1: 2009/01/10(土) 16:59:21.00 ID:hgesdSn90
女「仕事・・・続きを・・・・」
女「・・・いや・・・も・・・眠・・・限界・・・」
女「・・・・」

カランカラン

友「やっほー!女ぁー!一緒に市場で買い物に・・って」

女「・・・すぅ・・・すぅ・・・」
友「・・あらら、寝てる・・・また徹夜したのね」

友「・・・お疲れ様」

4: 2009/01/10(土) 17:04:40.84 ID:hgesdSn90
女「・・・・すぅ・・すぅ・・・ん・・・」

友「あら、起きた?」キィキィ
女「・・・」
友「あ、ごめんね、この揺り椅子座り心地が良くて・・・」キィキィ
女「・・・別にいいけど・・・」
友「ん、ありがと」キィキィ

女「(・・・・さてと)」
パサッ・・・

友「・・・また古文書の訳解ですかぁ」
女「時間が無いから・・・」
友「・・・むー・・・たまには女も私と一緒に遊んで欲しいんだけどなぁ」
女「そうね・・・(サラサラ」

友「・・・ねぇ」
女「・・・・・何?(サラサラ」
友「昨日は新年だったでしょ?」
女「・・・そうね(サラサラ」
友「・・・もしかして、昨日もずっとそれを?」
女「・・・・ええ・・・(サラサラ」
友「(仕事が好きなんだなぁ・・・)」

6: 2009/01/10(土) 17:09:05.68 ID:hgesdSn90
友「・・・」
女「・・・(サラサラ」
友「・・・ねぇー」
女「・・・・何?(サラサラ」
友「気分転換にさ、市場回らない?今日は新年だから珍しい露店がいっぱいあるかもよ?」

女「・・・・(ピタッ」
友「(お?釣れたかな?)」
女「・・・珍しい露店・・・」
友「そうそう、何か珍しい骨董品が売ってるかも・・・」
女「行こう、友、すぐに」
友「(ほれきた!)」

友「ささ、そうと決まれば準備しましょ!早く早く!」
女「・・・ええ、すぐに準備するから・・・外で待ってて・・・」

7: 2009/01/10(土) 17:14:39.16 ID:hgesdSn90
カランカラン・・・

友「改めまして・・・明けましておめでとー!」
女「・・・アケ・・・?・・ああ、ハッピーニューイヤー」
友「あ、そうだったわね、ハッピーニューイヤー!」

女「やっぱり・・・外は寒い・・・」
友「もう1月だものね、一昨日も雪降ったのよ、知らない?」
女「え・・・・?」
友「・・・本当に最近、外に出てないのねぇ」
女「・・・ずっと仕事してたから・・・」
友「まだ私たちは19よ?19・・・仕事よりも色々とやることがあるでしょー?」
女「・・・?」
友「だからぁ、もっとこう、さぁ」
女「・・・仕事・・・?」
友「じゃなくてー!もっと青春を謳歌したいっていうかさぁ」
女「・・・?結婚・・・?」
友「そこまではいかないんだけどさぁー・・」
女「(・・・友の考えていることは良くわからない・・・)」

10: 2009/01/10(土) 17:23:34.83 ID:hzGrSI8mO
友「新年なのに・・・この通りはいつも人が居ないわね・・・」
女「機械部品市だから・・・大通りの反対側だし・・・」
友「女は大通り側に引っ越そうとは思わないの?その方が女の店も繁盛するんじゃない?」
女「・・・客は来なくてもいい・・・素人に品を触られるのは・・・」
友「(いつも思うけど、それって店としてどうなのかしら・・・)」

女「・・・それに骨董店は副業のようなものだし・・」
友「あ~・・、訳解と翻訳がメインなのよね?」
女「ええ、重要な歴史的書物の謎を紐解く・・・それが私の仕事・・・」

友「・・・女は偉いねぇ」
女「え?」
友「ううん、なんでもないよ」

11: 2009/01/10(土) 17:29:40.67 ID:hzGrSI8mO
ガヤガヤ ザワザワ

女「わ・・・人が・・・」
友「さすがに大通りの商店街ね・・・人が多いわ」
女「こ・・・ここを通るの・・・?」
友「当然よ、虎穴に入らずんば、よ!」
女「・・・押し潰されるかも・・・」
友「ふふふ・・・今年も沢山買うわよ~・・・とりあえず鉢を10、春用植物の苗を20ほど・・・」
女「(やっぱり植木目当て・・・)」

友「女も、早くしないとレアな骨董品を買われちゃうわよ!」
女「!!」

ぐいぐいぐいぐい・・・

「うわ、押すな!誰だ今押したのは!」
「いてて、いて、無理矢理通るな!痛い!」

14: 2009/01/10(土) 17:38:46.86 ID:hzGrSI8mO
女「・・・!」

“砂塗り碗 75YEN”

女「(・・・砂塗り・・・違う、砂塗りはもっと粗いはず・・・これは姫焼きのもの)」

女「・・・・この器を1つ・・・」
「ん?これを買うのかい?1つ75YENだよ」
女「・・・本当にこの値で?この器の産地は?」
「値札があるだろう、見てくれよ・・・産地は知らんね、俺も他の業者から仕入れたんでよ」
女「・・・そう・・・じゃあその値でいただくわ」
「はいよ、確かに、まいどありー!」

友「・・・ふぅーん、絶好調じゃない」
女「あ、友・・・」
友「それって砂塗り碗じゃないの?ザラザラしてるけど・・・」
女「・・・場所を変えよ・・・ここでは話せないから・・・」
友「え?う、うん良いけど・・・?」

16: 2009/01/10(土) 17:44:12.98 ID:hzGrSI8mO
友「さっ、三千・・・!」
女「・・・ええ」
友「そ・・・そんなにすごい物には見えないんだけどなぁ~・・?」
女「・・・見た目はあまり砂塗りと変わらないから・・・」

友「うーん・・・やっぱり女がいると市場を回るのが面白いわ・・・」
女「・・・そう?」
友「うん、女に訊けば露店で売ってる怪しい人形の産地とかもわかりそうだもん」
女「(怪しい人形ってなんだろう・・・)」

友「・・・そうだ、せっかくだから女が私の鉢を選んでよ!良いやつを!」
女「え」
友「さささ、行きましょ行きましょ!」
女「あ、ちょ・・押さないで・・・」

17: 2009/01/10(土) 17:51:27.42 ID:hzGrSI8mO
「らっしゃいらっしゃい!どうだいあなたも旅のお供に一つ!」

友「?あれは・・・武器売りかしら」
女「・・・(ウズウズ」
友「(・・・すごく見たそうね・・・)」

友「え、えっと・・・気になるから少しだけ見てく?」
女「ええ」
友「(目が輝いてる・・・)」

「らっしゃいらっしゃい!おや、お嬢さんたちいらっしゃい!持ちやすい短刀やメイスならこっちに・・・」
女「(これはメイン産・・・よくある型の物・・・あれはレコル産の剣・・・)」

友「(真っ先に長剣の方に行くのね・・・)」

18: 2009/01/10(土) 17:57:27.58 ID:hzGrSI8mO
「ハハハ、嬢ちゃんにはそれらの剣はちょっと重いかもな」
女「あ・・・ええ、そうね・・・」
「しかし、ついこの間も物騒な事件があったからなぁ・・・この国が一番安全とはいえ、護身用の武器を1つ持っておいても損は無いだろう」
女「(物騒な事件・・・新聞を見てないからわからない・・)」

友「インドア派の女にはちょっと関係ないわねー」
女「・・・友は?結構出掛けるでしょ・・・?」
友「私は別にいいわよ、刃物なんて物騒だし・・・そうね、強いて言うなら枝切りハサミが欲しいかな?」
女「(やっぱりガーデニング・・・)」

19: 2009/01/10(土) 18:05:18.11 ID:hzGrSI8mO
友「うーん、なかなか面白い露店が無いわねー」
女「・・・青果店と武器売りが多い・・・」
友「もっと無いのかな?鉢や壺だけを売ってる店って」
女「・・・なかなか無い・・・」
友「うーん・・・」

女「・・・あ、友・・・あの武器売りさんが言ってた、物騒な事件って・・・?何かあったの・・・?」
友「えー?別に、違う国の話よ」
女「そう・・・」
友「子供や警察の人が沢山殺されたって・・・まぁそれだけね」
女「そうなの・・・でも、今は平和」
友「?」
女「・・・昔と比べたら今は農耕も安定しているし・・」
友「(また歴史の話かぁ・・・)」

21: 2009/01/10(土) 18:10:29.10 ID:hzGrSI8mO
女「千年前の時代と比べると政治の力も強いし自治も反乱や紛争を起こさず・・・」
友「(話が長いよー)」

友「(・・・歴史が好きなのはわかるけど・・・話し出したら止まらないのが珠に傷ね・・・)」

友「・・・およ?」

“ツキミラセンイ 一株250YEN”

友「ちょ、待・・・それ買ったッ!」
女「?まだ話の途中・・・」

23: 2009/01/10(土) 18:17:31.25 ID:hzGrSI8mO
友「はー買った買った」
女「・・・すごい苗の数・・・これ全部育てるの・・・?」
友「当然!いやぁー、まさか苗専門の露店があったなんてラッキーね」
女「(重そう・・・)」
友「まさか高山地帯の植物の苗があるなんて思わなかったわ・・・新年早々、運を使い果たしちゃったかもね?」
女「(すごく嬉しそう・・・)」

女「・・・?」
女「(・・・あそこの露店・・・あの本は・・・)」

友「ん?女ぁー、どこ行くのよー」
女「・・・ちょっと見たいものが・・・」

25: 2009/01/10(土) 18:26:22.40 ID:hzGrSI8mO
女「・・・古い本が沢山・・・」
「ん?ああ、これな、なんだか雰囲気あるだろ?」
女「・・・これらは何の書物・・?」
「さぁな、何て書いてあるかさっぱりなんだ・・・だけど、雰囲気はあるだろ?安くしとくぜ」

女「読めない文字・・・?」
女「・・・・(パラッ」
女「・・・これは・・・英語か・・・」
「?エイゴ?なんだそりゃ」
女「随分前にはあったよく使われていた言語よ・・・今のものとは文法に大きな差があって使い難いけど・・・」
「へぇー」

