2: 2011/11/19(土) 18:47:23.69 ID:xPxRnDih0

アハハハハハハハハハハハハハ

ほむら「ぐっ!砂が尽きた…」

   「何度やっても…あいつに勝てない…」

アハハハハハハハハハハ……アハハ?

ほむら「また繰り返すしか…」

アハ?アハ…ギャハハハハハハハハハハ!!!!!!

ほむら「え…?」

   「歯車が崩れていく…?」

ギャハ!アハハ…アハハハハ!

  QB「信じられないよ」スッ

   「本当にワルプルギスの夜を倒してしまうなんて」

ほむら「!?」

   「どういうこと?」

  QB「ワルプルギスの夜が結界の外で実体を維持できたのはあの歯車が基板になっていたからさ」

   「歯車さえ崩れれば、あとは勝手に崩壊していくだろうね」

アハ………シュウウウウ………

ほむら「私…勝ったの…?」

  QB「おめでとう、といっておこうか?」

   「全く君はとんだイレギュラーだね」

3: 2011/11/19(土) 18:48:11.36 ID:xPxRnDih0


まどか「ほむらちゃん!大丈夫!?」タタタ

ほむら「まどか…!」

まどか「ひどい怪我…すぐ人を呼んでくるね!」

ほむら「……」

   「私…もう繰り返さなくてもいいの?」

まどか「え?」

ほむら「まどかが氏ぬのをもう見なくて済むの…?」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「ぐすっ……」

   「うわあああああああああああああああああああん!!!!」

まどか「ありがとう」

   「私なんかのためにずっと頑張ってくれたんだね」

ほむら「まどか…まどかぁっ!!」

まどか「よしよし」

   「いいんだよ。もう無理しなくていいんだよ」

   「もう…いいんだよ…」

  QB「……」

4: 2011/11/19(土) 18:48:59.82 ID:xPxRnDih0


----------------------------------------------------

――昨夜のスーパーセルによる被害ですが、
  当時避難指示が出ていたこともあり氏者行方不明者は今のところ出ていません。
  落雷による工場の爆発で避難中の中学生一人が瓦礫に足を挟まれる怪我を負いましたが、
  既に市内の病院で治療を受けており命に別状はありません。
  市は避難指示に問題はなかったとしており――

----------------------------------------------------


5: 2011/11/19(土) 18:49:44.56 ID:xPxRnDih0


見滝原病院

早乙女「暁美さんが無事で本当に良かったわ」

ほむら「ご心配をおかけして申し訳ありません」

早乙女「足の怪我も2週間もすれば治るそうだし、すぐ学校には戻れるわね」

ほむら「あの…その件についてなのですが」

早乙女「?」





早乙女「…それじゃあ。また来るわね」

まどか「あ、早乙女先生!」

早乙女「あら鹿目さん。お見舞い?」

まどか「はい!」

早乙女「そう…」

まどか「?」

   「どうかしたんですか?」

早乙女「いえ、なんでもないわ」
   
   「じゃあまた明日学校でね」

まどか「はーい」


6: 2011/11/19(土) 18:50:30.03 ID:xPxRnDih0


ほむら「まどか。また来てくれたの」   

まどか「当たり前だよ。私の大事な友達なんだから」

ほむら「そう。ありがとう」

まどか「そういえば今日ね、仁美ちゃんが……」

ほむら「まどか」

まどか「ん?」

ほむら「私はもう、見滝原中には戻らないわ」

まどか「え…?」

ほむら「最初からそのつもりだったの」

   「私が貴方の傍にいればまたインキュベーターが貴方に契約を迫るかもしれない」

まどか「そんな…」

ほむら「だからもう私のことは気にしないで」

   「貴方は貴方の家族と友人のことを考えればいい」

まどか「ほむらちゃんは友達だよ!」

ほむら「ならそれも今日までにしましょう」

まどか「!」

ほむら「疲れたわ。もうかえって頂戴」

まどか「ほむらちゃん…」





ほむら「…これでいいのよ」

   「これがまどかのためなんだから…」


7: 2011/11/19(土) 18:51:13.98 ID:xPxRnDih0
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二週間後
見滝原病院

