1: 2015/09/29(火) 02:58:50.118 ID:it+phd8F0
女の子「いきなりおしかけて申し訳ないです」クツヌギヌギ

俺「いやどちらさまですか。なんで鍵持ってるんですか」

女の子「ふふ、知りたいですか、やけどしますよ」

俺「」

女の子「さて、さっぱりした部屋ですね、いえ殺風景な部屋ですね」

俺「悪く言い換えなくてもいいのに」グスン

女の子「まあこの部屋の状況が仮にゴミ屋敷でも全く構わいないんですね、とりあえずお話をしにきました」

俺「…そうですか」

女の子「はい。わたしは友達も知り合いも家族も恋人もいないので話し相手がおらず困っていました」

俺「…」

女の子「そこにすれちがったあなたのポケットから何やら光る物体具体的に結果を述べれば部屋のキーが落ちてしまったわけですが」

俺「いや落としてないし、部屋は入れてるし」

女の子「ふふふ感謝してください合鍵を超特急で作ってもらったあと牛丼屋で食べるのに夢中だったあなたのところまで来て、椅子にかかった上着のポケットに鍵を戻してあげたのですね」

5: 2015/09/29(火) 03:05:57.910 ID:it+phd8F0
俺「…そうですか」

女の子「べつにお礼は結構ですええこうしてお話を聞いてくれるということですから」

俺「…まあ、いいや、なんですか話とは」

女の子「そうですね、わたしいま好きな人がいるんですがどうアプローチしたらいいのか困ってるんです」

俺「この行動力ならモテモテのイケメンだってホテルに担ぎ込めるだろ」

女の子「あらやだ下品な方ですこと。いいですかわたしは万全を期すためにはあらゆる投資を惜しまずあらゆる手段をとりますたとえば興信所に依頼して彼の身辺を洗い彼の部屋にはすでに多数の観測設備が設置されまたほぼ24時間の自主的観測も行われています」

俺「ストーカーだな」

女の子「で、デリカシーがない方ですね幻滅しましたですがこれを聞けば納得でしょう」

俺「というと」

女の子「その人というのはずばりあなたです」

俺「」

7: 2015/09/29(火) 03:12:46.872 ID:it+phd8F0
女の子「ふふふ、驚きましたかええ当然ですわたしみたいな純粋無垢な少女があなたのことをこんなに思っているなんて想像もしなかったことでしょう!」

俺「…じゃあ先程の鍵の話は」

女の子「無論だたの冗談です鍵程度数ヶ月前から手に入れていますしこの部屋にあるものを時間が許せば口頭で列挙できますあるいはあなたのパソコンのパスワードも知っていますし
あなたが何時何分何秒に如何なる性的嗜好のサイトにアクセスしたかももちろん存じ上げております恥ずかしがることはありませんわたしはあなたのすべてを受け入れるでしょう」

俺「」

女の子「…なので」

俺「…」

女の子「お、」

俺「…」

女の子「おおおおっとうっかりでした、今夜はとりあえずお話をしにきたんでしたねいやあつい」

俺「…」

8: 2015/09/29(火) 03:20:12.375 ID:it+phd8F0
女の子「…も、もしかして、ねむたいですか」

俺「むしろ不安で眠れなさそうだよ」

女の子「ふふそうですねあなたの平均就寝時刻は午前五時とてもひどい昼夜逆転ですいけないですねまあわたしは叱責することはできないですが」

俺「…」

女の子「それでですねどんなに見ていてもわからないことというのはいくつかいえたくさんむしろほとんどなにもわからなかったというのが私の結論でして本日はあなたといろいろ情報交換も兼ねてのお話をしたいなあという魂胆でありましていかがでしょうか」

