1: 2012/06/16(土) 18:48:06.11 ID:3iUuywaBP
   朝、3年生教室

律「うー、今日は一段と冷えるな」

澪「もう12月だし、そろそろ雪が降るんじゃないのか」

紬「日に日に、冬が深まっていくわね」

唯「私達の絆みたいに?」

律「この野郎、上手くまとめやがって」

澪、紬「あはは」

7: 2012/06/16(土) 18:50:07.57 ID:3iUuywaBP
唯「暑いのも苦手だけど、寒いのも辛いなー」

和「ここは窓際だから、比較的温かいじゃない」

唯「そうなんだけどね。もっと、ぬくぬくごろごろしていたいんだよ」

和「猫じゃないんだから」 こちょこちょ

唯「えへへー」

律「和ませる奴め。・・・澪もやってやろうか」

澪「絶対嫌だ」

律「だったら、ムギにやってやるー」 こちょこちょ

紬「いやーん♪」

唯「ムギちゃん、なんだか楽しそうだね」

澪「まあ、その辺は突っ込まないでおこうか・・・」


10: 2012/06/16(土) 18:52:02.18 ID:3iUuywaBP
唯「早く春が来ると良いのにね」

和「そうすると、今度は夏がやってくるのよ」

澪「そして秋が来て冬が訪れ、春が花開くんだ」

紬「季節は巡るのねー」

唯「月火水木仕事に通い、朝昼晩の食事も作るんだよ」

紬「世の中いつもの繰り返しって事?」

唯「そうそう。バイクの傾けすぎには要注意だね」

律「一応突っ込むけど、それハングオンな」


11: 2012/06/16(土) 18:54:02.14 ID:3iUuywaBP
   放課後 軽音部部室

唯「うー。夕方になると、また寒くなってくるね」

律「エアコンは効いてるんだが、部室が結構広いからな。なかなか暖まらん」

澪「手っ取り早く暖まる方法って何だろう」

紬「お茶を飲むのも良いけれど、量に限界があるものね」

唯「辛い物を食べたら、すぐ暑くなるよ」

律「それはそれで鬼門の気もするが」

澪「私はパス」

律「という訳で、辛い物を食べる事に決定」

澪「こ、このっ」


16: 2012/06/16(土) 18:56:00.78 ID:3iUuywaBP
   カチャ 

梓「済みません、遅れました。・・・って、寒っ」

唯「あずにゃんっ。寒い、寒いんだよー」

梓「窓が開いてるじゃないですか。一体、どうしたんです?」

律「寒いから辛い物を食べようと思ったんだけど、そんな物どこにも無くてさ」

澪「だから律が、窓を開けてつらい思いをしようって」

紬「ほら。からいとつらいって、同じ漢字じゃない♪」 にこっ

梓(何故、良い笑顔)


17: 2012/06/16(土) 18:58:01.00 ID:3iUuywaBP
律「やっぱり、辛い思いは駄目だな。そもそも、意味が違う」

梓(今気付いたのか)

律「という訳で、激しく動いて暖まるぞ」

唯「でも外は寒いよ。北風ぴーひゃら吹いてるよ」

澪「微妙に違うが、外は確かに寒そうだな」

梓「室内で出来る事って何でしょうか」

紬「・・・今日のお菓子は、おまんじゅうでーす」

律「饅頭、か。ああ、押しくらまんじゅう」

唯「それなら、ここでも出来そうだね」

澪「私はあまりやりたくないんだが」

紬「でも押しくらまんじゅうに決まったなら、仕方ないわよねー♪」

梓(え、決まったの?)


