1: 2020/10/30(金) 23:09:28.407 ID:TJRFRAYG0
男「お、俺は……?」
神様「氏んだのじゃ、車に轢かれてな」
男「あなたは一体……」
神様「神じゃよ、神」
男「じゃあここは……天国?」
神様「天国ではないが、まぁそんな所じゃ。ところで、おぬしの身体はまだ氏ん──「転生します!」」
男「このまま別の世界に転生して強く楽しく生きたいです! 可愛いい女の子達と一緒に!」
神様「……おぬしはまだ帰れるぞと、そう言いたかったのじゃが。それに、異世界など有るわけないだろう」
男「そ、そんな……夢の異世界転生ライフが……」
神様「氏んだのじゃ、車に轢かれてな」
男「あなたは一体……」
神様「神じゃよ、神」
男「じゃあここは……天国?」
神様「天国ではないが、まぁそんな所じゃ。ところで、おぬしの身体はまだ氏ん──「転生します!」」
男「このまま別の世界に転生して強く楽しく生きたいです! 可愛いい女の子達と一緒に!」
神様「……おぬしはまだ帰れるぞと、そう言いたかったのじゃが。それに、異世界など有るわけないだろう」
男「そ、そんな……夢の異世界転生ライフが……」
7: 2020/10/30(金) 23:15:13.232 ID:TJRFRAYG0
神様「夢、のぉ……家族はどうするのじゃ? 父や母、妹はどうする」
男「どうせ、今を生きていたって楽しくないですし」
神様「おぬしの未来は明るいかもしれんぞ?」
男「異世界に行って沢山の女の子とイチャイチャする方が良いです! チート級のパワーで他を蹂躙するもまた!」
神様「ええい、よく分からぬ事をベラベラと申すな!」
神様「分かった。転生させてやろう」
男「本当ですか!?」
神様「未練はないのじゃな?」
男「はい! つよつよで、可愛い女の子と一緒に幸せな時を過ごしたいです!」
神様「……分かった。では転生するといい──」
男「どうせ、今を生きていたって楽しくないですし」
神様「おぬしの未来は明るいかもしれんぞ?」
男「異世界に行って沢山の女の子とイチャイチャする方が良いです! チート級のパワーで他を蹂躙するもまた!」
神様「ええい、よく分からぬ事をベラベラと申すな!」
神様「分かった。転生させてやろう」
男「本当ですか!?」
神様「未練はないのじゃな?」
男「はい! つよつよで、可愛い女の子と一緒に幸せな時を過ごしたいです!」
神様「……分かった。では転生するといい──」
8: 2020/10/30(金) 23:20:00.962 ID:TJRFRAYG0
─────
───
─
幼馴染「男くんおはよー」
男「おはよう、幼馴染」
男(結論から言うと、俺は異世界に転生出来なかった。今は俺が生きていた時代の約40年前)
男(自我を持ったのは保育園に通っていた頃だろうか。それももう曖昧だ)
幼馴染「なに難しい顔してるの?」
男「何でもないよ」
男(しかし、俺はイケメンだし幼馴染は超絶美少女ときた!やっぱ転生って最高だ!)
───
─
幼馴染「男くんおはよー」
男「おはよう、幼馴染」
男(結論から言うと、俺は異世界に転生出来なかった。今は俺が生きていた時代の約40年前)
男(自我を持ったのは保育園に通っていた頃だろうか。それももう曖昧だ)
幼馴染「なに難しい顔してるの?」
男「何でもないよ」
男(しかし、俺はイケメンだし幼馴染は超絶美少女ときた!やっぱ転生って最高だ!)
9: 2020/10/30(金) 23:23:59.786 ID:TJRFRAYG0
幼馴染「ほら、学校遅れちゃうから早く行こう!」
男「おう!」
男(あぁ、俺の素晴らしき転生人生……力強く生きてみせるぜ!)
─────
───
─
10年後
幼馴染「男、話って何かな?」
男「幼馴染……その、えっと」
幼馴染「……?」
男「俺と、結婚してください!」
幼馴染「っ、え……え!?」
男「……」
幼馴染「……はい、喜んで!」
男「おう!」
男(あぁ、俺の素晴らしき転生人生……力強く生きてみせるぜ!)
