1:2019/11/06(水) 22:57:06.116 ID:Aguy5MDt0.net
花売り娘「はい、花束」
会社員「ありがとうございます」
花売り娘「誰かに渡すわけ?」
会社員「ええ、上司が本社に栄転するもので」
花売り娘「フフッ……ホントに花だけでいいの?」
会社員「え……?」
花売り娘「ホントはもっと違う花……欲しいんじゃない?」
会社員「いや、あの……あっ、そろそろ会社戻らないと! 仕事あるんで!」タタタッ
花売り娘「……ちっ」
会社員「ありがとうございます」
花売り娘「誰かに渡すわけ?」
会社員「ええ、上司が本社に栄転するもので」
花売り娘「フフッ……ホントに花だけでいいの?」
会社員「え……?」
花売り娘「ホントはもっと違う花……欲しいんじゃない?」
会社員「いや、あの……あっ、そろそろ会社戻らないと! 仕事あるんで!」タタタッ
花売り娘「……ちっ」
4:2019/11/06(水) 23:01:14.120 ID:Aguy5MDt0.net
役人「見てたぞ。ああいう純朴そうなのをからかうなよ」
花売り娘「“からかい上手の花売り娘”って呼んでくれる?」
役人「呼ばねえよ」
役人「……それに、そろそろ“娘”と呼ぶには怪しい年齢――」
花売り娘「…………」チクッ
役人「いってえ! バラのトゲで刺すな!」
花売り娘「で、何しにきたの」
役人「黒バラを一輪、もらいたい」
花売り娘「黒バラが欲しい……すなわち“闇の仕事”の依頼というわけね」
役人「口に出すなって。符牒にしてる意味ないじゃん」
花売り娘「どうせ誰も聞いてないって」
花売り娘「“からかい上手の花売り娘”って呼んでくれる?」
役人「呼ばねえよ」
役人「……それに、そろそろ“娘”と呼ぶには怪しい年齢――」
花売り娘「…………」チクッ
役人「いってえ! バラのトゲで刺すな!」
花売り娘「で、何しにきたの」
役人「黒バラを一輪、もらいたい」
花売り娘「黒バラが欲しい……すなわち“闇の仕事”の依頼というわけね」
役人「口に出すなって。符牒にしてる意味ないじゃん」
花売り娘「どうせ誰も聞いてないって」
5:2019/11/06(水) 23:04:21.742 ID:Aguy5MDt0.net
役人「この間のテロ組織『ルート(根っこ)』の壊滅は見事だった」
役人「組織の爆発物担当には惜しくも逃げられてしまったが、ま、時間の問題だろう」
花売り娘「――で、今回の仕事は?」
役人「こいつだ」ピラッ
花売り娘「テレビでよく見る政治家ね」
役人「この男、遊ぶ金欲しさに国家機密を海外に流してやがった。すみやかに消して欲しい」
花売り娘「分かったわ」
役人「組織の爆発物担当には惜しくも逃げられてしまったが、ま、時間の問題だろう」
花売り娘「――で、今回の仕事は?」
役人「こいつだ」ピラッ
花売り娘「テレビでよく見る政治家ね」
役人「この男、遊ぶ金欲しさに国家機密を海外に流してやがった。すみやかに消して欲しい」
花売り娘「分かったわ」
6:2019/11/06(水) 23:07:19.669 ID:Aguy5MDt0.net
<キャバクラ>
政治家「ワァッハッハ……」
キャバ嬢「まぁっ、いい飲みっぷり」
政治家「臨時収入があってねえ。ジャンジャン酒を持ってきてくれたまえ」
キャバ嬢「もっちろん! たっぷり楽しんでいって!」
花売り娘「…………」スッ
キャバ嬢「あら、あなた新人? もっとボトル持ってきて!」
政治家「ワァッハッハ……」
キャバ嬢「まぁっ、いい飲みっぷり」
政治家「臨時収入があってねえ。ジャンジャン酒を持ってきてくれたまえ」
キャバ嬢「もっちろん! たっぷり楽しんでいって!」
花売り娘「…………」スッ
キャバ嬢「あら、あなた新人? もっとボトル持ってきて!」
8:2019/11/06(水) 23:10:09.447 ID:Aguy5MDt0.net
政治家「よーし、いいとこ見せてやる!」グビグビッ
キャバ嬢「ステキ~」
政治家「……うっ!」
政治家「ぐぐぐ……」
キャバ嬢「どうしたの?」
政治家「し、心臓が……! う、うぐっ……!」
ドサッ…
キャァァァァ…
花売り娘(私が毒花毒草で調合した猛毒……じっくり味わって地獄に落ちるといいわ)
キャバ嬢「ステキ~」
政治家「……うっ!」
政治家「ぐぐぐ……」
キャバ嬢「どうしたの?」
政治家「し、心臓が……! う、うぐっ……!」
ドサッ…
キャァァァァ…
花売り娘(私が毒花毒草で調合した猛毒……じっくり味わって地獄に落ちるといいわ)
10:2019/11/06(水) 23:14:27.814 ID:Aguy5MDt0.net
<路上>
花売り娘「お花いかがですか~、どのお花もキレイですよ~」
DQN「へえ、こんなとこに花売りなんていたんだ」
花売り娘「あら、いらっしゃいませ」
DQN「花を売るってようするによぉ……ヤらせてくれるってこったろ?」
花売り娘(きたっ!)
花売り娘「そうよ……よく分かってるじゃない。お金は持ってるんでしょうね?」
DQN「おう、もちろん!」
花売り娘「お花いかがですか~、どのお花もキレイですよ~」
DQN「へえ、こんなとこに花売りなんていたんだ」
花売り娘「あら、いらっしゃいませ」
DQN「花を売るってようするによぉ……ヤらせてくれるってこったろ?」
花売り娘(きたっ!)
花売り娘「そうよ……よく分かってるじゃない。お金は持ってるんでしょうね?」
DQN「おう、もちろん!」
11:2019/11/06(水) 23:17:40.165 ID:Aguy5MDt0.net
花売り娘「じっくり……楽しみましょう? 二人で……」
DQN「…………!」
DQN(なんだこの女……)
DQN「うわっ!」
ニュルニュルニュル… ニュルニュルニュル… ニュルルルル…
DQN(まるで、紫色の茨が巻きついてくるような……ッ!)
