1: 2009/04/12(日) 23:44:28.29 ID:5tMl6kJB0
死神「やってしまった・・・」

死神「まずいよなこれは・・・・」

死神「うむむ・・・・」

死神「・・・・・・」

死神「どうしよう・・・・」

4: 2009/04/12(日) 23:46:11.32 ID:5tMl6kJB0
死神「あれを人間に拾われるとまずい・・・」

死神「別に大した物ではないが・・・」

死神「・・・・・・」

死神「仕方が無い」

死神「人間界に探しに行こう・・・」


5: 2009/04/12(日) 23:47:42.65 ID:5tMl6kJB0
朝 


母「男ー、早くしないと遅刻するわよ」

男「分かってるっての」

母「まったく・・・あんたはいつもギリギリに起きて・・・」

男「いつもじゃねえ」

男「週に5回程度だ」

母「休みの日取り除いたら毎日じゃない」


6: 2009/04/12(日) 23:48:25.76 ID:5tMl6kJB0
男「じゃあ行ってくるわ」

母「はいはい」

母「気をつけて行って来るのよ」

母「なんでも」

母「今日の男の運勢最悪らしいから」

男「・・・・・」

男「・・・なんでそういうことを朝っぱらから言うのか」



母「じゃあ、行ってらっしゃい」

男「行ってきます」


ガチャン


7: 2009/04/12(日) 23:49:26.19 ID:5tMl6kJB0
俺の学校は、家から徒歩20分程度

そんでもって近道を使うと15分位になる


ただ、近道はあまり俺は使わない

道が舗装されていないから


よっぽどの時以外じゃないと使わない俺だった

ましてや今日はいつもより早く家を出れたわけで

近道を使う必要なんて無かったんだけど





俺は何故か近道を使った

9: 2009/04/12(日) 23:52:06.21 ID:5tMl6kJB0


ジャリジャリ


男「・・・・・・」

男「・・・なんで俺はこの道を通ってるんだ」

男「時間にも余裕があるのに・・・」

男「母さんがせかすからだ・・・・」

男「・・・・・・」


10: 2009/04/12(日) 23:53:22.50 ID:5tMl6kJB0
ジャリジャリ


男「はぁ・・・・」

男「やっぱ地面は平らじゃないとな・・・」

男「足が痛い・・・・」



男「・・・・・・」




男「・・・・んん?」

11: 2009/04/12(日) 23:54:31.12 ID:5tMl6kJB0
ふと俺は、道の先に何かを見つけた

何をって言われると困るのだけれど


なんていうか、石みたいな小さい物っていうか

近寄ってみないと分からないっていうか

なんか光っているように見えるっていうか





男「なんだあれ・・・・?」

12: 2009/04/12(日) 23:55:45.20 ID:5tMl6kJB0
まぁかといって丁度道の先にあるわけで

近寄らないわけにもいかず

っていうかそこを通らなければ学校に行けないわけで


そんでもって

なぜか少し緊張している俺がいるわけで


地雷の目印だったらどうしようとか

落とし穴があるんじゃないかとか

杞憂をしてしまっているわけで


13: 2009/04/12(日) 23:56:48.27 ID:5tMl6kJB0
男「・・・そんな訳ないか」

男「母さんが運勢が悪いなんて言うから、変な妄想しちまった」

男「きっと玩具かなんかだろう」

男「よくある七つ色に光る石みたいな」

男「・・・・・・」



ジャリジャリ









そして、俺はその物の目の前まで来た

15: 2009/04/12(日) 23:58:17.07 ID:5tMl6kJB0
男「これは・・・・・・・」

















男「指輪?」


16: 2009/04/12(日) 23:59:23.31 ID:5tMl6kJB0
俺は顔を地面に近づけた

なるほど、光ってる指輪らしき物だ


男「・・・・なんだ」

男「やっぱり玩具だったか」

男「まったく、あんな想像するなんて俺もお年頃だな」


時間にも心にも余裕ができていた俺は

とりあえず指輪を拾ってみた


17: 2009/04/13(月) 00:00:25.99 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・最近の玩具って進化してんだな」

男「ピカピカ光ってるよ」

男「指輪って形的に」

男「女の子向けなのかね」


男はその指輪を、中指にはめてみた

だが



男「・・・・あれ?」


男「やけにサイズでかくね?」

19: 2009/04/13(月) 00:01:47.74 ID:Qnnpj8xL0
俺の中指は確かに太いとは言えないが

でも少なくとも子供の時よりは成長してるはず

それとも最近の子供は指が太い傾向にあるのか・・・?


男「・・・仕方ない」

男「親指にはめよう」


スポッ


男「おお」

男「親指ならなんとかぴったしだ」

20: 2009/04/13(月) 00:03:24.61 ID:Qnnpj8xL0
男「なんか昔を思い出すなぁ」

男「昔はこういうのに憧れてたんだよなぁ」


思い出に浸り終えた俺は

意識を学校に戻し

指輪を外した










外そうとした

21: 2009/04/13(月) 00:04:19.72 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・・あれ?」

ギュッギュ

男「・・・・・は?」

ふぬぬぬぬ

男「・・・おいおい」







男「抜けねえ」

22: 2009/04/13(月) 00:05:46.39 ID:Qnnpj8xL0
まじで

いやいやまじで

落ち着け俺

落ち着いて指輪を抜くんだ

抜けないはずが無いじゃないか



男「・・・・・・」

男「・・・抜けないんですけれども」

23: 2009/04/13(月) 00:06:57.42 ID:Qnnpj8xL0
その後、結局指輪は抜けなかった

数分に及ぶ格闘をしたが

指輪はぴくりともせず

まるで俺の親指にくっついているかのように動かなかった


このままでは遅刻してしまう俺は

とりあえず指輪は諦めて


着けたまま学校に向かった

25: 2009/04/13(月) 00:08:09.23 ID:Qnnpj8xL0



学校 教室


友A「おう、男」

男「・・・おう」

友B「どうしたんだよ」

友B「テンションがすごいぞ」

男「・・・それがさぁ」


男「これを見てくれよ・・・」


26: 2009/04/13(月) 00:09:13.83 ID:Qnnpj8xL0
そう言って俺は親指を突き出した

男「今日近道使って学校来たんだけどさ」

男「その途中で変なの見つけたんだよ」

男「ほら」

俺は親指のつけね

指輪の位置を指差した











友A「・・・・親指がどうかしたのか? 」

27: 2009/04/13(月) 00:10:45.40 ID:Qnnpj8xL0
男「いやいや、親指じゃなくてさ」

男「これこれ、この指輪」


友A友B「・・・指輪?」


男「いや、これがさ、抜けなくなっちゃって」


友B「・・・ああ、なるほど」


友B「今日の話じゃないのか」


男「は?」

28: 2009/04/13(月) 00:11:37.41 ID:Qnnpj8xL0
男「いやいや、もろに装着されてんじゃん親指に」

男「・・・お主ら、もしやワシをからかっておるのかえ」

友A「なんで急におじいちゃん口調?」

友B「・・・てか何を言ってるのかさっぱりだ」


男「・・・まじで?」

29: 2009/04/13(月) 00:12:35.94 ID:Qnnpj8xL0

男「なぁ!俺の親指に何か着いてるか!?」

いや、何も

男「なぁ!親指に変なの着いてるの見える!?」

・・・まったく

男「おい!この指輪が見えないのか!?」

・・・何を言ってるの?



男「嘘だろうよ・・・・」

30: 2009/04/13(月) 00:14:12.45 ID:Qnnpj8xL0
その後

俺はクラス中の奴ほぼ全員に闇雲に聞いた

普段あまり喋らない奴にまで聞いた

先生にはさすがに聞けなかったけど

きっと先生も同じ反応するんだろうな


まぁとりあえずここまでで俺は理解した

この指輪について

二つほど


31: 2009/04/13(月) 00:16:01.29 ID:Qnnpj8xL0
一つ目は、この指輪が俺の親指から中々抜けないこと


そしてもう一つ・・・・













少なくともクラスの奴の中では俺にしか見えてないということ

32: 2009/04/13(月) 00:17:27.93 ID:Qnnpj8xL0
昼休み


男「・・・・・・」

友A「・・・どうした」

男「・・・なんか」

男「今日で俺のクラス内評価がガクッと落ちた気がする」

友B「気にするな」

友B「元からあってないようなものだ」

男「そうか、あとでしばく」

友B「ごめん」

34: 2009/04/13(月) 00:18:38.91 ID:Qnnpj8xL0

友A「まぁでも」

友A「あんな真面目顔で冗談言われたら、リアクションに困るわ」

友A「俺らも困った」

友B「まったくだ」

友B「せめて冗談と分かるくらいにしとけっての」

男「・・・ははっ」

35: 2009/04/13(月) 00:19:29.65 ID:Qnnpj8xL0
結局俺は、あれはみんなを笑わすための冗談だということにした


漫画とかゲームとかであるように

自分にしか見えないものがあることは、カッコイイ事だと俺は思っていた

でもそれは違った


変人のレッテルを貼られるだけでしかないんだと

俺は気付いた



男「まぁ・・・冗談で済んだだけマシか」

36: 2009/04/13(月) 00:20:21.20 ID:Qnnpj8xL0
放課後


友AともB「じゃ、また明日な」

男「おう」


俺は、その後は何事もなく学校を終え

帰路に着いた


37: 2009/04/13(月) 00:21:26.10 ID:Qnnpj8xL0



男「・・・ただいま」

母「あら、お帰りなさい」

男「・・・はぁ」

母「・・・どうしたのよ」

母「溜め息なんかしちゃって」

男「・・・・・・」

男「・・・なぁ母さん」

母「ん?」


男「・・・俺の親指に何か着いてる?」

38: 2009/04/13(月) 00:22:35.10 ID:Qnnpj8xL0

母「何も付いてないけど・・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・そう、ありがと」

母「運命の赤い糸でも捜してるの?」

母「そういう年頃だもんね男は」

男「・・・だったらいいんだけれどね」

39: 2009/04/13(月) 00:23:41.53 ID:Qnnpj8xL0
母「ああ、そうだ」

男「?」

母「男、コーヒー牛乳買ってきてくれない?」

母「さっき切らしちゃったのよ」

母「あれがないとパパうるさくて」

男「・・・いいけど」

母「ありがと」

母「はい、じゃあこれお金」

母「少しならお菓子買ってきてもいいから」

男「・・・あいあいさ」

40: 2009/04/13(月) 00:25:44.37 ID:Qnnpj8xL0
母「車には気をつけるのよ」

母「今日の男、運勢最悪らしいから」

男「まだ言うか」

母「じゃあ、よろしくね」

男「はいはい」

41: 2009/04/13(月) 00:26:45.85 ID:Qnnpj8xL0



男「すいません・・・コーヒー牛乳って・・・」

コンビニ定員「すいません、今ちょっと1lパックは切らしてまして・・・」

男「そうですか・・・」



・・・・もしかして俺は

本当に今日運勢最悪なのかもしれない



男「・・・コーヒー牛乳が売り切れって初めて聞いたわ」

男「ここら辺でコーヒー牛乳の会でも発足してんのか?」




俺は1人で愚痴りながらも

次の店に向かった


42: 2009/04/13(月) 00:28:21.91 ID:Qnnpj8xL0
結局俺は、スーパーにまで行く羽目になった


スーパーの定員「ありがとうございましたー」


ガラッ



男「・・・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・今日って仏滅だったっけ」

男「・・・すぐ帰ってすぐ寝よう」



俺は

もうお菓子も買わずに家に帰ることにした

43: 2009/04/13(月) 00:29:38.28 ID:Qnnpj8xL0
帰宅途中 信号待ち



男「・・・・・・」

おかしい・・・

確実におかしい・・・・



俺が通ろうとした瞬間に赤になる

もうこの信号で4回目だ


男「・・・信号絶対誰か仕組んだだろ」

44: 2009/04/13(月) 00:30:39.96 ID:Qnnpj8xL0
男「はぁ・・・・・」

男「まぁ落ち着け」

男「例え赤になったって、いずれは青になるんだ」

男「そうだ、ポジティブに行こう」

そんな事を呟いてた俺

なんて痛々しい


男「はぁ・・・・」

46: 2009/04/13(月) 00:31:58.57 ID:Qnnpj8xL0

ふとその時


後ろからボールが飛んできた

48: 2009/04/13(月) 00:33:33.89 ID:Qnnpj8xL0

そのボールは俺の頭上を越え

道路にバウンドしながら侵入していった

男「なんだよ・・・あぶねえな」

そう思った俺は

ボールの主を見つける為に振り返った


その瞬間













俺の隣を子供が横切った

49: 2009/04/13(月) 00:35:29.40 ID:Qnnpj8xL0


ボールはどこに?


