1: 2012/02/23(木) 22:29:58.27 ID:jrWi41vc0
杏子「おおっ! 炊きたてでつやつやしてやがる……!」

杏子「くう~~っ! 湯気の匂いすらほんのり甘いじゃねーか!」

杏子「も、もう我慢できな……はっ……はっ」


杏子「っくしょい!」

杏子「……」ズビッ

杏子「なんだ……夢かよ……」

2: 2012/02/23(木) 22:34:54.27 ID:jrWi41vc0
杏子「うー寒っ、そういや公園で野宿したんだっけ」

杏子「あ痛たたた、背中痛え……この前さやかんちに泊まってフカフカの布団で寝たからかなあ、慣れてるはずなのに」

杏子「ん……げ、ヨダレで顎がパリパリじゃねーか! 顔洗わねーと」


ザーッ バシャバシャバシャ


杏子「ふいーっ、目が覚めた」

杏子「う……」グーッ キュルルルル…

杏子「あんな夢見たもんだから腹減っちまったな……いや、腹減ってるからあんな夢見るのか」

8: 2012/02/23(木) 22:39:57.57 ID:jrWi41vc0
杏子「朝飯朝飯、何残ってたかなあ」ガサゴソ

杏子「げっ……うんまい棒一本しか残ってねえ」

杏子「まあ仕方ない、あるだけマシか。いただきまーす」サクサク

杏子「うんまい! チーズ味!」

杏子「うんまい棒はうんまいからうんまい棒なんだよなー」サクサク

杏子「……」グギュルルルルル…

杏子「やべ、中途半端に食ったら余計に腹減ってきたぞ……」

9: 2012/02/23(木) 22:43:59.86
あんこちゃん貧乏飯ネタは夢が無限に広がる

10: 2012/02/23(木) 22:44:47.60 ID:jrWi41vc0
ほむら「それで、どうして私の家なの」

杏子「仕方ねーじゃんか、さやかんちは昨日の今日だし。それに、まどかやさやかんちだと親御さんがいるから気が引けるんだよ」

ほむら「巴マミの家に行けばいいじゃない……大歓迎されるだろうし、きっと食べるものにも困らないわよ」

杏子「あいつんち行くとやたら世話焼いてくるから苦手なんだよ……」

杏子「それにマミはパン派だし」

ほむら「?」

ほむら「まあいいわ……仕方ない、私の朝食を分けてあげるから待ってなさい」

杏子「やりぃっ、そうこなくっちゃ!」ワクワク

13: 2012/02/23(木) 22:49:32.60 ID:jrWi41vc0
ほむら「はい、召し上がれ」

杏子「……」

ほむら「どうしたのよ」

杏子「何だよこれ……」

ほむら「見ての通り、カ口リーメイトよ」

杏子「何でだよ! 朝飯じゃねーのかよ!」

ほむら「立派な朝食じゃない……フルーツ味は嫌いだったかしら? チーズ味の方がよかった?」

杏子「あ、いや、チーズはもういい」

14: 2012/02/23(木) 22:53:35.50 ID:jrWi41vc0
杏子「じゃなくって! そんな朝飯じゃ力出ねーじゃねーかよ!」

ほむら「大塚製薬を甘く見ない方がいいわ。バランス食品なのよ。私は毎朝これだし」

杏子「違う! あたしが求めてすのはこれじゃねえ!」

杏子「あたしはほっかほかのご飯が食いたいんだよー!」ジタバタ

