1: 2011/12/14(水) 22:43:11.67 ID:ju1WNFnT0
男「まだ半径1m以内にも入っていないのだが」

委員長「あと10cm離れて欲しいものです」

男「その、だな。俺は日誌を渡したいだけなのだが」

委員長「そこから手を伸ばせば、届く範囲でしょう?」

男「いや、それは失礼だろう」

委員長「失礼される側が良い、と言ってるんです。いいじゃないですか」

男「ふむ、しかしだな」

委員長「堅い人ですね。良いって言ってるんです」

男「委員長らしからぬ発言だな。生徒の模範となるべき委員長がそれでいいのか?」

委員長「別に、成りたくてなったわけでもないですし」

男「しかしはまり役だぞ?メガネ掛けてるし」

委員長「見た目で判断しないで下さい。私は本が好きでメガネを掛けている。それだけなんです。別に頭も良くないですし」


3: 2011/12/14(水) 22:48:59.94 ID:ju1WNFnT0
委員長「今さっきもいいましたが、私は成りたくて委員長になったわけではなく、周りに担がれただけなんです」

男「担がれた、ねぇ」

委員長「みんな、やりたくない仕事を押し付けただけなんですよ。あれ、そういえば貴方、委員長決めの時は休んでましたっけ?」

男「その日は、風邪を引いてな」

委員長「ふぅん。じゃあわかりませんね、その状況も」

男「そうだな」

委員長「・・・・・っと、喋りすぎましたね。日誌も受け取りました。どうぞ、お帰り下さい。あと近づかないで下さい」

男「お前は男性恐怖症か何かなのか?」

委員長「いえ、別に。面倒くさいんですよ。異性って」

男「偏見だな」

委員長「別に、そうでもないです」

男「・・・・何か有ったのか?」

委員長「特に無いですけど」

5: 2011/12/14(水) 22:55:32.61 ID:ju1WNFnT0
男「じゃあ何で・・・・」

委員長「色恋沙汰とかそういうの、嫌なんです。周りで泣く友達を何人も見ました」

男「ふむ。じゃあ、そういうので泣きたくないと?」

委員長「それもありますね。でもそれ以上に、話に出てくる男は皆、屑みたいな奴らなんです」

男「ほう・・・・」

委員長「ま、だから嫌なんですよ、男は。」

男「ううむ、偏見だらけだ」

委員長「なんです?その屑を庇うんですか? 男は同性に甘いんですかね」

男「そうカッカなさんな。違うよ、そういう奴らは屑だと思うよ」

委員長「・・・・別に、怒ってなんかいませんが」

男「俺が言いたいのは、だ。男をそいつらのような奴だけで一括りにして欲しくない・・・・って事かな」

委員長「ふぅん・・・・じゃあ居るんですか?まともな人、とか」

男「・・・・・・・・・・・ん、そうだな。待ってろ」

委員長「・・・・・・?」

6: 2011/12/14(水) 23:00:59.14 ID:ju1WNFnT0
男「よし、準備できた。行こうか」

委員長「何ですか、帰る準備なんかして」

男「・・・・女を泣かせるような男ばかりじゃないと、俺が証明して見せようと思ってな」

委員長「はは、笑わせます。どうしてくれるんでしょう」

男「うむ、具体的には、女を楽しませる男って奴に俺がなる」

委員長「軽い男に聞こえますね」

男「そうか? 大丈夫だ、絶対楽しいから」

委員長「・・・・・自信過剰です」

男「む、こんな時間か。さぁ。さっさと行こう」

委員長「ちょっ、腕掴まないで下さい、ってか近寄るなって・・・・・」

男「時間は待ってはくれないんだ、少しは我慢してくれよ」

委員長「・・・・・・・・・・・全く・・・・・・・・」





8: 2011/12/14(水) 23:06:16.68 ID:ju1WNFnT0
___________________________________

委員長「なんですか、此処」

男「うむ、ゲームセンターって言うやつだな」

委員長「・・・・・校則で禁止されてます」

男「らしいな、俺も来たのは初めてだ」

委員長「・・・・・・・自信満々に面白いとこ連れて行く、みたいな雰囲気だったのに」

男「友達から絶対楽しい、って言われてたからな」

委員長「無責任な人です」

男「友達を信じてるんだ。・・・・・お、アレとか面白そうだな。やってみないか?」

委員長「シューティングゲーム・・・?ですかね。女の子にさせるようなゲームじゃないと思うんですけど」

男「そうかな」

委員長「そうです」

男「じゃあ他のにするか・・・・」

委員長「あからさまに落ち込まないで下さい。見てるこっちが悲しくなります。いいですよ、アレで」

男「そうか? よし、小銭崩してくる」

12: 2011/12/14(水) 23:11:31.33 ID:ju1WNFnT0
委員長「・・・・・・・・・な、なんですかこれ。ゾンビ出てきたんですけどっ・・・」