DQN(もし巻きつかれたら……俺は終わっちまうような気がするッ!)
DQN「すいませんでしたぁっ!」タタタタタッ
花売り娘「あっ! ちょっ……タダでもいいから!」
DQN「…………!」
DQN(なんだこの女……)
DQN「うわっ!」
ニュルニュルニュル… ニュルニュルニュル… ニュルルルル…
DQN(まるで、紫色の茨が巻きついてくるような……ッ!)
DQN(もし巻きつかれたら……俺は終わっちまうような気がするッ!)
DQN「すいませんでしたぁっ!」タタタタタッ
花売り娘「あっ! ちょっ……タダでもいいから!」
12:2019/11/06(水) 23:21:15.166 ID:Aguy5MDt0.net
花売り娘「はぁ……」
役人「見てたぞ」
花売り娘「気配には気づいてたわ」
役人「気づいててあんなことしてたのかよ……」
役人「なに焦ってんだ? お前ほどの女なら男には不自由しないだろうに」
役人「今までだって一体何人と寝たんだ? ほら、いってみろ」
花売り娘「…………」
役人「もしかして数えきれないとか?」
花売り娘「…………」
役人「いや、そんな感じじゃないな」
役人「お前、もしかしてまだ処――」
花売り娘「言うなァ!!!」
役人「見てたぞ」
花売り娘「気配には気づいてたわ」
役人「気づいててあんなことしてたのかよ……」
役人「なに焦ってんだ? お前ほどの女なら男には不自由しないだろうに」
役人「今までだって一体何人と寝たんだ? ほら、いってみろ」
花売り娘「…………」
役人「もしかして数えきれないとか?」
花売り娘「…………」
役人「いや、そんな感じじゃないな」
役人「お前、もしかしてまだ処――」
花売り娘「言うなァ!!!」
13:2019/11/06(水) 23:25:07.581 ID:Aguy5MDt0.net
役人「そうだったのか……。この雰囲気だし、てっきり経験ご豊富かと……」
花売り娘「……ねえ」
役人「ん?」
花売り娘「この際だから、あんたが相手になってよ」
役人「いや、そりゃ無理だ! 俺には妻子もいるし、お前より10歳以上年上だぞ!」
花売り娘「それでもかまわない。このまま枯れた花になりたくないもの」
役人「かまわないって……お前には女としてのプライドがないのか?」
花売り娘「無いッ!」
役人「言い切るなよぉ! こっちまで悲しくなる!」
花売り娘「……ねえ」
役人「ん?」
花売り娘「この際だから、あんたが相手になってよ」
役人「いや、そりゃ無理だ! 俺には妻子もいるし、お前より10歳以上年上だぞ!」
花売り娘「それでもかまわない。このまま枯れた花になりたくないもの」
役人「かまわないって……お前には女としてのプライドがないのか?」
花売り娘「無いッ!」
役人「言い切るなよぉ! こっちまで悲しくなる!」
14:2019/11/06(水) 23:29:08.212 ID:Aguy5MDt0.net
役人「この話はひとまず終わり、な?」
役人「いずれ誰かいい人紹介してやるから。エリートどころを見繕ってやるよ」
花売り娘「きっとよ」
役人(目がマジじゃねえか……怖いよ)
花売り娘「で、今日は?」
役人「黒バラを一輪、売ってもらいたい」
花売り娘「標的は?」
役人「クスリの売人だ。ただし格闘技をやってたらしく、警官複数人を叩きのめしたこともある」
役人「せいぜい気をつけてくれ」
花売り娘「相手が何者だろうと仕留めるのが私の稼業よ」
役人「いずれ誰かいい人紹介してやるから。エリートどころを見繕ってやるよ」
花売り娘「きっとよ」
役人(目がマジじゃねえか……怖いよ)
花売り娘「で、今日は?」
役人「黒バラを一輪、売ってもらいたい」
花売り娘「標的は?」
役人「クスリの売人だ。ただし格闘技をやってたらしく、警官複数人を叩きのめしたこともある」
役人「せいぜい気をつけてくれ」
花売り娘「相手が何者だろうと仕留めるのが私の稼業よ」
15:2019/11/06(水) 23:32:16.179 ID:Aguy5MDt0.net
<路地裏>
売人「なんだ、女。クスリ売って欲しいってツラじゃねえな」
花売り娘「ええ、ちょっと氏んで頂きたいの」
売人「へぇ~、俺が何者か知らねえのか?」トンットンッ
売人「死ぬのはてめえだッ!」ビュオッ
チクッ
売人「痛っ! てめえ、なにしやがる!」
花売り娘「…………」
売人「なんだ、女。クスリ売って欲しいってツラじゃねえな」
花売り娘「ええ、ちょっと氏んで頂きたいの」
売人「へぇ~、俺が何者か知らねえのか?」トンットンッ
売人「死ぬのはてめえだッ!」ビュオッ
チクッ
売人「痛っ! てめえ、なにしやがる!」
花売り娘「…………」
16:2019/11/06(水) 23:35:04.238 ID:Aguy5MDt0.net
売人「か、体が……! 動かね……!」ドザッ
売人「ううっ、ぐ、ぐるじ……!」
ガクッ…
花売り娘「覚えときなさい。キレイな薔薇にはトゲがあるのよ」
売人「ううっ、ぐ、ぐるじ……!」
ガクッ…
花売り娘「覚えときなさい。キレイな薔薇にはトゲがあるのよ」
17:2019/11/06(水) 23:38:08.485 ID:Aguy5MDt0.net
<花売りの家>
花売り娘「マンドラゴラちゃん、トリカブトちゃん、ベラドンナちゃん、お水あげるわよ」シャー
花売り娘「私が品種改良した毒植物や武器植物もみんな生き生きしてるわ」シャー
花売り娘(殺しの腕はだいぶ上がったけど、おかげで男からは避けられるようになっちゃった)
花売り娘(役人は紹介するだなんていってたけど信用できないし、このままじゃ結婚できない)
TV『先日開催された婚活パーティーに大勢の男女が集まり……』
TV『こちらのカップルは見事にゴールイン……』
花売り娘「婚活か……」
花売り娘「ちょっとやってみようかな」
花売り娘「マンドラゴラちゃん、トリカブトちゃん、ベラドンナちゃん、お水あげるわよ」シャー
花売り娘「私が品種改良した毒植物や武器植物もみんな生き生きしてるわ」シャー
花売り娘(殺しの腕はだいぶ上がったけど、おかげで男からは避けられるようになっちゃった)
花売り娘(役人は紹介するだなんていってたけど信用できないし、このままじゃ結婚できない)
TV『先日開催された婚活パーティーに大勢の男女が集まり……』
TV『こちらのカップルは見事にゴールイン……』
