1: 2011/11/29(火) 10:06:57.28 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「なんでさ?」

キョンシー「だって、氏体しかいねーし」

キョンシー「あ、そっか」

キョンシー「体はくせーしよ、これはやばいって」

キョンシー「我々のケンポーも一代で潰えたか」

キョンシー「腐敗した肉体から格闘王へと栄華を極めた流転……は夢に終わりましたな」

キョンシー「何がいけなかった?」

キョンシー「しらねーよ」

キョンシー「近所の合気道場とかちょっと潰しにいこーぜ」

キョンシー「それいいな」

キョンシー「やめろ。あそこの師範代、マジつえーから。俺たちが束になってもかてやしねー」

キョンシー「じゃ、駄目だな。痛いの嫌だし」

少女「―――すいませーん。門下生募集のチラシをみたんですけどぉ」

キョンシー「!?」

2: 2011/11/29(火) 10:10:10.25 ID:Cy2S9xvU0
少女(うわ、なんか卵が腐ったようなにおいがする……)

キョンシー「うはっ!!なんかきたよ!!」ピョンピョン

少女「わぁ!?」

キョンシー「なになに?門下生になりたいの?」ピョンピョン

少女「あ、えと……はい……(くっせぇ)」

キョンシー「とりあえず入って入って」

少女「し、失礼します」

キョンシー「かわいいじゃん」

キョンシー「JCかな?」

少女(何……?みんな肌の色がおかしいけど……)

キョンシー「ささ、座って」

少女「あ、はい……」

3: 2011/11/29(火) 10:14:17.41 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「はい、粗茶ですが」

少女「どうも……」

少女(なんかゴミが浮いてるし……)

キョンシー「よくこんなところまで来たねー」

少女「はい」

キョンシー「なんで?」

少女「あの……私、強くなりたくて……人知れず……」

キョンシー「だから、こんな場所を?」

少女「はい、そうです。できるだけ誰にも知られていないような場所を探してて……ここを見つけました」

キョンシー「そっかぁ。なんで強くなりたいの?」

少女「それ、言わないと駄目ですか?」

キョンシー「あ、いや、ごめんごめん。言わなくてもいいよ。理由なんて人それぞれだしねえ」

少女「……」

キョンシー「じゃあ、この契約書をよく読んでからサインしてね」

少女「は、はい……」

4: 2011/11/29(火) 10:18:49.64 ID:Cy2S9xvU0
少女(意外とちゃんとしてる……)

キョンシー「で、どう?本当にやる?」

キョンシー「正直、今日で道場閉めちゃおっかぁって話してたぐらいなんだけど」

少女「そうなんですか?じゃあ、迷惑ですよね。これで失礼―――」

キョンシー「逃がさないよ」ピョンピョン

キョンシー「なぜにげる?」ピョンピョン

少女(囲まれた……)

キョンシー「迷惑でも失礼でもないから安心してくださいよ」

少女「はぁ……」

キョンシー「はい、サインしてね。月謝は5元でいいから」

少女「えっと……通貨単位がよくわからないんですが。円にするといくらです?」

キョンシー「なんだよ文無しかよぉ」

キョンシー「ざっけんな!ざっけんな!!」

少女(なんか怖い……)

5: 2011/11/29(火) 10:23:24.18 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「じゃあ、しばらくは体験入門って形で3ヶ月間は無料でいいよ」

少女「本当ですか!?」

キョンシー「キョンシー、嘘つかないネ」

少女「じゃあ、お願いします」

キョンシー「今日から早速稽古に入る?」

少女「えっと……でも、道着がないですけど」

キョンシー「おお。ミステイク」

キョンシー「じゃ、また明日おいで。用意しとくから」

少女「わかりました。あ、道着の代金は?」

キョンシー「無料でいいよ。ただ、三ヶ月以内にやめたら10元ね」

少女「は、はい……」

少女(1元って何円なんだろう……?)

キョンシー「それじゃあ、また明日ね。何時にきてもいいから。誰もいねーし」

少女「はい。これからよろしくお願いします」

キョンシー「まかせとけー」

7: 2011/11/29(火) 10:26:22.47 ID:Cy2S9xvU0
翌日

少女「お邪魔します」

キョンシー「きたー!!」ピョンピョン

キョンシー「まってたよーん」ピョンピョン

少女「こわ……」

キョンシー「道着、みたい?」

少女「もちろんです」

キョンシー「向こうの更衣室に用意しておいたから、着替えておいで」

少女「わかりました!」

キョンシー「デュフフフ」

キョンシー「胸が高鳴りますなぁ」

キョンシー「全くです」

少女(なんかみんなの視線がいやらしい……)

8: 2011/11/29(火) 10:30:50.28 ID:Cy2S9xvU0
更衣室

少女「ここかぁ」

ガチャ

女キョンシー「わぁ!?」

少女「誰!?」

女キョンシー「おっおっ……」ピョンピョン

少女「あのぉ……」

女キョンシー「……」ジーッ

少女(物陰から睨まれてる……)

女キョンシー「あ、あなたが……新人さん?」

少女「は、はい……今日からここに通うことになりました」

女キョンシー「ふーん……」

少女「……」

女キョンシー「―――何見てるのよ!!」

少女「いや……あの、貴女こそなんでここに?」

9: 2011/11/29(火) 10:36:29.41 ID:Cy2S9xvU0
女キョンシー「女だから更衣室で着替える、これ、自然の摂理アル」

少女「そ、そうですか」

少女(変な人……早く着替えよう)