19: 2012/06/16(土) 19:00:01.07 ID:3iUuywaBP
律「中に入る奴は誰にする」

唯「中に入る人?・・・良く分かんないけど、あみだくじにしようよ。早速作ってみるね」

澪「唯はあみだくじが好きだな」

唯「線を増やすと結果が変わるでしょ。なんだか、運命を変えるって感じなんだよね」

梓「うわ、唯先輩が立派な事を」

唯「あずにゃん、しどいよ。・・・よし、出来た」

紬「じゃあ、私から。・・・、あら外れ」 しょんぼり

梓(何故、残念そう)


21: 2012/06/16(土) 19:02:03.71 ID:3iUuywaBP
律「・・・よし、私も外れだ」

唯「・・・ほっ。ナイス外れ」

梓「何ですか、それ。・・・私も外れです」

律「という事で、真ん中は澪に決定ーっ」

澪「ま、まだ分からないだろ。唯が言ったように、私は運命を変えてみせる」

紬「澪ちゃん、頑張ってっ」

澪「ああっ。この黄金の左腕に賭けて、己が運命(さだ)めをねじ曲げるっ」

律「で、結果は?」

澪「私が当たりでした・・・」

梓(そりゃそうだ)


22: 2012/06/16(土) 19:04:01.16 ID:3iUuywaBP
律「よーし。みんな後ろを向いて、澪を囲めー」

唯「おー」

梓「澪先輩、失礼します」

紬「うふふ♪」

澪「お、押すなよー」

唯「うーん、照れる澪ちゃんは格別可愛いねー」

律「だが遠慮してたら、話にならん。私達放課後ティータイムは、演奏も遊びも全力だっ」

唯「じゃあ、行くよ。せーの」

律「押しくらまんじゅうー♪」

唯「押されて泣くなー♪」

澪「きゅー」

梓(そういう鳴くって事?)

紬「わっしょい、わっしょい♪」


24: 2012/06/16(土) 19:06:00.97 ID:3iUuywaBP
澪「・・・穢された」

律「大げさだな、澪は」

紬「ぐふふ♪」

梓(ぐふふ?)