男「怖いのか?」

委員長「べ、べつに・・・・・ひっ・・・・」

男「お、そっちに出たか」

委員長「う、的確な射撃です」

男「お褒めに預かり光栄だ」

委員長「い、いいですから早く・・・・倒してっ・・・・」

男「わおっ」

委員長「きゃあっ」

男「あ、思いの外吃驚したみたいだな」

委員長「な、何するんですかっ、こ、怖かったじゃないですか・・・・っ」

男「ごめんごめん、ほら、倒したぞ」

委員長「・・・・・遅いです」

男「あー、悪かったな。怖がらせて。ほら、じゃあ次行こうか?」

委員長「・・・・・・・・・うん」

13: 2011/12/14(水) 23:14:16.76 ID:ju1WNFnT0
委員長「あっ・・・・・・・」

男「ん、どうした?」

委員長「べ、別にどうもしてないです」

男「そうか」

委員長「・・・・・・・・・・・・・・」

男「気になるのか」

委員長「別に気にならないですけど」

男「・・・・・・・・行くか?」

委員長「いいです。そういうの嫌いなんで」

男「本当に・・・・?」

委員長「うっ・・・・・・・」

男「本音は?」

委員長「ちょ、ちょっとだけ行きたい」

男「じゃあ行くか」

委員長「あっ、ちょっと待ってよ、行くって言ったけどやっぱり・・・ああ、もう引っ張らないで下さいっ」

14: 2011/12/14(水) 23:18:00.40 ID:ju1WNFnT0


委員長「プリ・・・・・クラ」

男「クラスの女子がいっぱい下敷きやらに貼ってたな」

委員長「う、うん」

男「やったこと無いのか?」

委員長「正直、無いです」

男「ふむ、やっぱり」

委員長「やっぱりってなんですかっ」

男「いや、ゲームセンターに来たことがない奴がプリクラ・・・・ってのもあまり無いだろう」

委員長「それもそうかも知れませんけど」

男「ちなみに俺も、使かったことは無い」

委員長「分かってますから」

男「そうか」

委員長「そ、それより中、入りましょうっ」

男「ん、おう。そんなに急がなくてもプリクラ機は逃げないぞ?」

16: 2011/12/14(水) 23:21:39.95 ID:ju1WNFnT0
委員長「わぁ・・・・・・」

男「おお、意外と広い」

委員長「そっち、端っこ行って下さい」

男「何、少しぐらいいいじゃないか」

委員長「譲りません」

男「そうか、なら仕方ないが」

委員長「写真・・・・・ここに小銭、ですかね」

男「多分な」

委員長「わっ、写った」

男「おお」

委員長「しゃ、喋ってますっ、凄い・・・・・・あ、あと五秒後に取るんですって」

男「お、おう。俺も聞いてるぞ」

委員長「変な顔しないでくださいよ」

男「しないしない」

委員長「絶対ですからね」