俺「…ん、そだな、なんでもきいてくれ」

女の子「わたしのこともきいてくださいねあなたに隠すことなんて何一つありませんこの場で体中のほくろの数を数えていただくことぐらいなんともありませんよ」

俺「…」

女の子「ええそうですね聞きたいことをいろいろメモしてきましたからこれに従い聞いていきましょうではまずひとつわたしをご存知ないですか」

俺「ないです」

女の子「さすがわたし認知的な境界をわきまえていらっしゃるしかし残念でもありますほんとうにご存知ないですか見かけた覚えすらありませんか」

俺「はい」

女の子「うーむそうですかわかりました」

10: 2015/09/29(火) 03:29:01.094 ID:it+phd8F0
女の子「つづいて伺いますがあなたはわたしが好きですか嫌いですか」

俺「判断しかねる」

女の子「いけませんね質問には適切に回答してくださいでないとわたしに都合よく解釈しますがいえいえもちろん不適切なようには取りません質問の意味が失われてしまいますのでね」

俺「いや……初対面で好きとか嫌いとか」

女の子「…あ、そうですねこれは失礼しましたでは初対面の印象をお伺いしましょうこれなら問題ないはずです遠慮は要りません多少悪く言われるのは想定内ですので」

俺「……わけわからん」

女の子「え」

俺「ちょっといやさっきからだけど脳みそが疲れてきてて…」

女の子「おおおこれはいけない。では一旦質問は中断して雑談休憩と参りましょうわたしは気が利いておらず飲み物食べ物持参していないのですがなにかお飲み物を用意しましょうかもちろんあなたの冷蔵庫にあるものですが」

俺「…えっと」

女の子「いまはオレンジジュース牛乳と麦茶がちょっとあります」

俺「ええ……えっと、麦茶」

女の子「はい、かしこまりました」

12: 2015/09/29(火) 03:34:42.123 ID:it+phd8F0
女の子「こちらで注ぎますね毒を盛られたなんて言われては参ってしまいますので、あ、もちろんわたしに眠剤を盛って眠らせて縛ったりあんなことやこんなことをするのは構いませんよしかしあなたはそういうのあまり好きじゃないはずですが」

俺「…ちょっと、しずかにできないですか、うるさいっつってんじゃなくて」

女の子「これは失礼わたしもううれしくってうれしくって次から次へとあなたに話したいことが、」

俺「…」

女の子「…ふふ、すいません。静かにしますので」

俺「はい」

女の子「…」ニコニコ

俺「…」

女の子「…ふふ」

俺「…あの」

女の子「はい、なんでしょう」

俺「…いや、なんでもない」

女の子「はい」

15: 2015/09/29(火) 03:41:30.526 ID:it+phd8F0
女の子「…へん、ですかね」

俺「…ずいぶんと」

女の子「…そうですよね、やっぱり、」

俺「…」

女の子「おまえおかしいって、前に好きになった人には話も聞いてもらえず逃げられてしまいました」

俺「…まあ、そうだろな」

女の子「…そのまえのひとには、いちおう、お付き合いしてください、ってところまではなったんですよ、でもデートすらしないで、というかメアドを教えてもらえませんでした、そのまま連絡つかずじまいで」

俺「…まあ、逃げたんだろうな」

女の子「…その前の人は」

俺「…みんな、おんなじなんだろ、何人になるかは知らんけど」

女の子「…はい。で、でも、えっと、こんどは、あなたには、ですね」

女の子「…なるべく、変なことは、しないように、がんばって、意識して、してるんです、もちろん、だめだめですが」

俺「…」

女の子「…へへ、おっかしいなあ」

18: 2015/09/29(火) 03:53:05.271 ID:it+phd8F0
俺「…それで、お付き合い、するの」

女の子「は、はいそのつもりですもちろん今すぐとかじゃなくてもいいんですねたとえば今気になってる方がいるならその方とお付き合いしてうまく行けばそれはバンザイですわたしも結婚式をすこし覗かせてもらってあとはもう何もしないですあなたの幸せを祝福します
けれどもたとえば残念にも別れてしまったりとかそういう場合に次の予約とかそういうふうのでも十分なんですはい」

