1: 2013/10/26(土) 19:16:56.78 ID:fSnfC3ne0
真「以前に行ったケーキバイキングは最悪だった」

真「あの味のないクリーム、生地、紅茶…添加物&添加物&添加物」

真「思い出すだけで腹が立ってくる」プンスコ

真「雪歩に以前聞いたよ」

真「どうして食べ放題に行かないのかって」

雪歩『食べ放題に質を求めるのは間違い。でも高いお店すべてが美味しいわけじゃない…だからこそ、自分にとって最高のお店を探す楽しみがあるんだよっ!!』

真「あの日から一人ケーキやめぐりが始まった…」

真「今日はこの小さなお店に入ってみよう」

2: 2013/10/26(土) 19:18:44.96 ID:fSnfC3ne0
カランコロン

店員「いらっしゃいませー」

真「(どうやら家族で経営しているお店みたいだ。奥で夫婦らしき男女がケーキを作っている)」

真「ケーキ屋めぐりは静かだ…誰にも邪魔されない」

真「テーブルが2つくらいしかないお店が一番。このお店はドンピシャ」

娘店員「(真王子の一人スイーツだ)」ハァハァ

真「(まずは、ケーキを選ぶ…ようなことはしない)ショートケーキとダージリンティーを」

真「店内で」キリッ

娘店員「はいぃっ、しばらくお待ちください///」

真「ありがとうございます」

娘店員「///」

真「長期戦になるから、これくらいのサービスは当然」

3: 2013/10/26(土) 19:19:40.04 ID:fSnfC3ne0
真「椅子とテーブルはクッションのある木製」

真「以前行ったお店は鉄製のアンティーク用のテーブルが置いてあった」

真「そもそもお店で食べることを想定していなかったらしい」

真「いまでは菊池真の座った席として人気があるらしいけれど、あの椅子は痛かったよ」

真「ふむ…合板じゃない一枚ものの木のテーブルか…お客がここで食べるのを想定して、そして品のいいものを選んである」

真「雰囲気は最高」

娘店員「ショートケーキと紅茶になります」

真「紅茶はティーポットで来るのか…大きさ的に3杯はいけそう」

真「紅茶をカップに入れると熱くてもてなくなる」

真「それもまたいい…カップが持てるようになるまでゆっくりしてくださいってこと」

真「ん~いい香り」

真「そしてメインのショートケーキは」

7: 2013/10/26(土) 19:22:39.18 ID:fSnfC3ne0
真「クリームは完璧な色、艶、そして形」

真「切り口も綺麗に整っている。ショートケーキはそのお店の実力を簡単に知ることができる。一番数が出るショートケーキが美味しければ、たいていのケーキはおいしい。例外もあるけれど」

真「別の例外だと、過去に切り口がぼろぼろのお店があった。でも味は一級品。いまだに通い続けている」

真「このお店のショートケーキは、2層の間にクリームとイチゴのカットが挟まっているタイプ。クリームの層は大き目でイチゴのカットはスライス」メモメモ

真「表面積が増えて酸化しやすい分味が落ちる、リスクのあるカット。でも切りやすい、食べやすいからメリットは大きい」

真「クリームに空気があると酸化しやすくなるから、クリームの出来に左右される」

真「酸化を防ぐにはクリームの密度を高くして空気の侵入をストップする必要がある」

真「そうすると味の濃いしつこいクリームになってしまう。そもそもクリームの層を大きくとるには密度を高くせざる負えない」

真「このお店のクリームは僕を満足させることができるクリームだろうか」

娘店員「(真王子がケーキを真剣に眺めて独り言いっている…かっこいい!!」

10: 2013/10/26(土) 19:26:33.85 ID:fSnfC3ne0
真「そういえば上に載っているイチゴは普通のいちごだ。たまにコーティングされていることがあるけれど、あれは歯につくから僕は嫌いだ」

