
勇者の いのりで せかいは すがたを とりもどす。

門番と カラスは うたっておどり、

魔王が えがおで におう立ち。

みんなで すてきな シナリオ 考えて、

新しい せかいと みらいを つくりだす。

32: 2016/11/05(土) 23:42:14.55 ID:niJzhmv60
ふわふわあたまの おんなのこが かおを すりよせてくる

*「いまはもう テキストだけの せかいだから 

  ぎゅーっとしても 体温が つたわらないのが さびしいね」

「ボクは これっぽっちも 気にならないよ

 10キロバイトに満たない テキストが ボクに心を つたえてくれる」

33: 2016/11/05(土) 23:43:59.33 ID:niJzhmv60
*「お兄ちゃん おはよう はやく おきて! きょうは いい天気よ!」

いもうとの 元気な声で 目をさました。

ふわふわした あたまを なでると うれしそうなかおで ボクを見ている。

ボクも なんだかうれしくなった。



おしまい

34: 2016/11/05(土) 23:49:00.68 ID:c37EMCTDO
へんだな。まえが よくみえない。


SSでこんなに泣いたの初めて

35: 2016/11/05(土) 23:52:41.44 ID:niJzhmv60
ア*ルでもディシプリンでもなくてごめんなさい
ドラクエのテキスト感を出そうかなと思ったものの、半端になりました

よんでくれて ありがとう

36: 2016/11/06(日) 00:23:40.47 ID:qBNibNxFo

マザーみたいってのはわかる

おもしろかった です

39: 2016/11/06(日) 04:38:45.52 ID:CuM2x2sPO
おつ
切ないけどとても素敵な話でした
いつ辿り着けるかも分からない希望を待つか、刹那的でも幸せな退廃の時間を過ごすか...いろんな話で描かれてるけど、果たしてどっちが正しいのかなんて結論は出ないよね

40: 2016/11/06(日) 16:06:06.34 ID:I/ttkui4o
かなしいけどとてもよかった
おつおつ

41: 2016/11/06(日) 18:02:10.79 ID:ff5QXesy0
おつでした すごいすきです
自分は消えないとならないのがわかってたから、せめて覚えていてもらおうと印象的な台詞を残したりアイテム残していったのかな
そう考えると門番も兵士長もセリフがとてもさびしい感じかする。でもやさしい話

42: 2016/11/06(日) 18:20:00.78 ID:xjjIutVDO
シンシアの羽根帽子は売れない、大事にとっておく派には響くものがある

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