ほむら「そんなこと言われても……お米なんて買ってないわよ」

杏子「えっ」

杏子「……」シューン…

18: 2012/02/23(木) 22:59:19.84 ID:jrWi41vc0
ほむら「そこまで落ち込むことないじゃない……」

杏子「しばらくそっとしといてくれ……今あたしのハートは粉みじんなんだ……」


ピンポーン ゴメンクダサーイ


ほむら「あら……?」


ピンポーン ピンポーン ゴメンクダサイマシー


ほむら「誰かしら、こんな朝早くから……今日は来客が多いわね」

19: 2012/02/23(木) 23:04:57.02 ID:jrWi41vc0
ガチャ

仁美「ああよかった、おはようございますー」

ほむら「志筑仁美? あなた、私の家の住所知ってたかしら?」

仁美「まどかさんに教えていただきましたの。今日はちょっとおすそ分けに」

ほむら「あら……お米じゃない」


<コ、コメダッテー!!? ドタドタドタ


杏子「お……」

杏子「おおおっ! 本当に米じゃねーか!」

21: 2012/02/23(木) 23:09:33.67 ID:jrWi41vc0
まどか『あ、仁美ちゃんおはよー』

仁美『おはようございます。この間お話した通り、うちのグループの田んぼで新米がとれましたのでおすそ分けに参りました』

まどか『うわあ! ありがとう、パパも喜ぶよ!』

まどか『ねえ、仁美ちゃん……もし。もし迷惑じゃなかったらなんだけどね?』

まどか『ほむらちゃんにも新米、分けてあげてくれないかな?』

仁美『暁美さんですか?』

まどか『うん。ほむらちゃん、家庭の事情で一人暮らししてるんだけど、ちゃんと食べてるか不安で……ほっとくとカ口リーメイトばっかり食べてるから』

仁美『なるほど……ええ、構いませんよ。たくさんありますし』

まどか『本当? ありがとう! えっと、住所はね……』


仁美「……というわけですの」

ほむら「カ口リーメイトは優秀な食品なのに……」

23: 2012/02/23(木) 23:14:23.40 ID:jrWi41vc0
杏子「まぶしい……どこの誰かは知らないが、あたしにはあんたが神様か仏様に見えるぜ……!」

仁美「あの……さっきから気になってたんですが、そちらの方はどちら様ですか?」

ほむら「……」

ほむら「近所に住んでるホームレスの子よ」

杏子「ちょっ……オイ!」

ほむら「嘘は言っていないつもりだけど」

杏子「言い方ってもんがあるだろーが!」

24: 2012/02/23(木) 23:17:31.87 ID:jrWi41vc0
ほむら「……この子は佐倉杏子。えーと、親戚の子なの」

ほむら「まどかやさやかとも仲がいいのよ」

仁美「まあ、そうでしたか」

仁美「志筑仁美と申します。暁美さんたちとは一緒のクラスですの。よろしくお願いしますね」

杏子「おう! それよりあんた、早く上がってってくれよ! 狭いことだけどさ」

ほむら「誰の家だと思ってるのよ……」

25: 2012/02/23(木) 23:21:14.68 ID:jrWi41vc0
杏子「こ、これが新米……すげえ、炊いてないのにつやつや透き通ってやがる……!」

