1: 2012/11/24(土) 23:14:07.25 ID:+obUuM/U0
『空にだかれ 雲が流れてく』


透き通った空でいい天気です。

こんな日はバッグにお財布と温かいお茶の入った水筒だけ持って気ままにお散歩するのが最高です。
当然、目的地なんて決めません。迷ってしまうのが目に見えてますからね。

お昼ごはんも持ちません。
そんな事は歩きながら考えます。

大切なのは、家から出る事。

3: 2012/11/24(土) 23:19:57.99 ID:+obUuM/U0
『風を揺らして 木々が語る』


弱いけれど風が吹いてます。
帽子を被ってきたのは失敗だったかもしれません。

街路樹の葉も少し、なびいています。
なんだか、私に話し掛けているみたいです。
今日はいつもより遠くに行こうかしら。

4: 2012/11/24(土) 23:22:27.91 ID:+obUuM/U0
『目覚める度 変わらない日々に』


朝起きて、支度をして。
ごはんを食べて。
何時も通りじゃ駄目よね。
新しい発見があるかもしれないもの。

毎日も全部、違う日なんだから。

5: 2012/11/24(土) 23:25:19.46 ID:+obUuM/U0
『君の抜け殻探している』


でも、探しているものは何時もおんなじ。
私は失ったものを何時までも追い求めているの。

大人だからと言って、何でも割り切る訳でもないし。
忘れるものでもないのよ。
そんな事をするつもりもないけれど。

6: 2012/11/24(土) 23:29:59.31 ID:+obUuM/U0
『Pain 見えなくても 声が聞こえなくても』


あら、こんな所に新しいお店が出来てたの、知らなかったわ。
美味しそうなパンだわ、今日のお昼は決まりね。

クロワッサンとメロンパンとチョココロネにしましょ。
甘いパンばかりになってしまったわね。
3つは欲張りだったかしら。

7: 2012/11/24(土) 23:35:06.45 ID:+obUuM/U0
『抱きしめられたぬくもりを今も覚えている』


暖房の効いたお店から出ると、ちょっとだけ肩が縮こまったりして。
水筒のお茶を取り出して、一口だけ。

まだ、熱かったかもしれないなんて思ってみたり。
でも体は暖まったかしら。

歩き出すと少しずつ体が寒くなくなってきたわね。

8: 2012/11/24(土) 23:40:02.41 ID:+obUuM/U0
『この坂道をのぼる度に
 あなたがすぐそばにいるように感じてしまう
 私の隣にいて 触れて欲しい       』


おかしいわね、いつもと違う方に来たつもりなのに見覚えのある道だわ。
この、長めの坂道。
下りはなかなかいい景色なのよね。
でも、上りは退屈だったりするの。

お散歩なんだから、つまんないなんて変よね。
私はただ気の向くままに足を動かしているだけ。

9: 2012/11/24(土) 23:47:08.74 ID:+obUuM/U0
『近付いてく冬の足音に』


ちょっと風が冷たいわ。
体を刺すような、とまではいかないけれど。

コートから出ている顔が辛いのよ。
それと手足の先が冷えてくると大変なの。

10: 2012/11/24(土) 23:49:59.86 ID:+obUuM/U0
『時の速さを感じている』


あら、ここのお店閉店なのね。
前のお店、なかなか気に入っていたのだけど、残念。

閉まる前にもう1度来ようかしら。
最後に1度だけ。

11: 2012/11/24(土) 23:54:21.07 ID:+obUuM/U0
『待ち続けたあの場所に君は』


もう1度なんて言っても忘れてしまいそうね。
またちょっと体が冷えたから、ベンチに座ってお茶を飲みましょ。

温かいわね。体だけじゃなくて心も、なんて思ってみたり。
このベンチは坂の上からの景色が一望できてお気に入り。
いつもここでこうやって、お茶を飲むのよ。

12: 2012/11/24(土) 23:58:34.65 ID:+obUuM/U0
『二度と来ないと知っていても』


お茶も飲んだので、また歩き出します。

いい加減、嘘つくのは止めましょうか。
誰に言う訳でもない事ですし。
お散歩だなんて、迷子だなんて。
行き先はいつも同じなのにね。

13: 2012/11/25(日) 00:01:07.35 ID:RwNB3gxw0
『Why 待ってしまう』


私は前に歩いているのかしら。
それとも、まだ後ろを向いて立ち止まっているのかしら。

どっちが良いのでしょうか。
どちらでも、いいのかしら。
どちらでも、同じなのかしら。

15: 2012/11/25(日) 00:05:50.37 ID:RwNB3gxw0
『どうして会えないの?』

どちらにせよ、会えない事は変わらないのだから。
あの人はどう思うのかしらね。
今の私を見て。

哀しいのかしら、嬉しいのかしら。
これも嘘ね、そんな事分かるもの。

17: 2012/11/25(日) 00:10:06.56 ID:RwNB3gxw0
『嘘だよと笑って欲しい 優しくキスをして』


でも、関係ないわ。私の勝手だもの。
何をしようと私の自由よ。

それぐらいの我が侭は許されるはずよ。
あの人のズルに比べたらね。

18: 2012/11/25(日) 00:15:48.42 ID:RwNB3gxw0
『遠いかなたへ旅立った
 私を一人置き去りにして
 側にいると約束をしたあなたは嘘つきね』


花屋さんで、お花を買って。
フウセンカズラを入れてもらう、いつもの意地悪。
嫌みよね、苦笑いするのかしら。
あの人が花言葉なんて知っているとは思えないけれど。

19: 2012/11/25(日) 00:20:12.05 ID:RwNB3gxw0
『もし神様がいるとしたら あの人を帰して
 「生まれ変わっても君を見つける」
 僅かな願い込めて・・・I wanna see you  』


子どもみたいな悪戯心だって、あの人からの影響ね。
勝手に遺されたものだって沢山あるわ。
いっその事全部捨てられたらだなんて、思わないけれど。
本当にズルい人よ。

20: 2012/11/25(日) 00:25:10.44 ID:RwNB3gxw0
『この坂道をのぼる度に
 あなたがすぐそばにいるように感じてしまう
 私の隣にいて 触れて欲しい       』


結局、着くのはいつもの所。
最初からここに来るつもりだったのかなんて。
バッグの中にお線香と、あの人がたまに使ってたジッポが入ってるくせに白々しいわ。

21: 2012/11/25(日) 00:30:08.98 ID:RwNB3gxw0
(遠いかなたへ旅立った 私を一人置き去りにして)

いつも、手を合わせながら声に出して言ってあげるの。

「側にいると約束をしたあなたは嘘つきだね」

22: 2012/11/25(日) 00:32:41.27 ID:RwNB3gxw0
終わり

短いですがこういう雰囲気もたまにはいいかなって思い、書いてみました。



23: 2012/11/25(日) 00:35:27.11

引用元: あずさ「お散歩日和ですね」