1: 2012/07/29(日) 19:46:57.31 ID:xFhkbd490
ナカジマ「イソノー! 野球しようぜ!」
カツオ「ナカジマ!」

カツオ「行ってきまーす」
サザエ「ちょっとカツオ、宿題終わったの?」
カツオ「あとでやるよ」タタッ!
サザエ「カツオー!」

鳴滝「……あの少年が、この世界の主人公か……」

3: 2012/07/29(日) 19:47:52.97 ID:xFhkbd490
カキーン!
「行ったぞー! 回れ回れー!」

……。

カツオ「……なあ、ナカジマ」
ナカジマ「? 何だよ、イソノ」

カツオ「僕達、前にもこんな風に野球をしてなかった?」
ナカジマ「へ?」

ナカジマ「そりゃ、野球は毎日のようにやってるし……」
カツオ「そうじゃないんだ」

カツオ「これと全く同じことを、何十年も続けてる気がするんだ……」
ナカジマ「熱でもあるんじゃないのか?」

5: 2012/07/29(日) 19:49:15.51 ID:xFhkbd490
カツオ「なあ。僕達、一体いつまで小学生を続けるんだろうな?」
ナカジマ「イソノの言ってることが僕にはわからないよ」

カツオ「去年も、その前も、ずっと同じことを繰り返してる気がするんだ……」
ナカジマ「……イソノ」

鳴滝「私にはその理由がわかるぞ。カツオ君」
カツオ「! だ、誰!?」
鳴滝「それは、この世界に“ライダー”が紛れ込んだせいだ」
カツオ「ライダー?」

鳴滝「それもこれも、すべてはディケイド……あの悪魔のせいだ」
カツオ「ディケイド……?」

ナカジマ「……」

6: 2012/07/29(日) 19:52:05.36 ID:xFhkbd490
士「さて、また新たな世界に来たわけだが」
ユウスケ「なんだ士。小学生みたいな格好だな!」
夏海「今度は何の世界なんでしょう……」

士「さあな。とりあえず、この辺りをブラついてみるか……」

サザエ「ディケイド!」
士「あ?」

サザエ「ディケイド、あんた宿題ちゃんと終わらせたんでしょうねえ」
士「宿題? 何の話だ」
サザエ「そちらはお友達?」
士「お前の知ったことじゃないな」
サザエ「まあ! 姉さんに向かってなんて言葉遣いを!」

9: 2012/07/29(日) 19:55:22.94 ID:xFhkbd490
ユウスケ「何だ何だ?」
夏海「士くん、妹さんの他にお姉さんもいたんですか?」
士「知らねえよ」

サザエ「反抗期にも程があるわー。お父さんに叱ってもらわないとっ!」
士「……」

サザエ「ちょっと、いらっしゃい!」
士「……何だかよくわからないが、行ってみるか。それでこの世界のことが分かるならな」

ユウスケ「じゃ、じゃあ、俺達は俺達で、この世界を調べてみるよ」
夏海「あとで合流しましょう」

11: 2012/07/29(日) 19:59:27.38 ID:xFhkbd490
士「だーかーらー、俺はこの家の子供じゃないし、小学生でもないっ!」
サザエ「ディケイド! 大人をおちょくると怒るわよー!」
士「もう怒ってるじゃねえか。少しは落ち着けよ、大人なら」
サザエ「ムッキー! なんですってー!」

フネ「まあまあ。放っておけば、じきに収まりますよ」
サザエ「でも、母さん!」
フネ「サザエだって反抗期はあったのよ」
サザエ「……それとこれとは」

士(どうやら俺は……この家族の子供としての役割を与えられてしまったようだな)

13: 2012/07/29(日) 20:02:28.79 ID:xFhkbd490
テクテク……
ユウスケ「ふーん。なんだか、平和そうな町だなー」
夏海「特に事件が起こってるようなそぶりも、ありませんね……」