仁美「杏子さんはお米が好きですの?」

杏子「大好きだ! ほむら、早く炊こう! すぐに炊こうぜ!」

ほむら「ああもう、勝手に開けて……わかったわよ」

ほむら「それにしても志筑仁美……あなた一人で持ってきたの?」

仁美「ええ、お友達の家を訪ねるんですもの。せっかくですから」

ほむら「……意外と体力あるのね」

26: 2012/02/23(木) 23:26:00.19 ID:jrWi41vc0
ほむら「炊飯器を使うのも久しぶりね……」ザザーッ

仁美「新米は水分が多いですから、お水は少なめでいいんですよ」

仁美「本当は炊く前に少し水につけておくといいんですけど……」

杏子「……」ワクワク

仁美「杏子さんは待ち切れなさそうですね」クスッ

28: 2012/02/23(木) 23:31:17.09 ID:jrWi41vc0
炊飯器「……」

杏子「……」ジー

ほむら「べったり張り付いちゃって……」

仁美「本当にお米が好きなんですね。持ってきた甲斐がありましたわ」

炊飯器「……」シュウウ…

杏子「おおっ……甘い匂いがする……」クンクン

30: 2012/02/23(木) 23:37:57.13 ID:jrWi41vc0
ピーッ

杏子「鳴った! ほむら、炊けたぞ!」

ほむら「はいはい、少し落ち着きなさい」カパッ


フワア…


杏子「お」

杏子「おおおおおっ! つやっつや! ほっかほかのご飯だあ……!」

ほむら「しゃもじで軽く掘り返して、と」

杏子「うおお、この湯気だけでメシが食える……あ、これがメシだっけ」

32: 2012/02/23(木) 23:42:52.38 ID:jrWi41vc0
ほむら「お茶碗に軽く一盛り、と」

杏子「うっはあ……」

杏子「ほ、ほむら。食っていい? 食っていいか?」

ほむら「まだ何の準備もしてないけれど……そのままでいいなら、はい」


杏子「おおお……」

杏子「いただきまーす!」パクッ

杏子「んむ、ほふっ」ハフホフ

杏子「くおおおっ! 米一粒一粒がしっかりしてて、甘くって……! 幸せ~~っ!」ジーン…

34: 2012/02/23(木) 23:45:54.73 ID:jrWi41vc0
ほむら「えーと、何かおかずになりそうなものあったかしら……」ゴソゴソ

杏子「……」ハフハフ カカカッ

杏子「おかわり!」

仁美「食欲旺盛ですわね、見ていて気持ちがいいですわ」

ほむら「放っておくと一人でジャーを空にしかねない勢いね……」

ほむら「とりあえず漬け物と、缶詰めがいくつか出てきたわ」ゴトッ

36: 2012/02/23(木) 23:50:55.87 ID:jrWi41vc0
仁美「白菜の浅漬けですね」

杏子「米は食わないのになんで漬け物があるんだ?」

ほむら「お茶に合うのよ」

杏子「……変なところで渋い趣味してるな」

杏子「まあそれはいいとして、ご飯の上に白菜を乗せて……」

杏子「よーし、巻いて食っちまうぞ……!」ハムッ ザクッ

杏子「……!」

杏子「くあっ、塩気がきいて……! さっすが漬け物、ご飯との相性抜群だぜ!」

仁美「本当に美味しそうに食べてくれますのね」

ほむら「私たちも食べましょうか……はい、志筑仁美」

39: 2012/02/23(木) 23:56:19.92 ID:jrWi41vc0
杏子「この缶詰めは……イワシの蒲焼きか!」

ほむら「好きに開けていいわよ」

杏子「よ、よーし」ペコッ カパッ

杏子「おお……甘辛のタレがご飯に染みる……!」

杏子「……」ハグ…

杏子「んん~~っ、ご飯の熱でイワシもあったまって……たまんねえ!」

43: 2012/02/24(金) 00:01:54.74 ID:hYUTLgWb0
ほむら「あとはツナ缶ね」

杏子「ん……ツナかあ」

ほむら「あら、どうしたの?」

