1: 2016/04/24(日) 22:27:16 ID:up8T.dCk
ある日・・・
この平和だった世界に魔王が現れ、世界に混沌と絶望を振りまいた。
選ばれし勇者とその一行は、魔王の手下を倒しながら魔王の根城を探した。
そして遂に魔王城にたどり着き、多くの手下を全て無に帰した彼らの目の前には、
禍々しい扉が立ちふさがる。

2: 2016/04/24(日) 22:27:50 ID:up8T.dCk
勇者「この扉の向こうに魔王がいる・・・」

戦士「おいおい、ビビってるのか勇者?」

魔法使い「無理も無いわ、相手はあの魔王だもの」

僧侶「・・・・私たちなら、大丈夫です」

勇者「よし、行くぞ!平和な世界のために!!」

3: 2016/04/24(日) 22:28:23 ID:up8T.dCk
扉を爆破し部屋に突入すると、そこには全ての元凶が佇んでいた。

魔王「よく来たな小僧ども!まさかあの時の小僧どもがここまで来るとはな」

勇者「僕たちはあの時とは違う!今日こそ魔王、お前を殺す」

魔王「ふっ・・・我が手下を全滅させただけで調子に乗りおって」

戦士「おしゃべりはここまでだ、母さんの敵はとらせてもらうぜ!うおりゃぁぁぁぁ」

魔王「相変わらずせっかちな小僧だな!」

4: 2016/04/24(日) 22:29:00 ID:up8T.dCk
戦士の斬撃を見えない壁で遮る魔王、しかし声には以前のような余裕は見られなかった。

魔法使い「勇者、側面から攻撃して!援護するわ」

勇者「はぁぁぁぁ!!」

勇者の剣は空を切った、魔王が後方に退いたのだ。
しかし、魔法使いが放った氷の刃が全方向から魔王に迫る。

魔王「だぁぁぁ!!」

5: 2016/04/24(日) 22:29:34 ID:up8T.dCk
力を放った魔王の前に、氷の刃は全て粉砕された。
ただ、粉砕された氷の刃は粒子となり魔王の視界を塞ぐ。
それは一瞬の隙だった。

右方向から突撃した戦士に気を取られていた魔王は、勇者の接近を許したのだ。

勇者「魔王、覚悟!!」

魔王「ぐぅ・・・」

勇者の剣が魔王の胸を貫いた。

6: 2016/04/24(日) 22:30:52 ID:up8T.dCk
勇者「終わりだな、魔王」

魔王「ふ、ぐふふ・・・」

戦士「・・・・ゴボ・・・・・」

勇者「戦士!?」

突然腹に風穴を開けられ、戦士は血を噴き出させながらその場に崩れ落ちる。

7: 2016/04/24(日) 22:31:25 ID:up8T.dCk
魔王「我とて魔王だ・・・ただで死んでやる訳にはいかん」

勇者「よくもぉぉぉぉぉ!!」

勇者は力任せに剣を引き抜き、魔王の腹を一刀両断した。
禍々しい血液が勇者の衣装を、頭髪を、肌を穢した。

魔王「ごふっ・・・ゆ、勇者よ、貴様は絶対に後悔するぞ・・・我を倒した事を、ぜっ」

勇者「死ね、魔王」

多くの血液を吸ってなお、さらに輝きが増したかのようにも見える剣が、魔王の言葉をただの雑音へと変えた。

8: 2016/04/24(日) 22:31:58 ID:up8T.dCk
僧侶「戦士、しっかりしてください」

魔法使い「うわぁ・・・内蔵はみ出てるんだけど、グロぉ」

僧侶「戦士、いつまで寝てるんですか」

戦士「いてぇ・・・良いから全快してくれよぉ」

僧侶「今してます」

戦士は相変わらず図太いようだ、勇者は胸を撫で下ろした。
勇者は剣に滴る穢れた血を拭き取り、鞘におさめる。

勇者「これで全て終わったのか、全て」

9: 2016/04/24(日) 22:32:33 ID:up8T.dCk
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

王都に戻った勇者一行は、民衆から熱烈な歓迎を受けた。

10: 2016/04/24(日) 22:33:30 ID:up8T.dCk
勇者「王様、ただいま戻りました」

王様「勇者よ、よく戻った」

勇者「これが、魔王の首でございます」

王様「うむ、確かに魔王の首じゃな・・・・これで、全てが終わりじゃ」

勇者「また平和な世界に戻るのですね」

王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

11: 2016/04/24(日) 22:34:04 ID:up8T.dCk
勇者「いえいえ、褒美など勿体ないお言葉・・・」

王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

勇者「で、では・・・・後日回答をさせていただきたく」

王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

勇者「王様?どうされましたか?」

王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

12: 2016/04/24(日) 22:35:07 ID:up8T.dCk
王様の顔は先ほどと変わらず、和やかでこちらをからかっている様子も無い。
周りの憲兵も、変わった様子も無く立っているだけだ。
誰も王様の異変には気づいていない。

勇者「王様・・・・?」

王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

勇者「な、何が起こってるんだ・・・・」

王様の瞳には真っ暗な闇が広がっているのみ。
恐ろしくなった勇者は、部屋を飛び出していた。

13: 2016/04/24(日) 22:35:47 ID:up8T.dCk
勇者「な、なんなんだよ・・・とりあえずは戦士達と合流しよう!」

戦士達は中庭のベンチに座っていた。
どこか遠くを見ているようだったが・・・

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

勇者「それどころじゃなんだ!王様がおかしいんだよ!」

14: 2016/04/24(日) 22:36:25 ID:up8T.dCk
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

勇者「せ、戦士?悪い冗談は止してくれ・・・・なぁ」

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

勇者「お、おい魔法使い・・・こいつはどうしちゃったんだよ」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

勇者「け、結婚・・・ってそうじゃなくてさ、戦士が・・・・」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

15: 2016/04/24(日) 22:37:07 ID:up8T.dCk
勇者「え・・・う、嘘だよね?ねえ魔法使い」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

この世で一番愛おしいと思えた笑顔は、勇者を絶望へと突き落とした。

16: 2016/04/24(日) 22:37:37 ID:up8T.dCk
勇者「お、おい僧侶・・・こいつらになんか言ってやってくれよ・・・」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

勇者「う、うん・・・って今はそうじゃなくて・・・な、僧侶?な?」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

17: 2016/04/24(日) 22:38:13 ID:up8T.dCk
勇者「は、ははは・・・・ははははは・・・・あっはははははっははっはははは」

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

勇者「ああああああああああああああああ!!!!!!」

18: 2016/04/24(日) 22:39:20 ID:up8T.dCk
勇者はその後も様々な住民に話しかけ続けた

女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

19: 2016/04/24(日) 22:39:51 ID:up8T.dCk
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

20: 2016/04/24(日) 22:41:02 ID:up8T.dCk
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」

戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」

魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」

僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」

女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」

男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」

商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」

お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」

青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」

少年「僕は握手してほしいなぁ」

21: 2016/04/24(日) 22:41:43 ID:up8T.dCk
勇者は気づいてしまった。
この世界はもう終わってしまったのだと。
もう何も始まらないし、何も終わらないのだと。


・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・

勇者「・・・・・」

・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・

22: 2016/04/24(日) 22:42:17 ID:up8T.dCk
・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・

23: 2016/04/24(日) 22:45:02 ID:up8T.dCk
短いですが終わりです。

24: 2016/04/25(月) 00:47:12

勇者が魔王になって>>1に戻るんやろなあ

25: 2016/04/25(月) 10:46:42
ホラーや

引用元: 勇者「平和な世界へ」