1: 2009/01/31(土) 23:02:40.61 ID:TjaxtPww0
女「神様、うちのお父さんを助けてください!」
神「………」
女「か、神様…?」
神「あのねぇ、俺はただの神だから、そーゆーの違う神さんあたってもらえない?」
女「………」

5: 2009/01/31(土) 23:08:52.92 ID:TjaxtPww0
女「あなた神じゃないんですか?」
神「いや、神だけど?」
女「じゃあ私の…」
神「だから俺には無理なんだって」
女「…どういうことですか」

7: 2009/01/31(土) 23:13:25.16 ID:TjaxtPww0
神「あのねぇ、あんた神様勘違いしてない?」
女「?」
神「神様って言ってもねぇ、ものすごい力あるのは一握りくらいだ
  おたくらで言うイチローとかそーゆーレベル」
女「で、でも神様に間違いは…」
神「甘い!俺はせいぜい…おっと、人間にバラしてはいけないんだっけ」
女「………」

10: 2009/01/31(土) 23:18:55.47 ID:TjaxtPww0

神「そーゆーことで、引き取ってもらえるか?」

女「…話だけでも聞いてもらえないでしょうか」

神「……仕方ないな」

女「私の父は先日事故にあって…病院に運ばれたものの意識がなく危険な状態なんです…」

11: 2009/01/31(土) 23:23:35.57 ID:TjaxtPww0
神「それで?」

女「父は私が幼い頃に母を亡くしてから一人で育ててくれたんです…」

神「…なるほど」

女「そんな父を亡くしてしまったら…私…」

神「…涙ぐましい話だが、
  結論から言えば俺にはどうすることも出来ない」

女「…!!」

13: 2009/01/31(土) 23:31:36.59 ID:TjaxtPww0
女「どうして…」

神「昔から人間はなにかと厄があれば神様、助けて、だとじっちゃんからよく聞かされた。

  けどな、神と言うのは元は人間が悲しみから逃れようとしてすがった偶像にしか過ぎん。

  まぁ確かにヨーロッパだかにミカエルだかミサイルだかいう奴とか、
  いまだ根強い人気のキリストさんとかいるけど、

  俺はただの神なんだ」

女「…あなたにはなんの力もないの?」

神「そーなることだな」

14: 2009/01/31(土) 23:34:55.37 ID:TjaxtPww0
女「…神様って本当は残酷なものなんですね」

神「その言葉、もう聞き飽きるくらい聞いている」

女「わかりました…失礼します…」



神「…ここからが一番めんどくさいんだよな」

15: 2009/01/31(土) 23:42:44.73 ID:TjaxtPww0
病院

女「お父さん…今日ね、私神様と話してきたの

  でも神様もどうすることもできないんだって…

  お父さん、神様にも見捨てられちゃうなんて運なさすぎよ

  お父さんとも思い出、いっぱいあるんだよ?

  いっしょに行った遊園地、お父さん子供みたいにはしゃいでたよね

  得意のハンバーグ、いつも焦げててちょっと苦かったかな?

  ほかにもいっぱい…あるんだよ?

  だから…お願い……

  目を覚ましてよ…!!」


男「女さんのお父さんの病室、ここですか?」

17: 2009/01/31(土) 23:54:34.97 ID:TjaxtPww0
女「あなたは…?」

男「あ、はじめまして、おじさんの知り合いの者です

  今回はご不幸に…」

女「はい…今も眠ったままで…」

男「そうですか…」

女「……ハァ」

男「大丈夫ですか?随分とお疲れのようで」

女「いえ…大丈夫、です」

男「…そうだ、食事にでも行きましょう

  昔のおじさんの話も聞きたいですし」

女「そんな…それに…」

男「大丈夫ですよ、さぁ」

女(…大丈夫よね、お父さんの知り合いなら…)

