1: 2012/03/17(土) 23:55:04.44
魔王「そういう雑事は側近が全てやってくれるはずだぞ」

兵士「しかし魔王様、最近外に出ていないのでは・・・部屋に閉じこもっていては健康にも悪いかと」

兵士「たまには外に出て体を動かしてみてはどうかと」

魔王「うるさい、お前は私の母親か!私は部屋でこうしているのが一番心地良いんだ」

兵士「しかし、勇者たちを殲滅した今、お力も鈍ってきたのではないかと」

兵士「体を動かした方がいいかと」

魔王「馬鹿が、魔王はそんなことはしない。ましてや世界の支配者となった私は」

兵士「・・・」ギロ

魔王「ヒィッ」ビクゥ

6: 2012/03/18(日) 00:04:44.96 ID:5xzS3c6H0
魔王「・・・今、私を睨んだだろう」

兵士「いえ、それでこちらが買うものをメモした紙とお金です」

魔王「おい!話を聞いていたのか!そういうことはお前たちで行けばいいではないか!」

兵士「しかし、このままでは魔王様の健康に触るかと、私は魔王様の体が心配で」

兵士「城の皆も心配しています、最近魔王様は元気がないと、勇者と戦っていた頃の魔王様にはもっと活気があったと」

魔王「私は元気だし、私が行く必要性を感じないな」

兵士「・・・チッ」

魔王「・・・!?」

7: 2012/03/18(日) 00:13:43.44 ID:5xzS3c6H0
魔王「とにかく私は今日はゆっくりしていたいんだ(気のせいか?舌打ちされたような・・・)」

兵士「とにかく行ってほしいんですけど」

魔王「断る、それと私と話す時はポケットに手を突っ込むな・・・行儀が・・・」

魔王「待て!兵士に支給されている鎧を何故来ていない!」

兵士「ん、ああ・・・えーっと」ポリポリ

魔王「私は私服勤務を許した覚えはないぞ!」

兵士「ああ、もうるっせーな!」

魔王「ヒ・・!な・・!なんだ!その態度は!」

10: 2012/03/18(日) 00:21:16.14 ID:5xzS3c6H0
兵士「とにかく、行くんですか?行かないんですか?」

魔王「行くわけないだろう!」

兵士「オラァ!」ドガシャア

魔王「あっ・・・ちょっと・・・」

兵士「行きますか?それとも魔王やめますか?」

魔王「そんなああああああああああ薬物防止のポスターみたいな・・・」

兵士「ほら、これもってとっとと行くんですよ!お釣りは好きにしていいですから」グイ

魔王「わ、分かった。首元をつかむな・・・お、怒るぞ?」

兵士「なるべく早くお願いします」

魔王「あ、ああ・・・」

12: 2012/03/18(日) 00:31:21.79 ID:5xzS3c6H0
魔王「気のせいか?最近兵士たちの勤務態度が悪い気がする」

魔王「以前はこんなんじゃなかった。勇者と戦ってた頃は・・・もっとこう・・・一致団結して」

魔王「おつかいって・・・今日の夕ご飯のおかずかな・・・」ペラ

魔王「缶詰とカップラーメンと・・・お茶か」

魔王「早く買って帰ろう、お釣りでお菓子も買えるしな・・・ふふ」

魔王「それにしても先程の兵士は何かあったのだろうか、嫌なことでもあったのだろうか」

14: 2012/03/18(日) 00:39:01.98 ID:5xzS3c6H0
店員「いらっしゃませー、あれ?」

魔王「すみませんこれ・・・」

店員「あっ!ははっww685円になりまーす」

魔王(なんで、今笑われたんだ?私は魔王だぞ・・・)

魔王「あれ・・・足りない。あ、じゃあお菓子は除いて・・・」

店員「530円になりまーす」

魔王「あれ・・・足りない」

店員「お客さんってもしかして魔王ですか?それならいいっすよwwあとで払ってもらえればwww」

魔王「どうもありがとう」

店員「お仕事がんばってくださいねww」

魔王(なんで笑ってるんだ)

15: 2012/03/18(日) 00:47:45.13 ID:5xzS3c6H0
魔王「買ってきたぞ」

兵士「お疲れ様です。どうですか?気分転換になったでしょう」

兵士「これからも今回のように外に出かけてみては?」

魔王「魔王にこんなことさせて・・・貴様どうなるか分かって」

兵士「あ?」

魔王「あっ・・・その、お金が足りなかったんですけど」

兵士「あー、すいません。適当に小銭入れたんで、もういいですよ下がってください」

魔王「はい・・・」

魔王「じゃ、じゃなくて!兵士にしては態度がでかすぎるんじゃないのか!」

魔王「魔王に対して無礼だろう!」

兵士「・・・」ドン

魔王「」ビクゥ

兵士「また頼みますよ」ニコォ

17: 2012/03/18(日) 00:54:36.82 ID:5xzS3c6H0
魔王「何かおかしい・・・魔王としての威厳がなくなってきているのか?」

魔王「魔王がおつかいを頼まれるなんてただ事ではないだろう」

魔王「街を歩けば全ての人間がその強大な力の前に委縮し、恐れ、慕う」

魔王「それが私のはずだ。それなのになんだあの店員の応対は」

魔王「ちょっとシュミレーションしてみよう」

18: 2012/03/18(日) 01:01:44.68 ID:5xzS3c6H0
店員「いらっしゃ・・・い・・・ま・・・」

魔王「ふん」

店員「あ、あ・・あ・・ま、魔王様ァ!?魔王様がご来店んんん!!」

[業務連絡、業務連絡。魔王様が来店しました!魔王様が来店しました!]

客「ひ、ひいいい!!」

魔王「この紙に書いてあるものを持ってこい。買ってやろう・・・む?」

店員「」ブクブク

魔王「はっはっは!気絶してしまったか」

店長「お、お待ちしておりましたァアア!魔王様の前で何たる無礼をぉ!この店員はクビにさせていただきます!」

魔王「気にするな。魔王を目の前にしてしまってはこうなるのが普通だろう。で、買い物をしたいのだが」

店長「直ちに!この洗剤もただでお付けしますのでどうか!」

店長「おい!魔王様が帰るときの為に車を用意しておけ」

魔王「はっはっは!」

19: 2012/03/18(日) 01:08:01.78 ID:5xzS3c6H0
魔王「はっはっは!」

魔王「こうなるのが通常だろう、やはり何かおかしいな」

魔王「側近なら何か知っているかもしれん!側近!側近はおるか!」

兵士「うるせぇ!!」ドン!!

魔王「うっ・・・!な・・・丁度よかった。そ、側近は・・・?」

兵士「側近なら今日は休みですよ、もっと静かにしといてください!」

魔王「休み?休暇など許しておらんぞ!」

兵士「休みだっつってんだろ!」

魔王「ご、ごめん・・・そんな怖い顔しないで・・・」

兵士「いい加減にしろよ、ったく」

21: 2012/03/18(日) 01:18:32.98 ID:5xzS3c6H0
兵士「あ、そうだ。夕食の準備が出来たみたいなんで、それじゃ」

魔王「あ、ああ・・・ありがとう」

バタン!

