1: 2020/12/02(水) 20:00:04.782 ID:74yfdvW50
魔王「なぜですか!?」

勇者「だってお前魔王だよな?」

魔王「……はい」

勇者「そもそもなんでパーティーに入ったわけ?」

魔王「えと……チャンスがあれば寝首をかけるかな、と」

勇者「正直でよろしい。というわけでお引き取り下さい」

魔王「はい……短い間でしたが、ありがとうございました」

6: 2020/12/02(水) 20:03:20.578 ID:74yfdvW50
戦士「ったく、なんだったんだあいつ?」

魔法使い「ホント、魔王のくせにあたしらのパーティーに入るなんて」

僧侶「一度は入れちゃった私たちも私たちですけどね」

勇者「とにかく、今人類と魔族の関係は決して良好とはいえない」

勇者「いざという時、先頭に立って魔族と戦うのが俺たち勇者パーティーだ」

勇者「いつどこで、あんな風な刺客が現れるか分からない。油断しないようにしよう」

戦士「おう!」

魔法使い「うん!」

僧侶「はい!」

10: 2020/12/02(水) 20:06:22.429 ID:74yfdvW50
商人「ヒッヒッヒ……」

勇者「ん?」

商人「とってもおいしいリンゴはいかがかえ? 今なら特別サービス、タダでいいよ~」

勇者「……」

戦士「ずいぶんと真っ黒なリンゴだな」

魔法使い「匂いもすごいし」

僧侶「いかにも体に悪そうですね」

商人「そ、そんなことありませんよ~。一口だけでもいいんでご賞味あれ!」

13: 2020/12/02(水) 20:09:19.037 ID:74yfdvW50
勇者「お前が食え」

商人「へ?」

勇者「おいしいんだろ? 自分で食べてみろよ」

商人「わ、分かりました」シャクッ

商人「う!?」ゴロゴロゴロ…

商人「お腹がぁ……! で、出ちゃうっ……!」

勇者「トイレならあっちにあるぞ……魔王」

商人「バ、バレてたんですか……! 失礼しましたぁ~!」スタタタッ

15: 2020/12/02(水) 20:12:15.111 ID:74yfdvW50
魔法使い「ねえ勇者、あそこ……」

勇者「え?」

魔王「やいやいやいやいやい! 勇者ども!」

勇者「……」

魔王「僕を倒したかったらここまでかかってこい!」

勇者「……」

魔王「さあ、僕に近づけ! なるべく下は見ずに走ってくるのだぁ!」

勇者「……」

18: 2020/12/02(水) 20:15:09.902 ID:74yfdvW50
勇者「行かない」クルッ

魔王「え!?」

勇者「みんな、酒場にでも行こう」

魔王「ちょっと待って――」ダッ

ズボッ!

魔王「あっ!?」

魔王「うわあああああああ!!!」ドズンッ!

