1: 2011/01/16(日) 01:34:02.41 ID:4ySh8Ot30
佐天「どうしてですか? 肩こりがひどかったりするんですか?」

美琴「そうじゃないわ。もっとやばいのよ」

佐天「洗顔料を歯ブラシにつけちゃったとか、脱いだ服を洗濯機に入れるつもりが洗面台に入れちゃったとか?」

美琴「そんなもんじゃないわ。いや、今のも充分やばいけど」

佐天「んー、わからないなぁ。なにがどうやばいんですか?」

美琴「………………のよ」

佐天「え? 今なんて言いました?」

美琴「黒子が可愛く見えるのよ」

3: 2011/01/16(日) 01:38:46.94 ID:4ySh8Ot30
佐天「白井さんは実際可愛いですよ? 可愛いというか美人というか。女のあたしから見てもそう思います」

美琴「でも黒子を見てると可愛くて可愛くて抱きしめたくなっちゃうのよ? これってやっぱり疲れてるせいよね?」

佐天「確かに今までの御坂さんからは考えられない発言ですけど、可愛いものを抱きしめたくなるのは普通じゃないですか?」

美琴「そ、そう?」

佐天「はい。あたしも初春に抱きついたりしますし、御坂さんもゲコ太を見たらそうなるでしょ?」

美琴「最近じゃゲコ太よりも黒子の方が可愛く見えるんだけど………」

佐天(もともとゲコ太よりは可愛いと思うけどなぁ、白井さん)

5: 2011/01/16(日) 01:49:00.34 ID:4ySh8Ot30
美琴「ねぇ、佐天さん。私どうすればいいと思う?」

佐天「あたしに聞かれても。とりあえず本能のまま抱きついてみればいいんじゃないですか?」

美琴「そ、そんなことできるわけないわよ! ずっと拒否ってきたっていうのに、今さら私からなんて………」

佐天「じゃあ待ってればいいと思いますよ。そのうち白井さんの方から抱きついてきますから、確実に」

美琴「反射的に電撃喰らわせちゃうかも………」

佐天「それは我慢してくださいよ」

美琴「わ、わかったわ。黒子が抱きついてきても抵抗しなければいいのね!」

7: 2011/01/16(日) 01:56:01.77 ID:4ySh8Ot30
美琴と黒子の部屋

黒子「お姉様、ただいま帰りましたのー」

美琴「おー、おかえり黒子。けがとかしてない?」

黒子「いえ、まったく。どうしてですの?」

美琴「別になんとなく気になっただけだけど」

黒子「もっ、もしかしてお姉様、黒子のことを心配してくれてますの!?」

美琴「(よし、この流れなら………)そりゃあ心配するわよ。あんたは大事な後輩だし」

黒子「おねえさま………」プルプル

美琴(くるかっ!?)

8: 2011/01/16(日) 02:03:54.17 ID:4ySh8Ot30
黒子「おねえさま~っ!」ダキッ

美琴「(きたーっ! 作戦どおりね! でもあくまでいつものお姉様ってことで………)もう、なんで抱きついてくんのよ」

黒子「だって、だってお姉様が………あれ?」

美琴「ん? なに?」

黒子「お姉様、今日は黒子が抱きついても電撃を撃ってこないんですのね」

美琴「撃ってほしいわけ?」

黒子「そ、そんなことありませんわ!(ついにわたくしの想いがお姉様に届いたんですのね………)」

美琴(あー、黒子のちんまりしたからだ可愛いー! それに鼻にあたる髪の毛からめっちゃいい匂いする! 抱きしめたいよぉ!)

