90: 2012/05/05(土) 02:59:13.99 ID:omaxPBq10
P「食事は大勢で食べる方が好きですか? それとも誰にも邪魔されず一人で食べる方が好きですか?」

P「食事は緩やかにおこなわれ、自らを再発見する。そんなことを言った人がいます」

P「誰かって? 誰でしょうね」


貴音「お腹がすきました……。どこかにらぁめん屋は……。いや、この際何でも……」

貴音「はて、あそこにお店がありましたか?」

『孤高のグルメ』 四条貴音

94: 2012/05/05(土) 03:07:19.65 ID:omaxPBq10
貴音「たのもう!」

店主「おや、いらっしゃい」

貴音「おひとりで」

貴音(お昼時と言うこともあってか、お客さんはたくさんいますね。
高校生のあべっく、すーつの似合う殿方、走り回る子供。新しいお店でしょうか?)

ラジオ『さてここで代打の原、このチャンスを活かすことが出来るか!?』

店主「はいお冷置いとくね」

貴音「ありがとうございます」

貴音(さて、めにゅーはいかがでしょうか? 50品目、良くある定食屋ですね。らぁめんがないのが残念ですが、まずはこれを頼みましょう)

95: 2012/05/05(土) 03:15:08.79 ID:sPxdux1b0
貴音「親子丼をお願いします」

店主「はいよ」

貴音「ふむ、注文して4分、非常に速いですね。それでは、いただきましょう」

貴音(プリプリのお肉、トロトロの卵が私の口に広がります。まるで羊水に使った赤子のように、肉は卵によって守られています。
仲睦まじい親子の姿がありありと目に浮かびますね。悲しいかな、彼らはその人生、いや鳥生を全うすることが出来ませんでした。
私たちは命を食べている、それは忘れてしまってはいけませんね)

貴音「御馳走様でした」

店主「おっ、早いじゃない姉ちゃん! 勘定かい?」

貴音「いえ、生姜焼き定食を」

店主「まだ食うのかい? んじゃ作るよ!」

貴音「あと、お冷を」

97: 2012/05/05(土) 03:22:00.19 ID:6eLrHA2W0
店主「はいどうぞ!」

貴音「いただきます」

貴音(生姜の香りが食欲をそそりますね。ふむ、このたれも興味深い。市販のそれとは違いますね。
しかし残念なところがあるなら、小麦粉をかけ過ぎたのでしょう。味が少々強いですね。
しかし、箸が進む、箸が進む……)

貴音「御馳走様でした」

店主「んじゃ勘定だけど……」

貴音「はんばーぐ定食を」

店主「え?」

貴音「はんばーぐ定食です」

店主「ま、まだ食べるのか? まあお金払ってくれりゃ何でもいいんだけどよ……」

貴音「あと、お冷を」

99: 2012/05/05(土) 03:28:33.19 ID:6eLrHA2W0
店主「はいどうぞ」

貴音「いただきます」

貴音(はんばーぐ。響が言うにはこれを嫌いな子供はいないそうですね)

子供「ブーン!! ブーン!! あっ、おばさんハンバーグ食べてる! もーらい!」

貴音「はっ!」

子供A「え? 箸が箸で止められた!?」

子供B「左手で食ってやがる!」

貴音(ふむ……、いささか不便ですね。しかし、食事だけは譲れません。私の理想、それは誰にも邪魔されない静かな食事)

貴音(はんばーぐの焼き加減は良好、いい具合に焦げ目がついて、視覚としても美味しそうです)

子供B「なあ、もう行こうぜ?」

子供A「は、放してくれよ!!」

貴音(右手がプルプルしますが……。ふむ、でみぐらすですね。オロシもあったのですね)

101: 2012/05/05(土) 03:32:14.13 ID:6eLrHA2W0
子供B「なあ、もうお箸放したらどうだ?」

子供A「そうするぜ! あばよおばさん!!」

貴音「ふぅ……」

貴音(子供は宝と言いますが、いかんせん過保護が過ぎるのではないでしょうか?
両親の教育が精進しますことを願っております)

店主「じゃあ会計を」

貴音「店主殿、この店一番のおすすめはどちらでしょうか?」

店主「へ? うちはこの昔懐かし定食ってのがあるけど」

貴音「では、それを頂きましょう」

店主「ま、まだ食うの?」

貴音「それと、お冷をお願いします」

店主「お、おう……」

貴音「楽しみでございます」

103: 2012/05/05(土) 03:37:08.41 ID:6eLrHA2W0
貴音「これが昔なちゅかし……。失礼、昔懐かし定食ですか」

貴音(なるほど、派手さこそはございませんが、どこか家庭の味に近しいものがありますね。目玉焼きですか……)

