1: 2010/09/29(水) 18:43:38.38 ID:OeeGh2td0
男「君大丈夫?」ユサユサ

少女「ん~、ふぁ、ううん、ここは……どこ?」

男「ここはどこって? 俺の家の前だけど……」

少女「……?」

少女は落ち着き無く辺りを見渡している

男「君大丈夫 怪我とかしてない?」

男「(可愛い女の子だな~、中学生かな? 高校生かな?)」

その少女は純白のベレー帽、ブレザー、ニーソックス姿で黒髪ショートに白いベレー帽がよく似合っている
全身をよく見ると何故か靴を片方しか履いてなかった

9: 2010/09/29(水) 18:54:14.39 ID:OeeGh2td0
男「(全身真っ白な制服って珍しいな……そんな学校この辺りにあったっけ? この娘なんで片方の靴履いて無いんだろう?)」

キョロキョロ
少女「私は誰……?」

男「えぇぇー! まさか記憶喪失……?」

少女「私はここで何をしてたのかなぁ……」

男「マジかよ……」

男「(放っておけないよな)君、取りあえずうちにおいで」

男が声をかけると、少女は少し困惑したような表情をみせる

男「大丈夫、何も心配要らないよ、その様子じゃ帰る所も分からないでしょ? 記憶が戻るまでうちに居な、ねっ?」

少女「う、うん……」

11: 2010/09/29(水) 19:01:07.67 ID:OeeGh2td0
男「狭いけど、どうぞ入って」ガチャ

少女「お邪魔します……」

男「心配しなくても大丈夫だからね」

少女「はい……」

少女「(私は何でこんな所に……? でもこの人なんだか記憶に……)」ズキン

少女「痛っ!」

男「大丈夫? どこか痛いの?」

少女「思い出そうとしたら、頭がズキンって」

男「可哀想に……早く記憶が戻るといいね」

少女「うん……」

12: 2010/09/29(水) 19:12:43.52 ID:OeeGh2td0
男「そうだ、君の荷物に何か手掛かり無いかな?」

男「君が倒れていた横に鞄がおちていたよ、はい」

少女「ありがとう」

男「何が入っているか探ってみなよ?」

少女「はい」ゴソゴソ

少女「(ノートにペン? ん、何だろこれ……?)」

少女「『天界天使養成学校:見習い天使ノエル』」

少女「ノエル? (私の名前なのかな?)」※少女以下ノエル

ノエルは気づかないうちに声に出していた

男「ノエル? 君の名前ノエルって言うの?」

ノエル「うん、そうなのかも……?」

男「可愛い名前だね(外人さんかな……?)」ニコッ

ノエル「ありがとうございます」ニコ

ノエル「(天界天使養成学校? なんなんだろう? これ……?」

13: 2010/09/29(水) 19:39:04.25 ID:SRL1qh9sO
―1日前天界―

力天使「それじゃあ、人間界についての授業はここまで」

ノエル「はぁ……今の授業も難しかったなぁ……私は立派な守護天使になれるのかなぁ……?」

クレア「ノエルちゃーん♪」ギュッ

ノエル「わっ! ビックリした……こらぁ、クレアちゃん急に抱きつかないの!」

クレア「えへへ~♪」

クレアちゃんはルームメイトであり、そして私の一番の親友だ
背が私より低く、長い髪をツインテールにして、顔立ちは年齢より随分幼く見える
でも私なんかよりずっとしっかり者だ

クレア「ノエルちゃん、どしたの深刻な顔しちゃって?」

ノエル「んーん、なんでもないよ……」

クレア「あっ! そっか、明日から卒業試験だ~」

ノエル「うん、私自身無くてね……」

クレア「ノエルちゃんは、すぐ深刻に考えちゃうんだから、ノエルちゃんなら大丈夫! ノエルちゃんみたいに優しい娘は、きっと立派は守護天使になれるよ!」

ノエル「ありがとう、クレアちゃん……」

クレア「えへへ♪」

14: 2010/09/29(水) 19:49:23.52 ID:SRL1qh9sO
力天使「では次の授業を始めるぞ、守護天使の役割とはなんだ? 答えてみろノエル」

ノエル「ええっと、自分が受け持った人間を善に導き、その人間を幸福にする事です」

力天使「そうだ、人間は愚かで罪深い生き物だ、だからすぐに欲望や弱い心を悪魔に付け込まれる
我々天使の役目は、そんな人間を悪魔から守り、正しい道に導き、幸せにする事だな」

力天使「では、自分の担当の人間が悪魔に取り憑かれ、罪を犯そうとしていたらお前はどうする?」

ノエル「そんな事しちゃ駄目って説得します!」

クラスメート「ぷっ、あはは~」
「流石ノエル、天然ちゃんなんだから」クスクス
「ノエルちゃんは相変わらずだなぁ、あはは」

ノエル「……」カァァッ

15: 2010/09/29(水) 19:59:23.17 ID:SRL1qh9sO
力天使「悪魔に取り憑かれた人間は、説得でどうこう出来ないぞ、そんな時はこれを使うんだ」

