1: 2013/01/26(土) 00:57:45.20 ID:2O5E+O090
961プロ社員「はい、かなり規模が大きいものです」

961プロ社員「今回のこのイベントの花火以外のもう一つの目玉に、アイドルを呼びたいとのことで、こちらに情報が回ってきたしだいです」

961プロ社員「こちらが詳しい資料になります」

黒井「ふむ……よかろう、ジュピターを出そう。さっそく、手続きをしろ」

961プロ社員「かしこまりました」

黒井「……」

黒井「花火、か……」

2: 2013/01/26(土) 01:00:43.54 ID:2O5E+O090
――――――――花火大会当日

――――――――花火大会会場

冬馬「すごい人だかりだな……」

翔太「あは、出店もたっくさんでてるね~」

北斗「これは、いい子猫ちゃんたちに巡り合えそうだ」

ファン「キャ――――――――ッ!!ジュピターよ!!ジュピターだわ!!」

ファン「うそ、どこ?ホントだわ!冬馬く―――――――――ん!!」

ファン「どこどこ?ジュピターはどこ!?」

ザワザワ……

翔太「あらら、もう見つかっちゃったねえ」

北斗「じゃあここは、気前よくファンサービスでもしますか」

冬馬「よし、行くか!」

ファン「キャ―――――――――!!」

3: 2013/01/26(土) 01:03:57.34 ID:2O5E+O090
黒井「ふん……」

???「……黒井さん!?」

黒井「む……?」

黒井「音無……小鳥……?なぜキミがここに……!?」

小鳥「私は……花火を見に来たんです」

黒井「……愚問だったな」

小鳥「黒井さんはお仕事ですか?」

黒井「ああ、そうだ」

小鳥「そうですか……」

4: 2013/01/26(土) 01:08:02.59 ID:2O5E+O090
小鳥「……」

小鳥「……あの、黒井さん……」

黒井「失礼する」スタスタ……

小鳥「あ……」

小鳥「……」

6: 2013/01/26(土) 01:13:27.90 ID:2O5E+O090
……一方、そのころ

―――――出店会場

真美「おお、出店がいっぱい出てるねえ!」

雪歩「人もたくさん……」

千早「でも、本当に見つかったりしないかしら……」

真「大丈夫だよ、あんがい堂々としてればバレないものさ」

千早「そうかしら……」

春香「こんなに人もいっぱいいるんだもん。大丈夫だよ。それかさ、お面被るとかどう?」

千早「遠慮しておくわ」

7: 2013/01/26(土) 01:16:38.47 ID:2O5E+O090
真「ようし、まずは……ボク、お好み焼き!」

真美「んっふっふ~、真美はやきそば!」

雪歩「二人とも、転ばないように気を付けて」

真美「わかってるって!ゆきぴょん!」

真「プッ、それにそのセリフは春香に言うべきなんじゃない?」

春香「なっ!?」

千早「フフ、そうね」

春香「ち、千早ちゃんまで!酷いよ!真!千早ちゃん!

8: 2013/01/26(土) 01:19:21.25 ID:2O5E+O090
春香「私だって、そんな簡単に転ばないんだから……ってきゃあ!」

ズル……ドテッ!