ほむら「今日で退院ね…」

   「結局まどかはあのあと一度も来なかったわね…」

   「……未練がましいわ。諦めなさい私…」

  QB「久しぶりだね、暁美ほむら」スッ

ほむら「…何の用?」

  QB「相変わらず手厳しいね。顔を見に来ることも叶わないのかい?」

ほむら「どの口でそんな台詞を吐けるのかしらね」

   「私はこの街を離れるわ」

   「まどかを勧誘したいのなら勝手にしなさい」

  QB「やれるのならとっくにやっているさ」

   「けれど鹿目まどかはもう魔法少女にはならないだろうね」

   「全く、君のお陰で僕達は大損だよ」

ほむら「いい気味だわ」

   「それじゃ、さよなら。インキュベーター」

  QB「さようなら、暁美ほむら」

   「でも、君とはまた会うんじゃないかな?」

ほむら「どういうこと?」

  QB「僕達はただやられるだけじゃないよ、とだけ言っておくね」

ほむら「…そう。好きにすればいいわ」

   「(インキュベーターの奴、なにか企んでいるの…?)」



8: 2011/11/19(土) 18:51:54.28 ID:xPxRnDih0


帰宅中

ほむら「家に戻るのも久しぶりね…」

ワイワイガヤガヤ

ほむら「何かしら、あの人だかり」

ア!カエッテキタゾ!

ほむら「!?」

 記者「暁美さん!スーパーセルの日について一言お願いします!」

   「魔法を使って化物と戦ったというのは本当なんですか!?」

ほむら「!!?」

   「ちょっと、通してくださいっ…!」

   「何なんですか、一体!?」

 記者「キュゥべえと契約して魔法少女になったというのは本当なんですか!?」

   「一言!一言お願いします!」

ほむら「ぐっ…通してっ…」



9: 2011/11/19(土) 18:52:30.54 ID:xPxRnDih0


ほむら宅

ほむら「やっと家に入れた…」

ドンドンガヤガヤ アケミサン!

ほむら「何がどうなってるの…?」

   「テレビテレビ…」

テレビ『――在、私は魔法少女の一人である暁美ほむらさんの自宅前に来ています。
    先ほど暁美さんが帰ってきたのですが何もしゃべることのないまま家の中へと入っていきました』

ほむら「!?」

ネット『本日正午過ぎ、政府は地球外知的生命体とコンタクトを取ったことを表明』
   『エイリアン、「キュゥべえ」と名乗る』『魔法少女、全世界で数千人規模か』
   『国内行方不明者数十人が魔法少女だったことが判明』

ほむら「こんなこと…」

   「インキュベーター…」

テレビ『――れでは、もう一度魔法少女のリストを見ていただきましょう』

ほむら「!?」

テレビ『このように、見滝原市でも数人の魔法少女がいます。
    残酷なことに、そのうちのほとんどは現在氏亡、もしくは行方不明となっています――』

ほむら「巴マミや美樹さやかまで…」

  QB「やあ。有名人になった気分はどうだい?」スッ

ほむら「インキュベーター!一体どういうつもり!?」

  QB「君が声を荒げるなんて珍しいね、暁美ほむら」

   「なんてことはない、ただ公に魔法少女を勧誘することにしただけさ」

ほむら「なんですって…」

  QB「人類の方から協力してくれれば、僕達のエネルギー回収スピードも大幅に増加するからね」

ほむら「馬鹿馬鹿しい。私達がお前達に協力すると思ってるの?」

  QB「思っているさ。だからこうして様々な情報を流しているのさ」

ほむら「魔法少女の真実を知れば、誰もお前達に協力しようとしないわ」

   「私が一言皆に言えば、お前達は終わりよ」

  QB「君の言うことを一体誰が信じると言うんだい?」

ほむら「え…?」

  QB「一介の魔法少女の言葉を世間が信じると思うかい?」

ほむら「それは…」

  QB「それとも証明のために魔法少女を一人犠牲にするかい?」

ほむら「……」

  QB「まあ、どうするかは君の問題だ、暁美ほむら」

   「幸運を祈るよ」


10: 2011/11/19(土) 18:53:00.83 ID:xPxRnDih0
----------------------------------------------------


