1: 2011/03/08(火) 04:39:41.33 ID:pIdCNWr6O
プルルルル

唯「はいもしもし」

梓「…私あずにゃん、今近くのコンビニにいるの、立ち読みしてるの」

3: 2011/03/08(火) 04:44:40.63 ID:pIdCNWr6O
唯「え?あずにゃん!?近くのコンビニって…」

プツン

唯「あっ…今のは一体…」

数分後

プルルルル

唯「…もしもし」

梓「私、あずにゃん今唯先輩の家の前にいるの」

唯「えっ!!?な、何で…」

プツン

唯「ま、またすぐ切れた…」

5: 2011/03/08(火) 04:48:24.16 ID:pIdCNWr6O
数分後

プルルルル

唯「も、もしもしあずにゃん!!?さっきから何…」

梓「……私あずにゃん…今……唯先輩の後ろに…」

唯「えっ!!?う、後ろって…」

梓「唯せんぱああああああああああああああああい!!!!」

唯「きゃああああああああああ!!!!」

梓は唯を強く抱きしめる。いつもとは逆のパターンだ

梓「もう一生離しませんからね唯先輩」

唯「えへへ」


めでたしめでたし

14: 2011/03/08(火) 12:07:02.71 ID:hezO7w7wO
唯「うい~…」

憂「どうしたのお姉ちゃん?」

唯「なんか最近部屋に誰か入ってるみたいなの…」

憂「えぇ!?」

憂「ど、泥棒とか?」

唯「いやそうゆうのじゃ無いと思うんだけど」

憂「んん?」

唯「な~んか寝てから起きる間に部屋の雰囲気が違うっていうか…」

憂「雰囲気…」

16: 2011/03/08(火) 12:13:08.84 ID:hezO7w7wO
唯「こわいよ~」ウワーン

憂「よしよし」ナデナデ

憂(戸締まりちゃんとしてるし大丈夫だと思うけどなぁ…)

憂「…それじゃあお姉ちゃんビデオで撮ってみる?」

唯「びでお?」

憂「うん。ビデオでお姉ちゃんが寝てる所撮ってみたらどうかなって」

唯「…いいかも」

唯「頼むようい~」

17: 2011/03/08(火) 12:19:56.61 ID:hezO7w7wO
憂「それじゃあ今日撮っていい?」

唯「うん。いいよ~」

憂「きっと大丈夫だよお姉ちゃん」

唯「う~ん…」

◇ ◇ ◇




唯「憂ー!」

憂「わっ。どうしたのお姉ちゃん?」

唯「昨日も部屋の雰囲気がなんか違ったよ!」

唯「きっとビデオに写ってるよ。見てみよう!」

憂「う、うん。見てみよっか」

憂(ホントに誰か写ってたらどうしよう…)

19: 2011/03/08(火) 12:24:44.69 ID:hezO7w7wO
唯「速く速く~」

憂「ちょっと待ってね」ガチャガチャ

憂「よし…再生っと」ポチ

唯「…」ジー

憂「…」ドキドキ



唯「…う~ん私寝相悪いなぁ」

憂(寝てるお姉ちゃんかわいいなぁ///)エヘヘ


22: 2011/03/08(火) 12:30:46.99 ID:hezO7w7wO
唯「あ!見て憂。部屋に誰か入ってきたよ!」

憂「!」

憂「ホントだ…」

唯「やっぱり…」ガタガタ

憂「け、警察に…」

唯「髪が長い…女の人かな」

憂「…ん?」ジー

憂「お、お姉ちゃん!この人…」

唯「え?…あっ!」

◇ ◇ ◇

25: 2011/03/08(火) 12:36:53.71 ID:hezO7w7wO
よる

唯「…」スヤスヤ

ガチャ

?「…」

テクテク

唯「…」グーグー

?「…」ジー

ギシ

?「…」モソモソ

唯「…」

唯「えいっ」ガバッ!