勇者「……」

21: 2020/12/02(水) 20:18:09.266 ID:74yfdvW50
勇者「生きてるかー?」

魔王「な、なんとか」

勇者「ほれ、引き上げてやるよ。つかまれ」

魔王「ありがとうございます」

戦士「俺も手伝ってやる」

勇者「せーの、ふんっ!」グイッ

戦士「そらっ!」グイッ

魔王「助かりました……!」

22: 2020/12/02(水) 20:21:15.749 ID:74yfdvW50
僧侶「はい、特製のハーブティーです。気持ちが落ち着きますよ」

魔王「ありがとうございます」

勇者「さて、聞こう。どうして俺たちを狙ったんだ?」

魔王「僕、最近魔王になったばかりの新米魔王でして……」

勇者「そんな感じするよ。全然貫録ないもん」

魔王「ですよね。僕自身、それをずっと気にしてて……」

魔王「そうしたら、前々から僕をよく面倒見てくれてた有力魔族である男爵が――」

24: 2020/12/02(水) 20:25:05.415 ID:74yfdvW50


男爵「魔王様、ちょっとお耳に入れたいことが」

魔王「なんだい?」

男爵「今、あちこちの魔族が“あなたは魔王として頼りない”と不満を口にしています」

男爵「このままだと、反逆されてしまいますよ」

魔王「やっぱり……!」

魔王「どうすればいい!? どうすれば皆に認めてもらえるだろう!?」

男爵「実績が必要です」

魔王「実績……!」

男爵「ずばり、勇者の首を取るのです! あなた自身の手で!」


26: 2020/12/02(水) 20:28:11.191 ID:74yfdvW50
魔王「――というわけだったんです」

勇者「それであんな下手な襲撃をねえ……」

戦士「どうするよ、勇者」

魔法使い「また襲いかかられても迷惑だし、かといってこいつと戦うのも気が進まないわ」

勇者「……」

勇者「魔王」

魔王「はい」

勇者「ここはいっそ、俺たちのパーティーに正式に入らないか?」

魔王「えっ!?」

27: 2020/12/02(水) 20:31:25.853 ID:74yfdvW50
勇者「“寝首をかく”とかそういうのはとりあえず無しで、俺たちの仲間になって」

勇者「しばらくの間、お前自身の目で俺たちを見極めてくれ」

勇者「それでもし、やっぱり首を取りたいんだったら、その時は正々堂々勝負しよう」

魔王「そこまで譲歩して下さるんですか?」

勇者「ああ」

戦士「ったく、とんでもないことになったな」

魔法使い「一度クビにした人をまた入れちゃうなんてね。しかも魔王」

僧侶「だけど、勇者さんらしいです」

魔王「皆さん、よろしくお願いします!」

28: 2020/12/02(水) 20:34:30.111 ID:74yfdvW50
勇者「それじゃ、さっそく親睦を深めるために酒にしよう」

戦士「賛成!」

魔法使い「あんた、ひょっとしてお酒飲むきっかけが欲しかっただけじゃないの?」

僧侶「まあまあ、いいじゃないですか」

魔王「人間界のお酒を飲むのは初めてです……」チビ…

戦士「おいおい、もっとグイッといけよ! 魔王の名が泣くぜ!」

魔王「は、はいっ!」

30: 2020/12/02(水) 20:37:29.433 ID:74yfdvW50
魔王「お酒おいち~い!」

魔王「ぐへへへへ! うえへへへへ! さあさ皆さん、もっと飲みましょう~!」

魔法使い「あーあ、ベロンベロンじゃない」

戦士「こいつ酒癖悪いな……」

僧侶「普段は大人しいですし、よほど自分を抑えてるんでしょうね」

魔王「ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ……」

戦士「と思ったらあっさり寝やがった」

勇者「どれ、上着でもかけてやるか」

31: 2020/12/02(水) 20:40:15.878 ID:74yfdvW50
……

勇者「今日は勇者パーティーとして任務を遂行する」

魔王「どんな任務ですか?」

勇者「村を占領してる魔物たちを追い払って欲しいそうだ」

魔法使い「大した任務じゃないわね」

戦士「すぐ蹴散らしてやるぜ!」

僧侶「村の平和を取り戻しましょう」

魔王「全力を尽くします!」

勇者(さて、これで魔王の配下に対する影響力を見極めることができそうだ……)

33: 2020/12/02(水) 20:43:25.056 ID:74yfdvW50
勇者「魔物の群れだ。みんな、気を引き締めろ!」

戦士「おうよ!」

魔法使い「まっかせて!」

僧侶「皆さん、どうか無理はなさらず」

魔王「……」ドキドキ

勇者「でやぁっ!」ザンッ!

戦士「どりゃあっ!」ズバッ!

魔法使い「ファイヤー!」ボワァッ!

「ちっ、ちくしょう! こいつら強いぜ!」

34: 2020/12/02(水) 20:46:22.126 ID:74yfdvW50
魔王(魔物と戦うのは気が引けるけど、悪いのは村を占拠してるあいつらだし……)

