1: 2011/06/22(水) 20:05:18.41 ID:syzN5A080


※このまどかは別に男の子ではないです※



先生「転校生を紹介しまーす!」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら「チラッ」

さやか「わ、こっち見たよまどか」

まどか「フッ」

ほむら(……! あのまどかは……何!?)

ほむら(銀ブチメガネでオールバックだわ)

ほむら(あれではまるで…… 頭のいい人だわ!)


2: 2011/06/22(水) 20:06:01.10 ID:syzN5A080


まどか クイッ

ほむら(不敵な笑みで、メガネを指で上げた……)

ほむら(やっぱり頭のいい人だわ!)

まどか「フフ、転校生か。 なんだか面白くなりそうだね」

まどか「よろしく、暁美ほむら君」

ほむら(このまどかは今までにないイレギュラーだわ)

ほむら(いや……イレギュラーで済ませていいのかしら)


3: 2011/06/22(水) 20:06:38.96 ID:syzN5A080

~~~~


保健室への途中


ほむら「鹿目まどか、あなたは友人や家族を大切に思ってる?」

まどか「ああ、もちろんだが何か?」

ほむら「では、今とは違う自分になろうだなんて思わないことね」

まどか「フフッ、キミは面白いことを言うね。覚えておくとしよう」メガネ クイッ

ほむら(ていうかすでに違う人になってるけど)

まどか「袖振り合うも多生の縁……か」

ほむら(……ノリがよくわからないけど、やはり頭は良さそうだ)

4: 2011/06/22(水) 20:07:17.03 ID:syzN5A080

~~~~

キュゥべえとの出会い



QB『助けて!鹿目まどか』

まどか「ふむ、見知らぬ小動物がケガをしているね。これはテレパシーか?」

ほむら「そいつから離れて!」

まどか「暁美ほむら君……これ、キミがやったのかい?」

ほむら「……」

さやか「しょ、消火器!」

まどか「その必要はないよ、さやか君。 彼女の狙いは私たちではないようだ」クイッ

ほむら(……セリフ取られた)

ほむら(それにしてもまどか、声はそのままなだけに、喋り方の違和感がハンパないわ)


5: 2011/06/22(水) 20:07:53.53 ID:syzN5A080


マミ「この子はキュゥべえ」カイフクー

QB「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

まどか「だが断る」

QB「え? なんで」

まどか「初対面で契約なんてものをもちかけてくる者を」

まどか「いきなり信じる方がどうかしているだろう?」

ほむら「賢明な判断だわ、やはり頭のいい人……!」

QB「初見で怪しまれたのは初めてだよ……」ショボーーン

ほむら(女の子ウケの自信があったのね、白大福ざまあ)

6: 2011/06/22(水) 20:08:53.79 ID:syzN5A080


まどか「でもまあ、魔法ってのは信じるよ。実際にこの目で見たからね」

マミ「じゃあ私の魔女退治に付き合ってみない?体験コースよ」

まどか「ああ。ただし、契約の判断は私自身が行う。それでいいかい?」キラーーン

マミ「え、ええ。もとよりそのつもりよ」

マミ(このメガネの光り方……きっと頭のいい人ね)

まどか(なぜ暁美ほむら君がQBを狙ったのか。それを推理する材料も必要だし)

まどか(魔法とやらを分析しておくのも、後々役に立つかもしれないからね。フッ)