千早「は、春香!」

雪歩「春香ちゃん!」

春香「いったあ~……」

真美「あはは、まったく、期待を裏切りませんなあ!はるるんは!」

9: 2013/01/26(土) 01:22:23.58 ID:2O5E+O090
そして……

小鳥「あの……黒井さん」

黒井「……なんだ」

小鳥「あの……、その……」

黒井「……」

小鳥「……あの、よろしければ一緒に花火を見ていただけませんか?」

黒井「……」

10: 2013/01/26(土) 01:27:21.37 ID:2O5E+O090
黒井「……私は仕事で来ていると言ったはずだが」

小鳥「少しの間だけ……というのでもダメ……ですか?」

黒井「……」

小鳥「……」

黒井「……まあ、少しだけなら余裕があるが……だが」

黒井「……できない相談だな。私は765プロが嫌いだし、キミはそこの社員だろう」

12: 2013/01/26(土) 01:29:38.90 ID:2O5E+O090
小鳥「……」

黒井「……」

小鳥「……そう、ですよね……」

黒井「……」

13: 2013/01/26(土) 01:33:07.46 ID:2O5E+O090
小鳥「……でしたら、昔馴染み、っていうのはどうですか!?」

黒井「なっ……」

小鳥「……」

黒井「……」

黒井「昔馴染み、か……」

小鳥「はい!」

黒井「……」

黒井「……よかろう、昔馴染みなら無下にはできんな」

小鳥「本当ですか!?」

15: 2013/01/26(土) 01:37:13.29 ID:2O5E+O090
黒井「ただし……何度も言うように私はここに仕事で来ている。時間に余裕ができた場合に限る」

小鳥「は、はい!じゃ、じゃあ……会場地図は……あった!場所は……」

小鳥「……ここでいいですか?」

黒井「……わかった」

小鳥「ありがとうございます!」

黒井「時間に余裕ができたら、と言っている。あまり期待はするな」スタスタ……

16: 2013/01/26(土) 01:40:12.36 ID:2O5E+O090
黒井「……」スタスタ……

黒井「……」スタスタ……ポパ……プルルル、ガチャ

黒井「私だ。話がある」

18: 2013/01/26(土) 01:45:10.52 ID:2O5E+O090
……そして

――――――――出店会場

冬馬「あ、765プロじゃねえか」

真美「あ、あまとう!」

冬馬「誰があまとうだ!」

真「そういえばジュピターはここでライブだっけ」

冬馬「ああ、そうだ」

19: 2013/01/26(土) 01:48:41.56 ID:2O5E+O090
翔太「そういうキミたちは?」

真美「真美たちは休みだから遊びにきたんだよー」

北斗「う~ん、子猫ちゃんたち、ゆかたが良く似合ってるね!」

真美「でしょでしょ~?目の保養になった~?」

翔太「冬馬くんはどう思う?」

冬馬「別に」

翔太「はあ、だから冬馬くんはダメなんだよ」

冬馬「ああ!?」

真美「世辞の一つも言えないようじゃ、彼女はできませんぞ」

北斗「同感だね」

冬馬「な、なんだおまえら!?よってたかりやがって!」

20: 2013/01/26(土) 01:51:51.88 ID:2O5E+O090
黒井「何をしている、おまえたち」

冬馬「オッサン」

黒井「765プロか……まあいい……おまえたちに話がある」

冬馬「なんだよ、オッサン」

22: 2013/01/26(土) 01:55:15.40 ID:2O5E+O090
黒井「私はこれから用事でここから抜ける。あとのことは話を通してある」

黒井「あとはおまえたちだけでもできるだろう、きっちり果たせ」

冬馬「わかったぜ、オッサン。オレたちだけで充分だ」

翔太「いつものことだしね~」

黒井「ウィ、任せたぞ」

24: 2013/01/26(土) 01:58:30.43 ID:2O5E+O090
……そして

黒井「確か、この辺のはず……」

高木「黒井!?おまえもきていたのか」

黒井「……なぜきさまがここにいる……」

高木「音無くんが誘ってくれたんだ……」

黒井「音無小鳥が……?」

高木「ああ……たまには花火でも見ないかとね」

黒井「帰る……!」スタスタ

25: 2013/01/26(土) 02:01:17.73 ID:2O5E+O090
高木「おい、もうすぐ始まるぞ。見ないのか」

黒井「ふざけるな、誰がお前なんかと……」

小鳥『昔馴染みっていうのはどうですか!?』

黒井『昔馴染みなら、無下にはできんな』

小鳥『ありがとうございます!』

黒井「……!チッ!」

26: 2013/01/26(土) 02:04:24.49 ID:2O5E+O090
高木「? どうした?」

黒井「帰るのはやめだ。ここで花火を見ると約束した」

高木「誰と?」

黒井「きさまには関係のないことだ」

27: 2013/01/26(土) 02:07:24.09 ID:2O5E+O090
……一方そのころ

ヒュルルルル……ドーン!

