1:◆CItYBDS.l2  2016/08/17(水) 18:39:02.14

俺たちは、戦士だ。

俺たちには、朝も昼も夜もない。

目が覚めると同時に戦いが始まる。

区切られた闘技場。



2: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:39:46.24

相対するのは、四足の獣のこともあるし。

俺たち同様、飼われた戦士でもある。

戦いが終われば、また眠るだけだ。

傷を負うことも多々ある。

だが俺たちに高価な薬を使ってくれる主人は、そういない。

3: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:40:22.80

そう、俺たちは飼われている。

だが、俺は奴隷ではない。断じて奴隷などではない。

4: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:40:49.52

かつて俺は、一匹の獣だった。

ありあまる力に物を言わせ、あらゆるものを隷属させた。

最強の自負があった。

誤りだった。

5: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:41:20.58

最強は俺ではなかった、俺のいた集落は襲われ。

俺は捕らえられた。

抵抗するつもりはなかった。俺は負けたのだから。

なんの説明もなく、闘技場に投げ込まれたときは驚いた。

だが、俺のすべきことは明らかだった。

相手を倒す。ただ、それだけだ。

俺は、新たな仕事と身分を得た。

6: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:41:48.26

言われるがままに闘技場に赴いた。

勝ち、そして負けた。

強さとは、力だけではないことを俺は知った。

戦いが楽しくなった。

そう、俺は戦いが好きだ。

無理に戦わされているわけではない。

7: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:42:15.10

なかには、そういう奴もいるだろう。

明らかに集中できていない者。

自暴自棄になっている者。

彼らも、かつては俺と同類。

狭い社会の中で最強を自負していたのだろう。

いまだ、新たな自分の居場所に馴染めていない。

彼らこそが奴隷だ。

俺とは違う。

8: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:43:08.19

ああ、そろそろ時間だ。

普段は直前まで眠っているからな。

話ができて、楽しかったよ。

さて今日は、どんな相手だろうか。

わくわくするよ。

じゃあ生きていたら、また会おう。

9: ◆CItYBDS.l2 2016/08/17(水) 18:43:34.86

トレーナー「いけ!ピカチュウ!」


ピカチュウ「ピ!ピカチュウ!」

12: 2016/08/17(水) 23:42:19.70 ID:FbASsnqLo
まさかだったw

10: 2016/08/17(水) 18:50:26.18 ID:aqRTY7gV0
ぞくりとした
短かったけど面白かったよ、乙

13: 2016/08/19(金) 18:16:49.98 ID:LQhA1PIYO
オリジナルと思わせてあの作品だった系のSSけっこうすき


引用元: 俺たちは奴隷ではない。