魔王「なんだ・・・気のせいか?敬語すら使っていなかったような・・・」

魔王「食事か、今日は何かな」ワクワク

――食堂

魔王「・・・」

魔王「缶詰とカップラーメン・・・?」

兵士「どうぞお召し上がりください」

魔王「白いご飯は?」

兵士「すんません。係の人が炊き忘れたみたいらしくって」

魔王「な、なに!?係の者を呼べ!」

兵士「係の者は先程帰りました」

魔王「かえっ・・え!?」

兵士「食べたら、片付けといてくださいね」

22: 2012/03/18(日) 01:23:58.44 ID:5xzS3c6H0
魔王「え・・・私が自らか?恐れ多くも?」

兵士「魔王なんだからそれくらい余裕っしょ」

魔王「ふん、当然だ。私に出来ぬことはない」

兵士「じゃ、そういうことで」

バタン!

魔王「ん?あ!これ、さっき私が買った奴じゃないか!」

魔王「・・・」

魔王「・・・」ズズー

魔王「のびてる・・・」

24: 2012/03/18(日) 01:30:09.16 ID:5xzS3c6H0
――次の日

魔王「おーい!おーい!」

シーン

魔王「おかしいな・・・なんだか城がいつもより静かな気がするぞ」

魔王「気のせいか・・・?こうして城を見回ってみると」

魔王「ここ数年間、誰かが住んでいたような痕跡がない・・・ここも埃だらけだ」

魔王「部屋からあまり出なかったからな・・・気づかなかったが」

魔王「お腹が減ったな、厨房に何かないだろうか」グゥ

26: 2012/03/18(日) 01:38:33.09 ID:5xzS3c6H0
――厨房

魔王「暗いな、電気は・・・」カチッ

魔王「あれ、つかない」

魔王「仕方ない手探りで探すか」ガサゴソ

魔王「お、カンパン発見」

魔王「・・・」ポリポリ

魔王「私は何をやってるんだ、何故魔王がこんな扱いを受けている」

魔王「許せん・・・久しくこんな怒りを覚えたことはない」

魔王「味方といえど・・・!!」プルプル

28: 2012/03/18(日) 01:48:03.57 ID:5xzS3c6H0
――次の日

魔王「zzz」

ドォーン!!

魔王「!!?な、なんだ!?敵か!?」

魔王「ん?あ!機械で城を・・・!くそ!人間どもめ!勇者がいなくてもまだ希望を捨てずに襲いかかって来たか」

魔王「そうこなくては面白くない!今日の私は機嫌が悪いからな、楽に氏ねると思うな!」

――おんも

魔王「おい!」

人間「ん?あ!君あぶないよ、こんなところにいちゃあ」

魔王「私の城に何をしている!」

人間「何って壊して・・・あれ?君もしかして魔王?」

魔王「そうだ、貴様らどうなるか分かって」

人間「本当にまだ生きてたよww」

魔王「ん?」

31: 2012/03/18(日) 01:57:46.24 ID:5xzS3c6H0
魔王「どういうことだ?」

人間「城を新しく建て直すんだよ。こんな古くて汚いのじゃなくて新しくて斬新なのに」

魔王「私は聞いていないぞ!人間が私の城にこんなことをしてどうなるかわかって」

人間「おーい、お前!」

兵士「なんすかー?あれ・・・」

人間「今日までにおっぱらっとけって言ったろ」

兵士「あー、すんません」

魔王「え?おい!この人間と知り合いなのかお前!」

33: 2012/03/18(日) 02:00:26.50 ID:5xzS3c6H0
兵士「僕を見て何か気付きませんか?」

魔王「・・・?」

兵士「ちょっとこの人と並んでみますね」

人間「・・・」

魔王「・・・」

魔王「もしかして・・・お前人間?」

兵士「気づくの遅いっすよ~」

魔王「え?」

35: 2012/03/18(日) 02:04:39.96 ID:5xzS3c6H0
兵士「周りも見てください」

魔王「・・・」

魔王「そういえばここらへんもだいぶ景観が変わったな」

兵士「もしかしてまだわかってないんですか?」

魔王「何が言いたい」

兵士「魔族はもう滅んじゃってますよ」

魔王「・・・?」

37: 2012/03/18(日) 02:14:13.13 ID:5xzS3c6H0
人間「おい、まだこいつわかってねーぞ」

兵士「勇者もひどいですよ・・・俺に魔王の面倒見ろだなんて」

兵士「俺の身にもなってくださいよ」

人間「結局最後まで気づかなかったな。賭けはどうなったんだ?」

兵士「有耶無耶になっちゃいましたよ」

魔王「おい!私にもわかるように話せ!」

兵士「お前頭悪過ぎてそれ無理だわ」

魔王「私の部下たちが貴様らのような力のない奴にやられるはずがないだろう!」

魔王「お前いつ、私の城の兵士とすり替わったんだ!」

39: 2012/03/18(日) 02:23:35.96 ID:5xzS3c6H0
――数年前

勇者「あー、だりー!レベル上げだりーなぁ!」

戦士「ほんとっすね・・・」

勇者「こんなのただの作業じゃねぇーか!だいたいここの魔物強すぎ!魔王何考えてんだよ!頃すきかっての!」

戦士「ほんとっすね・・・」

勇者「手っ取り早く強くなって魔王ぶったおしてお姫様とイチャコラ!そんなことできたらいいのによお!」

魔法使い「・・・」

スライム「ピキー」

兵士「ぎゃああ!」

盗賊「兵士がまたスライムに負けてるよ」

勇者「こいつのレベル上げだりーよ!王様がこいつ連れてけっていったから連れてきたのに」

勇者「ぜんぜんやくにたたねー!」

40: 2012/03/18(日) 02:31:19.16 ID:5xzS3c6H0
兵士「もう故郷に帰りたい・・・絶望的じゃないっすか、こんなんで勝てるわけないっすよ」

盗賊「何言ってるの!このままじゃ世界は魔王の物になっちゃうよ!?」

勇者「お前なんで盗賊なのにそんなに正義感強いの?」

戦士「そもそも回復役いないのに勝てるわけないっすね・・・」

勇者「戦士もネガティブだし、もうやってらんねーよ!」

魔法使い「あるよ」

勇者「あーん?」

魔法使い「レベル上げせずに簡単に魔王をぶったおす方法」

戦士「まじで?」

42: 2012/03/18(日) 02:44:47.45 ID:5xzS3c6H0
――今

魔王「そんな方法があるのか?」

兵士「あるんですよ。スライムも倒せない俺が魔王を倒す方法」

魔王「侮辱も大概にしておけ」

兵士「魔王はバカばっかりだってききましたよ」

魔王「侮辱も大概にしておけ!」

兵士「だって力があるのなら人間なんかすぐ滅ぼしちゃえばよかったのに」

魔王「だって人間は・・・美味しいものたくさん作ってるから滅ぼしちゃうと・・・私らが食べれなく」

兵士「はよ出てってください、ここから」

魔王「ふざけるな!」

45: 2012/03/18(日) 02:51:49.19 ID:5xzS3c6H0
魔王「もう許せん!喰らえ!」ポカ

兵士「ん~・・・」

魔王「え・・・?なんで・・・私がパンチしたんだぞ!倒れろ!」

兵士「嫌です」

魔王「命令だぞ!」

兵士「いい加減にしてほしいですね」ドゴォォ!