道路の真ん中に


誰のボール?


恐らく今横を通った子供のボール


子供はなぜ俺の隣を横切った?


ボールを取りに行くため


どこに取りに行った?






車の通る、道路へ

50: 2009/04/13(月) 00:36:52.61 ID:Qnnpj8xL0
道路に入っていった子供


プーッ プーッ


鳴り響くクラクション



迫り来るトラック



俺は









思わず飛び込んだ

51: 2009/04/13(月) 00:38:22.00 ID:Qnnpj8xL0

下に落ちたコーヒー牛乳


駆け出した俺


泣き叫ぶ子供







男「くそっ!!」





男「間に合え!!!」



53: 2009/04/13(月) 00:39:37.48 ID:Qnnpj8xL0



俺は子供の傍まで来た


そして


それと同時に俺は気付く














男「・・・やべぇ、間にあわねえ」

56: 2009/04/13(月) 00:41:36.12 ID:Qnnpj8xL0


俺はこれから

子供を抱きかかえる→立つ→トラックをよける

この動作を行わなくてはならない

だが、トラックはもう目と鼻の先

例え俺がどんなに素晴らしい身体能力を発揮しようと

絶対に間に合わない

58: 2009/04/13(月) 00:44:14.63 ID:Qnnpj8xL0


俺は願った


お願いです


時間を止めてください神様



一日

半日

数時間



そんな贅沢は言いません



少しでいいんです

61: 2009/04/13(月) 00:50:00.48 ID:Qnnpj8xL0

一時間

数分



いや、そんなにもいりません



ほんの少し、そうです



数十秒だけでいいんです



お願いします





10秒でいいから、時間を止めてくれ!!!

64: 2009/04/13(月) 00:52:18.43 ID:Qnnpj8xL0

キイイイイイイイ

鳴り響くブレーキ

通過するトラック

俺達は









男「・・・・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・あれ?」




スレスレで避けていた

68: 2009/04/13(月) 00:54:31.88 ID:Qnnpj8xL0
次々と止まる車

「なにやってんだ!!あぶねえだろ!!」

トラック運転手の怒声

子供「うわああああああんん」

俺の腕の中で泣き叫ぶ子供

男「・・・・・・・」

男「あれれ・・・・・」


この大騒ぎの中、放心状態の俺

69: 2009/04/13(月) 00:57:44.23 ID:Qnnpj8xL0
結局その後、警察も出動する騒動になり

何故か俺は警察に厳重注意を受け

親を呼び出されて、親に泣きつかれ

おまけにコーヒー牛乳はもうグチャグチャで

俺はもうボロボロではあったが


子供の親御さんのお礼の言葉と

子供の「お兄ちゃんありがと」の一言に癒され


俺は親の車で家に帰った

72: 2009/04/13(月) 01:01:36.97 ID:Qnnpj8xL0
母「さすがは私の息子ね」

母「自分の身を犠牲にしてまで、他人を助けるなんて」

男「ははは・・・」

父「何を言ってるんだ!」

父「無事だったから良かったものの」

父「下手したら無駄死にしてたかもしれないんだぞ!」

男「・・・ごめんなさい」



父「・・・分かるだろう?」

父「・・・私達にとっては、他人以上にお前が大切なんだ」

76: 2009/04/13(月) 01:03:22.57 ID:Qnnpj8xL0

母「あらあら」

母「パパが本音を素直に話すなんてね」

父「う、うるさい!いいから飯だ飯!」

母「はいはい」


男「ははは」


俺は、恵まれているんだなぁと

改めて実感する時だった

84: 2009/04/13(月) 01:05:49.53 ID:Qnnpj8xL0
風呂


男「はぁ・・・・」

男「今日は疲れた・・・」

男「色んなことがありすぎた・・・」

男「そう、例えば最初の・・・・」

男「って、あれ」

男「そういえば・・・」

86: 2009/04/13(月) 01:06:59.07 ID:Qnnpj8xL0
俺は親指を見た


男「・・・・あれれ」

男「いつの間に・・・・」


ふと気付いたら


指輪は無くなっていた


88: 2009/04/13(月) 01:08:37.78 ID:Qnnpj8xL0

男の部屋


男「それにしても」

男「いつの間に無くなってたんだ・・・?」

男「確かスーパーでお金払った時は、まだあったと思うんだけど」

男「事故の時は放心状態でそれどころじゃなかったからなぁ・・・・」

男「・・・・・・・」

男「・・・ま、外れてくれたんならそれでいいな」

男「もう寝よう、今日は疲れた」


色々疑問はある俺だったが

とりあえずもう寝ることにした

89: 2009/04/13(月) 01:09:46.99 ID:Qnnpj8xL0
翌朝


母「あら、おはよう」

母「昨日はよく眠れた?」

男「うん、大丈夫」

母「そう、良かった」

母「ちなみにいいニュースよ!!」

男「?」

母「今日の男の運勢、最高だって!!」

男「・・・・・・」

男「・・・そうですか」

91: 2009/04/13(月) 01:12:24.10 ID:Qnnpj8xL0
男「持ち物確認オッケー、っと」

男「じゃあ行ってくるわ」

母「頑張ってね」

母「今日はきっと良い事だらけよ!」

男「だといいんだけどね・・・・」


男「・・・よし」

ガチャ

俺は玄関を開けた













男「ぎゃあああああああああああああ」

93: 2009/04/13(月) 01:13:50.33 ID:Qnnpj8xL0
バタン

俺はすぐに扉を閉めた

母「どうしたのよ、いきなり大声だして」

母が駆けつけて来た

男「玄関に・・・玄関に・・・・」

母「何よ?ゴキブリでもいたの?」

男「いいから扉開けてみろって!」

母「一体何なのよ・・・・・」

ガチャ










母「きゃあああああああああああ」

96: 2009/04/13(月) 01:15:59.61 ID:Qnnpj8xL0
バタン

母もすぐに扉を閉めた


母「なななんなのよあれ」

男「俺が聞きたい」

母「嘘つかないで」

母「ホントは男の友達なんでしょ」

男「んなわけねーだろ」

男「あんな全身黒フードを友達にするほど困ってません」

母「じゃあなんなのよあれ、っていうかあの人」

男「・・・あれか」

男「もしかして引っ越してきた人とか」

母「最近そんな話聞いた事ないわよ」

男「・・・・・・」

母「・・・・・・」

98: 2009/04/13(月) 01:17:44.36 ID:Qnnpj8xL0


男「っていうかなんで人の家の玄関に突っ立ってんだよ」

男「怪しいじゃん確実に」

母「あれよ」

母「男と友達になりたいって思ってるのよ」

母「でもシャイだから玄関の前で待ってるのよ」

男「・・・俺を犠牲にする気か」

母「あんたオスでしょ、頑張りなさい」

母「じゃあ私は家事とか家事があるから」


男「お、おい・・・・」

男「・・・・・・」

100: 2009/04/13(月) 01:18:33.87 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・・・」

男「・・・はぁ」


ガチャ


俺は覚悟を決めた

102: 2009/04/13(月) 01:20:43.65 ID:Qnnpj8xL0
自宅の玄関で俺と母が見たのは

身長200はありそうな巨体と

全身黒い服で覆われた

フードを被った恐らく一般男性(年齢推定不可)




男「・・・・・・・」

「・・・・・・」

男「・・・お、おはようございます」

「・・・・・・」

男「・・・・・・」

「・・・・・・」

男「・・・・いい天気ですね」

「・・・・・・」

男「・・・・・・」

104: 2009/04/13(月) 01:22:39.84 ID:Qnnpj8xL0
めげるな俺

負けるな俺


男「あの・・・・・お名前は?」

「・・・・・・」

男「名前があれでしたら、ニックネームか何かでも・・・」

「・・・・・・」

「・・・死神」

お、やっと喋った

男「・・・・四仁紙さん?」

「・・・・・・」

「・・・私は、死神だ」

107: 2009/04/13(月) 01:25:06.87 ID:Qnnpj8xL0
男「ええっと・・・・?」

死神「だから何度も言ってるだろう」

死神「私は、死神だと」

男「死神・・・さんですか?」

死神「そうだ」

男(どう扱えばいいんだ)

男「なるほど・・・変わったお名前ですね・・・」

死神「名前など無い!!死神というのは私の正体だ!!」

男(え・・・ええええ~)

108: 2009/04/13(月) 01:27:24.42 ID:Qnnpj8xL0
死神「まぁそんな事はどうでもいい」

男(全然良くない・・・・)

死神「それよりお前」

死神「手を見せてみろ

男「・・・はい?」

死神「手だ。今すぐ見せろ」

男(手フェチ・・・・?)


男「・・・いいですけど」

110: 2009/04/13(月) 01:28:43.47 ID:Qnnpj8xL0

死神「・・・・やはりな」

死神「お前、あれを使ったろ」

男「あれ・・・?」

死神「とぼけるな」





死神「光る指輪の事だ」

112: 2009/04/13(月) 01:30:32.00 ID:Qnnpj8xL0
死神「お前の親指に、僅かに痕跡がある」

死神「心当たりが無いとは言わせんぞ」


男(話が読めん)


男(だが・・・・・・)


俺には

確実に心当たりがある

114: 2009/04/13(月) 01:33:10.41 ID:Qnnpj8xL0

男「・・・・・・」

男「・・・確かに、心当たりはあります」

死神「・・・・・・」

男「けどもう指輪は失くしてしまいました!」

男「だから、俺にはその指輪がどこにあるかは知りません!本当です!」



死神「・・・失くしただと?」

死神「ふざけた事を言うな」

死神「それは失くしたのではない」

男「え・・・?」

116: 2009/04/13(月) 01:34:23.03 ID:Qnnpj8xL0
死神「お前が取り込んだんだ!」

死神「指輪の力を!」



何を言っているのだろうこの人は


男「取り込む・・・?」

男「すいません・・・まったく意味がよく・・・」

死神「・・・・・・」

死神「ならば」

死神「最初から話してやろう」


死神について

そして

指輪について

118: 2009/04/13(月) 01:36:07.54 ID:Qnnpj8xL0

いきなり玄関に知らない人がいて

その人がいきなり自分の知らない世界の事を話し始めたら

普通の人は信じるのだろうか?