ノエル「ペンとノート?」

力天使「只のペンとノートじゃないぞ」

力天使「お前達に配ったのは、ちょっと特殊でな、そこに付いてるスイッチを押してみろ」

ボン! という音と共に一瞬でペンは剣に、ノートは盾に変化する

力天使「破邪の剣と退魔の盾だ、それで自分の担当する人間を護り、幸福に導くんだ」

力天使「悪魔は手強いからな、授業でやった事をよく思いだして、注意して戦うんだぞ」

力天使「お前達自身を守る大事な道具でもあるんだ、大切に扱えよ」

一同「はーい」

ノエル「(これで悪魔から人間を護る? そんな事、私に出来るのかなぁ……?)」

16: 2010/09/29(水) 20:24:57.79 ID:SRL1qh9sO
力天使「明日から実際に下界に降りて卒業試験をしてもらう訳だが」

力天使「ノートに戻して最初のページを見てみろ」

ノエル「?」ペラ

力天使「0/100ってなっているだろう?」

力天使「その数字は、担当の人間を幸せにすると貯まっていく、見事100までいけば合格だ、晴れて1人前の守護天使って事だ」

力天使「説明は以上だ、なにか質問のある奴は居るか~?」

力天使「無いようなので、授業はここまで」

ノエル「(私上手くやれるのかな~? うぅ……自信ないよう……)」

18: 2010/09/29(水) 21:14:30.04 ID:SRL1qh9sO
力天使「では今から、お前達それぞれの担当する人間を見に行くぞ」

クレア「いよいよだね、ノエルちゃん!」

ノエル「私の担当はどんな人かな~? 善い人ならいいなぁ~」

クレア「そうだね~善い人だといいね♪」

ノエル「うん♪」

力天使「では移動するぞー」

一同「はーい」

19: 2010/09/29(水) 21:19:03.11 ID:SRL1qh9sO
力天使「全員居るな?」

力天使「では、この水晶玉で下界を覗いてみろ」

力天使「まずはアリスからだな」

アリス「はい」

力天使「見えたか?」

アリス「げっ! 私の担当まさか……こんなおっさんなの……?」

力天使「差別するなよ! 誰に当たってもちゃんと守護するように!」

アリサ「はーい……」ガックリ

力天使「次はイレーヌ」

イレーヌ「はい」ドキドキ

イレーヌ「やったあ~可愛い男の子だー!」

続々と担当の人間が発表になっていく、もうすぐ私の番が回ってくる

ノエル「どうしよう……」ドキドキ

20: 2010/09/29(水) 21:22:21.30 ID:SRL1qh9sO
クレア「ノエルちゃーん、私の担当可愛い女の子だったよー♪」タタタッ

ノエル「そう、良かったね」ニコッ

クレア「ノエルちゃんは~?」

ノエル「私はまだ……」

力天使「次、ノエル来いー!」

ノエル「あっ、呼ばれた、行ってくるね」

クレア「頑張ってね♪」

ノエル「うん……」ドキドキ

21: 2010/09/29(水) 21:28:10.82 ID:SRL1qh9sO
力天使「来たか、では覗いてみろ」

ノエル「はい先生」ジーッ

力天使「見えたか? それがお前の担当する人間だ」

ノエル「この人が私の担当する人間……?」

力天使「そうだ、幸せになるか、不幸になるかは、お前次第だぞ」

ノエル「はい、頑張ります……」

ノエル「(優しそうな大人の男性かぁ、上手くいくといいなぁ……)」

クレア「ノエルちゃーん、どうだった~?」タタタッ

ノエル「優しそうな人だよ、『男』って言う人だったよ」ピッ

ノートに記憶させたデータが3Dフォログラムの様に男の姿とデータを空中に浮かびあがらせる

クレア「ふーん、意外とイケメンさんだねー」ウフフ

ノエル「クレアちゃんたら(私がこの人を幸せにするんだ……頑張らなくちゃね……)」

22: 2010/09/29(水) 21:36:43.69 ID:SRL1qh9sO
―その夜学生寮―

ノエル「うーん、駄目だ眠れない……」スッ

ノエル「(いつもの場所で夜風にあたってこよう)」

クレア「ん~むにゃむにゃ、ノエルちゃん……」スースー

ノエル「……」ガチャ

―学生寮中庭―

ノエル「……私上手くやれるのかしら……?」

ノエル「なにやってもドジでグズで失敗ばかりの私が……」

ノエル「はぁ……」

ノエル「考えてもしょうがないか……明日から試験始まるんだしね!」

ノエル「よし! 頑張ろうっと!」スッ、ガクン

ノエル「えっ? いやぁぁぁぁぁ」ヒューッ

ノエル「きゃぁぁぁー! (なんでこんな所に穴が? そんな……私氏んじゃうの……かな……?)」フッ

23: 2010/09/29(水) 21:42:14.15 ID:SRL1qh9sO
―男宅―

男「……ちゃん、ノエルちゃんってば!」

ノエル「はっ!」

男「大丈夫? ぼーっとしてたけど?」

男「何か思い出せた?」

ノエル「……駄目、何も思い出せない……」

男「そう……無理は良くないから、ゆっくりでも思い出せるといいね」

ノエル「うん(この人優しいなぁ……)」グゥゥ

ノエル「あっ……」カァァッ

男「あ、お腹空いた?今何か作ってあげるからね」

ノエル「(あぅぅ、恥ずかしいよぅ……)」

24: 2010/09/29(水) 21:46:23.48 ID:SRL1qh9sO
男「こんなもんかな?」

男「お待たせ、大した物じゃないけど」

ノエル「これは何ですか?」

男「チャーハンに卵スープだけど(チャーハンを知らないのか……?)」

男「美味しくないかも知れないけど、食べてみて」

ノエル「頂きます」

男「どうかな?」ドキドキ

ノエル「ん、美味しいです」

男「そう良かった」ニコッ

ノエル「♪」パクパク

25: 2010/09/29(水) 21:52:45.41 ID:SRL1qh9sO
男「(可愛いな~)」ジーッ

男の視線にノエルが気づく

ノエル「あの……私の顔に何か付いてますか?」

男「いやいや、可愛いなーって思ってね」

ノエル「可愛い……ですか?」キョトン

自分の事と分かって無いのか、ノエルは小首を傾げている、その動作がたまらなく可愛いらしい

男「(くぅ、この反応も萌えるなぁ……)」

男「(この娘は一体何者なんだろうか?)」

ノエル「……(私は一体何者なんだろう?)」

26: 2010/09/29(水) 22:02:15.69 ID:SRL1qh9sO
男「ご飯が終わったら、お風呂にも入って、今お湯を張るからね」

ノエル「えっ? でも……」

男「遠慮なんてしなくていいんだよ」

ノエルは疑問に思っていた事を口に出していた

ノエル「あなたは、どうして私に優しくしてくれるの?」

男「なんでって? 困ってる人を助けるのは、人間として当然でしょ? まして君みたいに可愛い女の子にはね♪」アハハ

ノエル「ありがとう……」カァァッ

男「あっ、あと俺の名前は男っていうんだ、宜しくね、ノエルちゃん」

ノエル「(男さん? あれ、なんでかな? なんだか男さんの事……)」ズキ