真「あ、始まった!」

春香「きれいだねー!」

真美「たーまやー!」

春香「そうだ、写真撮ろうよ、みんな!」

真美「おお、撮って撮ってー!」

春香「まあまあ、まずは一人ずつ撮ろうよ。うん、じゃあ……千早ちゃん!」

千早「え?」

30: 2013/01/26(土) 02:11:21.48 ID:2O5E+O090
春香「うん、そこ! 写真撮るから、なんかポーズとってよ」

千早「え、で、でも……」

春香「いいからいいから、どうせ、記念だし、ね? ほら、撮るよー!」

千早「は、春香! も、もう!」アタフタ……

ヒュルルルル……

春香「はい、チーズ!」

……ドドーン!!パシャッ!

31: 2013/01/26(土) 02:15:40.21 ID:2O5E+O090
千早「ふう、……春香、いきなりなんて……」

春香「プッ……あははははははは!」

千早「は、春香?」

雪歩「どうしたの?春香ちゃん!?」

春香「ごめんごめん……千早ちゃん、ポーズは苦手って言ってたけど、実は才能あるんじゃない?」

千早「え?」

33: 2013/01/26(土) 02:18:28.05 ID:2O5E+O090
真「どれどれ……?おお!」

真美「なになに?見せて見せて!……おお――!!」

雪歩「わあ……」

千早「私にも見せて……あっ」

春香「ね?」

34: 2013/01/26(土) 02:22:18.13 ID:2O5E+O090
雪歩「すごくかわいいよ!千早ちゃん!まるで、千早ちゃんの手のひらに花火が咲いてるみたい!」