例えその話に多少の心当たりがあっても

例えその人の見た目が一般より少し変わった人であっても


普通の人は

まず信じることはしないだろう

120: 2009/04/13(月) 01:37:46.29 ID:Qnnpj8xL0
じゃあもしその人が

万人を取り込むような説得力と

夢中にさせるような雰囲気を持っていたら

普通の人は信じるのだろうか


俺は

例えどんなに桁外れな話でも

例えどんなに現実味の無い話であっても

きっと信じてしまうと思う





俺のように

122: 2009/04/13(月) 01:39:12.56 ID:Qnnpj8xL0

死神「生物には、それぞれ生きる世界が存在する」

死神「鳥は空に住み、魚は水に住み、人は地上に住む」

死神「それは私達も例外ではなく」

死神「私達は魔界というところで生を営んでいる」

死神「ここまではいいか」

男「おっけいーでーっす!」

死神「真面目に聞け」

男「すいませんでした」

男(空気を和ませようと思ったのに・・・)

123: 2009/04/13(月) 01:40:40.08 ID:Qnnpj8xL0
死神「そして私達の住む魔界は」

死神「地上とは少し変わった物質が多く存在している」

死神「それゆえ、空や海と違い、地上との繋がりが薄い」

死神「ここまではいいか」

男「はい、大丈夫でございます」

死神「さっきの威勢はどうした」

男「・・・・・・」

男(どっちだよ・・・・)

125: 2009/04/13(月) 01:42:32.01 ID:Qnnpj8xL0
死神「そして、だ」

死神「魔界の中にある物質の中でも、一際特異な物がある」

死神「その物質の名前はリザ」

男「リザ・・・・?」

死神「そう、あの指輪にもついていた物質」

死神「そしてこの物質の特異な点は」

死神「時に姿を失くすことだ」

126: 2009/04/13(月) 01:44:24.14 ID:Qnnpj8xL0
男「姿を・・・失くす・・・・」

死神「心当たりがあるだろう?」


そうだ

確かにあの指輪は、俺以外には見えなかった

死神「ちなみに触れている者には見えるようになっている」

死神「それゆえ、お前には見えた」

男「・・・・・・」

死神「・・・そして」

死神「俺は、この物質を『願い石』と結合させた」

127: 2009/04/13(月) 01:46:20.01 ID:Qnnpj8xL0

男「『願い石』・・・ですか?」

死神「そう」

男「それは一体・・・」

死神「これも魔界にある特殊物質の一つ」

死神「そして、名前の通り願いを叶える力を持っている」


男「願いを・・・・叶える・・・」

129: 2009/04/13(月) 01:47:22.51 ID:Qnnpj8xL0
死神「正確に言うならば」

死神「持ち主の願いを、能力として構成する石」

男「??」

死神「つまり」

死神「この石にイケメンになりたいって願った場合」

死神「顔そのものが常にイケメンになるのではなく、いつでもイケメンになれる能力を身につける事になる」

男「なぜその例え方をしたのかはあれですが」

男「なるほど・・・・」

死神「・・・そして私は、この二つの物質を結合させた物を完成させた」




死神「それが、あの光る指輪」

131: 2009/04/13(月) 01:48:51.10 ID:Qnnpj8xL0
男「でもなんで」

死神「?」

男「なんでその二つを合わせる必要があったのですか?」

男「というか」

男「もしあなたの目的が自分の願いを叶えることなんなら」

男「魔界でその石を使えば済む話なんじゃ」


死神「・・・それができれば苦労はしない」



男「?どういう・・・」

132: 2009/04/13(月) 01:50:27.79 ID:Qnnpj8xL0
死神「簡単に言ってしまえば、願い石は魔界ではただの石ころでしかない」

死神「地上の空気に触れて、初めて願いを叶える力を発揮する」

死神「つまり、使うには地上にくる必要がある」

死神「そしてそれと同時に」


死神「この願い石は、魔界の外に持ち出す事は禁じられている」

男「・・・・・・」

死神「魔界以外では、願いを叶える程の力を発揮するのだから当然だろう」


男「それってつまり・・・・」

133: 2009/04/13(月) 01:52:15.24 ID:Qnnpj8xL0
死神「そう」

死神「俺は考えた」

死神「どうすれば魔界にばれずに願い石を地上に持ち出せるか」

死神「そこで思いついたのが、リザとの結合」

男「・・・・・・」

死神「願い石をリザの力で見えなくすれば」

死神「俺はばれずに地上に持ち出せると思った」

死神「いや現実に持ち出せたんだ」




死神「だが、そこで問題が起きた・・・」

136: 2009/04/13(月) 01:54:16.23 ID:Qnnpj8xL0
・・・・・・

男「まさか・・・・」

死神「・・・・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・落として失くした・・・とか?」

死神「・・・・・・」

男「・・・・・・」

男「そんでもって・・・」

男「俺が拾っちゃった・・・?」

死神「・・・・・・」

男「・・・・・・」

138: 2009/04/13(月) 01:55:45.38 ID:Qnnpj8xL0
死神「・・・・それだけではない」

死神「お前は拾ったばかりか」

死神「願い石の力を使ってしまった」


男「・・・・・俺が?」


死神「そうだ」

140: 2009/04/13(月) 01:57:10.13 ID:Qnnpj8xL0
死神「お前は何かを願った」

死神「心の底から、奥底から、何かを願った」

死神「そしてお前は」

死神「その願いに答えられる力を身につけた」


男「俺が・・・力を・・・」

141: 2009/04/13(月) 01:59:10.22 ID:Qnnpj8xL0
これなんてアニメだよ・・・・・・


力なんて大層な事言われても・・・・・・


・・・・・・


俺は・・・・一体何を願ったんだろう・・・・


指輪は・・・・俺の何に応えたんだろう・・・・


もし本当なら俺は・・・どんな力を身につけたんだろう・・・・


心当たりが・・・・・

142: 2009/04/13(月) 02:02:25.18 ID:Qnnpj8xL0
あ・・・・


そういえばそうだ・・・


昨日おかしなことがあった・・・・・


確か子供を助ける為に飛び込んで・・・


けれど間に合わなくて・・・・


でも・・・・


間に合わなかったはずなのに助かっていて・・・・・

144: 2009/04/13(月) 02:04:43.13 ID:Qnnpj8xL0
―1時間

―数分

―いや、そんなにもいりません

―ほんの少し、そうです

―数十秒だけでいいんです

―お願いします











『10秒でいいから、時間を止めてくれ!!! 』

145: 2009/04/13(月) 02:06:40.83 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・そうだ」

男「確かに願った・・・」


死神「ほう」

死神「やっと思い出したか」


男「ああ・・・・」


死神「・・・なんて願ったんだ?」


男「・・・・・・」


男「すげえしょうもないこと願っちゃった・・・・」

146: 2009/04/13(月) 02:09:19.50 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・10秒時間を止めてくれ」

死神「?」

男「そう・・・」

男「願った・・・・」

死神「・・・・・・」


男「だから・・・・」

男「俺が身につけた力とやらっていうのは・・・」

147: 2009/04/13(月) 02:10:49.18 ID:Qnnpj8xL0
そうだったのか



あの時、間に合わなかったはずの俺が助かったのは



光る指輪によって



俺が力を身につけ、その力を使ったから



そしてその力とやらは







『10秒間時を止める力』

148: 2009/04/13(月) 02:14:13.44 ID:Qnnpj8xL0
厨二パートは書いててすこぶる楽しいな



死神「・・・・・・」

男「・・・・・・」

死神「・・・・よりによって、なんで10秒なんだ」

死神「せめて数分とかならまだ需要があったろうに・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・必死でつい」

死神「・・・・・・」

死神「10秒時を操れても・・・・なぁ・・・」

男「・・・・・・」

149: 2009/04/13(月) 02:17:02.56 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・・・」

男「なんか・・・すいません・・・」

死神「・・・まぁ、使ってしまったものはしょうがない」

死神「それに」

死神「リザと願い石の結合自体は成功した」

死神「また魔界に戻ってゆっくり作るとするよ」


男「・・・・さようですか」

151: 2009/04/13(月) 02:18:43.86 ID:Qnnpj8xL0
死神「さぁ、私は話すだけ話した」

死神「指輪の行方も分かった」


そう言うと、死神さんは背を向けた


死神「私はそろそろ帰るとしよう」

男「・・・・・・」

死神「人間界の空気は、実は我々とはあまり合わなくてね」

死神「それではさようなら」


そうして死神さんは、黒い翼をはためかせ

空へと飛んでいった

153: 2009/04/13(月) 02:21:12.73 ID:Qnnpj8xL0


男「結局なんだったんだろうあの人・・・」

男「あんな派手な帰り方して大丈夫なのかな」

男「てか、あの黒い服の下に翼があったのか」

男「玄関羽まみれだし・・・・」

男「おまけに・・・」

男「もう学校間にあわねえし・・・」

155: 2009/04/13(月) 02:25:26.08 ID:Qnnpj8xL0

長くも短くも感じない時間だった

あの死神さんと話している時間は

感情も湧き出ることもなく

気付けば流れているような、少し変わった時間だった

周りの人が俺たちの姿と話してる内容を聞いたら

きっと変な人達だとか思うだろう

けど俺はもう

完全に信じきっていた

162: 2009/04/13(月) 03:01:24.46 ID:Qnnpj8xL0
学校への途中道

確実に遅刻な俺は

もはや開き直ってトロトロ歩いていた


男「・・・そういえば」

男「あの死神は、一体何を願おうと思ってたんだろう」

男「少し気になる・・・・」

男「っていうか俺にはホントに10秒時を止める力なんてあるのだろうか・・・」

男「そもそもどうやればその力は使えるんだ?・・・」

163: 2009/04/13(月) 03:02:19.84 ID:Qnnpj8xL0
やっと規制とけた  >>161そうですこんばんわ


学校 教室

ガラッ

教師「・・・・・・」

男「・・・・・・」

男「・・・おはようございます」

教師「・・・もう2時限目なんだが?」

男「まじですか」

教師「まじだ」

教師「遅刻の連絡も無いとはどういうことだ」

男「いや・・・話せば長くなるんですが・・・」

164: 2009/04/13(月) 03:04:22.84 ID:Qnnpj8xL0
教師「ほう、話せる理由があるのか」

男「はいそうなんですよ」

教師「よし、言ってみろ」

男「それがですね」

男「玄関を開けた瞬間大男に襲われ」

男「さらに長話を延々と聞かされました」

男「いわゆる監禁みたいなものです」

教師「なるほど」


教師「・・・放課後職員室に来い」

男「はい・・・ 」

165: 2009/04/13(月) 03:08:29.77 ID:Qnnpj8xL0
友A「どうしたんだよ今日は」

男「なにが」

友A「お前があそこまで遅刻するのは珍しいなって思って」

友A「ギリギリとかはしょっちゅうだけど」

男「だから言ったろ」

男「玄関開けたら大男がいて、延々話聞かされたって」

友B「どんなホラー映画だよ」

男「現実だ」

友A「・・・現実と夢の区別位つけようぜ」

男「おい、そんな目で俺を見るな」

166: 2009/04/13(月) 03:09:22.45 ID:Qnnpj8xL0
放課後


俺は先生との2人きりの密会を

1時間ほどこなした


教師「・・・・話は以上だ」

教師「これに懲りたら、せめて遅刻する時は連絡位しろ、いいな」

男「・・・・はい」

男(話なげえよ・・・・・)

男(足の血流悪くなりそう・・・)


教師「あ、そうだ」

教師「教室に戻るついでにこれもってっといてくれ」

167: 2009/04/13(月) 03:11:06.87 ID:Qnnpj8xL0

教師「明日使うからさ 」

そう言って先生が指差した先には

大量の本、恐らく教科書

男「・・・・・」

男「俺が、ですか?」

教師「がんばれ」

教師「無断遅刻の罰だとでも思ってくれ」

168: 2009/04/13(月) 03:14:13.08 ID:Qnnpj8xL0

結局俺は

クラス全員の資料を運ぶ羽目になった


男「くそ・・・・重い・・・・」

男「特にこの階段は堪える・・・・」

男「あの野朗・・・覚えてろ・・・」

男「絶対今度教壇の前でヅラ取ってやる・・・・」

170: 2009/04/13(月) 03:16:53.94 ID:Qnnpj8xL0

男「前が見えねえ・・・・」

ヨロヨロ


ドサッ



男「うおっ」

「きゃっ」


172: 2009/04/13(月) 03:18:39.37 ID:Qnnpj8xL0

ドサッドサ

俺は何かにぶつかった

というより誰かにぶつかった

衝撃で床にちらばる教科書


男(・・・・・・)

男(・・・・最悪だ)