花売り娘「婚活か……」
花売り娘「ちょっとやってみようかな」
19:2019/11/06(水) 23:41:45.539 ID:MRgSwm5Z0.net
薔薇………ブラッティローズ………ビスケスのアフロディーテ………
うっ頭が……
うっ頭が……
20:2019/11/06(水) 23:41:58.412 ID:Aguy5MDt0.net
<結婚相談所>
アドバイザー「では、こちらに相手に求める条件をお書き下さい」
花売り娘「こんなところで」
アドバイザー「“男であればだいたいOK”……す、すごいですね」
花売り娘「稼ぎは十分あるし、贅沢はいってられないの」
アドバイザー「あなたの美貌でこれなら色んな男性と会えますし、きっと――」
花売り娘「なんならあなたでもいいのよ?」
ニュルニュルニュル… ニュルニュルニュル… ニュルルルル…
アドバイザー「ヒッ!」
アドバイザー「必ずいい人を紹介しますんで! ご勘弁を!」
花売り娘(逃げやがった)
アドバイザー「では、こちらに相手に求める条件をお書き下さい」
花売り娘「こんなところで」
アドバイザー「“男であればだいたいOK”……す、すごいですね」
花売り娘「稼ぎは十分あるし、贅沢はいってられないの」
アドバイザー「あなたの美貌でこれなら色んな男性と会えますし、きっと――」
花売り娘「なんならあなたでもいいのよ?」
ニュルニュルニュル… ニュルニュルニュル… ニュルルルル…
アドバイザー「ヒッ!」
アドバイザー「必ずいい人を紹介しますんで! ご勘弁を!」
花売り娘(逃げやがった)
21:2019/11/06(水) 23:44:36.676 ID:Aguy5MDt0.net
……
エリート「外資系の企業で働いています。年収は1000万を越えています」
花売り娘「まあ、素晴らしい」
エリート「こちらこそ、あなたのような美しい方と巡り合えて嬉しいですよ」
花売り娘「じゃあさっそく今夜……私という花を咲かせて下さらない?」
エリート「ハハ、喜ん――」
エリート「!」
キシャアアアアアア… グパァァァァァァ…
エリート(な、なんだ!? この人が急に巨大な人喰い植物のように見え――)
エリート「ごめんなさいぃぃぃぃぃ! 急に腹が痛くなってぇぇぇぇぇ!」タタタタタッ
花売り娘「あっ、待って!」
エリート「外資系の企業で働いています。年収は1000万を越えています」
花売り娘「まあ、素晴らしい」
エリート「こちらこそ、あなたのような美しい方と巡り合えて嬉しいですよ」
花売り娘「じゃあさっそく今夜……私という花を咲かせて下さらない?」
エリート「ハハ、喜ん――」
エリート「!」
キシャアアアアアア… グパァァァァァァ…
エリート(な、なんだ!? この人が急に巨大な人喰い植物のように見え――)
エリート「ごめんなさいぃぃぃぃぃ! 急に腹が痛くなってぇぇぇぇぇ!」タタタタタッ
花売り娘「あっ、待って!」
22:2019/11/06(水) 23:47:23.587 ID:Aguy5MDt0.net
ニート「ニートです……働く気なんてありません……」
花売り娘「全然問題ないわ。私が養ってあげるから、一生ね」
花売り娘「あなたはただ私を愛してくれればいいの。フフッ、こんな簡単なお仕事ないでしょ?」
ニート「本当ですか……嬉しいなぁ……」ニチャア…
ワサワサワサワサワサ…
ニート「……ん?」
ニート(足元から……毒のツタがどんどん生えてくるような――)
ニート(もし、ここでこの人と一緒になったら、もう一生立ち直れない気がする――)
ニート「あのっ! 心入れ替えてハローワーク行きます!」シャキーンッ
花売り娘「ちょっ、なんでぇ!?」
花売り娘「全然問題ないわ。私が養ってあげるから、一生ね」
花売り娘「あなたはただ私を愛してくれればいいの。フフッ、こんな簡単なお仕事ないでしょ?」
ニート「本当ですか……嬉しいなぁ……」ニチャア…
ワサワサワサワサワサ…
ニート「……ん?」
ニート(足元から……毒のツタがどんどん生えてくるような――)
ニート(もし、ここでこの人と一緒になったら、もう一生立ち直れない気がする――)
ニート「あのっ! 心入れ替えてハローワーク行きます!」シャキーンッ
花売り娘「ちょっ、なんでぇ!?」
23:2019/11/06(水) 23:49:16.873 ID:VheBiXC6r.net
更生させやがった
24:2019/11/06(水) 23:50:36.328 ID:Aguy5MDt0.net
……
役人「婚活は上手くいってるか?」
花売り娘「どこで情報仕入れたんだか……全然よ。みんな逃げちゃう」
役人「並みの男じゃ、お前を恐れてしまうんだろう。じっくりやることだ」
花売り娘「じっくりやってる暇はないんだけどね。で、今日も黒バラ買いにきたの?」
役人「いや、今日は情報提供だけだ」
役人「新しいテロ組織『フラワー(花)』というのが結成され、小さい事件をいくつか起こしてる」
役人「詳細が割れたら、いずれお前に依頼をすることになるかもしれない」
花売り娘「嫌な組織名……まるで私がボスみたいじゃない」
役人「もし、そうだとしたら……こっちとしては最悪の展開だな」
花売り娘「安心して。私のトゲは、罪のない人傷つけるようには出来てないから」
役人「ああ、分かってるよ」
役人(いい女だと思うんだがなぁ……ま、そこらの男じゃ手に負えないのも事実だ)
役人「婚活は上手くいってるか?」
花売り娘「どこで情報仕入れたんだか……全然よ。みんな逃げちゃう」
役人「並みの男じゃ、お前を恐れてしまうんだろう。じっくりやることだ」
花売り娘「じっくりやってる暇はないんだけどね。で、今日も黒バラ買いにきたの?」
役人「いや、今日は情報提供だけだ」
役人「新しいテロ組織『フラワー(花)』というのが結成され、小さい事件をいくつか起こしてる」
役人「詳細が割れたら、いずれお前に依頼をすることになるかもしれない」
花売り娘「嫌な組織名……まるで私がボスみたいじゃない」
役人「もし、そうだとしたら……こっちとしては最悪の展開だな」
花売り娘「安心して。私のトゲは、罪のない人傷つけるようには出来てないから」
役人「ああ、分かってるよ」
役人(いい女だと思うんだがなぁ……ま、そこらの男じゃ手に負えないのも事実だ)