ノエル「(きっと気のせいだよね)こちらこそ、宜しくお願いします」ニコッ

ノエル「ご馳走様でした、美味しかったです」

男「お粗末様、お風呂入ってのんびりしてね」

ノエル「はい、ありがとう、男さん」

29: 2010/09/29(水) 22:37:07.33 ID:SRL1qh9sO
―お風呂―

ノエル「ふぅ」チャポン

ノエル「男さんって良い人だなぁ」

ノエル「うふふ、気持ちいい……あははっ」バシャバシャ

―居間―

男「(不思議な娘だよな~、一体何者何だろ?)」

男「ん、ノエルちゃんの鞄だ……」キョロキョロ

男「(ちょっと覗く位なら……いいよな)」スッ、ゴソゴソ

男「代えの制服か? ん? その下に何かあるぞ」ゴソゴソ

30: 2010/09/29(水) 22:45:52.56 ID:SRL1qh9sO
男「こっ、これは下着……ブラもパンツも純白……」ゴクリ

男「というかあの娘、着てる物全部真っ白だな」アハハ

男「いかん、何をやってんだ俺は……」ガサガサ

男「手掛かりになるような物はっと……」

男「ん? ノートにペンに手帳?」ペラ

男「学生証かな、ノエルちゃんの写真が貼ってある、でも……」

男「なんなんだ? この見たことも無い文字は……?」

男「ノエルちゃんやっぱり外国人留学生か何かなのかな?」

32: 2010/09/29(水) 22:55:58.00 ID:SRL1qh9sO
ガチャ
ノエル「男さんありがとうございま、あっ!」

男「あ、あ、これは違うんだ、あのその……」

男「ごめん……勝手に覗いて……」

ノエル「手掛かりを探してくれてたんですよね?」

男「う、うん、この手帳みたいのに書いてある文字、見たことも無い文字なんだ……この文字は一体……?」

ノエル「私みたいのが、お邪魔しちゃって、ごめんなさい……」グスン

男「ノエルちゃん?」

ノエル「やっぱり気味が悪いですよね? 私出て行きますね……」タタタッ

男は出て行こうとするノエルの腕を掴む

男「待って! 邪魔なんて思ってないよ! 君さえ良ければ、いつまでも居ていいんだよ」

ノエル「でも……」

男「困った時はお互い様だよ、ねっ」ニコリ

ノエル「うん……」コクリ

男「よしよし、良い子だね」ナデナデ

ノエル「(男さんの手、温かい……)」

33: 2010/09/29(水) 23:04:29.05 ID:SRL1qh9sO
男「もう寝よっか? ノエルちゃん疲れたでしょ?」

ノエル「うん……」

男「ノエルちゃん、ベッド使っていいからね、俺は床で寝るから」

ノエル「でも……」

男「ノエルちゃんは、すぐ遠慮するんだから、女の子は遠慮なんてしなくていいの!」

ノエル「はい! ありがとう男さん」

男「ゆっくり休むんだよ」

ノエル「うん、お休みなさい」エヘヘ

ノエル「……」スースー

男「(もう寝ちゃった、色々あって疲れてたんだな可哀相に……)」

ノエルに毛布を掛け、起こさないように、そっと呟く

男「お休みノエルちゃん……良い夢見てね」

34: 2010/09/29(水) 23:15:17.98 ID:SRL1qh9sO
―天界学生寮―

クレア「ふぁぁ、おはよう、ノエルちゃん」

クレア「あれ? ノエルちゃん? ノエルちゃーん」キョロキョロ

クレア「ノエルちゃんどこ行っちゃったの~? 先に学校に行っちゃったのかな~?」

―学校―

クレア「ねぇ、ノエルちゃん来てる?」

アリス「ノエル? あたしは見てないな」

イレーヌ「私も見てないわよ」

クレア「どうしよう、ノエルちゃんどこ行っちゃったんだろう?」オロオロ

エリック「今日から試験だし、逃げ出したんじゃねーの? ははは」

クレア「ノエルちゃんは……ノエルちゃんは、そんな娘じゃないもん」キッ

エリック「何睨んでんだよ? ふんっ、落ちこぼれのノエルだからそう思われるんだろ!」

アリス「ちょっと! エリック言い過ぎだぞ」

クレア「ノエルちゃん、ノエルちゃん……」グス

エリック「ふんっ……」

35: 2010/09/29(水) 23:22:15.59 ID:SRL1qh9sO
ガラッ
力天使「ん、クレアどうした?」

クレア「先生~ノエルちゃんが居なくなっちゃったの~」エーン

力天使「何? ノエルが?」

クレア「今朝起きたら、寮から居なくなってたの……」グスッ

力天使「お前ルームメイトだし、ノエルの親友だよな? あいつが行きそうな場所分からないか?」

クレア「……あっ、そういえば、ノエルちゃん眠れない時よく中庭に行くって言ってた……」

力天使「何! 中庭は下界に通じる穴が開いて立ち入り禁止な筈……」

力天使「お前達自習していろよ!」ダッ

クレア「先生、私も行きます!」タタタッ

38: 2010/09/29(水) 23:29:36.95 ID:SRL1qh9sO
―学生寮中庭―

力天使「クレア気をつけろよ」

クレア「はい先生」

クレア「先生あれ!」タタッ

クレア「これノエルちゃんの靴……」スッ

力天使「クレアっ! そこから動くな!」

クレア「えっ?」

クレア「ひゃあ、こんな所に大きな穴が……」ドキドキ

力天使「間違いない、ノエルはここから下界に落ちたんだ」

クレア「先生~、ノエルちゃん無事ですよね……?」グスン

力天使「ノエルだって天使見習いだ、きっと無事な筈……」

クレア「……」

力天使「教室に戻るぞクレア」

クレア「はい(ノエルちゃん無事で居て……)」

39: 2010/09/29(水) 23:36:20.89 ID:SRL1qh9sO
―教室―

アリス「ノエルはどうでした? 居ました?」

力天使「おそらく、下界に落ちたようだ……」

エリック「ちっ、あの馬鹿は……ホントに足手まといだな」

クレア「……」グスン

イレーヌ「大丈夫よ、きっとノエルちゃん無事に下界に降りてるわよ!」

クレア「うん……」

力天使「……」

力天使「ちょっとノエルの事で、校長室行って来るから、引き続き自習しててくれ」

一同「はーい」

40: 2010/09/29(水) 23:44:07.47 ID:SRL1qh9sO
―校長室―

力天使「失礼します、ラファエル様、いえ校長」

校長「ふむ、どうかしたのか?」

力天使「実は――という訳でありまして」

力天使「どうしたものかと、校長の指示を仰ぎたく……」

校長「すておけ」

力天使「はっ……?」

校長「ノエルも本来なら今日から下界に降りて卒業試験に臨む予定であったのであろう?」

力天使「はっ! その通りでございます」

校長「ならば少し早く降りた所で、たいした影響もあるまい」

力天使「しかし、無事でいるかどうかも分かりませんし……」

42: 2010/09/29(水) 23:51:15.48 ID:SRL1qh9sO
校長「馬鹿者! 天使を目指す者が、そのような事で氏んでいたら、これから先役にたたぬ」