7: 2011/06/22(水) 20:09:28.80 ID:syzN5A080

~~~~


その後 対シャルロッテ戦の直前


マミ「シュルシュル」

ほむら「縛られた……! 馬鹿、こんなことをしている場合じゃ」

ほむら「今回の魔女は、わけが違うの!」

マミ「そこでおとなしくして…」

まどか「やめたまえ」メガネキラーーン

マミ「!? 鹿目さん」

まどか「マミ君。今すぐ、ほむら君の拘束を解くんだ」

8: 2011/06/22(水) 20:10:18.92 ID:syzN5A080


マミ「鹿目さん、この子はグリーフシードを横取りしようと…」

まどか クイッ

まどか「ほむら君にその気はありませんよ。あれば先に奇襲している」

まどか「私の推理では、ほむら君はあなたを出し抜きたいわけではない」

まどか「証拠もお見せしよう。そうしたら彼女の拘束を解いてくれるかな」

マミ「わ、わかりました。 鹿目さんがそこまで言うのでしたら」

ほむら(先輩なのに、巴マミが敬語になっている)

ほむら(あれからどんだけ頭の良さを見せつけられたんだろ)

9: 2011/06/22(水) 20:11:01.36 ID:syzN5A080


まどか「ほむら君、キミの持っているグリーフシードを出せるかな」

ほむら「……」ザラザラザラ

マミ「こ、こんなに持っていたの!?」

まどか「思った通り。 ほむら君にはグリーフシードなんて必要なかったんだよ」

まどか「約束だよ、拘束を解いてあげて?」

マミ「と、解きます」シュルシュル


まどか「そしてマミ君、ほむら君の言葉を覚えているかな」

マミ「今回の魔女は、わけが違うと……」

ほむら「そうよ。私はあなたがこれから危機に陥ることを知っているの」

マミ「失礼だわ、そんなの決めつけじゃない!」

10: 2011/06/22(水) 20:11:52.72 ID:syzN5A080


まどか「マミ君、何もキミのプライドを傷つけたいわけじゃないんだ」

まどか「こうは考えられないかい? ほむら君は、何かを事前に察知できる魔法を持っていると」

ほむら「……! まどか、あなた一体」

マミ「クールな暁美さんが、この驚きよう……図星ってこと?」

まどか「ま、多少カマはかけたがね。そういうことさ」

まどか「これが、彼女がいつも私たちを先回りできるカラクリってわけだ」

11: 2011/06/22(水) 20:12:30.01 ID:syzN5A080


マミ「さすがは鹿目さん……それなら納得いきますわ」

まどか「私から二人にお願いだ。意地を張らず、ここは共同戦線を」

マミ「わ、わかりました。それにもし本当にそんな能力があるのなら」

マミ「こんなに役に立つ子もいないわ」

まどか メガネキラーーン

12: 2011/06/22(水) 20:13:07.31 ID:syzN5A080


ほむら(このまどかは、ループの記憶を持ち越しているのかしら?)

ほむら(それとも単に頭が良いだけ?)



~シャルロッテはグエーと言って死んだ。 巴マミ、生存。


まどか「祇園精舎の鐘の声……か」

ほむら(いや、それはちょっと意味がわからないわ)

13: 2011/06/22(水) 20:13:57.94 ID:syzN5A080


~その後、美樹さやかが契約。


まどか「私は止めたんだけどね」クイッ

まどか「聞き入れてもらえなかったよ」

ほむら「そうよ、魔法少女になんてなるべきではなかった」

さやか「どうしても恭介の手を……治したかったの」

さやか「ワルプルギスの夜とか言うのが来るっていうし、戦力だって必要……」


??「おい、くだんねーことに願い使ってんじゃねーぞルーキー!」モグモグ

ほむら「佐倉杏子!」

14: 2011/06/22(水) 20:14:34.31 ID:syzN5A080


さやか「くだらないとは何よ!」

杏子「魔法ってのはなあ、徹頭徹尾自分だけのために使うもんなんだよ!」モグモグ

杏子「遊びじゃねえんだ! ウゼェ、チョーウゼェ!」

さやか「なんだとぉ!!」

ビシュッ カキンカキン

ほむら「やめなさい。 私は無駄な争いをするバカ

まどか「こうなっては仕方がない、私が一肌脱ぐとしよう」

ほむら(ちょっと、そこで台詞止められたら私がバカみたい……)

15: 2011/06/22(水) 20:15:09.77 ID:syzN5A080


QB「僕はいつでもオッケーだよ!」

ほむら「まどか、二人を止めるために契約なんて、その必要は

まどか「ん? 私は契約するなんて一言も言ってないよ」ニヤッ

QB「えー」

ほむら「……決めゼリフを言うスキもない」