翌日
ほむら宅

ほむら「結局一睡も出来なかった…」

   「どうやらインキュベーターは魔女のことも話しているようね」

テレビ『――のように、これまでの集団失踪事件には魔女が絡んでおり――
    ――つまり魔法少女の存在は人々を守るために重要となっていて――』

ほむら「マスコミは魔法少女になることに肯定的だわ」

   「なんとかしないと…」

ドンドン!ホムラチャン!

ほむら「その声、まどか!?」

まどか「よかった、まだいた…」

ほむら「何の用?もう私に関わらないでって言ったわよね」

まどか「ごめんね…でもどうしても話をしたくて…」

ほむら「…テレビのことかしら?」

まどか「うん…」

   「学校でもその話で持ちきりで…私、どうしたらいいか…」

ほむら「貴方は関係ないわ。私達魔法少女の問題だもの」

まどか「でもっ…!」

   「また、魔女になっちゃう子が増えるんでしょ…?」

   「みんなに教えなきゃ…さやかちゃんみたいなことになっちゃうよ!」

ほむら「わかっているわ。でもたった二人の発言じゃ人々は動かないのよ」

まどか「そんな…」


11: 2011/11/19(土) 18:54:22.06 ID:xPxRnDih0


ドンドン!スイマセーン

ほむら「今度は何?」

???「すいませーん、見滝原大学の黒木といいますけどー」

ほむら「大学?」

 黒木「魔法少女の件でちょっとお聞きしたいことがありましてー」

ほむら「話すことなんてないわ」

 黒木「そんな事言わないでくださいよー」

   「魔法少女の研究に協力して欲しいんですー」

まどか「ほむらちゃん…話だけでも聞いてみようよ」

   「二人だけじゃ、どうにもならないんでしょ?」

ほむら「…」

   「いいわ、入って頂戴」

12: 2011/11/19(土) 18:55:56.32 ID:xPxRnDih0

 黒木「いやー参ったねー。マスコミ多いんだもん」

ほむら「で、何を聞きたいのかしら?」

 黒木「うわ、直球だね。自己紹介もなしかい?」

   「僕は黒木佳祐。見滝原大学で宇宙工学をやってる」

ほむら「暁美ほむらよ。もう知ってるわね」

まどか「鹿目まどかです。よろしくお願いします」

 黒木「君も魔法少女なの?」

まどか「い、いえ、違うんですけど…」

ほむら「事情通よ。それで?」

 黒木「うーん。単刀直入に言うとね、魔法少女の仕組みを知るために君を調査したいんだ」

ほむら「例えば?」

 黒木「例えばもなにも、僕らは魔法に関してはなんにも知らない」

   「詳しく研究すれば、色々と知ることが出来るんじゃないかと思ってね」

ほむら「キュゥべえに聞けばいいじゃない」

 黒木「キュゥべえは今首都にいるさ。彼と研究するのは政府直轄の研究所でしか認められないんだ」

   「見滝原は、魔法少女が現存する数少ない地域だからね。その利点を活かしたいわけさ」

ほむら「誰か魔法少女を契約させればいいじゃない」

 黒木「そうだね。これから沢山魔法少女が生まれるだろう」

   「でもね、それじゃ意味が無いんだ」

まどか「どういうことですか?」

 黒木「おそらく、国は魔法少女を全力で援助するだろう」

   「十分な装備を与えられ、ある程度集団で魔女退治を行うことになるはずだ」

   「そうなれば魔法なんて次第に形骸化するに違いないさ」

ほむら「つまり、魔法に長けた魔法少女はいなくなっていくというわけね」

 黒木「そうだ。だから君の力を貸して欲しい」

ほむら「……」

   「残念だけど、貴方の期待には応えられないわ」

 黒木「どうして?」

ほむら「私はもう殆ど魔法を使えないもの」

まどか「え?」

ほむら「私の魔法の大部分は時間停止・時間遡行に関するもの」

   「けれど今の私は時間停止も使えない、時間遡行するともとには戻れない」

   「魔法を使えないのと同等なのよ」

まどか「そんな…」

ほむら「私の魔法はまどかを守る願いで生まれた」

   「まどかが守れた今、もう使う必要はないのよ」

まどか「ほむらちゃん…」

 黒木「僕に分かるように話してもらいたいんだけど?」

ほむら「…」

   「黒木さん。長い話になるけど、いいかしら?」

13: 2011/11/19(土) 18:56:26.02 ID:xPxRnDih0




ほむら「―――というわけ」

 黒木「なんてこった…」

   「しかしキュゥべえ、いや、インキュベーターってのは相当頭がいいな…」

   「今の君の話も証明しようがないし、魔法少女が魔女になるってのもそう簡単に実験できない」

   「第一、もう研究が始まってるんだ。理論的に証明されない限り偉いさん方は信じないだろう」

まどか「どうすれば止められるんでしょうか…」

 黒木「…難しいだろうね」

   「少なくとも相当数の犠牲がないと人々からの反対も得られないか…」

ほむら「貴方は信じるというの?私の話を」

 黒木「信じない要素がどこにある?」

   「君の話に矛盾点はないし、それに…」

まどか「それに?」

 黒木「人々を救うっての、正義のヒーローっぽくていいじゃないか」

まどか「はぁ…」

 黒木「暁美さん。やっぱり君は研究に協力してくれ」

   「魔法が使えなくても、できることはあるはずだ」

ほむら「……いいわ。協力するわ」

まどか「なら私も…」

 黒木「いや、鹿目さんは今まで通りにしていたほうがいい」

まどか「え?」

 黒木「鹿目さんは魔法少女じゃないし、研究に巻き込むわけにもいかない」

まどか「そんな…」

ほむら「心配しないで、まどか。私は大丈夫よ」

まどか「ほむらちゃん…」

 黒木「暁美さん、明日迎えに来るよ」

   「研究所の部屋を貸してあげるから、そこで寝泊まりするといい」

   「ここはマスコミが騒がしいからね」

ほむら「わかりました」

 黒木「それじゃあ、僕は帰るかな」


14: 2011/11/19(土) 18:57:09.06 ID:xPxRnDih0


まどか「ほむらちゃん…私も手伝えないかな?」

ほむら「何度も言わせないで」

   「貴方はこれ以上首を突っ込まないで頂戴」

まどか「でも…」

ほむら「……」

   「私に会いに来るくらいなら、構わないから…」

まどか「…!」

   「うん…じゃあそうするね!」

ほむら「(私の馬鹿…)」


15: 2011/11/19(土) 18:57:39.08 ID:xPxRnDih0

----------------------------------------------------

――政府は、増加する魔女被害の対策のため国をあげて魔法少女の育成に当たることを表明しました。
  これにより、希望者は魔法少女になる代わりに様々な援助を受けることができるようになります。
  主な援助としては就学免除、就労免除や生活保護等があり――

