2: 2014/10/27(月) 23:42:40.58 ID:nR1fdImYO
妹「んしょっ、と……それじゃ、行ってきまーす!」

母「うん、行ってらっしゃい。 気をつけてね」

妹「はーい!」

母「朝から元気ねぇ」

姉「そうだね」

母「あら、おはよう」

姉「うん、おはよ。 妹は朝練?」

母「そそ。 それより姉、昨日も遅くまで起きてたでしょ」

姉「……あー、やっぱりバレた?」

母「そりゃ分かるわよ……ドアから明かりが漏れてたし」

姉「でも、遅れてる分の授業を取り戻さなきゃいけないし」

母「……熱心なのは良いけど、体を大切にしなさいよ?」

姉「……うん、わかってる。 ごめんなさい」

母「ううん、謝ることじゃないの。 でも……」

姉「うん、大丈夫、もう分かってるから」

母「姉……」

姉「それじゃ、着替えてくるね」

母「……ええ、行ってらっしゃい」

3: 2014/10/27(月) 23:44:10.93 ID:nR1fdImYO
父「お、今日は学校行くのか?」

姉「うん、調子良いみたいだし」

父「気を付けてな」

姉「うん、ありがとう」

父「また倒れられたら、こっちも倒れてしまいそうだからな」

姉「そんなに心配しなくても大丈夫、多分今日は」

父「まあ、姉がそう言うなら、信じるとするか」ハハハ

姉「うん、それじゃあ行ってくるね」

父「行ってらっしゃい」

母「ちょっとあなた、車の鍵知らない?」

父「車の鍵?」

母「ええ、昨日そこの棚に置いたはずなんだけど……」

父「ああ、すまんすまん、最後に私が使ってからカバンに入れたままだ」ゴソゴソ

母「もうっ、ちゃんと戻しておいてっ!」

父「ははは、悪い悪い」チャリ

4: 2014/10/27(月) 23:45:15.48 ID:nR1fdImYO
私は心臓が弱い。

いつも車で学校への送り迎えがあるし、体育は見学してる。

病気がちという理由で、お母さんたちは私ばかりを構っていて、妹に申し訳ない気持ちでいっぱい。

でも、そのことで謝っても、

『気にしてないから大丈夫。 わたしの心配より、自分の心配をしなきゃだめだよ』

と言って、逆に心配される。

妹は、こんな私にいつも優しくしてくれる。

5: 2014/10/27(月) 23:48:50.49 ID:nR1fdImYO
母「はい、学校着いたわよ」

姉「うん、ありがとう」

母「気をつけて行くのよ?」

姉「分かってる。 じゃあ行ってくるね」ガチャ

母「行ってらっしゃい」


ブロロロロ


姉「ふう……」

友「あ、姉!」タタタ

姉「あ、友ちゃん、おはよう」

友「おはよー、もう大丈夫なの?」

姉「うん、調子は良いみたい」

友「そっか」

姉「ごめんね、なんか私、心配かけてばっかりだよね」

友「謝ることじゃないよ、ね?」

姉「……うん、ごめんね」

友「いいっていいって、ほら、教室行こ?」

姉「うん」

6: 2014/10/27(月) 23:50:06.96 ID:nR1fdImYO
──────────────




友「ん~~っ、やっと昼休みかぁ」

姉「お疲れ様」

友「ほんと疲れたよ~……」

姉「ほとんど寝てたのに?」

友「うるさいよっ! ほら、早くパン買うよ!」

姉「はいはい……うわ、今日は人多いね」

友「購買、朝やってなかったからねぇ」

姉「私が友ちゃんの分も買ってくるよ。 何がいい?」

友「クリームパンで!」チャリ

姉「ふふ、分かった」

友「お願いねー!」

「ん、あれ、友先輩?」

友「うん?」

妹「こんにちは」ペコ

友「あ、妹ちゃん、こんちわー」

7: 2014/10/27(月) 23:53:55.16 ID:nR1fdImYO
妹「今日は購買、人多いですね~」

友「妹ちゃんはもう買ったの?」

妹「ええ、なんとか」

友「希望のものは買えた?」

妹「残り一つでしたが、なんとか買えましたよ」

友「ふぅん、何買ったの?」

妹「これです」ガサガサ

友「これは…………これ……は……」

妹「クリームパンです」

姉「友ちゃん、友ちゃん、クリームパン売り切れだったよ!」

妹「え、お、お姉ちゃん!?」

姉「あ、妹」

友「orz」

8: 2014/10/27(月) 23:55:29.86 ID:nR1fdImYO
~屋上~

姉「売り切れてたから、これ、代わりに買ってきたんだけど」ガサガサ

友「……ジャムパン?」

姉「うん、マーマレードのやつ。 好きでしょ?」