「・・・いたた」



174: 2009/04/13(月) 03:19:52.09 ID:Qnnpj8xL0


男「どうもすいません」

男「前しっかり見てなくて・・・」

女「いえいえ・・・」

女「こちらこそボーッとしててすいません・・・」


女「お詫びに手伝いますよ」

男「いえいえ」

男「悪いのでいいですよ」

女「でもこの量を1人でまとめるのは・・・」

確かに

正直泣きたくなる量だ

男「・・・・・・」

男「・・・じゃあ、お願いできます?」

181: 2009/04/13(月) 04:02:15.67 ID:Qnnpj8xL0

女「じゃあ私そろそろ行きますね」

女「それじゃあまた」


そう言って女の子は階段を上がっていった

182: 2009/04/13(月) 04:04:48.62 ID:Qnnpj8xL0

結局俺は彼女に手伝ってもらってしまった

そしてその甲斐あってか、早めに片付いた


男「いやぁ、すいません」

男「おかげで早く片付け終わりました」

女「いえいえ」

女「余所見していた私が悪いんですから、当然ですよ」

男「いえいえそんな・・・」

183: 2009/04/13(月) 04:06:05.53 ID:Qnnpj8xL0
その後俺は、階段を上っていく彼女を見ながら

教室に向かうことにした

186: 2009/04/13(月) 04:08:43.33 ID:Qnnpj8xL0
教室


ドサッ

男は荷物を教壇の脇に置いた

男「はぁ・・・ここらへんに置いときゃあいいよな」

男「やっと終わった」

男「よし、帰ろう。我が家が待ってる」

男「・・・・・・」

男「・・・それにしてもあの子どうしたんだろう」

189: 2009/04/13(月) 04:13:08.35 ID:Qnnpj8xL0


男「なんであの子階段を上っていったんだろう」

男「もうこんな時間なのに」

男「普通この時間はもう帰る時間だと思うんだが」

男「部活に行くにしても微妙な時間だし」

男「友達と待ち合わせでもしてるのかな」

男「それとも俺みたいに説教の後だったり」

男「・・・それはないだろうな、うん」

192: 2009/04/13(月) 04:17:17.15 ID:Qnnpj8xL0
翌日 学校



友A「どうだったよ」

男「何がだ」

友A「昨日放課後に呼び出しくらってたじゃねえか」

男「ああ」

男「とりあえず長かったとだけ言っておこう」

友B「だろうな」

友B「あのハゲ帰りの会すら長いからな」

友A「まぁドンマイだ」

男「おまけに荷物運び手伝わされるわ女の子にぶつかるわ」

男「最悪だったよ」

193: 2009/04/13(月) 04:21:47.89 ID:Qnnpj8xL0

友A友B「女の子?」

男「荷物には食いつかないんだな」

男「さっき配られた資料全部運んだの俺なんだぞ」

友A「女の子について詳しく話せ」

男「無視かよ」

友B「お前なにさりげなくドラマみたいな出会い体験してんだよ」

男「・・・何も起きなかったけどな」

男「荷物散らばるわで大変なだけだったし」

194: 2009/04/13(月) 04:28:04.32 ID:Qnnpj8xL0
友A「ちなみにその女の子は誰よ?」

男「見たことない顔だったからなぁ」

男「別のクラスか下手したら別学年かも」

友B「なんだよ」

友B「それじゃあ縁がねえじゃねえか」

男「俺が知るか」


男「それより早く食堂行こうぜ」

男「時間なくなるぞ」

正直今の俺にとっては

女より食欲が優先だった

友A「そういえば4時限目体育だったからな」

友A「さっさと行くか」

195: 2009/04/13(月) 04:32:44.30 ID:Qnnpj8xL0
昼休み 食堂


昼休みから少し時間が経っていたこともあり

既に大分テーブルが埋まっていた


友A「やっぱ大分混んでるな」

友B「まぁ奥の方なら空いてんだろ」

男「空いてる席空いてる席っと・・・・」


俺達は仕方なく席を探すことにした

その時・・・・・










男「あ」

197: 2009/04/13(月) 04:35:34.75 ID:Qnnpj8xL0
友A「ん?席見つけた?」

男「あれ・・・」

俺は、奥の端の席に1人で座っている生徒を指差した

どこかで見たことがある

確か・・・・


男「・・・・多分あの子だよ」

男「昨日ぶつかったって言った子」

199: 2009/04/13(月) 05:01:52.89 ID:Qnnpj8xL0

友A「・・・・・・」

友B「あいつか・・・・・・・」

200: 2009/04/13(月) 05:04:30.34 ID:Qnnpj8xL0
男「知り合いか?」

友B「まさか」

友B「個人的にはまったく関わりはない」

男「じゃあなんで知ってんだ」


友A「あいつは有名人だからな・・・・」

友A「悪い意味で」

友A「・・・てか俺達の学年の奴は大体知ってるぞ」

201: 2009/04/13(月) 05:06:16.02 ID:Qnnpj8xL0
男「どういうこった」

男「てか俺達と同学年なのか」


友B「・・・あいつ3組の女っていう奴なんだけど」

友B「一時期ひどい噂がはやった」

友B「そしてそれが学年全体に広がったせいで有名になった」

男「噂?」

友A「ああ」












友A「屋上で自殺しようとしたって噂がね」

202: 2009/04/13(月) 05:09:44.80 ID:Qnnpj8xL0
それは

微かに空が曇る6月のとある日に

1人の生徒が忘れ物をした時の出来事


その日

その生徒は屋上で授業をした時に忘れ物をしてしまい

放課後屋上に取りに行った


その頃はまだこの学校は屋上に自由に出入りができて

その生徒もそれを知っていた為

部活を終えた後の遅い時間に屋上に行った



そしてその時、生徒は見てしまった

203: 2009/04/13(月) 05:13:43.90 ID:Qnnpj8xL0
屋上の扉を開け

その生徒の目に入ってきた光景

そこには


















フェンスに足をかける女の子の姿があった

206: 2009/04/13(月) 05:18:05.67 ID:Qnnpj8xL0
その生徒がすぐに女の子を引き止め

先生に連絡した為

大事には至らなかった


結局この事件は

一部の教師とその生徒だけが知ることとなり

その後屋上にも鍵がかけられた


それでこの話は終わり


のはずだった

208: 2009/04/13(月) 05:32:42.34 ID:Qnnpj8xL0
生徒「まさか自殺しようとしてた子がいるなんて」

生徒「驚いた・・・・・」

生徒「でも何事もなくて本当に良かった」

生徒「人を助けられたってなんか嬉しいな・・・」

生徒「・・・・・・」

その時

その生徒に芽生えた僅かばかりの欲が

話を大きく捻じ曲げた













生徒「・・・少しくらい誰かに喋っても大丈夫だよね?」

209: 2009/04/13(月) 05:39:27.38 ID:Qnnpj8xL0

友A「・・・そうして気付けばその話は全クラスに広まり」

友A「彼女は有名人になった」

友B「そして当然ながら」

友B「それからイジメとかひどかったらしい」



男「結構最近の話なんだな・・・」


男「・・・ちなみに」

男「その生徒って誰なんだ?」

友A「さあ」

友A「俺らも噂から聞いたクチだからな」

男「・・・・そうか」

210: 2009/04/13(月) 05:41:20.42 ID:Qnnpj8xL0

その話の後

俺達はなんとか席を見つけ飯にありついた


食事中にはもうその話も出ることはなく

よくあるどうでもいい話を適当にだべりながら食事した


やっぱり人間の興味とは薄いもので

俺も食堂を出る頃には、もうその話は頭からすっぽぬけていた

229: 2009/04/13(月) 11:54:14.68 ID:Qnnpj8xL0

放課後



友A「なぁ、今日どっか行かね?」

男「どこに?」

友A「う~ん」

友B「決めてないんかい」

友A「いや、今思いついたから・・・」

男「う~ん・・・」

友B「あ」

友B「じゃあさ、あそこにしない?」

230: 2009/04/13(月) 11:55:50.84 ID:Qnnpj8xL0
友B「スーパーの近くにさ、新しく喫茶店できたじゃん」

友A「できたの?」

友B「らしい」

友B「だからそこ行ってみようぜ」

友A「俺はいいが」

友B「男は?」


男「スーパーの・・・近く・・・・」


俺が・・・事故った場所の近くか・・・・

232: 2009/04/13(月) 12:05:10.56 ID:Qnnpj8xL0


俺は

あの事件の事は誰にも話していない

知っているのは

関係者と俺と警察の人と家族だけ

もしかしたら学校には伝わっているのかもしれないが

先生達も特に俺を呼び出したりとかはしなかった

そして

俺も友達に話す気はさらさら起きなかった

234: 2009/04/13(月) 12:06:44.96 ID:Qnnpj8xL0
友A「どうした?」

男「あ、いや」


男「なんでもない」

男「俺も行くよ」

友B「じゃあ決まりだな」

友B「そうと決まればさっさと行こうぜ」

男「・・・・・・」


落ち着け俺

事故こそあったが、俺は死んではいない

同じような事もきっともうないだろう

落ち着け俺


男「・・・そうだな、時間ももったいないし」

236: 2009/04/13(月) 12:10:57.36 ID:Qnnpj8xL0
それから俺達は、喫茶店に向かった


その喫茶店は最近オープンした小さな個人経営の店らしく

スーパーで買い物ついでによる人が多いらしい


ちなみにここからは俺のどうでもいい話なんだが


あの日と違って信号待ちはあまりしなかった気がする

まぁ信号なんて気にしてもしょうがないとは思うが


ちなみに

当然の如く、例の道路はいつも通りの姿になっていた

まぁこれで未だにお祭り騒ぎしてたら焦るけど

237: 2009/04/13(月) 12:15:47.92 ID:Qnnpj8xL0

俺は

何事もなく喫茶店についた

男「・・・意外と遠くねーか」

友A「予想外なんだぜ・・・」

友B「・・・すまん」

友B「てかこれスーパーの近くって言うのか?」

友A「スーパーから大分歩いた気がするな」

男「まぁ無事に着いたんだしよしとしようぜ」

友A「なんだそのサバイバル精神」

238: 2009/04/13(月) 12:18:01.20 ID:Qnnpj8xL0
喫茶店内



友A「何頼む?」

友B「う~ん・・・」

友B「夕飯は家にあっからなぁ・・・」

友B「軽く飲み物だけでいいんでね?」

友A「じゃあドリンクバーでいいか」



男「・・・・・・」

240: 2009/04/13(月) 12:22:03.47 ID:Qnnpj8xL0
友A「どうしたんだ男」

友B「お前がその顔をするときは、絶対何かやらかした時だ」

男「顔で判断するな」

男「・・・当たってるけど」

友B「ほらな」

友A「ちなみに何をやらかしたんだ」

男「・・・・・・」

男「学校に忘れ物した・・・」


友A友B「・・・・・・」

241: 2009/04/13(月) 12:29:06.93 ID:Qnnpj8xL0
友A「このタイミングでそれはないわ」

友B「せめて喫茶店出た後で気付けよ」

男「そんな事言われても困る・・・」


友A「まぁどうせ大したもんじゃないんだろ?」

友A「忘れ物の事は忘れろ」

友B「さっきまで忘れてたんだけどね」

男「その変なノリやめろ」

男「てか・・・そういうわけにもいかない・・・・」



男「宿題一式忘れた・・・・・」

243: 2009/04/13(月) 12:33:32.07 ID:Qnnpj8xL0
友A「・・・・・・」

友B「・・・・・・」

友A「ああもう!取りに行って来い!」

友B「俺らまってっから!」

男「悪いな・・・」


そう言って

俺は喫茶店を出た

245: 2009/04/13(月) 12:38:11.34 ID:Qnnpj8xL0





男「意外とここから学校遠いよなぁ」

男「ましてやそれを往復すんのかよ」

男「めんどくさいわ」

男「・・・・・・」

男「宿題取ったらそのまま帰っちゃおうかな・・・」

男「いや、それはだめだよね・・・・」

246: 2009/04/13(月) 12:43:04.44 ID:Qnnpj8xL0
学校


部活をやってる人以外は

普通に下校しているであろう時間に

俺は学校に戻ってきた


男「・・・はぁ」

男「・・・ホントついてねえ」



俺は溜め息を何度もついた

つきながら教室に向かった

249: 2009/04/13(月) 13:03:07.77 ID:Qnnpj8xL0



教室



俺は机の中を漁った

男「あったあった・・・」

男「ったく、何してんだか俺は」

男「机の中に入れっぱなしとか」


俺はお目当ての宿題(提出者教師)を発見した

あいつは出す宿題も多い

男「結構あるなあ・・おい・・・」





男「ああ・・・・」

男「これからまた喫茶店戻んのか・・・」

250: 2009/04/13(月) 13:05:14.36 ID:Qnnpj8xL0
心底家に帰りたいと思う俺だったが

戻ると約束してしまった以上

戻らないわけにもいかず

俺は仕方なく宿題をバッグに詰めた後

喫茶店に向かうことにした



しかし、その道中に











変な再会を果たした

251: 2009/04/13(月) 13:07:45.01 ID:Qnnpj8xL0
男「あ・・・・・」

女「あ・・・・・・」


階段を下りようとした矢先

下から女の子が上がってきた


その顔は、何回か見たことがある顔だった

そして、相手も同じくそう思ったらしかった


男「この前はどうも・・・」

女「いえいえ」

女「こちらこそあの時はすいません」

男「いえいえ」

252: 2009/04/13(月) 13:11:19.13 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・・・」