25:2019/11/06(水) 23:53:12.189 ID:Aguy5MDt0.net
……
アドバイザー「今回紹介するのはこの方です」
青年「はじめまして」
花売り娘「はじめまして」
アドバイザー「一度お二人でデートしてみるのはいかがでしょう?」
青年「じゃあ、今度の週末にでも……」
花売り娘「よろしくお願いします」
アドバイザー「今回紹介するのはこの方です」
青年「はじめまして」
花売り娘「はじめまして」
アドバイザー「一度お二人でデートしてみるのはいかがでしょう?」
青年「じゃあ、今度の週末にでも……」
花売り娘「よろしくお願いします」
26:2019/11/06(水) 23:55:24.034 ID:Aguy5MDt0.net
青年「ここら辺、僕詳しいんですよ! お食事でもしましょうか」
花売り娘「ええ、そうしましょう」
青年「あの店! あの店がおいしいんですよ~」
CLOSED
青年「……あ」
花売り娘「今日はお休みだったみたいね」
青年「す、すみません……! おかしいな、こんなはずじゃ……」
花売り娘(ちょっと頼りないけど……真面目そうでいい人じゃない)
花売り娘「ええ、そうしましょう」
青年「あの店! あの店がおいしいんですよ~」
CLOSED
青年「……あ」
花売り娘「今日はお休みだったみたいね」
青年「す、すみません……! おかしいな、こんなはずじゃ……」
花売り娘(ちょっと頼りないけど……真面目そうでいい人じゃない)
27:2019/11/06(水) 23:59:04.749 ID:Aguy5MDt0.net
青年「すみません、結局ファーストフードになっちゃって」
花売り娘「いえいえ、私ファーストフード好きだから」
青年「よ、よかった……」
花売り娘「じゃあ、次は――」
青年「…………」ムズッ
花売り娘「?」
青年「ハークション! ハークショ! ハークション!」
花売り娘「どうしたの!?」
花売り娘「いえいえ、私ファーストフード好きだから」
青年「よ、よかった……」
花売り娘「じゃあ、次は――」
青年「…………」ムズッ
花売り娘「?」
青年「ハークション! ハークショ! ハークション!」
花売り娘「どうしたの!?」
29:2019/11/07(木) 00:03:18.578 ID:gNG050Rg0.net
青年「あ、いや……僕、ものすごい花粉症で……」
青年「普通の花の花粉にも反応しちゃうほどで……この辺に花はないんですけど……なんでだろ」
花売り娘「ごめんなさい。それきっと私のせいだわ」
青年「え?」
花売り娘「私、花売りをやってて、今も至る所に花を持ってるし」
花売り娘「私自身、だいぶ花粉をまとっちゃってるから……」
青年「! そうだったんですか……ハークショッ!」
花売り娘(あーあ、こりゃ二度目はないわ……)
青年「普通の花の花粉にも反応しちゃうほどで……この辺に花はないんですけど……なんでだろ」
花売り娘「ごめんなさい。それきっと私のせいだわ」
青年「え?」
花売り娘「私、花売りをやってて、今も至る所に花を持ってるし」
花売り娘「私自身、だいぶ花粉をまとっちゃってるから……」
青年「! そうだったんですか……ハークショッ!」
花売り娘(あーあ、こりゃ二度目はないわ……)
30:2019/11/07(木) 00:06:29.749 ID:gNG050Rg0.net
ところが――
アドバイザー「先方がぜひもう一度お会いしたいと……」
花売り娘「ええっ!?」
青年「どうもこんにちは!」
花売り娘「どうして、また会ってくれたの? 私といると花粉症が……」
青年「僕、花粉症ですけど……花は大好きですから!」
花売り娘「!」
青年「それに、こうしてマスクしてれば大丈夫なんで! 花売りさんさえよければ……」
花売り娘「ありがとう、嬉しいわ」
アドバイザー「先方がぜひもう一度お会いしたいと……」
花売り娘「ええっ!?」
青年「どうもこんにちは!」
花売り娘「どうして、また会ってくれたの? 私といると花粉症が……」
青年「僕、花粉症ですけど……花は大好きですから!」
花売り娘「!」
青年「それに、こうしてマスクしてれば大丈夫なんで! 花売りさんさえよければ……」
花売り娘「ありがとう、嬉しいわ」
31:2019/11/07(木) 00:09:15.970 ID:gNG050Rg0.net
ワイワイ… ガヤガヤ…
花売り娘「今日はこの通りは混雑してるわね。仕方ないことだけど」
青年「だけど僕……人混みって好きなんですよね」
花売り娘「どうして?」
青年「人が一杯ワイワイやってるって、それだけ平和ってことじゃないですか」
青年「……ってなんかおかしいですかね、僕」
花売り娘「ちょっと変わってるけど……でも嫌いじゃないわよ」
青年「ありがとうございます」
花売り娘「今日はこの通りは混雑してるわね。仕方ないことだけど」
青年「だけど僕……人混みって好きなんですよね」
花売り娘「どうして?」
青年「人が一杯ワイワイやってるって、それだけ平和ってことじゃないですか」
青年「……ってなんかおかしいですかね、僕」
花売り娘「ちょっと変わってるけど……でも嫌いじゃないわよ」
青年「ありがとうございます」
32:2019/11/07(木) 00:12:37.413 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「ところで、あなたはなんの仕事をしてるの?」
青年「あ、僕ですか……」
花売り娘「ええ」
青年「…………」
青年「ちょっと……人にはいえない仕事なんです……す、すみません!」
花売り娘「いいのよ! 気にしないで! 詮索しようとしてごめんなさい!」
花売り娘(人にいえない仕事はお互い様だしね)
青年「あ、僕ですか……」
花売り娘「ええ」
青年「…………」
青年「ちょっと……人にはいえない仕事なんです……す、すみません!」
花売り娘「いいのよ! 気にしないで! 詮索しようとしてごめんなさい!」
花売り娘(人にいえない仕事はお互い様だしね)
33:2019/11/07(木) 00:15:21.118 ID:gNG050Rg0.net
<花売りの家>
花売り娘(あれから何度かデートを重ねてるけど……)
花売り娘(彼と私の距離は確実に縮まってる気がする……)
花売り娘(彼となら、きっと私……!)