唯「さっきも思ったんだけど、。押しくらまんじゅうって真ん中に人をいれたっけ」

梓「どういう事ですか?」

唯「私の子供の頃は、単に押し合うだけだったよ」

律「子供の遊びだから、色々アレンジはあるだろうな。だが放課後ティータイムバージョンは、必ず澪が真ん中だ」

澪「ふざけるな」 ぽふ


26: 2012/06/16(土) 19:08:01.14 ID:3iUuywaBP
澪「押しくらまんじゅうは、もう絶対禁止だからな」

律「ちぇー。だったら、これからはどうやって暖まる?」

唯「私にはあずにゃんがいるから大丈夫だよ」

梓「何も大丈夫じゃありません。辛い物はともかく、暖かい食べ物が食べたいですね」

紬「肉まんとか焼き芋とか?」

澪「それも良いし、時期的には鍋だろうな。学校では無理だけど」

唯「違うよ、澪ちゃん。無理と思った時点で負けなんだよ」

律「何に負けてるんだよ、何に」


27: 2012/06/16(土) 19:10:01.24 ID:3iUuywaBP
律「・・・部室で鍋か。ちょっと面白そうだな」

澪「律はすぐにそういう事を言う。大体鍋って・・・。ああ、卓上コンロで良いのか」

紬「材料はみんなで持ち寄っても面白いわよね」

梓「唯先輩は、違う意味で面白い物を持って来そうですけど」

唯「あずにゃん、しどいよ」

律「基本的な物はみんなで買って。それ以外に、各自で数種類持ち寄るってのはどうだ?」

澪「とにかく、部室は禁止だぞ。学校の許可が下りないだろうし、火を扱うのは危ないだろ」

梓「となると、誰かの家って事ですね」

唯「そういう時には、この平沢唯を頼ってよ」

律「正確には、平沢憂を頼るんだけどな」


29: 2012/06/16(土) 19:12:02.16 ID:3iUuywaBP
澪「それぞれが材料を持ち寄るって、なんだか闇鍋っぽいな」

紬「素敵ねー。私、闇鍋をやるのが夢だったの」

律「・・・随分マニアックな夢だな。唯、今度の土曜で良いか」

唯「良いよ。憂に頼んで、準備してもらうね」

紬「足りない物があれば、私も用意するわ」

唯「ありがとー。そだな、チョコレートケーキが足りないかもしれないね」

律「誰がデザートを頼めと言った」 ぽふ

澪、紬、梓「あはは」


31: 2012/06/16(土) 19:14:00.98 ID:3iUuywaBP
  カチャ

さわ子「あー、疲れた。ムギちゃん、緑茶に砂糖でお願い」

紬「かしこまりましたー」

唯「今度鍋するんだけど、さわちゃんもどう?闇鍋だよ、闇鍋」

さわ子「面白そうだけど、私はパス。12月は色々と忙しいのよ」

澪「まさに師走ですね」

律「結局の所、駄目な生徒がいるからだろ」

唯「本当、そういう人って困るよね」

さわ子「だったら自覚してよ、二人とも」


33: 2012/06/16(土) 19:16:02.09 ID:3iUuywaBP
唯「たはは。それはそれとして、さわちゃんも何か食材を提供して欲しいな」

澪「こら、唯」

さわ子「良いわよ、澪ちゃん。鍋でお腹一杯になるかも知れないけど、宅配ピザを届けてあげる」

紬「ありがとうございます、さわ子先生」

唯「やっぱり持つべき者は、頼りがいのある恩師だよね」

梓「はいですっ」

律「あれだろ、あれ。さわちゃんの時代の闇鍋って、下駄とか煮てたんだろ。だははー」

さわ子「そういうお前は、地獄の釜で茹でてやろうか。このデコッパチ」


34: 2012/06/16(土) 19:18:08.84 ID:3iUuywaBP
律「あー、ひどい目に遭った」

澪「自業自得だ。・・・本当に下駄とか、そういう物を持ち寄る訳じゃ無いだろ」

唯「やっぱり、美味しく食べられる物が良いよね」

律「さっきのは冗談だってば。・・・まあ他にも、タブーな食材はあるんだが」

紬「もしかして高級で、鍋にすると美味しい物?」

澪「なるほど」

梓「ああ、そういう意味ですか」

唯「ふぐの事、それともカニ?トンちゃん、今の分かる?」

律、澪、紬、梓(アウトーッ)


37: 2012/06/16(土) 19:20:00.94 ID:3iUuywaBP
   夜、平沢家リビング

唯「・・・という訳なんだけど、良いかな」

憂「任せて。ただ人数が多いから、紬さんにコンロと鍋を頼んでも良いかな。でも、ちょっと重いか」

唯「ムギちゃんに聞いてみるね」 

ぷるるる、ぴっ

唯「・・・あ、ムギちゃん?・・・そう、コンロと土鍋がね。・・・ありがとー。後は多分、チョコレートケーキかな。・・・たはは。それじゃ、また明日」

憂「大丈夫そう?」

唯「車で送ってもらうから大丈夫だって。楽しみだなー、闇鍋フェステバル」

憂「ふふ♪お姉ちゃんは、何を用意する?」

唯「そだね。みんなが好きそうな物で、喜んで貰える物かな」

憂「優しいね、お姉ちゃんは」

唯「そかな」

憂「そうだよ、お姉ちゃん♪」

唯「憂ー♪」


38: 2012/06/16(土) 19:22:05.76 ID:3iUuywaBP
   翌朝 3年生教室

唯「・・・という訳で昨日は、憂と材料を検討してました」

和「唯のアイディアはともかく、憂が付いてるなら心配なさそうね」

唯「もう、和ちゃんまで。それで、和ちゃんは何を持ってくるの?」

和「いつのまに、私も参加してるのよ。・・・まあ、無難な物を持って行くわ」

唯「あっと驚く意外な物を持ってこられても、結構困るしね」

和「それは普段の唯でしょ」

唯「てへへ」


41: 2012/06/16(土) 19:24:01.01 ID:3iUuywaBP
律「うーす」

唯「おはよう。りっちゃんは、何を持ってくるか決まった?」

律「あっと驚く意外な物を持って行くぜっ」

唯「たはは」

和「ふふ」

律「なんだよ、二人して」

澪「普通の物を持っていけば良いんだ、普通の物を」

律「そんなのつまんないだろ。出来る女は意外性で勝負するっ、だ」

澪「何のキャッチコピーだ、それは」

紬「みんなおはよー。唯ちゃん、コンロと土鍋は忘れずに持って行くから」

唯「ありがとー」

和(随分斬新な物を入れるわね)