男「はぁ!? なんでお前はソースかけるんだ!? 普通醤油だろ? そんなんだから765プロに落ちるんだよ!」

女「何言ってんのよ! 目玉焼きにはソースよ! 醤油なんかかけるから、961プロに落ちんのよ!」

貴音「塩をかけましょう……」

男女『やいのやいのやいの!!』

店主「また始まったよ……。何で毎回ここで喧嘩するかな……」

貴音「……この、痴れ者が!!」

店主「!?」

男女『!?』

105: 2012/05/05(土) 03:45:42.54 ID:sPxdux1b0
貴音「目玉焼きに醤油かそうすで揉めるとは……、なんと小さなことよ!! お店に迷惑と思わないのですか!?」

男女『うっ……』

店主「あ、あの姉ちゃん。俺は気にして……」

貴音「相手の好みも受け入れず、それどころか乏しめ合う。なんと愚かなことよ!! あなた方は、永遠の愛を誓うのは不可能でしょう」

男「だってこいつが……」

女「悪いのはあんたよ!」

貴音「なぜ自分の好きではなく、嫌いをぶつけ合うのですか!! 何が嫌いかじゃなくて、何が好きかで自分を語りなさい!!」

貴音「恥を知りなさい!!」

男女『は、はいっ!!』

男「その、たまにはソースもかけちゃおうかな」

女「そうね、たまには醤油も悪くないわね」

貴音「目玉焼きにはしんぷるな塩が一番です」

店主「その、助かったよ。あの2人、いつも目玉焼きに醤油かソースかで揉めてたんだ」

貴音「店主、鉄火丼定食を」

店主「俺の話スルー!?」

107: 2012/05/05(土) 03:55:16.63 ID:GKaIbN1o0
貴音「ついでにお冷頂けますか」

店主「は、はぁ」

貴音(マグロの赤身にまよねーず入りつけだれをかけたのでしょうか? まるでとろのようですね。食が進みます)

貴音「御馳走様でした」

店主「じゃあお会計を」

貴音「ういんなあ炒めと豚汁を。それとお冷を」

店主「は、はい」

貴音(ふむ、ういんなあ炒め、給食のようですね。一方で豚汁、胡麻を入れたのか、香りと味に深みがありますね)

店主「会」

貴音「おにぎりを」

店主「」

貴音「それとお冷をお願いします」

108: 2012/05/05(土) 03:57:26.57
フードファイターが生きてたら……
惜しいことをした 生まれるのが遅すぎたんだ

110: 2012/05/05(土) 04:02:01.88 ID:GKaIbN1o0
すうつの似合う男「お、おい……。あの娘どれだけ食う気だ?」

男「まだ食っていくぜ」

女「ま、まさか……。あの人、全料理制覇する気!?」

貴音「から揚げ定食を」

店主「へ、へい!」

貴音「それと……」

男「お冷、だろ?」

貴音「はて? どうして分かったのでしょうか?」

店主「お待ち!!」

貴音「いただきます」

貴音(ふむ……、妙に騒がしくなってきましたね。なにか面白いいべんとでも行われているのでしょうか?)

貴音「御馳走様。次は鳥南蛮定食を」

女「そしてお冷! だよね?」

貴音「よしなに」

112: 2012/05/05(土) 04:09:53.00 ID:6eLrHA2W0
子供A「あのおばさんまだ食ってるぜ!」

子供B「全部食うのかな? みんなにも知らせてこようぜ!!」

ざわ…っ、ざわ…っ

貴音「かきふらい定食を。そしてお冷を」

店主「お待ち!」

貴音「焼き魚定食を」

男「アンドお冷だぜ!」

店主「お待ち!」

店主(や、やべえ……。手がプルプルしてきたぜ。でもな、この娘の幸せそうな顔を見るとな、俺が作らなきゃって思うんだよな)