女キョンシー「……」ジーッ

少女「えっと……私の道着は……これかな?」

少女「どんな道着なんだろう……?」ゴソゴソ

女キョンシー「……」ジーッ

少女「……こ、これ……足のところが大きく開いてる……!?」

女キョンシー「それはチャイナドレス。動きやすいよ?」

少女「いやぁ……これって貴女みたいにプロポーションがいい人が着るべきものじゃぁ……」

女キョンシー「え……?」

少女「私みたいなちんちくりんが着ても面白いだけ……」

女キョンシー「ちょっと……今、私のことなんていった?」

少女「え……プロポーションがいい人……」

女キョンシー「いい子ね!!気に入ったわ!!」ピョンピョン

11: 2011/11/29(火) 10:45:56.41 ID:Cy2S9xvU0
少女「ちょ……?!近づいてこないで……くさい……」

女キョンシー「ふふん……私には遠く及ばないけど、あなたも相当可愛いし、まあ、着てみたらいいんじゃないの?」

少女「えぇ……?」

女キョンシー「ほらほら」

少女「きゃ……やめ……」

女キョンシー「きがえたきがえた」

少女「じ、自分でやりますから!!」

女キョンシー「そう?」

少女「もう……」

女キョンシー「はやくするアル」

少女「はいはい……」

少女(なんで道着がチャイナドレス……恣意的すぎる……)

少女(でも、強くなるためなら……なんだってする……!!)

少女「うん……できた」

女キョンシー「かわいいじゃない……」ハァハァ

12: 2011/11/29(火) 10:53:36.19 ID:Cy2S9xvU0
少女「できました」

キョンシー「お、きたね」

少女「よろしくお願いします」

キョンシー「はい。よろしく」

少女「まずはなにから?」

キョンシー「準備体操からだねー」

少女「そうですね」

キョンシー「じゃ、やろうか」

キョンシー「ミュージックスタート」

ラジカセ『腕を大きく上にあげて背伸びの運動!さん、はい!』

少女「よっと……」グッグッ

キョンシー「はいはい!」ピョンピョン

少女「……」グッグッ

キョンシー「よっ!はっ!」ピョンピョン

少女「はぁ……」グッグッ

14: 2011/11/29(火) 11:15:33.05 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「ふう。いい汗かいた」

少女(飛び跳ねてただけじゃ……)

キョンシー「では、さっそく稽古を始めましょう」

少女「お、おす!」

キョンシー「じゃあね……あそこに的があるのわかる?」

少女「はい。あの丸いやつですね」

キョンシー「そうそう。でね、そこにこれを打ち込んでもらうから」

少女「なんですか、それ?ナイフ?」

キョンシー「そう。―――おい」

女キョンシー「はっ」ピョンピョン

キョンシー「やれ」

女キョンシー「わかりました。では……せいやー!!!」シュ

少女「……外れましたね」

女キョンシー「なんか文句ある!?たまにはあるわよ!!」ピョンピョン

少女「こわいです……」

16: 2011/11/29(火) 11:24:24.08 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「ま、やってみてよ」

少女「わ、わかりました……」

女キョンシー「手首のスナップが肝心よ?」

少女「……ていっ!」シュ

スコン!!

少女「あ、刺さった……」

キョンシー「ちょ!!額とかわざとぉ!?」

少女「ああ!!ごめんなさい!!!大変!!!救急車!!!」

キョンシー「もう……よっと」

少女「え……」

キョンシー「次から気をつけてね」

少女「え?え?い、いま……ナイフが刺さったのに……」

キョンシー「ふははー!!我々はキョンシーですから、氏にませんよー」

少女「きょんしー?きょんしーってなんですか?」

キョンシー「え?!マジ!?キョンシー知らないの?!カルチャーショックなんですけど!?」ピョンピョン

18: 2011/11/29(火) 11:32:58.88 ID:Cy2S9xvU0
少女「すいません……」

キョンシー「おーい。黒板もってきてー」

キョンシー「うーっす」ガラガラ

少女「……」

キョンシー「えー、ではキョンシー講座を始めます」

キョンシー「いえーい」パチパチ

キョンシー「いいぞー」ヒューヒュー

少女「えっと……稽古……」

キョンシー「キョンシーはですね、現代でいうところのゾンビですね」

少女「ぞんび……?」

キョンシー「ゾンビも知らないの?はぁ……これだからゆとりは……」

少女「あ、いえ……ゾンビってあの……氏体が動き回るやつ、ですか……?」

キョンシー「おうよ」ピョンピョン

少女「あの……じゃあ、みなさん……ゾンビ、なんですか……?」

キョンシー「当たり前よ」ピョンピョン

19: 2011/11/29(火) 11:39:40.93 ID:Cy2S9xvU0
少女「……か、かえります!!!」ダダッ

キョンシー「にがすなぁ!!!」ピョンピョン

少女「ひぃ!?」

キョンシー「へいへい。そんなケツの締りが悪いこと、許さないよ?」ピョンピョン

キョンシー「こっちだって慈善事業じゃねーんだよ?」ピョンピョン

少女「あぅ……くさい……」

キョンシー「ゾンビって知ってビビるとか、どれだけチキンなんよ?」

少女「で、でも……ゾンビって生きてる人間を襲ったり……するんですよね?」

キョンシー「あぁ!?」

少女「ひぃ……」

キョンシー「襲うなら君がここに来た時点でおそっとるがな」

キョンシー「うんうん」

少女「あ、そうですね……」

女キョンシー「まぁ、別の意味で襲うかもしれないけどね……うふ」

少女「ちょ……」ゾクッ

23: 2011/11/29(火) 12:03:19.14 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「私たちもさぁ、変なイメージがついちゃってて国を追われたんだよねえ」

少女「国?」

キョンシー「我々は中国の生まれなんだけど、三年前にキョンシー一掃計画が持ち上がってねえ……」

少女「それで日本に?」

キョンシー「そう。亡命ってやつ?」

キョンシー「ゾンビだけに亡命だって!!」

キョンシー「ぎゃははは!!!」

少女「……」

キョンシー「ま、そこで人間たちと友好関係が結べないものかと思ってね」

女キョンシー「その第一歩として道場を開いたわけ。二年前に」

少女「はぁ……」

キョンシー「ついに現れた門下生が君なんだ!!逃がすわけないっしょ?!」

少女「そ、そうですか……」

キョンシー「さ、がんばってくれるね?」

少女「ま、まあ……強くなれるなら……」

26: 2011/11/29(火) 12:08:34.28 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「じゃあ、今日は投げナイフ1000本いっとくか」