魔王「お・・・あ・・・」ピクピク

兵士「あなたの部下には恐ろしく強い四天王がいるらしいじゃないですか」

47: 2012/03/18(日) 03:00:04.36 ID:5xzS3c6H0
――過去

勇者「そんな奴らがいるのかよ・・・じゃあ、もう勝てないわww故郷で畑耕そうぜww」

戦士「そうっすね」

魔法使い「まだ話は終わってないですよ」

魔法使い「で、その四天王の一人に最強の呪術師ってのがいてね」

勇者「終わりですやん」

盗賊「まだ希望はありますよ!これからでも努力すればいずれは!」

魔法使い「いちいち話の途中に入らないでください」

魔法使い「で、そいつのメルアド知ってるんだ」

49: 2012/03/18(日) 03:10:22.47 ID:5xzS3c6H0
勇者「まじで?」

魔法使い「うん」

兵士「それでどうするんですか」

魔法使い「で、頼んで魔族全体を超レベルダウンしちゃう呪いかけてもらっちゃおうかなー、なーんて」

勇者「それ名案だわwwwwww」

戦士「そうっすね」

盗賊「でもフェアじゃないですよぉ!そんなの!実力で行きましょうよ!」

兵士「そんな頼んでやってもらえるわけないでしょwwwww」

魔法使い「大丈夫大丈夫、こいつ私の事魔族だと思ってるし信用しきってるから」

兵士「それでもやらないでしょwwwwwwww」

魔法使い「まー、ダメ元で頼んでみる。断られたら断られたで諦めて」

勇者「んだよ、期待させんなよったくよお!」

51: 2012/03/18(日) 03:19:50.09 ID:5xzS3c6H0
――現在

兵士「で、お前ら弱くなっちゃたのよ」

魔王「え・・・?」

兵士「わけわかんないよね、俺もわかんねーもん」

魔王「え?」

魔王「なんで・・・?どうしてそうなる?」

兵士「そこらへんの詳しいやり取りは知らないんだけどさ」

兵士「だってお前ら馬鹿じゃん」

魔王「ばかじゃない!」

兵士「ばーかばーか」

魔王「ばかじゃない・・・」


こうして私は城を追いだされた・・・

54: 2012/03/18(日) 03:30:03.30 ID:5xzS3c6H0
魔王「・・・・」トボトボ

魔王「まさか魔族が滅んでいるとは・・・」

魔王「しかも私が脆弱な人間よりも弱くなってしまったとは・・・」

狼「グルルル」

魔王「ひぃ・・・!」

魔王「私はこんなところで情けなく氏んでしまうのか・・・うう」

魔王「バカだから仕方ないのか・・・」

盗賊「あれ、あなたは・・・」

55: 2012/03/18(日) 03:37:23.15 ID:5xzS3c6H0
盗賊「もしかして魔王さんじゃないですか?」

魔王「お前も私を笑うのか、人間」

魔王「私はもう魔王なんかじゃない、私はただの弱者さ」

盗賊「人違いでしたか・・・すみません」

盗賊「それじゃ・・・わたしはこれで」

魔王「ああ・・・」

狼「グルルル」

魔王「助けて」

盗賊「すみません、僕も命が惜しくて・・・」

57: 2012/03/18(日) 03:43:55.92 ID:5xzS3c6H0
魔王「うう・・・本当に去ってしまうなんて。何しに登場したんだ」

狼「グルルル」

魔王「もう好きにしてくれ」

狼「その姿・・・まさかとは思いましたが魔王様では・・・?」

魔王「マイファーザーマイファーザー」

狼「いかんな、錯乱しておられる。よほどショックなことがあったのだろう」

狼「ともかく我々のアジトにお連れしよう」

60: 2012/03/18(日) 03:58:19.72 ID:5xzS3c6H0
――洞窟

魔王「・・・ここは?」

狼「グルルル」

魔王「なるほど、そういうことか」

狼「お気づきになられましたか」

スライム「ピキー」

魔王「腹が減っているのだろう。さあ食べろ、私を食べればいいだろう」

狼「魔王様、私の顔をお忘れになられましたか」

魔王「食べろ!ひと思いに喉元を噛み千切ってくれ!さぁ!!」

狼「落ち着いてくださ」

魔王「はやくしろ!」

狼「オラッ!」ドゴォ!

魔王「うっ!」

61: 2012/03/18(日) 04:06:51.52 ID:5xzS3c6H0
魔王「・・・ここは?」

狼「また繰り返すんですか?」

魔王「私は一体、・・・そうか狼に食われて」

狼「しっかりしてください。私ですよ!四天王の・・・」

魔王「四天王・・・そういえば犬みたいなのがいたような」

狼「そうですよ、呪いでこの姿でいるのが精一杯ですが」

魔王「おお・・・生きていたのか!」

スライム「ピキー」

魔王「おお、お前は四天王の一人の」

狼「そいつはただの兵士です」

63: 2012/03/18(日) 04:12:59.65 ID:5xzS3c6H0
魔王「よかった・・・ほんとに」

魔王「それじゃ、三人でどこかでひっそり暮らそう」

狼「そうですね」

スライム「ピキー」

おわり



狼「何言ってるんですか!人間どもに復讐するんでしょう!」

狼「我々を滅亡にまで追いやったにっくき人間どもをこの手で」

魔王「そもそも私は魔王なのについさっきまで魔族が滅んでいたことすら知らなかった」

魔王「教えてくれ、一体いつ我々は負けたのだ」

狼(魔族は滅ぶべくして滅んだのかもしれないな)

64: 2012/03/18(日) 04:26:44.82 ID:5xzS3c6H0
狼「あれは一年前の事でした」

――1年前

人狼「今日も人間の村を襲ってきてやったぞ」

悪魔「さすがですぜ!兄貴!四天王なだけはあるぜ!」

人狼「ふん、まかせろ」

ギャーギャー ガヤガヤ

人狼「なんか騒がしくないか?」

悪魔「なんでも勇者たちが攻めてきたとか」

人狼「バカ野郎早く追い払え!」

悪魔「それが・・・」シュルルル

トカゲ「どうやら我々の領土全体に強力な呪いがかけられたみたいで」ポン

狼「そんなばか・・・な!?」

ドンドン 「おい、ここあかねーぞ!」「けやぶれ!」「ヌルゲーwww」

狼「隠れろ!」

65: 2012/03/18(日) 04:33:08.28 ID:5xzS3c6H0
狼(なんだ・・・この恐怖は俺が人間を恐れている?本能で勝てないことを悟ってしまったのか?)ガクブル

狼(大丈夫だ。見つかりはしない)

勇者「なんだ、ここにはだれもいねーぞ!」

戦士「トカゲみーっけwww」

勇者「お前魔物に勝てるようになってから性格明るくなったなwww」

狼(悪魔・・・!)

トカゲ(狼の兄貴・・・魔王様に知らせてくだせぇ!早く逃げるように!)

狼(俺だけ真っ先に隠れてなんてかっこ悪いんだ俺は!)

戦士「おらっ!」ザシュ

狼(くそっ!)

