1: 2017/03/01(水) 21:05:30.971 ID:rGeLqkQu0
少女(こんにちは!私少女。魔法少女やってます)

少女(今日はお仕事で、大昔にとある吸血鬼が封印されたという洞窟の調査に来ています)

少女(かつては光の一族である魔法少女と氏闘を繰り広げた闇の一族――魔族は、今では見る影もありません)

少女(なので、この調査も大した任務ではないのですが…まぁ、念には念をということで)

少女(駆け出し魔法少女である私が駆り出されたということです)

2: 2017/03/01(水) 21:07:21.148 ID:rGeLqkQu0
少女「…しかし、何もないところですね」

少女(仕掛けもなく、分かれ道もなく、ただただ一本道が続く。もちろん、モンスターなんて現れない)

少女(わかっていたことだけど、やっぱりつまらないですね…)

少女(吸血鬼対策のためにしてきた鋼鉄の首巻きも無駄になりそうです)

少女(でもま、仕方のないことです。平和なのに越したことはありませんしね)

少女(さて、そろそろ最奥でしょうか…)

3: 2017/03/01(水) 21:08:18.956 ID:rGeLqkQu0
少女「結構この扉も錆び付いてますね」

少女(この扉の奥が、魔族が封印されている祠だと聞きますが…)

少女(魔族の侵入が出来ないように貼っている結界も、だいぶ弱体化しているようです)

少女(一応貼り直しをお願いしておいた方がいいですかね)

少女「…では、お邪魔しますか」

ギギギギギ…

5: 2017/03/01(水) 21:08:57.190 ID:rGeLqkQu0
「…クックック、よくぞ来たな魔法少女よ」

少女「…!」

「ついにこの日が来た。この常闇の封印から、私が完全に解放される日が…」

少女「…あなたは誰なんですか。この声は、一体どこから…」

「ククク…もう少し目線を下げてみろ」

少女「…?」


金髪幼女「ようこそ我が封印の間へ。私こそ、氏と闇を操る魔族が始祖、ドラキュラである」

6: 2017/03/01(水) 21:10:37.746 ID:rGeLqkQu0
少女「………」

幼女「ククク…怯えて声も出せんか。まぁ、無理もない」

幼女「数百年ぶりの闇の始祖の復活…貴様らにとって、これほどの絶望はないだろう」

幼女「だが安心しろ、命までは奪わない。貴様には私のk」

少女「あー、もういいかな?」

幼女「…んっ?」

少女「全く…ダメだよー?あなたみたいな小さい子が、こんな所で遊んでちゃ」

幼女「お、おい、何を…」

少女「お名前、言える?送ってあげるから、一緒におうちに帰ろ?」

幼女「ちょっと待て貴様!!」

8: 2017/03/01(水) 21:12:43.984 ID:rGeLqkQu0
少女「ほーら、大丈夫。怖くないよー」ヒョイ

幼女「ひっ!?か、軽々と持ち上げるなぁ!」ジタバタ

少女「こらこら、暴れないの」

幼女「クッソ、なんだこいつ、ビクともしない…!?」

少女「わんぱくなのはいいことだと思うけど、程々にね?この洞窟、色々危険な噂が飛び交う危ない洞窟だから」

幼女「だから私は遊んでいるわけでは…!」

少女「分かってるよ。氏と闇の始祖(笑)ドラキュラちゃんなんだよね?」

幼女「こ、こいつ……!」

幼女「あまり私を舐めるなっ!」クワッ

幼女(首筋に噛み付いて眷属にしてやるっ!)