女の子「…いえ、そうです、お付き合い、したいんですね、今からでも、明日からでも、来週からでも」

俺「…いいよ」

女の子「え」

俺「…構わんよ」

女の子「…え、え、ええと」ホッペタペチン

女の子「…妄想ではない」

俺「…夢じゃない、だろ」

女の子「ふふ、ふへへ、いいんですか」

俺「はい」

女の子「ふふ、ふふふ、わかりました、いえお礼を言わなくちゃですかね、へへ、あそしたらわたしちゃんとしますからね期待してくださいなんでも言ってくださいなんでも求めてください慎ましく尽くします捧げます奉りますもちろん」

俺「…普通に、ね」

女の子「はっ、そうでした、こういうのがいけないんですね自分でも実は知ってるんですがどうしても治らないというか悪いくせというかあれです恋煩いですね頭に血が上ってプツンとなってる感じですわかりますかこれで毎年たくさん人が亡くなってるんですよお」

俺「…」

20: 2015/09/29(火) 04:10:52.151 ID:it+phd8F0
女の子「そうですお付き合いするなら普通はどうするのかいまいち理解していないというかこのステージの経験がないのであまり考えても見ませんでした
いえもちろん妄想ではあなたとなんどもデートに行き美味しいご飯を食べお店を周り夜はそういうわけなんですがふひひすいませんご存知ですか普通って」

俺「…普通はそういうこと口に出しません」

女の子「し、しつれいこういう間柄にもタブーというか超えてはならない領域というかある程度のあれがあるんですね
あれですたとえば水の節約だとか言って何のイベントもなく混浴してみたり布団を敷くのが面倒だからといって一枚の布団にむりやり入ってみたりですかねええわかります」

俺「いやそういう内容の話じゃなくて」

女の子「わかりますってつまりわたしには節度と常識がなっていないというのですねよく言われます
ですが心配する必要はありませんもちろん心配は有難く頂戴しますがわたしはあなたに迷惑をかけたいわけではなくむしろあなたの迷惑をひとつひとつわたしの背中に乗っけてしまってもいいぐらいです」

女の子「……いや、はい、すいません」

俺「…はい、じゃあ、今日から、今から、どうぞよろしく、お名前をきいてもいいですか」

女の子「…は、はい、そうですね、くふふ、お付き合い、よろしくお願いします、名前は、秘密です」

俺「え」

女の子「だから、やけどしますよ、これは喩えでも冗談でもないです」

21: 2015/09/29(火) 04:22:01.069 ID:it+phd8F0
女の子「ふふ安心してくださいべつに隠す以上のことなんて決してありません必要なら5分毎に状況を電話やメールでお伝えしたりなんらかの監視をしていただいたり
あるいはあなたから離れないという選択肢もありますええもちろんあなたを監視したりはしませんこれまでの反省もありますがなによりそんな必要はないのですなぜならわたしはあなたを心から信じているのですから」

俺「…」

女の子「それに秘密がひとつぐらいあったほうが刺激的というか奥ゆかしいというかわびさびというか彩りが生まれるわけですもちろんどうしてもというなら構いません
あなたに身も心も委ねわたしのすべてはあなたのものかつあなたのすべてはわたしのものとなるわけですから秘密も何もありませんやはりわたしはあなたがすべてとなるのですね」

俺「…」

女の子「あ、不安そうな顔をしましたね先程も言いました心配は無用ですなぜならあなたが嫌なこと不快に思うこと私に求めないことをわたしがするはずないからです
そんなことしたらわたしはあなたに嫌われてしまいますそれすなわち全てがおしまいですこういうふうに考えていますので、」ガバッ

俺「!」

女の子「がんばりますので、どうかおねがいします」ムギュウ

俺「…はい」

女の子「ふひっ、ごめんなさい、つい………んふ、ふふふ、つい、ですからね、」

俺「…そうだな」

女の子「そうです、へへへ」

俺(まいったなあ)


めでたしめでたし

22: 2015/09/29(火) 04:23:01.640
かわいい

引用元: 女の子「こんばんわ、わたしの話を聞いてください。」俺「え」