─────
───
─
10年後
幼馴染「男、話って何かな?」
男「幼馴染……その、えっと」
幼馴染「……?」
男「俺と、結婚してください!」
幼馴染「っ、え……え!?」
男「……」
幼馴染「……はい、喜んで!」
10: 2020/10/30(金) 23:30:42.584 ID:TJRFRAYG0
男「幼馴染、実は仕事で別の県に行くことになったんだ」
幼馴染「えぇ!? 何か悪い事でもしたの!?」
男「いや、社長曰く本部で3年から5年働いたら別の支部を任せるらしい」
幼馴染「んーっと……?」
男「簡単に言うと俺はもっと沢山お金を稼げるようになるんだ!」
幼馴染「す、すごい!」
男「幼馴染、これを切っ掛けに仕事を辞めて俺と一緒に〇〇県へ行かないか?」
幼馴染「……うんっ!」
─────
───
─
5年後
オギャー オギャー
男「幼馴染!」
幼馴染「男……わたし、がんばった。でもね、この子も頑張ったよ」
男「あぁ、あぁ……!!」
幼馴染「えぇ!? 何か悪い事でもしたの!?」
男「いや、社長曰く本部で3年から5年働いたら別の支部を任せるらしい」
幼馴染「んーっと……?」
男「簡単に言うと俺はもっと沢山お金を稼げるようになるんだ!」
幼馴染「す、すごい!」
男「幼馴染、これを切っ掛けに仕事を辞めて俺と一緒に〇〇県へ行かないか?」
幼馴染「……うんっ!」
─────
───
─
5年後
オギャー オギャー
男「幼馴染!」
幼馴染「男……わたし、がんばった。でもね、この子も頑張ったよ」
男「あぁ、あぁ……!!」
11: 2020/10/30(金) 23:34:38.626 ID:TJRFRAYG0
─────
───
─
10年後
娘「おかえりーぱぱ!」
息子「おかえり!」
男「ただいま、良い子にしてたかー?」
娘「うん!今日わたしね、わたしね!」
幼馴染「一緒に料理したのよ」
娘「まま!私が言うつもりだったのに!」
幼馴染「ふふっ、ごめんなさいね」
男「娘の料理……楽しみだな!」
───
─
10年後
娘「おかえりーぱぱ!」
息子「おかえり!」
男「ただいま、良い子にしてたかー?」
娘「うん!今日わたしね、わたしね!」
幼馴染「一緒に料理したのよ」
娘「まま!私が言うつもりだったのに!」
幼馴染「ふふっ、ごめんなさいね」
男「娘の料理……楽しみだな!」
12: 2020/10/30(金) 23:39:18.719 ID:TJRFRAYG0
─────
───
─
5年後
娘「行ってきまーす!」
息子「俺も!行ってきまーす!」
男「行ってらっしゃい」
幼馴染「気をつけてね」
男「じゃあ俺も行ってくるよ」
幼馴染「あなた、忘れ物よ」
男「忘れ物……?何かあったかっ──」
幼馴染「……んっ、行ってらっしゃい」
男「あぁ、行ってきます」
───
─
5年後
娘「行ってきまーす!」
息子「俺も!行ってきまーす!」
男「行ってらっしゃい」
幼馴染「気をつけてね」
男「じゃあ俺も行ってくるよ」
幼馴染「あなた、忘れ物よ」
男「忘れ物……?何かあったかっ──」
幼馴染「……んっ、行ってらっしゃい」
男「あぁ、行ってきます」
13: 2020/10/30(金) 23:43:51.170 ID:TJRFRAYG0
男「今日は随分と混んでるな……車で来ないほうが良かったか?」
男「黄色信号か……止まれないしこのまま突っ切ろう──っ!?!?!?」
ドォォン!
男「──っ!?」
男(今、轢いたか? 人を?)
男「で、出なくちゃ。いま轢いてしまった人の安全を確認しないと……っ」
男「どうか、生きていてくれ……頼む!」
男「黄色信号か……止まれないしこのまま突っ切ろう──っ!?!?!?」
ドォォン!
男「──っ!?」
男(今、轢いたか? 人を?)
男「で、出なくちゃ。いま轢いてしまった人の安全を確認しないと……っ」
男「どうか、生きていてくれ……頼む!」
14: 2020/10/30(金) 23:48:23.285 ID:TJRFRAYG0
男「君、大丈夫か!?」
少年「……」
男「しっかりしろ! 救急車、救急車を……っ!?」
男「まだ息がある。大丈夫か少年、頼む!」
少年「……」
男(娘と同じくらいだ。俺はそんな子供を……?)
少年「……」
男(この違和感は、なんだ?)
男(俺はこの光景を知っている。いや、今は見ている光景は知らない……なのに知っている)
男「なんだ、なんだ……これ」
少年「……」
男「しっかりしろ! 救急車、救急車を……っ!?」
男「まだ息がある。大丈夫か少年、頼む!」
少年「……」
男(娘と同じくらいだ。俺はそんな子供を……?)
少年「……」
男(この違和感は、なんだ?)