力天使「確かに仰る通りでございます」

力天使「しかし、ノエルはあなた様の……」

校長「肉親だからといって特別扱いなどしなくてもよい」

校長「他の者と同様に天界から監視しておればよい、貴様のファイルで生徒全員の状況を把握出来るであろう?」

力天使「……これはうっかりしておりました」

校長「では、その話はここまでだ」

力天使「はっ! 失礼致しました」クルッ、ガチャ

校長「うむ……(ノエル……)」

44: 2010/09/29(水) 23:57:42.34 ID:SRL1qh9sO
力天使「そういえばそんな機能が付いてたな」

力天使「すっかり忘れてた……」

力天使「どれ」ピッ

能天使「生徒番号025:ノエル:獲得P:5/100」

力天使「ん? ノエルの奴、もう点数獲得してるじゃねえか」

力天使「という事は、無事だったのか」ホッ

力天使「下界で上手くやってようだな」

力天使「ノエルが無事で本当に良かった……」

45: 2010/09/30(木) 00:06:21.26 ID:vXu8nlMEO
―教室―

ガラッ
力天使「いよいよ今日から、卒業試験だ」

力天使「お前たち、精一杯頑張ってくるんだぞ」

クレア「先生、ノエルちゃんは……?」

力天使「あいつの事なら心配ない、下界で元気にしてるぞ」

クレア「本当に?」

力天使「ああ、そんな事より自分の心配しろクレア、他人の心配ばかりしている暇はないぞ」

クレア「ノエルちゃんは無事なんだ~」エヘヘ

イレーヌ「クレアちゃんは、本当にノエルちゃんの事が好きなんだね」

クレア「うん♪」

力天使「では、今から転送室に行くぞ」

46: 2010/09/30(木) 00:13:38.92 ID:vXu8nlMEO
―転送室―

力天使「お前達、暫くの間サヨナラだ、頑張って1人前の天使になれよ」

力天使「このゲートをくぐったら下界だ、直ぐに担当の人間の所へ行くのもよし、暫く様子を見るのもよし、裁量はお前達に任せるからな」

アリス「あー、マジあの親父の相手すんのか……やだなぁー」スタスタ、フッ

イレーヌ「行ってきますね! 先生」テクテク、フッ

エリック「ふんっ! 俺はさっさと試験なんて終わらせて、天界に戻るからな」フッ

天使見習い達は次々とゲートの中に消えていく

クレア「ノエルちゃん、下界で逢えるよね?」フッ

力天使「全員行ったか……みんな頑張るんだぞ」

47: 2010/09/30(木) 00:25:43.75 ID:vXu8nlMEO
―男宅―

男「ふぁー、もう朝か」

男が軽く伸びをした後、視線をベッドに移すと制服姿の少女が、すやすやと寝息をたてている

男「やっぱり夢じゃないんだよな……こんな可愛い子と一緒に生活か……」ジーッ

パチリ
ノエル「えっ?」

男「……ん?」

ノエル「きゃぁぁ、いやぁぁぁ」ガタン

男「ちょっ、ノエルちゃん待って!」スッ

ノエル「嫌っ! やだぁ~、近寄らないで! 助けてクレアちゃん、クレアちゃん」ウエーン

男「(クレアちゃんって誰だ?)ノエルちゃん、ちょ、落ち着いて……」

ジタバタ
ノエル「やだ! やだぁ! はぁはぁ、あれ……?」

男「ふぅ、落ち着いた? ノエルちゃんの寝顔が余りにも可愛いから、つい見とれちゃった」

男「寝起きに驚かしちゃったね」

48: 2010/09/30(木) 00:32:53.36 ID:vXu8nlMEO
ノエル「あ、あの、その、ごめんなさい……」カァァ

男「寝顔を覗いてた俺が悪いんだから、気にしないで」

男「そんな事より、クレアちゃんって誰? ノエルちゃん言ってたよね?」

ノエル「クレアちゃん? (そういえば、なんでそんな事を口走ったんだろ?)」

ノエル「クレア……ちゃん?」ズキン、ズキン、ズキン

ノエル「私の……」ズキン、ズキン

ノエル「大切な……」ズキン

ノエル「お友達……」ズキ

ノエル「はっ! クレアちゃん!」

49: 2010/09/30(木) 00:44:00.87 ID:vXu8nlMEO
男「思いだした?」

ノエル「うん、なんとなく断片的だけど……」

ノエル「私にはクレアちゃんっていう大事なお友達が居て……うっ」ズキン

男「あっ、大丈夫?」

ノエル「う、うん……私はその娘と同じ部屋で生活していた……?」

男「凄い、大分思い出してきたね!」

ノエル「……駄目これ以上は思いだせない……」

男「でも、凄い進歩だよね、ノエルちゃんの正体を知る手掛かりになるかもね」

ノエル「うん(名前は思い出したけど顔が思い出せない……どんな娘だったっけ……?)」

50: 2010/09/30(木) 00:51:51.34 ID:vXu8nlMEO
男「やばい、もうこんな時間だ、会社行かないと遅刻しちまう」

男「ノエルちゃん、冷蔵庫の中の物なんでも食べていいからね」

男「部屋の中で適当に過ごしてていいから」アセアセ

ノエル「は、はい、あの男さん……?」

男は猛烈な勢いで着替え終わる

男「ごめん、もう時間無いから帰ったら話聞くね、じゃあ行ってきます!」ドッヒューン

ノエル「あ、あ、行ってらっしゃい……」

ノエル「……」ポツン

59: 2010/09/30(木) 07:07:50.39 ID:vXu8nlMEO
ノエル「……」グゥゥ

ノエル「冷蔵庫ってこれだよね?」ガチャ

ノエル「ひゃっ、冷たい! えーと」ゴソゴソ

ノエル「この黄色くて細長いのなんだろう?」ツンツン

ノエル「食べ物なのかなぁ……?」ハム

ノエル「うぇっ、美味しくないよぅ……」

ノエル「う~、どれが食べ物なのか分からない」パタン

ノエル「……」

60: 2010/09/30(木) 07:12:17.70 ID:vXu8nlMEO
ノエル「男さんが帰ってくるまで暇だな……」

ノエル「あれ?」

ノエルが見つけたのは、DVDデッキのリモコンだった

ノエル「これってなんだろう?」ピッ

TV「あん、ぁん、あっ、あっ、はぁん……」

ノエル「えっ? えっ? 何これ……?」カァァッ

ノエル「嫌っ!」ピッ

ノエル「なんで男の人と女の人が裸で……? 変なの? なんか胸がドキドキする……」

62: 2010/09/30(木) 07:19:52.27 ID:vXu8nlMEO
―男職場―

男「ふんふん♪」

同僚「随分ご機嫌だな」

男「おう同僚か、まあな」ニヤニヤ

同僚「彼女でも出来たか?」

男「いや、家に可愛い女の子が居るんだよ」

同僚「おまえ……ついに犯罪者か……」ピッ

同僚「警察ですか? ここに誘拐犯が居ます」

男「ちょ、お前どこに電話掛けてんだ! 違う! かくかくしかじか――」

同僚「ふーん、そんな漫画みたいな展開が有るとはな」ピッ

男「まあな」

同僚「冗談抜きで警察に届けなくていいのか?」

男「暫く様子みて、あの娘の記憶が戻らなかったら、警察に行くよ」