42: 2012/06/16(土) 19:26:00.96 ID:3iUuywaBP
   2年生教室

純「闇鍋フェステバル?・・・そういうのって、フェステバルって付ける物なの?」

梓「唯先輩のネーミングでしょ。純も来る?」

純「行くのは楽しそうだけどさ。先輩達は、食べられる物を持ってくる訳?」

梓「それは、その」

憂「心配しなくても、その辺はみんな弁えてるよ」

純「だといいんだけど。それに同じ物を持って行ったら、ちょっとあれじゃない?」

憂「同じ物って事は、その人と同じ感性って事だよね。だったら、むしろ嬉しいんじゃないかな」

梓、純(憂ー♪)


44: 2012/06/16(土) 19:28:01.08 ID:3iUuywaBP
   土曜日 午前 平沢家リビング

紬「コンロと土鍋持って来ましたー」

唯「ありがと、ムギちゃん。おこた、おこたあるよ」

紬「憂ちゃんを手伝わなくていいのかしら」

憂「材料がまだ届いてませんし、紬さんはゆっくりしてて下さい。お姉ちゃんは、おもてなしをお願いね」

唯「任されたっ」

紬「まさかられたっ」

唯「まさか、坂田金時?」

紬「まさかり担いだ金太郎♪」

唯、紬「あはは」

憂(意味は全然分かんないけど、2人とも楽しそうで良かった♪)


45: 2012/06/16(土) 19:30:01.52 ID:3iUuywaBP
   同時刻、商店街スーパー

澪「憂ちゃんから頼まれてるのは?」

梓「野菜は大体揃えているので、豆腐とか食べたい物をお願いしますとの事です」

律「了解。それで梓は、何を持って来たんだ?」

梓「普通の無難な物ですよ。奇をてらっても仕方ないですし」

律「醒めた奴め。澪なんて、三日三晩寝ないで考えたんだぞ」

澪「そんな訳あるか。一日徹夜しただけだ」

梓(徹夜はしたのか)



46: 2012/06/16(土) 19:32:01.02 ID:3iUuywaBP
梓「それで、何を買っていきましょうか」

律「考える物でも無いし、適当で良いだろ」

梓「はぁ」

澪「律、それ」

律「ほい」

澪「律、いつもの」

律「もう入れた」

澪「律」

律「ああ、鮮魚コーナーも一応見るか」

梓(なんだ、この夫婦)


48: 2012/06/16(土) 19:34:01.54 ID:3iUuywaBP
   平沢家 玄関

律「うーす、来たぞー」

唯「いらっしゃい。ムギちゃん、もう来てるよ。さわちゃんのピザもね」

澪「和と純ちゃんは?」

唯「二人も来てるよ。和ちゃんは、お鍋の準備もしてくれてるし」

梓「唯先輩は、準備しなくて良いんですか」

唯「私、おもてなし係だから」

律、澪、梓(憂ちゃん、グッジョブ)


49: 2012/06/16(土) 19:36:01.29 ID:3iUuywaBP
   平沢家リビング

紬「みんな、いらっしゃい。今、お茶淹れるわね」

律「すっかり馴染んでるな」

紬「こたつって、本当に良いわね」

澪「同感だ。人数が多いと、ちょっときついけどな」

紬「むふふ♪」

梓(むふふ?)


50: 2012/06/16(土) 19:38:00.90 ID:3iUuywaBP
律「純ちゃんも、こんちは」

純「お邪魔してます」

梓「純、変なの持って来てないよね」

純「そこは、この鈴木純という人間を信じてもらうしかないね」

唯「そうそう。あずにゃん、人を疑うのは良くないよ」

唯、純「ですよねー」

梓(この二人、なんか同じ匂いがするんだよな♪) くんかくんか


52: 2012/06/16(土) 19:40:01.44 ID:3iUuywaBP
   平沢家、キッチン

澪「調子どうだ?私も何か手伝うけど」

憂「ありがとうございます。出汁の準備は出来てるので、野菜をお願い出来ますか」

澪「分かった。和もご苦労様」

和「いいのよ。だって、唯に任せる訳にも行かないでしょ」

憂「そ、そんな事無いよ。お姉ちゃんは一所懸命やってくれて。そこがまた可愛くて、だけど怪我したら大変だから」

和「全く、憂にも困った物ね」

憂「もう、和ちゃんのいじわる」

澪(憂ちゃんを手玉に取るとは、和恐るべし)