友「ああぁぁありがとう心の友よおおぉぉ~~~っ」ギュウウゥゥ

姉「もう、大げさだよ」

妹「…………む」

友「ところで、今日はほんとに調子いいみたいだね」

姉「ん、信じてなかったの?」

友「信じろと言われましても……ねえ」

妹 コクコク

姉「む、むぅ、妹まで……」

9: 2014/10/27(月) 23:56:32.88 ID:nR1fdImYO
妹「お姉ちゃん、油断は大敵だよ」

姉「うん……でも、油断してなくても……」

友「本人の意思とは関係なしだもんね……はむはむ」

妹「……」

姉「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

妹「……大丈夫じゃないから、心配してるの」

姉「……うん、ごめんね」

友「あははっ、なんか夫婦みたいだよ、アンタたち」

姉妹「 「……っっ、げほっ、げほげほっ!」 」

姉「なっ、何言ってるの友ちゃんっ!」

妹「そうだそうだ!!」

友「え、えー……ご、ごめん、軽い冗談だったんだけど……」

10: 2014/10/27(月) 23:58:44.14 ID:nR1fdImYO
姉「まったく……」モグモグ

友「まあ、いい妹さんを持ったよ、姉は」

姉「……うん」

妹「えっ、ちょっ、ちょっとなんでそんな話になるんですか!?」

友「何より機転が効くのよ。 次期部長候補かな」

姉「部長直々に推薦かぁ」

友「私が三年になったら、後はヨロシク!」ポン

妹「えええ!?」

姉「うん、妹ならできるよ、頑張って」

妹「無理無理っ、絶対無理っ!!」

姉「どうして? 優しいし、気遣い上手。 部活でも活躍してるんでしょ?」

友「してるねぇ」

姉「ふふっ、もっと自分に自信を持って、ね?」ナデナデ

妹「あ、あぅぅ……///」

姉「んー……えいっ」ギュウッ

妹「ふわあぁっ!?///」

11: 2014/10/28(火) 00:01:44.69 ID:74asHmGoO
友「」ダラダラ

妹「おっ、お姉ちゃん、友先輩が鼻血噴いて倒れてるよっ」

姉「うわー……制服にかからなくて良かったね」フキフキ

妹「ねえ、この量ってやばそうだけど……大丈夫なのかな」フキフキ

姉「まあ、明らかに顔色悪いし、貧血だろうけど……」

友「はっ!?」パチッ

姉「大丈夫みたいだし」

妹「すごい血液の生成がはやいんだね、きっと……」

友「なんか今、とてもいい百合を見たような気がする!」

姉「ゆ、ゆり……?」

妹「さすがに屋上には生えてないと思いますが……」キョロキョロ

友「いやいやそっちの百合じゃないんだ」

姉「そっちのって……どっちの?」

友「ふふ……そうだな、百合の蕾は育てるに限るし……」ブツブツ

姉「友ちゃん……さっきの鼻血の勢いで、床に頭ぶつけちゃったんだね……」

妹「友先輩……」

12: 2014/10/28(火) 00:02:54.30 ID:74asHmGoO
キーンコーンカーンコーン

妹「あ」

姉「予鈴だね」

友「んーーーっ、よし、戻るかぁ」

姉「うん」

妹「お姉ちゃん、またおうちでね」

姉「うん」

友「また部活でね~」

妹「はーい」

13: 2014/10/28(火) 00:03:46.79 ID:74asHmGoO
───────────────




~帰り道~

妹友「最近、友先輩怠けてきてない?」

妹「わたしもそう思う」

妹友「なんか、妹に頼りっぱなしだよね~」

妹「ほんとにねぇ」

妹友「やっぱり次期部長は妹かな?」

妹「わたしには向いてないよ~」

妹友「そう? むしろ、妹以外に適役はいないと思うよ?」

妹「またまた……それじゃ、また明日ね」

妹友「うん、また明日~」

14: 2014/10/28(火) 00:04:52.92 ID:74asHmGoO
妹「ただいまー!」

母「おかえり」

妹「お腹すいたー!」

母「はいはい、もう夕食できるから、姉呼んできて」

妹「はーい」

15: 2014/10/28(火) 00:05:52.06 ID:74asHmGoO
~姉の部屋前~

コンコン

妹「お姉ちゃん、ご飯だよ」

シーン……

妹「……あれ、お姉ちゃん?」コンコン

シーン……

妹「……?」カチャ

姉「……」

妹「あれ、勉強してた……?」

姉「……」

妹「へ? ちょっと、お姉ちゃん?」トテトテ

妹(……? 机に突っ伏して───?!)