同僚「そんなんでいいのかよ……」

63: 2010/09/30(木) 07:27:08.86 ID:vXu8nlMEO
同僚「あー終わった、男~、飲みに行こうぜ」

男「わりぃ、ノエルちゃんが待ってるから、お先」タタタッ

同僚「制服姿の可愛い女の子とか……羨まし過ぎんぞ、この裏切り者め!」

―男自宅―

男「ただいま~、ノエルちゃん」

部屋に入ると部屋の真ん中でノエルが倒れているのが目に映る

男「ノエルちゃん! どうしたの!」ダダッ

男「しっかりして、ノエルちゃん……」ユサユサ

ノエル「あ、男……さん、お帰りなさい……」

ホッ
男「良かった……どうしたの?」

ノエル「お腹……空いた……」グゥー

男「えぇ~! この時間まで何も食べてないの?」

64: 2010/09/30(木) 07:35:07.68 ID:vXu8nlMEO
男が冷蔵庫を開けると、皮に歯型のついたバナナが転がっている

男「……」

男「ノエルちゃん、バナナは皮を剥かなきゃ食べられないよ」

男「他の物なんでも食べて良かったのに……」

ノエル「どれが食べ物か分からなかったの……」

男「ちゃんと説明しない俺が悪かった……」

男「今からご飯作ると時間掛かるから、コンビニ行って買ってくるね」

ノエル「うん……」

男「すぐ戻るからね」タタタッ

66: 2010/09/30(木) 07:44:20.85 ID:vXu8nlMEO
男「ただいま、ごめんねノエルちゃん」

男「いっぱい食べてね」

ノエル「頂きます」パクパク、モグモグ

余程お腹が空いていたのか、男が買ってきた弁当をノエルはあっという間に平らげた

男「少しは落ち着いた? 本当にごめんね」

ノエル「ううん、平気です、ここに住まわせて貰ってるだけでも有り難いんですから」ニコッ

男「俺が悪かったのに……、ノエルちゃんは礼儀正しくて、本当に良い娘だね」ナデナデ

ノエル「えへへ♪(褒められちゃった)」

68: 2010/09/30(木) 07:54:28.62 ID:vXu8nlMEO
ノエル「あの男さん?」

男「どうしたの?」

ノエル「これって何ですか?」ピッ

TV「あん、はぁん、もぅ駄目……いっちゃう!」

男「あぁぁーー!(しまった、えちいDVDをデッキに入れっぱなしに……)」アタフタ、ダダダッ

男「ノエルちゃんは見ちゃ駄目ー!」ピッ、ウィーン、ガチャ

ノエル「この人達、何で裸なんですか? これを見てると何だか胸がドキドキ……します?」

ゼェゼェ
男「(なんてこった……それにしてもノエルちゃんウブ過ぎんだろ……)」

ノエル「?」キョトン

ノエルは大きな瞳で、不思議そうに、こちらを見つめている

69: 2010/09/30(木) 08:04:30.05 ID:vXu8nlMEO
男「そ、そうだ、ノエルちゃんにプレゼント買ってきたんだよ」

ノエル「プレゼント? ですか?」

男「うん、ノエルちゃんを見つけた時、靴を片方しか履いてなかったから」

男「はいこれ、似たような靴を探したんだ」スッ

男「サイズはどう?」

ノエル「ぴったりです、嬉しいです、えへへ♪」

男「これで外に出掛けられるね」

ノエル「男さんありがとう、私この靴、絶対に大事にしますからね」ニコッ

男「どう致しまして(ふぅ、なんとかDVDの事はごまかせたかな?)」

その日の夜から、男はノエルに色々な事を教える事にした

70: 2010/09/30(木) 08:13:57.04 ID:vXu8nlMEO
3ヶ月が過ぎた

ノエル「男さん! 起きて下さい、朝ですよー」

男「んん~後5分だけ~」ムニャムニャ

ノエル「駄目ですよ~起きて下さい~」ユサユサ

ノエル「遅刻しちゃいますよ~男さんってばー」

男「……」ガバッ

ノエル「きゃっ、ちょっと男さん、やっ、だめ……」

男「うへへ、ノエルちゃ~ん」スリスリ

ノエル「もう、いい加減に……しなさーい!」ドカーン

ビクッ
男「ひっ! ごめんなさい……調子に乗りすぎた」

ノエル「全く男さんたら……(あれ? なんだか胸がドキドキする、変な感じ……)」

71: 2010/09/30(木) 08:22:12.41 ID:vXu8nlMEO
ノエル「朝ご飯出来てますから、着替えたら食べて下さいね」

男「うん、ありがとう」

男「おっ、いつも通り旨そうだね」

ノエル「えへへ♪」

男「さ、一緒に食べよ」

ノエル「はい」

男、ノエル「頂きます」

男「うん、美味しい、ノエルちゃんすっかり料理が上手になったね」

ノエル「えへっ、ありがとです」

男「ノエルちゃんと暮らせて、俺って幸せ者だなぁ」

ノエル「男さんったら、お世辞がうまいんですから……」

男「お世辞なんかじゃない! 本気でそう思ってるんだから!」

ノエル「私も……デスヨ、男さん」ボソッ

男「えっ?」

ノエル「……」カァァ

73: 2010/09/30(木) 08:34:37.12 ID:vXu8nlMEO
男「じゃあ会社に行ってくるね」

ノエル「はい、行ってらっしゃい♪さて、お洗濯とお掃除しなくちゃ」

ノエル「ルンルン♪」

―2時間後―

ノエル「ふぅ、お掃除、お洗濯終わり!」

ふと視線を移すと自分の鞄が目に映る

ノエル「そういえば、鞄に入ってたノート、ちゃんと調べて無かったな」

ペラ
ノエル「60/100? 何だろこの数字?」

ペラ
ノエル「何これ……? 前に見た時は、こんな数字無かったよね?」

ノエル「このボタンなんだろ?」カチッ

ノエル「きゃっ! な、何よこれ? 何なの、このノート……怖い」ポイッ

ノエル「さ、夕御飯のお買い物行かなくちゃ」

ノエルは放ったノートを一瞥し、部屋を出る

ノエル「……」ガチャ、バタン

75: 2010/09/30(木) 08:43:00.48 ID:vXu8nlMEO
―商店街―

ノエル「えっーと、今日は何にしようかな~」

魚屋「おっ、ノエルちゃん今日も可愛いね、どうこれ? お薦めだよ」スッ

ノエル「こんにちは、お魚屋さん、じゃあそれ頂きます、おいくらですか~?」ニコッ

魚屋「2匹で1000円でいいよ」

ノエル「はーい、じゃあこれで」スッ

魚屋「はいよ、今包むから待っててね」

魚屋「(それにしてもかわええなぁ……)これも、こっちも、ついでにこれもオマケだ、みんな持ってけー!」ドサッ

ノエル「えっ? こんなに……」

あまりの量にノエルは目を白黒する

魚屋「いいのいいの、また買いに来てね」

ノエル「うん♪必ず来ます、オマケありがとうございました~」ペコリ

魚屋「いえいえどう致しまして(礼儀正しいし、良い娘だな)」

77: 2010/09/30(木) 08:51:05.58 ID:vXu8nlMEO
ノエル「えへへ、こんな沢山貰っちゃったから、今夜はお刺身パーティーが出来るね」