杏子「うーん……ツナってあんまりご飯に合わなくないか?」

ほむら「ツナマヨのおにぎりだってあるわよ……まあ、私もおかずにはしないわね」

仁美「それでしたら、私が少し手を加えましょうか?」

仁美「暁美さん、キッチンお借りしますね」スッ

45: 2012/02/24(金) 00:05:43.35
こんな時間に見るんじゃなかった…腹減ってきたあああ

46: 2012/02/24(金) 00:06:30.47 ID:hYUTLgWb0
仁美「ツナ缶の油はよく切って」

仁美「フライパンでくっつかないように炒めます」ジジジ…

仁美「醤油を鍋肌に回しいれて焦がし、手早く全体に」ジュジューッ ザッザッ

仁美「はい、どうぞ召し上がれ」

杏子「んー? これだけでそんなに変わるのか?」パク

杏子「お……おおっ! あっさりしてて焦がし香ばしくって……こ、こいつはご飯が欲しくなる味だっ!」ガバッ ガツガツ

ほむら「あら本当……志筑仁美、意外と庶民的なこともするのね」

仁美「ええと……褒められてるんでしょうか? でしたら、そこは家庭的の方でお願いしたいのですけど」

49: 2012/02/24(金) 00:14:25.30 ID:hYUTLgWb0
杏子「ふはーっ、だいぶ落ち着いてきたな!」

ほむら「3合炊いたのにもう半分もないわよ……これで落ち着いたって、まだ食べるつもりでいるの?」

杏子「おいおい、これからじゃねーか!」

杏子「それにしても、これだけ美味いご飯なんだ……もっと米に合うもの色々用意して食いてーな!」

仁美「あら、面白そうですわね」

杏子「よっしゃ! ほむら、今のうちにもう一回炊いておこう! 今度はちゃんと水につけるとこからやるぞ!」

仁美「ジャーの残りは一旦移しておかないといけませんね」

ほむら「家主の私に決定権は……はあ、わかったわよ。もう」

53: 2012/02/24(金) 00:20:18.49 ID:hYUTLgWb0
杏子「ただいまっと」

ほむら「買い込んだわね……」

仁美「もうお昼ですね。セットして出かけた分も炊けたみたいですわ」

杏子「よーし、並べてくぞ」

杏子「納豆に卵、なめたけ……」トンッ ドサッ ガサッ

ほむら「本当に生き生きしてるわね……朝からずっとそのテンションなんだから感心するわ」

56: 2012/02/24(金) 00:27:07.84 ID:hYUTLgWb0
杏子「まずは王道、納豆だな!」ペリペリ

仁美「あら、じゃあネギ刻んできますわね」

杏子「カラシのたっぷり入れて、醤油入れて」

杏子「そらっ粘れ! どんどん糸引けえっ」クルクル ネバネバ

仁美「はい、ネギどうぞ」スッ

杏子「さんきゅーっ! ネギもたっぷりに限るぜ……!」

杏子「そしてご飯にかけて一気に……食うべし! 食うべし!」カカカカッ ガツガツ

杏子「くう~~っ! この国に生まれてよかったあ!」


仁美「暁美さん、どうしましたの?」

ほむら「その、私……納豆だけはどうにも」

杏子「えー、美味いのに……」

59: 2012/02/24(金) 00:33:06.80 ID:hYUTLgWb0
ほむら「私はそれよりもこれにするわ」コトッ

仁美「そ、それは……!」

杏子「リンゴ屋の『ごはんですわ』……! 海苔の佃煮じゃねーか!」

ほむら「そうね……納豆を王道とするなら、こちらは覇道といったところかしら」フフン

仁美(暁美さんも意外とノリがよろしいですわね……)

ほむら「たっぷりご飯の上に乗せて……」ハムッ

ほむら「うーん……さすが。いいものね」ハフゥ…

杏子「ぐぬぬ……」

63: 2012/02/24(金) 00:38:50.91 ID:hYUTLgWb0
仁美「この『なめたけ』というのも美味しいですわね、甘辛くってキノコがシャキシャキして」