ごそごそ

唯「憂ー、アイスー」

澪、和、憂「めっ♪」


53: 2012/06/16(土) 19:42:04.20 ID:3iUuywaBP
   リビング

憂「準備出来ましたー」

澪「律、コンロの火を点けてくれ」

律「はいよ」

和「野菜は大体火が通ってるから、後は各自が持って来た物を入れるだけね」

澪「どういう順番にする?」

律「やっぱり、あんまり味が変わらない物からだろ」

唯「初めに、得体の知れない物を入れられても困るしね」

律「自覚無しかよ、おい」


54: 2012/06/16(土) 19:44:01.47 ID:3iUuywaBP
律「という訳で、まずは澪からだ」

澪「どうして」

律「良いから、出した出した」

澪「全く」 ごそごそ

唯「ちくわ?」

澪「きりたんぽだ。それと、ワタリガニ。ワタリガニは、出汁用って事で」

律「思った通り、無難なライン出来たな」

澪「そうかな」

紬「でもそういう所、澪ちゃんっぽくて良いと思うわ」

唯「澪ちゃん、澪ちゃん♪」

和「そうなんだ。じゃあ私、きりたんぽ切ってくるね」

律「動じないな、この女は」


56: 2012/06/16(土) 19:46:00.90 ID:3iUuywaBP
   ぐつぐつ

唯「・・・なんか、良い感じっぽくなってきたよ」

律「肉とか魚は入れてないけど、十分食べれるしな」

澪「そろそろ、食べるとするか」

梓「はいですっ」

紬「なんだか、ワクワクするわねー」

純「鈴木純、きりたんぽ行かせて頂きますっ」

律「おう、行ったれ」

純「・・・ほくほくもちもししてて、美味しいです。澪先輩、良いチョイスするなー」

澪「そ、そうか。ありがとう」

唯「ワタリガニ、食べにくいよー」

律「そこは敢えてスルーしろ」 ぽふ

57: 2012/06/16(土) 19:48:01.93 ID:3iUuywaBP
澪「次は律な」

律「はいはい。私が用意したのは、これだっ」

唯「つみれとワンタン?」

律「今入れるから、火が通ったら食べてみろよ」

紬「一体、どんな味がするのかしら。食事するだけでこんなに楽しいなんて、私幸せだわー」

梓「すごく分かります。なんだかお鍋の中に、幸せが詰まってる感じですよね」

紬「うん、うん♪」

唯「いっそ、お鍋の中で泳ぎたいくらいだよね」

和「熱いから気を付けてね」

唯「もう、和ちゃんはー」

憂「お姉ちゃん、冷ましてからにしようね」

唯「憂もー」

律、澪、紬、梓、純「あはは」


58: 2012/06/16(土) 19:50:00.91 ID:3iUuywaBP
  ぐつぐつ

律「もういいだろ」

唯「では、早速」 はむはむ

梓「あ。このつみれ、本当に美味しい」

律「本当って何だ、本当って」

梓「あはは。でも美味しいですよ、本当に」

紬「鴨かしら、この味は」

律「さすがだな、ムギは。骨も叩いて入れてあるから、食感も面白いだろ」

純「意外というか、何というか。律先輩って、そういうキャラだったんですね」

律「・・・今まで、どういうキャラと思ってたんだよ」

62: 2012/06/16(土) 19:52:17.16 ID:3iUuywaBP
純「あ、あはは。えーと、こっちのワンタンはと」

唯「あちち、あちち。これ、何?あちうまだよ、あちうま♪」

梓「熱くて美味しいって事ですか?・・・ああ、小籠包みたいな」

律「そ。具と一緒に、スープの煮こごりを入れてる訳」

紬「りっちゃんって気が利いてお料理も出来て、今すぐお嫁さんになれそうね♪」

唯「ハネムーンはどこが良い?ハワイ?タヒチ?いっそ、ベガスとか行っちゃう?」

律「行かないし。そもそも、相手いないし」

澪(スペインの教会で式を挙げて、南仏を回るのも良いな♪)