男(俺はこの光景を知っている。いや、今は見ている光景は知らない……なのに知っている)
男「なんだ、なんだ……これ」
15: 2020/10/30(金) 23:55:07.592 ID:TJRFRAYG0
─────
───
─
「あの!息子は!」
「体は何とかなりました。後は意識が戻れば……」
「と、取り敢えず良かったわ……」
「お、お兄ちゃん……よかったよぉぉぉぉ」
男「……」
男(何故、俺はこの人たちの事を忘れていたのだろう)
少年「……」
男「……っ」
男(何故、俺はこんなにも俺を想ってくれている人達を)
男(捨てたのだろう)
───
─
「あの!息子は!」
「体は何とかなりました。後は意識が戻れば……」
「と、取り敢えず良かったわ……」
「お、お兄ちゃん……よかったよぉぉぉぉ」
男「……」
男(何故、俺はこの人たちの事を忘れていたのだろう)
少年「……」
男「……っ」
男(何故、俺はこんなにも俺を想ってくれている人達を)
男(捨てたのだろう)
16: 2020/10/31(土) 00:00:38.802 ID:2byQ+Fb20HLWN
男(捨てた。俺は家族を捨てて転生した)
男(神様はあのとき、まだ帰れると言ったのにも関わらず、俺は帰ることをやめて転生した。)
男「……っ、彼はもう、目を覚まさない」
「……!」
「あなた、何を言っているの?うちの息子が、何ですって!?」
男「私のせいだ……私が、俺が……あの時っ」
男(帰っていればさえいれば……!)
─────
───
─
男「っ……はぁっ、はぁっ」
神様「どうじゃった?」
男(神様はあのとき、まだ帰れると言ったのにも関わらず、俺は帰ることをやめて転生した。)
男「……っ、彼はもう、目を覚まさない」
「……!」
「あなた、何を言っているの?うちの息子が、何ですって!?」
男「私のせいだ……私が、俺が……あの時っ」
男(帰っていればさえいれば……!)
─────
───
─
男「っ……はぁっ、はぁっ」
神様「どうじゃった?」
17: 2020/10/31(土) 00:06:54.262 ID:2byQ+Fb20HLWN
男「こ、ここは……」
神様「儂は今、おぬしが転生を選んだ場合に得るものと失うものを同時に見せた」
男「得るものと、失う……もの」
神様「そうじゃ」
男「俺は、俺は……っ」
神様「再度聞こう、おぬしはまだ帰る事ができるのじゃが……どうじゃ?」
男「……帰ります」
神様「よろしい」
男「神様、今日俺を轢いた人ってもしかして……その」
神様「おぬしとは関係の無い人じゃよ」
男「そ、そうですか……」
神様「ほれ、さっさと帰れ」
男「はい、ありがとうございました」
神様「儂は今、おぬしが転生を選んだ場合に得るものと失うものを同時に見せた」
男「得るものと、失う……もの」
神様「そうじゃ」
男「俺は、俺は……っ」
神様「再度聞こう、おぬしはまだ帰る事ができるのじゃが……どうじゃ?」
男「……帰ります」
神様「よろしい」
男「神様、今日俺を轢いた人ってもしかして……その」
神様「おぬしとは関係の無い人じゃよ」
男「そ、そうですか……」
神様「ほれ、さっさと帰れ」
男「はい、ありがとうございました」
18: 2020/10/31(土) 00:11:55.796 ID:2byQ+Fb20HLWN
「大丈夫ですか!? 救急車、救急車を呼んで!」
男「……っ」
「警察ですか!ひき逃げです!車の特徴は──」
─────
───
─
父「男!? 大丈夫か!」
母「ちょっとあなた!少し落ち着いて!」
妹「シーッ、だよ」
父「落ち着いてなどいられるか!」
男「父さん、俺は大丈夫だから」
父「あ、あぁ……良かった……本当に、良かった」
男「ちょ、泣かないでよ」
母「馬鹿ね、泣くに決まってるでしょ」
妹「家族なんだから、心配するに決まってる」
男「……そうだね」
男「……っ」
「警察ですか!ひき逃げです!車の特徴は──」
─────
───
─
父「男!? 大丈夫か!」
母「ちょっとあなた!少し落ち着いて!」
妹「シーッ、だよ」
父「落ち着いてなどいられるか!」
男「父さん、俺は大丈夫だから」
父「あ、あぁ……良かった……本当に、良かった」
男「ちょ、泣かないでよ」
母「馬鹿ね、泣くに決まってるでしょ」
妹「家族なんだから、心配するに決まってる」
男「……そうだね」
19: 2020/10/31(土) 00:17:40.259 ID:2byQ+Fb20HLWN
「あのぉ~、入っても大丈夫ですか?」
男「あなたは?」
母「彼女は男を助けた人よ」
女「女って言います」
男「あっ、はい」
女「ここの病院で働いてもいます!」
男「そうなんですね」
女「はい、無事で良かったです」
男「俺も、そう思います……本当に」
男「神様のおかげだ」
男「あなたは?」
母「彼女は男を助けた人よ」
女「女って言います」
男「あっ、はい」
女「ここの病院で働いてもいます!」
男「そうなんですね」
女「はい、無事で良かったです」
男「俺も、そう思います……本当に」
男「神様のおかげだ」
20: 2020/10/31(土) 00:21:14.363 ID:2byQ+Fb20HLWN
おしり
異世界転生等をするとき家族への未練を語らないからどんな心情してるんだと稀によく思う
異世界転生等をするとき家族への未練を語らないからどんな心情してるんだと稀によく思う
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