?「にゃあっ!?」ビクッ

28: 2011/03/08(火) 12:48:02.45 ID:hezO7w7wO
唯「私のベッドに入って何やってるのかな」ギュー

唯「あずにゃ~ん」

梓「り、リサーチの結果絶対寝てるこの時間に何で…」

唯「昨日私が寝てる所を撮影してたのさー」

梓「あわわ」バタバタ

唯「逃げなくていいよ」ギュー

梓「うぅ…」

唯「何やってたの?」

梓「…」

梓「…唯先輩と一緒に寝たかったんです」

31: 2011/03/08(火) 13:00:09.57 ID:hezO7w7wO
唯「それだけ?」

梓「それだけです…」

唯「たまに来てたの?」

梓「週5くらい…」

唯「…」

唯「かわいいやつめ~」ギュー

梓「あう///」

唯「言えばいいのに~」ギュー

梓「は、恥ずかしいです…」

唯「まっ今日からは毎日でも一緒に寝てあげるからねー」

梓「///」




唯「今回はかわいいかわいいあずにゃんだったから良かったけど」

唯「君たちの隣では夜な夜なこわ~い『何か』がが一緒に寝てるかもね…」


36: 2011/03/08(火) 14:57:25.45
怖くはない都市伝説だなw

37: 2011/03/08(火) 15:27:30.71

42: 2011/03/08(火) 18:14:20.51 ID:hMu1YaiX0
桜ヶ丘学校高校の女子トイレには、ある奇妙な都市伝説があった。

それは、奥から三番目の個室の扉を三回ノックして

 「あ~ずにゃんさ~ん、遊びましょ~」

と呼びかけると、

 「にゃ~ん」

という声とともに、黒髪ツインテールの女の子が出現するというもの。

通称、トイレのあずにゃんさん。

あずにゃんとは何者なのか。

にゃ~んという返事から察するに、女の子の姿を仮に持つ黒猫の幽霊、といったところか。

とにかく、こんな面白い噂を確かめない手はない。

歴戦の都市伝説マニアである私、平沢唯は、この奇怪な都市伝説が真実かどうかを確かめることにした。

もしかしたら本当に可愛い女の子が出てきて、おもてなししてくれるかもしれないし。

44: 2011/03/08(火) 18:19:47.78 ID:hMu1YaiX0
キーンコーン、カーンコーン。

放課後のチャイムが鳴り、教室を出た私は学校内で一番利用者の少ないトイレに向かう。

ここは校舎の設立以来、一度も改装されたことのない唯一のトイレ。

洋式便所は一切なく、建て付けの悪い個室の中に和式便所が六つ並んでいるだけだ。

生徒はおろか、清掃員のおばさんさえ月に一度掃除に訪れるか訪れないかといった具合。

どうしてこんな場所を選んだかといえば、やはり人気のある場所に幽霊は出ないと思ったから。

ここなら誰かに見られる心配は皆無だし、人見知りな幽霊さんとも安心してお話できるはず。

人見知りというのは、私の勝手な想像だけどね。

だって、陽気で社交性のある幽霊さんなんて全然怖くないし、むしろ友達になれそうだもの。

まあ、私は人見知りな幽霊さんともお知り合いくらいにはなれる自信があるけどね。

45: 2011/03/08(火) 18:25:08.46 ID:hMu1YaiX0
やって来たトイレは、思っていたより薄暗く不気味だった。

とりあえず電気を付けてみたものの、か細い蛍光灯の明かりは気休め程度にしか感じられない。

 ポタッ

 唯「ひっ」

個室の反対側に位置する水道から、水滴の落ちる音が聞こえて思わず縮み上がる。

誰にも使われていないはずのトイレで、どうして水道の蛇口から水が滴っているのか。

 ポタッ……ポタッ……

しかもその間隔の短さから察するに、どうやらついの先程まで利用者がここにいたらしい。

 唯(一体、誰が……?)

