1:2019/12/26(木) 00:10:14.650 ID:6B5lIFnz0.net
男「ふむ……」ペラ

男「ほうほう……」ペラペラ

男(今流行りの異世界転生小説ってのを読んでみたけど……案外面白いもんだな)

男(チート能力で、悪い奴らをバッタバッタと倒していくのが痛快でたまらない)

男(俺も……もしかしたら俺も……死んだら異世界に転生できるのかな)

男(チート能力持ちで……)

男「なーんて下らないこと考えてないで、もう寝るか」
2:2019/12/26(木) 00:13:08.277 ID:6B5lIFnz0.net
課長「何度いったら分かるんだね!?」

男「申し訳ありませんっ!」



同僚「お前のせいでとんだとばっちりだ!」

男「すいません……!」



男「これコピー取って欲しいんだけど」

OL「自分でやってくださーい。でさぁ~、キャハハハッ! カレシがさー!」
4:2019/12/26(木) 00:16:24.703 ID:6B5lIFnz0.net
男(やっと一日が終わった……)

男(今日もろくなことがなかった……)

男(気がつくと俺は……)



ヒュゥゥゥ…



男(高さ30メートル……ここから落ちれば間違いなく死ぬ)
5:2019/12/26(木) 00:19:00.760 ID:IDh/O6zJ0.net
なんて唐突なんだ
6:2019/12/26(木) 00:19:08.213 ID:6B5lIFnz0.net
男(俺だって……こんな俺だって……)

男(チート能力持って、異世界に転生できたら、きっと輝けるっ!)

男「死ーのうっと!」ピョンッ



ヒュルルルル…



グチャッ
7:2019/12/26(木) 00:19:37.083 ID:P+Dlv7qnr.net
ええ
9:2019/12/26(木) 00:22:15.265 ID:6B5lIFnz0.net
女「……」ペラ

女「ふーん、これが異世界転生小説か。案外面白いわね」

女(おっと、そろそろデートの時間だわ)

女(遅れないようにしないと!)

女(最近デート中そわそわしてることが多いし、きっとそろそろプロポーズを……)
11:2019/12/26(木) 00:25:13.685 ID:6B5lIFnz0.net
ハンサム「あのさ」

女「ん?」

ハンサム「僕たち、そろそろ別れよう」

女「えっ、どうして!?」

ハンサム「このままずるずる付き合ってもお互いのためにならないと思うんだ」

女「……女ね!? 他に女ができたのね!?」

ハンサム「幸せになってくれ……」クルッ

女「ひどい、あんまりよー!」
13:2019/12/26(木) 00:28:10.844 ID:6B5lIFnz0.net
女「うっ、うっ、うっ……」

女「もうこんな世界イヤ……」

女「そうだわ! 私だって異世界に転生すればもっといい男に出会えるかも……」

女「じゃあさっそくロープを買って……」

女「死ーのうっと!」



ギュッ…
14:2019/12/26(木) 00:29:34.265 ID:P+Dlv7qnr.net
わーお
15:2019/12/26(木) 00:31:56.097 ID:6B5lIFnz0.net
D判定

受験生「……」

受験生「ハァ……とても志望大学には受かりそうもない」

受験生「気晴らしに小説読むか……」

受験生(異世界転生か……いいなぁ、楽しそうで)

受験生(僕も『完璧に記憶するスキル』とか『選択肢を外さないスキル』なんてのがあれば)

受験生(大学受験なんて楽勝なのに……)
16:2019/12/26(木) 00:34:10.281 ID:6B5lIFnz0.net
受験生「そうだ!」

受験生「僕だって、異世界に転生すればもっと頭よくなっていい大学入れるかもしれない!」

受験生「『異世界に転生したらトップ大学に楽々合格しちゃいました』みたいな感じで!」

受験生「よーし、そうと決まれば!」

受験生「死ーのうっと!」
17:2019/12/26(木) 00:35:07.242 ID:0lUuWiMKr.net
オイオイ
18:2019/12/26(木) 00:37:15.172 ID:6B5lIFnz0.net
母「あんた、いい加減働きなさい!」

ニート「うるせえババア!」

ニート「あーあ、仕事しないままこんな年齢になっちゃった」

ニート「今さら求職したところで、アルバイトかブラック企業が関の山だろうな」

ニート「チート能力があれば、今からだってホワイトな大企業に就職できるんだろうけど……」

ニート「だったら……いっそ異世界転生に期待して死ぬのがいいかもしれない!」

ニート「死ーのうっと!」
19:2019/12/26(木) 00:40:21.973 ID:6B5lIFnz0.net
JK「……」ペラ…

JK「なにこれ、おもしろーい! ウッソー!」

JK「死ぬとチート能力が手に入って、異世界に転生できるなんてサイコー!」

JK「あたしも異世界行こっかなー、西欧系のオトコとか超好みだし!」

JK「異世界で女王サマになるのも悪くないかも!」

JK「死ーのうっと!」
20:2019/12/26(木) 00:41:44.056 ID:IDh/O6zJ0.net
日本オワタ
21:2019/12/26(木) 00:43:42.398 ID:6B5lIFnz0.net
老人「うう……体が痛い」