真「いいなあ、すごくロマンチックな写真じゃないか」

真美「すごいすごい!」

千早「そ、そんなこと……」

春香「その照れてるかわいい顔も、もう一枚!」

千早「も、もう!春香!」

春香「あははは!」

ヒュルルルル……ドーン……

35: 2013/01/26(土) 02:25:18.72 ID:2O5E+O090
……そして

高木「黒井……いくつになっても、花火というのはいいものだな……」

黒井「……ふん、くだらん」

黒井「765プロは貧乏事務所のくせに、社長が花火大会に来れるとは、ずいぶんといい身分になったじゃないか」

高木「はっはっは……みんなが頑張ってくれているからね……」

36: 2013/01/26(土) 02:28:18.38 ID:2O5E+O090
……一方そのころ

――――――――出店会場・ライブ会場付近

真美「あ!やっと見つけた!チョコバナナ!出店でチョコバナナがこんなに少ないなんて信じらんなーい!」

真「ボクの分もお願い!真美!」

真美「了かーい!」

春香「あれ、なんだろう、あの人だかり」

真「この先でジュピターがライブをやるから、それじゃないかな」

春香「そっか」

37: 2013/01/26(土) 02:31:20.06 ID:2O5E+O090
雪歩「……」

小鳥「……」

雪歩「……え?」クルッ

人ごみ「……」

雪歩「……あれ?」

千早「どうしたの?萩原さん?」

雪歩「今……、ううん、なんでもない」

千早「? そう?」

39: 2013/01/26(土) 02:34:04.64 ID:2O5E+O090
小鳥「飲み物買ってたら遅くなっちゃった」

小鳥「早く戻らないと……」

小鳥「……」

小鳥「……だいじょうぶかな……」

40: 2013/01/26(土) 02:37:43.69 ID:2O5E+O090
……そして

高木「黒井……私は思うのだ……」

ヒュルルル……ドドーン……

高木「アイドルとは……花火のような存在なのではないかと」

高木「天に高らかに打ちあがって……空に光の花を咲かせる」

高木「その輝きは分け隔てなくすべての存在に優しく降り注ぐ……」

高木「私は、その輝きの美しさと、そこから生まれる感動を、多くの人にも味わってほしくてこの仕事をしている……」

黒井「ふん、アイドル事務所の社長など辞めて、詩人になったらどうだ?そんなヘタクソな詩では、誰も金を出さんだろうがな」

高木「はは……」

42: 2013/01/26(土) 02:41:20.28 ID:2O5E+O090
ヒュルルルル……

高木「だが、最近、私はこうも思うのだ……」

高木「確かに、輝きはすばらしいものかもしれない。しかし、花火もアイドルも輝きは等しく一瞬だ」

ドドーン……

高木「どんなに高く飛んでも……どんなに美しくても……」

高木「一瞬だけ輝いたら、あとは消えていくのみ………」

43: 2013/01/26(土) 02:45:43.32 ID:2O5E+O090
高木「たとえ何発打ち上げようと、いつまでこの輝きは続くのだろう?」

高木「いつまで、私の前で輝いてくれるのだろう……そう考えると、急に寂しくなって……」

高木「そして私のやっていることに、虚しさを感じるのだ……」

高木「いずれ消える運命であるならば、その一瞬のために若者達の人生を左右してもよいのだろうか……」

高木「……私は……」

45: 2013/01/26(土) 02:56:44.07 ID:2O5E+O090
ヒュルルル……ドーン……

黒井「……」

黒井「……フン、このバカが……」

黒井「私はそんなくだらないことを考えて、貴重な人生の時間を潰すようなヒマ人ではないのでな……」

黒井「せっかくの花火も興醒めだ。失礼する」

高木「黒井……」

46: 2013/01/26(土) 02:59:33.19 ID:2O5E+O090
黒井「……」

高木「……」

黒井「もうろくしたな、高木……」

高木「……」

黒井「……あそこを見てみろ」

高木「?」

観客「ワ――――――――――――ッ!!」

高木「!? この歓声は……?」

48: 2013/01/26(土) 03:03:25.34 ID:2O5E+O090
――――――ジュピターライブ会場

司会「では、登場していただきましょう!本日のスペシャルゲスト――――――――ッ!!」

司会「今をときめくスーパーアイドルユニット!ジュピターですッ!!」

観客「ワ――――――――――――――――ッ!!」

観客「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

司会「では!歌っていただきましょう!一曲目はッ――――――――――」

49: 2013/01/26(土) 03:05:20.78 ID:2O5E+O090
……そして

高木「あれは……ジュピターか」

黒井「そうだ」

高木「あれがいったい……」

黒井「黙って見ていろ」

50: 2013/01/26(土) 03:09:52.62 ID:2O5E+O090
真「あ、やっぱりジュピターだ」

雪歩「それにしてもすごく人が多いね……」

真「今回の目玉の一つとして宣伝されてるしね」

春香「み、みんな!はぐれないように~って……うわ!」ドン

男「おっと!」

春香「す、すみません……」

男「いえ、こちらこそ……って、え?」

男「き、きみは、まさか……天海春香!?」

春香「あ……」

51: 2013/01/26(土) 03:19:21.27 ID:2O5E+O090
観客「え……?天海春香だって……」

観客「うそ?どこにいるんだよ?」

真「ま、まずい!」

観客「あ、本当に天海春香じゃないか!」

観客「それだけじゃない!菊地真に萩原雪歩、双海真美、如月千早までいるじゃないか!!」

観客「うそ、真王子がいらっしゃってるの――――――!!?」

ザワザワ……

雪歩「えええ、ど、どうしよう!」

千早「ど、どうしようって言われても……」

53: 2013/01/26(土) 03:39:44.45 ID:2O5E+O090
……一方そのころ

ジュピター「~♪」

高木「さすがだな、黒井。すばらしいテクニックとパフォーマンスのあるアイドルたちだ」

黒井「……そんなこと、おまえに評価されるまでもない」

高木「……」

55: 2013/01/26(土) 03:43:20.86 ID:2O5E+O090
小鳥「はあ、はあ……!い、いた!よ、よかった」

小鳥「しゃ……」

黒井「……あれを見て、きさまがどう思うかは知らん」

小鳥「!」

小鳥「……」サッ←木の陰に隠れる

黒井「あとはきさま自身で考えろ」

高木「……」

小鳥「……」

56: 2013/01/26(土) 04:04:04.82 ID:2O5E+O090
―――――――ジュピターライブ会場

冬馬「……なんだ?少し後ろの方がざわついてるじゃねえか」

翔太「なにかあったのかな?」

冬馬「オレたちのライブより気になるってのか?気に食わねえ」

現場指揮「なに?765プロのアイドルが来てる?」

冬馬「!」

57: 2013/01/26(土) 04:06:33.67 ID:2O5E+O090
現場指揮「こいつはおもしろいハプニングだ!彼女たちにもここで歌ってもらおう!」