----------------------------------------------------


16: 2011/11/19(土) 18:58:22.68 ID:xPxRnDih0


数週間後
見滝原大学工学研究所

ほむら「見事に黒木さんの言うとおりになったわね…」

 黒木「だいたい考えることはどこも同じさ」

   「もっと行動が早かった国もあるくらいだからね」

ほむら「たった数週間で魔法少女の数が倍以上になった」

   「これからどれほどまで増えるのかしら…」


 黒木「どうだい?その試作機からは魔翌力を感じる?」

ほむら「いえ、全然」

 黒木「うーん。難しいか…」

ほむら「魔翌力の生成なんて簡単にできるわけないわ」

 黒木「そうだよなあ…」

   「増幅器の方は簡単にできたのになあ…」

ほむら「あれは出力の調整が上手く出来なかったじゃない」

 黒木「あーあ。またサンプルを取ってこないといけないか…」

ほむら「また貴方も魔女退治についてくるつもり?」

 黒木「だって直に観察するのは大事だよー?」

   「グリーフシードはすごくいい研究材料なんだからー」

ほむら「勝手にするといいわ」


17: 2011/11/19(土) 18:58:54.24 ID:xPxRnDih0



まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「久しぶりね、まどか」

まどか「どう?研究の調子は」

ほむら「芳しくないわ。魔法少女が増えたお陰で魔女もなかなか研究できない」

まどか「学校でも魔法少女がまた一人契約しちゃって…」

   「先生に怒られるからあんまり反対できないんだよね」

ほむら「仕方ないわ。世界中が契約を推薦しているんだもの」

   「今は耐えるしかないわ」

18: 2011/11/19(土) 18:59:31.12 ID:xPxRnDih0

----------------------------------------------------

――国立魔法少女研究所はキュゥべえの技術協力を受諾し、
  これを機に人類の技術革新に乗り出すことを表明しました。
  また、国連魔法少女委員会は全世界で魔法少女の数が一万人を超え、
  魔女による被害の数は昨年の1/10にまで減少したと発表。国内では――