64: 2012/06/16(土) 19:54:01.55 ID:3iUuywaBP
律「問題は、ムギなんだよな」

紬「はい?」

澪「つまり、ムギの持ってくる食材は豪華じゃないかって事。それをラストにするか、お腹が空いている美味しい時に食べるかが問題なんだよ」

唯「あるね、それ。でもやっぱり、お腹が空いてる時に美味しく食べたいよね」

梓「となると、その後に食材を出す人はプレッシャーなのでは?」

和「まあ、それはそれでありじゃないの」

律「果てしなくクールな奴め。じゃ、次はムギな」

紬「かしこまりましたー♪」

純「うぐっ」

梓(純、大丈夫かな。まあ、私もだけど・・・)


65: 2012/06/16(土) 19:56:01.96 ID:3iUuywaBP
紬「私が持って来たのは、これとこれ」

律「・・・名古屋コーチンと来ましたか

紬「澪ちゃんがきりたんぽを持って来たから、比内地鶏の方が良かったかしら」

澪「そんな事で悩めるなんて、贅沢な話だな。・・・こっちは、金目鯛か」

紬「新鮮な物だから、しゃぶしゃぶでも大丈夫よ」

唯「テレビとかで観る、あの?本当、長生きはする物だね」

梓「何言ってるんですか、もう」

純「は、はは。あはは」

和「へぇ。美味しそうじゃない」

梓(純に比べて、真鍋先輩は余裕たっぷりか。よっぽどすごい物持って来たんだろうな)


66: 2012/06/16(土) 19:58:03.99 ID:3iUuywaBP
   ぐつぐつ

唯「では、早速。・・・やっぱり、んまいっ」

律「出汁も出てきて、野菜も一層美味しくなるな」

澪「本当だ。ムギ、いつもありがとう」

紬「良いのよ。そうしてみんなが喜んでくれるのが、私にとっての幸せだから」

梓(やっぱりムギ先輩は、良い事言うよな)

純「本当美味しいですね、この名古屋コーチン。ニワトリみたいな味がしますよ・・・」

憂「じゅ、純ちゃん、大丈夫?」

純「え?全然平気。早く食材を出せば良かったなんて、全然思ってないから」

憂「純ちゃんー」

和「憂。その金目鯛、もう煮えてるわよ」

梓(つくづく動じないな、この人は)


68: 2012/06/16(土) 20:00:11.69 ID:3iUuywaBP
律「残るのは、平沢姉妹と梓。和と純ちゃんか」

澪「ラストはプレッシャーで、胃が痛くなりそうだな・・・」

唯「良いよ。私達が一番最後で。色々計画もしてあるし。ね、憂」

憂「お姉ちゃん♪」

紬「すごく期待しちゃって良いかしら」

唯「ばっちこーいですよ、ばっちこーい」

和「だったら私は、唯達の前ね」

律「と、上級生が恰好良い所を見せてくれたぞ」

梓「純、どうする?」

純「わ、私が先に。い、いや。後に。え、どっちが良い?」

梓「正直私も、判断尽きかねる」

純「なんだか、気が重くなってきた・・・」

紬「まさに、闇鍋。一寸先は闇ねー♪」

梓(何故、良い笑顔)