16: 2011/06/22(水) 20:15:54.15 ID:syzN5A080


カキンカキン! シュバッ

まどか「確認したいことがあるんだ、ほむら君」

まどか「あの赤い子は、食べ物に異様な執着を持っているね?」キラーーン

ほむら「! ええ、でもなぜそれを」

まどか「お菓子を口にしながら、あの激しい戦いの中、一切こぼさずに戦っている」

まどか「ポケットのふくらみもおそらくお菓子と推測できるが」

まどか「腕や足よりも、むしろそこをかばっている動きが見えたのさ」

ほむら(このまどか、観察力もすさまじいわね……)


まどか バッ!!

ほむら「まどかが、カバンの中からありったけのお菓子をバラまいた!?」


17: 2011/06/22(水) 20:16:40.84 ID:syzN5A080


杏子「うわーーっ!!もったいねえ!!」ズサーーーー(拾った)

杏子「おいコラ!食い物を粗末にするんじゃねえ!」モグモグ

さやか「ちょ、戦いはどうしたのよ。しかも他人のお菓子食ってるし」

まどか「いいんだ、それをキミに進呈しよう。何ならもっとあげてもいい」

杏子「え!本当か!」キラキラ

まどか「ただし条件として、さやか君との争いをやめてくれないかな」

杏子「うめー!」モグモグ

さやか「もうすでに夢中で食ってますけど」

まどか「天高く馬肥ゆる秋……か」


ほむら(切れ者すぎる……このまどか)

ほむら(この場合、杏子がチョロすぎるとも言うけど)


18: 2011/06/22(水) 20:17:10.87 ID:syzN5A080


~そして美樹さやか、失恋


さやか「もう、どうだっていいよ」

さやか「私なんて魔女を倒すだけのゾンビだもん……」

まどか「これを使いなさい。グリーフシードだよ」

さやか「いらないよ、そんなの! どうせ私は」

まどか「バカッ!!」パシーン!

全員「!?」


19: 2011/06/22(水) 20:17:46.44 ID:syzN5A080


さやか「痛っ……何すんのよ!?」

まどか「痛い、か。変身中のさやか君は、本来この程度の痛みなんて感じないはず」

さやか「……っ」

まどか「魔力を緩めて、少しは私たちを受け入れてくれている、という証拠だね?」

さやか「……うう、魔法少女じゃないくせに、知ったふうなことを!」

20: 2011/06/22(水) 20:18:19.19 ID:syzN5A080


まどか「そう、私は魔法少女じゃない。だからキミの……悲しみの全てはわかってあげられない」

ほむら(メガネが白く曇って、表情が見えなくなった)

まどか「私にできるのは、ただの推理だけさ……」ポロッ

マミ「な……」

ほむら「泣いている……白いメガネの奥で、天才が」

さやか「ま、まどか、泣かないでよ」

21: 2011/06/22(水) 20:19:08.98 ID:syzN5A080


まどか「魔法少女じゃない私がなぜ、グリーフシードを持っていると思う?」

さやか「……誰かにもらった?」

まどか「そう。これは杏子君からだよ。これが杏子君の本当の気持ちなんだ」

杏子「カァ////」

まどか「わかってくれ。杏子君も私も、キミを心配してるんだ」

さやか「ま、まどかさんがそう言うなら……でも」

ほむら(美樹さやかまで敬語になってきた)

22: 2011/06/22(水) 20:19:54.28 ID:syzN5A080


まどか「杏子君の過去の話は、聞いたんだろう?」

杏子「そうだ。アタシの家族はみんな死んじまった、他人のための願いが原因でな」

まどか「だから杏子君は徹頭徹尾、自分のために魔法を使うと言った」

まどか「だがその厳しい言葉通りなら、他人のために魔法を使おうとするキミが」

まどか「破滅してゆくのを笑って見ているか、何ら関わりを持たぬのが道理!違うかい?」

さやか「ハッ……!」

23: 2011/06/22(水) 20:20:31.24 ID:syzN5A080


まどか「『徹頭徹尾』とまでいう信念を、彼女は曲げたんだよ。キミのために……ね」

さやか「それが……このグリーフシード」ポロポロ

さやか「う、うわあああん!! ごめん!ごめんよう杏子!」

杏子「ざやがあああーー!!!」ダキッ

さやか「あたしって本当、バカだったよぅ!」

マミ「グスッ、これで一件落着ね。ありがとう、鹿目さん」

杏子「へへッ、やっぱりまどかさんには叶わねえや」

まどか「雨降って地固まる……か」


ほむら(美樹さやかの魔女化までをも防いだ……)

ほむら(惚れる…このまどかさん、惚れるでぇ……!)