10: 2011/01/16(日) 02:15:02.80 ID:4ySh8Ot30
翌日

美琴「というわけでやっぱりわたしからも抱きしめたいんだけど」

佐天「それは御坂さんが素直になればいいだけですって」

美琴「そうは言ってもいきなりは無理でしょ? だからまずはわたしが抱きしめてもおかしくないようなシチュエーションをつくろうと思うの」

佐天「はぁ(そこまで考えてるなら一人でやればいいのに)」

美琴「なんかいいシチュはない?」

佐天「急に言われましても。自然に抱きつけるようなシチュエーションねぇ」

美琴「うんうん」

佐天(すんげー期待されてるんですけど………)

14: 2011/01/16(日) 02:26:18.97 ID:4ySh8Ot30
話しあうこと約十分

佐天「よし、これでいきましょう」

美琴「たしかにそれなら不自然じゃないわね!」

佐天「(結構不自然だと思うけどここは同意しておこう)そうですよ、あとは御坂さんの演技しだいです」

美琴「まかせといて。こう見えても演技派だから大丈夫だわ」

佐天(あたしはなにもまかせる気はないんだけどなー)

15: 2011/01/16(日) 02:31:49.18 ID:4ySh8Ot30


美琴「やっぱり夜は冷えるわね。黒子も寝るとき寒いと思わない?」

黒子「もう冬も間近ですから仕方ありませんわ。なんでしたらわたくしがお姉様の湯たんぽがわりになってあげてもいいんですのよ?」

美琴「ほんとー? じゃあなってもらおうかな。そっち行っていい?」

黒子「え、ちょ、お姉様本気ですの!?」

美琴「だって寒いんだもーん。ダメ?」

黒子「だ、ダメなわけありませんわ! ぜひ、ぜひこちらに来てくださいな!」

美琴「ありがと(まずは第一段階、黒子のベッドに潜入成功ね)」

16: 2011/01/16(日) 02:39:38.17 ID:4ySh8Ot30
一時間後

黒子「(胸が高鳴って全然眠れませんの………)あのー、お姉様?」

美琴「すぅ、すぅ………」

黒子(さすがにもう寝てますわよね)

美琴「んぅ、ふにゃ」スッ

黒子「うひぃっ!?」

美琴「んみゅ、んん………さむい」ギュー

黒子(お姉様、起きっ………!?)

美琴「………あったかい、すぅ」ギュッ

黒子(なわけありませんわよね………っていうかなんですのこの状況は)

美琴(ああああああああっ、黒子あったかわいいよおぉぉぉおお! 黒子の吐息がっ! 吐息が首に、んひゃあああああ!)

19: 2011/01/16(日) 02:54:27.00 ID:4ySh8Ot30
一週間後

佐天「御坂さん、なんか疲れてますね」

美琴「黒子の匂いとか髪とか汗とか堪能するのに夢中でつい寝るのが遅くなっちゃうのよね」

佐天「毎日一緒に寝てるんですか」

美琴「当たり前よー。最近じゃなにも言わなくとも黒子がベッドにもぐりこんでくるわよ」

佐天「(昔はそれだけで怒ってたのに)なんかもう恋人みたいですね」

美琴「恋人? あはは、それはないって」

佐天「………えっ」

21: 2011/01/16(日) 03:02:07.60 ID:4ySh8Ot30
佐天「こ、恋人はないんですか?」

美琴「だって女どうしよ? 付き合えるわけないじゃない」

佐天「でも常盤台って女の子どうしのカップルもいるって」

美琴「そりゃいるにはいるけどね。あれだって出会いがないから仲良い子と恋人ごっこしてるだけじゃないの?」

佐天「ちょ、ちょっと待ってください! 御坂さんは白井さんと付き合いたいんじゃないんですか?」

美琴「だから違うって。抱きついたりしてるのは黒子が可愛いからよ」

佐天(結局ゲコ太が白井さんにおきかわっただけだったのね………)