46: 2011/03/08(火) 18:32:04.91 ID:hMu1YaiX0
私がここに来るまでに、すれ違った人はいなかった。

ここは三階のトイレだから、窓から外に出ることは生身の人間には不可能だろう。

というか、普通そんな退室の仕方をする人はいない。

となれば、当人はこのトイレにまだ隠れていると考えるのが妥当だろうか。

 唯(やっぱり、トイレのあずにゃんさんが今もここに……?)

今まで数々の都市伝説を探してきたが、今回のようなリアリティ溢れる緊張感は初めてだった。

 唯(ゾクゾクしてきたよ……!)

そう、これが都市伝説マニアならではのスリルというもの。

巷で飛び交う噂話が、嘘か誠か。それを確かめるまでの過程がスリリングで楽しいのだ。

探究心旺盛な私にとっては、まさに天職。これだから都市伝説マニアはやめられない。

 唯(ドキドキ……)

程良い心臓音に身を委ねながら、私は奥から三番目に位置する個室に近づいていく。

49: 2011/03/08(火) 18:38:33.93 ID:hMu1YaiX0
近くでまじまじと見た個室の扉は、入り口から概観したときよりも遥かに不気味に思えた。

ところどころ剥がれかけたベニヤ板、擦りつけるようにしてできた血のような跡。

そして何よりも不気味だったのが、床上五十センチあたりに残された無数の細長い傷跡。

まるで、鋭い爪を研ぎ澄ますために引っ掻きまくったかのような傷だった。

 唯(案外、猫の幽霊という噂は本当なのかも)

扉を開けた瞬間に、磨かれたご自慢の爪で引っ掻かれちゃったり? ……なんてね。

あれこれ考えても仕方ないので、とりあえず噂の通りに幽霊さんを呼んでみることに決めた。

50: 2011/03/08(火) 18:44:37.25 ID:hMu1YaiX0
 唯「すー……はぁ」

軽く深呼吸をして心の準備を整えた後、右手の甲をゆっくりと扉にあてがう。

 唯(ノックは三回。間違えないようにしないとね)


 コン、コン、コン。


ノックが完了した。

一度動きを止めて扉の向こう側に耳を傾ける。

 「……」

返事は何も聞こえない。

 唯(さすがにノックだけじゃ出てこないか……)

 唯(やっぱり人見知りの幽霊さんなのかねぇ……)

こうなったら、二つ目の手順を実行するしかない。

51: 2011/03/08(火) 18:49:46.08 ID:hMu1YaiX0
もう一度軽い深呼吸をして、軽く咳払いをする。

そして、できるだけ普段と変わらない声で扉に向かって呼びかけた。

 唯「あ~ずにゃんさ~ん、遊びましょ~」

 「……」

 唯(さあ……噂が本当かどうか見せてもらおうじゃないの)

微動だにせず、その場に待機して耳をすます。

 「……」

返事は何も聞こえてこない。やはりデマだったのだろうか。

 「……」

十秒が経過したが、やはり返事はない。

 唯(今回もまたダメだったか……)

諦めてその場を立ち去ろうとした、次の瞬間だった。

 「……にゃ~ん」

52: 2011/03/08(火) 18:56:17.45 ID:hMu1YaiX0
 唯(うそ……今、にゃ~んて聞こえたよね……?)

 唯(都市伝説、本当だったんだ……!)

 唯(この中に、あずにゃんさんがいる……!)

数秒後、ゆっくりと目の前の扉が開き始める。

 唯(うぉ……! やばいやばい、最初になんて声かけよう……)

 唯(オーソドックスに、こんにちは? でも、あずにゃんさんの機嫌を損ねたら悪いし……)

 唯(というか、猫だったら言葉通じないじゃん! どうしようどうしよう……)