66: 2012/03/18(日) 04:38:41.68 ID:5xzS3c6H0
勇者「これであらかた城の魔物はぶっころしたなwwwwww」

戦士「日頃のストレス発散にはもってこいっすねwwww」

魔法使い「魔王の部屋見つけたよ」

勇者「でかしたwwww」

――魔王の部屋

兵士「結構普通の部屋ですね、ノックしますか?」

勇者「しねーよwwww」

戦士「俺が手柄を立ててやる!」

勇者「待てよ、魔族ってどこまで頭が悪いか試してみようぜ!」

戦士「え?」

67: 2012/03/18(日) 04:44:17.22 ID:5xzS3c6H0
勇者「おい、兵士・・・お前がいけ。この台本通りにな」

兵士「ええー、ぜったい無理ですって」

戦士「1週間に一万」

魔法使い「一ヶ月に5万」

勇者「いや、意外と半年もつかも」

兵士「そんな長い間、俺に演技させる気ですか!?」

ガチャ

魔王「なんだ、お前達私の部屋の前でごちゃごちゃと」

68: 2012/03/18(日) 04:48:16.29 ID:5xzS3c6H0
勇者「あ・・・」

魔王「ん?」

兵士「あ、あのー、今日から魔王様の世話係になった兵士です」

魔王「おお、そうだったか・・・それで挨拶にわざわざ」

兵士「そうですそうです」

魔王「他の者は・・・」

勇者「付き添いです!兵士が魔王様に会うのに一人じゃ寂しいって・・・」

魔王「なるほど。そういえば、さっきから城が騒がしかったようだが・・・」

戦士「今日は祭りっす」

魔王「ほう」

69: 2012/03/18(日) 04:53:49.46 ID:5xzS3c6H0
魔王「それじゃあ、私も参加しよう」

魔法使い「あ、さっき終わりましたよ」

魔王「そうか・・・残念だ」シュン

兵士「それじゃあ、お部屋にお戻りください。城内の掃除をしますので」

魔王「手伝おうか?」

兵士「いいですよ。これくらい我々に任せてください。じゃっ!」

魔王「あ、ああ・・・」ガチャン


兵士「・・・」

勇者「さぁ、ここに俺達の街をつくろう」

70: 2012/03/18(日) 05:03:16.92 ID:5xzS3c6H0
――現在

狼「ということが起きていたのです」

魔王「途中から狼がいなくなっていたが・・・」

狼「すみません、魔王様に伝えようとは思っていたのですが何しろ怖くて」

狼「文字通り尻尾を巻いて逃げました」

魔王「貴様、それでも四天王の一人か!」

狼「魔王様だって・・・勇者たちと会ってたんじゃないですか・・・」

魔王「うん」

スライム「ピキー」

狼「このまま、ひっそりと暮らすのもいいかもしれませんね」

魔王「だね」

おわり


スライム「そんなわけあるかよ」

72: 2012/03/18(日) 05:14:58.02 ID:5xzS3c6H0
スライム「悔しいと思わないのかよ!狼の代わりに氏んだトカゲのことを思い出せよ!」

狼「そういえば・・・」

スライム「魔王だって一年間もあいつらにいいようにされてたんだぜ!ほこりある魔族がこれでいいのかよ!」

魔王「そんなこといったって勝てないだろ!もうこの世界は人間のものになってしまったんだ!」

スライム「諦めんなよ」

スライム「リーダーであるあんたが諦めたらおわりじゃねーか!あんたが最後の希望なんだよ」

スライム「あんた言ってたじゃねーか」

――

魔王『人間どもの領土を支配して奴らが独り占めしているお菓子とやらを全部魔族のものにしよう』

スライム『へー』ホジホジ

――

魔王「あなたとは初対面だと思っていたのだが」

スライム「あの時言ったことを本当にする時が来たんじゃないか?」

73: 2012/03/18(日) 05:23:24.36 ID:5xzS3c6H0
スライム「このままやられっぱなしでいいのか?」

スライム「吠えているだけの負け犬のままでいいのか」

狼「・・・」

スライム「他のやつらだって俺たちみたいに息をひそめて勇者どもを倒す算段をしているはずさ」

スライム「まずはそいつらと合流することが先決だろ」

スライム「今のお前は生きてない!氏んでないだけ!」

スライム「呪いがなんだよ、レベルなら上げ直せばいいじゃねぇか」

スライム「ゲームのセーブデータが消えたって何日かたったらまたやりたくなるもんだろ!」

スライム「魔王、お前のおじいちゃん・・・つよかったぜ!」

スライム「魔族はバカなんかじゃない!ちょっと頭が足りないだけだ!」

スライム「むしろチャームポイントだろうが!どうだ!」

魔王「・・・」

74: 2012/03/18(日) 05:33:55.65 ID:5xzS3c6H0
魔王「わかったよ、頑張ろう」

魔王「東北だってがんばってるんだしね。魔族も復興しよう」

狼「おお、見えるぞ・・・魔王に後光が・・・やはり魔王たる器の持ち主だったのだな」

スライム「見えねーよバカ」

魔王「ありがとう、スライム。おかげで目が覚めたよ・・・奴らを倒そう」

狼「そうと決まればいつ出発しましょうか」

魔王「一週間後なんてどうだろう」

盗賊「いえ、思い立ったが吉日。今から出発しましょう」

魔王「しかしまだ、心の準備が・・・」

狼「・・・!?貴様つけてきていたのか!」

盗賊「話はきかせてもらいましたよ」

77: 2012/03/18(日) 05:44:06.43 ID:5xzS3c6H0
盗賊「僕も勇者のやり方にはついていけなかったんですよ」

盗賊「先程の回想にも登場していなかったでしょう?決して忘れられていたわけではないんですよ」

盗賊「私は盗賊。闘いはできませんが盗むことが出来ます。よろしければご一緒させてください」

魔王「しかし、貴様は人間・・・同族と戦うことになるんだぞ?いいのか?」

盗賊「愚問ですね。私は盗賊・・・他人の物を盗むことを生業としているのです」

盗賊「今の勇者には正義が感じられません。彼を止めなければやばいことになるでしょう」

魔王「わかった。そこまでいうのなら」

狼「魔王!俺は信じられないぜ!人間は嘘つきばかりだ!」

スライム「俺は仲間がやられているのに見捨てて逃げる奴の方が信用ならないね」

狼「・・・」

78: 2012/03/18(日) 05:54:25.32 ID:5xzS3c6H0
盗賊「人間を仲間にするというのが納得できないというのならばこれならどうでしょうか」