妹「おっ、お姉ちゃん!? お姉ちゃん、大丈夫!?」ユサユサ

16: 2014/10/28(火) 00:07:44.18 ID:74asHmGoO
姉「……ん、んぅ…………ぁれ、いもぉと……おはよぉ……」クシクシ

妹「」

姉「んん……ありゃ、寝ちゃってたぁ……ふわあぁ……」

妹「…………お姉ちゃんの、ばかっ」ギュウッ

姉「んん……?」

妹「でも……良かったぁ……」

姉「……なんか、ごめんね」ナデナデ

妹「……ううん、わたしが早とちりしただけだから」

姉「……ありがとね、妹」

妹「え?」

姉「心配してくれて」

妹「……そんなの、当たり前でしょ」

姉「そうかな?」

妹「もうっ、そんなの誰でも心配するよっ」

17: 2014/10/28(火) 00:08:41.02 ID:74asHmGoO
~リビング~

母「それじゃ、食べて」

姉「うん、いただきます」

妹「いただきまーす!」

姉「はむ……うん、美味しいね」

母「ふふっ、ありがとう」

妹「んー」ムグムグ

母「姉、今日はどうだった?」

姉「調子良かったよ」

母「そう、ならいいんだけど」

18: 2014/10/28(火) 00:10:41.56 ID:74asHmGoO
~夕食後 姉の部屋~

姉「よし、明日の準備はおっけー、と」トントン

姉(明日は学校行けるかな……)キイ

姉(また倒れたりしたら……怖いなぁ)

姉(でも、学校には行きたいし……)

姉「はぁ……なんで、こんな体なのかな」

姉(ちゃんとした体で、生まれてきたかったなぁ……)

姉(妹みた、い、に…………)