魔王「よぉし、僕も……」コソコソ…

魔王「あ、あの……僕と勝負……」

ボス「あん!?」ギロッ

魔王「ひっ! ごめんなさいごめんなさい!」

ボス「!?」

ボス「あ、あの……あなたって……」

35: 2020/12/02(水) 20:49:27.391 ID:74yfdvW50
ボス「ひょっとして……魔王様?」

魔王「はい、そうですけど」

ボス「やっぱりっ! 睨みつけたりしてすいませんでしたぁっ!」

ボス「野郎ども、引き上げるぞーっ!」

ドドドドド…

魔王「……」ホッ

戦士「なーんだ結構ニラミきくじゃねえか」

魔法使い「思ったより数多かったし、助かったわ!」

勇者「……」

36: 2020/12/02(水) 20:52:42.789 ID:74yfdvW50
……

ワイワイ… キャッキャッ…

勇者「今日は子供達とのふれあいだ」

魔王「こんなこともやるんですね」

戦士「勇者パーティーってのは、人々の希望の象徴だからな。戦うだけが能じゃねえのさ」

魔王「なるほど!」

魔法使い「さ~て、子供らと遊んでやりますか。特に将来いい男になりそうな子とね」

僧侶「魔法使いさんったら……」

37: 2020/12/02(水) 20:55:24.753 ID:74yfdvW50
子供A「なんだこいつ~」

子供B「蹴っちゃえ、蹴っちゃえ」ゲシッ ゲシッ

魔王「わぁ、みんな強い!」

勇者「!」

勇者「コラコラ、そんなことしちゃダメだ」

魔王「いいんですよ。僕、子供は大好きですから!」

勇者「とことん魔王っぽくない魔王だな」

39: 2020/12/02(水) 20:58:35.320 ID:74yfdvW50
……

勇者「先日の大雨で土砂崩れが起こったから、救助作業を行う!」

戦士「うおおおおっ! 崩れた家を片付けるぜぇ!」

魔法使い「土砂を魔法で吹き飛ばすわ!」ブオワッ!

僧侶「お怪我をされた方は治療します!」

魔王「炊き出しができました! どうぞ食べて下さい!」



勇者(魔王はよく働いてくれている)

勇者(わざとスキを見せたこともあったが、俺たちを狙うつもりはもうないようだ……)

