1: 2019/04/05(金) 00:53:11.148 ID:FleRkUjn0
後輩「先輩、私先輩のことが好きです」

先輩「えっ……!?」

後輩「──って言ったらどうします?」

先輩「どっ、どうって……! べ、別にっ……どうもしないよ……?」

後輩「あらら。その慌てよう、聞くまでもないって感じですね。これじゃあクイズにならないじゃないですか」

先輩「急にそんなこと言われたら慌てるよ……。それにクイズって……」

後輩「楽しいですよね、クイズ。私、大好きなんです。好きなんですよ、先輩」

先輩「そ、そうなんだ……好きなんだね、クイズ……」

後輩「じゃあ先輩。単純で不甲斐ない先輩だとクイズにならないので、今度は逆にしましょうか」

先輩「うん? クイズを出せばいいの?」

後輩「いいえ、違います。答えるのは先輩ですよ。さっきと同じ問題のまま、立場を逆にするんです」

先輩「えっ、それって……」

後輩「問題です。先輩に告白された私は、一体なんて答えるでしょうか? はい、考えてください」

先輩「えっ、えっ」

3: 2019/04/05(金) 00:54:44.414 ID:FleRkUjn0
後輩「どうしました? あっ、さては今までも考えた末に答えが出せなかったんですね?」

先輩「そんなの考えたことないよ……!」

後輩「考えたことないんですか? こんなかわいい後輩といつも一緒にいるのに。私ってあんまり魅力ないんでしょうかね」

先輩「……」

後輩「なんですか、そのじっとりとした目は。ここは爽やかに『そんなことない。君は最高にかわいいよ』っていう場面ですよ」

先輩「そういうのが見え透いてるんだよ!」

後輩「あれ? 実は私も、先輩と同じで分かりやすかってりして。ふふ、先輩が鋭いっていう線はありません」

先輩「分かりづらいよ……。今も混乱しっぱなしだし……」

後輩「ほらほら、先輩。早く問題に答えないと。制限時間が近づいてますよ。あと10秒です」

先輩「制限時間!? け、けど答えなんて分からないよ……」

後輩「5、4、3……」

先輩「ちょっ、ちょっと待ってって……!」

4: 2019/04/05(金) 00:56:26.586 ID:FleRkUjn0
後輩「……はい、タイムアップです。はぁ~、無回答ですか。残念でしたね。私も残念です」

先輩「うっ……。だってこんなの……」

後輩「正解、知りたいですか?」

先輩「……っ」

後輩「私が先輩に告白されたら、私はなんて返事をするんでしょうか。気になりますか? 気になりますよね?」

先輩「それは……まあ……」

後輩「あれあれ? ハッキリしませんね? 実は大して興味なかったりします?」

先輩「き、気になるよ! 気になるけど……」

後輩「では正解の発表をしましょう」

先輩「……ごくっ」

後輩「じゃあまずは先輩、告白の方をお願いします」

先輩「ええっ……!?」

後輩「私はお返事をするんですから、告白のセリフがないとうまくできませんよ」

先輩「いや、でも……」

6: 2019/04/05(金) 00:58:21.679 ID:FleRkUjn0
後輩「気軽に言っちゃってください。ほらほら、どーんと」

先輩「……分かった」

後輩「……」

先輩「す、好きですっ! 付き合ってください!」

後輩「ふふふ、先輩らしい捻りのない告白ですね。直球なの、私好きですよ」

先輩「そ、それで……? 返事……は……?」

後輩「ハグしてくれたら付き合ってあげます」

先輩「えっ?」

後輩「今ならなんと、ハグをするだけで私とお付き合いができるんですよ」

先輩「えっ?」

後輩「制限時間はありませんが、先輩、この機会を逃す手はないんじゃないですか?」

先輩「……あとで冗談とか言わないでよ?」

後輩「言いませんって。信用ないですね。さぁさぁ、男らしく、こうガバッと」

先輩「……い、いくよ?」

ギュッ

後輩「ふふ、ドキドキしますね。これで晴れて恋人同士です。嬉しいですか? 私はとっても嬉しいです」

先輩「ほ、本当に付き合ってくれるの?」

後輩「好きですから。先輩のこと。さっきも言ったじゃないですか」

先輩「クイズだったんじゃ……? やっぱり分かりづらい……」

7: 2019/04/05(金) 01:00:15.994 ID:FleRkUjn0
後輩「さて、そろそろ帰りましょうか。いつまでもこうしてると、先輩が獣になってしまいますからね」

先輩「ならないよ! ……でも、うん、帰ろうか」

後輩「一緒に帰るなら手を繋ぎませんか? ……って言ったらどうします?」

先輩「クイズはもういいよ……」

後輩「じゃあ普通に繋ぎましょう」

ギュ

先輩「わっ……」

後輩「帰りながらハグの感想を聞かせてください。先輩のために磨いた身体ですから、きっと褒めてもらえると信じてます」

先輩「頭真っ白だったんだけど……」

後輩「しょうがないですね。ではもう一度しましょう」

ハグッ

先輩「なっ……!?」

後輩「これで安心ですね。あれ? 先輩?」

先輩「あわわわ……」

後輩「また頭が真っ白に~って言うつもりですか。まったくもう、先輩は欲しがりさんですね」

先輩「……好きなんだから仕方ないじゃんか」

後輩「ふふっ。今度こそ帰りましょうか。このままだと帰りたくなくなっちゃいますからね。……って言ったらどうしますか? ふふふ♪」



おしまい

引用元: 後輩「楽しいですよね、クイズ。私、大好きなんです。好きなんですよ、先輩」