----------------------------------------------------

19: 2011/11/19(土) 19:00:13.35 ID:xPxRnDih0


見滝原大学工学研究所

ほむら「魔女の数が減っているのに、これ以上魔法少女を増やす必要があるのかしら?」

 黒木「どうやらインキュベーターが魔法少女の増加を要請しているようだね」

   「こんなに急激に魔法少女を増やしてどうするつもりなのか…」

  QB「その答えを知りたいかい?」スッ

ほむら「インキュベーター…」

 黒木「君がインキュベーターかい。はじめまして」

  QB「はじめまして、黒木佳祐」

 黒木「…名前を知ってもらっているなんて光栄だな」

  QB「君達が何やら研究していることは僕達も警戒しているからね」

ほむら「それで?」

   「どうして魔法少女をこんな急激に増やしているのかしら?」

  QB「単純なことさ。もう宇宙にはこれ以上エントロピーを増大させる余裕が無いんだよ」

 黒木「!?」

  QB「僕達インキュベーターにとっても予想外のことで驚いたよ」

ほむら「予想外?」

  QB「僕達の試算では現在の宇宙はもっとエントロピーを抱え込む余裕があった」

   「それがある原因で一気に減少してしまってね」

 黒木「…原因?」

  QB「鹿目まどかの生存さ」


20: 2011/11/19(土) 19:00:45.72 ID:xPxRnDih0


ほむら「………え?」

  QB「他の時間軸では、鹿目まどかはワルプルギスの夜の日の前後に氏ぬか魔女化している」

   「そのため、因果線が複雑に絡んだ鹿目まどかの魂はそれ以上存在することがなかったんだ」

   「だけれど、この時間軸では鹿目まどかの魂は未だ存在している」

   「異常な量の因果線を抱えた鹿目まどかの魂を維持するために、この宇宙は膨大なエネルギーを費やしているんだ」

ほむら「嘘……」

 黒木「そんな…」

  QB「そのすべての元凶は暁美ほむら、君の願いだよ」

ほむら「………」ガタッ

 黒木「暁美さん、しっかりするんだ。暁美さん!」

  QB「君達人類の選択肢は2つだ」

   「宇宙の存続のために、鹿目まどかの魂を消滅させるか」

   「鹿目まどかの魂を存続させるために、世界中の魔法少女を犠牲にするか」

 黒木「インキュベーター…お前…」

  QB「僕を責めないでほしいな。原因は暁美ほむらの時間遡行だよ?」

   「彼女の身勝手のために、宇宙は危機に晒されているんだ」

ほむら「………」

  QB「僕はこれから、国連に同じ話をしてくるよ」

   「人類はどちらを選択するんだろうね?」スッ

ほむら「私のせいで…まどかを氏なせる…私のせいで…」

 黒木「気を確かに、暁美さん!」

ほむら「黒木さん……私、どうすればいいの?どうすれば?」

 黒木「……」


まどか「こんにちわー」

ほむら「あ……」

 黒木「……」

まどか「え?何?どうしたの?」


21: 2011/11/19(土) 19:01:16.41 ID:xPxRnDih0

----------------------------------------------------

【極秘】鹿目まどか(見滝原中二年)の確保もしくは殺害。
    魔法少女の抵抗があった場合は魔法少女との戦闘行為を認める。

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22: 2011/11/19(土) 19:01:46.70 ID:xPxRnDih0