25: 2011/06/22(水) 20:21:30.37 ID:syzN5A080


~ほむホーム


ほむら(この時間軸のまどか…あの観察力と推理力、対応力)

ほむら(すでに魔法少女になって、契約で力を手に入れているとしか思えない)

ほむら(でも、まどかから魔力は一切感じない。わけが)


まどか「わけがわからないよ、という顔をしているね」

ほむら「うわあ!」

ほむら(いつの間にか玄関わきに、天才まどかが腕を組んでもたれかかっている!)

まどか「心配ないさ、ほむら君。私は君を悲しませたりしない」

ほむら「それは、QBとは契約しないってこと?」

まどか「フッ……まあね」

26: 2011/06/22(水) 20:21:57.21 ID:syzN5A080


ほむら「ねえまどか、一体あなたはどこまで知っているの」

まどか「私は何も知らないよ。君たち魔法少女の様子を見て、推理をしているだけにすぎない」

まどか「君から見れば、私の推理は当たっているのかな?」

まどか「そう、全てを知っている君から……ね」キラーーン


ほむら「わ、私の時間遡行をも、見破っているのね」


27: 2011/06/22(水) 20:22:40.17 ID:syzN5A080


まどか「フッ、ごめんね。そこは証拠がないんで、またカマをかけただけなんだ」

まどか「でもなるほど、時間遡行なら全てに説明がつく」

まどか「君からこうして直接聞くことで、私の中で点と点が繋がったよ」


ほむら「まどか、もう今のあなたには全てを話せる気がするわ」

まどか「魔法少女が魔女になることも?」キラーーン

ほむら「なっ!? そんなことまで」

まどか「これは確認はしたかったが、皆がいるときはショックを受けそうだったのでね」

28: 2011/06/22(水) 20:23:48.61 ID:syzN5A080


まどか「キュゥべえという名の由来が『インキュベーター=孵化器』では?とひらめいたとき」

まどか「ヤツが発した言葉に違和感を覚えた。 QBは魔法少女ではなく、魔女に対してだけ」

まどか「『孵化』という言葉を使っていたんだ」 クイッ

ほむら「!」

まどか「となると孵化器の仕事というのは、もともと魔女の孵化ではないか?ってね」

ほむら「……」

ほむら「たったそれだけで、真実にたどり着くなんて」

ほむら「すごい!すごいよまどかさん!」


29: 2011/06/22(水) 20:24:56.50 ID:syzN5A080


まどか「さて、こんな私にも問題はある」

ほむら「なに?」

まどか「これらの事実を、ワルプルギスの夜までに皆に伝えるか否か」

ほむら「みんなのメンタルを考えると、伏せた方が良いと思うわ」

まどか「うむ。 ならばここは、経験豊富なほむら君に従おう」

まどか「それに対ワルプルギス戦の攻略は、キミ無しには立てられない」

まどか「さすがの私も見たことのないものは、推理できないからね。頼りにしているよ」ポン

ほむら「えへへ、そんな」

ほむら(ハッ!!)

ほむら(私、もう完全に引き立て役キャラと化しているでヤンス!)

QB(僕、出番もないでヤンス)


31: 2011/06/22(水) 20:25:35.79 ID:syzN5A080



~対ワルプルギス戦攻略



ほむら「出現はA地点、B地点の2つのルートが考えられる」

ほむら「経験上、A地点を押さえた方が良いと思うわ」

マミ「こちらは4人よ。2人ずつ、二手に分かれるのはどうかしら?」

まどか「いや、兵法としては全員1箇所がいい」クイッ

まどか「相手が単体の大戦力なら、戦力を二分する愚をおかしてはならないよ」

まどか「最悪、こちらの戦力が半減するのはリスクが大きすぎる」


32: 2011/06/22(水) 20:26:11.63 ID:syzN5A080


ほむら「そうね、私の魔力計算では2人ずつだと危ういわ」

杏子「おいおい、その計算合ってんだろうな? こっちはベテランなんだぜ?」

さやか「ここは転校生を信用しようよ! まどかさんも太鼓判押してるわけだし!」

杏子「う、そうだな、まどかさんが言うなら」

ほむら(うう、まどかの人望のおかげで、めっさ話がスムーズに進む)

ほむら(複雑でヤンス……)

まどか「敵を知り己を知れば、百戦あやうからず……か」

33: 2011/06/22(水) 20:27:09.00 ID:syzN5A080



~攻略ミーティング後、二人きりで



ほむら(ついに全員で、対ワルプルギス戦に持ち込める)

ほむら(しかし実のところは、本当にギリギリだわ)

ほむら(倒せたとして……いや、あとのことは後で考えるしか)

まどか「ほむら君」