スタッフ「し、しかし、そんな予定は……」

現場指揮「少しくらい延長しても構わんだろう。盛り上がればいいのさ。責任は私が全てとる」

スタッフ「しかし、音源は……」

音響スタッフ「あ、それなら大丈夫です。音源なら、前に仕事した時のが残ってます」

現場指揮「よし、彼女たちをここに呼んでこい!」

冬馬「その必要はないぜ!」

59: 2013/01/26(土) 04:10:08.60 ID:2O5E+O090
冬馬「765プロォッ!!」

真美「あまとう!」

冬馬「ここに上がってきな!今日こそどっちが上か、けりをつけてやるぜ!」

ザワザワ……

観客「おいおい、なんだよなんだよ?765プロとジュピターのライブが見れんのか?」

観客「すげえ!超豪華ライブじゃないか!来てよかったぜ!!」

真美「んっふっふ~!よぉし!兄ちゃん姉ちゃん!真美たちの歌、聞きたーい!!?」

観客「おおおおおおおおおおおお!!」

60: 2013/01/26(土) 04:12:25.15 ID:2O5E+O090
ジュピターファン「ちょっと!冗談じゃないわよ!私はジュピターを見に来たのよ!765プロなんてお呼びじゃないわ」

ジュピターファン「そうよそうよ!」

翔太「まあまあ、そこのお姉さんたち、そう言わないでよ」

北斗「オレたちの少しだけのわがまま、聞いてくれないかな?」

冬馬「そのかわり、最高のライブを見せてやるぜ!」

ジュピターファン「じゅ、ジュピターが私に声を……」ドサッ

ジュピターファン「ちょ、ちょっと!」

ジュピターファン「もうなんでもOK―――――ッ!!」

61: 2013/01/26(土) 04:15:01.77 ID:2O5E+O090
ザワザワ……

真「やった!道をあけてくれた!行こう!みんな!」

雪歩「え、で、でも……」

真美「こうなったらやるしかないっしょー!」

春香「よぉし!行こう!雪歩、千早ちゃん!」

千早「ちょ、ちょっと!春香!みんな!!」

春香「それえ!」

ダッタタタタタ!