ほむら「確かに捨てがたい味ね……」

杏子「くっ……ほむらも仁美もなかなかやるじゃねーか」

杏子「よーし、それならここで最終兵器のお出ましだ!」コンッ

ほむら「た、卵……! 佐倉杏子、あれをやるつもりなのね……!」

仁美(暁美さんもすっかりテンション上がってますわね)クスッ

67: 2012/02/24(金) 00:43:09.84 ID:hYUTLgWb0
杏子「ほかほかご飯の真ん中に穴を開けて」グリグリ

杏子「真ん中目がけて卵をカパッ!」

杏子「醤油を一垂らしして」

杏子「混ぜて……そして、食うっ!」ズズッ ズルッ モグッ

杏子「ああ~~っ! 卵がふわっふわ! これこそ最終兵器だぜ……!」


ほむら「私は一度器にあけて、しっかり黄身を白身をしっかり混ぜるわね」カチャカチャ

仁美「醤油の代わりにめんつゆを使ったり、ネギを散らすのもなかなかですよ」モグモグ

71: 2012/02/24(金) 00:48:47.90 ID:hYUTLgWb0
杏子「ふひーっ、やっぱり米は最高だあ……」

ほむら「う……いつの間にこんなに食べたのかしら。認めざるをえないわね……」

杏子「ん? 仁美はさっきからなにやってんだ?」

仁美「ふふ、少し趣向を変えてみようかと」ギュッギュッ

仁美「はい、どうぞ」コトッ

杏ほむ「し、塩むすび……っ!」

72: 2012/02/24(金) 00:54:16.32 ID:hYUTLgWb0
アムッ ホクッ

杏子「うお……塩使って握っただけなのに、なんでこんなに美味くなるんだよ……!?」

ほむら「口に入れるとサッとほぐれる……絶妙な握り具合ね」

杏子「仁美……これからあんたをおにぎりマスターと呼ばせてもらうぜ!」

仁美「あら、照れますわね……お口にあってよかったですわ」

77: 2012/02/24(金) 01:00:07.08 ID:hYUTLgWb0
ほむら「……結局、あれだけ炊いたご飯を全部食べ尽くしてしまったわ」

仁美「お腹がぽんぽんですわぁ」

杏子「ああ、なんて幸せなんだ……あたし、今なら米に溺れて死んでもいい……」

杏子「……」

杏子「いや、まだだ!」ガバッ

ほむら「な、何よいきなり」

杏子「一人ぼっちは寂しい……一人より二人、二人より三人だ」

杏子「あたしたちだけ味わってるのもったいない! まどかもさやかもマミも呼ぶんだ!」

杏子「ご飯パーティーだー!」

仁美「あら……素敵な響きですわね」

ほむら「あなたたち、まさか夕食まで……拒否権はないのね。ええ、わかってるわよ、もう」ハア

79: 2012/02/24(金) 01:05:08.36 ID:hYUTLgWb0
ピンポーン

ほむら「はいはい」ガチャ

まどか「ほむらちゃん、こんばんは!」

さやか「なかなか面白いことしてるらしいじゃない……それにしても杏子と仁美なんて珍しい組み合わせだね」

マミ「みんなで夕食パーティーだなんて……今日は最高の日だわ……!」


仁美「みなさん、いらっしゃいませ」

杏子「みんな、約束のものは持ってきたんだろうな……!?」

80: 2012/02/24(金) 01:05:40.09
こんな時間に腹へって仕方ないぞ
どうしてくれる

81: 2012/02/24(金) 01:12:09.96 ID:hYUTLgWb0
まどか「うん、ご飯に合うものを何かひとつだったよね」

まどか「私からはこれ!」カパッ

杏子「な、何ぃ……っ!?」

仁美「あら、豚の角煮じゃありませんか」

まどか「うん、パパ特製の角煮だよ!」

さやか「ああ、まどかんちの料理は美味しいんだよねー。角煮も一回分けてもらったけど、箸で簡単に切れるくらい柔らかくって……」ジュルリ

82: 2012/02/24(金) 01:18:00.91 ID:hYUTLgWb0
さやか「さて、まどか和食で攻めてくるなら……さやかちゃんはこれですよ!」パカッ

