1:2020/07/07(火) 20:00:19.820 ID:GVWzTUS800707.net
女店員「レジ袋有料になりますが、よろしいですか?」

男「ああ、7月から有料なんだっけ……いくら?」

女店員「10億円」

男「は?」

女店員「10億円です」

男「いや、ちょっと待て、おかしいだろ」

女店員「おかしくありません」

男「たかが使い捨ての袋に10億て!」

女店員「10億円払わなければ、レジ袋はつけません」

男「なんだと……」
3:2020/07/07(火) 20:03:34.346 ID:GVWzTUS800707.net
男「んなもん払えるわけねーだろ! ぼったくりにも程がある!」

女店員「なぜ払えないのですか」

男「そんな金持ってねーし……」

女店員「なぜ持ってないのですか」

男「だって俺、しがないバイト暮らしよ? しかも不真面目。10億なんて一生かかったって無理だ!」

女店員「つまり、あなたはその程度の男であると」

男「な……!」

男「もういい! 袋なんかいらない! 手で持って帰る!」
8:2020/07/07(火) 20:06:09.446 ID:GVWzTUS800707.net
……

客「これください」

女店員「袋は有料になりますが、おつけいたしますか?」

客「お願いします」

男「!」

男(また10億だとかいって、相手を怒らすぞ……)

女店員「袋は3円になります」

客「分かりました」

男「!?」
13:2020/07/07(火) 20:09:38.814 ID:GVWzTUS800707.net
男「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」

女店員「なんでしょう」

男「なんでこの人は3円なんだよ!」

女店員「いけませんか」

男「いけませんよ!」

男「だったら俺にも3円で袋ちょうだいよ!」

女店員「ダメです。10億円です」

男「なにこの露骨な差別!」
16:2020/07/07(火) 20:12:09.115 ID:GVWzTUS800707.net
男「分かった! もういい!」

男「俺は意地でも10億円稼いでやる!」

男「稼いで、10億の現ナマ持ってきて、札束でてめえの頬をひっぱたいてやる!」

女店員「やれるものならどうぞ」

男「吐いた唾飲み込むなよぉぉぉぉぉ!」

男「うおおおおおおおおおおおっ!!!」ドドドドド…

女店員「……」
18:2020/07/07(火) 20:15:13.849 ID:GVWzTUS800707.net
男「あのさー」

友人「ん?」

男「10億稼ぐにはどうしたらいいかな?」

友人「!?」ブッ

友人「いきなりなんだよ!?」

男「わけあって、10億円稼がなきゃいけなくなったんだよ」

友人「一つだけはっきりしてることは……」

男「?」

友人「もし俺が方法を知ってたら、今頃俺が大金持ちになってるわな」

男「たしかに」
21:2020/07/07(火) 20:18:19.213 ID:GVWzTUS800707.net
友人「お前いくら持ってんだよ?」

男「10万だ」

友人「10万ねえ……」

友人「たとえば、万馬券を二回当てれば、10万が1000万に、1000万が10億、で到達だわな」

男「それだ!」

友人「えっ」

男「競馬場へ行くぞぉぉぉぉぉ!!!」
28:2020/07/07(火) 20:21:21.948 ID:GVWzTUS800707.net
男「超大穴“イツモドベビリ”に全財産賭けるぜ!」

男「いけえええええええ!!!」



パカラッ パカラッ パカラッ …



男「……」

男「俺の……10万が……」
31:2020/07/07(火) 20:24:12.746 ID:GVWzTUS800707.net
男「……」

友人「お、おい元気出せよ……」

友人「今日はほら……おごってやるからさ」

男「いや、落ち込んでるわけじゃないぜ。覚悟が決まったんだ」

友人「え」

男「10万スッても0になるだけ。そんな生半可な覚悟で、大金を稼ごうってのが間違いだったんだ」

友人「なにいってんの?」

男「俺は……命を賭ける!」
36:2020/07/07(火) 20:27:22.641 ID:GVWzTUS800707.net
男「ってわけだ。闇金さん、俺の内臓全部担保にするぜ!」

黒服「気に入った!」

黒服「あんたの熱意に負けて、1000万貸してやろう!」

男「ありがとう!」

男(なんだろう、しくじったら死ぬってのに……)

男(テンション上がってきた!)

男(これだ! 俺はこのスリルを求めていたんだ!)
40:2020/07/07(火) 20:30:05.825 ID:GVWzTUS800707.net
男(さて、真面目に金を稼ぐ方法を考えるか)

男(ギャンブルは論外だな。俺には才能ないって分かった)

男(株やFXも、ろくに知識もない俺じゃどうしようもないだろう)

男(今ならユーチューバーってのもアリかもしれないが、内臓を担保にしてる奴の動画を見る奴がいるとは思えない)

男(となると……起業か!)