女「・・・・・・」

男(気まずい・・・・)


実質一回しか会ってないんだから

当然と言っちゃあ当然だが



男「・・・・・・・」

男「・・・じゃあ、俺はこれで」


よし、逃げよう


女「あ、はい」

女「それじゃあまた」

254: 2009/04/13(月) 13:15:29.91 ID:Qnnpj8xL0


何とか話を切ることができた俺は

さっさと退散することにし

彼女とすれちがった




・・・・すれちがった?


男「・・・・・・」

男「・・・また上の階に行くのか」

257: 2009/04/13(月) 13:19:21.08 ID:Qnnpj8xL0
そう

彼女はまた階段を上がっていった

あの時と同じように

この微妙な時間帯に


男「一体いつも何をしてるんだ・・・・」

男「・・・・・・」

259: 2009/04/13(月) 13:24:07.06 ID:Qnnpj8xL0

男「まさか・・・・・」


あの話を思い出した

261: 2009/04/13(月) 13:27:01.06 ID:Qnnpj8xL0

―自殺願望の少女

―フェンスに足をかける女の子

―大事には至らなかった

―しかし、噂が広まってしまった

―そして彼女はイジメを受けた

―彼女は孤立した





『彼女はそうなった時、何を思ったのだろう?』

263: 2009/04/13(月) 13:29:48.30 ID:Qnnpj8xL0

それは、思いつかない事じゃなかった


自殺を止められた彼女が


1人の生徒によって


学年全体に事実を晒された彼女が


それによってイジメを受けたらしい彼女が


食堂で1人で飯を食うぐらいだから


きっと友達もいない彼女が

264: 2009/04/13(月) 13:34:10.21 ID:Qnnpj8xL0


再び

再びあの屋上で

毎日


毎日自殺を図ろうとしているかもしれない


そんな考えを

思いつかないはずがなかった

267: 2009/04/13(月) 14:01:09.26 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・何言ってんだよ」

男「さすがにそれはないって」

男「屋上には鍵がかかってるらしいし」

男「彼女も」

男「その事件で目が覚めたろうに」

男「ないない・・・・ったく、思春期もいい加減にしろ俺」

男「・・・・・・」

268: 2009/04/13(月) 14:03:34.87 ID:Qnnpj8xL0
俺は階段を下りるのをやめ

階段を上りはじめた


屋上に向かうために

男「・・・まぁあれだ」

男「安全確認だ安全確認」

男「先生達も忙しいだろうし」

男「今回は俺が屋上の点検作業でもしてあげよう」

269: 2009/04/13(月) 14:07:46.97 ID:Qnnpj8xL0

男「・・・・・・」

男「・・・・もし」

男「もし俺が思った通りだったら」

男「・・・・・・」

男「・・・俺はどうすればいいんだ?」

271: 2009/04/13(月) 14:11:00.69 ID:Qnnpj8xL0
もし本当に彼女が

毎日自殺するために屋上に通いつめていたら

そしてもし俺が屋上に着いた時

彼女がしようとしている最中だったら

俺は、なんて言って止めればいいんだろう


あの話の生徒みたく

強引に止めてしまうのが

一番いいのだろうか

274: 2009/04/13(月) 14:17:09.47 ID:Qnnpj8xL0


たくさんの不安を抱えながらも

俺は足を止めることはせず

そして









俺は屋上に着いた

276: 2009/04/13(月) 14:22:09.83 ID:Qnnpj8xL0
屋上 扉前



男「・・・・」

男「鍵が・・・開いてる・・・」


扉に付いている南京錠が

見事に開いていた


男「・・・・・」

男「悪い予感しかしねぇ・・・・」

278: 2009/04/13(月) 14:23:38.39 ID:Qnnpj8xL0


扉を開けて

屋上に飛び込んだ俺の目に

最初に入ってきた光景


久しぶりの屋上の風景と

そしてもう一つ










男「・・・あの生徒もこんな気持ちだったのかな」


フェンスに足をかける女の子の姿

280: 2009/04/13(月) 14:27:33.77 ID:Qnnpj8xL0
屋上



見つめあう2人

ロマンスは欠片もないが


女「あ・・・あなたは・・・」

女「さっきの・・・」

男「・・・・・・」

男「何をしてるんです?」


男「いや」

男「何でそんなことをしてるんです?」


女「・・・・・・」

282: 2009/04/13(月) 14:33:48.71 ID:Qnnpj8xL0
女「・・・知ってますよね?」

女「私の話・・・・・」

男「・・・・・・」

男「はい」

女「・・・だったら」

女「私がなぜこんな事をしているのかなんて」

女「すぐ分かりますよね・・・・?」

男「・・・・・・」

確かに分かる

だが、納得したくはない

283: 2009/04/13(月) 14:38:16.69 ID:Qnnpj8xL0
女「あなたの知るとおり私は、確かに自殺を試み」

女「そして見つかって失敗しました」

女「おまけにその見つけた人に噂を流され」

女「私は余計に孤立しました」

女「私は悲しかった」

女「でも、私がなによりも淋しかったのは」








女「誰一人同情もしてくれなかったこと」

288: 2009/04/13(月) 14:51:01.47 ID:Qnnpj8xL0




女「誰一人・・・・・・」

女「誰一人として、私を見てくれた人はいなかった・・・・」

女「家族」

女「先生」

女「同級生」

女「ほんのわずかな友達、いや、ただの知り合い」


女「私が見上げる風景全て」

女「私が関わっている他人全てが」

女「私に何かを突き立てた」

289: 2009/04/13(月) 14:53:39.14 ID:Qnnpj8xL0
『ねぇ知ってる?』

『あの子自殺しようとしたんだって』

『まじで?キモイわ~』

『道理で友達いないわけだわ~』

『もう私話しかけるのやめよ、友達と勘違いされたらやだし』

『てかあいつ可愛くもねーしよ』

『おまけに喋り下手だし暗いし』

『あいつ勉強もダメらしいぜ』

『まじで?取り得ねえじゃんただのクソだな』

『ていうかあれじゃね』

『むしろ』



『死んでくれれば良かったのにな』

293: 2009/04/13(月) 15:00:24.51 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・ちなみに扉の鍵はどうやって開けたんだ」

女「開けるも何も」

女「あれは私が付けた鍵なのよ」

男「あの鍵を?」

男「あれは先生とかが付けたんじゃないのか?」

女「誰かが付ける前に私が付けたのよ」

女「先生達は他の先生が付けたとでも思ってるでしょうけどね」




女「・・・・・そうよ」

女「・・・・・みんなそうなのよ」

294: 2009/04/13(月) 15:03:04.24 ID:Qnnpj8xL0

女「みんな!!!みんなそうなのよ!!!!」

女「家族は!!!知り合いは!!!先生は!!!他人は!!!」

女「みんな興味なんてないのよ!!」


あれほど大人しく見えた女の子が

荷物を片付けるのを手伝ってくれた女の子が

遠慮できる優しさを持っているであろう女の子が


俺の目の前で今

突然声を荒げてきた

いや

発狂したと言ってもいい状態

295: 2009/04/13(月) 15:09:29.47 ID:Qnnpj8xL0
女「家族はきっとこう思ってる!!!!」

『変な娘を産んでしまった』

女「先生達はきっとこう思ってる!!!」

『死人がでなくて良かった』

女「同級生はきっとこう思ってる!!!」

『死ねばよかったのに』

女「世界は私にこう言ってる!!!」

『お前のいるべき世界は』

『ここにはないよ』



女「そうよ・・・・・」

女「私には・・・・立ち位置がないのよ・・・・・」

296: 2009/04/13(月) 15:15:21.33 ID:Qnnpj8xL0
現実で

現実でこんな悲しい人に会うのは

きっと初めて


画像を通して悲痛な現実を見る事はあっても

テレビの報道で悲しい世界を知る事はあっても


目の前で

涙を流されるのは初めて


そしてこんなにも悲しくなることは

この先の人生の中でもそうそうないと思う

297: 2009/04/13(月) 15:17:20.83 ID:Qnnpj8xL0
女「だから・・・・」

女「私は・・・・死ぬのよ・・・・」


彼女は、フェンスを登り始めた


男「お、おい・・・」

男「やめろ・・・・」


その悲しい女の子は

俺の静止の言葉を聞く事もなく



フェンスを登りきった

299: 2009/04/13(月) 15:24:27.73 ID:Qnnpj8xL0
女「ああ・・・・」

女「これでやっと死ねる・・・・」

女「やっと願いが叶う・・・・」


嘘だ


女「私はいつから死にたかったんだろう」


嘘をつくな


女「さようなら、知らない人」

女「あなたと喋れて少し楽になった気がする」


まだだ


まだ終わりじゃない

300: 2009/04/13(月) 15:26:39.84 ID:Qnnpj8xL0
分かる


彼女は誰かの助けを待っている


それを表現するために


死という変わった演出をしてる


そして俺は


助けられる位置にいる


そして俺には




助けられる力がある

303: 2009/04/13(月) 15:28:58.67 ID:Qnnpj8xL0
俺は祈る





あの力をもう一度





見知らぬ子供を助けた時のように





今度は






目の前の彼女を救わせてくれと

304: 2009/04/13(月) 15:33:47.21 ID:Qnnpj8xL0
頭の中で目一杯念じた

頭が壊れるんじゃないかというほど念じた

頭の中はそれ一色で染まった

そんでもって精一杯祈った



だが





時間は非情にも針を進め












彼女はフェンスの外に落ちていった

307: 2009/04/13(月) 15:46:05.72 ID:Qnnpj8xL0
時間は止まらなかった

10秒どころか1秒も止まることはなく

当然彼女も時間の流れに逆らうことはなく

彼女はゆっくりとフェンスの外に落ちていった


男(・・・・・・・・)


俺は、ただただ立ち尽くすだけだった

314: 2009/04/13(月) 16:00:50.67 ID:Qnnpj8xL0



彼女はどうなったのだろう

いや、どうなったかなんてすぐに分かる


男「ここは学校の最上階・・・・・」

男「彼女は・・・・・」

男「・・・・・・」



男「・・・俺は」

男「救えなかった


涙がでた

315: 2009/04/13(月) 16:03:31.24 ID:Qnnpj8xL0

男「・・・・・・」

男「・・・恐ろしく気が引ける」

男は

フェンスに近づいた

男「でも・・・これは俺のせいだ」

男「力だなんだ言わないでさっさと彼女のとこに突っ走っていけば」

男「間に合ってたかもしれないのに・・・」


男は、目をつぶったまま

フェンスの外に目線を向けた

316: 2009/04/13(月) 16:04:51.33 ID:Qnnpj8xL0

男「・・・・・・」

男「・・・・・・・」

男「・・・・・・」


男は目を開けた


男「・・・・・・・」

男「・・・・・・」


男「・・・あれ?」

317: 2009/04/13(月) 16:06:27.78 ID:Qnnpj8xL0

俺は下を見回した

だが


男「あれれ・・・・?」


下には彼女もいなければ

何かが落ちたような形跡もない


男「あれれれ」

男「どういうこった・・・」

男「落ちるとこは見たのに・・・・」

318: 2009/04/13(月) 16:08:08.38 ID:Qnnpj8xL0
バッサバッサ

突如

後ろから何か聞こえた


バサバサ


何の音だ?