やがて、私の前にあずにゃんさんは姿を現した。

 「あずにゃんと一緒に、遊びましょ……」

54: 2011/03/08(火) 19:02:48.52 ID:hMu1YaiX0
猫のポーズを取りながら、不気味な声で私に近づくその姿。

それは、猫耳をつけた想像を絶するほど可愛い女の子だった。

 唯「あなたが……あずにゃんさん?」

 「……? どうして怖がらないんです……?」

 「私はトイレのあずにゃんさんですよ……ほら、一緒に遊びま……」

 唯「かか……可愛いいいいいいっ!」

 「にゃああああっ!!?」

思わず反射的に、抱きついてしまった。

だってまさか、こんなに可愛い女の子とは思っていなかったんだもの。

 「どうして人間が私に抱きつくですかっ! 離して下さいー!」

 唯「あ、ごめんごめん……あまりにも可愛かったからつい……」

渋々と体を離すと、あずにゃんさんはきっと私を睨みつけてきた。

 唯(な、なんか可愛い……)

55: 2011/03/08(火) 19:09:20.69 ID:hMu1YaiX0
それからあずにゃんさんは色々と自己紹介をしてくれた。

この世界とは別次元に存在する霊界の住人で、本来の姿は黒猫をしているということ。

本名は中野梓で、霊界におけるあだ名が「あずにゃん」であるということ。

人間界では、固有の人間の姿を一つだけ持てるということ。

約200年はゆうに生きているということ。

30年以上も前から、このトイレに住み着いてずっと生活しているということ。

今ついている猫耳は、着脱可能であるということ……などなど。

溜まっていたものを吐き出すように、延々と話し続けるあずにゃんの表情はどこか寂し気だった。

56: 2011/03/08(火) 19:15:35.97 ID:hMu1YaiX0
 梓「こんなとこですかね……はぁ」

 唯「どうしたの、あずにゃん?」

 梓「私を見て驚かなかった人間は、あなたが初めてですよ……」

 唯「都市伝説マニアのエキスパートだからね、私は! ふんすっ」

 梓「というか、あずにゃんって気安く呼ぶの止めてもらえます?」

 唯「どうして?」

 梓「私は幽霊なんですよ。人間はもっと、畏敬の念をもって我々に接するべきです」

 唯「でも、あずにゃんはあずにゃんだもん。それに可愛いしっ!」

 梓「にゃああ! だから、そうやって急に抱きつかないで下さい!」

 唯「小っちゃくて可愛いし、見た目的には私と年齢もさほど変わらなさそうだし……」

 唯「あずにゃんさんってさん付けしなくてもいいでしょ?」

 梓「もう……勝手にすればいいです」

57: 2011/03/08(火) 19:21:16.90 ID:hMu1YaiX0
 唯「ねえ、ところでさ」

 梓「何ですか? ……えっと」

 唯「あ、私の名前は平沢唯って言うの」

 梓「そうですか。じゃあ……何ですか、唯」

 唯「あずにゃんって、何で霊界の住人なのにここにずっと住んでるの?」

 梓「そ、それは……」

 唯「?」

 梓「……いいでしょう、話してあげますよ」

あずにゃんは一呼吸置くと、悲しげな表情で自分の身の上話を始めた。

59: 2011/03/08(火) 19:26:48.36 ID:hMu1YaiX0
 梓「今の私は……実質、霊界から追放されている状態なんです」

 唯「追放……!? 一体どうして?」

 梓「私たちが住む霊界の頂点には、魔神と呼ばれる絶対的な存在が君臨しています」

 唯「なんかすごく強そうだね」

 梓「実際、魔神は独裁的とも言える強大な権力を持っていて、霊界中を常に監視し続けているんです」

 梓「不祥事や揉め事があった際、すぐにそれを発見して罰することができるように」

 唯「じゃあ、あずにゃんは何か不祥事を起こして、罰として霊界を追放されたってこと?」

 梓「私が直接騒ぎを起こしたわけではありません……でも、原因は私にあるんです」

 唯「……どういうこと?」

60: 2011/03/08(火) 19:34:42.45 ID:hMu1YaiX0
 梓「私たちが住む霊界にも、人間界と同じように家族単位のコミュニティーが存在します」