男(現代のニーズを読み切り、新しいビジネスで大儲け! これしかない!)
42:2020/07/07(火) 20:30:46.221 ID:uASsjvJs00707.net
全臓器担保にして1000万とか舐められてるやん
45:2020/07/07(火) 20:33:01.626 ID:GVWzTUS800707.net
男「おーい」

友人「おう」

男「今度起業しようと思うんだけど、このアイディアどうかなって思って」

友人「どれどれ……」

友人「……」

友人「悪くないな……。時代の流れに乗ってるし……」

友人「いや、悪くないどころか……かなりいいぞ! これ!」

男「ホントか!」
50:2020/07/07(火) 20:36:28.020 ID:GVWzTUS800707.net
友人「あのさ!」

男「ん?」

友人「俺も今、普通に働いてるけど、どうにも退屈で仕方ないんだ」

友人「だから、俺もお前と夢見させてくれないか!」

男「もちろんいいぜ!」

ガシィッ!
55:2020/07/07(火) 20:39:38.114 ID:GVWzTUS800707.net
友人「おーい、融資受けれることになったぞ!」

男「本当か!」



ワイワイ…

男「応募したらこんなに集まってくれるとは……」

友人「それだけお前のプランが現実味があるってこった」



男「製品の量産体制が整った!」

友人「よーし、バリバリ売りまくろうぜ!」
62:2020/07/07(火) 20:42:43.940 ID:GVWzTUS800707.net
男「闇金さん、1000万円です」

黒服「……」

男「まだここから、利子を片付けなきゃいけませんが……」

黒服「いや、利子はいいよ」

男「えっ……」

黒服「その代わり、あんたの会社に俺を入れてくれねえか」

黒服「こう見えて、経理の腕は抜群だぜ」ニヤッ

男「ありがとう!」
68:2020/07/07(火) 20:45:47.149 ID:GVWzTUS800707.net
ビジネスは当たり、会社は急速に成長していくが――

男「いいか、みんな!」

男「業績は伸びているが、決して油断してはならない! 初心を忘れてはならない!」

男「堅実な経営で、着実に成長していこう!」

オーッ!!!



友人「とても競馬で全財産スッたことある奴の台詞とは思えん……」

黒服「それどころか内臓担保にしたこともあるしな」
71:2020/07/07(火) 20:48:20.035 ID:GVWzTUS800707.net
ある日――

男「よいしょ、よいしょ」ガラガラ…

秘書「あら、社長。大量のトランクを運んでどちらへ?」

男「大切な用があるんだ」

男「悪いが、午後からの予定は全てキャンセルしてくれ」

秘書「かしこまりました」
76:2020/07/07(火) 20:51:14.618 ID:GVWzTUS800707.net
女店員「いらっしゃいませ」

男「やぁ、お久しぶり」

女店員「ずいぶんと顔つきが変わりましたね」

男「おかげさまでね。さて……レジ袋をくれないか」

女店員「10億円です」

男「ちゃんと……用意してあるよ」

ドン!
80:2020/07/07(火) 20:54:24.884 ID:GVWzTUS800707.net
女店員「驚きはしません」

女店員「あなたなら……できると思ってましたから」

男「やはりな……」

男「君は私がくすぶらせてた、スリルを求める心や追い詰められてこそ光る商才を見抜いていた」

男「だから、あんな無茶をいったんだね」

女店員「その通りです」

男「私はまんまと君の挑発に乗り、こうして成功してしまったわけか」
81:2020/07/07(火) 20:55:45.707 ID:WV9lgB2nr0707.net
男の貫禄がヤバイ
82:2020/07/07(火) 20:57:18.245 ID:GVWzTUS800707.net
女店員「あの時は無礼を申しました」

男「かまわないさ」

女店員「それではレジ袋をお持ち下さい。それと10億円は結構です。レジに入りませんし」

男「いや……今や私もレジ袋は不要だ。それよりももっと欲しいものがある」

女店員「なんでしょう」

男「君が欲しい」

女店員「!」
84:2020/07/07(火) 21:00:22.429 ID:GVWzTUS800707.net
男「君は私の本質を見抜き、ここまで導いてくれた」

男「私がビジネスで成功できたのも、君とのやり取りがあったからだ」

男「私はかつて、買い物に使う袋など、使い捨てに過ぎないと考えていた」

男「いや、きっと……世の中のさまざまなものに対してそう思って生きてきたんだろう」

男「だから、私は自分自身すら使い捨て、何かに本気になるということができなかった」

男「だが、今は違う!」
86:2020/07/07(火) 21:03:28.072 ID:GVWzTUS800707.net
男「一生大切にしたい仲間や……部下が出来た!」

男「そのことに気づかせてくれた君が欲しい!」

男「今の私なら……君を一生大切にできる!」

女店員「……!」

男「結婚しよう」

女店員「喜んで」



ワァァァァァ… パチパチパチパチパチ… ヒューヒューピーピー…
87:2020/07/07(火) 21:05:09.115 ID:GVWzTUS800707.net
翌日のスポーツ新聞は、次の記事が一面を飾った。



『超画期的エコバッグを生み出した若社長、超電撃結婚!!!』







おわり
88:2020/07/07(火) 21:05:29.044 ID:kfROJGQW00707.net
勢いは良かった乙
92:2020/07/07(火) 21:07:23.308 ID:WV9lgB2nr0707.net

エコバッグで儲けたのか
97:2020/07/07(火) 21:23:28.181 ID:3jWdhz9F00707.net
おつおつ
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1594119619