貴音「ふむ……」

女「なあ男今何杯!?」

男「もう30は超えてるぞ……」

貴音「梅おろしちきんかつを」

女「はいお冷!」

113: 2012/05/05(土) 04:14:18.26 ID:6eLrHA2W0
貴音「ダシ巻き卵を」

すうつ「お冷!」

貴音「ろうすかつ丼を」

店主「へいお待ち!」

子供A「な、すげーだろ?」

子供B「フードファイターだぜ!!」

子供C「おばさんスゲー!!」

子供D「食い過ぎだぜ!」

貴音「ふぅ、うどんせっとを」

店主「了解しやし」

強盗「おい! 動くんじゃあねえ! 金をよこせ!!」

117: 2012/05/05(土) 04:18:35.00 ID:6eLrHA2W0
女「きゃあああ!」

男「ご、強盗!?」

強盗「貴様らも財布をよこしな! おいそこの銀髪の姉ちゃんもだ! 店員! 何作ってやがる!!」

貴音「御馳走様でした。次は力うどんせっとを」

店主「あいよ!」

強盗「おい! 聞こえてんのか!? 無視するんじゃねえよ!」

貴音「はて、肉も汁につかり、深みが生まれましたね……」

強盗「食うのを辞めてこっちに金を出しやがれ! お前も作るんじゃねえよ!」

店主「なあ、あんた。邪魔しないでやってくれないか?」

強盗「ああ!?」

119: 2012/05/05(土) 04:22:33.22 ID:omaxPBq10
店主「見てくれよ、この素敵な食いっぷりを」

貴音「ふむ……、これはなかなか」

強盗「な、なんていい顔で食いやがるんだ!」

店主「な? 今日の俺は何でも作れそうだ。君も強盗なんて馬鹿な真似を辞めて、ここで食べてかないか?」

強盗「ば、ばかにするんじゃねええ!!」

パーン!!

女「いやああっ! ってあれ?」

強盗「あ、あわわわわ……」

貴音「まだ、食べている最中です」

貴音「すみませぬ店主。銃弾を箸で直に持ってしまったので、交換したいのですが」

強盗「な、なんだと……」

120: 2012/05/05(土) 04:26:05.51 ID:omaxPBq10
貴音「食事は、あらゆる生命活動の原点です。それを妨害しようとするなど、言語道断。万死に値します」

強盗「な、なんだ? なんなんだここは!?」

店主「ただの定食屋だよ」

貴音「いかにも。それと麻婆豆腐定食を」

店主「あいよ!!」

強盗「お、おれはどうすればいいんだ?」

男「最後まで見届けよう。店主と、彼女の戦いを」

強盗「あ、ああ……」

女「残り3食よ!!」

貴音「御馳走様でした」

121: 2012/05/05(土) 04:32:23.65 ID:sPxdux1b0
貴音「御馳走様でした」

男「あと2食、なにがあるんだ!?」

貴音「天そば定食を」

店主「あいよ!」

強盗「お冷だ……」

貴音「感謝いたします」

貴音(天ぷらがぷりぷりですね。まるで彼女のかつての髪形のような形状ですね)

ラジオ『さあここで最終バッターになるか!? それとも奇跡の大逆転なるか!?』

貴音「御馳走様でした」

子供ズ「後一つ! 後一つ!」

一同『あと一つ! あと一つ!』

店主「これが最後のメニューだ!」

貴音「ころっけ定食を」

男「ラストキター!!」

客『うおおおおお!!』

122: 2012/05/05(土) 04:33:26.68
孤高のグルメから味っ子になってた

123: 2012/05/05(土) 04:35:30.87
俺「うおおおおお!!」

125: 2012/05/05(土) 04:38:28.80 ID:omaxPBq10
貴音「ふむ……、これはこれは……。どこか懐かしい味、このころっけは不思議と故郷で食べたものと似ていますね……」

店主「ぜぇ……、ぜぇ……」

貴音「御馳走様でした」

男「完食だぜ!!」

客『うおおおお!』

強盗「なあ、俺自首するよ。いつまでも金目の物狙うわけにいかないしな」

すうつ「それがよいでしょう」

店主「お、終わったのか!?」

男「なあ、女。高校出たら結婚しような」

女「ええ、そうしましょう! 毎朝目玉焼きよ!!」

貴音「ふぅ……」

店主「やりきったぜ……」

すうつ「今ひとたび、この二人に拍手を!!」

127: 2012/05/05(土) 04:42:54.23 ID:GKaIbN1o0
店主「あっ、勘定だけどよ……」

貴音「親子丼」

店主「へ?」

貴音「親子丼を注文いたします」

店主「え?」

貴音「それと、お冷も下さい」

客『ええええええええ!?』

貴音「? はて、おかしなことがございましょうか?」

店主「も、もう勘弁してください……」

貴音「左様でございますか。では御馳走様でした。支払いは、事務所の方まで……」

貴音「ではいつか、またお会いしましょう」

店主「は、はい……」


貴音「はぁ。お腹がすきました。どこかにらぁめん屋は……」

128: 2012/05/05(土) 04:46:59.03 ID:6eLrHA2W0
ラジオ『おーっと! 大暴投だー! まさかの押し出しサヨナラです!!』

P「それにしてもお腹がすきましたね」

P「普段何気なく行く食堂、その隣に座る人は、もしかしたら奇妙な世界の住人かもしれません」

P「どこかラーメン屋ないなかぁ」

世にも
奇妙な
アイドルマスター

131: 2012/05/05(土) 04:56:38.28 ID:sPxdux1b0
玉置浩二のハイヌーンよりアイデアを失敬。
お付き合いいただき、ありがとうございました。


130: 2012/05/05(土) 04:53:36.91
つまりなんだったんだ

132: 2012/05/05(土) 04:57:27.69

引用元: P「世にも奇妙なアイドルマスター」