クレア「嘘……嘘、ノエルちゃん……?」

向こうから歩いてきた、ノエルと同じ制服を着た背の低いツインテールの少女が呟く

ノエル「(あれ? 今の女の子どこかで逢ったことがあったような……)」

クルッ、タタタッ、ジーッ
クレア「やっぱり、ノエルちゃんだー!」ギュー

ノエル「きゃっ! ビックリした……あの、どちら様ですか……?」

ノエル「(何だろうこの娘に抱きつかれる感じ……)」

クレア「ノエルちゃん? 私の事忘れちゃったの……?」ウルウル

ノエル「(この娘だれだっけ?)」ズキ、ズキ

78: 2010/09/30(木) 08:58:33.80 ID:vXu8nlMEO
クレア「ノエルちゃん今まで何処に居たの? ねー、お話聞かせてよ~」

ノエル「えっ? 私夕ご飯の準備しなくちゃ……」

クレア「ノエルちゃん、やっと逢えたのに……」グスン

ノエル「あ、えーと、じゃあ少しだけなら……」

クレア「じゃあ、あそこのカフェにいこ♪」ギュッ

クレアは強引に手を繋ぎ歩き出す

クレア「えへへ、本物のノエルちゃんだぁ」ニコニコ

ノエル「(なんだか懐かしい……なんでかな?)」

79: 2010/09/30(木) 09:05:30.44 ID:vXu8nlMEO
―カフェ―

ノエル「あの? ご免なさい、あなたは誰なの?」

クレア「本当に忘れちゃったんだね、ノエルちゃん……」

クレア「私とノエルちゃんは、とっても仲良しのお友達だったんだよ」

ノエル「お友達……」ズキ

クレア「寮のお部屋も一緒だったんだよ!」

ノエル「寮のお部屋……」ズキズキ

クレア「沢山笑いあって、沢山泣きあって、それから、楽しい事もいっぱいいっぱい……」グスン

ノエル「……」

クレア「お願いノエルちゃん、思い出して」ギューッ

ノエル「(温かいこの感触ずっと前にどこかで……)」

ノエル「はっ! クレアちゃん?」

80: 2010/09/30(木) 09:11:06.76 ID:vXu8nlMEO
クレア「ノエルちゃん! ノエルちゃん~」ウエーン

ノエル「クレアちゃん、心配かけたね」ヨシヨシ

クレア「ずっとずっと、会いたかったんだよぉ……」グスン

ノエル「ごめんね……」

ノエルはクレアの頭を優しく撫でる

ノエル「試験の前の日、私は中庭から下界に落ちた……」

クレア「うん」

ノエル「私は下界に落ちたショックで記憶を失っていたのね……」

クレア「全部思い出した?」

81: 2010/09/30(木) 09:21:38.15 ID:vXu8nlMEO
ノエル「私は天使見習い、人間じゃなかったんだ……」

ノエル「男さんがこの事を知ったら……きっと嫌われちゃう……」

クレア「男さん?」

ノエル「うん、下界に落ちた後、私がお世話になってる人なの……」

クレア「男さんってノエルちゃんが担当する事になってた人じゃないの? 発表の時、確かそう言ってたよね?」

ノエル「あっ! そうか! 思い出した、私の担当は、男さんだったんだ……」

クレア「記憶無いのに、知り合ってたんだね~」

ノエル「そうだね、変なの」

83: 2010/09/30(木) 09:29:23.49 ID:vXu8nlMEO
ノエル「クラスのみんなも元気にしてる?」

クレア「うん、アリスもイレーヌも元気だよ~」

ノエル「そう、良かった、エリックも元気?」

クレア「あんな奴の事なんて知らない!」フン

ノエル「ちょっと、どうしたのクレアちゃん? 喧嘩でもしたの?」

クレア「……(ノエルちゃんの事を馬鹿にしたエリックなんて……)」

ノエル「(クレアちゃんどうしたのかな?)」

ノエル「いけない、もうこんな時間だ、帰ってご飯作らないと」

ノエル「ごめん、クレアちゃん私帰るね、今度ゆっくり会おうね」

クレア「うん、ノエルちゃん、お互い卒業試験頑張ろーね!」

ノエル「うん、またねクレアちゃん」ブンブン

クレア「またね~、ノエルちゃん」ブンブン

84: 2010/09/30(木) 09:38:00.44 ID:vXu8nlMEO
―男宅―

ノエル「ただいま……」

男「お帰りノエルちゃん、遅いから心配しちゃったよ」

ノエル「ご免なさい、その、お友達と会ったから、それで……」

男「お友達?」

ノエル「はい、クレアちゃんっていう娘です」

男「ああ、そうだったの、良かったね」

男「(ん? クレアちゃんって前にノエルちゃんが言ってた娘だよな? という事は……)」

男「ノエルちゃん!」ガッ

男はおもむろにノエルの肩を掴む

ノエル「きゃっ! ビックリした……どうしたんですか? 男さん……?」

男「ノエルちゃん記憶戻ったんでしょ?」

ノエル「うん……」

86: 2010/09/30(木) 09:46:11.02 ID:vXu8nlMEO
男「良かったねノエルちゃん(どうしたんだろう記憶が戻ったってのに元気ないな……?)」