頭の上に何かがのっかった


なんだ?


これは・・・・









黒い羽?

319: 2009/04/13(月) 16:10:21.19 ID:Qnnpj8xL0
俺は後ろを振り向いた

そこには

黒いフードを被った

全身黒服の


そして背中に

黒い羽の生えた人がいた

そしてその両手には

落ちたはずの彼女を抱きかかえていた










男「死神・・・・・さん?」

321: 2009/04/13(月) 16:13:44.56 ID:Qnnpj8xL0
見たことのある風貌

感じたことのある雰囲気


死神「久しぶりだな」

男「なんでここに・・・・」

死神「そんなもの決まっているだろう」

死神「光る指輪の再生成を終えたからだ」

男「そうなんですか・・・」

322: 2009/04/13(月) 16:16:16.91 ID:Qnnpj8xL0
死神「まぁもっとも」

死神「すぐに使ってしまったんだがな・・・・・」





男「え?」

323: 2009/04/13(月) 16:18:50.73 ID:Qnnpj8xL0
男「使ってしまったって・・・?」

死神「本当は別の事に使う予定だったんだがな・・・」

死神「さっき空を飛んでる時につい使ってしまった」

男「な・・なぜ?」


死神「・・・つい目に入ってしまったんだよ」

死神「人が落ちる姿が」


死神「そして」

死神「こう願ってしまった」









彼女に追いつける位

早く飛べるようにしてくれ、と

331: 2009/04/13(月) 17:05:56.83 ID:Qnnpj8xL0


男「じゃあ今彼女を抱きかかえてるのは・・・」

死神「・・・俺が助けたからだ」

死神「願い石の力を使ってまでな」

男「そうだったん・・・・ですか・・・」

死神「間に合って良かったよ」

死神「結構この子の事は」


死神「気にかけてたからね」


男「え?」

332: 2009/04/13(月) 17:06:38.35 ID:Qnnpj8xL0
俺は、よく地上に来ることがあった


魔界と地上は繋がりは薄いが

魔界からは地上に行けない事もなく


俺はちょくちょく遊びに行っていた


遊びに行く一番の理由は

人間の感情という物が


俺にはとても美しく見えて

とても眩しかったから

335: 2009/04/13(月) 17:07:31.74 ID:Qnnpj8xL0
そんなある日


俺はいつものように空を飛び

地上を観察していた


笑いあう人々

喧嘩しあう子供達

泣きながら祝福を喜ぶ家族


俺にはとても心地よく

見ているだけで実に楽しかった





なんだが・・・・

337: 2009/04/13(月) 17:08:46.31 ID:Qnnpj8xL0



どこかの学校の屋上で

少し変わった人間を見つけた


暗そうな顔をして

ただ虚空を見つめていて

そんでもって



見ていてまったく楽しくない人間を

339: 2009/04/13(月) 17:09:32.51 ID:Qnnpj8xL0
毎回夕刻前後に

その人間はその学校の屋上に来た


見た目は普通の人間の女

ただ

恐ろしく覇気のない

死んだような人間に見えた


そしてその人間は

時々フェンスに登っては

そこからただただ

下を見つめるのだった

342: 2009/04/13(月) 17:15:13.93 ID:Qnnpj8xL0
俺は少しばかり理解した


ああ、この人間はきっと

楽しいことを知らない人間なのだろうと


感情すらあらわに出来ない

可愛そうな人間であるのだろうと


そして更に俺は理解した










地上は、平等な世界ではないと

345: 2009/04/13(月) 17:19:03.52 ID:Qnnpj8xL0
死神「俺は、その子から眼が離せなかった」

死神「そして俺は思った」

死神「笑う人間がこの地上の真実ではないと」

死神「1人嘆き憂いむ人間こそが」

死神「この地上の本当の姿なんじゃないかと」


死神「そうして考えてながら彼女を見ていたら」







死神「死神の俺ですら涙を流した」

348: 2009/04/13(月) 17:23:30.68 ID:Qnnpj8xL0
男「・・・・・・」

男「・・・じゃあ」

男「じゃあ、死神さんの願いって・・・」


死神「ああ」

死神「人間が皆幸せになれとか」

死神「ああいう風に悲しむ人間がいなくなれとか」

死神「そういう感じのことを願おうとした」


男「・・・・・・」

350: 2009/04/13(月) 17:26:05.35 ID:Qnnpj8xL0
死神「まぁでも」

死神「結果的に彼女の役に立ったのなら」

死神「俺はそれで満足だ」


死神「これで彼女に笑ってもらえたら」

死神「俺はもっと喜ぶけど」


男「・・・・・・」

353: 2009/04/13(月) 17:28:32.17 ID:Qnnpj8xL0
女さん


この世界にも、あなたの居場所はありますよ


それはちょっと変わった足場だけれど


とてもあたたかい物ですよ


ある意味、なによりも素晴らしい場所かもしれません


だからどうか


元気になってくださいね



俺は

気を失っている彼女に

そう語りつげるかのように思った

355: 2009/04/13(月) 17:30:36.67 ID:Qnnpj8xL0
男「死神さん・・・・」

死神「・・・・ん?」

男「・・・・・・」













男「ありがとうございます」

俺は

そう一言告げた

357: 2009/04/13(月) 17:31:58.70 ID:Qnnpj8xL0
死神「・・・・・まさか」

死神「人間にそんな事を言われるとは思ってなかったよ」


死神「こちらこそありがとう」

死神「おかげで」










死神「もう悔いはないよ」

358: 2009/04/13(月) 17:33:14.89 ID:Qnnpj8xL0
悔い・・・・?