女「(・・・英語が共通言語として使われなくなったのは6千年前後・・・今でも残ってはいるけどごく小さな範囲・・・この本はとても珍しい)」
女「(・・・他の本も気になる・・・)」

28: 2009/01/10(土) 18:30:59.82 ID:hzGrSI8mO
女「・・・」
友「おかえり・・・すごい抱えてるわね・・・それ」
女「・・・重い・・・」
友「手伝ってあげたいけど私も両手と肩が塞がってるのよ・・・」
女「・・・うう・・・」
友「・・・帰ろっか?」
女「・・・(コクリ」

30: 2009/01/10(土) 18:42:26.73 ID:hzGrSI8mO
フォッシル

31: 2009/01/10(土) 18:52:20.74 ID:hzGrSI8mO
友「じゃあねー!」
女「ええ、また・・・」

カランカラン

女「・・・ふう、寒かった・・・」
女「・・・さて」

どさどさ

女「(・・・この本達をどうするか・・・見たところかなり古い書物・・・読み応えはある・・・)」
女「(でも・・・これを読んでしまうと訳解の仕事が・・・)」
女「(だけど読みたい・・・!)」

女「・・・読もう」

32: 2009/01/10(土) 18:59:53.93 ID:hzGrSI8mO
女「・・・“理学入門書”、“語学入門書”・・・これは昔の教科書か・・・」
女「こっちは・・・“今日の料理”・・・随分と家庭的ね・・・」

女「・・・」
女「・・・・これは」

“忘れられた遺跡案内”

女「・・・興味をそそるタイトル・・・」
女「遺跡か・・・遺跡・・・新しい遺跡だとしたら・・・」
女「・・・素敵ね」

女「・・・訳解してる場合じゃない、この本を調べないと・・・」

33: 2009/01/10(土) 19:08:14.87 ID:hzGrSI8mO
友「ふぁー・・・眠い・・・」
友「朝かぁ・・・あー良く寝たけど寝たりない・・・」
友「6時間は寝たはずなのに・・・あと2時間は寝ていたい気分だぁ・・・」

友「・・・でも店を開かないわけにはいかない・・・」

友「誰かが私の花を待っている・・・!よし、起きよう!」
友「さあ今日も一日頑張るぞー」

35: 2009/01/10(土) 19:13:38.01 ID:hzGrSI8mO
「おやぁ、今日は珍しい草を置いてるねぇ」
友「あら、いらっしゃい!でしょ?それ素敵でしょ?葉が螺旋状に・・・」
「はは、素敵かどうかは意見が分かれるかもねぇ」
友「んー・・・こんなに可愛いのに・・・」
「・・・ま、友ちゃんが言うのなら間違いないだろう!それ買うよ!」
友「ありがとう!」

友「・・・そうだ、これ女にもお裾分けしようかな・・・」
友「女って変な物好きだし・・・うん、よし、そうしよう」

36: 2009/01/10(土) 19:24:20.50 ID:hzGrSI8mO
カランカラン

友「おじゃましまーす!・・・って・・・」

女「・・・ケアンズ・・・いや、・・これは・・・違う・・・別の都市・・・の・・・」
友「ちょっ・・・女、目!目、どうしたのよ!?それクマなの!?」
女「聖堂・・・跡に・・・何かヒントが・・・」
友「どうして今日も寝てないのよー!?」
女「あ・・・友・・・この本・・・」
友「寝なさい!すぐに!」
女「そんな・・・暇は・・・」
友「寝なさい!氏ぬから!」

37: 2009/01/10(土) 19:28:41.88 ID:hzGrSI8mO
女「すー・・・すー・・・・・」

友「・・・ふう、本を手放してやっと寝るとは・・・」
友「全く・・・歴史の事になるといっつも無茶するんだから・・・この子は」

友「・・・そうまでして一体どんな本を・・・」

友「・・・(パラパラ」

友「(読めない・・・!タイトルさえも・・・!)」

44: 2009/01/10(土) 20:08:39.34 ID:hgesdSn90
女「ん・・・・」
友「あら、起きた?」
女「・・・(キョロキョロ」
友「?・・・どうしたの?」
女「・・・本が・・・」
友「(あんなになって寝たのに起きたらすぐ読むんかい)」

友「・・・はい、ここにあるけど」
女「あ・・・ありがとう」

女「・・・?どうして友がここに・・・?」
友「(これは怒ってもいいのよね?いいのよね?)」

46: 2009/01/10(土) 20:15:06.34 ID:hgesdSn90
女「・・・そう、これを私に・・・」
友「藺草って知ってる?それの突然変異種のそれまた突然変異種で・・・」
女「・・・・面白い形ね・・・針金みたい・・」
友「でしょでしょ?良いよねこれ?」

女「・・・じゃあこれ、窓の所に置かせてもらおうかな・・・ありがとうね、友」
友「良いって良いって!私達は親友なんだから!」
女「・・・うん」

女「あ、そうだ・・・友・・・これの事なんだけど・・・(スッ」
友「・・・ああ、その本・・何書いてあるのか全然わからなかったわ、何語なのよ」
女「サンス・・・いえ、それよりもこの内容、ここを見て欲しいの」
友「いや、だから読めないんだってば」

女「・・・えっとね、何が書いてあるかというと・・・」
友「うんうん(また歴史談義が始まるのかぁ・・・面倒だなぁ・・・女は好きなんだけど・・・)」

女「このページの・・・この遺跡には、黄金の石版が残されているって・・・」
友「詳しく」

47: 2009/01/10(土) 20:22:09.72 ID:hgesdSn90
女「・・・」
友「さあ早く続きを!女っ!」
女「(友にも歴史の興味深さが分かったのかな・・・?)」

女「この黄金は厚さ1cmで・・・そこに数暦が始まった時の詳しい出来事が彫られているらしい・・・」
友「うんうん」
女「宗教がどのように分布していたのか、世界の地図はどうだったのか・・・そして魔」
友「いや、女、それよりも」
女「・・・?」
友「それよりも私は・・・黄金の石版の面積の方が気になるかなーって・・・」
女「面積はわからない・・・けど、結構大きいと思う・・・本棚くらい?」
友「・・・うーん、興味深いわね」
女「(友の学習意欲が旺盛になってきた・・・)」

49: 2009/01/10(土) 20:30:27.45 ID:hgesdSn90
友「その遺跡ってどこにあるの?」
女「そうね・・・本には・・・えっと、今のイーストヘイム、丁度ここから・・・南西・・・だと思う・・・昔と地理が違うからよくわからないけど」

友「まだ残ってるのかなぁ?その黄金って」
女「・・・さあ・・・?」
友「さあって・・・取りに行こうよ!黄金!本棚の面積×2cm!」
女「取りにいこうって・・・すぐには国の調査隊も派遣できないし・・・」
友「あーだからぁ、違うって!私達だけで取るの!」
女「・・・・さては」
友「う」
女「・・・黄金の石版を売ろうだなんて・・・考えてる?」
友「・・・」
女「取るのはダメ、発掘したものは全てその国が所有する権利を持つから」
友「えー・・・こっそり取っちゃえば・・・」
女「・・・そんなのは歴史泥棒よ」
友「・・・」
女「全て調査隊に任せるのが一番良い」
友「うーん・・・」

女「・・・でも」
友「・・・?」
女「黄金の石版・・・忘れられた遺跡・・・私も少し・・・興味がある」

50: 2009/01/10(土) 20:37:35.97 ID:hgesdSn90
友「えっ?じゃあ・・・!」
女「・・・本当は史学者がこんなことしてはいけないんだけどね」
友「そんなことないわよ!だって女は純粋にその遺跡を見たいと思ってるんでしょ?」
女「・・・ええ・・・それは・・・そうだけど」
友「なら大丈夫だって!一緒に行こうよ!青春を謳歌する旅行ってことで!」

女「・・・友はいいの?花屋があるんでしょ?」
友「そんなのは友達に任せれば大丈夫よ!少し出かけるくらいなんだから!」
女「(友の育ててる量は少しじゃないけど・・・)」

女「・・・遺跡か・・・遺跡・・・私が最初に踏み入れ、最初に見つける遺跡・・・」
友「うんうん」

女「(・・・あの学校の教授になるのを蹴っていなかったら・・・私もこんな本に出会わなかったんだろうな)」

女「・・・金は私たちのものにはならないけど・・・」
友「えっ・・・やっぱり・・・?」
女「・・・他に何かあれば、それを少しくらいなら・・・持っていっても大丈夫だと思う・・・」
友「本当に!?」
女「・・・・うん・・・“研究材料”・・って名目で、あげる」
友「やったー!」

75: 2009/01/10(土) 21:42:45.83 ID:hgesdSn90
ビュゥゥゥ・・・ ガタガタ

女「(・・・夜になると寒い・・・風で窓がうるさいし・・・)」
女「(旅か・・・旅・・・昔は色々な遺跡に行ったことがあるけど・・・新しい遺跡に行ったことはないな・・・)」

女「(・・・私が最初に見つける遺跡・・・か・・・)」
女「(黄金よりもその方が私には・・・良いかな)」

女「・・・寒い・・・新しいローブ買おうかな・・・」

女「(それにしても明日出発なんて・・・友も気が早すぎる・・・)」
女「(女が無準備で二人旅なんて・・・やっぱり無謀かも・・・)」

78: 2009/01/10(土) 21:48:36.10 ID:hgesdSn90
友「ん~っ・・・良い朝だぁ・・・」
友「昨日既に店の管理を頼んでおいたから・・・今日はもうすぐに出発できるわねっ」

友「何せ黄金よ、黄金・・・売れないのは残念だけど、黄金なんて滅多にお目にかかれるものじゃないわ・・・」
友「“18歳の女性二人が古代の遺跡から黄金の石版を発見!”なんてねー」
友「・・・まー見つかっても見つからなくても私は女と一緒に何かができればそれでいいや」

友「さて・・・服はどうしようかしら・・・白系しかないから・・・温かいものを適当にもっていこうかな」
友「大きなカバンと・・・替えの服をとりあえず4着・・・じょうろ・・はいらないかな」