ノエル「(私の正体知ったら男さんどう思うだろ……? やっぱり嫌われちゃうよね……)」

男「ノエルちゃん? どうしたの? 嫌な事でも思い出したの?」

ノエル「ううん、大丈夫……平気ですよ」ニコッ

ノエルは無理に作り笑いをする

男「そう?」

ノエル「すぐにご飯の準備しますね……」

男「うん、ゆっくりでいいよ~」

男「よしよし、ほら、今ミルクをあげるからな」

ノエル「?」

ノエル「わっ、その猫ちゃん、どうしたんですか?」

男「帰り道に捨てられたみたいだから可哀想になって連れてきたんだ」

87: 2010/09/30(木) 09:54:54.00 ID:vXu8nlMEO
その黒猫は、男の足下でスリスリと顔をすり付けている

ノエル「わー、可愛い、猫ちゃんおいで~」

猫「フーッ」シャッ

ガリッ
ノエル「痛っ……」

男「あっ、大丈夫? 血が出てる」

ノエル「私この子に嫌われてるのかな……」

男「こら猫! そんな事したら駄目だぞ」

猫「ニャー」ゴロゴロ

黒猫は男の膝の上で、嬉しそうに喉を鳴らしている

ノエル「……」

ノエル「食事の準備をしてきますね……」

88: 2010/09/30(木) 10:01:21.85 ID:vXu8nlMEO
―食事中―

ノエル「あの、男さん」

男「どうしたの? ノエルちゃん?」

ノエル「あの猫ちゃんなんですけど……これから飼うんですか?」

ノエルと猫の目が合うと、猫はプイっとそっぽを向く

男「そうしようと思うけど、ノエルちゃんは嫌?」

ノエル「私この子に嫌われてるみたいだから……」

男「ちょっとビックリしただけだよ、ほらこんなに懐いてるよ」ナデナデ

猫「ニャーン」ゴロゴロ

ノエル「……」

ノエル「(なんだろうこの感覚……なんだか嫌な予感がする……)」

結局猫は飼う事に決まった、そして数日が過ぎた

89: 2010/09/30(木) 10:09:34.67 ID:vXu8nlMEO
黒猫を飼い始めてからの男は、猫にべったりとなった

男「ほらほら、よしよし猫は良い子だね」

猫「ウニャーン」ニャンニャン

ノエル「……」

男「ノエルちゃん、猫の餌買ってきてくれたー?」

ノエル「あっ! 忘れちゃった……」

男「ちっ……」

ノエル「ご免なさい……」

何故かノエルに対し以前の男からは、想像も出来ないような態度をとるようになっていた

90: 2010/09/30(木) 10:20:53.83 ID:vXu8nlMEO
猫を飼い始めてから1週間が過ぎた

ノエル「今日の晩ご飯は、どうですか? ちょっと頑張って作ってみたんですよ~」エヘヘ

男「……」

ノエル「男さん?」

男「うるさい!」

ビクッ
ノエル「男さん……どうしたの……?」

男「こんな豚の餌を俺に食わせやがって……」ガシャ、グシャ、グシャ

テーブル上のご馳走は無残な姿を晒していた
そして男の目は明らかに正気を失っていた

ノエル「男さんに喜んで貰いたくて、一生懸命作ったのに……豚の餌なんて酷い……」グスン

男「この居候が! 少しは役にたてよ!」

ノエル「なんで、なんでそんな事言うの? 酷いよ……男さん」

男「うるせぇ!」バシッ

ノエル「きゃっ! うぅ……男……さん」

91: 2010/09/30(木) 10:28:29.53 ID:vXu8nlMEO
男「なんだその反抗的な目は? おい!」グイ

男はノエルの髪を掴み引きづりまわす

ノエル「いっ、痛い、止めて! 離して下さい!」

ノエル「(なんでなの? あんな優しかった男さんが何故……?)」

男「役立たずのこの居候が! せめて体で俺の事を楽しませろよ!」ビリッ

ノエル「いやぁ! 止めて男さん……正気に戻って、お願い……」

男「うるせぇ! 大人しくしてろ」ビリビリ

ノエル「やだやだ、そんなの嫌だよぅ……」バタバタ

男「はぁはぁ、ふふふ、あはは……」

ノエル「(男さんの様子が変になったのは、あの猫を飼い出してからだ……)」

ノエル「(そういえばあの猫はどこへ……?)」

92: 2010/09/30(木) 10:37:07.26 ID:vXu8nlMEO
男「観念したか、ふひひ、じゃあやらせてもらうとするか」グィ

ノエル「あなたは男さんなんかじゃないわ!」ガリッ

ノエルは男の腕に思い切り噛みつく

男「ぎゃあ! この糞天使がぁぁ!」

ノエル「やっぱりあの猫が悪魔で、男さんに取り憑いたのね……」

男「ふん、やっと気づいたのか間抜けな奴め」

ノエル「悪魔め! 男さんの体から出ていきなさい!」

ノエルはペンとノートのスイッチを入れる
その瞬間、ペンとノートは剣と盾に姿を変える

男「そんな物で俺様が祓えると思っているのか、お嬢ちゃん」ククク

ノエル「そんなのやってみなければ、わからないわ」

ノエル「えぃ! やぁ! たぁ!」

ノエルは渾身の力を込めて剣を振り回す、しかし男に取り憑いた悪魔は軽々とそれを避ける

93: 2010/09/30(木) 10:46:45.05 ID:vXu8nlMEO
男に取り憑いた悪魔は、三又の槍を取り出しノエルに応戦する

男「ほら、ほら、どうしたどうした」

ノエルの剣と悪魔の槍が切り結ぶ度にキン、キンと火花が散る

ノエル「はぁはぁ……つ、強い……」

男「所詮は見習い、こんなものか」

男「それそれ、もっとスピードをあげるぞ」

ノエル「くっ……はぁはぁ……きゃっ!」

悪魔の突きでノエルの盾が吹き飛ぶ

ノエル「あぅ……」

94: 2010/09/30(木) 10:56:13.11 ID:vXu8nlMEO
盾を落としたノエルは、玉砕覚悟で斬りつける

ノエル「やぁぁー、たぁ! 当たらない……」ハァハァ

男「俺だって元は、中級3隊、能天使の一人、見習い如きに後れをとってたまるか、ラファエルの娘めっ!」

ノエル「な、何故天使の階級を? それにお父様の名前まで……?」

男「ふん、冥土の土産に教えてやるよ」

男「悪魔っていうのは、天使の成れの果て、俺だってもともとは、天使だったのさ」

ノエル「!」

男「ラファエルめ! 俺がちょっと仕事と天主への不満を漏らしただけで、地獄へ堕としやがって……」

ノエル「お父様が……」

男「そんな訳で娘のお前をめちゃくちゃに犯して、頃して、ラファエルの野郎に復讐してやろうと思ってな」ジリジリ

ノエル「いやっ、こないで」ブンブン

男「ふんっ」バシッ

間合いに容易に入り込む悪魔、そしてノエルの剣を叩き落とす

ノエル「あっ……」

96: 2010/09/30(木) 11:05:56.84 ID:vXu8nlMEO
剣も盾も無くしたノエルが立ち竦む

ノエル「そんな……」

男「見習い如きが俺にかなうと思ってたのか? ふふふ、あーはっはっは」

ノエル「(確かに私じゃ、かなわ無いかも知れない……でも私が戦わなきゃ……男さんが……)」

男「おら、大人しくやらせろよ! 楽しんだ後は頃してやるからよ」グイ

そう言うと悪魔はノエルを引きずり倒し、馬乗りになる

ノエル「うぅ……放して……放しなさい!」

男「いい様だな、ラファエルの野郎に見せられないのが残念だ」ククク

邪悪な表情でノエルを嘲笑する悪魔
そして三つ叉の槍でノエルの両腕を拘束する
万歳の形に両腕を拘束されたノエルは両足をバタつかせ必氏に抵抗する

ノエル「いやっ、放して、放してぇ!」

97: 2010/09/30(木) 11:15:29.16 ID:vXu8nlMEO
男「大人しくしてろ!」

悪魔はノエルの鳩尾を殴りつける

ノエル「げほっ、ごほっ、いや、止め……て」

悪魔はノエルのボロボロの上着を切り裂き、舐め回す

男「やっと大人しくなったか、どれどれ」ペロペロ

ビクッ
ノエル「いやぁ! 止めてぇー! お願い許して、助けてお父様、クレアちゃん、男さん」

男「胸を舐められた位で何泣いてんだこのガキは? あははーっ」

ノエル「いや、いやっ、もういやーっ!」ヒック、ヒック

男「これからもっと良いことをしてやるっていうのによ」

ノエル「男さん……男さん……」ポロポロ

ノエルは恐怖のあまり目を瞑ってしまう

98: 2010/09/30(木) 11:24:11.36 ID:vXu8nlMEO
ポタポタ
ノエル「?」

顔に何かが落ちてきて、ノエルは思わず目を開ける

男「『ノエルちゃん、ごめん、ごめんね……』」

ノエル「男さん? (男さんが泣いてる……?)」

男「なんだ? 完全に意志を支配したと思ったのに、まだ意識あったのか」

男「『俺の所為で、ノエルちゃんをこんな酷い目に……』」

ノエル「男さん……頑張って……悪魔なんかに負けないで……」

男「ふんっ、無駄な事を『うぐぐっ、ノエル……ちゃん……』」

男「やっと消えたか、さてとまたせたな」

ノエル「男さん……」ポロポロ

男「『ノエルちゃんは……俺が……守る……んだ……』」

男「何こいつまだ? な、なんだ体が動かん」

男「『この槍を……はぁはぁ……使えば……』」

101: 2010/09/30(木) 11:31:55.49 ID:vXu8nlMEO
ノエル「えっ? 男さん何を……?」

男はノエルを拘束していた槍を引き抜き自らの胸に突き刺す

男「ぎゃあー!」

男の体から悪魔が飛び出す、その一瞬をノエルは見逃さなかった
素早く立ち上がり剣を拾い、逃げようとする悪魔に背後から斬りつける

ノエル「邪なる者よ、天主の御名において命ずる、ここから消え去れー!」

悪魔「ぐぁぁぁ、この俺が……こんなガキにぃぃぃ……ぐはっ」フッ

ノエル「男……さん……いやぁぁぁー!」タタタッ

ノエル「男さん、男さん目を開けてお願い!」ユサユサ

男「ごふっ……はぁはぁ、ノエルちゃん……無事かい?」

ノエル「うん……」グスン

男「そう……良かった、ごほっ、ごほっ」

ノエル「男さん氏んじゃいやだよ~」ウエーン

男「泣かないで……ノエルちゃん」ナデナデ

ノエル「男さん……」

男「この3ヶ月間本当に楽しくて嬉しくて、君は俺にとって天使の様だったんだ……」

109: 2010/09/30(木) 12:16:39.79 ID:vXu8nlMEO
ノエル「……」グス

男「あはは……比喩じゃなくて君は本物の天使だったんだね……」ゴフッ

ノエル「人間じゃない私なんて嫌ですよね?」

男「馬鹿だなぁ……ノエルちゃん……君が天使だろうが悪魔だろうが、俺は君の事が大好き……」

ノエル「男さん……」

男「俺はね……両親が氏んでからずっと独りだったんだ……」ゴホッ、ゴホッ

ノエル「血が……もう喋らないで……」グスン

男「大丈夫……あと少しだから……」

ノエル「……」ギュッ

ノエルは黙って男の手を握る

110: 2010/09/30(木) 12:22:07.08 ID:vXu8nlMEO
男「だから君と出逢えて、本当の家族のように一緒に暮らせてとても幸せだったんだ……」