24: 2011/01/16(日) 03:09:42.81 ID:4ySh8Ot30
佐天「はぁ………白井さんがかわいそうです」

美琴「え、なんで?」

佐天「なんでって、白井さんは本気で御坂さんのことが好きなんですよ?」

美琴「それも勘違いじゃないの? 思春期によくある」

佐天「だとしても! 白井さんが御坂さんを好きだと考えていることはたしかなんです!」

美琴「でもそれって先輩としてでしょ? 恋愛とはまた違うと思うんだけど」

佐天「御坂さん、あなたどんだけ鈍感のニブチンなんですか!? おもいっきり恋愛じゃないですか!」

美琴「う、うそ………」

27: 2011/01/16(日) 03:18:30.73 ID:4ySh8Ot30
佐天「もうっ、ほんっと信じらんない!」

美琴「な、なんで佐天さんがそんなに怒ってるのよ」

佐天「御坂さんが白井さんの好意を利用して一人だけいい思いしてるからですっ」

美琴「り、利用したわけじゃないわよっ。ただ本気で恋愛対象として見られてるなんて気づかなかったから………」

佐天「絶対白井さん誤解してますよ。御坂さんとやっと両想いになれたって」

美琴「そんな………わ、わたしどうすればいいの!?」

佐天「知りませんよ。きっと近いうちに告白されると思いますけど」

28: 2011/01/16(日) 03:26:05.24 ID:4ySh8Ot30
佐天「それまでに誤解をとくか、やんわりと断るか」

美琴「で、でもそれってあの子が………」

佐天「どっちにしてもすごく傷つくでしょうね。上げて上げて上げて、最後に落とすって感じですから」

美琴「うっ………」

佐天「傷つけたくないなら付き合ってあげるしかないですよ」

美琴「いや、女の子と付き合うのはちょっと………」

佐天「じゃあ断ればいいじゃないですか。たぶん今までの関係じゃいられなくなると思いますけど」

29: 2011/01/16(日) 03:36:34.89 ID:4ySh8Ot30
美琴「今日の佐天さんは手きびしいわね」

佐天「当たり前です。今の御坂さん、今までで最低ですよ。期待させるだけさせといて、その期待を裏切るなんて」

美琴「期待させようとしたわけじゃ………」

佐天「そうやって言い訳するところも、です。全然いつもの御坂さんらしくない」

美琴「………ごめん」

佐天「謝る相手間違ってますよ」

美琴「そうだね………じゃあ黒子に会ってくるわ」

30: 2011/01/16(日) 03:44:56.58 ID:4ySh8Ot30
二週間後

佐天「白井さん、まだ復帰しないの?」

初春「一応来るには来るんですけど、全然使いものにならない状態だから固法先輩から帰れって言われて」

佐天「ふんだりけったりだね」

初春「普段はどんな事情があっても風紀委員の仕事だけはちゃんとやるのに………」

佐天「しょうがないよ。白井さんの場合は特にひどかったし」

初春「これからどうするんでしょうか、御坂さんと白井さんは」

31: 2011/01/16(日) 03:52:11.87 ID:4ySh8Ot30
美琴と黒子の部屋

美琴「ね、ねぇー黒子? ちょっと小腹が空いたから甘いものでも食べに行かない?」

黒子「いえ、わたくしは遠慮しておきますわ………御坂先輩だけでどうぞ」

美琴「だ、だからさぁ、その御坂先輩ってのは他所他所しいからやめてって。わたしたちルームメイトでしょ?」

黒子「そう、ただのルームメイトですの。だから後輩のわたくしが先輩と呼んでもなにも不思議ではありませんの」

美琴「ちょっと前までお姉様って呼んでくれてたじゃん! あれでいいってば!」

黒子「ただのルームメイトがお姉様だなんて気持ち悪いですわ………御坂先輩も本当はずっとそう思っていらしたんでしょう?」

美琴「そ、そんなことないよ………」

黒子「気をつかっていただかなくて結構ですの。黒子は少し寝ますので、甘いものは一人で食べてきてくださいまし」

美琴「………」

51: 2011/01/16(日) 12:21:49.66 ID:4ySh8Ot30
美琴「うにゃあ………」

佐天「なんか辛そうですね、御坂さん」

美琴「辛いわよ。黒子とはずっとあのままだし、部屋でも心が休まらないから余計に」

佐天「そんな状況をつくったのは御坂さんですけどね」

美琴「そうだけどさ、がんばってもとの関係に戻そうとはしてるのよ? けど黒子はわたしと話すのもいやみたいで」

佐天「自分をふった相手といつもどおり話せる人なんてそういませんよ」

美琴「このままじゃいつか黒子が部屋をかえたいとか言い出しそうよ………」

52: 2011/01/16(日) 12:30:33.99 ID:4ySh8Ot30
佐天「そっちの方がいいと思いますよ。今みたいにギクシャクした関係を続けるよりは」