18: 2011/12/14(水) 23:25:45.29 ID:ju1WNFnT0




委員長「・・・・・今度は、こっちで編集?でしょうか」

男「みたいだな」

委員長「わぁ・・・・・・か、可愛いデコレーション・・・・」

男「・・・・・子供みたいだな」

委員長「馬鹿にしてますね」

男「いや、別にそういうわけじゃないよ。でも、そういうふうに無邪気な方が可愛いぞ?」

委員長「・・・・・・口説いても、無駄ですよ」

男「そういうわけじゃないんだがな」

委員長「・・・・・・・・さ、さて、デコレーションしましょうかね」

男「じゃあ俺も」

委員長「ちょっと、あっち行ってて下さい」

男「なんと」

委員長「私がしますんでっ、どうぞ休憩なさって下さいっ」

19: 2011/12/14(水) 23:28:34.07 ID:ju1WNFnT0
__________________________________

男「なぁ、今さっきのプリクラ、見せてくれたっていいじゃないか」

委員長「・・・・ダメです」

男「ずっと、その一点張りだな」

委員長「ダメなものはダメなんですっ」

男「そうか」

委員長「そうです」

男「・・・・・・・まぁ、いいや。なぁ、小腹空いてないか?」

委員長「少し・・・・」

男「よし、俺の行きつけの喫茶店があるんだ。そこでちょっと軽食を取ろう」

委員長「えっ、もう・・・・お金私持ってないんですけど」

男「奢る」

委員長「そ、そうですか」

男「気にするなよ」

委員長「別に、気にしてませんっ」

23: 2011/12/14(水) 23:32:04.29 ID:ju1WNFnT0


男「―――――コーヒー2つとケーキセット2つ」

委員長「ケーキ・・・?コーヒー?」

男「ここのお薦めメニューだ。コーヒーも淹れたてで美味しいんだ」

委員長「そう、ですか」

男「何だ、気にくわないものがあったか?」

委員長「い、いや、こういうところ・・・貴方、くるんですね」

男「男、でいいぞ」

委員長「そ、そうですか」

男「うむ」

委員長「で、貴方は」

男「呼ばないのか」

委員長「・・・・・・恥ずかしいとか考えないんですか?」

男「恥ずかしいか?別にそうでもないだろう」

委員長「・・・・ちょっとは人に気持ちも考えて下さいっ」

25: 2011/12/14(水) 23:35:26.34 ID:ju1WNFnT0
男「・・・・・・・・・・ふむ、このチーズケーキはやっぱり一番美味しい」

委員長「そうですか?私はこのショートケーキが一番好きです」

男「うむ、それも美味しい」

委員長「まあ、チーズケーキも認めてやらなくも無いです」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・」