友「非常食にシリアルを箱ごと持っていって・・・かさばるかしら」
友「・・・年のために何かしらの種を持っていこうっと」

82: 2009/01/10(土) 21:53:05.04 ID:hgesdSn90
友「うーん・・・とりあえずこんな所かしらね・・・」
友「スカート・・・うん、問題ない問題ない」

友「・・・あ、お金忘れちゃうところだったわ、お金・・・8000YENあれば大丈夫でしょう、うん」

友「うん・・・よし、行ってきまーす!」

ガチャ(ゴツッ

女「痛っ」
友「えっ?」

女「・・・鼻が痛い」
友「あ、あ、ご、ごめんね!?大丈夫!?ごめんね、いきなり開けて・・・」
女「・・・私が扉の前に立ってるのが悪いから・・・」
友「ごめぇーん・・・」

84: 2009/01/10(土) 21:57:59.87 ID:hgesdSn90
友「防寒対策にローブを3枚重ね着かぁ・・・」
女「・・・温かい」
友「うん、そうだろうけどさ・・・なんだかなぁ」
女「冬でも温暖な地方だから、この程度の装備でも大丈夫・・・なはず」
友「本当?雪降ったりしない?大丈夫?」
女「多分」
友「・・・まぁ、女がそう言うなら大丈夫なんでしょう、じゃあ出発!」

女「待って」
友「ん?」
女「・・・本当に歩いていくつもり?」
友「うん?違うの?」
女「・・・・いや・・・・」
友「ちょっとぉ、今更行かないは無しよー?」
女「・・・ええ」

女「(隣の国とはいえ徒歩か・・・)」

85: 2009/01/10(土) 22:04:01.64 ID:hgesdSn90
てくてく てくてく

友「いやぁ、朝の空気は美味しいわねぇ」
女「空気が・・・?」
友「そんなもんなのよ」
女「・・・そうなの」
友「市を出たら景色一面紅葉の山、酸化した赤茶の土、良い色合いねぇ」
女「・・・そうね、来月には山も灰色になるけど・・・」
友「ここは2月だけが残念でならないわよねぇ」
女「・・・ええ」

女「私・・・まさかいきなり旅をすることになるとは思わなかったから・・・最低限の装備しか持ってきてない」
友「あら、私も最低限にしといたわよ、ロープとノミと金槌と・・・」
女「え・・待って、何をする気なの・・・?」
友「?何って、発掘だけど?」
女「・・・まぁ必要になるかもしれないけど・・・遺跡を壊さないようにね・・・」
友「ふふっ、任せなさいよ」

86: 2009/01/10(土) 22:10:07.83 ID:hgesdSn90
ザァァァァ・・・

女「・・・」
友「・・・」

女「・・・・出てすぐに雨が降るとは思わなかった」
友「雨雲が結構遠くにあったはずなんだけどなぁ・・・」
女「でも丁度良く、隣町にもつけたし・・・こうして雨宿りもできたし、休憩で・・・」
友「そうね、結構歩いたわよねー」

女「(・・・こんな速さでいつになったら着くのやら・・・)」
女「(今日はもう少し歩いて・・・いや、ひとまずここで泊まっておこうかな・・・雨も止みそうにないし)」

女「(・・・宿代はどうしよう・・・大丈夫かな・・・往復できれば良いんだけど・・・)」
女「(友もやるき満々だし・・・途中でリタイアってことは・・・できなさそうだし・・・)」

女「(・・・無謀だったかな、女二人で旅なんて・・・)」

87: 2009/01/10(土) 22:14:23.07 ID:hgesdSn90
「あらあら、そんなことならもちろん力になるわよぉー」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「うっふっふ、若いっていいわねぇ」

女「(・・・?友の話し声が・・・)」
友「女~!」
女「・・・どうしたの?店の中で何か話していたけど・・・」
友「店のおばさんが一晩だけ泊めてくれるんだってー!」
女「(こ、行動が早い・・・)」

友「本屋さんだけど、上の階に空いてる部屋があるから使っていいんだってさ」
女「そ、そうなの・・・借りるなんてよく・・・」
友「好意のある人でよかったよ、本当にー」

女「(・・・その積極性で、なんとか馬車を借りてほしいんだけどな・・・)」

88: 2009/01/10(土) 22:20:41.44 ID:hgesdSn90
パラッ・・・パラッ・・・

女「(・・・でもその行動力を、時々羨ましく思うことがある・・・)」

パラッ・・・

女「(だから今まで親友として付き合えたのかもしれない、彼女と・・・)」

パラッ・・・

女「(・・・この本面白い・・・買いたい・・・けどお金は無駄に使えない、もどかしい・・・)」
女「(雨宿りしたのが大きな書店で助かったな・・・ここなら時間も潰せる・・・)」
女「(・・・ああ、買いたい・・けどお金が・・・泊めてもらう礼儀として商品を買うのは当然・・・うん、きっとそう)」

女「(・・・一冊くらい買っても大丈夫、うん、きっとそう・・・きっと・・・)」

89: 2009/01/10(土) 22:30:33.75 ID:hgesdSn90

男「不在だと?」

「はい、訳解の文書を受け取りにいこうとしたのですが、本人が不在でして・・・」
男「あの時間にうるさい女がか?」
「ええ、・・・ああですがしかし、机の上には既に訳解済みの書がおいてありましたので・・・それはこちらにあります」
男「・・ふん、まぁそうだろう・・・あいつは生真面目だからな」

男「・・・どれ、その訳解した書を見せてみろ、原典もな」
「はい、どうぞ」

男「(・・・・訳文は・・・忠実な訳し方だな、原文に沿うように余計なものを一切入れない・・・)」
男「(・・・しかしこの量だ、指定したたった数日の期間でこの量・・・クソ、才能か)」

男「(・・原典との違いはどうだ?せめてあの女の揚げ足を取ってやる・・)」

男「・・・ん?」
「? どうなされました?」
男「おい、なんだこの書物は?これは原典ではないぞ、原典は漢文のはずだ」
「・・・?おかしいですね、訳解した書の上に重ねてあったのですが・・・」

男「(・・・サンスクリット・・・“忘れられた遺跡案内”・・か)」
男「(・・不在・・・?・・・遺跡・・・まてよ、もしかするとこれは・・・)」

男「ふん・・・至急、これを読解する必要があるな」
「?」
男「これを期に僕があいつを越える・・・ふふ、面白い・・・」

91: 2009/01/10(土) 22:39:53.44 ID:hgesdSn90
男「(・・・ふむふむ、なるほど・・・面白い)」
男「(・・・・わかったぞ、この古書の意図・・・一見各地の有名な遺跡を紹介しているだけのだけに見えるが、まだ見つかっていない隠された遺跡をひとつ紹介している・・・)」
男「(昔はよくあった形式の“宝の地図”に近いやり方だな・・・ま、僕のような専門家の目は誤魔化せないがね)」

男「(・・・しかし、この書物の意味を、あの女も理解しているということ・・・これはマズい)」
男「(あの女が不在という事は、既に出発したということだ・・・遺跡へ・・・)」

男「(・・・先に見つけられたくない・・・この発見を・・・絶対に!)」

男「(訳解した文書が完成しているということは発注後ある程度のタイムラグがあったということだ・・・なら、まだ出発して時間はたっていないはず)」
男「(・・・今から僕が出発してもそこまで時間はとらないはずだ・・・)」

男「(・・・場所はロチネル鉱山、今のイーストヘイム・・・女の店がギア市・・・近いわけではないが、遠いわけでもない)」
コンコン

「教授ー?祖父様からお手紙が届いておりますが・・・」
男「ああ、わかった、後で頼む」

男「(・・・最も速い馬車を呼ぶしかない・・・)」
男「(僕はもう・・・あの女には負けない・・・!)」

94: 2009/01/10(土) 22:51:15.11 ID:hzGrSI8mO
女「・・・ベッドも借りれたんだ・・・」
友「へっへーん、すごいでしょ!一つしかないけど良いよね?」
女「え・・・?あ、うん・・・大丈夫だけど・・・」

女「(ひとまず雨は止んだ・・・けどもう夜・・・今日はここに泊るしかないか)」
友「さささ、寝よ寝よ」
女「・・・ええ、そうね・・・」

女「あ」
友「?」
女「(納期・・・いや・・・やっぱりいいや・・・気が進まないし・・・)」

98: 2009/01/10(土) 23:04:55.56 ID:hzGrSI8mO
男「(・・・祖父からか・・・チッ、あの時は女を推したくせによくも今頃手紙なんて・・・)」

パラッ

男「(・・・)」
男「(古代の碑文・・・?世紀の発見だ、協力してくれ・・・?)」

男「ふざけるな!今はそれどころじゃないっ!」
男「・・・今はどんなに重要な碑文だろうと、大事なのはあの女に勝つ事だ!」

男「(忘れないぞ・・・あの屈辱・・・!)」


男「(・・・ここはギア市よりも遠い位置にある・・・出発するなら今しかない!)」

100: 2009/01/10(土) 23:11:59.21 ID:hzGrSI8mO
まとめは無いけどタイトル検索すれば読める

男の子「うう・・・頃し屋をやとってやる・・・!」

父「メリークリスマス!」◆

メイド「(・・・外が騒がしいです・・・)」

のくす牧場に全部あるからそこで読めば良い

119: 2009/01/11(日) 00:26:29.25 ID:SSVKdie5O
女「・・・・ん・・・んん・・・」

友「あ、女起きた?」
女「・・・ん・・・今何時・・?」
友「朝よ、朝の5時」
女「(通りで眠いはずだ・・・)」

ゴトン・・・ゴトトン・・

女「(道路から馬車の通る音・・・窓から暗い朝日・・・)」
女「・・・旅か・・・旅なら今から発った方がいいかな・・・」
友「うんうん!早く行きましょ!いざ古代の黄金遺跡へ!」
女「(・・・すごい元気・・・)」

女「(・・・・まぁ・・急ぐ用でもないし・・・この元気なら大丈夫かな)」

120: 2009/01/11(日) 00:32:06.15 ID:SSVKdie5O
友「お世話になりました!ありがとうございました!」
「いいのよぅ、買い物もしてくれたしねぇ!」
女「・・・良い書を沢山読ませていただきました、ありがとうございました」
「うっふっふ、どうもぉ」