美琴「だ、ダメよ! 絶対ダメ!」

佐天「どうしてですか?」

美琴「どうしてって言われても………わたしにとってルームメイトは黒子以外考えられないし」

佐天「じゃあこれからどうするつもりですか?」

美琴「とりあえず黒子を元気づけようと思うの。わたしが言うのもおかしいけど」

佐天「それならたぶん御坂さんがなにもしなくても大丈夫だと思いますよ」

美琴「へ?」

53: 2011/01/16(日) 12:43:01.31 ID:4ySh8Ot30
佐天「この前から初春と固法先輩が白井さんを元気づけようと奮闘してますから」

美琴「そ、そうなの?」

佐天「はい。あの二人は一番付き合い長いですし。白井さん、笑うことも多くなってきましたよ」

美琴「へ、部屋じゃ全然笑わないけど………」

佐天「それは御坂さんの前だからじゃないですか?」

美琴「うそぉ………」

佐天「じゃあ見に行ってみますか?」

54: 2011/01/16(日) 13:01:50.32 ID:4ySh8Ot30
支部

美琴「な、なんで隠れて見なきゃいけないのよっ」

佐天「だって御坂さんを見たら白井さんの笑顔がひっこんじゃいますもん」

美琴「………はい」

佐天「ほら、あそこにいますよ。白井さんと初春」



黒子「初春、この書類間違ってますわよ」

初春「えぇ~、どこがですか?」

黒子「ここですの。まったく、しっかりしてくださいな」

初春「この前まで死にかけの金魚みたいな顔してて仕事も全然手につかず、ついには出勤禁止までされた人がそれを言いますか」

黒子「ういはるぅ~? ずいぶんとでかい口たたくようになりましたのね~?」グリグリ

初春「い、いたいいたいっ! いたいです白井さ~ん!」

55: 2011/01/16(日) 13:10:41.46 ID:4ySh8Ot30
佐天「ね? いつもの白井さんでしょ?」

美琴「………うん」

佐天「だから白井さんの態度がおかしいのは御坂さんの前だけなんですよ」

美琴「そう、みたいね」

佐天(めっちゃおちこんでるなぁ。でもこれくらいしないとね)

美琴「黒子………」

佐天「御坂さん、そろそろ行きましょ。バレちゃいますよ」

57: 2011/01/16(日) 13:57:30.73 ID:4ySh8Ot30
帰り道

佐天「どうしました? さっきから全然しゃべってませんけど」

美琴「………よ」

佐天「え?」

美琴「なんで部屋じゃ笑ってくれないのよ」

佐天「御坂さん相手だといろいろと気まずいからじゃないですか?」

美琴「わたしがなに言っても笑わなかったくせに………」

佐天「は………え、御坂さん?」

美琴「なんであいつはあんな楽しそうにしてんのよ!」

佐天(………逆ギレ?)

58: 2011/01/16(日) 14:37:47.36 ID:4ySh8Ot30
美琴「だいたいね、初春さんと話すのがそんなに楽しいなら初春さんに告白すればよかったじゃない!」

佐天「いや、それはいろいろとおかしいというか」

美琴「初春さんとは付き合い長いんだし? 同じ目標がある大切なパートナーなんだっけ? なんで付き合わないんだっての!」

佐天「仕事と恋愛はちが――」

美琴「もう知らないわよあんなやつ! 人がすっごい心配してんのに他の人と楽しそうにしちゃってさ!」

佐天(あたしの話を聞いてくれ~)

美琴「あームカムカするぅ! 絶対にわたしから話しかけてやんないんだから!」ズンズン

佐天(行っちゃった。まあこれはこれでいい………のかな?)

61: 2011/01/16(日) 14:55:31.14 ID:4ySh8Ot30
黒子「御坂先輩、ただいまですの」

美琴「………」

黒子「御坂先輩?」

美琴「なによ」

黒子「挨拶くらいしてほしいんですの」

美琴「いつもそっけない返事しか返さないのはどこのどいつよ」ボソッ

黒子「はい?」

美琴「なんでもないわよ。はいはい、おかえりなさい」

62: 2011/01/16(日) 15:02:47.38 ID:4ySh8Ot30
黒子(な、なんでおね………いえ、御坂先輩はあんな苛立ってますの?)