杏子「このスパイシーな香りは……!」

ほむら「麻婆豆腐……! ご飯に合うおかずとしては、中華は強烈だわ……!」

さやか「美樹家特製の甘辛~いマーボーですよっ!」

さやか「正直他ではまどかんちに勝てる気がしないけど、中華は自信あるんだよねー」

まどか「うん、さやかちゃんの家の中華はすごいよ! パパも絶賛してたもん!」

仁美「これは期待が膨らみますわね」

83: 2012/02/24(金) 01:22:29.78 ID:hYUTLgWb0
杏子「いやー、どっちから食おうかな……目移りしちゃうな」

ほむら「私はやっぱりまどかの家の角煮からいただこうかしら」

まどか「はいどうそ! カラシはたっぷりつけるのが鹿目流だよ!」

仁美「私はさやかさんの麻婆豆腐が気になりますわね」

さやか「ほほう、仁美はなかなかお目が高いね……よろしい、がっつりいっちゃいなさい!」


マミ「ちょっとちょっとちょっと! 誰か忘れてない!? 忘れてませんか!?」

89: 2012/02/24(金) 01:27:43.48 ID:hYUTLgWb0
ほむら「いやね巴マミ、ちょっとした冗談よ」

仁美「すみません巴先輩、みなさんあまりに息が合っていたもので」

マミ「ほとんど初対面の志筑さんまでひどいわ……」

杏子「つーかマミ……米に合う料理なんかできたのか?」

マミ「失礼ね! 料理の腕にはそれなりに自信があるわよ!」

さやか「マミさんは何作ってきたんですか?」

マミ「ふふ……ご飯といったらこれ! 巴マミ特製カレーよ!」

94: 2012/02/24(金) 01:32:16.42 ID:hYUTLgWb0
杏子「ああ、うん」

ほむら「カレーねえ……なるほど」

マミ「ちょっと! 何なのよ、その「やっぱりな」みたいな反応は!?」

ほむら「それはまあ、なんというか」

杏子「イメージカラー的に、なあ」

マミ「何年前の話よ! 今の黄色はピンクと並んで女性ポジションなんですー!」

99: 2012/02/24(金) 01:37:59.27 ID:hYUTLgWb0
まどか「いいじゃない、カレー。私好きだよ?」

杏子「まあな……でもこんなツヤツヤのご飯にカレーって、ちょっともったいないくらいだ」

ほむら「そうね。カレーには固めのご飯が合うって言われてるわね」

仁美「お二人とも、本当にその辺りで……」


マミ「二人とも言いたい放題言ってくれちゃって……いいわ」

マミ「これを見ても、まだそんなことが言えるかしら!?」カパッ

102: 2012/02/24(金) 01:41:40.97 ID:hYUTLgWb0
杏子「なっ……!?」

ほむら「これは……!?」

マミ「驚いたかしら……新米に水分が多いことくらい百も承知!」

マミ「これが巴マミ特製、キーマ風ドライカレーよ!」

仁美「うーん……スパイシーな香りが食欲をそそりますわ」

さやか「すごいなー。和食、中華、カレーと綺麗に分かれたね」

まどか「ほら二人とも、冷めないうちに始めようよ」

杏子「ああ、そうだな……せーの!」


「「「「「「いただきまーす!!!」」」」」」

107: 2012/02/24(金) 01:46:43.36 ID:hYUTLgWb0
杏子「おおう……熱々のご飯の上でプルプルの角煮がとろけて……!」

ほむら「処理がしっかりしてるんでしょうね……これだけの脂なのに後味がすっきりしてるわ」ハムハム


仁美「んんっ……ピリ辛でご飯が進みますわ! でも後味は甘い……」

さやか「えっと、豆板醤だけじゃなくてテンメンジャン? も使ってるからって言ってたかなあ」


まどか「マミさんのカレー、なんだか優しい味ですね。ほんのり甘くって」

マミ「ふふ、タマネギをペースト状になるまで炒めてベースにしてあるからね。昔、お母さんが作ってくれたっけ……」

113: 2012/02/24(金) 01:55:19.49 ID:hYUTLgWb0
杏子「いやー幸せ……って、もうご飯がねえじゃねーか!」

ほむら「あら……」

杏子「だいたい6人で3合ってのが無理があったんだ! こうしちゃいられない、すぐに炊くぞ!」

仁美「はいはい、準備しますわね」


さやか「じゃあおかず摘みながら、ゲームでもして待ってようか」

マミ「みんなでゲーム……いいわね!」

まどか「あ、wiiがある。4人対戦できるね……じゃあ負けた人は交代ね!」

119: 2012/02/24(金) 02:01:22.14 ID:hYUTLgWb0
仁美「今日は本当に楽しかったですわ」

まどか「仁美ちゃん、帰っちゃうの?」

仁美「ええ。朝からここにいますし、両親が心配しますので」

マミ「楽しい時間はすぐ過ぎるわね……あら、そういえば暁美さんと佐倉さんは?」

まどか「あれ? そういえばどこいったんだろ……あ、さやかちゃん?」


さやか「しーっ」

121: 2012/02/24(金) 02:06:46.99 ID:hYUTLgWb0
杏子「むにゃ……」クカー…

ほむら「……」スー…スー…


マミ「あら……」

仁美「二人とも朝から動きっぱなしでしたものね」

まどか「起こしちゃうのも悪いし、今日はこの辺りで解散にしよっか」

さやか「そうだね……それにしても仲のいい。羨ましいですなー」

仁美「そうですわ、帰る前に……」


杏子「むにゃ……みんなでごはん……おいしいもんなー……」ムニャ…クゥ…

122: 2012/02/24(金) 02:12:06.51 ID:hYUTLgWb0
ほむら「ん……」

ほむら「ふあ……あら、もう朝……? いつの間にか寝ちゃったのね」

杏子「んにゃむにゃむ……」スピー…

ほむら「……」

ほむら「カーペットにたっぷりヨダレ垂らして……この子は……」

ほむら「……」ゴソゴソ カチッ コトッ


目覚まし時計「……」

杏子「んむー……」スヤスヤ

カチッ ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!