19: 2014/10/28(火) 00:12:19.41 ID:74asHmGoO
~妹の部屋~

妹「えーっと、本、本……」ゴソゴソ

妹「……ん? この本は……」パラパラ

妹「……あっ、お姉ちゃんが貸してくれた本、返すの忘れてたっ!!」

妹「やばー……これだけかな、これだけだよね」ガサゴソ

妹「そうみたい……やばやば、お姉ちゃん、怒ってなければいいけど……」バタバタ

20: 2014/10/28(火) 00:17:16.09 ID:74asHmGoO
~姉の部屋前~

コンコン

妹「お姉ちゃーん」

シーン

妹「……げ、もう寝ちゃったのかな」

妹「お姉ちゃーん?」コンコン

シーン

妹「……本を返すだけだし、いいよね」カチャ

21: 2014/10/28(火) 00:19:07.74 ID:74asHmGoO
妹「失礼しまー……って、起きてたの?」

姉「…………」

妹「もー、また机で寝てるの? 風邪ひくよ~」ツンツン

姉「…………」

妹「……え? お、お姉ちゃん?」ユサユサ

姉「…………」

妹「……!! お、お母さんっ!!」バタバタ

22: 2014/10/28(火) 00:22:18.14 ID:74asHmGoO
───────────────




~病室~

姉「…………ぁ、ぁ……?」パチ

妹「……!!」

姉「あ、れ…………いもうと……?」

妹「良かった……おねえちゃん……」

姉「……また?」

妹「うん……」

母「……大丈夫?」

姉「あはは……こればっかりは、対処のしようも無いかな」

母「そうね……」

姉「どうしたの?」

母「……ううん、何でもないわ」

姉「そう?」

23: 2014/10/28(火) 00:23:10.42 ID:74asHmGoO
~数時間前~

医者「お久しぶりです」ペコリ

妹「どうもです」

母「ええ、ご無沙汰してます」

医者「できれば、ご無沙汰したままのほうが良かったのですが……再び、ですね」

母「ええ……先生には、何度もご迷惑を」

医者「いえ、気にしないでください…………それで、ですね」

母「はい」

医者「姉さんの、状態なのですが……」

母「……はい」

医者「率直に申し上げますと……恐らく、かなり危険な状態でしょう」

母「……やはり、ですか」

医者「早急な入院をおすすめしますが……どうでしょうか」

母「……お願いします」

24: 2014/10/28(火) 00:24:44.77 ID:74asHmGoO
───────────────




姉「今度は、どれぐらい眠ってたのかな」

妹「七時間くらい、かな」

姉「……お母さんたちは、ずっとここにいたの?」

母「ええ、そうよ」

姉「……ごめんなさい」

妹「お姉ちゃんが謝ることじゃないよ、仕方ないもん」

姉「うん……」

母「……それでね、姉」

姉「うん」

母「入院、することになったのよ」

姉「……そっか」

母「嫌じゃないの?」

姉「ううん、もう、これ以上迷惑はかけられないから」

妹「お姉ちゃん……」グスッ

姉「もう、どうしたの? 私は大丈夫だよ、妹」

妹「……うん」

25: 2014/10/28(火) 00:25:36.96 ID:74asHmGoO
それから、地獄の入院生活が始まった。

何が地獄かっていうと、とにかく暇。 ヒマ。

検査とかもあるけど、そんなに頻度は高くない。

個室だし、たまに来る看護婦さんは、忙しいだろうからあんまり引き止められないし。

学校が終わる時間帯になれば、友達がお見舞いに来てくれて楽しいし、嬉しいけどね。

でも……やっぱり、一番嬉しいのは……。

26: 2014/10/28(火) 00:27:56.61 ID:a7oHHalLO
コンコン

姉「どうぞー」

カチャ

妹「お姉ちゃん」ヒョコッ

姉「あ……妹」

妹「えへへ、また来たよ」

姉「無理して来なくても良いんだよ?」

妹「ううん、無理してないし」

姉「そう……ごめんね」

妹「わたしが好きで来てるんだから、謝らないで」

姉「……うん」

妹「それで……これなんですけど」ゴソゴソ

姉「……妹、絶対これ目当てで来てるでしょ」

妹「ちっ、違うよっ!」

姉「もう、宿題くらい自分でやんなきゃだめだよ?」

妹「う、うぅ……だって、お姉ちゃんの説明がわかりやすいんだもん……」

姉「……もう、しょうがないなぁ」

27: 2014/10/28(火) 00:28:52.35 ID:a7oHHalLO
妹「うぐぐ」カリカリ

姉「ふふ、頑張って」

妹「めんどくさいぃ……」シクシク

姉「ん、じゃあ終わったらお見舞いでもらったお菓子でも食べよっか」

妹「頑張るっ!」ガリガリガリガリ

姉「お菓子効果すごい……」

28: 2014/10/28(火) 00:31:45.40 ID:a7oHHalLO
妹「うまうま」モグモグ

姉「今日は早かったね?」

妹「お菓子のためだもん」モグモグ

姉「ふふっ……まだまだ子供だね」

妹「むっ、そんなことないもん」

姉「そんなんじゃ、知らないおじさんとかにお菓子で釣られちゃうんじゃないの?」

妹「釣られないよっ」

姉「あははっ、妹ならありそう」

妹「絶対無いってば!」

姉「心配だなぁ、これじゃあまだまだ氏ねないかな」

妹「…………氏なないでよ?」

姉「まだ大丈夫だよ、きっと」

妹「……お姉ちゃんが氏んじゃったら、わたしも追いかけるから」

姉「ダメ」

妹「やだ」

29: 2014/10/28(火) 00:33:44.83 ID:a7oHHalLO
姉「私は、氏にたくて氏ぬわけじゃないんだからね」

妹「……わかってるもん」

姉「けど、妹は生きてられる」

妹「……」

姉「もったいないよ」

妹「……じゃあ、絶対、氏んじゃヤだから」

姉「そうだね、生きてたいな」

妹「こういうときぐらい、約束するって言ってよ」

姉「…………ごめん、なさい」

妹「……寂しいよ、お姉ちゃん」

姉「……」

妹「お姉ちゃんが、おうちにいなくて……すっごく静かで……」

妹「それで、もし、お姉ちゃんが氏んじゃったら……わたし……っ」グスッ

姉「……大丈夫、また、帰れるよ」ナデナデ

妹「……っ、おねえちゃんっ……」ギュウッ

姉「よしよし……」ナデナデ

30: 2014/10/28(火) 00:36:00.90 ID:a7oHHalLO
妹「……おねえちゃん、いい匂い」

姉「え?」

妹「ふんふん……んー」ギュー

姉「ちょ、ちょっと、匂い嗅がれるのはさすがに恥ずかしいよ」

妹「……む」ムニュ

姉「ん?」

妹「……おっきい」ムニムニ

姉「ひゃあっ!? ちょっ、こらあっ」ペチペチ

妹「むーっ、お姉ちゃんが全部持ってっちゃったから、わたしがぺったんこになっちゃったんだよ!」

姉「え、え? 私のせい?」

妹「そう、お姉ちゃんのせい」

31: 2014/10/28(火) 00:37:54.13 ID:a7oHHalLO
ポッポー ポッポー ポッポー

姉「……あ、もう18時だよ」

妹「……」

姉「ほら、もう帰らないと。 お母さんが心配するよ?」

妹「……」ギュ

姉「もう……私は大丈夫だから」ナデナデ

妹「……お姉ちゃんの大丈夫は、信用できないもん」

姉「……自分でもそう思う」

妹「……また明日、来るからね」

姉「無理して毎日来なくていいんだよ?」

妹「さっきも言ったでしょ、無理なんかしてない」

姉「……うん、ありがとう」ナデナデ

妹「ん……えへへ……」

姉「気をつけて帰ってね」

妹「……お姉ちゃん」

姉「うん?」

妹「あのね……?」

姉「うん」

妹「……ううん、何でもないっ! じゃあ、また明日ね!」ガチャ

姉「そう? うん、またね」

パタン

32: 2014/10/28(火) 00:39:00.42 ID:a7oHHalLO
姉(何を言おうとしてたんだろ……)