 唯「幽霊さんにも家族?」

 梓「はい。私の家は、父と母の三人暮らしでした」

 梓「私たちは……本当に幸せに暮らしていました」

 梓「父も母も私を愛していたし……私も両親を愛していた」

 梓「でも、父が職を失ってから私たちの関係は変わってしまったんです」

 唯「え……リストラされたの?」

 梓「そのようなものです。安定した収入を失ったことで、私たち家族はどんどん貧乏になっていきました」

 梓「父は霊酒に明け暮れて、新しい職も探さずだらだらと過ごしていました」

 梓「母は最初は我慢していましたが、次第に働きもせず金を浪費する父に文句を言うようになって……」

 梓「それからはもう、両親はただただ喧嘩に明け暮れていました」

 唯「あずにゃん……」

62: 2011/03/08(火) 19:40:51.76 ID:hMu1YaiX0
 梓「それで私は、何とか両親を仲直りさせて元の幸せな生活に戻る方法を考えました」

 梓「喧嘩の直接的な原因は……安定した収入がなくて生活が破綻していたから」

 梓「結論はすぐに出ました。お金を稼いでこの家に入れてやればいいんだって」

 梓「でも、霊界で200歳って子どもみたいなもんなので、ろくに働けるような仕事なんてありませんでした」

 梓「途方に困っていたのですが、ある日通りかかった霊街道で、たまたま良いものを見つけたのです」

 唯「良いものって?」

 梓「宝くじ屋です」

 唯「霊界にも宝くじってあるの!?」

 梓「はい。乾坤一擲、これしかないと思いました」

64: 2011/03/08(火) 19:47:17.71 ID:hMu1YaiX0
 唯「それで、当たったの?」

 梓「はい……その宝くじで私、一等を当ててしまったんです」

 唯「ええっ! あずにゃん、すごいじゃん!」

 梓「あの時は本当にびっくりしました。念願のお金がやっと手に入って嬉しくなって……」

 梓「家に帰ってさっそく、お金を両親に渡しました」

 梓「これでようやく両親を仲直りさせられる……昔の幸せな日々に戻れる……そう思ったんです」

 梓「ところが……両親の喧嘩はますます悪化するだけでした」 

 唯「え……なんで、お金が手に入ったのに?」

 梓「人間界でも、大金は人を狂わせると言いますよね。それと同じです」

 梓「父と母は、大金を争ってますます激しい喧嘩を始めました。貧乏な頃の比じゃないくらいに」

 梓「あまりにも酷い喧嘩だったので、ついにそれが魔神の目に止まってしまったんです」

65: 2011/03/08(火) 19:54:23.82 ID:hMu1YaiX0
 梓「喧嘩の当事者である両親は、離婚を強いられ、霊界の最果ての地に飛ばされました」

 梓「普通、そこから自力で脱出することはできません。人間界における終身刑のようなものです」

 梓「そして、魔神は宝くじによって両親の喧嘩を悪化させた私にも非があるとして、私にも罰を与えました」

 唯「あずにゃんは人間界にいるから終身刑じゃないよね? 一体どんな罰を……?」

 梓「人間界で、修行を積むことです」

 唯「しゅ、修行?」 

 梓「はい。霊界では、人間は霊より卑しい存在として定義されています」

 梓「人間は、霊の存在を恐れたり、怖がったりしますよね」

 唯「いないって信じてる人もいるけどね」

 梓「そういう人もいますね。いずれにせよ、霊は人間にとって畏怖の対象としてあるべきなんです」

 梓「だから、霊が人間を脅かすことは一種のステータスになります」

 梓「より多くの人間に恐れられる霊ほど、霊界では偉大な存在と言えるのです」

67: 2011/03/08(火) 20:00:43.37 ID:hMu1YaiX0
 梓「私はまだ子どもなので、人間を十分に怖がらせるほどの力を持っていません」