男「悔い・・・・ですか?」

死神「ああ」

死神「もう悔いは無いよ」


男「悔いって」

男「どういうことですか?」

死神「・・・・・・」








死神「・・・・あそこを見てごらん」

361: 2009/04/13(月) 17:35:35.39 ID:Qnnpj8xL0



俺は

死神さんが指差した方向を見た


その先には

見たことも無い風景が広がってた


空に開いた穴

そして



そこから小さな何かがいくつか出てきた

362: 2009/04/13(月) 17:37:48.66 ID:Qnnpj8xL0
俺は愕然とした

男「な、なんですかあれ・・・・」

死神「魔界と地上を繋ぐ穴だ」

男「穴・・・・?」

死神「そう」

死神「そしてその穴からでてきたのは」






死神「魔界の警備隊さ」

364: 2009/04/13(月) 17:39:27.31 ID:Qnnpj8xL0
男「警備隊・・・・?」

死神「そう」

死神「俺を捕まえるためのな・・・・」


男「捕まえるって・・・」

男「なんで・・・・」


死神「ばれたからさ」

死神「俺が」


死神「願い石を地上に持ち出したことに」

367: 2009/04/13(月) 17:41:44.39 ID:Qnnpj8xL0
願い石は、地上では願いを叶えられるほどの力を発揮する

俺は前にそう聞いたことがある

そしてそれゆえに

魔界から持ち出すことは禁じられているらしい


男「でもなんで・・・・」

死神「さぁな」

死神「俺の身の回りの死神誰かがチクったのか」

死神「はたまた俺の様子を怪しいと思って調べたのか」


死神「そう考えると死神も」

死神「人間とそう大して変わらなく汚いのかもな」


男「そんな事言ってる場合じゃ・・・・」

370: 2009/04/13(月) 17:43:58.88 ID:Qnnpj8xL0
男「とにかく」

男「今すぐ逃げましょう!」

男「まだその警備隊とやらは遠くにいるんですから」

死神「・・・それは無理だよ」

男「どうして!?」

死神「俺の住むべき場所は魔界」

死神「魚が地上で生きられないように」

死神「鳥が地上では無力なように」

死神「俺は、地上には住めない」

死神「そして、魔界にはもう俺の居場所は無い」

死神「それになにより」








死神「もうするべきこともない」

371: 2009/04/13(月) 17:45:10.16 ID:Qnnpj8xL0

男「何言ってるんですか!」

男「だからって簡単に捕まっていいわけありません!」

男「それに事情を話せば分かってもらえるかも・・・」

死神「無駄だよ」

死神「多分話し終える前に俺は処刑される」

男「そんな・・・・」

死神「願い石の持ち出しは、即処刑レベルの重罪ってこった」

男「・・・・・・」

432: 2009/04/13(月) 23:33:00.47 ID:Qnnpj8xL0


だめだ

こんなのはだめだ

こんなのは

だめにきまってる


死神「俺はもう時間を楽しんだ」

死神「やりたいことも終わった」

男「でも・・・・」


433: 2009/04/13(月) 23:33:52.91 ID:Qnnpj8xL0


死神「・・・・・・」

死神「・・・・最後に」

死神「お前には勘違いしてほしくないことがあるんだ」

435: 2009/04/13(月) 23:38:47.23 ID:Qnnpj8xL0
死神「俺は、何一つ後悔はしていない」

死神「例え万人が笑おうとも、俺は何一つ後悔はしない」

死神「例えどんなに批評されようとも」

死神「笑う奴がいたら」

死神「俺は笑い返して」

死神「大きな声でこう言ってやる」









死神「悔しかったら俺みたく死んでみろって」

439: 2009/04/13(月) 23:46:08.40 ID:Qnnpj8xL0

そう喋りながら笑いかける死神さんは

いつもの不安になるような雰囲気は無く

フードから時々見える笑顔が

とてつもなくかっこよくて


でも

やはりこの笑顔は

普通とは少し違くて


男「・・・・・・」

男「死ぬ前提での決意じゃねえか・・・・・」

440: 2009/04/13(月) 23:51:35.06 ID:Qnnpj8xL0

空の穴から見えた小さないくつかの影は

段々こちらに近づいてきた


そして

それにつれて形を見せ始め

いよいよ容姿が見えるまでに近くなり


俺が死神さんと口論を終えた頃には


すでに屋上に降り立っていた

442: 2009/04/13(月) 23:55:46.49 ID:Qnnpj8xL0
警備兵1「やっと見つけたぞ」

警備兵1「重罪人の死神よ」

死神「どうも」

警備兵2「・・・自分の罪状は分かっているな?」

死神「ええ、そりゃあ」

警備兵3「・・・・そうか」



警備兵3「じゃあ、覚悟はできてるな?」

443: 2009/04/13(月) 23:57:50.80 ID:Qnnpj8xL0



屋上に降り立った死神は3人

そして恐らく

その3人全員で警備隊なのだろう


恐ろしく怖い

玄関で死神さんに会った時なんて比じゃないほど


近くにいるだけで不安になって

見てるだけで吐き気がして

言葉を聞くだけで気を失いそうで


何より、翼が本当の黒色をしていた

446: 2009/04/14(火) 00:03:23.99 ID:cGiTSwa30
死神「そりゃあもう」

死神「さっきお前らに追われながら地上に来た時から覚悟してたよ」


警備兵1「・・・あの時はお前を見失うという失態を犯したが」

警備兵1「今のこの場には」

警備兵1「お前の逃げ場など無い」


死神「逃げ場も何も」

死神「俺は逃げる気なんかねーよ」




警備兵2「お前はそうだろうな」

447: 2009/04/14(火) 00:07:57.74 ID:cGiTSwa30
死神「んん?」

死神「どういうことだ?」


警備兵2「・・・・・・」

警備兵2「・・・そこにいる人間は」

警備兵2「まだ諦めていない目をしている」



俺は

警備隊の内の1人と目が合った

449: 2009/04/14(火) 00:12:44.30 ID:cGiTSwa30
死神「何を言ってんだ」

死神「こいつは偶然居合わせ無関係者だ」

警備兵2「庇わなくてもいい」

警備兵2「お前以外には手を出す気は無い」


警備兵3「あくまで私達の目的はお前だ」


警備兵2「まぁ」

警備兵2「無論、逆らわなければだが」


死神「なるほどね」

死神「男」

死神「さっきの発言は取り消しだ」


死神「最後にもう一度話がしたい」

451: 2009/04/14(火) 00:16:53.52 ID:cGiTSwa30
死神「最後に2人きりで話させてもらってもいいか?」

警備兵1「何もしなければ別に構わん」

警備兵1「説得させてやれ」

死神「どうも」


俺は

死神さんと向き合った


死神「・・・・・・」

死神「・・・やめてくれ」




死神「そんな目をするのはやめてくれ・・・・」

456: 2009/04/14(火) 00:23:16.53 ID:cGiTSwa30



男「・・・俺どんな目をしてます?」

死神「なんていうか」

死神「何かを決意してる目だ」

男「そうですか」


死神「・・・・・・」

死神「頼むから・・・・」

死神「何もしないでくれ・・・・」

459: 2009/04/14(火) 00:30:38.18 ID:cGiTSwa30
死神「あいつらはお前が敵う相手なんかじゃない」

死神「人間なんて一瞬で血だるまだ」

死神「無茶なことを考えるのはやめてくれ」

死神「力があるのならまだしも」

死神「お前にはそんなものはない」

死神「お前には何一つ対抗策はない」

死神「それに」

死神「お前には彼女を任せたい」

死神「だからお願い」


死神「黙って見届けてくれ」

461: 2009/04/14(火) 00:37:16.53 ID:cGiTSwa30
死神さんの願いを

俺は聞いた

俺には死んで欲しくないという気持ちが

ヒシヒシと伝わってきた


男「・・・・・・」

男「・・・確かにそうです」

男「俺には彼らを倒す力なんてありません」


死神「・・・・分かってくれたか」


男「けれど」

464: 2009/04/14(火) 00:43:25.97 ID:cGiTSwa30
死神さんは


一つ気付いていない


死神さんが俺には死んで欲しくないと願うのと一緒で


俺も



男「・・・あなたが黙って死ぬ姿を」

男「見届ける気はありません」



死神さんには死んで欲しくない

465: 2009/04/14(火) 00:46:57.96 ID:cGiTSwa30
死神「俺の言った事が理解できなかったのか」

死神「なら一言にまとめてやる」


死神「お前は何もするな」



・・・・・・・



男「死神さんも」

男「俺が言った事を聞いてないんですね」


男「俺は、あなたのために何かをします」

467: 2009/04/14(火) 00:53:16.41 ID:cGiTSwa30
死神「じゃあ話を変えよう」

死神「どうやって俺を助けるんだ?」

死神「お前があの3人を倒してくれるのか?」

男「それは無理でしょうね」

死神「それ以前に」

死神「あの3人はあくまで代表だ」

死神「3人死んだとこで、また新しいのが来るだけ」

男「でしょうね」

死神「おまけに」

死神「お前には何の武器も無い」

男「まったくです」

472: 2009/04/14(火) 00:58:50.81 ID:cGiTSwa30
死神「全部わかっているなら・・・・」

死神「お前は何をする気なんだ!!!」



男「・・・・俺にはあなたを救うことは出来ない」

男「俺は無力だから」

男「でも」

男「せめて」



男「この場所からは助けだしたい」

475: 2009/04/14(火) 01:05:38.85 ID:cGiTSwa30
死神「ここから?」

死神「それも無理な話だ」

死神「3人に見張られてて、逃げ出せるわけが無い」

死神「それにそもそもどこに逃げるというんだ」

死神「俺は地上には住めないし、魔界では指名手配犯だ」

死神「魔界に逃げ込めたとしても、ロクな生き方はできない」







男「・・・・・・」

男「・・・・30秒」

476: 2009/04/14(火) 01:10:04.19 ID:cGiTSwa30
男「30秒あれば」

男「この警備隊から何とか逃れられるはず」

男「早く飛べる力を持っていればなおさら」

男「逃れられる確率はそう低くないはず」


死神「・・・・・・」

死神「・・・・何を言ってるんだ?」

死神「あいつらが30秒も隙を生むとでも思ってるのか?」


男「それはそうです」

男「だから」




男「俺が生ませるんですよ」

480: 2009/04/14(火) 01:14:21.10 ID:cGiTSwa30
死神「どうやって?」


男「俺の力を使ってですよ」


死神「・・・・10秒時を止める力」

死神「お前の目算より20秒ほど足りないが?」

死神「そもそも」

死神「その力は俺の時間も止めるはずだ」


男「・・・これは俺の予想ですけど」

男「死神さんの時間は止まらない」


死神「?」

481: 2009/04/14(火) 01:17:24.89 ID:cGiTSwa30
男「思い返してみて初めて気付いたことですが」

男「あの事故の時の一瞬」

男「トラックや周りの車の時間は止まっていたけど」

男「俺が抱きかかえた子供はずっと泣いていた記憶があります」

男「つまり多分」

男「意識していた相手の時間は止まらないんじゃないかなと思うんです」


死神「・・・それは推測だろう」


男「でも、子供の時間も止まっていたら」

男「子供の泣き声は一時的に止まっていたはず」


死神「・・・・・・」

483: 2009/04/14(火) 01:18:37.87 ID:cGiTSwa30
死神「じゃあそれで10秒は稼げたとしよう」

死神「残りの20秒はどうするんだ?」

死神「10秒だけじゃあさすがに逃げられない」


男「10秒で逃げ切る必要はありません」

男「その10秒で」






男「残りの20秒はごまかすんですよ」

486: 2009/04/14(火) 01:23:51.60 ID:cGiTSwa30
死神「ごまかす・・・・・?」

男「はい」

男「止まっていた10秒間は、警備隊の人にとっては無かった事になる時間」

男「ならその10秒のうちに」

男「警備隊の人たちの視界から消えれば」


男「彼らからすれば、一瞬で死神さんが消えたように見えるはず」

488: 2009/04/14(火) 01:26:59.30 ID:cGiTSwa30


死神「動揺を誘うのか・・・・」

男「出来ないことは無いと思います」

男「さすがに目の前から一瞬で生物が丸々1つ消えれば」

男「いくら訓練されてても、驚くはずです」


男「慌てるなり、呆然とするなり」

男「もしかしたら俺に問い詰めてくるかもしれない」

男「はたまた魔界に連絡を取るのかもしれない」


男「それらを合わせれば20秒は固いと思うんです」

490: 2009/04/14(火) 01:31:14.11 ID:cGiTSwa30
死神「・・・・奇跡と偶然の上で成り立つ話だな」


俺の時間が運よく止まらず

10秒で視界から見えなくなるまで逃げれて

警備隊の奴らが20秒ほど動揺してくれて

そしてなにより



死神「・・・・・・」

死神「お前の力が発動してくれて」


死神「そうして始めて成り立つ神話だ」

493: 2009/04/14(火) 01:35:21.03 ID:cGiTSwa30
男「確かに難しいと思います」

男「でも、やる価値はあると思うんです」


死神「・・・・・なんでだ」

男「?」


死神「なぜ俺の為にそこまで考える」

死神「そうまでして」


死神「なぜ俺を助けたがる」

497: 2009/04/14(火) 01:39:54.52 ID:cGiTSwa30

男「さっきも言ったとおり」

男「俺はあなたを助けることは出来ません」

男「だから」

男「ここからもし無事に逃げ出せたら」

男「そこからは死神さんに頑張ってもらうしかない」


男「いくら指名手配犯になるといっても」

男「魔界は地上のようにきっと広いはず」


男「だから、分かってくれる人もきっといるはず」

499: 2009/04/14(火) 01:42:30.21 ID:cGiTSwa30




「そんでもって」


男「俺があなたをこの場所から助けたいと考えるのは」


男「あなたに少しでも長く生きていて欲しいと思うのと同時に」


男「この場所では死んで欲しくないとも思うからです」

501: 2009/04/14(火) 01:48:19.45 ID:cGiTSwa30
死神「この場所?」


男「はい」

俺は

床で眠っている女の子を見た


男「この大切な場所で」


男「彼女を救った救世主が」


男「彼女の隣で死ぬなんて」


男「俺は嫌なんです」

506: 2009/04/14(火) 01:55:29.49 ID:cGiTSwa30
彼の目は変わらなかった

彼の目に映る決意は

何も変わることはなかった

彼の話す言葉に含まれる決意は

何も変わらなかった


彼の意思も

何も変わることはなく


俺はそれらを見た時

負けた、と思った

509: 2009/04/14(火) 01:58:39.11 ID:cGiTSwa30


死神「・・・分かったよ」


死神「男」
















死神「俺の命運、お前に任せる」

513: 2009/04/14(火) 02:10:22.74 ID:cGiTSwa30


警備兵1「話は終わったか?」

死神「ああ」

死神「説得させてきたさ」

警備兵1「それは良かった」

警備兵1「下手に死人がでるよりずっといい」

警備兵1「賢い選択をしたな」


死神「・・・・・・」

死神「・・・どうも」

514: 2009/04/14(火) 02:14:31.29 ID:cGiTSwa30
俺は、心を整えた


警備兵2「じゃあ」

警備兵2「さっそく処断を下そうか」

死神「ここでか?」

警備兵3「魔界につれて帰る途中に逃げられると面倒だからな」


俺は、息を整えた


警備兵3「ちなみに」

警備兵3「処断の方法は、麻酔薬だ」

死神「随分優しいんだな」

警備兵3「地上でお前の血を流させるわけにはいかないからな」


俺は、肩の力を抜いた

582: 2009/04/14(火) 13:28:49.56 ID:cGiTSwa30



お願いをするのはこれで何度目でしたっけ


確か3度目くらいな気がします


1度目は成功し


2度目は失敗しました


3度目はどうなるのでしょうか


とにかく俺の願いは


1度目や2度目とまったく変わりません

584: 2009/04/14(火) 13:31:39.20 ID:cGiTSwa30
どうかお願いです



俺はまたまた祈ります



今度も失敗するわけにはいかないんです



お願いします












『10秒間、時間を止めてください』

585: 2009/04/14(火) 13:34:07.54 ID:cGiTSwa30
時間は・・・・・・・・

























止まった

586: 2009/04/14(火) 13:37:32.32 ID:cGiTSwa30

時間は止まっている

警備隊の3人も



死神(まさか・・・・成功するとは・・・・)

死神(しかも・・・・・)


死神は

翼を開いた



死神(俺は動ける!!)