69: 2012/06/16(土) 20:02:00.99 ID:3iUuywaBP
純「・・・やっぱ、梓が先にお願い」

梓「というか私、もう出してるんだよね」

純「はい?」

憂「梓ちゃんは朝来て、鰹節の出汁を作ってくれたんだよ」

唯「削るあれね、削るあれ」

純「そういうオチだったの。って、どういうオチ?」

梓「いや。オチとかそういう事じゃないから。それに鰹節だけじゃなくて、これも持って来てるから」

律「随分ちっちゃいアワビだな」

梓「トコブシです。味や食感はアワビとあまり変わらないのに、結構安いんですよ」

純「あ、あわわわ」

唯「純ちゃん、早口言葉?」

和「焦ってるだけでしょ」

律「お前も少しは慌てろよ」


70: 2012/06/16(土) 20:04:02.26 ID:3iUuywaBP
   ぐつぐつ

梓「・・・そろそろ良いと思います」

唯「でもあずにゃんは、食べない方が良いかもね」

梓「え?」

澪「あれだろ。猫がアワビを食べると、耳が落ちるっていう」

律「ふーん。梓や澪にとっては、氏活問題だな」

澪「いや。私も梓も、猫じゃないし」

紬「だけど二人とも、ネコ耳が日本一似合うわよね♪」

澪「・・・あまり嬉しくない言葉なんだが」

律「こんな美味しい物が駄目なんて、二人とも可哀想だな」 はむはむ

澪「誰が食べないと言った」 ぽふ

唯「ワタリガニ、食べにくいよー」

澪「それはもう良いんだ」 ぽふ

71: 2012/06/16(土) 20:06:00.85 ID:3iUuywaBP
梓「次、純の番ね」

純「う、うう。私が持って来たのは・・・。ソーセージです」

唯「え」

純「す、済みません」

律「いや。純ちゃん、グッジョブだ」

純「はい?」

律「つまりさ。今までは当たり障りのない物ばかりだっただろ。だからこそ、純ちゃんの持って来たソーセージが輝くって訳だよ」

純「・・・それって結局、色物担当って事ですか」

紬「でも私、分かるのよね。ソーセージは、絶対美味しくなるって」

純「はぁ」

紬「それに一体どんな味がするんだろうってドキドキするのは、最高に楽しいじゃない」

純「紬せんぱーいっ♪」


73: 2012/06/16(土) 20:08:01.02 ID:3iUuywaBP
純「えーと。さすがに両方の鍋に入れるのはあれなので、こっちの鍋だけにしますね」

紬「もしかして、ジャガイモかタマネギも持って来てる?」

純「は、はい。今回はジャガイモを」

澪「・・・なるほど、それは確かに美味しいかも知れない」

純「え、えと。コンソメも一緒に入れますね」

唯「お鍋にソーセージが浮かんでるなんて、ちょっとわくわくしちゃうね」

紬「ねー」

憂「うふふ」

梓(一時はどうなるかと思ったけど、なんか良い雰囲気になってきたな)


74: 2012/06/16(土) 20:10:01.01 ID:3iUuywaBP
   ぐつぐつ

純「・・・もう食べ頃だと思います」

紬「では、頂きます。・・・やっぱり、すごく美味しい♪」

唯「焼いた時よりも、ソーセージの肉汁が溢れてくるよ」

梓「ああ、ポトフ」

律「なるほどな。つまりは西洋風鍋物か」

澪「ピザとも合うし、中々良いチョイスだ」

純「は、はは。皆さん、ありがとうございます」

憂「純ちゃん、本当に美味しいよ。私好きだな、こういう味」

純「憂ー♪」

和「確かにソーセージも、案外悪くはないわね」

梓(相変わらず余裕だな、真鍋先輩。一体、何を持って来てるんだろ)


75: 2012/06/16(土) 20:12:10.84 ID:3iUuywaBP
律「という訳で、次は和だ」

和「はい。私はこれとこれ」

律「何の余韻もないな、おい。・・・って、瓶なんですが

和「しょっつると、柚胡椒よ」

唯「しょっつる?」

澪「魚醤だよ。魚を発酵させた、醤油みたいな調味料だ」

紬「柚胡椒は、風味のある辛子とでも言うのかしら」

和「さ、お試しあれ」

梓(食材ですら無いし。でも、相変わらず冷静だし)


77: 2012/06/16(土) 20:14:00.93 ID:3iUuywaBP
唯「じゃ、名古屋コーチンをしょっつるに付けてと。・・・あ、美味しい♪」

紬「ポン酢とはまた違うコクがあるわね」

律「柚胡椒はどうだ?」

澪「辛くて、柚の風味が良く効いてて。これも美味しいな」

梓「今までとは違う味になって、一層食が進みますね」

純「・・・ソーセージとしょっつるは、さすがに合わないか」

憂「でも柚胡椒だと、マスタードみたいで美味しいよ」

純「あ、本当。これはなかなか♪」

唯「さすが和ちゃん♪」

和「みんな、喜んでくれて良かったわ」

梓(でも結局、食材じゃないし)