見滝原大学工学研究所

ほむら「何か方法はないの!?」

 黒木「今考えてるさ!」

   「それより鹿目さんには言わなくて大丈夫?」

ほむら「後で言うわ。今言ってる余裕はない」

 黒木「……」

ほむら「因果線なんてどうしたらほどけるというの…?」

 黒木「ほどく…?」

   「…!」

   「1つだけ、方法があるかもしれない」

ほむら「え!?」

 黒木「インキュベーターは彼女の魂に因果線が"絡んでいる"と言った」

   「あくまで"絡んでいる"という表現を使ったのなら、彼女の魂と因果線は分離可能なはずだ」

   「インキュベーターが君の魂を取り出しソウルジェムにしたように、彼女の魂"だけ"を抜き取ることができたら?」

   「彼女の魂を因果線から解放できるんじゃないか?」

ほむら「できると思う?」

 黒木「できなけりゃ、そこで終わりさ。彼女も僕達も」

   「ただ、1つだけ問題が…」

ほむら「何?」

 黒木「その装置、国立研究所にあるんだよね」

ほむら「そんな…!どうやって忍びこむというの…!」

 黒木「だよねえ…」

ほむら「……」

   「ねえ。あの魔翌力増幅器、使えるかしら?」

 黒木「使えるけど…君は魔法が使えないんだろ?」

ほむら「できなきゃ終わりよ。まどかも、私達も」


23: 2011/11/19(土) 19:02:19.11 ID:xPxRnDih0




 黒木「――というわけだ。君の魂が宇宙の運命を左右してる」

ほむら「大丈夫よまどか。私達が必ず貴方も宇宙も救ってみせる」

まどか「そんな…私が生きてるせいで宇宙が滅びちゃうなんて…」

ほむら「それは違うわ。すべての責任は私にあるわ」

 黒木「今は責任なんて言ってる場合じゃない。後悔しても、何も変わらないさ」

まどか「ほむらちゃん…黒木さん…」

ほむら「私達を信じて。お願いだから氏のうなんて思わないで」

まどか「わかってるよ。ほむらちゃん。何度も言われたもんね」

   「私が氏んだら、悲しむ人がいっぱいいる。だから私は、氏なない」

   「お願い、二人とも。私を助けて!」

ほむら「まどか…!」

 黒木「さて、準備はいいかい?」

ほむら「ええ」

 黒木「よし、いくよ」

ほむら「(お願い…私の力はもう残っていないけれど)」

   「(もう一度…もう一度だけ、私にまどかを守らせて…!)」

ダンダン!バァン!

 兵士「いたぞ!ここだ!」

   「鹿目まどか、政府の命令により連行させてもらう!」

 黒木「やめろ!近寄るんじゃない!」バチィ

 兵士「くっ…!魔女の結界だと!面倒な…」

   「ええい、撃て!結界なんぞ撃ち破れ!」

 黒木「まずい!」

ほむら「(お願い!私にまどかを守らせてっ!)」


24: 2011/11/19(土) 19:02:47.70 ID:xPxRnDih0





カチン





25: 2011/11/19(土) 19:03:17.71 ID:xPxRnDih0


 兵士「……………」

 黒木「……へ?」

ほむら「やった……止まったっ!」

まどか「すごい!すごいよほむらちゃん!」

 黒木「どうなってるんだい…?」

ほむら「私の周囲の数メートル以外は時間が止まっているわね」

   「私の時間停止がいつまで続くかわからない」

   「さあ、急いで国立研究所へ」

 黒木「よし、車に乗って!」


26: 2011/11/19(土) 19:03:55.95 ID:xPxRnDih0
----------------------------------------------------