少女「え……?」

女キョンシー「こうよ、こう?」シュッシュッ

キョンシー「あぶねえ!?的ねらえや!!」

少女「こ、こう……?」シュ

キョンシー「あ」ブスッ

少女「刺さった……」

キョンシー「才能ないよ!!」ピョンピョン

少女「えぇ……」

女キョンシー「そんなこといわないの!素人なんだから!!」

キョンシー「でもさぁ」

少女「あの……」

女キョンシー「なぁに?」

少女「もっと……拳法っぽいことはしないんですか?」

女キョンシー「どういうこと?」

27: 2011/11/29(火) 12:13:24.05 ID:Cy2S9xvU0
少女「こう……蹴りとか!!」ブン

キョンシー「うほ……縞パンだ……」

キョンシー「まじか!?みえんかった!!」

少女「きゃぁ!?しまったぁ!?」

キョンシー「アンコール!アンコール!!」

少女「や、やりません!!!」

キョンシー「えー?」

少女「と、とにかく、もっと拳とか脚を使うような……拳法がいいです」

女キョンシー「でも、これが私たちのケンポーだしね」

キョンシー「うんうん」

少女「えぇ……これじゃあ……意味が……」

キョンシー「駄目なの?毒針とかもあるよ?」

少女「い、いりません!!」

女キョンシー「わがまま……な、お尻ね」ペロン

少女「きゃぁぁ!?!?!」

28: 2011/11/29(火) 12:18:13.62 ID:Cy2S9xvU0
少女「やめてください!!」ブゥン

キョンシー「ぐひぃ!?」

女キョンシー「見事な蹴りね」

キョンシー「みえた?」

キョンシー「バッチリ」

少女「はぁ……はぁ……もういいです!!帰ります!!」

キョンシー「にがすなぁ!!」ピョンピョン

キョンシー「うーっす」ピョンピョン

少女「せいやぁ!!」バキィ

キョンシー「つえー!!」

少女「失礼しました!!」

キョンシー「あ、チャイナドレスで帰ったぞ……」

少女「……」ツカツカ

キョンシー「あ、帰ってきた」

キョンシー「かわいいな。もう、絶対に逃がさないぜ、ニヒヒ」

29: 2011/11/29(火) 12:24:42.23 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「でもさぁ、このままじゃあ、あの子は愛想尽かせちゃうぜ?」

キョンシー「そうだよなぁ……俺たちのケンポーに不満があるっぽいし」

キョンシー「どうする?」

キョンシー「うーん……」

キョンシー「ただいまー」ピョンピョン

キョンシー「おま……どこ行ってたんだよ?!」

キョンシー「え?ツタヤに、昨日借りたガンダム08小隊返しにいってたんすよ」ピョンピョン

キョンシー「あれは名作だもんなぁ」ピョンピョン

キョンシー「そっすよね。あ、それとジャッキーのやつを借りてきたっす。あとでみましょーぜ」

キョンシー「ジャッキー?ジャッキーチェン?」

キョンシー「うす。酔拳とプロジェクトAを」

キョンシー「王道だな。だが、それがいい」

キョンシー「よし、なんかもう今から見ようぜ。することないし」ピョンピョン

キョンシー「うーっす」ピョンピョン

30: 2011/11/29(火) 12:30:00.67 ID:Cy2S9xvU0
テレビ『ハァァァ!!』ドガァ

キョンシー「おお……」

キョンシー「かっこいいですねよねぇ」

キョンシー「まったくだな」

キョンシー「こんな感じですね」ユラァ

キョンシー「こうじゃないか?」ユラァ

キョンシー「はぃぃぃ!!」ビシィ

キョンシー「いいっすね。俺も……ツァーッサィ!!!」

キョンシー「これ、なんか楽しいですね」ピョンピョン

キョンシー「うんうん」ピョンピョン

キョンシー「これ、あの子に教えようぜ」

キョンシー「いいねいいね」ピョンピョン

キョンシー「じゃあ、さっそく酔拳について学ぶか」

キョンシー「はーい」ピョンピョン

34: 2011/11/29(火) 12:40:01.20 ID:Cy2S9xvU0
翌日

少女(やっぱりもう辞めよう……新しい道場でも探そうかなぁ……)

少女「おはようございます」ガチャ

キョンシー「せいやぁ!」ババッ

キョンシー「あちょー!!」ブボボ

少女「え……?」

キョンシー「あ、ちーっす」ピョンピョン

少女「な、なにを……?」

キョンシー「どうよこれ!!酔拳をとりいれてみたよ!!」ピョンピョン

女キョンシー「酔えば酔うほど強くなる……」ピョンピョン

少女「……」

キョンシー「どう?」

少女「あの……馬鹿、なんですか?」

キョンシー「だれが!?だれが馬鹿だって?!あぁん?!」ピョンピョン

キョンシー「理由をいえ!!このアバズレ!!」ピョンピョン

36: 2011/11/29(火) 12:45:36.24 ID:Cy2S9xvU0
少女「そんなジャッキーに影響されたからって……」

キョンシー「え?!なんでしってんの!?」

キョンシー「や、やだ……この子ったら……覗き?!」

少女「違います!!そこにDVDがあるじゃないですか!!」

キョンシー「おいおいー、ちゃんと仕舞っとけよ。かっこわりいだろぉ?」

キョンシー「すんませーん」

少女「だいたい、酔拳なんて一日やそこらでマスターできるわけないじゃないですか」

キョンシー「んだと?やってみないとわかんないでしょ?」

キョンシー「そーだそーだ」ピョンピョン

少女「いや……みんなで今から練習するんですか?」

キョンシー「そのつもりだ」

キョンシー「そうアル」

少女「……あの、もう辞めます」

キョンシー「なに……?」

少女「ここじゃあ、強くなれません。だから、辞めます」

37: 2011/11/29(火) 12:58:25.89 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「辞めるなんて……」