62: 2013/01/26(土) 04:18:06.08 ID:2O5E+O090
小鳥「あの子たち……」

高木「み、みんな……なぜ……?」

黒井「……高木」

高木「?」

黒井「少なくとも私は、この仕事を虚しいと思ったことはない」

黒井「……それに、確かめればいいだろう」

高木「え……?」

黒井「きさまが作った花火で」

黒井「きさまのやってきたことが、本当に虚しいかどうかを」

高木「……」

75: 2013/01/26(土) 08:40:56.53 ID:2O5E+O090
真「はあ、はあ、はあ」

冬馬「きたな」

真「いちおう、礼を言っとくよ」

冬馬「へ、いらねえよ、礼なんか。おまえらは今からオレたちの踏み台になるんだからな!」

真美「言ったな~あまとう!」

真「泣きを見ても知らないからな!」

冬馬「へ!かかってきやがれ!」

77: 2013/01/26(土) 08:43:08.17 ID:2O5E+O090
黒井「私は帰る」

高木「黒井……」

黒井「あとは勝手にするがいい」

高木「……すまない」

黒井「……きさまにそんなことを言われる筋合いはない」

79: 2013/01/26(土) 08:46:11.64 ID:2O5E+O090
黒井「だが……」

黒井「……」チラッ

高木「?」

小鳥「……」

黒井「……」

黒井「……あまり、音無くんを心配させるなよ」ボソッ

高木「……!」

高木「……すまない」

黒井「フン……」スタスタ

黒井「……」スタスタ……

80: 2013/01/26(土) 08:49:18.48 ID:2O5E+O090
961社員「お、おい!勝手なこと……!」

翔太「いいじゃない、おもしろそうだし」

北斗「オレたちは、この仕事を社長から一任されていますし」

冬馬「それに、オレたちが765プロに負けるわけないしな」

961プロ社員「そ、そういう問題じゃ……」

プルルル

961プロ社員「こんなときに……」ピッ

961プロ社員「なんだ!」

82: 2013/01/26(土) 08:53:27.93 ID:2O5E+O090
黒井「ほぉ、私になんだとはずいぶん出世したな、きさま」

961プロ社員「く、黒井社長!あ、いえ……今のは……」

黒井「そちらのことだが、好きにやらせておけ」

961社員「へ!?し、しかし……」

黒井「わざわざジュピターの宣伝効果アップのために貢献してくれるというんだ、なにも問題はないだろう」

黒井「バカな奴らだ。せいぜいこの機会を利用してやれ」

961社員「な、なるほど、かしこまりました!」

ピッ!