委員長「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男「もぐもぐ」

委員長「何もしゃべることがないからって口で言わないで下さい。キモいです」

男「キモイはやめてくれ」

委員長「気持ち悪い」

男「そっちのほうがいい」

委員長「気持ち悪いって言われて、良い。とか言うとか・・・・変態ですか」

男「そんなつもりはさらさら無いんだけどな・・・」

委員長「ふふっ、わざとですよ」

男「そっか、わざとか」

26: 2011/12/14(水) 23:37:52.37 ID:ju1WNFnT0
委員長「・・・・・・・・・・・ふぅ、美味しかったです」

男「だろう?」

委員長「今度また、一人で来たいと思います」

男「一人で? 俺も誘ってくれよ」

委員長「・・・・・・考えときます」

男「有難う」

委員長「ここでお礼を言うとか、何もしてないんですけど」

男「まぁ、そう言ってくれたことに、感謝、みたいな」

委員長「・・・・・・・・・むぅ」

男「結構心開いてくれた?」

委員長「・・・・・・・・・ぜんっぜん」

男「そうか」

委員長「そうですよっ」

27: 2011/12/14(水) 23:40:54.59 ID:ju1WNFnT0
男「む、だいぶ遅くなったな。そろそろ帰ろうか」

委員長「そうですね」

男「家、何処?」

委員長「ここからそう、遠くないです。徒歩通なんで」

男「そうか。じゃあ送っていこう」

委員長「・・・・じゃあ、お願いします」

男「あれ、断らないんだな」

委員長「別に・・・・ボディーガードは必要ですし」

男「そっか、他意は無いのか」

委員長「ええ、全然全くこれっぽっちも」

男「手厳しいな」

委員長「ふん、だ」

男「何か嫌われるようなことした?」

委員長「そんな事言ったら、最初からのような気がしますけど」

男「それもそっか」

31: 2011/12/14(水) 23:44:06.08 ID:ju1WNFnT0
委員長「・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ、寒いです」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寒いな」

委員長「温まりたいです」

男「・・・・・・ん、何だ。腕にしがみついて」

委員長「・・・・・別に、温まりたいだけですよ」

男「そうか。でもいいのか?半径1m以内だぞ」

委員長「・・・・そんなのとっくの昔に入ってるじゃないですか」

男「ま、そうだな」

委員長「そうです」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

委員長「・・・・・・・・・・・・・・・結構、腕太いですね」

男「まぁそれなりに」

委員長「ふぅん。鍛えてたり?」

男「か弱い委員長をボディーガード出来るぐらいには、な」

委員長「へぇ、上出来です」

34: 2011/12/14(水) 23:47:49.05 ID:ju1WNFnT0
委員長「じゃあ・・・これからも毎日ボディーガードしてもらおうかな・・・なんて」

男「ん? 何か言ったか?」

委員長「別にっ」

男「・・・・・・・おい、何かバックの裾ポケットから出そうだぞ?」

委員長「ん、えっ、あっ、とらないでくださいっ」

男「これは・・・・さっきのプリクラ?」

委員長「あっ、もう、届かないところに持ち上げないで下さいっ、えいっ」

男「・・・・・・俺と委員長の間にハートマークが有るんだが」

委員長「ちょっ、もうっ、返してっ」

男「あ、おう、悪かったな」

委員長「・・・・・・・・・・・・・・・・ううっ」

男「あの・・・・その」

委員長「違いますから」

男「えっ、な、何がだ」

委員長「別にカップルみたいにしたかったとかじゃないですからっ・・・・・」

39: 2011/12/14(水) 23:52:47.05 ID:ju1WNFnT0
男「う、うむ。分かってるさ」

委員長「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

委員長「ぼ、ボディーガードです」

男「ん?」

委員長「その・・・・そのプリクラの意味は、私のボディーガードになって欲しかった、って意味なんですっ」

男「何だ、そういう意味なのか?良いぞ」

委員長「そ、即答」

男「うむ、何時までやればいいのだ?いつまででも構わんが」

委員長「ずっと」

男「ずっと・・・?」

委員長「ずっと・・・・・ボディーガードしてくれればいいんです」

男「それは・・・・あの何だ」

委員長「な、なんでしょう?」

男「告白というやつか?」

41: 2011/12/14(水) 23:57:24.60 ID:ju1WNFnT0
委員長「なっ・・・・・・・なっ・・・・・・・・・・・ち、違いますから」

男「お、おお悪い・・・・まさか、と、思ってな」

委員長「そ、そうですか」

男「・・・・・・・よし、分かった。頼まれた以上、委員長のボディーガードの使命を全うしよう」

委員長「当然、ですっ」

男「うむ、当然だ」

委員長「でも・・・・・いいですか?期限は”ずっと”、ですよ?」

男「いいよ、委員長が俺に飽きるまで”ずっと”、な」

委員長「・・・・・・・飽きませんし」

男「? どういうことだ?」

委員長「・・・・・・・・・・・・ばかっ」




委員長「好きだ、っていうことですよっ」



~fin~

42: 2011/12/14(水) 23:59:40.19

43: 2011/12/15(木) 00:00:39.03
えんだああああああ

47: 2011/12/15(木) 00:13:16.62
素晴らしい!
すばらしいが短かった…

引用元: 委員長「・・・・・・近寄りすぎですよ」