杏子「うおあっ!? 何だ何だ!?」ガバッ

125: 2012/02/24(金) 02:17:02.64 ID:hYUTLgWb0
杏子「ひどい起こし方するなあ……ったく」

ほむら「あなたの寝方に比べれば百倍マシよ……ヨダレで顎はカピカピだし、髪もボサボサじゃない」

杏子「そういうほむらもかなり跳ねてるぞ」

ほむら「いいのよ、今日も休日だし……お風呂沸かしてあげるから、その顔どうにかしなさい」

杏子「んー……」

杏子「それじゃお湯も時間ももったいねーよ。一緒入ろうぜ」

ほむら「……」

127: 2012/02/24(金) 02:22:25.83 ID:hYUTLgWb0
カポーン


ほむら「断りきれなかった……」

杏子「……」ガシガシガシ ジャバーッ

杏子「ふいーっ、さっぱりしたー!」

ほむら「ちょっと……何よ、そのいい加減な髪の洗い方は」

杏子「ん? いつもこんなもんだけど」

ほむら「まったく、それだけ伸ばしておきながら……ちょっとそこに座ってなさい」ザバー

128: 2012/02/24(金) 02:27:48.78 ID:hYUTLgWb0
ワシャワシャワシャ

杏子「うおお……気持ちいいな、これ……」

ほむら「本当に……ただシャンプーつけてかき回せばいいってものじゃないのよ?」

ほむら「これだけ長いんだから部分ごとに揉むようにして洗わないと……トリートメントもしおてないでしょう。ゴワゴワじゃないの」

杏子「そりゃまあ、野宿の時はシャンプーも使えなかったりするしなー……」

ほむら「まったく世話の焼ける……この分だと背中も上手く洗えてないわね。流してあげるからじっとしてなさい」

杏子「あーい……」

131: 2012/02/24(金) 02:31:17.30 ID:hYUTLgWb0
ブオーーーッ

杏子「あー……ドライヤーって気持ちいいのな……」

ほむら「ふう……はい、おしまい。少しくらいは自分の体にも気を使いなさい」

杏子「おお……あたしの髪ってこんなサラサラになるんだ……」

杏子「……」

杏子「美樹さやか、あなたは実に愚かね」ファサア

ほむら「……」イラッ

134: 2012/02/24(金) 02:36:35.89 ID:hYUTLgWb0
杏子「殴るこたないじゃんかー!」

ほむら「昨日からの図々しさを少し振り返りなさい……あら?」

杏子「ひでーなあ……ん? なんだよ、どうした?」

ほむら「これ……」

杏子「あ……塩むすび。こんなにたくさん……」


『今日は素敵な一日でした。余ったご飯で作りましたので、お夜食にでも召し上がってください。

                                                     仁美』

139: 2012/02/24(金) 02:42:20.28 ID:hYUTLgWb0
ほむら「志筑仁美……」

杏子「くうう……あいつ、本当に神様なんじゃなかろうか……!」

ほむら「そこまでは大袈裟だと思うけど……今度会ったらしっかりお礼を言わないといけないわね」

杏子「うん……よし、朝飯だ! 食うぞ!」

ほむら「昨日の今日で飽きもせず……まあ、私も早くもお腹が空いてるけれど」

杏子「いただきまーす!」アムッ

141: 2012/02/24(金) 02:46:44.97 ID:hYUTLgWb0
杏子「……」ムグ…

ほむら「ん、これは……」

杏子「表面が乾いちまって、かなり固くなってる……」

杏子「せっかくの美味い仁美のおにぎりだったのに……悪いことしちまったな」モグ…

ほむら「……」

ほむら「私に考えがあるわ」パア

143: 2012/02/24(金) 02:50:30.48 ID:hYUTLgWb0
杏子「わっ、なんだよ急に変身して」

ほむら「ええと、確か盾の中のこの辺りに……」ガサゴソ

ほむら「あったわ」サッ

杏子「何だそりゃ……網?」

ほむら「ええ。固くなったおにぎり、そして手元には網。その意味するところは?」

杏子「ん……ああっ! まさか!」

ほむら「そう……焼きおにぎりよ」

145: 2012/02/24(金) 02:54:36.98 ID:hYUTLgWb0
ほむら「くっつかないように網によく油を塗って」ヌリヌリ

ほむら「コンロの上に設置したらおにぎりを置いていきましょう」

ほむら「……そろそろいいかしら?」ジジジ…

ほむら「ひっくり返して」ヒョイ

杏子「おおっ! 焦げ目が……パリパリしてそうだな……!」

ほむら「刷毛で醤油を塗っていくわよ。普通の醤油に、砂糖入りの甘辛、塩だけのものも作りましょう」ジューッ

杏子「うひいいっ、この匂いは殺人級だろおっ!」

149: 2012/02/24(金) 03:00:40.39 ID:hYUTLgWb0
ほむら「出来上がりね……」

杏子「……」ゴクッ

ほむら「熱々だから気をつけて……箸で割ってみましょうか」


ザクッ パリッ… ホワアッ


杏子「すげえ……湯気が閉じ込められてたみたいに、一気に……!」

ほむら「さあ、冷めないうちに食べましょう……!」

152: 2012/02/24(金) 03:04:20.70 ID:hYUTLgWb0
パリッ!! サクッ!!