美琴(ちょっと、なんですぐ黙るわけ!? 挨拶以外にも話すこととかないのっ!?)

黒子(やっぱりわたくしがいるから………)

美琴(そんなにわたしとは話したくないっていうの………?)

黒子(当然ですわよね、わたくしのような同性愛者と一緒にいるなんて最悪の気分でしょうに)

美琴(なんで、なんでよ。一緒に寝たりしたこともう忘れちゃったの?)

黒子(でも先輩は優しいからわたくしを傷つけないように我慢してるんですのね………)

63: 2011/01/16(日) 15:12:45.28 ID:4ySh8Ot30
数日後

美琴「はぁ、もう限界………」

佐天「限界?」

美琴「黒子を抱きしめたい………」

佐天「(そういえば最初はそれからはじまったんだっけ)意地ばっかはってるからいけないんですよー」

美琴「でもたぶん無視されるし」

佐天「向こうもそう思ってるから話しかけられないんですよ。御坂さん、部屋じゃムスッとしてるんじゃないんですか?」

美琴「してない、とは言わないけど………黒子も話しかけるなって雰囲気出してるから」

佐天「そうかなぁ。むしろ話しかけてほしいようにあたしには見えますけど」

64: 2011/01/16(日) 15:24:10.18 ID:4ySh8Ot30
美琴「佐天さんは部屋での黒子を見てないからそう思うのよ」

佐天「そのかわりあたしは支部での白井さんをよく知ってますよ」

美琴「………どうせ初春さんと仲良くお話してるんでしょ」

佐天「さぁ、どうでしょうね」

美琴「なによそれ。なんで笑ってんの」

佐天「白井さんと御坂さんは似たもの夫婦だなぁって思って」

美琴「はぁ? どういう意味よ」

65: 2011/01/16(日) 15:35:33.07 ID:4ySh8Ot30
佐天「そんなことよりですね、御坂さん。もう一度聞きますけど本当に白井さんのことなんとも思ってないんですか?」

美琴「だから、あいつは大事な後輩よ。そういう意味じゃ好きだけど、恋じゃないわ」

佐天「でも抱きしめたいとか言ってるじゃないですか」

美琴「それは小動物を可愛がるのと同じで………佐天さんだってよく初春さんに抱きついてるじゃない。あれと一緒よ」

佐天「じゃあやっぱり御坂さんは白井さんのことが好きなんですね」

美琴「なんでそうなる――は? え、もしかして」

佐天「御坂さん、女の子どうしの恋愛はたしかに普通じゃないかもしれませんけど、簡単に否定できるものじゃありませんよ」

66: 2011/01/16(日) 15:43:33.17 ID:4ySh8Ot30
佐天「あたしは当人たちが愛しあってるならそれでいいと思います。まわりの目なんか気にしちゃだめです」