少女「道着の代金はお支払いします。それでは」

キョンシー「まちな!!」ピョンピョン

少女「……」

キョンシー「君は誤解している」

少女「誤解……?明白のような気がしますが」

キョンシー「君は我々が弱いと思ってませんか?」ピョンピョン

少女「違うんですか……?」

キョンシー「ええ、ええ」ピョンピョン

キョンシー「俺たち、まじつえーから」

キョンシー「いてこますぞ?ねーちゃん?」ピョンピョン

少女「わかりました……どうぞ」スッ

キョンシー「え……?」

少女「私に勝てれば……認めます」

キョンシー「おぉ……マジで……?」

38: 2011/11/29(火) 13:04:17.91 ID:Cy2S9xvU0
少女「さあ、きなさい」

キョンシー「だれが行く?」

キョンシー「おまえいけよ」

キョンシー「やだよ」

キョンシー「おれだって……」

少女「……」

女キョンシー「私がいくわぁ」

キョンシー「マジで?!」

キョンシー「がんばってぇ」

女キョンシー「ふふ……かわいがってあげるわ」ピョンピョン

少女「……」

女キョンシー「―――でぇぇぇい!!!」シュッ

少女「ナイフ?!」

サクッ

キョンシー「……ひでえ……なんでこっちに投げんの?」グスッ

40: 2011/11/29(火) 13:12:52.83 ID:Cy2S9xvU0
少女「……」

女キョンシー「ふふ、流石ね。こんなことじゃ動じないのね」

少女「まぁ……」

女キョンシー「じゃあ、本気で行くわよ!!―――ズァ!!」バッ

少女「うわぁ!剣?!」

女キョンシー「これが私たちのケンポーだもん」

少女「……まあ、いいです」

女キョンシー「いくわよぉ……せいや!せいや!!!」ブンブン

少女「ちょ!そんなに振り回されたらあぶない!!」

女キョンシー「おほほほ!!」ブンブン

少女「くっ……」

少女(隙だらけなんだけど……)

女キョンシー「手も足もでないでしょう!?」ブンブン

少女「……はぁ!!!」ドガァ

女キョンシー「うぞぉ!?」

41: 2011/11/29(火) 13:19:21.18 ID:Cy2S9xvU0
女キョンシー「ま、まさかのせいけんづき……」

少女「はぁ……もういいです」

キョンシー「まちな」

少女「なんですか?」

キョンシー「この人数を敵にしてここから逃げられるとでも?」

少女「くさ……」

キョンシー「ふふふ……」

キョンシー「もうファンクラブまで作ったんだから、逃がすわけねえよ……」

キョンシー「あぁ……会員ナンバー1番はもらったぜ……」

少女「知りません」

キョンシー「さあ、いくよ!!」

キョンシー「「おぉー!!!」」ピョンピョン

少女「くっ……」スッ

キョンシー「あちょー!!」

少女「―――はぁ!!!」

42: 2011/11/29(火) 13:25:33.31 ID:Cy2S9xvU0
少女「……終わりです」

キョンシー「な、なんだよ……この子……」

キョンシー「強すぎだ……」

キョンシー「なんで、道場きたの……?」

少女「……さようなら」

キョンシー「あぁ……まって……」

女キョンシー「おぉ……」

少女(もっと強い人がいる道場を探さないと……)

キョンシー「なんだよ……もう」

キョンシー「いっちゃったね」

キョンシー「どうする?」

キョンシー「うーん……」

キョンシー「そもそも、どうしてここにきたんだろうね?十分強いじゃん」

キョンシー「ねー?」

43: 2011/11/29(火) 13:33:01.54 ID:Cy2S9xvU0
翌日 学校

少女「はぁ……」

「おっはー」

少女「おはよう」

「で、あの件はどうなったの?」

少女「まだ」

「へえ……」

少女「なに?」

「いや、てことは先輩と付き合うの?」

少女「やめてよ……」

「だってさぁ」

少女「……」

少女(約束の日まであと一週間……先輩に勝たなきゃ……)

少女(付き合うことに……なる……)

少女(それだけは……いやぁ……)

48: 2011/11/29(火) 14:47:49.30 ID:Cy2S9xvU0
放課後 通学路

少女「はぁ……」

少女(あの人には今のままでは絶対に勝つことは出来ない)

少女(今以上の力をつけないと……)