ガチャッ

姉「!?」ビクッ

妹「そ、そのっ……お姉ちゃん」パタン

姉「い、妹……? どうしたの?」

妹「あ、あのあの、えっと」

姉「と、とりあえず、落ち着いて」

妹「う、うん……すーはー……」

姉「それで?」

妹「あ、あのね、その……」

姉「うん」

妹「そ、そのっ、あのっ………す、すっ、好きだよっ、お姉ちゃんっ!」

姉「え?」

妹「そっ、それだけだからっ!! また明日っ!!」ガチャッ

姉「えっ、えっえっ、ちょっ」

バタンッ

33: 2014/10/28(火) 00:39:41.41 ID:a7oHHalLO
姉「……え?」

姉「す、好き……好き、って………?」

姉「……~~~~っ!!///」ガバフッ

姉(あわわわわっ、うそうそ、まさか、妹が……)ドキドキ

姉(私のことが好き? 妹が?)ドキドキ

姉(え? え? なになに、どっち? 家族として? それとも……)

姉(でもでも、そんな、家族としてならあそこまで恥ずかしがることはないと思うし……)

姉(え、じゃ、じゃあ、好き、って……)

姉「うあぁぁもう、全然元気じゃんか私の心臓っ!!」ドキドキ

34: 2014/10/28(火) 00:40:22.25 ID:a7oHHalLO
~翌日~

姉(全然寝れなかった……)