女「じゃあ、少しの間だけ…」

18: 2009/01/31(土) 23:59:17.09 ID:TjaxtPww0
「あのー、すみません、女さんのお父さんの病室は…」

看護婦「○○号室です、でも先ほど娘さんはお帰りになられましたよ?」

「え?」

看護婦「えぇ、なんだかかっこいい男性と一緒に」

「…ありがとうございました」

看護婦「あ、はい…?」


「遅かったか…!!」

23: 2009/02/01(日) 00:06:09.98 ID:ih9QaqZA0

女「そうなんです、お父さんったら…」

男「ハハ、そうなんですか」

女「あ…もうこんな時間…もうそろそろ失礼しないと」

男「そうですね、もう帰りましょうか」


女「すみません、奢ってもらっちゃって…」

男「いえいえ、いいんですよ」

女「それに送ってもらってまで…」

男「別に構いませんよ、ただ…」

女「?」


男「ちょっと眠ってもらいますけどね」

24: 2009/02/01(日) 00:09:06.65 ID:ih9QaqZA0
「おい」

男「?」

「その女をはなせ」

男「血相変えて誰かと思えば

  神様ではないですか」

神「そういうお前も趣味悪いぜ、死神さんよぉ」

25: 2009/02/01(日) 00:15:44.74 ID:ih9QaqZA0
死「まぁまぁ落ち着いてください神様

  下界に降りて来てまでなにをしようと言うのですか?」

神「うるせぇな、第一それはお前もだろ」

死「私ですか?私は今回この娘の父親の魂を受け取りに来ただけですよ」

神「それで、女も一緒に持って行くって訳か?」

死「この女は父親を失えばいずれ淋しさから後を追うのが見えている

  だから一緒に持っていくのですよ」

26: 2009/02/01(日) 00:23:53.02 ID:ih9QaqZA0
神「違う」

死「?」

神「たとえ肉体が消えうせようとも、そいつの心には父親は生き続ける

  人間は俺たち神のように万人を見ている訳じゃねぇ

  一人の人間、一つの心が互いに結びついて人間ってのは成長するんだ

  そんな気安く死なれたらそれこそ閻魔さんもびっくりって話だ」

28: 2009/02/01(日) 00:28:50.65 ID:ih9QaqZA0
死「…ハハ」

神「何がおかしい」

死「いやぁ、あなたのような方からこんな言葉が出るなんて」

神「…わりーかよ」

死「随分とこの女に思い入れがあるような気がしますが…?」

神「別に…見捨てといて死なれたら後味悪くなるだけだからな」

死「人間臭くなりなしたねぇ」

神「五月蠅い」

29: 2009/02/01(日) 00:35:59.43 ID:ih9QaqZA0
死「では今回は私が引きましょう

  でもこれだけは覚えていて下さい」

神「なんだ?」

死「捨てる神あれば、拾う神あり

  あなたのような神に見捨てられてしまった人は大抵私たちのような死神がもっていきますよ

  面倒臭がったり、変な説教するくらいなら助けてあげたらどうですか」

神「…はいはい

  敵みたいなお前に励まされるなんてな…

  俺も堕ちたかな」

死「ハハッ、それでは」


神「捨てる神あれば、拾う神あり…ね」

31: 2009/02/01(日) 00:44:42.57 ID:ih9QaqZA0
翌日

女「…あれ、なんで病室…?」

父「女…」

女「!!!

  お父さん!!」

父「心配かけて…すまなかったな…」

女「ううん!お父さんが帰ってきてくれて…本当に…グスッ…」

父「はは、泣き虫な所は小さい頃から変わってないなぁ」

女「う、うるさぃ…グスッ…」

父「父さんな、寝ているときある青年に出会ったんだ…」

33: 2009/02/01(日) 00:51:35.85 ID:ih9QaqZA0
女「ふぇ…?」

父「寝ている間、父さんずっと階段を上っていてな…

  どこか母さんに会えるよな気がしたんだ

  けど途中で青年が立っていて、

「まだこっちには行くんじゃねぇ、それに戻る所があるだろ」

  ってぶっきらぼうに説教されたんだ

  そしたらお前の顔が不意に浮かんできて…

  階段が崩れて…気づいたらここに帰ってきたんだ」

女「ね、ねぇそれって…」

カサッ

父「ん?なんだこの手紙は…

  …ふふ、どうやらお前宛のようだよ」

34: 2009/02/01(日) 00:58:59.12 ID:ih9QaqZA0
女「…もしかして」


『今回だけ、神様らしく困っている民の話を聞いて助けてやった

 これからは親父さんを大切にしろよ!

 もう二度と聞いてやらないからな、次の壁ぐらい自分で乗り越えろよ

 じゃあな    神

 PS.お前の寝顔、意外と可愛かったな』


女「…バカ」

父「いやー暑いなぁ、父さんの新婚の時みたいだ」

女「お父さん!へんなこと言わないでよ!」

36: 2009/02/01(日) 01:16:10.34 ID:ih9QaqZA0

神「はい、もしもし神ですが」

女「神様、本当にありがとうございます!!」

神「…どーも」

女「あ、あと…もう一度お願いなんですが…」

神「あのなぁ、あの手紙もう一回穴が開くほど読み返せ…」

女「私じゃなくてお父さんのお願いなんです」

神「…?」

38: 2009/02/01(日) 01:19:30.68 ID:ih9QaqZA0
女「父さんに多分その青年って人知ってるって言ったら

  いやぁもう一度会って話したいなぁ、って言って聞かないんです」

神「だからって…」

女「…私も顔見られたのにこっちは顔見てないっていうのに…」

神「あのー…」

女「だから!お願いです!

  私たち家族のところにもう一度来て下さい!!」

神「…はぁ……

  仕方ないな、これっきりだからな、神様としてお前の前に現れるのは」

女「?」

神「しょうがないってのと、お前ら家族が気になるってことで

  俺もしばらく人間界に住んでやるよ

  もちろん、お前の近くにな」



神「はい、もしもし神ですが」                 完

引用元: 神様「はい、もしもし神ですが」