少女「どこかに良い道場はないかなぁ……」

少女「……」

キョンシー「レイレイっているじゃん?」ピョンピョン

キョンシー「あのなんちゃってキョンシー?」ピョンピョン

少女「ぶっ!?」

キョンシー「あ!!あの子だー」ピョンピョン

キョンシー「これが運命ですかね!?」ピョンピョン

少女「な、なんで……!?」

キョンシー「いやぁ、探してたんすよ」

少女「だ、だから、近づかないで……くさい……」

キョンシー「ささ、いきましょう」ピョンピョン

49: 2011/11/29(火) 14:51:23.90 ID:Cy2S9xvU0
少女「は、はなしてください!!」

キョンシー「なんで?」

少女「なにが目的ですか?!」

キョンシー「なにって……門下生を迎えにきたんどす!!」

キョンシー「有無を言わせない!!」

少女「私はもうやめたんです!!破門にしてください!!」

キョンシー「オーバードライブがなんだって?」

キョンシー「わはは」

少女「頭、いたい……」

キョンシー「とりあえず君の事をもう少し知りたいんだよ」

キョンシー「お願いします」

少女「どういうことですか……?」

キョンシー「いいから。少しだけ時間をくれない?」

少女「わ、わかりました……」

50: 2011/11/29(火) 14:55:46.67 ID:Cy2S9xvU0
道場

キョンシー「老師!!お連れしました!!」ピョンピョン

少女「老師……?」

キョンシー「やぁ、老師です」

少女「いや……どこが違うんですか?」

キョンシー「老師って名前のキョンシーです」ピョンピョン

少女「それで、私になんの御用でしょうか?」

キョンシー「いやね、貴女はすごく強いじゃないですか」

少女「……」

キョンシー「なのにどうして強さを求めているのかがどうしても気になって」

少女「それは……」

女キョンシー「世界一の格闘家でも目指すの?」

少女「えっと……」

キョンシー「「お願いきかせてー」」ピョンピョン

少女「だ、だから……近づかないで……くさい……」

51: 2011/11/29(火) 15:01:44.66 ID:Cy2S9xvU0
少女「実は、交際を迫られてまして……」

キョンシー「どうぞ、粗茶です」

少女「どうも。……その相手が、全国クラスの空手家なんです」

キョンシー「ほうほう」

少女「その人、しつこいぐらい付き合ってほしいって迫ってきて……何度も断ってるんですけど、全然あきらめてくれなくて」

キョンシー「それから?」

キョンシー「鬼ごっこしよーぜ」ピョンピョン

キョンシー「いいよー」ピョンピョン

少女「で、どうしたら諦めてくれますかって言ったんです」

キョンシー「イナバウワー」ピョンピョン

キョンシー「トリプルアクセル」ピョンピョン

少女「……そうしたら勝負して負ければ諦めるって……でも、勝てば付き合ってもらうって」

キョンシー「ひどい話ですな」

少女「はい」

キョンシー「おーい、Zガンダム借りてきたやつだれよー?Vがみたいっていったでしょー?」

52: 2011/11/29(火) 15:06:23.76 ID:Cy2S9xvU0
少女「あの、私の話、聞く気あります?」

キョンシー「あるよ」

キョンシー「08小隊はぁ?」

キョンシー「銃身が焼きつくまでー?」

キョンシー「撃ち続けてやるぅ」

少女「……帰ります」

キョンシー「あーん、まってよぉ。じょうだんじゃーん」ピョンピョン

少女「……」

キョンシー「でも、君の強さなら問題なくない?」

女キョンシー「うんうん」

少女「いえ……その人は格上です。まともにやってもまず勝てません」

キョンシー「だから、道場破りを?」

少女「はい……いえ、道場破りはしてません」

キョンシー「難儀な話ねえ」

キョンシー「つーか、その先輩を俺たちがフルボッコにすればいいだけじゃん?」

53: 2011/11/29(火) 15:11:02.80 ID:Cy2S9xvU0
少女「え……?」

女キョンシー「なるほど。で、弱ったところを貴女がせいけんづきしてやれば、いいんじゃない?」

少女「いやいや」

キョンシー「おっしゃー、そうと決まればいこうぜー!!」ピョンピョン

キョンシー「「おぉー!!」」ピョンピョン

少女「まってください!!」

キョンシー「なに?トイレ?」

キョンシー「共同だけど、いいかな?」

少女「ちがいます!!―――貴方たちじゃ、勝てませんよ」

キョンシー「なんで?」

少女「だって……私に負けたじゃないですか。その人は、私より強いんですよ?」

キョンシー「おぉ。そういう計算?」

キョンシー「大丈夫だって、俺たちにはこれがある」

キョンシー「袖からシュッっとナイフを投げて絶命させてやれば……」

少女「頃すのは駄目です!何言ってるんですか!!」

54: 2011/11/29(火) 15:15:11.58 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「キョンシーに法律はききませんよ」

キョンシー「ただの事故として扱われる」

少女「そういう意味じゃありません!!」

キョンシー「あ、でも。この子が主犯になっちゃうね」

女キョンシー「それは駄目ね」

キョンシー「頃すの禁止ー」

キョンシー「うーっす」

少女「はぁ……」

キョンシー「そんなに強いの?」

少女「はい……同年代ではまさに無敵です」

キョンシー「ヌンチャクとか使う?」

少女「素手のみです。空手っていったじゃないですか」

キョンシー「なるほどね……君の事情はよくわかったよ」

少女「では、私はこのへんで―――失礼しました」

キョンシー「うむ」

55: 2011/11/29(火) 15:20:18.21 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「どうします?」

女キョンシー「手助けしてあげたいわ」

キョンシー「だよね」

キョンシー「どうする?あの子の学校に乗り込む?」

キョンシー「せやなぁ」

キョンシー「突撃アル!!」

キョンシー「でも、慎重になろうぜ。あの子に嫌われたくはないでしょ?」

キョンシー「まっことそのとおり」

キョンシー「よし……作戦、練ろうぜ」

キョンシー「いいねいいね」

キョンシー「……」

女キョンシー「みんなで転校生気取るってどう?」

キョンシー「いいね」

キョンシー「名案じゃん」

女キョンシー「でしょ?」

57: 2011/11/29(火) 15:24:09.87 ID:Cy2S9xvU0
翌日 学校

少女(あと6日……)

少女「はぁ……」

少女(いい道場……ないかなぁ……)