カツオ「あ、イササカ先生。こんにちはー」
イササカ「ん? なんだ君は。私の患者……にしては若過ぎるな」
カツオ「はい?」
イササカ「こんな子供がガイアメモリを持っている筈がないか……」
カツオ「イササカ先生? どうしたんです?」
イササカ「さあ、そこをどいてくれ。私はドーパントの能力の研究で忙しいんだ」


ユウスケ「なんだあの人?」
夏海「さあ……」

15: 2012/07/29(日) 20:06:26.38 ID:xFhkbd490
ナミヘイ「ただいま」
フネ「お帰りなさい」
サザエ「お父さんお帰りなさーい。ちょっと聞いてよ、ディケイドったら酷いのよー」
ナミヘイ「なんだなんだ。またイタズラでもしたのか」

士(一家の大黒柱のお帰りらしいな)

士(家族、か……。俺には無かったな、そういうの……)

ドスドスドス、バン!
士「! 何だ!?」
ナミヘイ「ディケイドっ! ちょっとわしの部屋に来なさいっ!」

17: 2012/07/29(日) 20:10:30.13 ID:xFhkbd490
士「どうやらあんたが俺の親父らしいが」
ナミヘイ「そんなことは分かっておる。ちょっとそこに座りなさい」
士「あのサザエとかいう女が、何か言ったのか?」
ナミヘイ「そのこともだが。それより」

ナミヘイ「見ろっ。わしが大事に床の間に飾っておいた、全自動卵割り機がないっ!」
士「は?」
ナミヘイ「どうせお前の仕業だろう。どこに隠したんだ、言いなさい」
士「俺が知るかよ。そんなもの」
ナミヘイ「いい加減にせんか、ディケイド!」

ガミガミガミ……

19: 2012/07/29(日) 20:12:48.72 ID:xFhkbd490
士「あーあ。やっと解放されたか」
サザエ「ちょっとディケイド! あんた、こんな時間にどこ行く気?」
士「散歩だよ。散歩」
サザエ「んもう!」

ツカツカ……
士「……しかし、何なんだ、この世界は……。一体俺は何をすればいいんだ」

海東「やあ、士。災難だったね」
士「海東! 相変わらず神出鬼没だな」
海東「あの家のお宝、全自動卵割り機。あれは僕が頂いておいた」
士「お前っ! お前のせいで俺は二時間もお説教を食らったんだぞ!」
海東「あはは。これはなかなかのお宝だよ、士。君も使ってみるかい?」
士「誰が使うか、そんなバカバカしいもの」

22: 2012/07/29(日) 20:15:01.94 ID:xFhkbd490
士「それで、この世界は何なんだ? お前のことだ、もう調べは付いてるんだろう」
海東「ああ。この世界ではなかなか面白いことが起こっているよ。タダで教えてやる気はないけどね」
士「……ふん」

海東「僕の代わりに親父さんから叱られてくれたお礼に、一つヒントは与えておこう」
士「ヒントだと?」
海東「この世界で起こっていることは、一つじゃない」
士「一つじゃ、ない……」

海東「それじゃあね、士。家族団欒を楽しんでくれたまえ」
士「お、おい!」

士「チッ。相変わらずだな、海東の奴……」

23: 2012/07/29(日) 20:19:04.18 ID:xFhkbd490
ユウスケ「おーい、士!」
夏海「士くん!」

士「お前ら。この世界について何かわかったのか?」
ユウスケ「いや、それが……」
夏海「特に何の変哲もない世界ですよ。どれだけ見ても」

夏海「この世界で、士くんのやるべき事はあるんでしょうか……」
士「さあな。ないならないで、たまにはラクができていい」

士「そろそろ家に戻ってみるか。お前らも来てみるか?」

24: 2012/07/29(日) 20:22:57.26 ID:xFhkbd490
カツオ「姉さん! 家に入れてよー!」バンバン!
サザエ「何言ってるのあなた? 悪ふざけもいい加減にしてちょうだい!」
カツオ「ひどいよー、姉さーん!」

