1: 2016/06/19(日) 17:57:21.21 ID:9ttuVOQf0


……
-楽屋



響「うぎゃー! 衣装のリボンが絡まったぁ!」ジタバタ

貴音「断食~断食~♪ ときに暴食~♪」

響「貴音ぇ、歌ってないでほどいてよぉ!」



美希「ひ、響!! たいへんなの!」

響「美希、話し聞いてあげるから、これほどいて」


美希「これを見るの!!」バンッ

響「ほどいて」




https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466326640/

2: 2016/06/19(日) 17:58:22.05 ID:9ttuVOQf0


響「ん? っていうかこれ、雑誌の……貴音のインタビュー記事?」

美希「ここ! ここをよぉーく見るの!!」

響「ん? なになに……?」



響「ぅ、うぎゃぁああ!! ほんとだ……たいへんだぞ……!!」

美希「やばいの……!」


貴音「? 二人とも、わたくしがどうかしたのですか?」

響「」ビクッ

美希「ひぃ!」ガタガタ

貴音「あ、あの」

響「た、貴音は……」



響「ひとを、食べちゃったのか……?」

貴音「……?」キョトン



3: 2016/06/19(日) 17:59:25.64 ID:9ttuVOQf0


響「そこまでお腹をすかせる前に、自分たちに相談してほしかったぞ!」

美希「そうなの! ミキ……貴音のためだったら、カモ先生の一匹ぐらい喜んで差し出すの!」

貴音「いえ、あの、お、落ち着いてください。かも先生はいりませんので」オロオロ

響「どうしてっ」



響「どうして真美を食べちゃったんだ貴音ぇ!!!」

貴音「」



4: 2016/06/19(日) 18:00:17.91 ID:9ttuVOQf0


貴音「あの…………わたくし、双海真美など食したおぼえは」

美希「これを見るの!!」

貴音「わたくしが取材を受けた雑誌記事ですね。これがなにか……」

響「よく見て!!!」



響「真美味(まみあじ)でした。って書いてあるぞ!!!!」

貴音「はやぁ」



5: 2016/06/19(日) 18:00:59.57 ID:9ttuVOQf0


貴音「響、響、」

響「ど、どうして、どうして真美を」ガタガタ

美希「亜美味は!? 亜美味と真美味はどこで区別がつくの!!?」

貴音「いえ、あの、これは」



貴音「真美味(まことびみ)……と読むのです」

響「…………へ?」

美希「あふぅ」



6: 2016/06/19(日) 18:01:42.87 ID:9ttuVOQf0


貴音「響、美希……」

美希「ミキはもちろん知ってたよ」

響「じじ、自分も! ちょ、ちょっとからかっただけだぞ! はは! 貴音がひとを食べちゃうなんてあるわけないさー! はは、ははは」

貴音「……」

響「はは、は……」



響「ごめん……」

貴音「はい」



7: 2016/06/19(日) 18:03:23.64 ID:9ttuVOQf0


響「自分っ、大事なユニットメンバーを疑って……! ほんとにごめん!」

貴音「いえ、よいのです……誤解を招く言葉づかいをしたわたくしも悪いのですから」

美希「ミキも、ちょっと響のリアクションよすぎて調子に乗っちゃったの。ごめんね貴音」

響「えぇっ!?」

美希「っていうか響は騙されやすすぎなの」

貴音「確かに、少々心配になりますね」

響「えぇええ……だって……だって、昨日ちょうど、頭ががぱーってひらいて人間を食べちゃう化物が出る漫画を読んでて、それで、つい」

貴音「なるほど……響には、わたくしがそのように見えていたのですか……」

響「い、いやっ! そんなこと」



貴音「さすがは響……真実を見抜く目を持っているのですね。ふふっ……」

響「」



8: 2016/06/19(日) 18:05:42.80 ID:9ttuVOQf0


響「」ガクガクブルブル

貴音「……じょおく、です」

響「ほ、ほんとに……? ほんとに??」

美希「ミキも、今のはちょっとゾクッとしたかも……」

貴音「たとえ人食いの化物であれ、事務所の仲間を食べてしまうはずがありません」

響「そ、そうだよね……」ホッ

美希「そこは、ほっとしていいとこかな……」


貴音「しかし確かに……この表記では、わたくしが真美の味を知っているように見えることも事実」

美希「うん。ちょっと紛らわしいって感じ」