40: 2020/12/02(水) 21:01:51.235 ID:74yfdvW50
やがて――

勇者「そうか……もう行っちゃうのか」

魔王「はい、いつまでも城を留守にするわけにはいきませんし」

魔王「わずかの間でしたが、楽しかったです」

戦士「俺たちもさ」

魔法使い「あんたのおかげでずいぶん助かったわ!」

僧侶「ありがとうございました!」

魔王「城に戻ったら“勇者さんたちとは仲良くできた”と報告したいと思います!」

戦士「おう、平和の架け橋になってくれよ!」

勇者「……」

41: 2020/12/02(水) 21:05:57.537 ID:74yfdvW50
魔王「それでは――」

勇者「ちょっと待った」

魔王「?」

勇者「俺たちもついていくよ」

魔王「え、なぜです?」

勇者「まあ……せっかくだし、魔王城を一度見とくのもいいかなって」

魔王「そうですか。男爵にも勇者さんたちを紹介しますよ。きっとよくしてくれると思いますから!」

勇者「……ああ」

42: 2020/12/02(水) 21:08:38.268 ID:74yfdvW50
……

勇者「ここが魔王城か」

魔王「いきなり勇者さんたちを連れていくと驚かれると思うんで、裏口から入りましょう」

勇者「その方がいいだろうな」

戦士「おい勇者、なんでここまでついてきたんだ?」

魔法使い「そうよ。別にあたしたちがついてくる必要なんて……」

勇者「いや、俺の予想が正しければ、魔王は……」

魔王「こっちです! ついてきて下さい!」

勇者「ああ、分かった」

43: 2020/12/02(水) 21:11:21.379 ID:74yfdvW50
魔王「あ、男爵がいました」

勇者「あいつか……」

僧侶「かなりの魔力の持ち主ですね」

魔王「魔族でも有数の実力者ですからね。おーい!」

勇者「待て」ガシッ

魔王「へ?」

勇者「あいつが部下と何を話してるかを……ちゃんと聞こう」

44: 2020/12/02(水) 21:15:15.981 ID:74yfdvW50
部下「……今頃、魔王はどうなったと思います?」

男爵「一人でのこのこと出向いて、勇者どもに殺されてるだろうさ」

男爵「私が実績がないと反逆されるとそそのかしたら、焦って勇者の元に向かっていったからな」

部下「ホント、単純ですねえ」

男爵「あんなバカでは、栄光ある魔王の座は務まらんよ」

男爵「奴が殺されてくれれば、これで私が魔王になれるというものだ」

男爵「しかも人間界に攻め入る口実が手に入るというおまけつきでな」

部下「一石二鳥ですね」

男爵「いかに頼りなくとも、魔王に反逆しようなどという魔族はまずいない」

男爵「“魔王”という地位はそれほどのものなのだ」

男爵「私が反逆すれば孤立するだけだったろうが……おかげで奴から勝手に消えてくれる」

部下「魔王氏亡の伝令が届くのが待ち遠しいですね」

46: 2020/12/02(水) 21:18:19.391 ID:74yfdvW50
魔王「……」

勇者「魔王……」

魔王「僕は……騙されてたんですね」

魔王「一番信頼してた部下に……」

魔王「助言してくれたと思ったら、氏ぬよう仕向けられてたなんて……」

魔王「だけど、これも報いです……。頼りないのは事実だし、僕だって最初、あなたたちを騙してたんですから……」

魔王「だから……平気です……」

魔王「うっ、うぅ、うっ……」

勇者「……」

48: 2020/12/02(水) 21:21:37.580 ID:74yfdvW50
勇者「許せねえ……」

魔王「え……?」

勇者「元々お前が騙されてるのはなんとなく予想ついてた。だが、それ以上に……」

勇者「お前はいい奴だ。それをあんな風にバカにしてるあいつらが許せねえ……」

勇者「それに、どのみちあの男爵は人間と敵対するつもりだろう。戦いは避けられない」

勇者「だったらここで……あいつらをブッ倒す!」

勇者「みんなもいいな?」

戦士「おう!」

魔法使い「あたしも聞いてたらムカついてきちゃった」

僧侶「やりましょう!」

魔王「皆さん……ダメです! 男爵を甘く見ては――」

51: 2020/12/02(水) 21:24:36.938 ID:74yfdvW50
勇者「おい、魔族の男爵!」

男爵「……む? なんだ貴様は? 魔族ではないな」

勇者「俺は……勇者だ!」

男爵「なにぃ……!?」

勇者「お前は自分の王をそそのかして、戦争を引き起こそうとしたな?」

勇者「今ここでその芽を摘む!」

男爵「……!」

男爵(なぜここに……? 魔王を頃してここまで来たということか……?)

男爵(いや、それより……これはチャンスだ!)

52: 2020/12/02(水) 21:27:18.668 ID:74yfdvW50
男爵「集え、男爵派の魔族たちよ!」

ザザザッ… バババッ…

勇者「くっ!?」

戦士「さすが……手下を潜ませてやがったぜ」

男爵「これらは全て上級魔族……いかにお前たちでもそう簡単には倒せんぞ」

男爵「ここで勇者たちを頃してしまえッ!」

男爵「その勢いに乗じて、人間界も支配してしまうのだ!」

53: 2020/12/02(水) 21:30:18.547 ID:74yfdvW50
勇者「みんな、陣形を組め!」

バババッ

勇者「だあっ!」

ザシュッ!

戦士「こんのっ!」

ズバッ!

男爵「ククク……さすがは勇者パーティー、数にも質にも屈せぬとは!」

男爵「だが、ここは我らの本拠地! いつまで持つかなァ!?」

54: 2020/12/02(水) 21:33:16.663 ID:74yfdvW50
ドゴォッ!

戦士「ぐはっ……!」

魔法使い「やばい、魔力が切れてきたわ……」

僧侶「皆さん、回復します!」パァァァ…

勇者「ハァ、ハァ、ハァ……」

勇者(だんだん回復が追いつかなくなってきた……)

勇者(装備も整ってないのに、こんな戦いを挑むなんて……いくらなんでも軽率すぎたか!)

勇者(だけど、仲間をバカにされて……黙っちゃいられなかった!)

56: 2020/12/02(水) 21:36:42.443 ID:74yfdvW50
魔王(どうしよう、どうしよう……)

魔王(このままじゃみんな……やられてしまう)

魔王(だけど、勇者さんたちと上級魔族の戦いに混ざって、僕に何ができる?)