キョンシー「なんか良い匂いするね!!」ピョンピョン

キョンシー「なんの匂いアル?」クンクン

キョンシー「人間の匂いだね」ピョンピョン

キョンシー「うは!!」ピョンピョン

「うわぁ!?」

キョンシー「どうもどうも」

「なななな……!??」

女キョンシー「かわいいわね……うふ」

「きゃぁぁ!!!」

キョンシー「なんだよ、失礼なやつだ」ピョンピョン

キョンシー「さてと、あの子はどこですかね?」ピョンピョン

58: 2011/11/29(火) 15:28:49.25 ID:Cy2S9xvU0
「きゃー!!!」

「うわぁぁぁ!!!」

少女「ん……?廊下が騒がしいなぁ……」

キョンシー「さぁ!オクラホマのリズムに乗ってー」ピョンピョン

キョンシー「とぅるるとぅるとぅるる♪」ピョンピョン

少女「……無視無視」

女キョンシー「まって……!!」クンクン

キョンシー「どうした?」

女キョンシー「あの子の匂いがするわ……!!」

キョンシー「詳細を!!!」

女キョンシー「あそこだぁぁぁ!!!!」ピョンピョン

少女「ひぃ?!」ビクッ

キョンシー「「わぁぁぁぁ」」ピョンピョン

「なんか変な人がいっぱいきたぁぁぁ!!!」

少女「くっ……!!!」

59: 2011/11/29(火) 15:34:38.84 ID:Cy2S9xvU0
少女「みんな!!落ちついて!!」

キョンシー「げへへへへ」

「きゃぁぁぁ!!!」

「にげろぉぉぉ!!!」

女キョンシー「あばばばばば」

少女「私が……何とかするから!!」

「お、おねがい!!」

「がんばってくれー!!」

少女「こい!!」スッ

キョンシー「へいへい。ここはアウェーだぜ?そんな本気になられても困るじゃん?」

キョンシー「そのとおり。地の利はそちらにある。ノーガードぐらいのハンデは欲しいねぇ」

女キョンシー「さあ、このチャイナドレスをきて」

少女「……うるさい。こい!!」

キョンシー「にゃろう……やっちまえー!!」

キョンシー「「おぉぉ!!」」ピョンピョン

61: 2011/11/29(火) 15:39:01.73 ID:Cy2S9xvU0
少女「―――ふぅ」

キョンシー「窮鼠猫をかむ……か」

キョンシー「ふふ……強くなったね……セニョリータ……」

少女「いや……貴方たちが弱いだけ……」

キョンシー「そんなことない!!―――ナイフ!!」シュ

女キョンシー「はぅ!?」

キョンシー「あ、すまん」

女キョンシー「このノーコン!!」

少女「……帰ってください」

「ね、ねえ……知り合い?」

少女「あ、えと……違う……」

キョンシー「みんな!!ひきあげだぁ!!」

女キョンシー「おぼえてろー!!」ピョンピョン

キョンシー「次は理科室いこーぜ」ピョンピョン

少女「……」

62: 2011/11/29(火) 15:45:40.10 ID:Cy2S9xvU0
放課後

少女(あれから騒ぎがなかったけど、本当に帰ったのかな……?)

女キョンシー「そこの可愛い彼女ー。一緒にジャンプしながら帰ろう?」ピョンピョン

少女「……」

女キョンシー「ねえねえ、いいでしょぉ?」

先輩「―――や!」

少女「!?」

女キョンシー「お?」

先輩「約束の日、覚えてるよね?」

少女「ま、まだ……6日あります……」

先輩「君の準備が整い次第、いつでも受けてあげるからね?」

少女「……」

女キョンシー「この人が先輩?」

少女「う、うん……」

先輩「貴女は?……なんか臭うけど……」

63: 2011/11/29(火) 15:51:15.38 ID:Cy2S9xvU0
女キョンシー「ども!キョンシーです!!」ピョンピョン

先輩「友達は選んだほうがいいよ?」

少女「はい」

女キョンシー「どういう意味だ!!」

先輩「それじゃあ、また」

少女「……」

女キョンシー「やな感じだねえ」

少女「……うん」

女キョンシー「あの人が付き合ってくれってしつこいの?」

少女「そう……」

女キョンシー「かっこいいじゃん。付き合ったら?」

少女「駄目……趣味じゃないの」

女キョンシー「うわ……辛辣ぅ」

少女「それじゃあ、さよなら」

女キョンシー「あ、まつアル!!」ピョンピョン

64: 2011/11/29(火) 15:58:08.81 ID:Cy2S9xvU0
少女「まだなにか?」

女キョンシー「ナイフ、いらない?」

少女「いりません」

女キョンシー「―――せい!!」ブン

少女「あぶな!?」バッ

女キョンシー「それだけの反射神経があれば勝てそうな気もするけど?」

少女「こんなものじゃないんです……あの人の速度は」

女キョンシー「そうなの?」

少女「はい」

女キョンシー「ふぅん」

少女「……それじゃあ」

女キョンシー「わかった!!」ピョンピョン

少女「……」

少女「どうしよう……」

65: 2011/11/29(火) 16:04:42.85 ID:Cy2S9xvU0
自宅

少女「ただいま……」

キョンシー「おかえりー」ピョンピョン

少女「……」

キョンシー「やっぱり家が道場でしたかぁ」

キョンシー「すごいねー。門下生、うちの40倍ぐらいはいるよ?」

キョンシー「すっげー。トロフィーすっげー」ピョンピョン

少女「なんなんですかぁぁ!!!」

シュッ!!

スコン!!

少女「いてっ!?」

キョンシー「やーいやーい。隙だらけー。どうだー、ごぼうって結構痛いだろ?」ピョンピョン

少女「……」ゴゴゴゴゴ

キョンシー「あ、やべ……切れたんじゃない?」

少女「出ていけぇぇぇ!!!」

67: 2011/11/29(火) 16:12:05.19 ID:Cy2S9xvU0
少女「うがぁぁぁ!!!」バキィ

キョンシー「ぐほぉ!?」

キョンシー「エマージェンシー!!エマージェンシー!!!」ピョンピョン

キョンシー「可憐な乙女がてにおえねー!!」ピョンピョン

少女「まてぇぇぇ!!!」ドガァ

キョンシー「ぎゃん?!」

キョンシー「こわーい」ピョンピョン

キョンシー「にげろー!!乙女に殺される前にー!!」ピョンピョン

少女「もう!!」ドゴォ

キョンシー「ぎゃ!?」

少女「はぁ……はぁ……」

少女「なによ……もう……」

68: 2011/11/29(火) 16:16:59.14 ID:Cy2S9xvU0
翌日 通学路

少女「……」

シュッ!!