コンコン

姉「どうぞー……」

看護婦「起きてますか?」カチャ

姉「おはようございます」

看護婦「おはようございます、検温の時間ですよ」ピッ

姉「はい」ゴソゴソ

看護婦「顔色があまり良くありませんが……大丈夫ですか?」

姉「ちょっとよく眠れなくて……」

看護婦「何か、悩み事でも?」

姉「いえ、悩みっていうものでもないんですが」ピピピッ

看護婦「ふむ、平熱、と……」カキカキ

看護婦「お疲れ様でした、今日はよく眠れますように」ナデナデ

姉「あ……」

看護婦「それでは」ペコリ

35: 2014/10/28(火) 00:41:05.39 ID:a7oHHalLO
───────────────




友「いやいや、最近後輩たちが妙に生意気でさ」

姉「友ちゃんがちゃんと部活やってないからなんじゃない?」

友「……やってるもん」

姉「よく妹から愚痴を聞くけど?」クスクス

友「ぐっ……」

姉「先輩がちゃんとしないと、示しがつかないでしょ?」

友「精進します……」

姉「頑張って」

友「ぐぬぬ……おっと、それじゃ、そろそろ帰るね」

姉「来てくれてありがとね」

友「いやいや、当然ですってばさ」

姉「ばいばい」

友「うむ、また明日」カチャ

妹「あっ」

友「うをっ!?」ビクッ

姉「妹!?」

36: 2014/10/28(火) 00:42:04.48 ID:a7oHHalLO
友「妹ちゃんか、びっくりしたぁ」

妹「こ、こんにちは」ペコリ

友「姉のお見舞い?」

妹「あ、えっと……」チラ

姉「あ……」

友「んじゃま、私は帰るから。 あとは任せたよ妹ちゃん!」ポン

妹「は、はぁ、わかりました……?」

37: 2014/10/28(火) 00:44:29.75 ID:a7oHHalLO
妹「……」

姉「……とりあえず、座って?」

妹「あ、うん……」ストン

姉「……」

妹「……」

姉「……えっと、宿題は?」

妹「あっ、えと、今日は、ないの」

姉「そう……」

妹「……でも、テストも近いし、勉強しよっかな、って」ゴソゴソ

姉「そっか」

38: 2014/10/28(火) 00:47:15.86 ID:a7oHHalLO
妹「……」カリ

姉「あんまり進んでないね」

妹「……集中できなくて」

姉「ん、と……ごめん、今日はお菓子ないや」

妹「やっ、別に、お菓子のためにやってるわけじゃないからさ」

姉「でも、このままだとずっと集中できないままかもしれないし……」

妹「んーん、大丈夫。 なんとかするから」

姉「……」

妹「……」カリ

姉「……ね、もし、よかったらだけど」

妹「ん?」

姉「……えっと、このページが終わったら……キス、してあげよっか?」

妹 ガリガリガリガリガリガリ

姉「ええっ!? は、早くない!?」

39: 2014/10/28(火) 00:49:14.03 ID:a7oHHalLO
妹「終わった!」ピラッ

姉「う、うそ……ほんとに終わってる……」

妹「じゃ、じゃあ、その……ご褒美、ちょうだい?」

姉「ちょ、ちょっと待って、まだ心の準備が……」

妹「……じゃあ、わたしからするね」

姉「え、えっ、ま、まっ、んんっ」チュ

妹「んふ……はぁ……」

姉「あ、ぁ……///」

妹「準備、できた?」

姉「え?」

妹「まだ、お姉ちゃんからのご褒美、もらってないよ?」

姉「えっ!? だ、だって、今ので……」

妹「お姉ちゃんからはされてないもん」

姉「うぅ……」

妹「ん……ほら、はやくぅ……」

姉「……っ」ドキドキ

妹「まだぁ……?」

姉「ん、ん……」チュ

40: 2014/10/28(火) 00:50:33.09 ID:a7oHHalLO
姉「ぷは……」

妹「えへへー……///」ギュウ

姉「うあぁ、恥ずかしいぃ……///」

妹「もー、お姉ちゃんが言ったことでしょ?」

姉「まさかあんなに早く終わるなんて思ってなかったんだもん……」

妹「だって、あんなこと言われたら誰だってやる気出すよ」

姉「うぅ、まだドキドキしてる……」ドキドキ

妹「……うん、感じるよ。 すっごく早くなってるもん。 それに、心電図の音も聞こえるし」

姉「言わないでぇ……」

妹「えへへ、お姉ちゃん、かわいいっ」ギュー

姉「うぅぅ……///」

妹「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

姉「え?」

妹「その……もう一ページやったら、もう一回キス、とか……」

姉「……うん、いいよ」

妹「いいの!?」

姉「う、うん……がんばって」

妹「うんっ!」

41: 2014/10/28(火) 00:51:47.67 ID:a7oHHalLO
妹「……むぐぐ」カリカリ

姉「……」

妹「ぐぬぬ……うわあっ!?」ビクッ

姉「……妹」ギュー

妹「お、お姉ちゃん……?」

姉「……好きだよ、妹」

妹「……!?///」ボシュー

姉「勉強中にごめんね……でも、どうしても伝えたくて」

妹「……集中、切れちゃった」

姉「うえ、ごめんなさい……」

妹「大丈夫、今日の勉強はこれでおしまいだから」パタン

姉「え、キスはいいの?」

妹「キスも好きだけど……抱きしめられるのも、好きだもん」スリ

42: 2014/10/28(火) 00:52:22.50 ID:a7oHHalLO
姉「ねえ、妹」

妹「なに?」

姉「どうして、急に告白する気になったの?」

妹「……だって、想いを伝えられずにお別れなんて、嫌だったんだもん」

姉「……そっか」

妹「お姉ちゃん、氏なないって約束してくれないから、だからっ……」

姉「ん……」

妹「……お姉ちゃん、ぎゅってして」

姉「……っ」ギュウ

妹「ぁっ、はぅ……お姉ちゃんに抱きしめられるの、好き……///」

43: 2014/10/28(火) 00:55:05.98 ID:a7oHHalLO
───────────────




私と妹が、お互いの気持ちを伝え合ってから一週間。

入院生活にもだんだん慣れてきて、暇つぶしもうまくできるようになれた。

病院内を歩き回ったりとか。 看護婦さんに怒られちゃったけど。

でも、外出は許可してくれない。 当たり前のことかもしれないけど。

妹とお出かけしたりとか、いろいろやりたいことがあるのに。

44: 2014/10/28(火) 00:55:56.79 ID:a7oHHalLO
───────────────




姉「……んー」ゴロン

姉(入院……いつまでなのかな)

姉(……ずっと、このままなのかな)

姉(家に帰って……お母さんの料理を食べて……妹とおしゃべりして……)

姉(やりたいことはいっぱいあるのに……なんで……)

姉(なんで………私なのかな)