老人「若い頃にできてたことがどんどんできなくなってきた……」

老人「老眼のせいで、この異世界転生小説を読み終えるのにも一週間かかってしもうた」

老人「じゃが、この小説のおかげで希望ができた!」

老人「『全盛期の体で不老』のスキルを手に入れて転生して、異世界で楽しく暮らしてやるんじゃ!」

老人「死ーのうっと!」
24:2019/12/26(木) 00:47:28.610 ID:6B5lIFnz0.net
チャラ男「マジ? サンキュー! じゃ、またな~!」

チャラ男「ハァ……」

チャラ男(いくらチャラチャラしてても、こうして一人になるととても不安になる)

チャラ男(このままいい加減な人生歩んでていいのかって……)

チャラ男「異世界に転生すれば、オレももうちょっと真面目になれるかもな……」

チャラ男「死ーのうっと!」
25:2019/12/26(木) 00:50:21.820 ID:6B5lIFnz0.net
ブロロ…

夫「お、崖が見えてきたぞ」

妻「このまま車ごと飛び込むのね」

夫「ああ、家族そろって異世界に転生できることを期待しよう」

子「わーい!」

ブロロロロロ…

家族「死ーのうっと!」
26:2019/12/26(木) 00:53:27.367 ID:6B5lIFnz0.net
社長「経営が厳しくなってきた……」

社長「こんな時、チート能力があれば……」

社長「『部下をタダでこき使える能力』とか『勝手に金が増えていく能力』とかで無双できるのに」

社長「だけど、現実にはそんな能力あるわけない……」

社長「だとしたら、やることは一つ! そういう能力がある異世界に転生すること!」

社長「死ーのうっと!」
27:2019/12/26(木) 00:56:16.276 ID:ZYifpLdy0.net
ショートショートっぽい
28:2019/12/26(木) 00:57:04.262 ID:6B5lIFnz0.net
記者A「大臣、一言! 一言!」

記者B「逃げないで下さい!」

ザワザワ…

大臣「あーあ、また失言しちゃった」

大臣「失言しない能力が欲しい……もしくはどんな問題発言しても許される世界に行きたいなぁ」

大臣「となると……異世界転生しかないか」

大臣「死ーのうっと!」
29:2019/12/26(木) 01:01:29.078 ID:6B5lIFnz0.net
テ口リスト「また政府軍に仲間が殺られた……」

テ口リスト「うすうす気づいてたけど……テロで世の中変えるってやっぱ無謀だよな」

テ口リスト「世の中を変えるより、自分から世界を移動しちゃった方が手っ取り早い」

テ口リスト「ちょうどここに爆弾あるし、いい世界に転生できることを祈って……」

テ口リスト「死ーのうっと!」

ドゴォォォォォン!
31:2019/12/26(木) 01:03:15.296 ID:uGOHu+KEr.net
自爆ww
32:2019/12/26(木) 01:04:47.373 ID:6B5lIFnz0.net
指導者「なに? 支持率が落ちていると?」

側近「はい、デモも起こっています」

指導者「無能な国民どもめ……弾圧してやりたいが、そうするとまた抵抗が起きて面倒だ」

指導者「従順で優秀な国民ばかり集まる国で、指導者をやれればなぁ……」

側近「だとしたら、異世界転生してみるというのはいかがでしょう?」

指導者「その手があったか!」

指導者「死ーのうっと!」バキューンッ

側近「死ーのうっと!」バキューンッ
33:2019/12/26(木) 01:07:37.680 ID:6B5lIFnz0.net
「死ぬとチート能力持って異世界行けるらしいな」

「死ーのうっと!」



「あーあ、嫌なことがない世界に行きたい」

「死ーのうっと!」



「コレガ異世界転生物トイウヤツデスカー! トテモ面白イデース!」

「死ーノウット!」
34:2019/12/26(木) 01:10:47.483 ID:6B5lIFnz0.net
「死ーのうっと!」

「死ーのうっと!」

「死ーのうっと!」

「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」

「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」 「死ーのうっと!」

シーノウット

シーノウット

シーノウット…

……

……
36:2019/12/26(木) 01:13:47.028 ID:6B5lIFnz0.net
……

……

青年「あ」

少女「あ」

青年「まだこの世界に生き残りがいるなんて……」

少女「私もビックリ!」

青年「世界中で、異世界に転生することを期待する自殺ブームが起きて……」

少女「どんどん過熱して、あっという間にみんな死んじゃったもんね」

青年「結局、みんなは異世界に転生できたんだろうか」

少女「それは本人じゃないと分からないね」
37:2019/12/26(木) 01:15:42.982 ID:6B5lIFnz0.net
少女「生き残ったのは私たちみたいなブームに乗らなかった変わり者だけ……」

青年「今やすっかり見慣れたけど、最初は面食らったよ」

少女「街はゴーストタウンになって、どこも死体だらけだもんね」

青年「うん、まるで異世界に来てしまったような気分だったよ」







― 終 ―
38:2019/12/26(木) 01:17:52.490 ID:uGOHu+KEr.net

面白かった
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1577286614