 梓「それで魔神は、反省もかねて人間界で修行をしろと私に命じました」

 唯「でも……人間を怖がらせる修行って面白そうじゃない?」

 梓「面白くなんかないです!」

 唯「あ……ごめん」

 梓「息も詰まるような人間界で、こんな狭い空間に住まわされて……」

 梓「家族や霊界の友達はおろか、霊一体すらここにはいないんですよ」

 梓「その上、こんな辺ぴな場所じゃ人間すら来やしない」

 唯「じゃあ、あずにゃんは三十年もここで……」

68: 2011/03/08(火) 20:09:09.85 ID:hMu1YaiX0
 梓「そうですよ……ずっとここで人間が来るのを待っていたんです」

 梓「それで今日、ようやく人間が来たと思って……息を潜めて待っていたのに……」

 梓「何で怖がらないんですか! これじゃあ、修行の経験値が上がらないじゃないですか!」

 唯「ごめんね……あずにゃん」

 梓「人間のバカ! 唯のバカ! もうっ……どっか行って下さいよ!」

 ぎゅっ

 梓「ちょ、何するんですか……離れて下さい!」

 唯「……やだもん」

 梓「ふざけないで! 早くこの手を離して!」

 唯「ねぇあずにゃん。私と友達にならない?」

 梓「え……?」

72: 2011/03/08(火) 20:18:13.18 ID:hMu1YaiX0
 唯「せっかく出会えたんだからさ、友達になろうよ!」

 梓「……んなっ……卑しい人間なんかと、友達になるわけないじゃないですか!」

 唯「でもあずにゃん、三十年も一人ぼっちで寂しかったでしょ?」

 梓「そ、それは……」

 唯「辛かったよね……一人ぼっちでいることなんて、私には三日も耐えられないと思う」

 梓「……に、人間と一緒にしないで下さい!」

 唯「あずにゃんが友達になってくれたら、私毎日ここに来るよ」

 梓「……!」

 唯「あずにゃんに会いに、あずにゃんとお話しに……なんなら私の友達を連れてきたっていいよ!」

75: 2011/03/08(火) 20:29:00.35 ID:hMu1YaiX0
 梓「……っ……余計なお世話です!」

 梓「私がここにいる目的ちゃんと聞いてました?」

 梓「たくさん人間を脅かすための修行なんですよ!?」

 梓「人間の友達をたくさん作りに来たわけじゃないんです!」

 唯「でも、こんな場所に住んだままじゃこれから先誰も来ないと思うよ」

 梓「それは……」

 唯「大丈夫、ほとんどの人はトイレのあずにゃんさんの噂を怖がっているし」

 梓「……ほ、ほんとですか?」

 唯「うん。私は怖いもの慣れしてるから、あんまり怖がらなかったけどね」

 梓「唯は……怖がらなさすぎです。勝手に抱きついてくるし……」

 唯「あ、ちょっと笑顔になったね」

 梓「な……笑顔になんてなりません! 馬鹿言わないで下さい!」

 唯「おお……今あずにゃんが怖く見えたかも」

78: 2011/03/08(火) 20:39:10.85 ID:hMu1YaiX0
 唯「あずにゃんは不気味な雰囲気を出そうとするよりも、大声出して怒ってる方が怖いかもしれないね」

 梓「こんなに大声を出したのは三十年ぶりですよ……はぁ」

 唯「私は怒っているあずにゃんも可愛くて好きだけどね!」

 梓「にゃっ……だから、急に抱きつかないで下さいよ……」

 唯「えへへ……」

 梓「もう……」

 唯「それであずにゃん、私と友達になってくれる?」

 梓「……そこまで言うなら、仕方ないですね」

 唯「ほ、ほんと!?」

 梓「勘違いしないで下さい。私は唯の友達を脅かすために、ただ唯を利用するだけであって……」

 唯「わーい、あっずにゃーん!」

 梓「んにゃあっ……頬ずりしないでくだひゃいい!」

 唯「これからよろしくね、あずにゃん!」


 おしまい

79: 2011/03/08(火) 20:45:08.88 ID:hMu1YaiX0
即興ネタですみません。
スレストきそうなんでここで止めておきます。

81: 2011/03/08(火) 20:49:58.75
おつおつ
気が向いたらまた続きを書いてくれ

84: 2011/03/08(火) 21:13:27.86 ID:pIdCNWr6O
乙ー

引用元: 唯「都市伝説あずにゃん」