士「……何だ?」
ユウスケ「あ、あの子、さっきの」
夏海「どうしたんでしょうか……」

カツオ「お仕置きでもあんまりじゃないか、こんなの!」
士「おい」
サザエ「あ、ディケイド!」
士「どうしたんだ。何だ、このガキは」
サザエ「知らないわよ。自分がこの家の子供だって言い張って聞かないのよ」

25: 2012/07/29(日) 20:24:48.42 ID:xFhkbd490
ユウスケ「おい士。この子、まさか」
士「ああ」
夏海「この家の本当の子供、でしょうか……」

士「入れてやったらどうだ。多分こいつの方が本物だぜ」
サザエ「何バカなこと言ってるの!」
カツオ「ひどいよ姉さん、誰なんだよこいつら!」

士「……」

士「姉さんとやら。俺はもうしばらく、こいつと一緒に散歩してくる」
サザエ「えっ?」
士「ほら。来いよ、坊主」
カツオ「えっ」
サザエ「もう! ディケイドったら!」

26: 2012/07/29(日) 20:29:41.15 ID:xFhkbd490
士「さて。何があったか話してもらおうか」
カツオ「そんなの僕が聞きたいよ! 一体どうしてこんなことに……」

カツオ「……いや、ひょっとして」

カツオ「ひょっとして、あれか……?」
夏海「何か心当たりがあるの?」
カツオ「で、でも、そんなこと……そんなこと本当にあるわけ……」
ユウスケ「何があったのか話してみてくれよ」

カツオ「……僕は」

キィン……キィン……

ユウスケ「! この音は?」
士「ミラーモンスターの接近音、か?」

28: 2012/07/29(日) 20:33:09.38 ID:xFhkbd490
ガルドサンダー「グルルルッ……」

士「! 現れたな!」
カツオ「う、うわあっ! 何だあれ!?」

夏海「大丈夫、安心して。士くんはライダーだから!」
カツオ「ら、ライダー!?」

士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】

ディケイド「行くぜ!」
シャキィン!

29: 2012/07/29(日) 20:38:34.48 ID:xFhkbd490
ディケイド「ハッ!」ガキィン!
ガルドサンダ―「グオオォッ!」


カツオ「ライダー、ライダーって……やっぱりあいつが!」
ユウスケ「何か知ってるのか?」
カツオ「あいつのせいで、僕はこんなことに!」
夏海「士くんのせい……?」

カツオ「僕は……ずっと、変な感じがしてたんだ」

カツオ「同じ時間を何度も繰り返してるような。ずっと同じことを繰り返してるような」
ユウスケ「そんなバカな……」
カツオ「そのバカなことから抜け出したくて。もう、繰り返しをやめたくてたまらなかったんだ!」

31: 2012/07/29(日) 20:41:15.00 ID:xFhkbd490
【カメンライド――リュウキ!】
ディケイド「はっ!」
ガキィンッ!
ガルドサンダー「ギャオッ!」


カツオ「だけど……いくらそう願ったからって、まさか僕が……」

カツオ「僕が、僕じゃなくなっちゃうなんて……!」
夏海「カツオ君……」
ユウスケ「で、でも、士が役目を終えて、この世界から帰れば! そうすればまた――」

鳴滝「それはできんよ」
夏海「! 鳴滝さん!」

33: 2012/07/29(日) 20:47:06.88 ID:xFhkbd490
鳴滝「ディケイドは、この世界の無限ループに永遠に幽閉されるのだ」
ユウスケ「無限ループ、だって?」
鳴滝「何者かがこの世界の時空を歪めてしまっている。だが、それはむしろ好都合だな」

鳴滝「この世界に来たが最後、ディケイドは二度と抜け出すことができない!」
カツオ「ぼ、僕はどうなるんだよ!」
鳴滝「君の不幸はディケイドのせいだ。呪うならディケイドを呪うがいい」
カツオ「僕は戻れないの!?」

夏海「鳴滝さん、あんまりです! 何か元に戻す方法はないんですか!?」
鳴滝「無駄だよ。ディケイドはここで滅びる……はははははっ!」

ユウスケ「……居なくなった……」

34: 2012/07/29(日) 20:50:39.90 ID:xFhkbd490
【ファイナルアタックライド――リュリュリュリュウキ!】
ディケイド「ハッ! はあぁぁ……」
ドラグレッダー「ギャオオ!」

ガルドサンダ―「!」
ディケイド「ダアァァァッ!!」

ドガーン!!