ほむら「?」

まどか「チュッ」コツン

34: 2011/06/22(水) 20:27:56.26 ID:syzN5A080


ほむら「ま……まっまままどかさん!??////」

まどか「フフッ、ごめんね、メガネが当たってしまったよ。私も初めてで」

まどか「メガネを当てずにキスする方法は知らなかったんだ」

ほむら「ど、どどどうして、わたわた私に」

まどか「ほむら君の気持ち、私の頭脳で気付かないと思ったかい?」

ほむら「……////」

まどか「最初に言ったよね、袖振り合うも多生の縁、と」

ほむら「その意味は……

     前世からの繋がり……!」ポロポロ


35: 2011/06/22(水) 20:28:33.98 ID:syzN5A080


まどか「私たちの出会いは、本当に時間を越えていたんだね」ダキッ

ほむら「天才まどかさんっ!!」ギュウウ

まどか(天才てれびくんみたいに言わないで欲しいな)

まどか「ほむら君……いや、ほむらちゃん」

まどか「こう呼んでいいかい」

ほむら「はいッ!!////」


36: 2011/06/22(水) 20:29:13.01 ID:syzN5A080


ほむら「ねえ、あなたやっぱりループの記憶を引き継いでいるんでしょう?」

まどか「いや、全然。でも推理はできるよ」

まどか「前の時間軸で何があったのか、私はどう行動したのか」

まどか「ほむらちゃん、少し聞いておきたいんだ。前のループの私は」


まどか「魔法少女になったんだね?」


37: 2011/06/22(水) 20:29:52.12 ID:syzN5A080


ほむら「……なったわ」

ほむら「私の制止も聞かず……なってしまった。私はその時点で時を戻した」

まどか「そのときの私の願い事は?」

ほむら「知らないわ。私がワルプル戦で、ビルの谷間へ落ちてゆく最中だったから」

ほむら「聞こえなかった。どうしようも、なかった……」

まどか「やはり、知らないか」

ほむら「ごめんなさい」

まどか「いや、もう見当はついているんだ」

ほむら「え!?」


38: 2011/06/22(水) 20:30:45.71 ID:syzN5A080


まどか「今の私が天才である理由は、これくらいしか思いつかないのさ」

ほむら「ん? 今の私がって、どうして前の記憶がないのに」

ほむら「他の時間軸では、自分がこれほどの頭脳を持ってないことを知ってるの?」

まどか「私の知力が格段に上昇したのは、ある時期を境にして、だからだよ」

ほむら「まさか、その時期って」


まどか「そう。ほむらちゃんが転校してきたあたりだよ」

39: 2011/06/22(水) 20:31:38.13 ID:syzN5A080


まどか「前の時間軸の私もきっと、ほむらちゃんの時間遡行を知っていた」

まどか「そこで一計を案じた私はおそらく

     『次のほむループで私を天才にして!』と願った」

ほむら「どうして、その場で天才にならなかったの?」

まどか「その時点で天才になっただけじゃ、死んだ仲間をどうにもできなかったし」

まどか「どのみちほむらちゃんが遡行してしまうから、次のループに賭けたんだと思う」


40: 2011/06/22(水) 20:32:27.90 ID:syzN5A080


ほむら「すると、今のまどかが魔法少女になってないのは……」

まどか「あくまで前の私の契約で、『次のほむループでの私』を天才にしただけだから」

まどか「ループ自体はほむらちゃんの能力なので、ほむらちゃん以外の契約状態は元に戻る」

まどか「天才になったおかげで、契約無しの記憶無しで、ここまで自分の計画をトレースできたよ」

ほむら「ちょ、すげええEEEEEE!」

41: 2011/06/22(水) 20:33:15.10 ID:syzN5A080


まどか「準備は整った、あとは仕上げだね。 さあ、もうすぐ来るよ」

ほむら「ええ、ワルプルギスの夜が」



まどか(そして、私の最後の伏線もね――)


42: 2011/06/22(水) 20:33:56.11 ID:syzN5A080


~対ワルプルギス


5 4 2 1

ワル「アハハハハハ!ウフフ、アハハハ!!!」

全員「来たぞーッ! あれが悪プルか!」


ほむら「今日こそ、決着をつけてやる!」

マミ「一気に決めさせてもらうわよ!」

杏子「こんなヤツ、あたしが許さない!」

さやか「これで、トドメだああああ!!」

全員「うおおおおおおおお!!」



まどか「がんばってね、みんな」キラーーン

43: 2011/06/22(水) 20:34:31.58 ID:syzN5A080