TV『本日爆発事故がまた発生しました』
TV『化学薬品工場で爆発が起こり、十数人が重軽傷を……』
花売り娘「…………」
花売り娘(これ、おそらく役人のいってた新テロ組織の仕業だわ)
花売り娘(黒バラが売れる日も近いかもしれないわね)
花売り娘(あれから何度かデートを重ねてるけど……)
花売り娘(彼と私の距離は確実に縮まってる気がする……)
花売り娘(彼となら、きっと私……!)
TV『本日爆発事故がまた発生しました』
TV『化学薬品工場で爆発が起こり、十数人が重軽傷を……』
花売り娘「…………」
花売り娘(これ、おそらく役人のいってた新テロ組織の仕業だわ)
花売り娘(黒バラが売れる日も近いかもしれないわね)
35:2019/11/07(木) 00:19:23.259 ID:gNG050Rg0.net
そんなある日――
花売り娘「はい、カーネーションです」
花売り娘「ありがとうございましたー」
役人「普通の商売の方も順調のようだな」
花売り娘「あら、いらっしゃい」
役人「今日は……黒いバラを“二輪”売ってもらいたい」
花売り娘「…………」
花売り娘「黒バラ二輪は……“いつもより危険な仕事”という合図ね」
役人「だから口に出すなって」
花売り娘「はい、カーネーションです」
花売り娘「ありがとうございましたー」
役人「普通の商売の方も順調のようだな」
花売り娘「あら、いらっしゃい」
役人「今日は……黒いバラを“二輪”売ってもらいたい」
花売り娘「…………」
花売り娘「黒バラ二輪は……“いつもより危険な仕事”という合図ね」
役人「だから口に出すなって」
37:2019/11/07(木) 00:23:17.591 ID:gNG050Rg0.net
役人「しかし、冗談抜きで本当に危険な仕事だ」
花売り娘「内容は?」
役人「テロ組織『フラワー』の根城が分かった」
役人「奴ら、郊外の廃ビルに姿を隠していやがった」
役人「しかし、うかつに手を出すと、逃げられ取り返しのつかない事態を招く恐れもある」
役人「たとえば大きい都市に逃げられ、ヤケクソのテロなど起こされたら最悪だ」
役人「そこでお前に白羽の矢が立った。この花を速やかに摘んでもらいたい」
花売り娘「分かったわ」
役人「……それと、個人的には俺はお前に氏んで欲しくない」
役人「応援も送るが、くれぐれも自分を大事にしろ。無茶はするな」
花売り娘「フフッ、ありがと。奥さんと仲良くね」
花売り娘「内容は?」
役人「テロ組織『フラワー』の根城が分かった」
役人「奴ら、郊外の廃ビルに姿を隠していやがった」
役人「しかし、うかつに手を出すと、逃げられ取り返しのつかない事態を招く恐れもある」
役人「たとえば大きい都市に逃げられ、ヤケクソのテロなど起こされたら最悪だ」
役人「そこでお前に白羽の矢が立った。この花を速やかに摘んでもらいたい」
花売り娘「分かったわ」
役人「……それと、個人的には俺はお前に氏んで欲しくない」
役人「応援も送るが、くれぐれも自分を大事にしろ。無茶はするな」
花売り娘「フフッ、ありがと。奥さんと仲良くね」
38:2019/11/07(木) 00:27:19.560 ID:gNG050Rg0.net
<廃ビル>
ボス「…………」
部下A「も、申し訳ありませんっ!」
ボス「これから本格的にテロを行おうという時に、政府の諜報員に尾行されるとはな……」
部下A「この失態は必ず取り返しますので――」
ボス「もういい、花になれ」ポイッ
部下A「ひっ!」
ドゴォォォォォォン!!!
ボス「うーん、イマイチな咲き具合だな。最後まで役に立たない奴だった」
部下B「容赦ない処刑だ……」
部下C「さすがボス……」
ボス「…………」
部下A「も、申し訳ありませんっ!」
ボス「これから本格的にテロを行おうという時に、政府の諜報員に尾行されるとはな……」
部下A「この失態は必ず取り返しますので――」
ボス「もういい、花になれ」ポイッ
部下A「ひっ!」
ドゴォォォォォォン!!!
