1:2020/01/16(木) 21:23:41.967 ID:4T1GVoiaa.net
男「は?」

少女「全く違う飲み物同士が混ざり合い、唯一無二の味わいを生み出す──」

少女「まるで人と人が織り成す人生そのものじゃないですか」

男「それっぽいこと言ってるがドリンクバーは飲み物を混ぜることを前提としたシステムではないからな」

少女「おや、男さんはドリンクバーで飲み物を混ぜたことがないと?」

男「記憶の限りではないな」

少女「童Oですか」

男「女子高生なんだからもう少し弁えなさい」ペチッ

少女「いたいです」
8:2020/01/16(木) 21:28:37.787 ID:4T1GVoiaa.net
少女「ドリンクバーで飲み物を混ぜるのって楽しいからおすすめですよ。科学実験みたいで」

男「科学実験とか言ってるとこが最高にアホっぽいな」

少女「失礼な。私は童心をですね……」

男「はいはい。というか、そもそもドリンクってそれ単体で完成しているものだろ?」

男「混ぜずに飲むより美味しいものができあがるのか?」

少女「そこはロマンですよ、ロマン。男さんは女の子の手作り料理に"お店の方が美味しいんだから"なんてこと言う質ですか?」

男「いや俺が混ぜたら俺の手作りドリンクだろ」

少女「確かにロマンないですね!」

男「そんなにハッキリ言われたらそれはそれで傷つくぞ」

少女「混じり気のない返答は心地よいものだと聞きました!」

男「そこも何か混ざり合わせろ」
11:2020/01/16(木) 21:32:58.517 ID:4T1GVoiaa.net
少女「仕方ないですね。ではここは私が直々に手作りドリンクを振る舞ってさしあげましょう」

男「すげぇ。どれくらい喜ぶべきなのか全くわからない」

少女「女子高生の手作りですよ。舞い上がってください」

男「弁当とかなら五倍くらい舞い上がってたと思う」

少女「今から作りましょうか?」

男「流石になんか食べたくなったら注文するわ」

少女「私より厨房の女の子を取るんですね……」

男「重たいわ」
12:2020/01/16(Thu) 21:36:34
少女「どうぞ、とりあえず5つ持ってきました」

男「多くない?」

少女「飲み比べというのもドリンクミキサーにとって乙なものなのです」

男「そんなにグラス占有して店員に怒られないか?」

少女「お客さんもそんなにいませんし大丈夫ですよ。ほらほら、女子高生の手作りですよ?召し上がってください!」

男「とりあえず飲む前にどれが何と何のミックスなのか聞いても良いか?」

少女「それは飲んでからのお楽しみです」

男「おっとこいつはむしろ罰ゲームに見えてきたぞ」
13:2020/01/16(木) 21:39:01.509 ID:4T1GVoiaa.net
少女「では、そうですね。男さんから見て右からいきましょう。どうぞ」

男「……」ゴクリ

少女「固唾を飲んでるのか一口飲んでるのか分かりにくい擬音はやめてください」

男「何の話??????」

少女「とりあえず、ほら!女々しいですよ!どうぞ!」

男「……いただきます」

ゴクゴク……

少女「いかがですか?」

男「コーラだ」

少女「お、良い舌してますね」
15:2020/01/16(木) 21:41:11.419 ID:4T1GVoiaa.net
男「うーん、でももうひとつの飲み物が何なのかわからんな」