~~~~



ワル「アハハハハハ……ハハ!!」ゴゴゴ


ほむら「ううっ……どうして」ボロッ

マミ「か、勝てない」ハァハァ

杏子「つ、強すぎるぜコイツ……」

さやか「ダメージはかなり与えてる!もう少し……なんだ」

全員「でももう……体が」



44: 2011/06/22(水) 20:35:11.52 ID:syzN5A080



まどか「ここまでか」ザッ


全員「なッ!? まどかさん、こんなとこに来ちゃダメです!」


まどか「みんな、お疲れ様」

まどか「まあこれも私の計画の、想定のひとつではあったんだけどね」クイッ


ほむら「まどか……な、何を言っているの!?」

46: 2011/06/22(水) 20:35:45.08 ID:syzN5A080


杏子「な、何を企んでるんです、まどかさん」

マミ「これが計画って……私たちを戦わせて、疲弊させ……」

さやか「まさか、QBと組んで……!? まどかさんに限って、そんな!」

ほむら「嘘よ!嘘よお!!」ポロポロ


47: 2011/06/22(水) 20:36:53.56 ID:syzN5A080


まどか「――大丈夫、そんなことは考えてないさ」


まどか「ほむらちゃん。私を信じて約束してくれるかな?」

まどか「私が望まぬ限り、時間を戻さないって」

ほむら「えっ、まさか」

まどか「出てきたまえ、インキュベーター!」

QB「やっと僕の出番か」ピョコ

ほむら「やめて!やめてえ!!」

48: 2011/06/22(水) 20:37:49.22 ID:syzN5A080


まどか「本当はね、4人で倒せれば一番良かったんだ」

ほむら「ほむらちゃんの為にも、私は契約しないつもりだった……」

まどか「そのための準備は、できる範囲で全てやったよ」


まどか「だが思ったよりワルさんが強かった。これ以上は犠牲者が出る」

まどか「やはり私が契約するしかない」クイッ


ほむら「ううっ……やめてよまどかぁ……それじゃあ」

ほむら「あなたがワルプルを倒して、魔女化してしまう」

ほむら「結局、いつもと同じ……」ボロッ

49: 2011/06/22(水) 20:39:11.54 ID:syzN5A080



まどか「落ち着いて。 同じじゃないよ、ほむらちゃん」

まどか「私がこの頭脳を手に入れておいたことが、これから真に生かされるんだ」

ほむら「?」

まどか「全員がまだ生きている、そして」

まどか「私が切り札の契約を残している。この時間軸ではたった一度の契約だが」

まどか「前のループからの頭脳、今回の願いでの力、二つの効果を同時に得られるのさ!」キラーーン


ほむら「……二重契約!! これこそが真の目的だったのね!」

50: 2011/06/22(水) 20:39:53.13 ID:syzN5A080


まどか「ほむらちゃん、愛してるよ」

まどか「私は二度と、

     キミを時間の迷路に閉じ込めたりしない!!」



52: 2011/06/22(水) 20:40:23.83 ID:syzN5A080



QB「さあ、君はその魂を代償に、何を願うんだい?」


まどか「私が、いつでも思ったとおりの物理現象を起こせるようにしたまえ」ドーーーン


QB「したまえ!? そんな願い方した人初めてだ!」

QB「そ……それに、君の途方も無い魔力を考えれば、可能だけど」

QB「君は神にでもなるつもりかい?」

53: 2011/06/22(水) 20:41:27.21 ID:syzN5A080


マミ「鹿目さん、それがどれほど恐ろしい願いか、わかってるんですか?」

まどか「大丈夫だよ、神になるつもりなんてない。私は魔法少女として生きる」

まどか「ただ、時間干渉レベルまで行かなくても」

まどか「とにかく物理現象を起こせれば良いだけの、簡単なお仕事さ」


まどか「さあ、叶えるがいい! インキュベーターーッ!!」

QB「上から目線で、無理やりエントロピーを凌駕した!?」


54: 2011/06/22(水) 20:42:04.61 ID:syzN5A080



ピカアアアアア! 