少女「―――てい!!」バキィ

少女「またごぼう―――」

スコン!!!

少女「いったーい!!!」

キョンシー「てってれー」ピョンピョン

少女「まてぇぇぇ!!!」ダダダダッ

キョンシー「ぎゃぁぁ、鬼の形相で追いかけられてるぅ!!」ピョンピョン

少女「―――でぁぁぁ!!!」ドゴォ

キョンシー「へぶぅ!?」

キョンシー「すげー、スカートでとび蹴りだぜ?」

キョンシー「縞パン、好きなんだね」

少女「……なにが目的なんですか……」

70: 2011/11/29(火) 16:20:50.65 ID:Cy2S9xvU0
翌日 通学路

シュッ!!

少女「はっ!!」バキィ

シュッ!!

少女「―――甘い!!」バキィ

少女「なんでいつもごぼう……?」

シュッ!!

少女「しまっ―――」スコーン

少女「いてっ!?」

キョンシー「いえーい」

少女「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ダダダダッ

キョンシー「こえぇぇ!!」ピョンピョン

少女「いい加減にしてぇぇ!!!」ドゴォ

キョンシー「おふぅ!?」

キョンシー「スカートでドロップキックですか……縞パン……いいよ……」デレデレ

71: 2011/11/29(火) 16:24:53.41 ID:Cy2S9xvU0
翌日 通学路

少女(あと三日か……)

シュッ!!

少女「―――はい!!」バキィ

シュッ!!シュッ!!!

少女「でぁ!!!せい!!」バキィドゴォ

少女「……」

少女「……よし」

少女「学校にい―――」スコーン

少女「……」

キョンシー「隙だらけー!!」

少女「―――やぁぁぁぁぁ!!!」バシーン

キョンシー「ケツキックぅぅぅ!!??」

少女「もうやめて!!迷惑です!!」

72: 2011/11/29(火) 16:29:06.09 ID:Cy2S9xvU0
翌日 通学路

少女「はぁぁぁ……あと二日……どうしたら……」

シュッ!!

少女「良い道場、ないしなぁ……」バキィ

シュッ!!シュッ!!

少女「……このままじゃ勝てない」バキィボキィ

シュッ!!シュッ!!

少女「ふっ!!」バキベキィ

少女「……」

少女「……よし」

ゴォォォォ

少女「はっ!?大根が―――」ゴーン

少女「ったぁぁ……」

キョンシー「あれはやりすぎだろ」

キョンシー「そうかな?」

74: 2011/11/29(火) 16:33:32.56 ID:Cy2S9xvU0
翌日 自宅

少女「明日か……」

少女「もう……やるしかない……」

シュッ!!

少女「はぁぁ……」バキィ

少女「でも……どうしたら勝てる……?」バキィ

少女「私もずっとお父さんに鍛えられてきたけど……」バキィ

少女「それでも全国クラスのあの人になんて……」バキィ

少女「……」

少女「はぁ……」バキィ

少女「……」ベキィ

少女「やめてください!!!部屋中はごぼうだらけになったじゃないですか!!」ブゥン

キョンシー「いってぇぇぇ!!!」

少女「もう……」バキィ

キョンシー「ふふ……ごふ」ガクリ

75: 2011/11/29(火) 16:38:13.59 ID:Cy2S9xvU0
翌日 学校 道場

少女「……」

先輩「来たね」

少女「あの……やめませんか……?」

先輩「今更、何いってんの?さあ、早く着替えて」

少女「うぅ……」


更衣室

少女「はぁ……」

女キョンシー「やぁ」

少女「何用です?」

女キョンシー「はい、どうぞ」

少女「これは……」

女キョンシー「みんなで応援するから、がんば!!」

少女「えぇ……」

女キョンシー「やっぱりチャイナドレスでしょ。勝負服みたいなもんだし」

77: 2011/11/29(火) 16:46:37.68 ID:Cy2S9xvU0
少女「お、おまたせしました……」

先輩「ぶっ!?」

少女「……」

先輩「ふ……見た目で動揺を誘うとは……」ハァハァ

「せんぱーい!!まけるなー!!!」

「がんばってくださーい!!!」

先輩「ふふ……負けるわけがない」

少女「……」

キョンシー「がんばー!!」ピョンピョン

女キョンシー「まけるなー」ピョンピョン

少女「……くさい」

先輩「無制限一本勝負……いいね?」

少女「いつでも……どうぞ……」スッ

キョンシー「ポップコーンかってきて」

キョンシー「はいよー」

80: 2011/11/29(火) 16:52:57.24 ID:Cy2S9xvU0
「いいな」

「わかってるって……」

キョンシー「むこうサイドが不穏ですよ?」

女キョンシー「まあ、なんかしようとしたら私たちもなんかしてやればいいじゃん」

先輩「……」

少女「……」

キョンシー「……はじめ!!」

ゴォォォン!!

少女「銅鑼!?」

先輩「―――はぁぁぁぁ!!!!」グワァ

少女「あっ!?」

先輩「ツァッラサァァ!!!」ブゥン

少女「ぎっ……!?」

キョンシー「押されてますねえ」モグモグ

女キョンシー「なんで?」モグモグ

82: 2011/11/29(火) 16:57:31.22 ID:Cy2S9xvU0
少女「やぁぁぁ!!!」ブゥン

先輩「そんな蹴りじゃ、届かないって!!」サッ

少女「てぁ!!」ブゥン

先輩「お……縞パン……」ハァハァ

少女(隙が……!!)