ボス「うーん、イマイチな咲き具合だな。最後まで役に立たない奴だった」
部下B「容赦ない処刑だ……」
部下C「さすがボス……」
40:2019/11/07(木) 00:30:52.118 ID:gNG050Rg0.net
ボス「ここはもう捨てるしかないな。新しい花壇を探そう」
部下B「それにしてもボスは花がお好きですね」
ボス「まぁね。といっても人が爆発で花みたいに咲くところが好きなんだけどね」
ボス「特に人混みを見ると、ああ爆破したいなぁ……って気分になるよ」
ボス「たとえば通勤ラッシュ時の駅を見ると、あそこに僕お手製の爆弾を投げ込んだら」
ボス「一体何十人死ぬのか……それを想像するだけで股間がうずいてしまうよ」
部下B「…………!」ゾッ…
ボス「それに、本物の花はそこまで好きじゃない」
部下B「なぜです?」
ボス「僕ってひどい花粉症なんだよねー。フラワーを名乗る組織のボスが花粉症って、笑えるだろ?」
部下B「ハ、ハハ……」
部下B「それにしてもボスは花がお好きですね」
ボス「まぁね。といっても人が爆発で花みたいに咲くところが好きなんだけどね」
ボス「特に人混みを見ると、ああ爆破したいなぁ……って気分になるよ」
ボス「たとえば通勤ラッシュ時の駅を見ると、あそこに僕お手製の爆弾を投げ込んだら」
ボス「一体何十人死ぬのか……それを想像するだけで股間がうずいてしまうよ」
部下B「…………!」ゾッ…
ボス「それに、本物の花はそこまで好きじゃない」
部下B「なぜです?」
ボス「僕ってひどい花粉症なんだよねー。フラワーを名乗る組織のボスが花粉症って、笑えるだろ?」
部下B「ハ、ハハ……」
41:2019/11/07(木) 00:33:08.610 ID:gNG050Rg0.net
一方――
花売り娘(ここがテロ組織『フラワー』のアジトね)
見張りA「でさー……」
見張りB「マジかよ?」
花売り娘(毒の花粉を……)サラサラ…
見張りA「うっ……!?」
見張りB「ゲボッ!」
花売り娘(侵入開始!)ダッ
花売り娘(ここがテロ組織『フラワー』のアジトね)
見張りA「でさー……」
見張りB「マジかよ?」
花売り娘(毒の花粉を……)サラサラ…
見張りA「うっ……!?」
見張りB「ゲボッ!」
花売り娘(侵入開始!)ダッ
42:2019/11/07(木) 00:37:27.408 ID:gNG050Rg0.net
部下C「あっ、お前は!?」
チクッ
部下C「うぐぅ……」ドサッ…
花売り娘(ツタで絞め上げる!)グググッ…
部下D「ぐぐぐ……ぐるじ……!」ガクッ
花売り娘(よく研いだ花びらで……頸動脈を切断!)ザシュッ!
部下E「ぐああっ……!」ドザッ
チクッ
部下C「うぐぅ……」ドサッ…
花売り娘(ツタで絞め上げる!)グググッ…
部下D「ぐぐぐ……ぐるじ……!」ガクッ
花売り娘(よく研いだ花びらで……頸動脈を切断!)ザシュッ!
部下E「ぐああっ……!」ドザッ
44:2019/11/07(木) 00:39:28.968 ID:gNG050Rg0.net
部下B「ボス、侵入者です!」
ボス「政府が刺客を送り込んできたか。ずいぶんと早いな」
ボス「それで? 死んだ連中はどんなやられ方をしている?」
部下B「まるで植物に殺されたようなやられ方を……」
ボス「そういえば、さっきからやけに鼻がぐずつくな……」グシュッ
ボス「――分かった! この侵入者の正体が!」
部下B「えっ!」
ボス「あの女のことはよく知ってる……大広間で歓迎してやろう」
部下B「分かりました!」
ボス「ああ、それと……お前にこの御守りをやろう。お前は優秀だからな。死なれたら困る」
部下B「ありがとうございます!」
ボス「政府が刺客を送り込んできたか。ずいぶんと早いな」
ボス「それで? 死んだ連中はどんなやられ方をしている?」
部下B「まるで植物に殺されたようなやられ方を……」
ボス「そういえば、さっきからやけに鼻がぐずつくな……」グシュッ
ボス「――分かった! この侵入者の正体が!」
部下B「えっ!」
ボス「あの女のことはよく知ってる……大広間で歓迎してやろう」
部下B「分かりました!」
ボス「ああ、それと……お前にこの御守りをやろう。お前は優秀だからな。死なれたら困る」
部下B「ありがとうございます!」
45:2019/11/07(木) 00:41:21.173 ID:gNG050Rg0.net
コソッ…
花売り娘「…………」
花売り娘(ビル内の敵はあらかた倒して、残るはあの大きな部屋だけ……)
花売り娘(明らかに罠だけど、そうやって勘ぐらせるための時間稼ぎの可能性もある)
花売り娘(危険を承知で行くしかないわね)
ザッ
花売り娘「…………」
花売り娘(ビル内の敵はあらかた倒して、残るはあの大きな部屋だけ……)
花売り娘(明らかに罠だけど、そうやって勘ぐらせるための時間稼ぎの可能性もある)
花売り娘(危険を承知で行くしかないわね)
ザッ
46:2019/11/07(木) 00:44:22.886 ID:gNG050Rg0.net
<大広間>
部下B「待っていたぞ」
花売り娘「…………」
部下B「お前はこの俺が仕留める!」ダッ
花売り娘「バカね」
花売り娘(バラのトゲで――)サッ
花売り娘「…………」ゾクッ
花売り娘(この男、何か嫌な予感がする!)
ドォォォォォォン!!!
部下B「待っていたぞ」
花売り娘「…………」
部下B「お前はこの俺が仕留める!」ダッ
花売り娘「バカね」
花売り娘(バラのトゲで――)サッ
花売り娘「…………」ゾクッ
花売り娘(この男、何か嫌な予感がする!)
ドォォォォォォン!!!
47:2019/11/07(木) 00:46:50.879 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「きゃあっ!」ドザァッ
花売り娘(自爆した……!?)
ボス「あー、惜しい惜しい。御守り爆弾作戦失敗。だけどさすが僕の爆弾、ダメージはあったようだね」
花売り娘「あなたは……!」
花売り娘(自爆した……!?)