まどか「フッ」キラキラキラ

ほむら「ああ……まどかが銀縁メガネオールバックの、天才魔法少女に!」

さやか「ま、魔法少女服のモチーフも」

杏子「白衣になっていらっしゃる……」

55: 2011/06/22(水) 20:43:03.20 ID:syzN5A080


QB「さあ、その力でワルプルギスを倒すんだ!(ククク)」

まどか「あー、別に倒さないよ?」

QB「は?」

全員「え!?」

まどか「まずワルプルギスを、木星までワープさせる!」

ワル「アハハハ……ハ? アヒャーーーーー」

シュンッ

さやか「き、消えた!?」

56: 2011/06/22(水) 20:43:47.55 ID:syzN5A080


まどか「ワルさんの移動速度を見ていたんだ。彼女の動きではせいぜい、時速300km程度」

まどか「到底、地球の318倍もの質量を持つ、木星の重力圏を離脱などできない」


QB「木星なんかに放置したところで、ワルさんは死なないよ……あっ!?」


まどか「死なないからいいんじゃあないか! 永久に戻ってこれないのがいいんじゃあないか」

まどか「倒さなければ、私が魔女化することもないだろ?」ニヤッ

ほむら「そ、そんな手が!」

QB「ああああ、盲点だったああ!」

まどか「フッ、残念だったねインキュベーター。災厄は倒さずとも、移動させるだけという手があるのさ」


57: 2011/06/22(水) 20:44:35.75 ID:syzN5A080



まどか「さて次は、4人を回復しないとね」

全員「グリーフシードはもうないのに!?」

まどか「んじゃ生成しようか、はい」ポンポコポン

QB「て、手のひらの上に大量のグリーフシードが生まれた!?」

まどか「これで全員、回復だよ」シュウウウ

ほむら「そんなに穢れを吸わせたら、また魔女が生まれるわ」

まどか「大丈夫、コイツがいる」

QB「うわー、背中に無理やり詰め込まないでぇ!」ギュウギュウ


58: 2011/06/22(水) 20:45:30.14 ID:syzN5A080


マミ「こんなに色々やって、鹿目さんのソウルジェムは大丈夫なんですか!?」

まどか「あーまあ、ちょっぴり黒いとこあるね。ダンゴ虫くらい」

さやか「ダンゴ虫!?」

ほむら「な、なるほど……そもそもまどかの総魔力は、時間干渉なんてメじゃない」

ほむら「この星を滅ぼすほどの力なんだから、このくらいダンゴ虫程度なんだわ」

QB「うーむ……まあ僕のエネルギー収集も一応できてるし、いいか」

まどか「ジロッ」

QB「ひッ!?」

59: 2011/06/22(水) 20:46:20.89 ID:syzN5A080


まどか「さてQB君。キミにもちょっとお仕置きが必要だね」

全員「そうだ、さんざん騙しやがって、この白ハンペン!」

QB「いやいや騙すなんてとんでもない!それに僕を殺したところで」

ほむら「そうよ、コイツはすぐに復活するわ」

まどか「殺すなんて、野蛮だねぇ。そんなことはしないよ」

まどか「――ところで、QB君に質問だが」クイッ

QB「!」


まどか「君たちにも  母星は  あるよね?」ニコッ

QB「ヒイィィィ」ガクガクガク

60: 2011/06/22(水) 20:47:04.57 ID:syzN5A080


まどか「いやなに、星を砕くなんて、野蛮なことはやらないよ」

QB「……ホッ」


まどか「ただ、君たちの意識に『永 遠 の 絶 望』を流し込む」

まどか「……というのは物理現象の範疇かな?」キラーーン


QB「いーーやああああああ!! やめてええええ!!」ジョバーー

杏子「うわあ、殺すより怖ええええ!」

まどか「いくら体が復活できるとしても、その気力すらなくなれば」

マミ「全滅するしかないじゃない! さすが天才だわ……」

61: 2011/06/22(水) 20:48:06.07 ID:syzN5A080


QB「何でも言うこと聞きますゥ! 足でも何でも舐めます!」

QB「だからやめてぇまどか様アアアア!!!」

まどか「では、これからは無闇に魔法少女を勧誘しないこと」

まどか「そして私たちに全面協力することだね。さもなくば……」ニヤリング

QB「そ、そんなことでよろしければ!はいッ!仰せのままにー!」


ほむら(……こうして、ついにQBまでが敬語になった)