友「では、さようならー!お世話になりましたー!」
「はいよー!」


女「・・・良い人・・・だったね」
友「そうだね、雨が降ってたし・・・すごく助かった」

女「・・・傘を買うべき・・・かな・・・」
友「・・・どうしよっか・・・いや、大丈夫!雨が降るより早く着けばいいのよ!」
女「(ホジティブというより・・・無鉄砲・・・)」

121: 2009/01/11(日) 00:37:28.75 ID:SSVKdie5O
てくてく てくてく

友「わー・・・この町の建物って、私達の住んでる市よりも高いんじゃない?」
女「・・・ギア市は国の中でも特に厳しいから・・・2階建てまでしか許されていない」
友「へぇー・・・そうだったんだ・・・紅葉の山の景観を損ねるからかな?」

女「・・・うーん・・・いえ、きっと警察が屋根の上を移動しにくいから・・・だと思う」
友「あー、屋根を足場にしてるからねー」
女「高低差があると不便・・・なんだと思う」
友「なるほどねぇー・・・」

女「・・・」
友「・・・」
女「・・・」
友「・・・まだ着かないかな?」
女「・・・・まだまだかかる」

122: 2009/01/11(日) 00:45:57.34 ID:SSVKdie5O
友「わー、畑が多くなってきたぁ・・・」
女「この町はヤマムギとガンパウダーを主に生産してるから・・・」
友「ガンパウダー・・・火薬?」
女「香辛料の方」
友「あー、そっちか」

友「・・・のどかねぇ」
女「・・・そうね」
友「こんな広い土地があったら・・・お花畑を沢山作るんだけどなぁ・・・一面がフリルパンジーとジェリーパンジーで・・・あぁ、良いなぁ・・・土地欲しい」
女「・・・この国のこの辺は赤が多いから・・・上手く育つかどうか・・・」
友「いや、私なら育てる自信があるわ・・・土地があればやる気だって出て来るはずだもの」
女「・・・ふふ、そうね」

124: 2009/01/11(日) 00:53:45.58 ID:SSVKdie5O
女「・・・脚が疲れてきた・・・」
友「あ、それじゃあそろそろ一休みしよっか?」
女「ええ・・・そうしてもらえると助かる・・・」
友「乾パン持って来たのよ乾パン、自家製なのよ乾パン、食べましょ乾パン」
女「(乾パン・・・朝食が無いよりはいいか・・・)」

友「いやぁ、良いですねえ・・・田舎道の脇の岩の上で朝食・・・旅人だねぇ・・・」
女「・・・(モグモグ」
友「勢いに任せて私、花屋になっちゃったけどさ・・・いやこうしてみると、あと1年くらいは旅人に挑戦してみるのも悪くなかったかもしれないなぁ・・・」
女「・・・旅、楽しい?」
友「もちろんよ!女は楽しくない?」

女「・・・すごく・・・楽しい」
友「うふふっ、でしょ?でしょ?」
女「・・・ふふ、ええ・・・本当に・・・良かった」

125: 2009/01/11(日) 01:00:24.08 ID:SSVKdie5O
友「・・・じゃ!そろそろ出発!」
女「ええ、行きましょ・・・」

友「・・・本当に良かった、私・・・旅ができて」
女「え?」
友「あ、ううん、なんでもない」
女「・・・そう・・・」

友「・・・ねぇ、女はどうしてそんなに、遺跡とか骨董とかが好きなの?」
女「・・え?」
友「普通は女の子ってさぁ、飲食店で働いたり、果物育てたり・・・騎士団に憧れたり、そういうのが多いでしょ?」
女「・・・・そうなの?」
友「・・・そーなのよ」

友「・・・でも女って、違うよね・・・なんていうか・・・他の人とは最初っから、目指すものが違うっていう感じがする」
女「・・・」

126: 2009/01/11(日) 01:07:35.63 ID:SSVKdie5O
友「あ、悪い意味とかそういうのじゃないよ?憧れるっていうかさ・・・」
女「・・・」
友「女はどうして、歴史の・・・考古学者さんになろうと思ったの?」
女「・・・」

女「・・・私の母が、史学の教授だったの」
友「教授!?女のお母さんが!?」
女「昔の話、昔の・・・そんなにびっくりした・・?」
友「いやぁ・・・びっくりというか・・・なるほどね~って感じかな・・・」

女「・・・優しいお母さんだったから・・・知らずのうちに似たのかも・・・しれない」
友「はぁー、やっぱり親子は似るもんなのねぇ・・・」

女「でも、4年前に氏んじゃって」
友「・・・」
女「だから私は店を継いでる」
友「へぁ~・・・すごいのねぇ・・・」
女「(・・・なにが?)」

127: 2009/01/11(日) 01:13:41.56 ID:SSVKdie5O
女「(・・・お母さん・・・お母さんが残してくれた小さな店・・・)」
女「(小さいし古いけど・・・思い出と優しさが残った、私にとっては唯一の家・・・)」

女「(・・・本当は、あの時に断っていなければ・・・私は違う国で・・・お母さんと同じ教授になれていた・・・)」
女「(でも・・・)」

女「(・・・断って良かった・・・)」
女「(こうして、心を許せる優しい親友と出会えて・・・お母さんの家を守れて・・・本当によかった)」

女「(お母さん・・・お母さんは歴史を守る事に一生を振り絞ったけど)」
女「(私は・・・お母さんの歴史も・・・守っていきたいから・・・良いよね?)」

129: 2009/01/11(日) 01:22:26.87 ID:SSVKdie5O
ゴトン・・・ゴトトン・・・

男「・・・もっと速くは走れないのか!?」
「すみません、これ以上は馬鳥も足を痛めてしまいますので・・・」
男「ふざけるな!僕は急用があってこの馬車を手配したんだぞ!脚を折ってでも急がせろ!」
「は、はい!」

ゴトトン・・・ゴトトン・・・

男「(・・・くそ・・・こっちはこの後、海に掛かる橋を渡らなければならないというのに・・・やはり遠いか・・・)」
男「(イーストヘイムはまだまだ南だ・・・早くたどり着かないと・・・!)」
男「(・・・いや、待てよ・・・向こうは馬車で走るには多少辛いはずだ・・・少し進めば荒れ地・・・そこで時間を食うはずだ・・・)」
男「(なら・・・こちらが有利!絶対に!先に到着してやる!)」

ガタタンッ!

男「ッ!?いたた・・・な、何だ!?何故止まった!?」

130: 2009/01/11(日) 01:27:24.72 ID:SSVKdie5O
バタン

男「おいどういうことだ!何故急に止まった!?」
「申し訳ございません、この先は道が荒れていまして・・・」
男「道が荒れてるだと?ここは雪山はあれど春にならなければ道路は平坦な・・・!」


「・・・見ての通り、ここで土砂を含んだ大きな雪崩があったようで・・・」
男「・・・ッ・・!」
「馬車が巻き込まれて氏者も出たそうでして・・・通行止めにされています」
男「迂回の道は!?早くしろ!」
「はっ、はい!」

男「(くそ・・・雪崩だと・・?ふざけるな!巻き込まれる方もふざけるな!ノロマめ!くそっ!)」

185: 2009/01/11(日) 11:56:02.68 ID:SSVKdie5O
友「・・・」
女「・・・」

ヒュゥゥゥ・・・

友「さむっ・・・」
女「・・・?」
友「わわわわ・・・やっぱりスカートは駄目だったかな・・・風が・・・」
女「じゃあ・・・途中の町で買い物する?服を・・・」
友「あるかなぁ、白系のやつ」
女「さあ・・・ある・・・んじゃないかな・・」

友「冬は植木の管理は楽だけど・・・蔓系の始末が大変なのよー・・・あーさむいさむい」
女「・・・好きね、植物・・・」
友「ふふっ、私の唯一の楽しみだもの」

186: 2009/01/11(日) 12:04:54.37 ID:SSVKdie5O
女「・・・・友は」
友「ん?」
女「どうして・・・その、園芸の道に?」
友「んー」

友「・・・私の場合、そこまで深くは考えてなかったというか・・・」
女「?考えてない・・・?」

友「うん、お母さんやお父さんが園芸をやっていたわけでもないし・・・」
女「・・・?」
友「単純よ、植物が好きだから・・・今こうして花屋をやっているの」
女「・・・なるほど」
友「私の場合は女みたいなエピソードが無いわねぇ・・・都心の学校に行って専門の勉強して、そのまま花屋を・・・」

女「・・・その方が・・・すごいと思う」
友「?」
女「なんでもない・・・」

女「(あ・・・村が見えてきた)」

188: 2009/01/11(日) 12:12:17.74 ID:SSVKdie5O
友「わー・・・すごいすごい、田舎の村って感じがする!」
女「この道は貿易のための道じゃないから・・・その側にあるここの村はほぼ自給自足・・・かな」
友「なるほどー・・・」

友「ねえ、今何時くらいかな?時計ある?」
女「ガサゴソ・・・・3時・・・くらい」
友「うわー、結構歩いたわね・・・それじゃあ今晩はここに泊まりましょ!」
女「(・・・友も元気が衰えないな・・・)」

友「・・・あら?これって・・・イチョウの木!?」
女「?」
友「す、すごい・・・まさか本物に出会えるなんて・・・学校でも葉しか置いて無かったのに・・・(ブツブツ」
女「(・・・本当、元気ね・・・)」

189: 2009/01/11(日) 12:20:14.05 ID:SSVKdie5O
女「(・・・あまり、大きい村ではない・・・ここは商人の道でもないから、余所者を歓迎してくれる施設があるかどうか・・・)」

女「えっと、宿屋・・・宿屋・・・」
女「・・・宿屋・・・は・・・無さそうね、集落しかない・・・」

友「女っ、女ぁ~」
女「・・・どうしたの?」
友「これ見てよ!ほら、珍しい木の実!」
女「木の実・・・臭い」
友「えっへっへ・・・でもこれね、すごく珍しい物なんだよ?多分ここの地方にしかない樹木でね・・・」
女「・・・それ臭い」

190: 2009/01/11(日) 12:25:44.62 ID:SSVKdie5O
友「・・・え?宿が無い・・?」
女「・・・うん」
友「え・・・じゃあ野宿なの?」
女「・・・するかもしれないけど、何故嬉しそうなの」
友「へっ?べ、別にそんなこと無いわよ?」
女「(こんな状況でも楽しめるのか・・・)」