少女「そもそも私は二種類のミックスだとは一言も言ってませんけどね」

男「え?三つ以上混ぜられてるパターンもあるの?」

少女「そもそも"混ぜられてるのがドリンクだけ"、という前提をまず疑ってみてはいかがでしょう?」

男「え、なにそれこわい」
17:2020/01/16(Thu) 21:45:39
少女「まぁま、ほら、私は次のドリンクを入れてくるので残りも飲んでみてください」

男「え、俺まだ飲まされるの?」

少女「……自分のぶんです」

男「飲むの早くない?」

少女「乙女はお砂糖とスパイスと素敵な何かでできてますからね。そのうち2/3はドリンクバーから摂取しないといけないのです」

少女「私は女子力高めなので常人よりたくさん摂取しているわけですね」

男「とりあえず自分のことを女子力高めって言う女子は女子力疑うべきだと思う」

少女「男さん、ついでに何かドリンク取ってきましょうか?」

男「いらないです」

少女「いえいえ、遠慮しないでください」ニコッ
18:2020/01/16(Thu) 21:52:58
少女「お待たせしました~」

男「なぁ」

少女「なんでしょう?全部お飲みになられましたか?」

男「飲んだけど……」

少女「それはよかったです。して、人生初めての乙女の手作りの感想は?」

男「勝手に人生初めてと決めつけるな」

少女「おや、これは失敬です。して、実のところは?」

男「初めてです」

少女「"童貞です"に言い換えてください」

男「何???女子高生の間で童貞ってワード流行ってんの???」

少女「男さん、女の子に向かって童貞とか口に出すの、セクハラですよ」

男「??????」
20:2020/01/16(Thu) 21:53:58
男「まぁ、飲んだんだよ」

男「全部液体黒いからまさかとは思ったんだけどさ」

男「これ全部コーラじゃねぇ? 」

少女「コーラですね」

男「あの流れで何も混ぜてないコーラを5つお作りになられた!?!?」

少女「常識を、疑いましょう」ドヤッ

男「すっげぇ腹立つ!」
21:2020/01/16(Thu) 21:56:10
少女「なんて、嘘ですよ。それはそれで面白みがありません」

男「何が本当で何が嘘なのかもうわからなくなってきた」

少女「これはドリンクミキサーあるあるのひとつなのですが──」

少女「コーラを混ぜるとだいたいコーラになります」

男「もうそれ混ぜる必要なくない?」
22:2020/01/16(Thu) 21:58:52
少女「まぁ料理におけるカレーみたいなものですよ」

少女「だいたいの料理、カレーに突っ込んだらカレーじゃないですか」

男「そんなに料理をカレーに突っ込むことある?」

少女「カレーの例えは置いておくとして、それらは全てミキシングされたコーラ達なのです」

男「マジか……」

ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ

男「……………………」

男「違いが全くわからん」

少女「フッ」

男「鼻で笑われるようなことなのこれ??????」
23:2020/01/16(Thu) 22:02:02
少女「まぁ私くらいのドリンクバーマスターになればドリンクの判別など、余裕ですよ」

男「ドリンクバーマスター」

少女「どうせもうグラスもバラバラで私にもどれがどれだかわかんないですし、効きドリンクしてみましょうか?」

男「効きドリンク」

少女「え?間接キス?そんなの気にするの小学生までですよ」

男「何も言ってないぞ」
25:2020/01/16(木) 22:04:35.696 ID:4T1GVoiaa.net
ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ

少女「男さんから見て右からメロンソーダ、ジンジャーエール、カルピス、オレンジジュース、烏龍茶です」

男「すげぇ。今俺、オタクって端から見るとこういう気持ち悪さなんだなって実感してる」

少女「それもしかしなくても私のこと気持ち悪いって言ってますよね?」

男「うん」

少女「シンプルに肯定しないでください」
26:2020/01/16(木) 22:08:05.090 ID:4T1GVoiaa.net
少女「ほら、カルピスなんかはわかりやすいと思いますよ」

ゴクッ

男「……うーん」

ゴクッ

男「味は微妙に違うが最早"コーラ"のスタンダードがどこにあるのかわからなくなってきている」

少女「そういえばシンプルなコーラないですね……」
29:2020/01/16(Thu) 22:11:21
少女「繰り返しになりますが、ドリンクバーは人生です」

少女「男さんがドリンクバーから学ぶべきことは"コーラのように誰と混ざりあっても自分のアイデンティティを見失わない人間であれ"ということ──」

男「最早何からでも学べそうな次元に達してるな」

少女「そして、コーラのような強いアイデンティティに潰された個性も見つけてくれる人が、見つけられる人がきっといるということですね」

男「今度は自分の株を上げに来たな」
30:2020/01/16(Thu) 22:14:00
少女「ということで、最後に私が入れてきた一杯を男さんにプレゼントしましょう」

男「……シンプルなコーラ?」

少女「まぁ、なかったですからね。答え合わせと言ったところです」

男「ありが」ゴクッ

男「ブッッッッッ」

少女「最後に、男さんがドリンクバーから学ぶべきことは"強い個性に抗うことのできる強い個性を持った人間もいる"、ということですね」

男「おまっ、それ、たばすっ……うぇっ」
31:2020/01/16(Thu) 22:16:25
おしまい

32:2020/01/16(Thu) 22:32:54
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1579177421