ガィィイン

幼女「ぎゃあああああ牙があああ!!!」

少女「!?」

9: 2017/03/01(水) 21:13:42.980 ID:rGeLqkQu0
※降ろしてもらった

幼女「あ、頭が、がんがんする…」グルグル

少女「だ、大丈夫?」

幼女「だ、大丈夫なわけあるかっ!」クワッ

少女「!?…あなた、それ」グイッ

幼女「ふえっ!?」

少女「やっぱり…その牙、あなた魔族なんですか?」ムニムニ

幼女「にゃ、にゃいをふふ!はなへ!(な、何をする!離せ!)」

少女「そういえば、さっき首筋に噛み付いて来ました…もしかして、本当に吸血鬼…?」ムニムニ

幼女「はっひははほーひっへふはほ!(さっきからそー言ってるだろ!)」

少女「…なんてこと」ムニムニ

幼女「はやふはなへ~!(早く離せ~!)」

10: 2017/03/01(水) 21:15:43.242 ID:rGeLqkQu0
少女「そうだっ、封印の像は…」バッ

幼女「うにゃっ!」ドスン

少女「って、あーっ!封印が解かれてる!」

幼女「…い、いつか頃してやる…」頬スリスリ

少女「あなた、この封印…どうやって解いたんですか?」

幼女「ん?ああ…ふん、そんな陳腐な封印、少し暴れたら解けてしまったわ」

幼女「ククク…長年の封印で弱体化し、今ではこんな姿になってしまったが、本来の私はこんなものでは…」

少女「ダメじゃないですか!勝手に光の一族の封印を解いたりしちゃ」

幼女「えっ」

少女「この封印を解いてしまうことで、たくさんの人に迷惑がかかるんですよ」

幼女「えっと、あの」

少女「もう二度とこんなことはしないと約束してください。大魔族を自称するなら、魔族としてのモラルくらいは身につけてください」

幼女「…え、ご、ごめんなさい」

11: 2017/03/01(水) 21:16:38.274 ID:rGeLqkQu0
幼女「ってなんで私が謝らねばならんのだ!」

幼女「というか魔族としてのモラルってなんだ!」

少女「…封印が解かれたのはかなり最近のようですね」

幼女「勝手に話を進めるな!」

少女「あ、そういえばドラキュラさんって数百年前に封印されたんですよね?」

少女「どうして私の言葉がわかるんですか?吸血鬼には、まだ隠されたチカラが…?」

幼女「え?あぁ、それはだな…聞いて驚け」

幼女「私は封印をされていようとも、私の血を引く者とならば会話をすることが出来るのだ!」

少女「…ほう」

幼女「この封印が解けたのもそのチカラのおかげだな。ククク…市の図書館に魔術書を置いておくなど、なかなか舐められたものではないか…」

少女「ほうほう」

幼女「だから貴様らの操る言語を解することも出来るし、貴様らの社会の一般常識もきちんと身についている。どうだ!恐れ入ったか!」

少女「なるほど。闇の一族にそんなチカラが…これは対策を講じねば…」

幼女「あっ、待てっ!今言ったこと全部忘れろ!!」

12: 2017/03/01(水) 21:18:35.939 ID:rGeLqkQu0
幼女「…ふ、フンッ!まぁいい。貴様らが今さら私の真のチカラを知ったところで、私の持っている貴様らの情報量には遠く及ばん」

少女「……私たちの情報?」

幼女「ククク…我が子孫から伝え聞いているぞ、数百年前からの魔法少女と、光の一族についてはな…」

少女「例えば?」

幼女「ふっ、例えば二百年前、魔族が一丸となって光の巫女に奇襲を仕掛けるも、謎の魔法攻撃で返り討ちに遭った話…」

幼女「数十年前、とある大国の首相を洗脳して操ろうとするも、光の一族に事前に察知され秘密裏に処理された話…」

幼女「十五年前、各地に散らばる魔族を集めてクーデターを起こそうとするも、くっ、クーデターを起こす前に、広範囲爆撃であっさりと全滅した話…」グスッ

幼女「ろっ、ろぐねん、ろぐねんまえっ」エグッ

少女「わ、わかったわかったから泣かないでください!」

幼女「な、ないでないっ!」ヒック グスッ エグッ

13: 2017/03/01(水) 21:19:17.737 ID:rGeLqkQu0
幼女「……ぐすっ、そういうわけで私は貴様らのことは知り尽くしているのだ!」

幼女「私が本来の姿を取り戻せば、貴様ら全員けちょんけちょんにしてやる!」

少女「しかし、封印が解けたのならなぜ外に出ないのですか?どうやら、私がここに来るのを待っていたようですが…」

幼女「…う、それは、あれだ」

幼女「そこの扉…どう頑張っても開けられなくて…」

少女「………」

14: 2017/03/01(水) 21:20:21.520 ID:rGeLqkQu0
少女「結構あの扉に貼ってある結界も弱体化していたんですけどね…」

幼女「う、うるさいわ!こんな姿になってしまってから、体が思うように動かんのだ…!」

少女「まぁそういうことならいいですよ。あなたをここにずっと放置するわけにもいきませんし」

幼女「……えっ?」

少女「ここから出してあげます」

幼女「ほ……ほんとうか?」

少女「嘘なんてつきませんよ」

幼女「こ、こんなにあっさり……?」

15: 2017/03/01(水) 21:21:15.139 ID:rGeLqkQu0
幼女「…ククク、だがいいのか?私が現実世界へ出てしまえば、この世は混沌へと包まれるぞ」

少女「うーん、確かにそれは困りますね」

幼女「あっごめん嘘。何もしないから出してくださいお願いします」

少女「はいはい。でも一応念のため…」

ペタリ

幼女「………なんだこのシールは」

少女「下級魔族を人に堕とす封印です」

幼女「人に…?」

少女「詳しいことはよく分かりませんが、魔力の流れを抑えて、魔族の特性や諸々を頃してしまうモノだそうです」

幼女(そんなものをスーパーの半額シール感覚で…?)

16: 2017/03/01(水) 21:24:59.459 ID:rGeLqkQu0
幼女「というか下級魔族と言ったか貴様」

少女「まぁ細かいことはいいじゃないですか」

幼女「細かいことではない!」

少女「どうどう。落ち着いて落ち着いて」

幼女「これが落ち着いてられるか!『人間』などという下等な生き物に堕とされ、私の誇りはどうなる!?」

少女「色々思うところはあるでしょうが、まずは」

少女「数百年ぶりの外の世界を是非堪能してください」

17: 2017/03/01(水) 21:25:55.716 ID:rGeLqkQu0
幼女「う…………」

幼女(まぁ、そうだな…)

幼女(一大決戦に敗れ、このような洞窟に封印され、はや数百年…)

幼女(とりあえず、外に出れるこの喜びを噛み締めるとするか…)

少女「じゃ、行きましょうか、ドラちゃん♪」

幼女「なんだその呼び名は!」

幼女(だけどこいつだけは絶対頃す!)

頑張れ幼女!
一度定着した渾名はなかなか変えられないぞ!

18: 2017/03/01(水) 21:26:32.347 ID:rGeLqkQu0
以上だ!
じゃあな!

引用元: 金髪幼女「私こそ、死と闇を操る魔族が始祖、ドラキュラである」