士「……ま、こんなもんか」

夏海「士くん!」
士「なんだ夏ミカン、切羽詰まった顔で」
夏海「早く、この世界の異変を止めないと……カツオ君が、あまりに可哀想です!」
士「……ああ。まあ、そうだな」

36: 2012/07/29(日) 20:54:34.67 ID:xFhkbd490
士「海東の奴が言ってたな。この世界で起きてることは、一つじゃないって」
カツオ「一つじゃない?」
士「お前、感じてたんだろ? この世界の時間がループを繰り返してると」
カツオ「う、うん……」

士「俺とこいつが入れ替わったことが一つ。だが、もっと肝心なのは、そのループのことだ」
ユウスケ「だとしたら、それは……士が来る前から起きてたんだろ?」
夏海「一体誰が、何のためにそんなことを……」

士「今はわからない。……詳しいことはまた明日だな」
カツオ「えっ?」
士「ガキが起きてていい時間じゃないだろ。……夏ミカン、こいつは写真館に泊めてやってくれ」
ユウスケ「士はどうするんだ?」
士「俺はあの家に帰るさ。暖かい布団、ってやつを堪能するのも悪くない」

37: 2012/07/29(日) 20:57:53.18 ID:xFhkbd490
夏海「ほら、そこが私たちの家。光写真館ですよ」
カツオ「あれ? ここって三河屋さんじゃ……」

栄次郎「やあ、お帰り、夏海にユウスケ君。そっちの子供は?」
ユウスケ「今夜は泊めてあげてくれないかな」
栄次郎「そりゃ、全然構わないけどね。今日は大変だったんだよ、ここにお酒を買いに来る人がたくさん……」


カツオ「……僕、戻れるのかな」
夏海「大丈夫だって。士くんに任せておけば、きっとどうにかなりますよ」
カツオ「本当に?」
夏海「士くんは今までも、色んな世界を救ってきたんだから」
カツオ「……」

38: 2012/07/29(日) 21:00:50.62 ID:xFhkbd490
~翌日~

ナカジマ「ディケイドー! 野球しようぜ!」
士「野球?」

士(可能な限り、この世界の出来事に合わせてみるか……)

士「いいぜ。人数は多いほうが楽しいだろ、俺がおまけを連れてきてやる」
ナカジマ「? ディケイド、珍しいこと言うんだな」


~光写真館~

士「おーい、お前ら。出てこいよ、野球をやるぞ」
ユウスケ「野球? こんな朝っぱらから……」
夏海「私もやるんですか?」

39: 2012/07/29(日) 21:04:27.64 ID:xFhkbd490
ユウスケ「カツオ君もやろうか、野球」
カツオ「野球は好きだけど、こんな時に遊んでる場合じゃ――」

カツオ「! な、ナカジマ!」
ナカジマ「?」
カツオ「ナカジマは僕を覚えてるだろ!? 僕がわかるよな、な!?」

ナカジマ「ディケイド、この子誰……?」
士「あ、ああ。俺の友達だ。お前も友達になってやったらどうだ」
ナカジマ「ふうん。僕を知ってるなんて、変なやつ」

カツオ「そ、そんな……ナカジマまで……」
夏海「カツオくん……」

40: 2012/07/29(日) 21:07:04.82 ID:xFhkbd490
カキーン!