ボス「あー、惜しい惜しい。御守り爆弾作戦失敗。だけどさすが僕の爆弾、ダメージはあったようだね」
花売り娘「あなたは……!」
48:2019/11/07(木) 00:50:24.471 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「たしか、テロ組織『ルート』の……!」
ボス「知っててくれて嬉しいね。爆弾作りを担当してた者さ」
花売り娘「あなたがこの組織のボスだったのね」
ボス「せっかく僕の作った爆弾を有効活用してくれていた『ルート』を君に潰された僕は」
ボス「新たに国に不満を持つ連中を集めて自らテロ組織を築き上げた」
ボス「地中に潜る根っこを卒業して、僕は花(フラワー)になったのさ!」
花売り娘「その花のやることが……部下に爆弾仕込んで、自爆させる作戦なんてね……」
ボス「なんとでもいえよ。君の戦い方は知ってたからね。自爆が有効だと思っていた」
ボス「さー、みんな。あの女にトドメを刺すんだ」
ボス「派手に死に花咲かせてくれよ、政府の刺客さん」
ジャキッ ジャキッ ジャキッ
花売り娘「くっ……!」
ボス「知っててくれて嬉しいね。爆弾作りを担当してた者さ」
花売り娘「あなたがこの組織のボスだったのね」
ボス「せっかく僕の作った爆弾を有効活用してくれていた『ルート』を君に潰された僕は」
ボス「新たに国に不満を持つ連中を集めて自らテロ組織を築き上げた」
ボス「地中に潜る根っこを卒業して、僕は花(フラワー)になったのさ!」
花売り娘「その花のやることが……部下に爆弾仕込んで、自爆させる作戦なんてね……」
ボス「なんとでもいえよ。君の戦い方は知ってたからね。自爆が有効だと思っていた」
ボス「さー、みんな。あの女にトドメを刺すんだ」
ボス「派手に死に花咲かせてくれよ、政府の刺客さん」
ジャキッ ジャキッ ジャキッ
花売り娘「くっ……!」
49:2019/11/07(木) 00:53:30.639 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「ちょ、ちょっと待って……」
ボス「ん?」
花売り娘「最後に一つだけお願いがあるんだけど」
ボス「おやおや、命乞いかい?」
花売り娘「命はどうでもいいけど、最後に私と寝てくれない?」
ボス「は?」
花売り娘「お願い! 私未経験のまま死にたくないの! 最後の思い出にどうか私を抱いて!」
花売り娘「なんだったら部下全員に襲わせてもいいから! 丸腰になるから!」
ボス「その手は食わないよ。ハニートラップに決まってる」
花売り娘「ホントなのに!」
ボス「さあ、あの女を撃ち殺せ!」
花売り娘(ああ……私は花を咲かせないまま散るのね……)
ボス「ん?」
花売り娘「最後に一つだけお願いがあるんだけど」
ボス「おやおや、命乞いかい?」
花売り娘「命はどうでもいいけど、最後に私と寝てくれない?」
ボス「は?」
花売り娘「お願い! 私未経験のまま死にたくないの! 最後の思い出にどうか私を抱いて!」
花売り娘「なんだったら部下全員に襲わせてもいいから! 丸腰になるから!」
ボス「その手は食わないよ。ハニートラップに決まってる」
花売り娘「ホントなのに!」
ボス「さあ、あの女を撃ち殺せ!」
花売り娘(ああ……私は花を咲かせないまま散るのね……)
51:2019/11/07(木) 00:57:50.343 ID:gNG050Rg0.net
ガガガガガガガガガガガガッ!
「ぐあっ!」 「うげえっ!」 「がはっ!」
ボス「!?」
ボス「なんだ、新手か!?」
マスク男「…………」ガガガガガガガガガガッ
「ぎゃあっ!」 「ぐはっ!」 「うげっ!」
ボス「ちいっ!」バッ
花売り娘「え……誰!?」
花売り娘(しかも、すごい腕だわ! 大勢いた部下を次々仕留めてる!)
役人『応援も送るが――』
花売り娘(もしかして、このマスクマンが応援!?)
「ぐあっ!」 「うげえっ!」 「がはっ!」
ボス「!?」
ボス「なんだ、新手か!?」
マスク男「…………」ガガガガガガガガガガッ
「ぎゃあっ!」 「ぐはっ!」 「うげっ!」
ボス「ちいっ!」バッ
花売り娘「え……誰!?」
花売り娘(しかも、すごい腕だわ! 大勢いた部下を次々仕留めてる!)
役人『応援も送るが――』
花売り娘(もしかして、このマスクマンが応援!?)
52:2019/11/07(木) 01:00:26.358 ID:gNG050Rg0.net
ボス「くそっ……花女だけに気を取られてた……! まだいやがったのか……!」
ボス「だが……!」
ボゥンッ!!!
マスク男「……自爆!?」
花売り娘「違うわ……あの男はそんなタマじゃない」
花売り娘「もう……逃がさない!」
ボス「だが……!」
ボゥンッ!!!
マスク男「……自爆!?」
花売り娘「違うわ……あの男はそんなタマじゃない」
花売り娘「もう……逃がさない!」
53:2019/11/07(木) 01:03:16.846 ID:gNG050Rg0.net
タッタッタ…
ボス「僕はまだ負けてないぞ……。逃げて、再び新しい組織を……!」
サラサラ…
ボス「…………」ムズッ
ボス「ハークショッ! ……こ、これは!?」
コツ… コツ…
花売り娘「あなたが派手に爆弾使ったおかげで花粉もまき散らしやすいわ」
ボス「!」ビクッ
花売り娘「たとえば体を麻痺させる花粉なんかもね……」
ボス「ヒッ!?」
ボス「僕はまだ負けてないぞ……。逃げて、再び新しい組織を……!」
サラサラ…
ボス「…………」ムズッ
ボス「ハークショッ! ……こ、これは!?」
コツ… コツ…
花売り娘「あなたが派手に爆弾使ったおかげで花粉もまき散らしやすいわ」
ボス「!」ビクッ
花売り娘「たとえば体を麻痺させる花粉なんかもね……」
ボス「ヒッ!?」
54:2019/11/07(木) 01:06:45.450 ID:gNG050Rg0.net
ボス(まだ爆弾はある! こいつに投げつければ――)
ボス(手足が麻痺して……ッ! 動かな……ッ!)
花売り娘「フフッ……どうやって死に花咲かせるのがお望み?」
花売り娘「毒のトゲで死ぬ? 茨で絞められる? 花びらで頸動脈切断もできるわよ」
ボス「ま、待ってくれ! 命だけは……ッ!」
花売り娘「大サービスでフルコースってのもいいかもねえ……」クスッ
ボス「あ、あああ、あぁぁ……ッ」
…………
……
ボス(手足が麻痺して……ッ! 動かな……ッ!)