友「・・・野宿かぁ・・・大丈夫かな?盗賊とかが襲ってきたらどうしよう・・・」
女「平気、この近辺は人が通らないから・・・盗賊も出ない」
友「あ、なら良かったぁ」

女「(・・・いや、でもさすがに野宿は・・・この寒空では良くない・・・)」
女「(なんとかして民家を借りないと・・・)」

192: 2009/01/11(日) 12:40:23.27 ID:SSVKdie5O
ゴトン・・・ゴトトン・・・

従者「・・・男様」
男「なんだ?」
従者「何故、そこまで急ぐのです?かの地はそれほど重要なのですか?」
男「ああそうとも」
従者「・・・叔父様の手紙を無下にしても、ですか?」
男「・・・」

男「僕が今向かっている遺跡にはな、従者・・・財宝が眠っているんだ」
従者「財宝・・・」

男「黄金の石盤だ・・・普通の石盤ならば、歴史の価値を見る目が無い民衆にはどうでもいい物だろうが・・・」
従者「黄金の石盤、ですか・・」
男「そうだ、黄金と付けば何であれ、民衆の間では恰好の話の種となるだろう」
従者「・・・なるほど、つまり男様がそれを見つければ・・・」
男「ククク・・・そうだ、石盤の内容がどんなに陳腐だろうと、それだけで偉大な発見となる」

男「(公に、僕は最高の史学者となるわけだ・・・あの女の上に立ってな・・!)」

194: 2009/01/11(日) 12:49:52.66 ID:SSVKdie5O
従者「しかし」
男「?」
従者「何故石盤を黄金で作るのでしょうか?コストもかかるでしょうに」
男「それにはいくつかの理由がある」
従者「理由ですか」

男「まず錆びない、劣化しない事だ・・・物理的な記憶媒体としてはどの物質よりも保つだろう」
従者「なるほど」
男「また、王族の副葬品として金が使われる場合は永遠の象徴といった意味がある」
従者「ふむ・・・」

男「・・・ま、何よりの理由は劣化しないという事だろうな・・・墓荒らしに遭いやすいという欠点があるが」
従者「鉄などでは駄目なのでしょうか?古代には錆びない鉄があったと聞きます」
男「純粋な鉄は錆びるから無理だ、錆びない鉄は・・・そんなものが存在しているなら、今の時代にも残っているだろ?」
従者「あ、なるほど」

196: 2009/01/11(日) 12:57:25.04 ID:SSVKdie5O
男「古代には黄金で作られた棺や仮面もあったそうだ」
従者「・・・それは豪華ですね」
男「カメンと呼ばれる王の・・・いや、今はどうでもいい」

男「・・・とにかく、黄金だ、黄金で出来た物ならば年季があり・・・それ故の話題性もある」
男「僕はそれを掘り出しに行く」
従者「素晴らしい事です」

従者「ですが・・・その遺跡には既に、何者かが向かっているとおっしゃっていましたが・・?」
男「だから急いでいるんだ、奴に遅れる事はあってはならない」
従者「・・・なるほど」

男「・・・・遅れるなんてあってはならない・・・」

198: 2009/01/11(日) 13:07:06.28 ID:SSVKdie5O
女「・・・クルミ・・?」
友「すぐそこにあったのよ~、食べましょ食べましょ!」

女「・・・・」
女「・・・・・ふんっ・・・」

女「・・・硬いけど」
友「ノミで割ると良いわよー」
女「(早くそれを出して欲しかったな・・・)」

パキョ

友「いやぁ・・・倉庫小屋を貸してくれるなんて、本当に優しいわねぇ、ここらの人って」
女「(私は・・・屈託の無い笑顔で交渉できる友に感心する・・・)」

女「・・・あ、美味しい」
友「でしょ?栄養たっぷりなのよー」

200: 2009/01/11(日) 13:20:12.94 ID:SSVKdie5O
友「・・・・・(スヤスヤ」

女「(・・・疲れて寝ちゃったか・・・)」
女「(今日は沢山歩いたから・・・仕方ないか)」
パラッ

女「(・・・石灯ランプ・・やっぱり持ってきて良かった・・・夜でも本が読める)」
パラッ

女「(・・・本はある程度覚えてるから置いてきたけど・・・店、大丈夫かな・・・いえ、治安はいいから大丈夫・・・きっと)」
パラッ

女「(・・・黄金の石盤・・・黄金、それほどの大金をはたいてでも伝えたかった思い・・・)」
女「(その思いを、私が最初に受け取っても・・・いいの・・・かな・・・?)」
女「(・・・いえ、きっと・・・きっと、大丈夫)」
女「(遺跡が荒らされてないといいな・・・綺麗なままの遺跡を、友と・・・一緒に・・・)」

女「(・・・スヤスヤ・・・)」

202: 2009/01/11(日) 13:30:34.28 ID:SSVKdie5O
ゴトン・・・ゴトトン・・・

男「・・・・(パチッ」

男「・・・く・・・んんーっ・・・朝か」
従者「おはようございます、男様」
男「ああ」

男「・・・霧がすごいな、ここは?」
従者「国境の橋です、もうすぐで目的の国に到着するかと」
男「・・・そうか」

従者「・・・しかし、男様」
男「なんだ?」
従者「技術を持った調査隊を連れずに・・・よろしかったのですか?私だけで」
男「ふん、遺跡から黄金を引っこ抜くだけの作業・・・僕一人で充分だ・・・力仕事はお前に任せるがね」
従者「力仕事とは申しますが、私に知識は・・・」
男「必要なら僕が指示を出す、心配はいらない」
従者「・・・」

男「何より、期待しているぞ?邪魔者の排除にはお前の力が必要なんだ」
従者「・・・ふふふ、はい、わかってますとも」

206: 2009/01/11(日) 13:38:18.21 ID:SSVKdie5O
友「よーし、いざ出発!」
女「・・・ええ」

てくてく てくてく

友「・・・シャワー浴びたい」
女「・・・そうね」
友「無いかな?水場・・・できればぬるい水場」
女「・・・もうそろそろ歩いて行けば、大河の支流にぶつかると思うけど・・・」
友「かーゆーいー」

女「・・・・あ」
友「?」
女「(・・・イーストヘイム・・・いえ、合ってる・・・けど)」
友「どうしたの?」
女「(・・・この先を歩いていってもそのまま国境を超えて・・・小さな村、町、そしてレコル・・・メイン・・・)」
友「? ?」
女「やっぱり・・・遺跡はズレてる・・・」

262: 2009/01/11(日) 17:46:34.04 ID:SSVKdie5O
ゴトン・・・ゴトトン・・・

男「いや・・・待てよ」
従者「? どうされました?」
男「・・・おい、本はどこにある?」
従者「本?ああ・・・はい、ここに」

男「・・・・(パラパラ」

男「・・・従者、この国の土地について詳しいか?」
従者「鉄のですか?・・・そうですね、鉄鋼の加工に優れた国・・・でしょうか」
男「では千年前はどうだ?」
従者「千年前?・・・うーん、不毛な戦争が続いてた時代ですからね・・・やはりその頃から鉄鋼産業には恵まれていたのではないかと・・」
男「・・・概ねその通りだな」

男「では、5000年前はわかるか?」
従者「ご・・・5000年ですか・・・?」

263: 2009/01/11(日) 17:57:19.45 ID:SSVKdie5O
男「今は数暦2605年、およそ数暦を2倍ほど溯る」
従者「・・・私には想像ができません」
男「・・・紀元前の戦争は、千年前の戦争よりも遥かに激しいものだった・・・ということは?」
従者「ああ、それは耳にしたことがありますね」

男「・・・当時は特殊な火薬が存在していたらしくてな、ある文献には“争いで地図が変わってしまう”とまで書かれている」
従者「火薬・・・爆発で地形が変わると?そんな事があるのですか」
男「あったらしい・・・僕は現物を見たわけでは無いがね」

男「・・・とにかく、当時の戦争はあまりに激しくてね、山が消えたり山が出来たり」
男「文献には地理学者の苦労が綴られているほどなんだが」
従者「はあ」
男「・・・僕が何を言いたいかというとだ」

男「この本に書かれている山と、現在の山は違っているのさ」

264: 2009/01/11(日) 18:08:39.91 ID:SSVKdie5O
男「おい!イーストヘイムの真後ろの山を迂回できるか!?」
「はっ・・・はい?」
男「できるかと聞いているんだ!」
「で・・・できますが・・・しかし」
男「はっきりしろ!」
「できます・・・!」
男「もっと急げよ!いいな!?」

バタン

男「・・・愚図め」
従者「随分と焦っているように見えますが」
男「僕も焦る時は焦る」
従者「何故です?男様は遺跡がどこにあるか解ったのでしょう?」
男「ああ、山の町側ではなく反対側にあるということはな」
従者「それに気付けたということは、明らかにこちらが有利なのでは?相手は道に迷いましょう」
男「あの女はもう、とっくに気付いてるはずだ」
従者「・・・・はぁ、そうなのですか?」

従者「しかし向こうは、男様が遺跡に向かっていることに気付いてはいないでしょう」
男「・・・」
従者「本もこちらにあります、馬車も・・・やはり有利なのは・・・」

男「バカめ!」

265: 2009/01/11(日) 18:16:32.21 ID:SSVKdie5O
男「・・・・まだ遺跡の場所を完全に掴んだわけではない」
従者「・・・」
男「悔しいが、奴は僕より遥かに優秀だ・・・翻訳も、調査も・・・」

男「奴が本を置いていったのは本を傷付けたくないからだ」
男「・・・そして、既に本の内容が頭の中に入っているからだ」

男「あの女がどこでこの本を手に入れたのかは知らないが・・・僕がこの本の意図に気付いたのと同じように、奴も気付いたはずだ」
男「僕にはわかる・・・あの女は、既に遺跡へ向かっている・・・」