美琴「けど結婚もできないし、子どもだって………って、わたしは黒子のこと好きじゃないってば!」

佐天「そうでしょうか? あたしは白井さんのことでずっと悩んでる御坂さんは、白井さんに恋してると思いますよ」

美琴「そ、それは黒子がルームメイトだから、このまま気まずい状態だといやだから………」

佐天「本当にそれだけですか? じゃあなんで初春と白井さんが仲良くしてるの見て不機嫌になるんですか?」

美琴「ふ、不機嫌になんかなってないわよっ」

佐天「うそ。御坂さん、ヤキモチやいてたんでしょ? 実は白井さんのことをもっと独占したいんでしょ?」

美琴「違うわよっ! それにっ、ヤキモチやいてたからってわたしが黒子に恋してることにはならないじゃない!」

67: 2011/01/16(日) 16:00:21.78 ID:4ySh8Ot30
佐天「じゃあ賭けましょう。御坂さんが白井さんに恋してるかどうか」

美琴「どうやって調べるのよ。わたしが違うって言ってるのに」

佐天「御坂さん、手出してください。そしてこうやって親指と人差し指で輪っかをつくって」

美琴「なによこれ………こんなのでどう調べるっていうの?」

佐天「今からあたしがこの輪っかをひっぱります。もし御坂さんが白井さんを愛してなければすぐほどけるはずです」

美琴「………愛してたら?」

佐天「あたしがどんなに強くひっぱってもほどけません」

70: 2011/01/16(日) 16:09:47.82 ID:4ySh8Ot30
美琴「意味わかんないわね。ただのジンクスみたいなもんでしょ?」

佐天「それくらいが丁度いいんですよ。人の気持ちなんて正確にはかれるわけないんですから」

美琴「………それで? なにを賭けるの?」

佐天「そうですね、あたしが負けたらあたしの好きな人教えます」

美琴「なるほど。お互いの好きな人ってことね」

佐天「はい。あたしが勝ったら御坂さんは今すぐ白井さんに会いに行ってください」

美琴「オッケー。あ、ひっぱるときは全力でやってよね。いたいくらいに」

佐天「当然ですよ。じゃなきゃ賭けになりませんから。それじゃあ、いきます――――

72: 2011/01/16(日) 16:23:06.59 ID:4ySh8Ot30
バタン

黒子「あら、御坂先輩。どうしたんですの、そんなに急いで」

美琴「はぁ、はぁ………ちょ、ちょっとあんたの顔が見たくてね。ところでなによ、その大荷物は」

黒子「ああ、寮監に頼んで部屋をかえてもらうことにしましたの。以前反省室に使われてた部屋が空いてるということでしたので」

美琴「え………部屋をかえる………?」

黒子「御坂先輩には半年ほどですが本当にお世話になりましたの。迷惑ばかりかけてしまって申し訳ございませんでしたの」

美琴「………」

73: 2011/01/16(日) 16:30:40.99 ID:4ySh8Ot30
美琴「なに勝手なこと言ってんのよ」

黒子「え?」

美琴「どうしていきなり部屋かえんのよ」

黒子「で、ですから御坂先輩には黒子のことでいろいろと迷惑をかけていますので」

美琴「わたし、迷惑なんて言った覚えないわよ」

黒子「でも迷惑だと思ってますわよね? 特にここ最近は」

美琴「そんなのあんたの勝手な思い込みよ。わたしは別に迷惑だなんて思ってないわ」

75: 2011/01/16(日) 16:42:45.20 ID:4ySh8Ot30
美琴「あんたに言いたいことがたくさんあんのよ。それも聞かないで出ていくなんで絶対に許さないわよ」

黒子「言いたいこと、とは?」

美琴「まずは『ごめん』。あんたの気持ちも知らないで勘違いさせるようなことしちゃって」

黒子「………それは前にも聞きましたわ」

美琴「そうだったわね。でもそれからずっとギクシャクしてたでしょ? そのことも含めてさ」

黒子「それはわたくしのせいであって、御坂先輩が謝るようなことじゃありませんの」

美琴「まあいいじゃない。どっちも悪いってことで。それで本当に言いたいことはここから」

78: 2011/01/16(日) 17:53:02.14 ID:4ySh8Ot30
美琴「ここ三週間くらい、ずっと辛かったわ。あんたがほとんど話してくれないから」