62: 2011/06/22(水) 20:48:46.98 ID:syzN5A080


~~~~

そして……


まどか「ほーむらちゃん!一緒に帰ろう~」

ほむら「ええ、今日はどこへ行こうかしら、まどか」

さやか「新しいクレープ屋さんができたから、そこどうよ?」

まどか「わーい!賛成~~。マミさんや杏子ちゃんも呼ぼうよ!」



63: 2011/06/22(水) 20:49:27.05 ID:syzN5A080



ほむら(ワルプル撃退後、天才まどかが元のまどかに戻ったわ)

ほむら(銀縁メガネでもオールバックでもない、可愛いツインテール……)

まどか「なぜかしら、って顔してるね、ほむらちゃん」

ほむら「え、ええ。 大体の見当はついてるんだけど」

まどか「えー、なになにー?」


64: 2011/06/22(水) 20:50:04.27 ID:syzN5A080


ほむら「『次のほむループでの私を天才にして!』という願いだったのなら」

ほむら「私が今回時間を戻さなかったので『ほむループ』ではなくなったから」

ほむら「効果が消えたんじゃないかしら」

まどか「あ、なっるほど~~。さすが、ほむらちゃんって頭いいね!」

ほむら「あなたの方がこの間まで、よっぽど良かったんだけれど」


まどか「はぁ、でもおかげでまたテスト、赤点ギリギリだよ~」

さやか「まぁそれでこそ、まどかだよねー!」

まどか「ううっ、さやかちゃんひっどーい!」

65: 2011/06/22(水) 20:50:34.25 ID:syzN5A080


まどか「でもね、まだ魔法は残ってるんだよ」

マミ「物理現象を操る魔法ね。壊された町を直すのに、かなり頑張ってたわよね」

まどか「謎の魔法少女、大活躍!?とかって、シルエットが新聞にも出ちゃった」

まどか「ティヒヒ、人の役に立てるって、とっても嬉しいなって!」ニコニコ

ほむら「結局、魔法少女にはなっちゃったけど……」

ほむら「やっとまどかが帰ってきた気がするわ」ウルッ


66: 2011/06/22(水) 20:51:07.95 ID:syzN5A080


さやか「いやーしかし、このクレープ、マジ激ウマっす~」

マミ「ほんと、美味しいわ。それに町が平和で何より」

杏子「魔女退治は続くんだけどな。ま、うめえからいいや!」パクパク

マミ「グリーフシードも、鹿目さんのおかげで困りはしないし」

さやか「こうなると、魔法少女生活も悪くないよね!」


QB「あのー僕にもクレープ……」

全員「だが断る」

QB「ですよねー」

67: 2011/06/22(水) 20:51:38.88 ID:syzN5A080


まどか「じゃあまた明日ね~」

全員「じゃーねー」


ほむら「それじゃ」

ガシッ



ほむら「……まどか?」

68: 2011/06/22(水) 20:52:14.70 ID:syzN5A080


まどか「あのね、ほむらちゃん」モジモジ

まどか「今日、ほむホームに泊まっていいかな?」

ほむら「えぇっ!? も、ももも、もちろんよ!」


まどか「あーでも、私の推理では」

ほむら「!?」

まどか「泊まったら、ほむらちゃんに」


まどか「い、いろんなこと、されちゃうかな……?」

ほむら「ブゥッ!////」鼻血


69: 2011/06/22(水) 20:52:54.36 ID:syzN5A080


まどか「あ、やっぱり、いろんなこと考えてたんだ?」

ほむら「いや、これは違、違うのーッ!////」ボタボタ

まどか「その鼻血と真っ赤な顔が、動かぬ証拠だよ? ティヒヒ」


まどかは無いはずのメガネを、クイッと上げる動作をしたといいます。


70: 2011/06/22(水) 20:53:46.70 ID:syzN5A080


そんでまあ、結局まどかはほむホームに泊まったうえで、

二人に「いろんなこと」とやらがあったといいます。


まどか「国破れて山河あり……だね!」

ほむら「全然ちがうわ、まどか」



~おわり~


72: 2011/06/22(水) 20:55:55.73
乙でしたー! クイッ

74: 2011/06/22(水) 21:05:57.34
このまどかさんすごいよぉ!

なにがすごいって次のループで私を天才にしてと言ったまどかだよ。

77: 2011/06/22(水) 21:23:52.55 ID:syzN5A080
お付き合いありがとうございました! 乙ありです。

でもあれですね、本編のラストのまどかさんの思いつきは
自己犠牲ではあるけど、あっちの方が天才的ですよね。

引用元: ほむら「まどかが天才になった」