姉「……っ」

姉「なんで……なのかなぁ……」

姉「……っ、ひっく……」グスッ

姉「……?」グラッ

姉「ふえ……? ……」

45: 2014/10/28(火) 00:56:28.25 ID:a7oHHalLO
───────────────




医者「ん、今日の卵焼き、少ししょっぱいかも」モグモグ

バタバタバタ

看護婦「先生っ!!」バターン

医者「どうしたの?」

看護婦「姉さんの意識が……」

医者「……分かったわ、すぐに行くから。 あなたはお母さんに連絡して」

看護婦「はいっ」

46: 2014/10/28(火) 00:58:17.40 ID:a7oHHalLO
───────────────




母「先生……姉は……」

医者「……なんとも、言えません」

母「……」

医者「……今回が、山場かもしれません」

母「そん、な……」

医者「あとは……姉さんが、どれほど頑張れるかにかかっています」

医者「医者なのに……無力な私で、申し訳ありません」

母「いえ、先生は、手を尽くしてくださいました」

母「本当に、ありがとうございます……」

47: 2014/10/28(火) 00:59:41.52 ID:a7oHHalLO
~病室~

バタバタ ガチャッ

妹「はぁっ、はぁっ、お姉ちゃんはっ!?」

母「妹……」

妹「……っ! お姉ちゃんっ!!」

姉「……」

妹「お姉ちゃんっ、起きて、起きてよおっ!」ユサユサ

妹「氏んじゃ……氏んじゃやだよぉ……っ」

母「………お母さん、お父さん迎えに行くから」

妹「やだ、やだ……っ、氏んじゃ、やだぁっ……」ギュウ

母「……」

妹「お願い、起きて、起きてよおっ!」ポロポロ

妹「グスッ……まだ、一緒にいたいよぉっ……」

妹「まだ……お話したいよぉっ……」

妹「おねえちゃん……おきてよぉ……っ」

48: 2014/10/28(火) 01:00:54.57 ID:a7oHHalLO
姉「…………っ、ぅぁ」ピクッ

妹「……!?」

姉「……っ、はぁっ……」

妹「……お、おね、ちゃ………?」

姉「はぁっ………えへへ、また、眠っちゃった、かな」

妹「……~~~~っ!!」ギュウッ

姉「はぁっ、はぁっ……ごめん、ね……」ナデナデ

妹「おねえ、ちゃん……っ」

姉「……もう…………無理、かも……」

妹「え……?」

姉「ごめんね、妹……私、もう、だめ、みたい……」

妹「う、うそ……でしょ……?」

姉「最後に、妹に会えて……良かった……」

妹「まだ、まだ最後じゃないもんっ!!」

姉「ごめん……なさい……私……」

妹「だめ、だめ……頑張ってよ、お願い……っ」

姉「いもう、と………」

妹「やだ……やだよ……」

姉「……ごめん、ね………いも………」カクンッ

妹「……!? お、お姉ちゃんっ!? お姉ちゃんっ!!」


ピーーーーーー


妹「え………ぁ……ぁ………っ」

49: 2014/10/28(火) 01:03:55.92 ID:a7oHHalLO
父「妹っ、姉は……」ガチャッ

妹「……」

父「……」

母「う……うそ……?」

妹「…………おね、ちゃ……」

妹「うそ……だよ、ね……?」

妹「また……起きて、くれるよね……?」

妹「また起きて……ごめんねって……大丈夫だよって……」

妹「また……また…………ひっく……」

母「妹……っ」

妹「グスッ……どうして、お姉ちゃんが……どうして、どうしてっ……ふぇぇっ……」ポロポロ

妹「おねえちゃんっ……おねえちゃんっ……わたし、やだよおっ……」

妹「おねえちゃんがいなきゃ、やだよぉっ!」

妹「氏なないでって、言ったのに……約束もしてくれなくてっ……ばかっ、おねえちゃんのばかばかばかっ!!」

妹「ばかっ……だいっきらい……っ」

母「……」ギュ

妹「ひっく……ひっく……」

母「……お姉ちゃんは、良く、頑張ったわ」ナデナデ

妹「ひっく……グスッ……」

父「姉も……精一杯生きたんだ」ナデナデ

妹「うん……ひっく……」

50: 2014/10/28(火) 01:06:14.50 ID:a7oHHalLO
……………………………。

……………………。

……………。

……なんだろう、この感じ。

体がふわふわしてるような、そんな感じ。

辺り一面、全部真っ白。

何も見えない。

私はもう、氏んだのかな。

……もう、妹には、会えないのかな。

もっと、伝えたいことがあったのに。

もっと、一緒にいたかったのに。

……ごめんね、妹……。

……ここは、どこなのかな。

あ、ちょっと見えるようになってきたかも……?

51: 2014/10/28(火) 01:06:53.43 ID:a7oHHalLO
妹「……っ、ふえぇっ……おねえちゃん……っ」


……私の体にしがみついて泣きじゃくる妹の姿と、その傍らで泣いているお父さんとお母さんの姿があった。

これは、どういうことだろう。

私は氏んだはずなのに。

どうして、目の前に妹がいるのかな。

妹がしがみついてるのは……私の、氏体なのに。

……あれ、自分の手が、透けて見える……?