盗賊「盗賊は敵としてエンカウントすることもあるでしょう。その時、同時に魔物と一緒登場することもありますが」

盗賊「その魔物と盗賊で争うことはありません」

魔王「なるほど、説得力がある」

狼「悔しいが、そうかもしれん」

盗賊「だから僕たちがパーティを組んでも何ら変哲はないのです」

盗賊「それに食料などの物資を手に入れるのには僕のような人間が必要だと思うのですが」

魔王「確かに味方に欲しい!」

狼「くっ、いいだろう。ではさっそく出発しましょう。魔王」

スライム「ピキー」

79: 2012/03/18(日) 06:02:25.05 ID:5xzS3c6H0
魔王「ようし、じゃあ私のし・・ろ・・・に」

狼「どうかされたんですか?」

盗賊「実は魔王の城は取り壊され、現在勇者の城を建設中です」

盗賊「どうやら勇者はあの地に自分の街を築き上げるつもりのようですね」

魔王「私の築いた街が・・・城が・・・」

狼「魔王、落ち込んでいる暇はありませんよ!取り返してやりましょう!」

スライム「はやく話を進めろよ」

80: 2012/03/18(日) 06:15:39.51 ID:5xzS3c6H0
――近くの村

魔王「ここは?」

盗賊「まずはここで情報の収集と装備を整えるんです」

盗賊「それでは狼さんはこれを・・・」

狼「これは・・・」

盗賊「首輪とリードです。魔物とばれたら騒ぎになりますからね。飼い犬ということで」

魔王「盗賊は頭がいいなあ」

盗賊「それほどでもありますよ」

狼「ふざけるな、喰ってやろうか!」

魔王「犬はそんな鳴き方しないぞ」

狼「・・・わん」

盗賊「魔王さんは情報収集を頼みます。僕はそこの店でいろいろ買ってきましょう」

81: 2012/03/18(日) 06:28:32.81 ID:5xzS3c6H0
魔王「といわれてもすることがない」

狼「しりとりでもしましょうか」

魔王「犬はそんな鳴き方しない」

狼「わん」

老人「ん・・・?君・・・」

魔王「これは情報収集のチャンス」

老人「もしかして魔族じゃあ・・・」

魔王「」

狼「魔王!その格好じゃあばれてしまいます!」

老人「犬が喋りおった!」

スライム「ふん、阿呆が」

老人「水が喋りおった!」

ザワザワ

魔王「あ、人が集まってきたぞ、情報収集のチャンスだな」

82: 2012/03/18(日) 06:40:04.07 ID:5xzS3c6H0
魔王「やばかったので逃げた」

狼「危ないところだったな」

魔王「盗賊のところに行こう」

店員「こいつめ・・・!暴れるな!」

盗賊「くそっ!しくじった。あ!魔王!助けてくれぇ!」

店員「君たち、この万引き犯の仲間か!一緒に来てもらうぞ」

魔王「・・・」

84: 2012/03/18(日) 06:48:33.02 ID:5xzS3c6H0
魔王「捕まった」

店員「こいつらです」

勇者「誰かと思えば」

盗賊「勇者!なぜここに!」

勇者「魔王をつかまえたときいてね」

盗賊「しまった・・・まさか僕のスキルが仇になってしまうとは・・・」

魔王「・・・」

魔王「狼がいない」

スライム「さっき逃げたよ」

85: 2012/03/18(日) 07:00:03.26 ID:5xzS3c6H0
魔王「降参する」

勇者「懸命だな」

盗賊「ごめん」

魔王「許さん」

狼「ただいま」

魔王「おかえり」

スライム「・・・おい」

87: 2012/03/18(日) 07:08:07.47 ID:5xzS3c6H0
スライム「ふざけるなよ」

勇者「ん・・・?」

スライム「よく聞けよ、このクズ野郎・・・呪いのおかげでもう下がりようのないレベルのやつらは消えてしまった」

勇者「世界からゴミが消えてすっきりしたとおもうんだが」

スライム「ゴミ・・・?ゴミだと?ふざけるなぁ!」

スライム「ピキュ」グシャア

魔王「・・・」

勇者「うるせぇんだよ、ゴミ」

盗賊「魔王さん・・・仲間がやられましたよ。覚醒してパワーアップしないんですか」

魔王「降参する」

盗賊「魔王さん・・・」

88: 2012/03/18(日) 07:12:40.43 ID:5xzS3c6H0
狼「心ここにあらず、なんかもうどうでもよくなってきたようだな」

狼「分かるぜその気持ち」

盗賊「だからってここで負けを認めたら・・・スライムさんは何のために氏んだんですか!」

勇者「靴ねばねばになったわwwww」

魔王「もう誰も氏んでほしくない・・・」

盗賊「ま、魔王さん・・・」

魔王「狼、逃げろ!」

狼「言われなくても!」ササッ

盗賊「くそっ!バカの味方をしたのが運のつきか」

89: 2012/03/18(日) 07:20:49.15 ID:5xzS3c6H0
――勇者城

勇者「きびきびはたらけ、床を磨け」

盗賊「くそ、あなたは間違っている!勇者!」

勇者「口を動かしている暇があったら手を動かすんだ。裏切り者め」

魔王「勇者様、廊下の雑巾がけおわりました」

勇者「御苦労」

盗賊「魔王!プライドはどこにいった!ついさっきまで勇者を倒すと息巻いていたのに!」

勇者「なに?それはほんとうか?」ギロ

魔王「ひっ・・・」ビク

魔王「いえそのようなことは・・・」

盗賊「よくそんなんで今まで魔王が務まったな!」

魔王「はぁ・・・?魔王?私はただの使用人ですが」

盗賊「この・・・」

92: 2012/03/18(日) 07:44:45.11 ID:5xzS3c6H0
狼「ただいま」

盗賊「・・!狼さん!もしかして仲間を!?」

狼「その手があったか!待ってろ!今すぐ連れてくるからな!」

盗賊「・・・」

魔王「あきらめろ」

盗賊「あきらめましょうか」

勇者「ハッピーエンドだな」

おわり


「ふざけるんじゃねぇ」