男「最悪、既に遺跡の正確な位置までも掴んでいるかもしれない」
従者「・・・そこまで・・・」

男「(・・・早く山へ行かなければ・・・女に先を越される・・・!)」
男「(いや、先に見つけるのはこの僕だ!邪魔はさせない!僕が先に遺跡を見つけてやる!)」

266: 2009/01/11(日) 18:23:13.33 ID:SSVKdie5O
友「段々山道になってきたねー」
女「・・・うん」

女「・・・やっぱり、こっちの道を通ろう」
友「へ?」
女「こっちの方が近いから・・・」
友「えー、でもなんだか・・・道が細いよ?」
女「大丈夫、近道だと思うから」
友「(思うからって・・・曖昧だなー・・・)」

女「・・・風景を見ながら歩いた方が良いしね」
友「んー、まぁそうね」

友「よし、張り切っていこう!」
女「ええ」

女「(・・・地理は多分・・・本にあったのと今のは違うから・・・)」
女「(地殻が一気にずれた・・・か、山が動いたか・・・うん、多分そう)」

女「(火山活動の影響・・・戦争かも、戦争・・・故意に火山を爆発させた・・・とか)」
女「(・・・だとすると遺跡の位置は・・・)」

女「(・・・わかった)」

268: 2009/01/11(日) 18:29:20.25 ID:SSVKdie5O
友「うわー、まるで密林ねぇ」
女「・・・そうね」
友「しかし珍しい木よこれ・・・こんなに沢山あるなんて」
女「なんていう木・・・?」
友「あ、触っちゃダメ!」
女「!?」
友「・・・触ったらすごいことになるから、やめた方がいいよ」
女「そ・・・そうなの?」
友「うん」

友「・・・あ、でも」
女「?」

友「記念に樹液を採集しよーっと、虫除けカビよけになるしねー(ガリガリ」
女「・・・?」

友「タッパーにつめるからちょっと待っててねー(ガリガリ」
女「・・・うん・・・いいけど」

女「(のどかな・・・山だなぁ)」

トン・・・ゴトン・・トト・・

女「(・・・?)」

269: 2009/01/11(日) 18:36:16.37 ID:SSVKdie5O
女「(・・・馬車の音・・・これは・・・商人?違う、商人はこの近くの道を通らないはず・・・)」
女「(・・・まさか)」

女「友」
友「え?何?」
女「・・・もうすこしで着く」
友「嘘!?本当に!?」
女「ええ」
友「何よー、早く言ってよね!さささ、行こう!行こう!」

女「(・・・何故この近くを馬車が・・?)」
女「(もしかしたら・・・いや・・いや、でも有り得る・・・)」

女「・・・日が暮れないうちに急ごう」

270: 2009/01/11(日) 18:47:32.25 ID:SSVKdie5O
男「降ろせ!」

キキィッ・・・・

男「ご苦労、金はちゃんと払う」
「ははっ、ありがとうございます・・・」

従者「・・・山、ですね」
男「ああ、未だに人が滅多に踏み入らない、未開の土地だがな」
従者「?・・・何故です?未だに未開の土地なんてあるのですか?」
男「未開の地なんて沢山あるさ」

男「・・・この山はどうも、呪われてるだとかそういう噂が絶えないようでな」
従者「呪い・・・」

男「入ると皮膚が酷く荒れ、とてもではないが開拓もできないのだそうだ」
従者「う・・・皮膚が荒れる・・・のですか?」
男「山の地質、植物、何に原因しているのか・・・詳しい事は知らないがな」
従者「・・・」

男「・・・恐らくはこの山の、この植物に原因があるのだろう・・・これにさえ気をつければ大丈夫だ」
従者「本当ですか?」
男「ああ」

男「(・・・やはり、こいつ一人ではまずかったかもしれないな・・・)」

272: 2009/01/11(日) 19:00:24.65 ID:kEuMUre10
友「ま、待ってよ!そんなに急がなくても・・・!」
女「・・・ご、ごめん・・・はっ・・はっ・・!」

ザザッ

女「(・・・もしも“あの男”が来ているなら・・・危険ね・・・)」
女「(各地の遺跡や遺産を手荒に扱う・・・名誉のためならどんな手も使う・・・)」

女「(もしも、もしもあいつがいたら・・・もしもあいつに先を越されたら・・・!)」
女「(遺跡を壊される・・・かもしれない・・・!)」

友「どうしたの?女?」
女「・・・あ、友」

女「・・・もしかしたら私達のように・・・遺跡を探してる人がいるかもしれない・・んだけど・・・」
友「えっ?どうして?」
女「わからない・・・多分、店に置いておいた本を誰かに読まれ・・・!」

女「(しまった・・・!納期の時、机の上に出しっぱなしだった・・・!)」

女「・・とにかく、先を越されるかも・・・」
友「えぇー」

273: 2009/01/11(日) 19:05:53.72 ID:kEuMUre10
友「・・・じゃあ、急ぐしかないでしょ」
女「・・・・大丈夫?」
友「何が?」
女「何がって・・・脚・・・とか」
友「ぜんぜん、私は女ほど軟弱じゃないわよー」
女「(・・・そうよね、でも・・・)」

女「(・・・ちょっと、危ない・・・かも・・・しれないんだけど・・・)」

友「ささ、気にせず進みましょ?遺跡探しするんでしょ?」
女「・・・う、うん・・・」
友「なぁに暗い顔してんのよ!早く道案内してってば!」
女「・・・ええ、わかった・・・」

女「(・・・そうよね、私のすることは変わらない・・・)」
女「(友と一緒に・・・遺跡を見る・・・それだけだもの)」

女「(男の事なんて関係ない・・・いてもいなくても関係ない)」
女「(・・・私が遺跡を見つけて、友が喜んで・・・その隣で、私も・・・)」

275: 2009/01/11(日) 19:09:52.41 ID:kEuMUre10
従者「・・・山道ですね・・・本当に、遺跡があるんですか?ここに」
男「さあな、だが、この山ならあり得るかもしれん」
従者「・・・この木に触れてはいけないって・・・難しい気もするんですが」
男「フン、知るか・・・お前のその肌が荒れるだけだ」
従者「・・・!」

男「・・・お、どうやら・・・」
従者「?」
男「・・・・ククク、面白い・・・」

男「従者、準備はいいか・・・?いつでもやれるようにしておけ、もしかすると、遺跡は近いかも知れんぞ」
従者「・・・本当ですか?」

276: 2009/01/11(日) 19:15:33.07 ID:kEuMUre10
女「(・・・ここに岩、小川の跡・・・?だとすると・・・)」

女「もう少し、左に曲がろう」
友「え?うん・・・」

女「(・・・山の近くに遺跡を作るんだから・・・それなりに強固な作りにしているはず・・・)」
女「(なら、この山の丈夫なところを探して・・・辿っていけば・・・)」

友「・・・あれ?山道が開けてきた・・・?」
女「・・・・もっと進もう、多分、ここを行けば・・・」


友「・・・」
女「・・・」

友「・・・ここ、山の中・・・よね?」
女「・・・ええ・・・」
友「・・すごい、こんな・・・わぁ・・・これって・・・」
女「・・・岩石地帯・・・が、熔かした金属で塗り固められて・・・強固にされてる」
友「地面が、すごい・・・堅いね、ここ」
女「・・・ええ、守りたいものがあるんだもの」
友「守りたいもの・・・?」

女「・・・入り口、とか・・・」

280: 2009/01/11(日) 19:22:21.56 ID:kEuMUre10
女「(・・・ここ一帯だけ、岩や土ではなく金属・・・)」
女「(色合いは土に近い・・・けど、これほど強固な土は無い・・・)」
女「(強く踏んでも沈まない・・・し、返らない)」
女「(触るまでも無い・・・これは、自然が作り出したものじゃない、人が作った地面・・・!)」

友「わ、すごいすごい!見て!この木、木じゃない!」
女「木じゃない・・・?」
友「蹴ってもホラ、ゴツゴツって、鉄よこれ!(ゴンゴン」

女「(金属の木・・?カムフラージュ・・・?)」
女「(・・・周囲の景色は・・・少しだけ、色が変わっただけのようにも見えるけど・・・)」

女「(・・・もしかしてここ一帯は・・・全部・・金属製?)」


女「・・・友」
友「あはは、ここ面白・・・え、呼んだ?」
女「(楽しんでる・・・)・・・ここは、もう既に遺跡・・・かもしれない」
友「え、それホント!?でも周りの景色は山だなんだけど・・・」

女「・・・探せば、入り口があると思う」
友「入り口・・・?」
女「ええ、入り口・・・多分・・・きっと」

282: 2009/01/11(日) 19:27:14.11 ID:kEuMUre10
女「(・・・すごい、こんな遺跡は珍しい・・・)」
女「(周囲の景色と全く同じものを、人工物で再現するなんて・・・それも、広範囲に・・・)」

女「(・・・でも、可笑しい・・・どうして数千年も昔の景色が、今も残っているの・・・?)」
女「(この山の木が数千年も続くって・・・予想できたの?)」

女「(可笑しい・・・この山が戦争で一度も傷つかなかったはずはない・・・必ず一度は砕け散っているはず)」
女「(だから、こんな人工物が残るなんてことは・・・絶対に・・・)」



男「やあ、久しぶりだな女」
女「!!」

284: 2009/01/11(日) 19:32:48.62 ID:kEuMUre10
男「・・・クク、懐かしいな、旧友の顔が見れて嬉しいよ」
女「・・・お前・・・」
友「(・・・女、誰?この人・・・)」
女「(こいつは・・・)」

男「残念ながら遺跡は既に残っていない・・・歴史に刻まれる事無く、跡形もなく荒らされてしまったようだ」
女「・・・どういうこと?」
男「この金属でできた風景、どう思う?」
女「質問を質問で返さないで」
男「先に質問に答える立場は、どっちかな?」

女「・・・本を、見たな・・・」
男「本?クク・・・なんの事やら」
女「私の家に勝手に踏み入るな・・・!」
男「勝手に?納期を無視して勝手に旅行する奴には言われたくないな?」
女「本を返して」
男「ははは、そんなものは知らないな」
女「・・・最低」
男「ククク・・・」

286: 2009/01/11(日) 19:42:21.39 ID:kEuMUre10
男「・・・ここには元々遺跡があった、千年と数百年少しくらい前まではね」
男「そうだな、お前の言う本・・・それが記されたのが当時だな・・・いや、本は知らないがね?クク・・」