ユウスケ「すげーな士、またホームランだ!」
士「まあな。俺にかかればこんなもの」

ナカジマ「……」
士「おい、どうした。俺にかっこよくホームランを打たれて落ち込んでるのか」
ナカジマ「……何か、違う気がする」
士「あ? 何が違うんだよ」

ナカジマ「わからないよ。だけど……何か、引っかかるんだ」

ナカジマ「ディケイド。僕は君と……ずっと、こんな風に野球をしてた筈なんだよね!?」
カツオ「な、ナカジマ! 違うんだ、君の友達は、本当は僕――」
ナカジマ「なんなんだ……この違和感は……!」

41: 2012/07/29(日) 21:11:18.92 ID:xFhkbd490
キィィン……キィィィイン……!

ユウスケ「! ま、まただ!」
士「しつこいモンスターだな。下がってろ、お前ら」

ガルドミラージュ「グオオォ!」
ガルドストーム「ギャオオ!」

ナカジマ「う、うわぁっ!?」
カツオ「ま、また化け物が!」

士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】

ユウスケ「夏海ちゃん、みんな、こっちへ!」

43: 2012/07/29(日) 21:15:47.89 ID:xFhkbd490
ディケイド「ハッ! ヤアッ!」
シュバァッ!
ガルド「グオオ!」


ナカジマ「あ……そ、そうだ、僕は……」
カツオ「ナカジマ、どうしたんだ!?」
ナカジマ「! イ、イソノ! そうだ、君はイソノだ!」
カツオ「! お、思い出してくれたのか!?」

夏海「ナカジマ君、カツオ君のことがわかるんですか?」
ナカジマ「どうして……どうして僕は、分からなくなっていたんだ……!?」
ユウスケ「な、何にしても、記憶が戻ったならよかった!」
カツオ「わかるんだな!? ナカジマ、僕がわかるんだな!?」

44: 2012/07/29(日) 21:21:43.05 ID:xFhkbd490
ナカジマ「教えてくれイソノ! どうして、どうして君とあのライダーが!?」
カツオ「それは――」

夏海「士くんが、カツオ君の役割を演じることになっちゃったからですよ」
ユウスケ「で、でも、君の記憶が戻ったってことは、他の人達も――」

ナカジマ「そうか……あのライダーが来たから、全てが狂ってしまったんだ……」
カツオ「? ナカジマ?」

ナカジマ「また、巻き戻さなきゃ……」
カツオ「!?」

ナカジマ「これを使って……また……」
夏海「そ、それって、ミラーライダーのカードデッキ――」

45: 2012/07/29(日) 21:26:23.19 ID:xFhkbd490
ディケイド「! どういうことだ!? 何故あいつがデッキを持ってる!」

ユウスケ「ナ、ナカジマ君、それをどこで!?」
カツオ「そうだよナカジマ! また巻き戻すって、どういう意味だよ!」

しゅぃぃぃいん!
アポロガイスト「それは、我々が与えたのだ」

ディケイド「お前、大ショッカーの!」
アポロガイスト「また会ったなディケイド。だが、この世界が貴様の見納めとなろう」
ディケイド「大ショッカーが手を引いてやがったのか。何のつもりだ!」

アポロガイスト「おいおい、人聞きが悪いな。我々はその少年の望みを叶えてやっただけだぞ」
ディケイド「何……?」

46: 2012/07/29(日) 21:29:42.06 ID:xFhkbd490
ナカジマ「僕は……この時間をずっと生きていたかったんだ」
カツオ「ナカジマ!」

ナカジマ「最初は、日曜日が終わらなければいいって願っただけだった。月曜日なんて来なきゃいいって。
     そしたら、大ショッカーの怪人が現れて……これを使って時間を巻き戻せ、って」

ナカジマ「知ってる? このタイムベントのカード。これを使えば時間が巻き戻せるんだよ」
ディケイド「お前……」

ナカジマ「これを使って日曜日を繰り返している内に、気付いたんだ……
     僕が生きてるこの時間、全部……全部繰り返せばいいんだって!」

アポロガイスト「そうだ。その少年の願いで、この世界はループを続けていたのだ」

47: 2012/07/29(日) 21:32:45.62 ID:xFhkbd490
カツオ「ナカジマ! お前、どうしてそんなこと!?」
ナカジマ「君と野球がしたかったからだよ、イソノ……。決まってるだろ?」