93: 2012/03/18(日) 07:52:29.94 ID:5xzS3c6H0
勇者「ん?」

魔王「あきらめろよ」

盗賊「この声は・・・」

勇者「下か?ん?これは・・・スライムか!?足の裏にくっついていたのか!」

勇者「くそ!離れん!なんて粘着力だ!魔王!」

魔王「どうかしましたか?」

勇者「スライムがくっついて離れないんだ!助けてくれ!」

魔王「うーん・・・」

狼「おい、何を連れてきたらいいんだっけ?」

盗賊「丁度よかった!狼さん!勇者は身動きが取れない!今なら噛み殺せる!喉元を食いちぎるんだ!」

94: 2012/03/18(日) 07:57:44.63 ID:5xzS3c6H0
魔王「そんな残酷な・・・」

勇者「ばかな!やめろ!俺が氏んだら困るのはお前らだろ!」

盗賊「スライムさんの執念を無駄にしちゃあいけない!」

狼「よっしゃ」

勇者「あっ・・・やめ・・・んっ!んああっー!」

魔王「・・・」

盗賊「やったのか・・・?」

狼「まずいな」

勇者「」

魔王「ふん、魔王に逆らうからこうなる。理解するのが遅かったようだな」

95: 2012/03/18(日) 08:07:20.57 ID:5xzS3c6H0
魔王「残るはあと三人か」

盗賊「魔法使いと戦士と兵士ですね」

魔王「かつての仲間と戦って心は痛まないのか?」

盗賊「多少は」

魔王「そうか・・・人間は魔物とは違うが。心はそうでもないらしいな」

狼「ハフッハフ!ハム!」

盗賊「城の内部構造は把握しています。確かこの最上階に魔法使いがいるはずです」

魔王「じゃあ、城を爆破しよう」

96: 2012/03/18(日) 08:17:35.88 ID:5xzS3c6H0
盗賊「いいんでしょうか、こんな戦い方・・・」

魔王「まともに戦って勝てないしね」

盗賊「確かに」

狼「そう言うと思って爆薬をありったけ城中にしかけておいたぜ」

魔王「さすが」

盗賊「狼さん・・・見直しました」

魔王「それでどうやって爆発させるんだ」

狼「さぁ?」

盗賊「導火線とかスイッチとかは?」

狼「城のあちこちに爆弾を置いただけだぞ俺は」

盗賊「狼さん・・・見損ないました」

97: 2012/03/18(日) 08:23:30.89 ID:5xzS3c6H0
狼「ばーか、冗談だよ」ポチ

盗賊「は?」

魔王「・・・?」

狼「スイッチならここにあるぞ」

魔王「なんだぁ」

盗賊「」

魔王「どうした」

盗賊「今、スイッチ押しましたよ」

魔王「ってことは爆発?」

狼「どかーん!」

盗賊「ひっ!」

魔王「うおっ!」

狼「あっはっはっは!冗談だよ!」

98: 2012/03/18(日) 08:26:57.18 ID:5xzS3c6H0
狼「このスイッチはダミーさ」

盗賊「次から呼び捨てな」

魔王「あっはっはっは」

狼「ははは!・・・ん?」

魔王「え?」

狼「本物だった」

盗賊「」

ドガァァァァアアアアアン


99: 2012/03/18(日) 08:32:18.14 ID:5xzS3c6H0
狼「あぶねー」

魔王「氏ぬかと思った」

狼「魔王を連れだすので精いっぱいだった」

魔王「ばいばい、盗賊」

狼「でもこれで勇者一味は全滅だな」

魔王「だな」

魔王「これからはひっそり暮らそう」

狼「だな」

おわり

102: 2012/03/18(日) 08:40:05.88 ID:5xzS3c6H0
スライム「そんなわけあるかよ」

魔王「スライム・・・?」

狼「生きていたのか!?」

盗賊「僕を忘れてもらっちゃ困るよ」

魔王「盗賊!?」

狼「生きていたのか!」

魔王「ということはまさか・・・」

盗賊「そうさ、勇者たちは生きている」

103: 2012/03/18(日) 08:45:20.04 ID:5xzS3c6H0
盗賊「人間はそんなに簡単には氏なないんだ」

狼「そんなバカな・・・あの爆発で氏なないなんて」

盗賊「僕を見てくれ」

狼「・・・!」

盗賊「かっこいいだろ」

魔王「でも勇者は確かにあの時、狼が喰い頃した」

盗賊「あれは影武者だ。昔仲間だった僕が言うんだ間違いない」

狼「くそ、道理で・・・!」

104: 2012/03/18(日) 08:53:58.44 ID:5xzS3c6H0
スライム「俺の話を聞け」

魔王「スライムさん」

スライム「そもそも勇者たちが俺達を倒せるようになったのは何故だ?」

魔王「・・・?」

盗賊「呪い・・・?そうか!」

狼「どういうことだ?」

スライム「四天王の一人の呪術師は生きている!俺の考えが正しければ・・・」

スライム「四天王の一人の呪術師は生きている!」

狼「どういうことだ?」

盗賊「呪いってのは術者が生きている間効果が続くものだ!術者が氏んでいるのなら呪いは解けていて魔王さんや狼が元の力を取り戻しているはずです!」

狼「それで・・・どういうことだ?」

スライム「まとめると四天王の一人の呪術者は生きているってことだ」

魔王「・・・?」

105: 2012/03/18(日) 09:00:16.25 ID:5xzS3c6H0
魔王「とにかく倒すべきはあと三人・・・さっさと倒して我々の街を復興・・・」

スライム「俺の話を聞け」

魔王「スライムさん」

盗賊「今話した通り、勇者は生きています。ですから倒すべき相手は4人です」

魔王「・・・?」

魔王「皆でひっそり暮らそう」

盗賊「・・・チッ」

魔王「ひっ」ビク

狼「で、どうすりゃいい」

スライム「呪術師をさがすんだよ」

106: 2012/03/18(日) 09:07:16.04 ID:5xzS3c6H0
盗賊「しかし、僕はその呪術師の事を知らない。魔王と狼はそいつがどこにいるのか心当たりがあるんじゃないかい?」