男「お前はおそらく、その書を“宝の地図”だと思っていたのだろう?」
女「・・・・白々しい、自分でも読んだくせに・・・」
男「ククク・・・」

男「本には様々な著名な遺跡の中に一つ、全く人に知られていない遺跡の名前があった・・・それがここだ」
女「・・・まさか、その本が書かれた当時は・・・その遺跡が著名だった、だからその本は宝の地図じゃない・・・なんて言うんじゃないでしょうね」
男「ククク・・・」
女「・・・」
男「・・この風景を見れば分かるだろう?遺跡を埋め立てた跡だ」
女「・・・」
男「僕の推理ではね、女・・・ここはもう千年の昔に荒らされてしまったんだよ」
女「・・・」
男「諦めろ、いくら君が諦めの悪い、努力家だとしてもな・・残っていないものは残っていないんだ」
女「・・・そんな」
男「僕は遺跡を横取りしてやろうと思ったんだがね・・・どうやら、もうその必要もなくなったらしい」
女「・・・」
男「・・・・僕は先に帰らせてもらうよ」ザッザッザ・・・

女「(・・・遺跡が・・・無い・・・だなんて・・・そんな・・・ここまできたのに・・・!)」


友「・・・ねえ、あなた、さっきから何を言ってるの?」
男「(・・・!)」

288: 2009/01/11(日) 19:50:31.95 ID:kEuMUre10
女「・・・友、帰ろう・・・ここには・・・もう・・・」
友「何で・・・?」
女「もう、無いの・・・ごめんね・・・ごめん・・・」

女「一緒に見たかったけど・・・ごめんなさい・・・」
女「黄金・・・もう、無いって・・・遺跡も・・・」

友「え?でも・・・」
男「(・・・!)さ、さあ早く帰ろう・・・!僕も君たちへの同情を禁じえない、馬車を出しておいてやる!」
友「え?いらないわよそんなの・・・だって、まだ遺跡まで辿りついてないし・・・もう近くにあるみたいだし」
男「(!!)」

女「え・・・?今、友・・?」
友「ここを埋め立て・・・とか、変なことを言ってたけど・・・違うわよ、そんなの」
女「え?」
男「(クソが・・・!)」

友「化石化積層炭素っていう土があるのよ」

289: 2009/01/11(日) 19:51:59.88 ID:kEuMUre10
※この物語はフィクションです
 登場する人物名、団体名、地名、現象名、全てにおいてフィクションです
 それっぽい名詞をググっても間違いなく出ないです

294: 2009/01/11(日) 20:02:57.35 ID:SSVKdie5O
女「化石・・・?何・・・?」
友「あれ?知らないの?・・・おっかしいなぁ、化石ってそういうもんだと思ってたんだけど」
女「・・・何なの、それ」

友「えっとね、特殊な植物から出る化学物質と、えっと、まぁそういう特殊な土が混ざってね?」
友「要するに地面の土が細かい炭素の粒になって植物の根から吸収されたりする現象なんだけど・・・」
男「(言うな!それ以上言うな!)」
友「本当に珍しい土だから私でもあまり見たことはないんだけどね、これらの土にマンゴーを植えたりすると・・・」
ゴツッ、ゴツッ

友「こーんな感じに、導管から土の成分が入って・・・分解されずにこんなになっちゃうのよ」
女「・・・」
友「植物はある程度までは成長するんだけど、途中でこんな感じに固まって・・・成長をやめちゃう」
友「五年くらいしたら崩れてまた土に戻るのよ、で、それが土の養分がなくなるまで繰り返されて・・・」

女「・・・この土地は」
友「埋め立てじゃないわよ、樹液が流れて土と固まっただけ」

友「いやー、本当に珍しいのよこれ、私も初めて見たわ・・・」
女「・・・」

女「・・・男・・・」
男「・・クク・・・ククク・・・!」

306: 2009/01/11(日) 21:00:47.04 ID:SSVKdie5O
男「クク・・ク・・・はは・・なるほど素人の雑学ほど恐ろしいものはないな?ククク・・・」
友「(何よ素人って・・・コイツムカつくわね)」

女「・・・男・・・どういうこと」
男「ククク・・ヒヒ・・ヒッヒッヒ・・・!」
女「騙したな・・・!」

男「ハーハッハッハッ!・・・ふざけるなよ!?クソが!」
男「お前はおとなしく僕の口車に乗って、とっとと帰れば良かったんだよ!愚図め!」
女「姑息・・・!変わらない!お前は昔からそうよ・・!」
男「姑息!?どっちが!?所詮お前なんか母の二番煎じ!その出涸しにすぎない!出涸しのくせにいつまでもお前は銘茶だ!名家の名を冠している!実力も無いくせに!本当ならあの時、僕が教授に選ばれていたんだよ!」
女「いつまでそうしてひねくれるつもり!?だから貴方はいつまでも歴史を愛せない!認められないのよ!」
男「黙れ女狐!偽善者!お前のそのかしこまった声を聞く度に虫酸が走る!」

男「従者っ!」
従者「はっ」
男「こいつらを見張れ!一歩も動かすなよ!」
女「!」

310: 2009/01/11(日) 21:11:31.65 ID:SSVKdie5O
女「男ッ・・・!ついに心まで腐ったか・・・!」
従者「そこまで(チャキッ」

女「!」
友「!?」

従者「剣、見ればわかるでしょう?動いたら、わかりますね?」
女「・・・許されるとでも・・!」
男「ヒヒヒ・・・ククッ・・・許す許さないなど関係あるもんか!」

男「この山には誰も来ない・・・わかるだろう?」
友「・・・」
男「クク・・・!せいぜい、旅を急ぎすぎた事を呪うといいさ・・・!」
女「!・・・男、お前・・・!」
男「はははは!安心しろ、僕は血を流すのは好きじゃない!滅多なことがなければな!?」

女「待て・・・!」
従者「・・・(チャキ」

女「・・・く」

313: 2009/01/11(日) 21:19:24.38 ID:SSVKdie5O
男「ふん、既に入り口の場所はわかってる・・・遺跡はあるさ、安心しろよ・・・」
女「あるとわかっていたのね・・・!」
男「当然さ!どうにか諦めさせて返さないと、お前は必ず遺跡を見つけ出すだろうからな!」
女「最低・・・卑怯者!」
男「ははは!何とでも言えよ!第一発見者は僕だ!」
女「・・・くぅ・・・!」

男「・・・では従者、僕は遺跡を探索する・・・何かあったらそいつらは頃して良いぞ」
女「!?」
従者「大丈夫ですか?お一人では危険でしょう・・・」
男「ククク・・・その時は、その女を使えばいいだろう?」
女「誰がお前なんかに・・・!」
男「ヒヒヒ・・・寿命が縮むぞ?その、お隣りさんのな?」
友「!」

314: 2009/01/11(日) 21:29:15.25 ID:SSVKdie5O
女「お前・・・友に手を出したら・・・!」
男「どうするね?」
女「・・・頃してやる・・・!」
男「ははははは!楽しみだよ、待ってる!それでは、人類の遺産を見に行くとしよう!はははは!」
ザッザッザッザッザッザッ・・・

女「・・・・く・・・」
友「・・・女・・・」

女「(歴史も・・・友達も・・!守れないなんて・・・!)」
女「(悔しい・・・!男め・・・なんて嫉妬深い・・・なんて女々しい男なの・・・!)」
友「女・・・そんな、大丈夫よ・・・」
女「(母さん・・・!ごめんなさい・・・私、店も・・・研究も継げない・・・!)」
友「女っ!」
女「!!」
友「・・・手・・・あまり強く握ると・・・血が出るよ」
女「・・・」

318: 2009/01/11(日) 21:35:14.52 ID:SSVKdie5O
従者「・・・」

友「・・・」
女「・・・」

女「(・・・こうしている間にも・・・男は遺跡を荒々しく探索している・・・)」
女「(壁を砕き、邪魔になる彫柱も倒して・・・)」
女「(許せない・・・!あんな奴が、どうして教授なの・・・!?)」

女「(・・・)」
女「(・・・私が・・・拒んだから・・・か)」

友「女」
女「・・・」
友「大丈夫よ、大丈夫」
女「・・・もう無理よ・・・遺跡は荒らされて・・・原形をとどめず・・・名声のためにこの山は開放されて、そして汚されるのよ・・・」
友「(私は命の心配をしたんだけどなぁ・・・ここまできて歴史とは・・・)」

友「(・・・・そんな女が好きだから、私もここにこうしているんだけどね)」

319: 2009/01/11(日) 21:42:47.74 ID:SSVKdie5O
従者「・・・私にも情けはあるが、お前達を逃がすつもりはない」
女「・・・」
友「・・・」
従者「怨むなら、男様に刃向かった自分を怨むんだな」
女「・・・あなたは、あの男の側にいて恥ずかしくないの?なんとも感じないの?」
従者「別に」

従者「それより、あまり男様の陰口は叩かない方がいい(チャキッ」
女「・・・」
従者「忠誠故に、私はこの刃を、主の命に背いても・・・お前らに向ける事もある」
女「・・・」

友「・・・女、女」
女「・・・」
友「これ食べる?前に拾った木の実・・・ハイ」
女「・・・・臭いよ、それ・・・」

従者「・・・」

321: 2009/01/11(日) 21:50:05.24 ID:SSVKdie5O
従者「・・・」

友「・・・じゃあ他に何か・・・あ、クルミ食べる?」
女「(・・・!)・・・ええ・・・そうね、最後になるなら・・・」
友「じゃあこれで・・・」
従者「待て!」
友「(うっ・・・!)」

従者「・・・そのノミには触れるな、触れた瞬間に・・・」
女「(・・・ダメか)」
友「(・・・)」

友「じゃあ何ならいいのよ?」
従者「凶器になり得ないもの」
友「・・・そ」

女「(・・・なんとか・・・なんとかしてあの見張りを出し抜かないと・・・)」
女「(何か策を練らないと・・・)」

友「乾パン食べる?」
女「・・・」
友「まぁまぁ食べなさいよ」
女「・・・うん」

322: 2009/01/11(日) 21:56:52.13 ID:SSVKdie5O
友「モグモグ・・・綺麗な肌ね、整った顔立ち」
従者「で?」
友「褒めたんじゃない、素直に喜びなさいよ」
従者「無駄口を叩くな」