ナカジマ「中学生になって、高校生になって……大人になったら……
     こんなふうに、毎日楽しく野球で遊ぶなんて、できなくなるんだ」

ディケイド「そのために、子供の時間をいつまでも繰り返そうとしたってわけか」
アポロガイスト「素晴らしいだろう! この世界での実験は、実に上手く行った!」

アポロガイスト「感謝しているよ、ナカジマ君。君のおかげで、この世界はディケイドを幽閉する牢獄となった」

アポロガイスト「だが、ここで再び時間を巻き戻されては迷惑だ。デッキは返してもらうぞ」
ナカジマ「!」

49: 2012/07/29(日) 21:38:24.98 ID:xFhkbd490
ナカジマ「い、嫌だ! このままじゃ、イソノとディケイドが入れ替わったままじゃないか!」
アポロガイスト「それでいいのだ。我々の目的は、最初からそれだったのだから」
ナカジマ「そんな!」

アポロガイスト「と、いうことだ、ディケイド。お前は繰り返される時間の中で、役割を演じ続けるのだ」
ディケイド「ふん。ごめんだな」

カツオ「ずるいよ、ナカジマ。そんな……時間を繰り返して、楽しい時だけを送りたいだなんて」
ナカジマ「イ、イソノ!? 何を言うんだ!? 君だってその方が――」
カツオ「月曜日からの辛い一週間があるからこそ、日曜日って楽しいんじゃないのかな……?」

ディケイド「ま、そういうことだな」

ディケイド「よく聞けお前ら。楽しい時間を繰り返したいなんて、大人になりきれてない証拠なんだ!」
アポロガイスト「なに?」
ナカジマ「……!」

50: 2012/07/29(日) 21:39:20.88 ID:xFhkbd490
(あの音楽)

ディケイド「確かに人は、今の時間が永遠に続けばいいと思うこともある。次の日が来なければいいのにと願うこともある」

ディケイド「だが本当は、辛い時間と楽しい時間が交互に続くからこそ、人は楽しく生きていけるんだ!」

ナカジマ「!」
カツオ「ディケイド……!」

ディケイド「そうして紡がれていく日々のことを……俺達は、日常、と呼ぶんじゃないのか!」

アポロガイスト「貴様……生意気に語らいおって! 一体何様のつもりだ!?」
ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」

アポロガイスト「クッ……やれっ!」
ガルドミラージュ・ガルドストーム「グオオォッ!」

51: 2012/07/29(日) 21:41:20.35 ID:xFhkbd490
【クウガ! アギト! リュウキ! ファーイズ! ブレーイ! ヒビキ! カブト! デンオー! キバ!】
【ファイナルカメンライド――ディケーイ!】

ディケイド「はあぁっ!」
ガキィンッ!


カツオ「ナカジマ。もう、やめてくれないか。時間を戻すのは」
ナカジマ「……僕は」

バッ!

ナカジマ「!?」
海東「そうだよ、少年。このお宝は、君が持つには荷が重すぎる」
ナカジマ「か、カードデッキを!」

52: 2012/07/29(日) 21:43:13.82 ID:xFhkbd490
海東「こんなもの……この世界に存在しちゃいけない」
バキュンッ!
パリーン!

ナカジマ「ああっ、デッキが!」

海東「……」

ゴルトフェニックス「キュオオォォッ!!」

海東「士あー。敵が増えたよー」
ディケイド「ああ?」

ガルドミラージュ・ガルドストーム「ギャオオ!」

53: 2012/07/29(日) 21:44:36.57 ID:xFhkbd490
ディケイド「チッ……」

【リュウキ! カメンライド――サバイブ】
【ファイナルアタックライド――リュリュリュリュウキ!】

ディケイド「せやあっ!!」
バシュッ!ズバァッ!

ガルドミラージュ「グオォォッ!」
ガルドストーム「ギャアアァッ!」

ドカーン!!