魔王「そんなこといわれても・・・」

狼「急に言われて思い出せって言う方が無理だよな」

盗賊「・・・」イライラ

スライム「手掛かりはない、今の俺達はわらにもすがりたい面持ちだ。わかるか」

スライム「きっかけはなんだっていい。とにかく一歩歩み出すことが出来れば、それは前進に変わりないのだから」

盗賊「スライムさん・・・それは」

スライム「木の枝だ。これが倒れた方向に進もう」

盗賊「なんて頼もしいんだ」

107: 2012/03/18(日) 09:12:58.97 ID:5xzS3c6H0
兵士「話はすんだか?」

魔王「・・・!?」

狼「なんだ!?」

スライム「へっ!どうやら俺達はすっかり失念していたらしい」

スライム「ここが敵の本拠地のど真ん中だったってことにな」

スライム「しかも城をぶっ壊されてそうとう頭にきてるようだぜ」

盗賊「しまった!すっかり囲まれてしまっている!」

兵士「観念するんだな、おい!お前ら!」

ごろつき「ぐへへ」

狼「冗談じゃねぇ!」ササッ

スライム「狼は逃げたか、ここは大人しく捕まっとくか・・・?」

108: 2012/03/18(日) 09:19:29.03 ID:5xzS3c6H0
魔王「嫌だ!戦おう!私にだって魔王としての矜持がある!」

盗賊「魔王の瞳に闘争心が宿った!?スライムさん・・・あなたはいったい」

スライム「魔王がその気ならやるしかないよな!さぁ、人間どもに目に物見せて」

スライム「ピキュ」グシャ

盗賊「スライムさん!」

ごろつき「ごちゃごちゃうるせぇよ」

魔王「貴様、許さんぞ・・・よくもよくも・・・」

魔王「もう怒ったぞ!貴様らああ!!」

110: 2012/03/18(日) 09:30:17.27 ID:5xzS3c6H0
ガシャーン

兵士「そこで頭を冷やしてろ、直に貴様らの処罰が決まる」

盗賊「淡い希望を抱いては見たものの・・・くそ・・・やはりこうなるか」

魔王「・・・」

盗賊「落ち込むことはないですよ。狼が帰ってくるのを待ちましょう」

盗賊「きっとハプニングをこさえてやってきますよ」

魔王「だからひっそり暮らそうって言ったのに、もう魔王やめたい」

盗賊「わかりました。ここから出て勇者たちを皆たおしたら密かに暮らしましょう」

盗賊「それでいいですね」

スライム「とにかくやることが決まったじゃないか、最初の目標はこの牢から脱出すること」

スライム「今の俺たちならアルカトラズでもグリーンマイルで簡単に抜け出せるさ」

「隣に誰かいるのか・・・?」

盗賊「誰だ!?」

112: 2012/03/18(日) 09:39:08.27 ID:5xzS3c6H0
「まさかこんなところで話相手が見つかるとは」

盗賊「ん・・・?まさか!」

スライム「ふっ!そういうことか・・・まだ神様は俺達を見はなしてはいなかったようだぜ」

魔王「・・・?」

スライム「勇者たちはここにあいつを幽閉していたんだ。あいつらも魔族を野放しにしておくはずはない。しかも相手が四天王ということなら尚更」

「四天王か・・・昔はそう呼ばれていた時期もあったな」

盗賊「ということはあなたが魔族の領土に強大な呪いをかけた呪術師!」

113: 2012/03/18(日) 09:42:35.32 ID:5xzS3c6H0
狼「俺だ」

スライム「お前だったのか」

盗賊「ふざけんな・・・」

魔王「・・・?」

狼「さすがの俺でもあの包囲網から逃げるのは至難の技だったようだ」

狼「元の力が戻ればもっと簡単に逃げだせたんだが・・・」

盗賊「黙れ」

116: 2012/03/18(日) 09:50:01.50 ID:5xzS3c6H0
狼「ちっ、しょうがねーな・・・反省してまーす」

盗賊「全ての希望が今断たれた」

スライム「いや、まだ希望はあるぜ」

盗賊「無理だ!もう!」

スライム「お前の職業、忘れたとは言わせねーぜ」

盗賊「盗賊・・・?そうか!僕は盗賊だった!」

スライム「そしてここに偶然、鉄のクギとブロンズナイフが落ちていた」

盗賊「そういうことか・・・!さすがスライムさん!」

狼「どういうことだ?」

魔王「・・・?」

118: 2012/03/18(日) 09:58:32.87 ID:5xzS3c6H0
盗賊「この二つを合成すると盗賊のカギができるんだ。これで!」

スライム「牢を開けられるのは最後のカギじゃないとダメだけどな」

盗賊「最後の希望が今断たれた・・・」

狼「役にたたねーな、今のやりとり何か意味あったのかよ」

盗賊「お前にいわれたくない」

魔王「・・・?」

スライム「まだ終わったとは言い切れないぜ」ニヤ

盗賊「まだ何かあるんですか?」

スライム「一芝居打つのさ、俺達が仲間割れしてそれに気づいた見張りが様子を見に来た瞬間に・・・」

盗賊「そうか!!」

121: 2012/03/18(日) 10:05:38.02 ID:5xzS3c6H0
盗賊「魔王!やってください!早く僕を罵って殴ってください!」

魔王「本当にいいのか・・・?」

盗賊「お願いします!僕があなたを殴ることは僕の正義感が許せない・・・」

盗賊「皆さんもかまわず野次を飛ばしてください。できるだけ気づかれるように」

魔王「いくぞ!」ガッシボカ

盗賊「うっ!」

狼「テメェのせいでこんなことになったんだ。責任とって氏にやがれ!」ドス

スライム「役にたたねぇ分際で偉そうに!」ドス

魔王「万引きなんてケチなことしてんじゃねぇ!」ボコ

盗賊「うっ・・・ぐぅぅ・・・その・・・調子です・・もっと」ドガドガ

122: 2012/03/18(日) 10:10:41.76 ID:5xzS3c6H0
――次の日

盗賊「・・・」

スライム「どうやらこの牢は地下深くにあって一番近い見張りまで随分距離があるらしいな」

スライム「俺達がここで何を騒いでも外の連中には聞こえないってことだ。ま、それがわかっただけ儲けもんか」

スライム「俺はこの牢に来るまでの距離や足音の反射でそれくらい容易にわかったがな」

魔王「さすがスライムさん」

狼「八方ふさがりってわけか、厄介だぜ」

盗賊(魔族滅びねーかな・・・)

125: 2012/03/18(日) 10:23:26.44 ID:5xzS3c6H0
見張り「気分はどうだ、お前らの処刑が決まったぞ」

魔王「え・・・」

見張り「それと、お前ら何か企んでたようだが・・・この牢にはマイクとカメラがついているから」

見張り「何をやっているのかちゃんとわかるんだ。なかなか見物だったが仲間は大事にしろよ」

盗賊「・・・」

見張り「明日の朝、お前ら全員ギロチンの刑だそうだ。今日中に胴体との別れのあいさつを済ませとけ」

見張り「・・・ん?スライムはどうした!?」

魔王「そういえばいない・・・」

スライム「ここだ!」

見張り「ぬおっ!なんだ!」

スライム「俺の体は流動体!こんな牢なぞいつでも抜けられるんだよ!」

スライム「今だ!盗賊!鍵を盗め!」

盗賊「・・・」

スライム「しまった!殴りすぎたか・・・」

126: 2012/03/18(日) 10:31:45.71 ID:5xzS3c6H0
スライム「魔王!お前しかいない!見張りのベルトから鍵をとるんだ!」

スライム「この距離ならとれるはずだ!」

魔王「ん・・・とった!あ、ベルトも・・・」

見張り「ひゃあん!」

スライム「でかした!その鍵で牢を脱出するんだ!」

魔王「・・・でれた!」カシャン

スライム「よし、いくぞ!」

魔王「待って!ちゃんと戸締りしないと・・・」ガチャン

盗賊「・・・」

魔王「絶対助けに戻る」タッタッタ

盗賊(しね)