国立魔法少女研究所

 黒木「よし着いた!ここだ!」

まどか「ほむらちゃん!大丈夫!?」

ほむら「ええ…なんとか」

   「でも、もう限界かも」

 黒木「急ごう!」


 黒木「これだ!この装置に入って!」

ほむら「まどか…」

まどか「ほむらちゃん…また助けてくれて、ありがとう」

   「私、信じてるからね」

ほむら「まどか…まどかっ!」ダキッ

まどか「よしよし」


 黒木「それじゃあ、作動させるよ」

まどか「お願いします」


27: 2011/11/19(土) 19:04:26.44 ID:xPxRnDih0


ほむら「どれくらい時間がかかるの?」

 黒木「わからない。因果線をくぐり抜けながら魂を取り出すのは簡単じゃないからね」

ほむら「そう、私の時間停止もこれ以上続けられないわ」

 黒木「…どこに行くつもりだい?」

ほむら「時間が流れれば、また追手が来るわ」

   「私はそれを食い止める」

 黒木「…そうかい」


カチン


ヴーッヴーッ

 黒木「警報か、早いな…」

ほむら「じゃあ、行ってくるわ」

 黒木「気をつけるんだよ」

ほむら「ええ。まどかをお願い」

 黒木「任せて」


28: 2011/11/19(土) 19:05:04.52 ID:xPxRnDih0
----------------------------------------------------