ノエル「私だって、男さんと知り合えて幸せでした……」ポロポロ

男「そう言って貰えると……嬉しい……な」

男「君を守れて良かった……」ゴホッ、ゴホッ

男「安心したら……なんだか眠くなってきちゃった……」

ノエル「!」

男「さよう……なら、ノ、エ、ル、ちゃん……俺の……天使……」スッ

ノエル「そんな、そんなの嘘よ! 男さん冗談なんだよね? 目を開けてよ! ねぇ、ねぇ?」ユサユサ

ノエルは男の体を一生懸命に揺すった、何度も何度も……しかし男からは何の反応も無い、ただ静寂だけが男の氏を告げていた

112: 2010/09/30(木) 12:28:48.44 ID:vXu8nlMEO
ノエル「そんなの嫌だよ……男さん……」ブワァ

ノエル「男さん……男さぁ~ん、わ~ん、うえ~ん……」

ノエル「ご免なさい……ご免なさい」ポロポロ

ノエル「男さんの事を幸せにする事が出来なかった私は守護天使失格だね……」グスッ

ノエル「あれ? ノートが光ってる……?」

ペラッ
ノエル「何これ……?」

ノエル「なんで? だって男さんが亡くなったのに……?」

ノートの最初のページには100/100という合格を示す数字が並んでいた

ノエル「男さんを護れなかったのになんで……?」

113: 2010/09/30(木) 12:34:26.81 ID:vXu8nlMEO
ノエル聞こえるか?ノートから声が聞こえる

ノエル「先生?!」

力天使「お前は今回の試験で最初の合格者だ
詳しい説明は天界でする、転送ゲートを送るので帰って来い!」

ノエル「でも……男さんをこのままにしておけないです……」

ブンという音と共にノエルの前に転送ゲートが姿を表す

力天使「いいから帰って来い! これは命令だ」

ノエル「ごめんね、男さん、後で必ず戻ってくるからね……」

男「……」

ノエル「さよなら……男さん……」スタスタ、フッ

115: 2010/09/30(木) 12:40:14.92 ID:vXu8nlMEO
―天界―

ノエル「ただいま戻りました……先生お久しぶりです……」

力天使「ノエルも元気そうで何よりだ」

ノエル「なんでですか? なんで私が合格なんですか? 私はあの人を幸せに出来なかったのに……」

力天使「ノエルは直接聞いただろ? 男はお前と出逢えて、一緒に生活出来て幸せだったんだ
あの男にとって、ノエルお前は掛け替えの無い存在だったんだ」

ノエル「……」

力天使「孤独なあの男がお前という存在で癒され、充実した生活を送れたんだ
だからお前は、あの男を幸せにしたんだ、それはとても短い時間だったかも知れないがな……」

ノエル「そんな……私は何もしてない……」

力天使「そんな訳でお前は合格だ、納得いかないかも知れないが、これは事実だ」

ノエル「男さんが亡くなったのに、合格なんて意味ないです……」

力天使「……」

力天使「あー、それとな、主席合格者には褒美があってな、天主様が願い事を一つ叶えてくれる事になっている」

ノエル「!」

116: 2010/09/30(木) 12:46:23.04 ID:vXu8nlMEO
ノエル「願い事! それってどんな願いも叶うんですか?」

力天使「ああ、そうだ」

ノエル「じゃあ、じゃあ男さんを生き返らせて下さい!」

力天使「俺に言うなよ……天主様に謁見した時にお願いしなさい」

力天使「(優しいお前の事だから、きっとそう言うと思ったぞ)」

ノエル「はい!(男さん……)」

力天使「じゃあ謁見の間に行くぞ、っとその前に、お前そんなボロボロの格好で天主様にお会いするつもりか?」

ノエル「あっ……」

力天使「ここで待ってるから着替えてきなさい」

ノエル「はい、先生」タッ

力天使「やれやれ自分の事より人間か……ノエルらしいな……」

ノエル「(待ってて男さん、きっと生き返らせて貰うからね)」タタタッ

117: 2010/09/30(木) 12:49:28.14 ID:vXu8nlMEO
ノエル「お待たせしました、先生」

力天使「じゃあ行くぞ」

ノエル「はい!」

―控えの間―

ノエル「はぁ……緊張します」

力天使「だよな? 天主様にお会い出来る機会なんて滅多に無いからな」

権天使「ノエル殿! こちらへどうぞ、天主がお待ちしております」

力天使「ノエル頑張ってこいよ!」

ノエル「はい! 先生」

118: 2010/09/30(木) 12:55:45.01 ID:vXu8nlMEO
―謁見の間―

ノエルは権天使の案内を受け天主が座す階の前に到着した
そこには階を護るように4人の天使が立っていた、すなわちミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエルの天使を統括する4大天使だ
天使の中の天使、ノエルにとっては文字通り雲上の天使だ
その中の一人がノエルに声をかける

ラファエル「ノエルよく頑張ったね」

ノエル「はい、お父様……いえ、校長先生……」

ミカエル「この者は、そなたの娘か」

ラファエル「その通りです、天使長」

ガブリエル「ふふっ、可愛い子ね、若い時のあたしみたい」

そう言うガブリエルも見た目は全然若い、20代後半の綺麗なお姉さんって感じに見える

ウリエル「私語は慎みたまえ、天主の御前だぞ!」

ガブリエル「はいはい、ウリエル君は相変わらず頭が固いんだから」

ウリエル「全くガブリエルは……」

122: 2010/09/30(木) 13:04:44.02 ID:vXu8nlMEO
大天使達がそんな会話をしていると不意に階から天主から声がかかる、低く重い声が階下に響く

天主「そちがラファエルの娘ノエルか? ふむ、こちらにきなさい」

ノエル「は、はい」

ノエルは緊張しつつ階を登り、天主の前で片膝をつき、言葉がかかるのを待つ

天主「合格見事であった、邪なる者も退治したようじゃな
流石、余の右腕ラファエルの娘じゃ」

ノエル「お褒めに与り光栄です、天主様」

ノエル「でも、私だけの力じゃ悪魔を倒せませんでした……」

天主「ふむ、そちの担当した人間か」

ノエル「はい……私の力が足りない所為で、男さんを氏なせる結果となってしまいました……」

天主「それは仕方あるまい、それがあの男の運命だったのだから」

ノエル「でも……」

天主「それはそうと、褒美の願い事は何かな?」

125: 2010/09/30(木) 13:13:56.60 ID:vXu8nlMEO
ノエル「天主様お願いです、男さんを、男さんを生き返らせて下さい!」

天主「汝は、本当にその願いで良いのか?」

ノエル「はい、私は男さんに沢山お世話になりました……
それに男さんだったからこそ、頑張れたんです、だから男さんを……」グスン

天主「ふむ」

ノエルは瞳に涙を溜めて天主に懇願する

天主「汝がそこまで願うなら、その願い叶えよう」

ノエル「天主様!」

天主「男の魂よ、今一度現世の肉体へ還れ!」

ノエル「天主様……有り難うございます、わ、わたし下界に行ってきます!」ペコリ、タタタッ

ラファエル「こら! ノエル天主様へキチンとご挨拶して行きなさい」

天主「よいよい」

ラファエル「申し訳御座いません、世間知らずな娘で……お恥ずかしい」

天主「お主の娘は、人間思いの良い守護天使になりそうじゃな」

ラファエル「恐縮で御座います、天主様」

130: 2010/09/30(木) 13:21:07.73 ID:vXu8nlMEO
―男自宅―

男「あれ? なんで俺は生きているんだ?」

男「確か槍で体を貫いて、氏んだよな?」

フッ
ノエル「男さん……」

言葉と同時に男に飛びつくノエル

男「うわっ! なんだ、なんだ! えっ?」

男「ノ、ノエルちゃん? これは夢か? 幻か?」

ノエル「男さん……男さ~ん、うわ~ん……」ギュッ

男「この感触、この匂い……本物だ、ノエルちゃん!」ギュッ

ノエル「男さん、本当に良かった……」グスン

男「なんで……? 俺氏んだと思ったのに……」

ノエル「天主様にお願いしたの……」

男「天主様?」

ノエル「簡単な言葉にすると神様です」

男「か、かみさまー!?」

132: 2010/09/30(木) 13:28:44.80 ID:vXu8nlMEO
ノエルはこれまでの経緯を男に説明する

男「そんな事が……俺なんかの為に……?」

男「ごめんね、大切な願い事を使わせちゃったんだね……」

ノエル「ううん、記憶を無くして困ってた私を助けてくれた男さん……」

ノエル「優しいあなたとの楽しい生活……」

ノエル「わっ、私には、男さんが一番大切なんですよ……」ゴニョゴニョ

男「ん? 何て言ったの?」

ノエル「私は男さんの事が……」

男「俺の事が……?」

ノエル「大好きなんですよー!(言っちゃった……)」カァァッ

男「俺だって、俺だって……ノエルちゃんの事が、世界で一番好きなんだー!」カァァッ

133: 2010/09/30(木) 13:30:47.87 ID:vXu8nlMEO
男「……」

ノエル「……」

男「あはは……」

ノエル「えへへ……」

男「これからも宜しくね、ノエルちゃん!」

ノエル「はい、男さん!」

~fin~

134: 2010/09/30(木) 13:32:47.21
おつかれ

137: 2010/09/30(木) 13:34:43.75
いきなり三ヶ月飛んだのはビビった

138: 2010/09/30(木) 13:56:03.12

146: 2010/09/30(木) 17:30:10.27 ID:vXu8nlMEO
>>141-142
ごめんなさい、今日夜勤なんで書けません

本当ならクレアとクラスメートが、もう少し活躍する予定だったんだけどなぁ…

引用元: 男「え? 家の前に女の子が倒れている……」