真「いざ一投目」

真「ここまで弾力のあるスポンジは初めてだ」

真「クリームもフォークで弾力を感じるくらいだけれど、スポンジの弾力がすごい」

真「よく見ればスポンジの目が少し荒い」

真「(切った瞬間にサクっていう音とともにすごくいい香りがした気が…)」

真「さぁ、一口目…」

真「(おいしい!!)」モコモコ

真「ケーキは柔らかいほうが美味しいなんて思っていた」

真「コンビニのケーキとかは固いしまずいから、固い=まずいっていう方程式が出来上がっていた」

真「でもスポンジのいい香りが鼻孔に広がって、そのあとでイチゴの酸味とクリームの濃厚な甘みが広がる。重厚な味わい」

11: 2013/10/26(土) 19:27:13.78 ID:fSnfC3ne0
真「イチゴは、とちおとめ。おいしい~ん~///」

娘店員「~~///」

店の外
美希「真クンがケーキ食べているの」

響「さっきから呟いているみたいだし、関わらない方が…」

貴音「いまはそっとしておきましょう…私には気持ちが分かります」



真「生地もクリームもしっかりとした味なのにしつこくない。その理由は」

真「生地の目の粗さ、か」

真「生地が荒いから実はそんなに量がない」

真「しつこいと感じる前に食べ終わらせる」

真「ここまでバランスのとれたケーキは初めてだ」

真「でも僕はまだ満足できない」

真「このお店の得意分野はわかった。ならチーズケーキはどうするか。すいません、チーズケーキをください」

16: 2013/10/26(土) 19:30:38.99 ID:fSnfC3ne0
娘店員「はい、こちらが当店のチーズケーキです」

真「え?」

真「見た目からしてシュワシュワ」

真「さっきの弾力のある生地とは正反対」

真「どうしてこんな実力を持ったパティシエが!!」

真「ん?あのトロフィーは?」

『テレビチャンプ スイーツ王決定戦 王者』

真「まさかっ!!」ガタッ

真「食べる側のチャンプ!?パティシエ王決定戦じゃなくて!?」

真「食べる側からパティシエ側に!?そんなことがっ!!」

真「自分が求める究極を作るためにっ!?」

真「っと落ち着かなきゃ。まずは目の前のチーズケーキを」

19: 2013/10/26(土) 19:33:38.73 ID:fSnfC3ne0
真「すごい…」シュワシュワシュワ

真「フォークを入れた瞬間からシュワシュワと音を立て、そしてフォークより少し先が自然に切れていく感覚。お皿にフォークが達して、ティンと乾いた音が鳴る…すごいや」

真「そして、ナパージュもレーズンも、土台も、なにもない」

真「純粋にチーズケーキを楽しんでくださいということですか…へへっ…すごいや」

真「僕もいつかはありのままの姿をファンに見てもらいたいな」

娘店員「(それだけはやめて)」

真「さぁ、一口目」

真「はわぁ…舌で転がすだけで溶けていく柔らかさ、そして冷たさ」

真「冷やして食べるタイプのチーズケーキ。もはやスフレの領域」

真「焼いてから冷やす工程にどんな魔法があるのか分からないけれど、きっとすごい魔法がかけられているはず」

真「レモンのようなさわやかな香りの後に、チーズケーキ特有の甘さ」

真「唾液があふれてきて、口いっぱいにケーキの味が広がる」

真「ついつい奥歯と舌と頬の4方向でとらえて、溶かしたくなる」

真「自分でもニヤニヤしているのがわかるくらいおいしい」

真「今度みんなに教えてあげよう」

21: 2013/10/26(土) 19:34:50.97 ID:fSnfC3ne0
真「さぁ、3回戦目。あんまり長いすると、迷惑になるかもしれないし、何よりファンが集まるとお店に迷惑をかける」

真「あと、2つくらいかな」

真「まずは…これはザッハトルテか。こんなのも置いてあるんだ」

真「これください」

娘店員「店内で召し上がるお客様にだけクリームを添えていますが、いかがいたしますか?」

真「つけてください」

娘店員「はい、少々お待ちください」

真「ザッハトルテか」

真「さっきまでとは打って変わって、切る角度が小さい」

真「それだけ味が濃いから小さいほうがいいということかな」

真「クリームは後でつけてみよう」

22: 2013/10/26(土) 19:36:28.87 ID:fSnfC3ne0
真「わぁ、パキッって音がするくらい、チョコレートのコーティングがしっかりしている」

真「それに生地はショートケーキと同じでしっかり力を入れないと切れない」

真「あの生地がバターとチョコレートに出会ったらどうなるのか」

真「はむ…くぅ~っ//」

真「甘いよっ!甘すぎるよ!チョコレートの香りに包まれているみたいだ!」

真「モフモフしているみたい」

真「そしてなにより杏ジャムが間欠泉のように舌を刺激してくる」

真「だからいつまでたってもチョコレートを味わえるし、飽きない!」

真「モフモフー」

真「クリームは、やっぱり箸休めのための砂糖なし。ショートケーキのときとちがって絹のような滑らかさ」

真「ザッハトルテのもさもさ感を和らげて、よりもふもふかんを高める」

真「それに甘さが少し和らぐおかげで、チョコレートの濃厚な香りを楽しむことができる」

真「杏ジャムも伊織とプロデューサーみたいな喧嘩はしない」

25: 2013/10/26(土) 19:39:06.75 ID:fSnfC3ne0
真「すいません、お会計をお願いします」

娘店員「はい」

真「ありがとうございました」
カランコロン
真「一人ケーキは僕にとって最高の楽しみ、最高の癒し、次はどこにいこうかな」

雪歩「あ、真ちゃん」

真「雪歩、いまからどこか行くの?」

雪歩「焼肉に」

真「そっか。僕はちょうどケーキ屋に行ってきたところだよ」

雪歩「そっか。おいしかった?」

真「うん、最高だったよ。今度持ってきてあげるね」

雪歩「ありがとう。それじゃあ、私は焼肉に行ってくるね」

真_一人スイーツ_END

次回、音無小鳥の一人>>30

30: 2013/10/26(土) 19:43:37.94
遊園地

33: 2013/10/26(土) 19:45:51.57
泣いた

34: 2013/10/26(土) 19:45:59.50 ID:fSnfC3ne0
一人焼肉と一人ケーキ屋はしたことあるが
流石に一人遊園地はしたことないなぁ

今夜中に行けそうならまた立てるのでよろしく

36: 2013/10/26(土) 19:50:55.91

引用元: 真「一人スイーツ」