女「・・・モグモグ」
女「(・・・友・・・あなた、まさか・・・諦めてない・・・よね)」

友「ほらほら、いいでしょシリアル~」
従者「・・・」
友「あげないよーだ(モグモグ」
女「(これは苛立つ・・・)」

友「・・・さて」カパッ
女「(・・・?そのタッパーは・・・)」
スッ

従者「・・・?何をしている、動くな、座れ(・・・タッパー?)」
友「そっちこそ、動いたらこれを投げ付けるわ」
従者「・・・ふふっ・・・なんだそれは?マグマでも入っているのか?」
友「ウルシ、と言えばわかってくれるかしら」
女「(ウルシ・・・?そうか・・・!)」

323: 2009/01/11(日) 22:03:00.69 ID:SSVKdie5O
友「どいて、動かないで、私は・・・本当はこんな事をしたくないの」
従者「・・・」
女「・・・」
友「本気よ?今すぐでも、私は投げられる」
従者「・・・それはなんだ」
友「どいてよ!」
従者「それはなんだ!?」

友「・・・あなたみたいな・・・綺麗な顔立ちの女の子には・・・あまりに残酷なものよ」
従者「!!」
ザザッ

女「(・・・退いた・・・・)」

友「・・・この山で取った、ウルシの樹液よ・・・ウルシの樹液は皮膚に触れると激しいアレルギーを起こすの」
従者「・・・!」
友「最初は赤くなる・・・次に水膨れ・・・最後には黒いかさぶたに・・・」
従者「や・・・やめろ!」
友「ウルシカブレの痕は一生残るわ!もしこの液が顔にかかれば・・・!」
従者「や・・・やめて!嫌っ・・・!」

女「・・・」

324: 2009/01/11(日) 22:08:57.12 ID:SSVKdie5O
従者「・・・」

女「剣は・・・しばらく預かるわ」
友「(まだ震えてる・・・よほど嫌だったのね、ウルシをかけられるのが・・・)」

女「・・・!これは・・・リリの職人の・・・!」
友「普通この状況で鑑定する?」
女「・・・あ・・・ごめん」
友「・・・もう」

友「ささ、とにかく、早く遺跡を探しましょ!」
女「あ・・・ええ、そうね・・・」

女「・・・歴史の遺産・・・守らないと・・・!」
友「うん、黄金見つけるわよ、黄金!」

326: 2009/01/11(日) 22:18:18.25 ID:SSVKdie5O
女「・・・もし」
友「ん?」
女「・・・あの従者が男だったら」
友「うーん・・・」

友「・・・それでも私は、投げようとしたかな・・・」
女「・・・」
友「おどけてたけどさ・・・すごく怖かったのよ?本当に」
女「・・・」
友「もしこれを投げて駄目だったらどうしようかなって・・・すごく怖かった」
女「・・・友は・・・強いよ」
友「・・・そんなんじゃないよ、私なんて」

友「いや、でもイチョウやらウルシやら・・・似た種類は近くに多くいるものなのねぇ」
女「・・・どうして、あれを・・・ウルシの樹液を取ったの?」
友「趣味よ」
女「趣味・・・?」
友「いや・・・その、ウルシって何だか良いじゃない?」
女「・・・私にはわからない・・・毒液なのに・・・」
友「違うのー、風情があるのよっ、ウルシにはっ」
女「・・・うーん」

329: 2009/01/11(日) 22:27:43.16 ID:SSVKdie5O
女「・・・ところで、友・・・あの、捕まる前に・・・遺跡が近くにあるって言ってたけど」
友「ああ、大丈夫、もうすぐよ」
女「?・・・とりあえず山を登ってるけど・・・本当にこっちなの?」
友「ええ、上の方にあるはずよ」

ザッザッザッザッ・・・

女「・・・!」
友「ね?」
女「・・・あった・・・遺跡・・・どうしてわかったの?」
友「化石化積層炭素は、特殊な成分の岩が溶けたりして流れ出る希少な成分でね」
友「雨水に解けて、土に染みて・・・土が成分を吸収して・・・」

女「・・・そうか、遺跡の岩がその成分を含んでいたから・・・」
友「水の流れに乗って、山が化石化したのかな・・・って」
女「・・・」
友「あはは、でも本当に長い時間をかけなきゃできないから・・・滅多に見られないわよ」
女「・・・やっぱり」
友「・・・?」
女「友は・・・すごい」

330: 2009/01/11(日) 22:32:39.06 ID:SSVKdie5O
女「・・・入ろう」
友「う・・・入り口だけ見ると・・・ちょっと怖いわね・・・」
女「もう既に男は入ってる・・・早く、中を守らないと・・・歴史を・・!」
友「(おー・・・女が燃えている・・・珍しい)」

友「・・・あ、石灯はいらないの?」
女「あいつに感付かれるから使いたくないけど・・・仕方ないか」

ポッ・・・

友「・・・わぁ・・・明るくなった・・・わ、意外に天井が高い・・・」
女「・・・早く行こう」

344: 2009/01/11(日) 23:08:07.66 ID:SSVKdie5O
男「・・・壁に字が・・・・」

男「・・・す・・・歴?いや・・これは数暦では・・」
男「始まり・・・数暦・・・違うな、暦・・・」

男「・・・西・・・暦・・・?」


「動くな」
男「!!」
「・・・お前の延髄の一歩手前には刃がある」
男「・・・おやおや、女か・・・びっくりしたよ、遺跡の亡霊でも出たのかとヒヤヒヤした」
女「無駄口を叩くな」
男「・・・言うね、それで有利になったつもりか?」
女「黙れ」
男「・・・ふん」

346: 2009/01/11(日) 23:16:02.16 ID:SSVKdie5O
女「・・・西洋暦・・・西洋?西・・・?」
男「お前はどう思う?この表記」
女「・・・通説では、数暦は二段階あり・・・ひとつが現代の数暦・・・もうひとつが・・・」
男「紀元前にあった数暦」

女「・・・西暦・・?西暦・・・」
男「最初の数暦が大体4000年ほど続き、今の数暦が2500年近く・・・と思われていた訳だ」
女「・・・」

女「・・・西洋・・・暦・・・約・・3020年・・・」
男「・・・お前、これを機械と読むか?神と読むか?」
女「・・・城」
男「ほう・・・そう読むか・・・」

347: 2009/01/11(日) 23:22:52.63 ID:SSVKdie5O
男「(今だ・・・!)」

ガッ

女「(! 剣を掴・・・!)」
男「油断したな!」
ゴツッ

男「!・・・く・・・ぅ・・・!」
友「あら、強く殴っちゃったかな・・・?」
男「・・・」ドサッ

女「・・・そんな大きな石で殴って・・・」
友「天罰ってことで、ね?」
女「・・・ありがとう、・・・ちょっと・・・すっきりした」
友「良いってことよ!」

351: 2009/01/11(日) 23:31:11.45 ID:SSVKdie5O
友「ここは・・・?部屋のように見えるけど・・・」
女「・・・さあ・・・」
友「わからない?」
女「・・・難しい」
友「女でも読めないの?」
女「いえ・・・」

女「(・・・読むのは簡単・・・問題は訳・・・)」
女「(全然わからない・・・意味不明な名詞ばかり・・・やはりここは古すぎる・・・)」

友「女・・・?」
女「・・・あ、ごめんね・・・」

女「・・・黄金、探そうか?」
友「うんうん!探そう!」

355: 2009/01/11(日) 23:40:24.01 ID:SSVKdie5O
友「・・・」
女「・・・」
友「・・す・・・ごい・・・」
女「・・・・黄金」
友「・・・本棚っていうより・・・黒板・・・?」
女「・・・・うん・・・大きい・・・ね」
友「・・・触っていい?」
女「・・・・うん」
友「わーい!」
女「あ、右側から触って、読むから」
友「・・・ごめん」

女「(・・・・その時、西洋暦が始まった・・・我らが神が氏に、我らが神が復活し・・・)」
女「(・・・神話?)」

女「(・・・クィ・・・キィ・・?トは言った・・・読めない)」
女「(光、あれ・・・だから?)」
女「(これは宗教の話・・・?私は西洋暦の始まりについてもっと詳しく知りたいのに・・・)」

356: 2009/01/11(日) 23:46:32.98 ID:SSVKdie5O
友「・・・あ」
女「?」
友「・・・ねぇ、どうしよう~・・・」
女「どうしたの・・・?」

友「こんなに大きい石盤・・・運べないよ・・・」

女「・・・」
女「・・・うふっ・・ふふふっ・・・」
友「え?え?」
女「友・・・もしかして・・・何十、何百キロもある金塊を・・・私達だけで運べると思ってたの・・?ふふっ・・・」
友「・・・・あ・・・」

友「あ・・・あははは!そっか、無理だ!あはは・・」
女「ふふ・・ふふふっ・・・」

358: 2009/01/11(日) 23:52:48.27 ID:SSVKdie5O
“世紀の発見、およそ5000年以上前の石盤”
“発見した19歳の少女二人は恥ずかしそうに取材に応じた”
“同伴した現史学教授の男にも授賞が決定”

男「・・・クソッ!なんだこの記事はっ!クソッ!」
従者「お、男様・・・叔父様から手紙が・・・」
男「うるさい黙れ!出ていけっ!」
従者「う・・・すみません・・・」
バタン

男「・・・女め・・・僕を生かし・・・しかも、同伴だと・・・?情けのつもりか・・・!?」
男「許せない・・・許せない!クソッ・・・次こそ僕が、僕だけが!新聞の一面を独占してやる!」


従者「・・・」
従者「・・・・頑張ってください・・・私はどこまでも、ついて行きます・・・」

361: 2009/01/11(日) 23:57:11.95 ID:SSVKdie5O
女「・・・・(サラサラ」
女「・・・」
女「・・・ふぅ・・・疲れた・・・」
女「(やっぱり不明な名詞が多すぎる・・・他にも多く・・・・もっと多くの資料が出なければ・・・)」

女「・・・・・ん~っ・・・」

女「・・・良い天気」


おわり

363: 2009/01/11(日) 23:58:32.04
>>1
楽しませてもらいました

364: 2009/01/11(日) 23:59:37.26
>>1
乙ゥゥゥ!

引用元: 女「・・・もう朝・・・」◆