ディケイド「……後はあれか」

ゴルトフェニックス「キュオォォォォ!!」

55: 2012/07/29(日) 21:46:14.62 ID:xFhkbd490
ディケイド「カツオ!」
カツオ「えっ!?」

【ファイナルフォームライド――カカカカツオ!】
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ。我慢しろよ」
カツオ「な、何だよ!?」

にょいーん

ガシッ!

ディケイド「よぉし……」ブンブンッ


ナカジマ「! イソノが――」
夏海「野球のバットに……!」

56: 2012/07/29(日) 21:47:21.02 ID:xFhkbd490
ディケイド「でっかいホームランをお見舞いしてやるぜ」

【ファイナルアタックライド――カカカカツオ!】

ゴルトフェニックス「キュオオォォッ!」

ディケイド「ハアァッ!」

カキ――ン!!

58: 2012/07/29(日) 21:48:43.50 ID:xFhkbd490
ゴルトフェニックス「ギャアアァァァッ!!」

ディケイド「命中っ……」


............... ..ヽ . ;: . / .⌒ _,,..__ ヽ  ) ;. :ノ......... .........
:::::::::::::::::::::::::::ゞ (.   (::.! l,;::) .ノ ノ ./::::::::::::::.......:::::
        ._ゝ,,. .-ー;''""~ ';;; - .._´,
       ._-" ,.-:''ー''l"~:|'''ーヾ  ヾ
      ::( ( .     |:  !     )  )  ドカーン!!
        ヾ、 ⌒~'"|   |'⌒~'"´ ノ
          ""'''ー-┤. :|--~''""
              :|   |
              j   i
            ノ ,. , 、:, i,-、 ,..、
      _,,  ,. -/:ヽ::::::::ノ::::Λ::::ヽ::::-- 、ト、
,,/^ヽ,-''"::::\::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ:::::::::ヽ,_Λ

59: 2012/07/29(日) 21:51:46.68 ID:xFhkbd490
………。


サザエ「カツオ! あんた、どこ行ってたの!」
カツオ「姉さん! 姉さあーん!」
サザエ「ちょっ、ちょっと、何よ!?」


士「これで、この世界も元通り……か」

ナカジマ「……ディケイド」
士「ん」
ナカジマ「ごめん、僕は……どうかしていたんだ。あんなことを」
士「いいんじゃねえか。少しは大人になっただろ。お前も……あいつもな」

60: 2012/07/29(日) 21:54:34.85 ID:xFhkbd490
海東「やれやれ。今回も僕は骨折り損だったよ」

海東「あの“全自動卵割り機”だけどね。実際使ってみたら、あんなもの何の役にも立たなかった」
士「そりゃそうだろ。普通に手で割った方が早い」
海東「この世界にもお宝は無かったってことか……いや」


ナミヘイ「カツオ! こっちへきて座りなさい!」ガミガミ……
カツオ「お父さーん、ごめんなさいー!」


海東「ああいう平凡な日々が。案外、お宝なのかもしれないな」
士「……ふん」

ユウスケ「行こうぜ、士」
夏海「次の世界が待ってますよ」

士「……ああ」



(おしまい)

70: 2012/07/29(日) 22:04:13.33 ID:xFhkbd490
次回、仮面ライダーディケイド!


「俺の役目は……フロシャイムの戦闘員?」

       「俺の勝てねえ敵がいるなんて。もう……ヒーローはやめだ」

 「ただのご当地ヒーローなど、我が大ショッカーの敵ではないわ!」

   「レッドさん! こんなことで落ち込むなんて、レッドさんらしくないですよっ!」

 「立てよ、ヒモ野郎。お前が守らないで、誰がこの街を守るんだ」



次回、『バトルするなら溝ノ口』

――全てを破壊し、全てを繋げ!

72: 2012/07/29(日) 22:13:22.40
おっつおつ
サンレッド超楽しみ!

引用元: ディケイド「サザエさんの世界か……」