78: 2012/06/16(土) 20:16:00.92 ID:3iUuywaBP
律「で、最後は平沢姉妹だな」

唯「じゃ、持ってくるね」 とたとた

紬「唯ちゃん、何を用意したのかしら」

澪「今までで、一番ドキドキするな」

梓「憂が付いてるし、大丈夫だとは思いますけど」

憂「ふふ♪」


79: 2012/06/16(土) 20:18:05.81 ID:3iUuywaBP
   とたとた

唯「お待たせー」

紬「あら♪」

律「麺?」

澪「・・・うどんか」

梓「もしかして、手打ちとか?」

唯「えへへ」

憂「お姉ちゃん昨日から生地を仕込んで、頑張って作ったんですよ」

唯「良いよー、憂。そういう事は」

純「へぇー。唯先輩も意外だな」

和「そうでもないわよ。唯は、凝る時は結構凝るタイプだから」

唯「和ちゃーん♪」

和「味は保証出来ないけれど」

唯「和ちゃーんっ」

律、澪、紬、梓、純「あはは」

80: 2012/06/16(土) 20:20:01.25 ID:3iUuywaBP
  ぐつぐつ

憂「・・・多分、もう良いと思います」

律「では、早速。・・・ほぅ」

澪「腰があるというより、モチモチした食感だな」

紬「唯ちゃんが作ったと思うと、余計に美味しいわね」

梓「まあ、美味しい方かも知れませんね」

純「梓は素直じゃないんだから」

唯「てへへ。みんな、ありがとー」

和「喜んでないで、唯も食べなさい」

唯「はーい。・・・んまいっ」

憂「ふふ♪」


81: 2012/06/16(土) 20:22:00.55 ID:3iUuywaBP
唯「お鍋をやって、正解だったね」

梓「どうしてですか?」

唯「みんなでも持ち寄った物が、最後には一つの味になるじゃない。それって、私達の事みたいでしょ」

律「なるほど」

澪「確かに、唯の言う通りだ」

紬「うふふ♪」

純「こんな楽しいなら、またやってみたいですね」

唯「お楽しみは、まだこれからだよ。すぐ、デザートの用意するね」

憂「ちなみに、焼きリンゴを作ってみました」

和「ふーん。随分変わった物を作ったわね」

律「しょっつる程じゃないけどな」

83: 2012/06/16(土) 20:23:21.20 ID:3iUuywaBP
   焼きリンゴ完食後

唯「ふー、ご馳走様。・・・やっぱり鍋って良いよね」

律「みんなで食べると、楽しいしな」

紬「一緒に作って一緒に食べて、みんなと一緒になれるって感じよね」

澪「幸せ一杯、お腹一杯だ」

梓「はいですっ」

唯「あーん。そういう事を、私が言おうとしたのにー」

律、澪、紬、梓、和、憂、純「あはは」



                                       終わり


84: 2012/06/16(土) 20:24:06.73 ID:3iUuywaBP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
それぞれが持ち寄った食材を改めて書き出しますと


平沢姉妹 手打ちうどん(締め)、焼きリンゴ(デザート) 
律     鴨肉つみれ(骨入り)、ワンタン(小籠包風) 
澪     きりたんぽ、ワタリガニ 
紬     名古屋コーチン、金目鯛
梓     鰹節(事前に、鍋の出汁)、トコブシ
純     塩辛いソーセージとジャガイモ+コンソメ(ポトフ風の仕上がり)
和     しょっつる、柚胡椒


バンカラ学生の闇鍋では無いので、総じて無難な物を持ち寄ったようです。
とはいえ和は、かなり異彩を放ってますが。
テーマとしては澪が言ったように、「幸せ一杯、お腹一杯」ですね。

85: 2012/06/16(土) 20:27:53.75

和気藹々しててよかった
そして腹減った

86: 2012/06/16(土) 20:29:13.86
おつおつ

引用元: 澪「それも良いし、時期的には鍋だろうな。学校では無理だけど」