127: 2012/03/18(日) 10:39:45.08 ID:5xzS3c6H0
スライム「見張りのやつ気絶させてやったぜ」

魔王「狼と盗賊は・・・」

スライム「そんな暇はない!早くここから出るぞ!」

魔王「ようやく外に・・・」

兵士「おっ」

魔王「」

――

魔王「ただいま」

狼「おかえり、俺が寝ている間に逃げようだなんてずりぃぞ」

スライム「まいったな、作戦の練り直しだ」

盗賊「しね」

128: 2012/03/18(日) 10:55:12.46 ID:5xzS3c6H0
――次の日

魔王「まさか今日が最後の日になるなんて」

狼「待て!殺さないでくれ!勇者!俺を頃したら絶対困るぞ!」

スライム「ピキー」

盗賊「・・・」

勇者「はっはwww手こずらせてくれたな。だがそれも最後だ」

勇者「俺の城の落とし前、その命できっちりつけろ」

魔王「ここまでか・・・」

スライム「諦めるな!俺は流動体だ!こんな固定具で固定することなどできん」

勇者「なにっ!?」

スライム「いまだ!」

勇者「ごぽお!?」

魔王「スライムさんが勇者の口に飛び込んだ!?」

勇者「んぐう・・・ぐぐ・・・」ガクン

兵士「勇者・・・?」

130: 2012/03/18(日) 11:01:33.05 ID:5xzS3c6H0
勇者「中止だ・・・」

勇者「処刑は中止だ。そして、彼らの罪を許して逃がしてやれ・・・」

勇者「この世の柵と戦い続けることに飽きた。俺は出家する」

勇者「蛹を破り、蝶は舞う」

兵士「ゆ、勇者・・・中止だ!そいつらを逃がしてやれ!」

盗賊「これはいったい・・・」

魔王「私たちの気持ちが勇者を倒したのか?」

狼「俺達の勝利だ!」

勇者「さぁ、帰ろう。ここの空気は汚れている」

兵士「いったいどうしたというんだ・・・勇者・・・」

131: 2012/03/18(日) 11:07:57.61 ID:5xzS3c6H0
――洞窟

盗賊「初めの洞窟に戻ってきたわけだが」

魔王「やったー!勇者を屈服させたぞ」

狼「しかもついてきたぞこいつ」

勇者「ピンチをチャンスに変えるのは俺達の得意技だろう」

狼「何言ってんだこいつ」

勇者「お”え”っ!おっ!おrrrrrrrrrrr!!」ベシャア

狼「うわ!吐きやがった!」

スライム「へへっ!勇者の体を乗っ取ってやったぜ!」

狼「おわ!ゲロが喋った!」

133: 2012/03/18(日) 11:16:32.71 ID:5xzS3c6H0
盗賊「まさかスライムさんにそんな能力があるなんて」

スライム「俺ぐらいのスライムなら朝飯前さ」

魔王「すごい・・・」

狼「こいつはどうする」

勇者「あうあうあー」

スライム「地面に埋めよう。そうすれば氏ぬだろう」

スライム「勇者も倒せて、敵の領地からも逃げることが出来た。一石二鳥だな」

魔王「・・・・」

勇者「うー、ばしろへんたす」

魔王「やめよう」

狼「え?」

134: 2012/03/18(日) 11:23:58.49 ID:5xzS3c6H0
魔王「もう彼は勇者じゃない・・・」

盗賊「な、何を言っているんだ?因縁の相手が目の前に・・・しかも闘う力もない!絶好のチャンスを逃すのか?」

魔王「盗賊、彼のやり方が気に食わず嫌いだったからと言って、今の彼にそんなことするのはいけない」

狼「じゃあ、どうするんだよ!」

勇者「うー、うー!」

魔王「逃がしてあげよう?彼の為にもきっとその方がいい。丁度ここは森だし・・・元気に過ごしてゆける環境が整ってる」

スライム「それでこそ魔王だ・・・俺もその寛大さに惚れた」

魔王「勇者、君はもう自由だ。さぁいけ!」

勇者「んーー?んー!んー!!」

135: 2012/03/18(日) 11:27:29.64 ID:5xzS3c6H0
魔王「どうした?ダメだ!私たちは住む世界が違いすぎる!行くんだ!」

勇者「うー・・あー・・」

魔王「振り向くな!いけぇ!」

勇者「うー!」

魔王「行けって言ってるだろう!」

勇者「・・・・」トボトボ

狼「これで・・・よかったのか・・・」

魔王「うっ・・・うう・・・」

スライム「・・・まずいな」

136: 2012/03/18(日) 11:31:06.44 ID:5xzS3c6H0
盗賊「どうしたんですか」

スライム「どうやら囲まれている。俺達はつけられていたようだ」

スライム「それに俺に乗っ取られたとしてもあんな後遺症は残らない」

スライム「あれはおそらく演技だぞ」

盗賊「なんだって?」




兵士「平気ですか?勇者・・・」

勇者「ああ、頭がどうにかなるかと思ったよ、だが無事だ」

兵士「どうします?」

勇者「あの洞窟は袋小路だ、追い詰めて頃してしまえ」

137: 2012/03/18(日) 11:43:18.99 ID:5xzS3c6H0
魔王「ごめん、皆・・・私のせいで」

盗賊「まったくだ、人質になり得たのに解放するなんて」

スライム「終わったことを悔やんでも仕方ないだろ!今はこの場をどう乗り切るかが先決だ」

狼「任せろ、ここは俺の家だぜ!逃げ道ならとっくに作ってあるぜ!」

スライム「さすがだ・・・」

狼「どんな事象もまず逃げることを想定してなきゃな、さぁ隠しておいたこの横穴から逃げるぜ」ササッ

盗賊「たまには役に立つんですね・・・見直しました」

魔王「あれ、穴が内側からふさがった・・・」

狼「すまねぇ!確実に逃げるためには囮が必要だ!お前らにその役目を任せるぜ!だが必ず生き延びてくれよ!」

盗賊「見損ないました」

139: 2012/03/18(日) 11:59:10.63 ID:5xzS3c6H0
――1カ月後

狼「あれから一ヶ月か・・・この新しい洞窟も居心地がよくなってきたな」

狼「あいつら元気にしてるかな・・・今にも入口を蹴破って元気に出てきそうだが」

狼「さすがの悪運もつきたか・・・もうあいつらも顔は見れないのか・・・」

狼「だが俺は心の底で信じてるぜ、皆が生きてることを」

狼「魔王、生きてろよ」ホジホジ

140: 2012/03/18(日) 12:12:24.10 ID:5xzS3c6H0
――2カ月後

狼「風のうわさで魔王達が捕まった後、処刑されたらしい」

狼「スライムは熱湯で殺菌された後、念入りに火にかけられたらしい」

狼「なんて惨い事を・・・そしてあの時俺だけ逃げてしまった罪の意識が俺の心を苛む」

狼「魔王、許してくれ」ホジホジ

144: 2012/03/18(日) 12:21:20.62 ID:5xzS3c6H0
――1年後

狼「ふぅ、今日もたくさん獲物が取れたぜ」

魔王「狼・・・」

狼「またか・・・」

狼「俺はここ数カ月、どうしてか魔王達の亡霊を見るようになった」

狼「俺の記憶が作りだした幻影だろう、もう終わったのだ」

狼「忘れよう。俺は起きたまま夢は見ない」

盗賊「おい!」

狼「うるさい!俺にかまうな!消えるんだ幻影め!」

魔王「狼・・・この恨みを晴らすまで私たちは消えることはできない」

147: 2012/03/18(日) 12:28:34.42 ID:5xzS3c6H0
狼「まさかまた勇者たちを倒すのに協力しろと?」

魔王「違う、私たちはお前があの時自分だけ逃げたお前を恨んでいるんだ」

狼「・・・」

魔王「お前を許さない」

狼「うわあああ!!」


――現代

狼「うわあああ!!」

魔王「助けに来てくれたのか・・・!」

狼「俺は逃げるのが得意だが卑怯者ではないんでね!」

魔王「信じてたぞ!」

勇者「捕まえたぞ」

狼「くそっ・・・」

盗賊「なんだよ、今の回想」

149: 2012/03/18(日) 12:36:06.05 ID:5xzS3c6H0
スライム「これで勇者に捕まるのは三度目か・・・惨めだな」

勇者「貴様らは城についたら即刻処刑を再開する」

魔王「今度こそ終わりか・・・」

スライム「だったら最後に聞きたいことがある・・・呪術師は一体どこにいるんだ」

勇者「そんなことを知っても貴様らがこれからたどる運命は変わらない」

盗賊「勇者!あなたは間違っているんだ、君にこんな支配力は必要ないはずだ!」

盗賊「やり直そう。昔みたいに」

勇者「断る」

狼「・・・ん?この臭いは・・・!」

150: 2012/03/18(日) 12:43:39.31 ID:5xzS3c6H0
狼「おい!まずいぞ!皆逃げろ!」

兵士「おい、だまらないか!」

狼「スライムが気化している!このままじゃ皆危ないぞ」

勇者「何を馬鹿な・・・なに?スライムはどうした!?」

ゴロツキ「それが突然蒸発したみてぇに・・・」

狼「魔王!盗賊!息を止めるんだ!」

勇者「ばかな、こんなことまでできたのか・・・」バタン

兵士「油断した・・・」バタン

魔王(う、意識が遠のいていく・・・)

153: 2012/03/18(日) 12:48:37.28 ID:5xzS3c6H0
――洞窟

スライム「気がついたか」

魔王「皆は・・・」

スライム「無事だ。俺を吸って眠っている。そんなことより呪術師の居場所わかったぞ」

魔王「・・・?」

スライム「勇者の携帯電話を盗んだ。これで居所をつかめるはずだ」

魔王「・・・」

狼「」ビクンビクン

盗賊「」ビクンビクン

魔王「ひっ・・・」

スライム「心配するなじき目覚める」

157: 2012/03/18(日) 13:02:26.35 ID:5xzS3c6H0
スライム「聞いた話によると勇者の仲間の魔法使いが鍵を握っている」

スライム「この携帯からのメールなら信じるはずだ」

スライム「呪術師の居場所どこだっけ・・・と」

魔王「大丈夫なのか」

スライム「心配ない、ほらみろ・・・すぐきたぞエラーメールだ」

スライム「勇者は魔法使いから嫌われているということが分かった。一歩前進だ」

魔王「・・・」

スライム「心配ない」

スライム「俺の千里眼で見つけた」

スライム「テレパシーで呼んだ。テレポートで連れてくる」

呪術師「呼んだ?」

スライム「ついたぞ」

魔王「今までの苦労は・・・」

159: 2012/03/18(日) 13:11:41.43 ID:5xzS3c6H0
スライム「新展開だな起きろ」

狼「おはよう」

盗賊「ここは・・・」

スライム「説明は後だ。呪いを解いてくれ」

呪術師「それは無理だ・・・呪いはもちろん私にも有効で」

呪術師「解呪もできないほど私も弱体化してしまった」

スライム「なるほど、そういうわけだったか」

スライム「あきらめよう」

魔王「皆でひっそり暮らそう」

狼「賛成だ」

盗賊「僕もだ・・・これ以上は命がいくつあっても持たない」

盗賊「正直、何度挑んでも捕まるような気がしている」

魔王「私は素晴らしい仲間に巡り合った」

おわり

引用元: 魔王「おつかい?」