死神は、空に大きく羽ばたいた

588: 2009/04/14(火) 13:43:15.59 ID:cGiTSwa30
死神は飛んでいった


男(よし・・・・)

男(ここまでは大丈夫だ・・・・)


男(あとは・・・・)


俺は

固まっている3人を見た


男(こいつらがどれほど動揺するか・・・)

589: 2009/04/14(火) 13:45:21.45 ID:cGiTSwa30


























10

590: 2009/04/14(火) 13:49:08.12 ID:cGiTSwa30
警備兵1「・・・・・・」


警備兵2「なっ・・・・・・」


警備兵3「・・・・・・え?」













警備兵3「消えた・・・・・だと?」

591: 2009/04/14(火) 13:52:42.36 ID:cGiTSwa30
警備兵2「どういうことだ!?」

警備兵2「一瞬でいなくなるなんて」


警備兵2は動揺している


警備兵3「瞬間移動でもしたのか?」

警備兵3「そんなバカな」


警備兵3も動揺している


だが


警備兵1「・・・・・・」


警備兵1は


落ち着いている

592: 2009/04/14(火) 13:56:37.68 ID:cGiTSwa30
男(・・・1人やけに静かなのがいるな)

男(けど残りの2人は驚いてるっぽいし)

男(もしかしたらただ愕然としてるだけかもしれん)


俺は空を見上げた

死神さんはもう大分遠くまで飛んでいる


男(思ったより死神さん飛ぶの早いな・・・)


男(このままなら・・・・いけるぞ・・・・)


俺は

成功を思った

594: 2009/04/14(火) 14:02:08.78 ID:cGiTSwa30
警備兵1「・・・・・・」



警備兵1「・・・・・・」


スチャ


ふと


落ち着いてた奴が

服のポケットらしきとこからから何かを取り出した


男(んん・・・・?)

男(なんだ・・・・?)

595: 2009/04/14(火) 14:04:32.17 ID:cGiTSwa30
警備兵1が取り出したのは


地上にもよくある


遠くの物を見る時によく使う


文明の利器









男(・・・・・・双眼鏡?)

598: 2009/04/14(火) 14:06:31.26 ID:cGiTSwa30
警備兵1は双眼鏡を取り出すと

いきなり空を見始めた


男(なっ・・・・・・)


そして

死神さんが飛んでいる方向を見て

こう呟いた



警備兵1「・・・・・ふっ」


警備兵1「見つけた」

600: 2009/04/14(火) 14:08:59.23 ID:cGiTSwa30

警備兵1「・・・願い石を持ち出した罪人を追いかける時点で」

警備兵1「ある程度の事態は想定済みだ」

警備兵1「どうやって一瞬であそこまで飛んだかは知らんが」

警備兵1「まだギリギリ追いつける距離だな」


警備兵2「・・・・・・」


警備兵3「さすがです・・・・」

602: 2009/04/14(火) 14:10:39.52 ID:cGiTSwa30

警備兵1「まぁこれは経験の差だ」

警備兵1「・・・さて、追いかけるとしよう」



双眼鏡を見ていた警備兵1は


翼を羽ばたかせ始めた

605: 2009/04/14(火) 14:13:19.02 ID:cGiTSwa30
男(まずい・・・・)

男(まずいぞ・・・・)




警備隊の内の1人は言った

まだギリギリ追いつける距離だ、と

そして

死神さんの位置はもうばれている


男(追いつかれたら・・・・)

男(確実にまずい・・・・)


男(せめて、もう少し時間を稼がないと・・・・)

606: 2009/04/14(火) 14:14:34.40 ID:cGiTSwa30
男(こうなったら)

男(俺が時間を稼ぐ)


男「あ・・・あの!」

男「ちょっとよく状況が分からないんで話がしたいんですけど!」


警備兵1「悪いが」

警備兵1「今は話をしている暇は無い」


男(・・・・・・)

男(ですよね・・・・)

607: 2009/04/14(火) 14:15:39.82 ID:cGiTSwa30
警備兵1「では行くぞ」

警備兵1「私が双眼鏡を見ながら、場所を指示する」


警備兵2警備兵3「了解です」




どうすれば・・・・


どうすれば・・・・・・


どうすれば!!!!!!

608: 2009/04/14(火) 14:17:07.42 ID:cGiTSwa30

男(そうだ・・・・・・)


男(ギリギリ追いつける距離)


男(あいつはそう言った・・・・)


男(なら・・・・)











男(もう一回時間を止められれば、きっと見失うはず)


俺は、閃いた

611: 2009/04/14(火) 14:19:06.15 ID:cGiTSwa30
時間よ止まれ


またまた止まれ


死神さんの為に止まれ


彼女の為に止まれ


こいつらを止める為に止まれ


時間よ











俺の為に今一度止まりやがれ

613: 2009/04/14(火) 14:22:26.90 ID:cGiTSwa30



警備兵1は








翼を羽ばたかせるのをやめた

615: 2009/04/14(火) 14:23:54.17 ID:cGiTSwa30
 


警備兵2「?」

警備兵3「どうしたんですか?」


警備兵1「・・・・・・」











警備兵1「・・・・・見失った」

616: 2009/04/14(火) 14:25:52.85 ID:cGiTSwa30
警備兵2「え・・・?」

警備兵3「それってどういう・・・・」


警備兵1「分からん」

警備兵1「だが、いきなり双眼鏡の視界から消えた」

警備兵2「そんな・・・」


警備兵1は辺りを見回す


警備兵1「周りにも」

警備兵1「それらしき影が無い」

618: 2009/04/14(火) 14:28:56.51 ID:cGiTSwa30
時間は










またしても止まってくれた











10秒だけ

619: 2009/04/14(火) 14:32:16.49 ID:cGiTSwa30
警備兵3「・・・・・・」

警備兵3「どうしましょう・・・?」


警備兵1「見失ったものは仕方が無い」

警備兵1「一度魔界に戻って改めて捜索を再開しよう」


警備兵2「分かりました」


警備兵1「それに」

警備兵1「手配の準備はできている」

警備兵1「いずれ見つかるさ」

623: 2009/04/14(火) 15:01:13.53 ID:cGiTSwa30
警備兵1「さて、人間よ」



ドキッ

俺は少しびびった


男「は、はい」


警備兵1「・・・さっき話があると言ったな」

警備兵1「何の話だ?」

男「あ、い、いえ」

男「もういいんです、別に大したことじゃないですし」


警備兵1「・・・ふ」

警備兵1「そうか」


彼はそう言うと

薄く笑った

626: 2009/04/14(火) 15:08:43.63 ID:cGiTSwa30
その後彼らは


連絡したりとか書類になんか書いたりとかしたあと


出てきた空に向かって


飛んで帰っていった



最後の薄ら笑いが少し引っかかった俺だが


そんな事はもうどうでもよかった


そんなことより


俺は目一杯叫びたかった


実際に叫びはしないけど

629: 2009/04/14(火) 15:12:52.30 ID:cGiTSwa30
男「・・・・・・・」




男「・・・やった」




男「俺はやったよ・・・・」




男「後は頑張ってください・・・・」





男「死神さん・・・・・」


631: 2009/04/14(火) 15:18:41.59 ID:cGiTSwa30
男「一段落ついたところで」

男「・・・さて」

男「これからどうしようか」


床に眠っている彼女を見て

そう感じた


男「・・・・・・」

男「おぶってくしかないか」

632: 2009/04/14(火) 15:24:00.35 ID:cGiTSwa30
俺は彼女を保健室までおぶっていった

当然の如く保健室の先生に質問攻めにされたが

俺は廊下で倒れていたとだけ言い張った

その後先生もなんとか納得し

親に連絡したりベッドで寝かせてくれたりしたので

俺はもういらないかなと思い

彼女は先生に任せて


喫茶店に戻ることにした

633: 2009/04/14(火) 15:29:05.45 ID:cGiTSwa30
喫茶店内


友A「・・・・・・」

友B「・・・・・・」

男「無言の圧力はやめようぜ」

男「逆にきつい」

友A「・・・・・・」

友B「まず言うべき事があるだろ」

男「そうですね」


男「本当にすいませんでした」

635: 2009/04/14(火) 15:34:05.15 ID:cGiTSwa30
友A「てかお前どんだけ忘れ物捜してたんだよ」

友A「もうドリンクバー飲みすぎて腹痛いし」

友B「ほふく前進で学校にでも戻ったのかよ」

友B「それともあれか?どっか寄ったとかか?人待たせといて」

男「もはや返す言葉もございません」

友A「罰として代金払えな」

友B「よし、じゃあケーキ頼もう」

男「おい」

638: 2009/04/14(火) 15:39:34.16 ID:cGiTSwa30
散々貢がされた俺は

ショックと疲弊を抱えながらも

待ってくれていた友達に感謝し

ただしょうがないなと呟いた


喫茶店から帰った後も

やっぱり疲れていた俺は

風呂は朝に入ることにして

さっさと部屋に戻って寝た

640: 2009/04/14(火) 15:43:56.20 ID:cGiTSwa30
男の部屋




男「・・・・・・・」





男「明日・・・・・・」





男「行くか・・・・・・」

644: 2009/04/14(火) 15:54:21.02 ID:cGiTSwa30
翌日 学校


3組教室


男「・・・あの」


女「?」

女「ああ、あなたはいつかの」

女「そうだ」

女「昨日は助けてくださったと聞きました」

女「ありがとうございます」

男「いえいえ」

男「それより、体は大丈夫ですか?」

女「はい、おかげさまで」

男「それはよかった」

646: 2009/04/14(火) 16:00:44.46 ID:cGiTSwa30
俺は彼女に会うために

休み時間を利用して3組に行っていた


友達は連れてこなかったが

他クラスの教室に入るのは

さすがに少し気が退けた


俺が他クラスに知られる位まで顔が広かったらなとか

少し思った

649: 2009/04/14(火) 16:06:00.42 ID:cGiTSwa30

女「でも、よく覚えていないんですよね」

男「え?」

女「屋上にあなたといたとこまでは覚えているんですが・・・」

女「そこからがあんまり・・・」

女「先生は先生でなぜか廊下にいたって言うし・・・」


男「・・・・・・」

男「そうですか」

男「きっと、疲れて倒れちゃったんじゃないかなあと思うのですけど」

女「そうなの・・・・かな」

男「そうですよきっと」

650: 2009/04/14(火) 16:11:47.30 ID:cGiTSwa30
女「それより男さん」

女「なぜ私のとこにわざわざ?」

男「いやぁ」

男「体は大丈夫かなって心配になったのと」

男「そしてもう一つ」


男「お願いがあって来たんです」


女「お願い・・・ですか?」

652: 2009/04/14(火) 16:16:23.81 ID:cGiTSwa30
緊張する

女の子にこんな事を言うのは初めてだ

そして

もうこんな事は一生言わないだろう


男「女さん」












男「俺と友達になりませんか」

655: 2009/04/14(火) 16:21:35.40 ID:cGiTSwa30
女「友達・・・ですか?」


彼女は驚いていた


男「はい」

男「実はこの前の」

男「荷物を落とした時に手伝ったもらった時に」


男「こんな優しい人と友達になれたらいいなあって思って」

男「だから・・・・」



男「友達になってもらえませんか?」

656: 2009/04/14(火) 16:25:26.94 ID:cGiTSwa30
言い切った


一気に言い切った


ちょっと噛みそうだったけど噛まずにすんだ


あとは返事を待つだけ


女「・・・・・・」











女「・・・いいですよ」

659: 2009/04/14(火) 16:30:03.18 ID:cGiTSwa30
女「むしろ」

女「私も男さんと友達になりたいです」


男「・・・ホントですか」

女「はい」


やった!

やったよ!


男「よかったぁ」

男「断られたらどうしようかと思っちゃいましたよ」

女「フフッ」

男「それじゃあ」

664: 2009/04/14(火) 16:32:46.99 ID:cGiTSwa30

男「これから」






男「宜しくお願いしますね、女さん」






女「いえいえ」







女「こちらこそ・・・・」

666: 2009/04/14(火) 16:38:42.60 ID:cGiTSwa30
死神さんへ

今どうしているか分からない死神さんへ


いつもどおりのとある日に

というか今日のたった今

俺には新しい友達が出来ました


その子はとても優しくて

でもちょっと変わった子で

でもそれがまたよくて


そんでもって

俺の数少ない女友達になります

667: 2009/04/14(火) 16:40:53.60 ID:cGiTSwa30

女「・・・宜しくお願いしますね」

女「男さん」



そう言って彼女は

嬉しそうに笑うのだった



fin

671: 2009/04/14(火) 16:43:58.19
おつんこ

引用元: 死神「やってしまった・・・」