魔王(足手まといになるだけだ……!)

魔王「――!」ハッ



男爵「そろそろ私も参戦するとしようか! 内臓を抉り取ってくれる!」ジャキンッ

ザシィッ!

勇者「が、は……ッ!」

男爵「これでも“切り裂きバロン”と呼ばれた身! 手負いの勇者如きならこの通りよォ!」

戦士「やべえっ、勇者がっ!」

僧侶「勇者さんっ!」

57: 2020/12/02(水) 21:39:52.474 ID:74yfdvW50
魔王(僕が……やらないと!)

魔王「勇者さぁん! みんなァッ!」ダッ

男爵「!?」

勇者「魔王……ッ!」

魔王「男爵……僕が相手だ……」

男爵「なんだと……? 勇者に殺されたんじゃ……?」

男爵「そうか、さては勇者に脅され、この城に案内したな!? このヘタレがァ!」

男爵「勇者をこの城に引き込んだというのは、頃す理由として十分!」

男爵「お前から切り裂いてやるァ!!!」ダッ

魔王「ひっ……」

58: 2020/12/02(水) 21:42:56.577 ID:74yfdvW50
魔王「う……う、うう……」

男爵(バカめ、スキだらけ――)

魔王「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

男爵「え!?」

勇者「魔王!?」

魔王「ガァァァッ!!!」

男爵「うわああああっ!」

ボゴォンッ!!!

59: 2020/12/02(水) 21:45:25.987 ID:74yfdvW50
ズズゥン…

魔王「はぁ、はぁ、はぁ……」

男爵(頑丈な魔王城の壁が……)

男爵(この破壊力……先代様以上……!)

魔王「男爵……」ギロッ

男爵「ひいっ!」

魔王「僕を騙したのは構わない。反逆も許す……。だけど、仲間を傷つけたことは許さない!」

男爵「や、やめっ――」



ボグシャッ!!!

61: 2020/12/02(水) 21:48:53.083 ID:74yfdvW50
……

男爵「ごめんなさい……ごめんなさい……」ピクピク…

魔法使い「さっすが上級魔族、まだ生きてるわ。ギリギリだけど」

戦士「すげえ一撃だったぜ……」

僧侶「魔王さん、こんな力を秘めてたんですね……」

魔王「自分でも信じられません……」

勇者「ありがとう、魔王。おかげで助かったよ」

魔王「いえ、本当に無我夢中で……」

勇者「一番身近にいた男爵は、かえって“魔王”の恐ろしさに気付けなかったんだな」

63: 2020/12/02(水) 21:51:51.096 ID:74yfdvW50
戦士「周囲の魔族も、すっかり平伏しちゃってる。ったく、いい気なもんだ」

魔法使い「あの一撃見て逆らおうってのがいたらただのバカでしょ」

勇者「あれだけの強さを見せつけたら、もう魔王としてやってけるだろ」

魔王「はい!」

魔王「僕……今日からは魔王として生きていきます」

魔王「もちろん……人間の皆さんに迷惑はかけません! 部下に反逆もさせません!」

勇者「この短い間にすっかり逞しくなったな」

ガシィッ!

64: 2020/12/02(水) 21:55:41.986 ID:74yfdvW50
勇者「だけど、忘れるなよ」

魔王「?」

勇者「お前はこれからも勇者パーティーの一員だ!」

魔王「ありがとうございます!」

戦士「しっかりやれよ」

魔法使い「また一緒にお酒飲みましょうね」

僧侶「頑張って下さい!」

魔王「皆さんもお元気で……!」

65: 2020/12/02(水) 21:58:30.079 ID:74yfdvW50
……

国王「おお、勇者たちよ」

国王「たった四人で魔王城に乗り込み、魔族と友好を結んでくれたとは……」

国王「さすがは選ばれし勇者パーティーだ!」

勇者「光栄です、陛下」

勇者「しかし、一つだけ訂正させて下さい」

国王「む?」

勇者「勇者パーティーは“五人”です」







おわり

68: 2020/12/02(水) 22:05:58.867

いい終わり方だ

引用元: 勇者「悪いんだけどさぁ……お前パーティーから追放するわw」