杏子「あふっ、んむっ」ハフホフ

杏子「おおう……! 香ばしくってパリパリのおこげに、ホクホクの中身……!」

ほむら「甘辛醤油は焦げやすくて難しいけど、なかなか合うわね」

杏子「んんっ、塩もいいな! その分中身の甘さがわかるっていうか……!」

158: 2012/02/24(金) 03:09:13.37 ID:hYUTLgWb0
杏子「ふい……でも、なんつーかさ」

杏子「贅沢な話だけど、焼きおにぎりってあんまり量は食えないな。美味いんだけど、熱くて固くて食うのがたいへんっていうか……」

ほむら「ふふ……そうくると思っていたわ」

杏子「何……?」


ほむら「お茶碗に焼きおにぎりを入れて、昨日の白菜の浅漬けを刻んだものを乗せる」

ほむら「そして、これをかければ……!」トポポ…

杏子「昆布茶……だと……!?」

165: 2012/02/24(金) 03:14:27.68 ID:hYUTLgWb0
ほむら「焼きおにぎり茶漬けの出来上がりよ……!」

杏子「い、いただきます……」ズズ パリ シャク

杏子「あ……ああ……」

杏子「おこげが香ばしいのに食べやすくって、漬け物のパリパリと塩気がまた……」

杏子「しかも、ご飯と一緒にすする昆布茶って何でこんなに……!」

ほむら「ま、待ちなさい……私も自分の分を作るわ!」

ほむら「……」トポポ… ズズ シャク

ほむら「ふああ……」

167: 2012/02/24(金) 03:18:26.93 ID:hYUTLgWb0
ほむら「……ごちそうさま」

杏子「朝からなんつー幸せを噛み締めちまったんだ……」

ほむら「……もう大袈裟とは言わないわ、同感よ」

杏子「こんな幸せ、あたしたちだけで独占していいもんなのか……?」

ほむら「……」

ほむら「あなたの考えてることがわかってしまう自分が嫌だわ」

ほむら「……仕方ないわね」


ピンポーン ピンポーン


杏ほむ「……!」

171: 2012/02/24(金) 03:22:59.64 ID:hYUTLgWb0
ガチャ


まどか「えへ……ほむらちゃん、杏子ちゃんもおはよう!」

マミ「これでも全員別々に来たのよ? そこの角でばったり会っちゃって……」

さやか「んふふ、二人とも昨日はお楽しみでしたかなー?」

仁美「ふふ、つい足がこちらに向いてしまいまして」


ほむら「はあ、まったく……また新しくご飯を炊かないといけないわね」

杏子「まあまあ、仕方ないって。みんなで食うご飯は美味しいもんな!」


≪おしまい≫

172: 2012/02/24(金) 03:24:08.49
良かった
おつ

173: 2012/02/24(金) 03:24:39.38
最初から見てたけど楽しかった
さて飯炊くか・・・

174: 2012/02/24(金) 03:25:17.85

さけフレークしかないわ…

177: 2012/02/24(金) 03:25:52.45 ID:hYUTLgWb0
≪おまけ≫


QB「……」

QB「……僕には感情がないんだ。仲間外れにされたからって何も感じることはない」

QB「どれだけ美味しそうなものを僕のいない所で食べられたからって、羨ましいなんて思うはずがないのさ」

QB「……」グーキュルルルルップイ

QB「……羨ましくなんかないさ」

QB「……」


>タダイマー キュゥベエ、オミヤゲモッテカエッテキタワヨー

QB「本当かいっ!? 待ってたよ、マミ!」ダッ


≪おしまい≫

180: 2012/02/24(金) 03:29:37.17 ID:hYUTLgWb0
赤信号 みんなで渡れば もう何も恐くない


朝まであと3時間弱くらいでしょうか。いただきます。

仁美ちゃんはもっと活躍していいと思います。

ありがとうございました、おやすみなさいー

引用元: 杏子「ほっかほかご飯! どうやって食おうか」