黒子「そ、それは御坂先輩に迷惑かと思って」

美琴「割と本気でムカついたりもしたのよ? わたしが話しかけても暗い声しか出さないし」

黒子「………」

美琴「でも本当にいやだったのはあんたが初春さんや佐天さんとは楽しそうに話してたことよ」

黒子「は………?」

美琴「なんで自分がそんな光景を見て苛立つのかわからなくて、余計イライラしたわ」

黒子「ま、待ってくださいですの。御坂先輩はいつそのような光景を?」

美琴「ちょっと前にね、あんたの様子を見に支部に行ったのよ」

79: 2011/01/16(日) 18:01:39.44 ID:4ySh8Ot30
美琴「それでね、今日佐天さんに言われたの。それってヤキモチじゃないかって」

黒子「御坂先輩がわたくしにヤキモチ………?」

美琴「そ。わたしも最初は信じられなかったわ。けどヤキモチって言われたときすごくしっくりきた」

美琴「ヤキモチやく理由なんて説明するまでもないわよね。あんたもわかるでしょ?」

黒子「はい………」

美琴「ほんと、わたしもバカよねー。ふった後に自分の気持ちに気づくなんて。しかも人に言われて」

美琴「結局ね、他のことなんておまけみたいなもんでさ、これだけが言いたかったの」

美琴「わたしは、あんたのことが………すき、なの………」

83: 2011/01/16(日) 18:08:07.69 ID:4ySh8Ot30
黒子「も、もうやめてくださいまし」

美琴「え?」

黒子「同情で好きなんて言われても嬉しくありませんの!」

美琴「ど、同情? なに言ってんのよあんた」

黒子「どうせヤキモチとかも作り話なんですのよね? 本当は黒子のことなんて気持ちの悪い同性愛者としか思っていないんですわ!」

美琴「………」

黒子「いいんですの、どうせわたくしはイタい勘違いおん――わぷっ?」

84: 2011/01/16(日) 18:14:10.10 ID:4ySh8Ot30
美琴「やっぱりあんたのからだはあったかいね」ギュッ

黒子「お、お姉様! 離してくださいですの! こんなことされたってもう黒子は………」

美琴「あ、やっとお姉様って呼んでくれた」

黒子「はっ!? い、今のは言い間違えただけで」

美琴「人がうまれてはじめて本気で告白したんだから、同情とか言わないでよ。そんなの悲しいよ」

黒子「う、うそじゃないんですの?」

美琴「はじめっからそう言ってるでしょうが。そうやって勝手にネガティブな思い込むするの禁止よ」

85: 2011/01/16(日) 18:21:05.70 ID:4ySh8Ot30
黒子「本当に黒子のことが、その………」

美琴「好きだよ。黒子のことが好き」

黒子「し、信用できませんわ。お姉様は前も黒子をもてあそんだんですもの」

美琴「じゃあどうしたら信用してくれる?」

黒子「………耳元で好きって言ってくださいですの」

美琴「意外とまともなこと要求してくるわね。ま、いいけど………好き。愛してるよ、黒子」ボソッ

黒子「あ、愛してるだなんて、お姉様………!」

92: 2011/01/16(日) 19:48:46.50 ID:4ySh8Ot30
美琴「『好き』とか『愛してる』ならいくらでも言ってあげる。でも言い損はごめんよ?」

黒子「で、ではどうすれば?」

美琴「もうわかってるんじゃないの?」ギュ

黒子「あ、お姉様………」

美琴「ねぇ黒子? 黒子はわたしのこと好き?」

黒子「もちろんですわ。黒子は今も昔も、そしてこれからもお姉様のことしか愛しておりませんの」

美琴「じゃあさ、黒子………わたしと付き合って。わたしの恋人になって」

黒子「………はい、喜んで」

95: 2011/01/16(日) 19:53:26.79 ID:4ySh8Ot30
美琴「いやー、久々に寮監にしぼられたわね」

黒子「仕方ありませんの。部屋を移動する直前でやっぱりやめたなんて言ったのですから」

美琴「まあね。けどおかげでこれから毎日一緒に寝れるわね」

黒子「お姉様ったら、もう夜のことですの?」

美琴「だってわたしはずーっとあんたに抱きつくのを我慢してたのよ? あれだけじゃ物足りないって」

黒子「お、お姉様? 抱きつくだけじゃなくて、その先もよろしいんですのよ?」

美琴「………そういうこと軽々しく言わないで。歯止めがきかなくなりそうだから」

黒子「歯止めなんてきかせなくてよろしいですわ。お姉様の好きなように黒子をいじってくださいまし」



美琴(これはマジで我慢できないかもしれないわね………)

96: 2011/01/16(日) 19:54:21.05 ID:4ySh8Ot30
お疲れ様でした

98: 2011/01/16(日) 19:56:23.02
>>96が見えない

99: 2011/01/16(日) 20:01:24.28
>>96
そこで終わるなよw

103: 2011/01/16(日) 20:22:29.79
いやーいいプロローグだった
ところで本編はいつからですか?

引用元: 美琴「最近疲れてるみたいなの」