花売り娘「フフッ……どうやって死に花咲かせるのがお望み?」
花売り娘「毒のトゲで死ぬ? 茨で絞められる? 花びらで頸動脈切断もできるわよ」
ボス「ま、待ってくれ! 命だけは……ッ!」
花売り娘「大サービスでフルコースってのもいいかもねえ……」クスッ
ボス「あ、あああ、あぁぁ……ッ」
…………
……
55:2019/11/07(木) 01:09:26.114 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「助かったわ……あなたがいなきゃ私は氏んでた」
花売り娘「それにしても応援があなたみたいな凄腕だなんてビックリしたわ」
マスク男「僕もビックリですよ」
花売り娘「?」
マスク男「先にやってきてたのが、あなただったなんて」
花売り娘「私、あなたなんか知らないけど……」
カポッ
青年「僕ですよ、僕!」
花売り娘「あーっ!!!」
花売り娘「それにしても応援があなたみたいな凄腕だなんてビックリしたわ」
マスク男「僕もビックリですよ」
花売り娘「?」
マスク男「先にやってきてたのが、あなただったなんて」
花売り娘「私、あなたなんか知らないけど……」
カポッ
青年「僕ですよ、僕!」
花売り娘「あーっ!!!」
58:2019/11/07(木) 01:12:54.022 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「あなたの仕事って……」
青年「ええ、対テロ部隊の隊員だったんです」
青年「敵の制圧より射殺を求められる部隊所属なので……黙ってました。すみません」
花売り娘「そういうことだったんだ」
花売り娘「だけど、私の本性があんなんだって知って……幻滅したでしょ?」
青年「いえ、その逆です!」
花売り娘「!」
青年「ええ、対テロ部隊の隊員だったんです」
青年「敵の制圧より射殺を求められる部隊所属なので……黙ってました。すみません」
花売り娘「そういうことだったんだ」
花売り娘「だけど、私の本性があんなんだって知って……幻滅したでしょ?」
青年「いえ、その逆です!」
花売り娘「!」
59:2019/11/07(木) 01:15:21.866 ID:gNG050Rg0.net
青年「たった一人でテロ組織に立ち向かう姿……僕は感動しましたし」
青年「なにより本当に美しかった!」
花売り娘「え……」
青年「改めて言います」
青年「どうか僕とお付き合いして下さい!」バッ
花売り娘「……こちらこそ」
青年「ありがとうございますッ!」
青年「なにより本当に美しかった!」
花売り娘「え……」
青年「改めて言います」
青年「どうか僕とお付き合いして下さい!」バッ
花売り娘「……こちらこそ」
青年「ありがとうございますッ!」
60:2019/11/07(木) 01:18:22.327 ID:gNG050Rg0.net
花売り娘「……じゃあ、あなたの胸に飛び込んでもいい?」
青年「! ど、どうぞ」
花売り娘(私、やっと……運命の男性に巡り合えたんだわ)
ギュッ…
青年「…………」ムズッ
花売り娘「?」
青年「ハークショッ! ハークショッ! うう……ハークション!」
花売り娘「わっ、私に鼻がっ! ちょっ、わっ、きゃあああっ!」
青年「ず、ずびばぜん……」グシュッ
青年「! ど、どうぞ」
花売り娘(私、やっと……運命の男性に巡り合えたんだわ)
ギュッ…
青年「…………」ムズッ
花売り娘「?」
青年「ハークショッ! ハークショッ! うう……ハークション!」
花売り娘「わっ、私に鼻がっ! ちょっ、わっ、きゃあああっ!」
青年「ず、ずびばぜん……」グシュッ
65:2019/11/07(木) 02:03:34.171 ID:gNG050Rg0.net
……
……
役人「まさか、お前たちがすでに知り合ってたとはなぁ」
青年「ええ、結婚相談所で」
花売り娘「ビックリしたでしょ?」
役人「ビックリしたよ」
花売り娘「やっぱり不倫しときゃよかった……と思ったでしょ?」
役人「思わねえよ」
……
役人「まさか、お前たちがすでに知り合ってたとはなぁ」
青年「ええ、結婚相談所で」
花売り娘「ビックリしたでしょ?」
役人「ビックリしたよ」
花売り娘「やっぱり不倫しときゃよかった……と思ったでしょ?」
役人「思わねえよ」
66:2019/11/07(木) 02:06:11.500 ID:gNG050Rg0.net
役人「で、さすがにもうベッドインまでいったんだろ?」
花売り娘「それが……ねえ」
青年「いざ本番ってところで、僕がクシャミしまくりでそれどころじゃなくなっちゃって」
役人「オイオイ」
青年「だけど僕、本格的に花粉症を軽減・克服する治療を始めたんです!」
役人「ああ、今はそういう治療もあるらしいな」
青年「そしたら僕……花売り娘さんを思い切り抱き締めてみせます!」
花売り娘「フフッ、思い切り乱れ咲きさせてね」
役人「ハハ、いつになるやら、だな」
役人(だが近いうち、花売りと洟垂らしの最強夫婦が誕生する予感がするよ)
~おわり~
花売り娘「それが……ねえ」
青年「いざ本番ってところで、僕がクシャミしまくりでそれどころじゃなくなっちゃって」
役人「オイオイ」
青年「だけど僕、本格的に花粉症を軽減・克服する治療を始めたんです!」
役人「ああ、今はそういう治療もあるらしいな」
青年「そしたら僕……花売り娘さんを思い切り抱き締めてみせます!」
花売り娘「フフッ、思い切り乱れ咲きさせてね」
役人「ハハ、いつになるやら、だな」
役人(だが近いうち、花売りと洟垂らしの最強夫婦が誕生する予感がするよ)
~おわり~
67:2019/11/07(木) 02:07:59.567 ID:DtN3pmnD0.net
乙
68:2019/11/07(木) 02:08:36.890 ID:gNG050Rg0.net
最後PCトラブルで遅れましたが完結です
ありがとうございました
ありがとうございました
69:2019/11/07(木) 02:09:03.475 ID:KG2fvBWT0.net
おつおつ
良かった
良かった
71:2019/11/07(木) 02:17:00.235 ID:ItFkICNur.net
乙
花で戦う花売りってのもいいね
花で戦う花売りってのもいいね
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1573048626
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