黒井「ふん……」スタスタ……

83: 2013/01/26(土) 08:57:24.13 ID:2O5E+O090
黒井「……」スタスタ……

小鳥「黒井……さん……」

黒井「音無くん……」

黒井「私は別に用事ができた。もう帰らなくてはならない」

小鳥「そ、そうですか……」

黒井「すまない」

小鳥「い、いえ、いいんです。急に頼んだのは私ですから……ありがとうございました」

84: 2013/01/26(土) 09:02:03.70 ID:2O5E+O090
黒井「……」

黒井「花火、きれいだったよ……」

小鳥「え……」

黒井「たぶん、あのバカもそう思っている」

黒井「……失礼する」スタスタスタ……

小鳥「黒井さん……」

黒井「……」スタスタ……

小鳥「……ありがとう、ございました……」

小鳥「……」

86: 2013/01/26(土) 09:05:36.12 ID:2O5E+O090
司会「では、歌っていただきましょう!曲は――――――――ッ!!」

観客「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

高木「……」

春香・真美・真「~♪」

高木「……」

小鳥「……」

87: 2013/01/26(土) 09:08:32.26 ID:2O5E+O090
小鳥「……社……」

高木「きれいだ……」

小鳥「……」

高木「きれいだよ、とっても……」

小鳥「……」

高木「……」

春香「みんな―――――――!!まだまだ、盛り上がっていっくよ――――――!!」

観客「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

88: 2013/01/26(土) 09:13:59.84 ID:2O5E+O090
……そして

――――――961プロ社長室

黒井「……」

――――――数十年前

黒井『は?花火?』

高木『そう、花火。ボクはアイドルを花火のように考えているんだ』

89: 2013/01/26(土) 09:18:36.43 ID:2O5E+O090
高木『たとえ一発の花火を打ち上げて、一瞬の輝きのうちに空に消えても……』

高木『花火の輝きが誰かの胸を打ち、心に刻んでくれれば、誰かはその花火を永遠に忘れないだろう』

高木『そして、その輝きをまた見たいという人が現れれば、花火は未来に受け継がれていく』

高木『それは、とてもすばらしいことだと思うんだ』

高木『そのために、場所・雰囲気……あらゆる面で花火が輝きを損なわない、それどころか輝きを120%引き出せる最高の場所を作る……』

高木『ボクは、そういう社長を目指したいんだ』

90: 2013/01/26(土) 09:21:34.79 ID:2O5E+O090
黒井『……』

黒井『……フン、なにが花火だよ』

黒井『おまえ、言ってて恥ずかしくならないのか』

高木『し、失敬だな、キミは!』

91: 2013/01/26(土) 09:25:02.60 ID:2O5E+O090
――――――――――
―――――――
――――

黒井「自分の言ったことくらい忘れるな、バカが……」

黒井「ふん……」



終わり

92: 2013/01/26(土) 09:27:34.35 ID:2O5E+O090
終わりです。保守、支援、見てくれた人、ありがとう

93: 2013/01/26(土) 09:33:14.88 ID:2O5E+O090
おまけ

――――――――765プロ事務所

春香「プロデューサーさん、これが花火大会で撮った写真ですよ!」

P「おお、よく撮れてるじゃないか」

春香「ほら、中でもこれがベストショットですよ」

千早「は、春香!」

P「あっはははは!こりゃいい!すごくいい!できすぎだな、これは!」

春香「でしょう?」

千早「うう……」

94: 2013/01/26(土) 09:37:02.28 ID:2O5E+O090
真「プロデューサーもくればよかったのに」

P「悪いな、残ってる仕事があったからさ」

真美「せっかく真美のセクシーなゆかた姿が見られたのに、残念でしたなあ!」

亜美「んっふっふ~!真美隊員のセクシーなゆかた姿とはこれの事かな?」

真美「そうだよ、亜美隊員!しっかと目に焼き付けるといい」

亜美「おお!かわいすぎて直視できません!」

95: 2013/01/26(土) 09:41:52.32 ID:2O5E+O090
P「あははは」

小鳥「プロデューサーさん」

P「はい、なんですか?」

小鳥「……昨日は、ありがとうございました」

P「音無さん……いいんですよ、そのことは」

小鳥「でも……」

P「なれない事務仕事は確かに疲れましたけど……でも、」

P「社長を元気づけられるのは音無さんしかいないと思いましたから……」

小鳥「……」

小鳥「ありがとうございます……」

P「……」

96: 2013/01/26(土) 09:47:33.19 ID:2O5E+O090
ガチャ

高木「おはよう、諸君。今日は一段とにぎやかだね」

P「あ、社長、おはようございます!」

全員「おはようございます!」

P「春香たちが行ったっていう花火大会の写真を見てたんですよ」

高木「おお、そうだったのか。どれどれ、私にも見せてくれ」

亜美・真美「ほらほら、これみてみて!千早お姉ちゃんの写真!すごくいいって話してたんだ!」

千早「ちょ、ちょっと二人とも!」

97: 2013/01/26(土) 09:56:06.70 ID:2O5E+O090
高木「ほうほう、どれどれ……」

真美「ね?ね?いい写真でしょ?」

亜美「あ~あ、亜美も行きたかったなあ!」

真「おみやげいっぱい買ってきてあげたろ?」

亜美「そうだけどさ~」

真美「んっふっふ~花火を見ながら食べるやきそばは格別でしたぞ!」

亜美「あ~ん!うらやましい~!」

99: 2013/01/26(土) 10:00:35.58 ID:2O5E+O090
高木「はっはっは、よく撮れてるじゃないか!この千早くんのなんか、すばらしいじゃないか」

小鳥「……よかった」

高木「それはそうだよ、小鳥くん。なにせ、写ってる人間がベッピンさんだからね!」

小鳥「そう、ですね……」

高木「……」

100: 2013/01/26(土) 10:03:01.50 ID:2O5E+O090
高木「……すまない、心配をかけたようだね、小鳥くん……」

小鳥「社長……」

高木「もうろくした……か、本当に、その通りだな……」

真美「どうしたの、社長……」

高木「いや、あまりにこの写真の花火が、すばらしいと思ってね……」

P「社長……」

102: 2013/01/26(土) 10:06:49.67 ID:2O5E+O090
亜美「社長、花火が好きだったの?」

真美「だったらホラ、真美も花火と一緒にとったヤツがあるし、他にもいっぱいとったから、たくさんあるよ!」

亜美「ほらほら、これとかどう~?」

高木「……ははは!」

高木「ありがとう、亜美くん、真美くん、それにみんな……」

高木「……私は……幸せものだ……」

高木「こんなにたくさんの美しい花火を見ることが、できるのだからね……」



終わり

104: 2013/01/26(土) 10:10:46.91 ID:2O5E+O090
今度こそ本当に終わり。見てくれた人、支援してくれた人、ありがとう

引用元: 黒井「花火大会だと?」