見滝原大学工学研究所

 兵士「なっ…消えた!?」

   「ちくしょう!逃げられた!」

   「どこ行った!?探せっ!」


----------------------------------------------------

29: 2011/11/19(土) 19:06:00.48 ID:xPxRnDih0


国立魔法少女研究所

 兵士「いたぞ!あそこだ!」

   「相手は一人だ!突破しろっ!」

ほむら「使える武器は銃だけ」

   「少し厳しいわね」



 兵士「小娘一人に時間をかけるな!」

   「人員を増やせ!」

ほむら「まずいわね」

   「私一人じゃカバーしきれない…」

  QB「首尾はどうだい?暁美ほむら」スッ

ほむら「…!」

   「よく抜け抜けと姿を現せるものね」

  QB「そんな言い方は心外だなあ」

   「援軍を呼んできたというのに」

ほむら「え、援軍?」

???「そうよ!」

ほむら「!」

少女1「私達が手伝うわ!頑張って!」

ほむら「!?」

少女2「同じ女の子を犠牲になんてできない!」

ほむら「!!?」

少女3「一人も研究所に入れちゃ駄目よ!」

ほむら「貴方達…魔法少女!?」

   「一体どういうことなの!?」

少女1「キュゥべえが教えてくれたの」

   「まどかさんを氏なせるなんておかしいわよ」

少女4「大丈夫。私達が守ってあげる!」

   「だから安心して!」

ほむら「インキュベーター…どうして…」

  QB「作戦の変更だよ」

   「彼女達を魔女にするよりこっちのほうが手っ取り早いだけさ」


30: 2011/11/19(土) 19:06:34.24 ID:xPxRnDih0


ほむら「え…?」

   「でも魔女にならないとエネルギーが…」

  QB「僕が一度でも、感情エネルギーの回収方法が魔女化だけだと言ったことがあるかい?」

   「思い返してごらんよ」

   「感情エネルギーの原因は"希望と絶望の相転移"だと言っただろう?」

   「"相転移"なんだよ、暁美ほむら」

   「友人を得て希望の絶頂にいた巴マミが直後に絶望に落とされたことや」

   「愛する人を救い希望を求めた美樹さやかが絶望しか得なかったことは」

   「確かに感情エネルギーの回収方法としては一番魅力的だ」

   「でもね、逆に」

   「絶望の果てに愛と共に氏ぬことを希望とした佐倉杏子の想いや」

   「長年の苦労の果てに絶望の淵から立ち直った暁美ほむらが手に入れた希望も」

   「十分な感情エネルギー足りえるのさ」

ほむら「…」

  QB「勿論、魔女化が一番効率のいいエネルギー回収方法だということは否定しない」

   「けれど、まどかの魂が解放されることで宇宙のエントロピーの増加が減速し」

   「絶望の運命にある魔法少女達が希望を得るとしたら」

   「それはもう十分なエネルギーになり得るという結論に達したんだよ」

ほむら「嘘…信じられない…」

  QB「僕だって信じられないさ」

   「一個体の消滅で全個体が救われるというのに、その一個体のために多くの個体が苦労を惜しまない」

   「どうして人間ってのはこうもイレギュラーな生き物なんだい?」

ほむら「皆が…まどかの為に…」

   「………ありがとう」


31: 2011/11/19(土) 19:07:08.09 ID:xPxRnDih0

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――先日の魔法少女達の大規模な抵抗を受け、国連は昨日キュゥべえと魔法少女の契約解除についての交渉を始めました。
  魔法少女について重要な事項を隠していたことを論拠としており――


――ですから、魔法少女の本来の目的は宇宙の熱的氏を防ぐものでありその目的は果たせたと――
――しかし、魔女の存在がある以上それを倒す使命があるのでは――

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32: 2011/11/19(土) 19:07:57.48 ID:xPxRnDih0


見滝原大学工学研究所

 黒木「やれやれ、宇宙の寿命は無事延びたってのに」

   「問題は山積みだねえ」

  QB「魔女になる必要がなくなったというのにどうしてもとの人間に戻りたがるのか理解に苦しむよ」

   「たかか魂の在処なんて拘る程でもないだろう?」

 黒木「そこに拘るのが人間なんだよ」

   「方法がないわけじゃあないんだろ?」

  QB「当たり前じゃないか」

   「自分たちの技術の影響を元に戻せないなんてことはありえないよ」

 黒木「…昔からそんな態度だったら暁美さんみたいに苦しむことはなかっただろうに…」

  QB「状況が違うからね。今はもうエネルギー回収に固執する必要がなくなったから」

 黒木「また宇宙の最後が近づいたらどうする?」

  QB「その時はまた君達人類の感情エネルギーを利用させてもらうよ」

   「それまでには人類が新たなエネルギー回収方法を開発しているかもしれないしね」

 黒木「人間を諦める気はないのかい?」

  QB「当分はないだろうね。感情をもつ種というのはそう多くはないんだよ」

   「それに」

   「人類の行動原理というものは、非常に興味深いからね」

   「どんなイレギュラーを起こしてくれるのか、もう少し様子を見ることにするよ」


33: 2011/11/19(土) 19:08:34.10 ID:xPxRnDih0
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まどか「ほむらちゃんおはよう」

ほむら「おはよう、まどか」

   「学校に行くの久しぶりだわ」

まどか「皆ほむらちゃんを待ってるよ」

   「さあ、早く行こ?」


ほむら「(もう失ったりしない)」

   
   「(私の、最高の友達)」


                                     終

34: 2011/11/19(土) 19:10:32.58 ID:xPxRnDih0

以上です。
最後の展開はちょっと駆け足だったかなと思います。

QBの視点で魔法少女を救いたいと考えた結果がこのストーリーです。


どこそこがおかしい、わからなかった、こうしたほうがいい等
意見があったら今後の参考にしたいので書いていただけるとありがたいです。


では、駄文失礼しました。

36: 2011/11/19(土) 19:33:03.21
乙です

引用元: ほむら「ワルプルギスの夜を倒せた」 QB「」