少女「踵落とし!!!」ゴォォ

先輩「よっと」ガッ

少女「え……」

先輩「甘い……よっ!!」ドガァ

少女「ふぐぅ!?」

先輩「ふっ……」

少女「……くっ……やっぱり……このままじゃぁ……」

先輩「負けを認めたら?」

少女「で、でも……!!」

キョンシー「まずいな……」モグモグ

83: 2011/11/29(火) 17:02:02.50 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「こっちをみろぉぉぉ!!!」

先輩「!?」

キョンシー「……」ピョンピョン

少女「……隙あり!!!」

先輩「しまっ―――」

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

少女「?!」ビクッ

「……」

先輩「ツェッサシャァラァァ!!!」ガキィ

少女「がっは?!」

女キョンシー「卑怯よ!!いきなり大声をだすなんて!!」

キョンシー「スポーツマンシップはどしたぁぁ!!」

「勝てばいいのよ!!勝てば!!」

キョンシー「なんてやつら……」

女キョンシー「外道ね……なら、こっちも手加減しないわ……」

84: 2011/11/29(火) 17:10:04.60 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「あぁ……あれを使うときが来たな」スッ

女キョンシー「ええ……」

少女「このままじゃ……まけちゃう……」

先輩「さあ、付き合ってもらう……」ハァハァ

少女「そんな……先輩、おかしいです……」

先輩「おかしくない……」ハァハァ

少女「だって―――」

シュッ!!

少女「!?」

先輩「なに!?なにかが飛んで―――」

バキィ!!!

先輩「っ!?」

少女「は、反射的に手が……」

先輩「な、なに……ごぼう……?」

女キョンシー「もっと狙って狙って」

86: 2011/11/29(火) 17:20:14.71 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「ごぼうらんぶ!!」シュッシュッシュッシュッ

先輩「うおぉぉ?!」

少女「せっ!はっ!!てい!!」バキィボキィベキィ

先輩「す、すごい……ひとつ残らず……粉砕していく……」

「先輩!!見とれてる場合じゃないです!!!」

先輩「そうだ!!こんな妙技を見せ付けられたって!!」

シュッ!!

先輩「……」パシッ

先輩「ごぼうが懐に―――」

少女「―――せぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ゴワァ

先輩「ひぃ!?まわしげ―――」

少女「ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ドゴォ

先輩「ふごぉ!?!?」バターン

女キョンシー「やったぁ!!」ピョンピョン

キョンシー「いえーい」ピョンピョン

87: 2011/11/29(火) 17:25:52.47 ID:Cy2S9xvU0
少女「あ……」

キョンシー「やったじゃーん」ピョンピョン

女キョンシー「チャイナドレスの勝利だね!!」ピョンピョン

「せんぱーい!!!」

「しっかりしてぇ!!」

少女「だ、大丈夫ですか……?」

先輩「ふふ……負けた……流石……」

少女「い、いや……」

先輩「そんなに付き合いたくなったの……?」

少女「だって……私は女の子ですよ……?」

先輩「うん」

少女「私は普通に男の子と付き合いたいです……」

先輩「ふっ……無念……」ガクリ

「せんぱぁぁぁい!!!」

少女「……帰ろう」

92: 2011/11/29(火) 17:34:16.95 ID:Cy2S9xvU0
キョンシー「よかったね」ピョンピョン

女キョンシー「よかったの?あんなかっこいい人なら、女性でもいい気がするけど?」ピョンピョン

少女「私はノーマルです」

キョンシー「じゃあ、仕方ないかぁ」ピョンピョン

少女「それより……」

キョンシー「ん?」

少女「ありがとう……いつの間にか修行させてくれてたんですね」

キョンシー「え?あ、うん」

女キョンシー「いや、まあ、私たちも投擲の練習をして―――」

キョンシー「しっ!!」

少女「あの……」

キョンシー「なに?」

少女「よかったら、これからも稽古つけてくれませんか?」

キョンシー「え?!もももも、もちろんだよぉ!!」ピョンピョン

女キョンシー「うっふん……これからもよろしくね」ピョンピョン

93: 2011/11/29(火) 17:39:13.03 ID:Cy2S9xvU0
数日後 キョンシー道場

少女「ほら、ここだよ」

友「うえぇ……なんかくさいんだけど……」

少女「でも、ここの人たち教えかたはすごくうまいから」

友「そういうなら……」

ガラ

少女「おはようございます!!」

友「おはようご―――」

キョンシー「やっほー!!」ピョンピョン

キョンシー「その子が例の新人?!」ピョンピョン

女キョンシー「あらぁ……かわいい」ピョンピョン

友「うわぁぁ!!取り囲まれたぁぁ!??」

少女「大丈夫だって。みんな良いキョンシーさんだし」

キョンシー「んだ」

友「えぇ……」

95: 2011/11/29(火) 17:47:22.41 ID:Cy2S9xvU0
女キョンシー「手首のスナップよ!!」シュッ

友「てい!」シュッ

キョンシー「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」ザシュッ

友「あぁ!!すいません!!」

キョンシー「はい、お茶」

少女「どうも」

キョンシー「でもいいの?この道場、俺たちの道楽で作ったようなもんなのに……門下生集めに奔走してくれて……」

少女「ここがなくなったら……みなさんに会えなくなりますから」

キョンシー「おぉ……」ウルウル

キョンシー「天使じゃん!?この子、天使じゃん?!」ピョンピョン

少女「これからも私、がんばりますから。この道場を大きくしましょうね?」

キョンシー「「おぉぉぉ!!!」」ピョンピョンピョンピョンピョンピョン

少女(今度は私が恩返ししないと……)

少女「よーし!!がんばるぞー!!!」

キョンシー「「ツェッサシャァラァァ!!!」」ピョンピョンピョンピョンピョンピョン
                                             END

98: 2011/11/29(火) 17:54:22.60

99: 2011/11/29(火) 17:55:29.62

101: 2011/11/29(火) 18:01:49.24
もっかいキョンシー見直してくるわ

引用元: キョンシー「この道場もついに潰れたな」キョンシー「しゃーねーべ」