響「でも、ならどうするんだ?」

貴音「読点で区切ってみましょう」



貴音「真、美味でした」

響「今度は真が食われたぞ」



9: 2016/06/19(日) 18:06:15.14 ID:9ttuVOQf0


貴音「なんと……」

響「だめだったね」

美希「そうだ!!」

貴音「美希、なにか妙案が?」

美希「問題は、うちの事務所に真クンと真美っていう、紛らわしい名前がいるのが悪いの!」

響「えぇ……」

貴音「逆転の発想ですね」

美希「つまり!!」




美希「真クンと真美がいなくなれば……」

響「ちょちょちょちょ!!!!」



10: 2016/06/19(日) 18:07:12.28 ID:9ttuVOQf0


美希「逆に考えるの……食べちゃってもいいさ……って」

貴音「なるほど……」

響「なるほどじゃないぞ!!! 恐怖が現実のものになるだけだから!!! 事態が最悪の方向にいっちゃうだけだからぁ!!!!」

貴音「じょおく」

美希「ジョークなの」

響「えぇ……」


響「ほんとに……? ほんとに冗談なのか……?」

美希「響ってば、すっかり怯えちゃった」

貴音「しかし実際、どうすれば誤解を招かず済むのでしょう」

美希「うーん…………全部ひらがなで言ってみるとか」



たかね「まことびみでした」

響「なんかかわいいぞ」



11: 2016/06/19(日) 18:08:51.11 ID:9ttuVOQf0


貴音「やはり、しっくりきませんね」

美希「なんか一瞬縮んでなかった?」

響「あ、じゃあじゃあ、難しい言い回しをひらがなにするから間が抜けるんだと思うぞ、だから……」



貴音「とってもおいしかったです」



響「どう?」

美希「うぅん……幼稚園児が小学生になった、かな」

響「じゃあもうちょっとだな」

貴音「なにがですか」

響「じゃあ中学生ぐらいを目指して」



貴音「やばいめっちゃうまいわこれー」



美希「だ、誰……誰なの」

響「違和感はんぱないぞ……」

貴音「……」

美希「でも……実年齢までもうちょい!」



12: 2016/06/19(日) 18:09:31.49 ID:9ttuVOQf0


貴音「うまし!」



貴音「まいうー」



貴音「んまぁああ~いぃ」




響「……」

美希「……」

貴音「……あの」



美希「もう『真美味(まみあじ)でした』でいーんじゃない」

貴音「よくありません」



13: 2016/06/19(日) 18:10:18.74 ID:9ttuVOQf0


響「まぁ、自然体が一番だしね。無理はよくないさー」

美希「たまに『亜美味でした』も混ぜていこうよ」

響「いっそ『美希味でした』『響味でした』とかも使っていくさー」

貴音「……」

美希「そういえば、貴音ってまえ響のこと噛んでたよね。ジャケット撮影のとき」

響「あー」

美希「どんな味だったの? 響味は」

貴音「……そうですね」



貴音「南国の果実のような爽やかな甘みと、さっぱりしていて、それでいてコクと旨味のある。例えるならば」


貴音「しょうゆらぁめん」

響「果実どこいった」



14: 2016/06/19(日) 18:11:24.01 ID:9ttuVOQf0


貴音「果実はわたくしの胃の中にゆきました」

美希「代わりにしょうゆラーメンが出てきたの?」

響「それだとリバースしたみたいになっちゃうでしょ!! やめてよ!!」




ガチャッ

スタッフ「そろそろ移動お願いしまーす」


美希響貴音「「はい!」」



貴音「みそあじ~しょうゆ~♪ とんこつ~しーおあーじ♪ たんめん~たーんたんめん♪ みんなおいしいねー♪」

美希「衣装よし、ピンマイクよし、髪型もメイクもよし」

響「うぎゃぁああリボン絡んだままだったぁあ~! とって! とってぇ!」

美希「じゃあいくよ、響、貴音!」

貴音「はい、参りましょう」

響「いや、あの」

美希「プロジャクトフェアリー……!!」


美希「ファイトー!!」

貴音「おぉー!」

響「おぉー!! ……じゃなくて! いいからリボンほどいてよぉー! 美希! 貴音!! あぁあちょっと待って!! 待ってよ!!」



ドンガラガッシャーン

うぎゃぁああああ!!







おわり。




15: 2016/06/19(日) 18:13:32.66
おつおつ

引用元: 貴音「あいどる味」