……。

……そっか、私、幽霊になっちゃったのか。

やだなあ、幽霊は苦手なんだけど。

でも……未練がありまくりだったし、しょうがないのかも。

52: 2014/10/28(火) 01:08:29.75 ID:a7oHHalLO
───────────────




それから私は、妹を見守り続けた。

最初の一週間ほどは、妹はすぐに涙ぐんだり、泣いたりしていた。

その度に、私も泣いた。

けれど、ひと月を過ぎるとあまり泣かなくなり、笑顔が見られるようになった。

妹が笑顔になる度に、私も笑顔になった。

だんだんと元気になっていく妹を、私は、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちで見ていた。

けれど、私を思い出すのか、たまに涙ぐむこともあった。

部屋で一人、泣いている時もあった。

そんな時、私はただ、そばにいるだけだった。

触れることができないから。 生頃しにも程があるよ、神様。

53: 2014/10/28(火) 01:09:04.16 ID:a7oHHalLO
そのまたしばらくあと、妹はほぼ完全に元気になった。

部活でも活躍してる。

友達とわいわい話してるところを見て、ちょっぴり嫉妬した。

そして、ほっとした。

もし私が氏んだら、妹がどうなってしまうかを想像すると、気が気じゃなかったから。

もしかしたら塞ぎ込んじゃうんじゃないか、とか、いろいろ考えちゃってたし。

でも、そんな心配は必要なかったね。

いい友達を持ったね、妹。

54: 2014/10/28(火) 01:09:36.19 ID:a7oHHalLO
今、私は妹の部屋にいる。

妹は、音楽を聞きながら、ベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいる。

すごくリラックスした表情で、見ていて微笑ましい。

この姿でいることも案外悪くないな、と思わせてくれる。

もっ、もちろん、お風呂とか、そういうのとかは覗いてない。

妹が寝たら、ちゃんと部屋からでて、元私の部屋にもどるし。

……ちまちま寝顔を覗きには来たけど。

55: 2014/10/28(火) 01:11:10.34 ID:a7oHHalLO
やっぱり、妹から離れたくないなぁ。

でも、ずっとここにいることは、きっと妹にとって良くない。

それに、私に寂しさが募っていくだけ。

妹に触りたい、抱きしめたい。

でも、それをさせてくれないのが、神様のいじわるなところ。

ここに、ずっとはいられない。

……それに、もう、妹に私は必要ない。

これから妹は、卒業して、入学して、卒業して、就職して。

その合間合間に、恋をして。

妹自身の人生を歩んでいく。

その中で、妹にとって私は、思い出の人になるだけ。

……もう、見守る必要もないね。 今までも、そうだったのかもしれないけど。

妹は、強かった。

それだけが分かれば、お姉ちゃんは十分だよ。

……さよなら、妹。

56: 2014/10/28(火) 01:12:04.81 ID:a7oHHalLO










妹「…………お姉ちゃん?」










57: 2014/10/28(火) 01:14:13.94 ID:a7oHHalLO
………………え?

……え、今、呼ばれた?

気のせい? え、気のせい?

うわわわ、もう、せっかく消えかけてたのに、また元に戻っちゃったよ。

もう、やだなあ。 せっかく決心がついたのに。


妹「お姉ちゃん……?」キョロキョロ


…………。

……気のせい、じゃない……?


妹「え、お姉ちゃん……? いる、の……?」キョロキョロ


ば、バレた……なんで?

姿とかは見えないようにしてたんだけど……バレたら、しょうがないかなぁ。

……いいよね?

今だけ……いいよね?

姿を、見せても。

一応、ほかの部屋に声が聞こえないように部屋に膜を張っておく。 霊力ってやつ?


妹「どこ……? お姉ちゃん……?」

姉『……』フッ

妹「……え……?」

58: 2014/10/28(火) 01:15:28.67 ID:a7oHHalLO
妹「……え、え……? う、うそ……」フルフル

姉『……妹』

妹「おねぇ……ちゃん………?」ポロポロ

姉『あー……もう、泣かないと思ったんだけど』

妹「ごめっ……ごめ、なさ……っ」グスッ

姉『……もう、泣かないでよ……私まで、泣いちゃうよぉ……っ』ウルウル

妹「おねえちゃん……ずっと、ずっと会いたかった……っ」

姉『うん……』

妹「ほんとに、ほんとにほんとに、お姉ちゃん……?」

姉『こんな姿だけど……そうだよ』

妹「良かった……また、会えた……」

姉『……どうして気づいたの?』

妹「……お姉ちゃんの声が、聞こえたの」

姉『私の?』

妹「なんか、さよなら、って……だから……」

姉『……そっか』


聞こえちゃったんだ。

私の声が。

59: 2014/10/28(火) 01:16:36.50 ID:a7oHHalLO
妹「……ねえ」

姉『うん?』

妹「……行っちゃうの……?」

姉『……』

妹「遠くに……行っちゃうの……?」

姉『……ここには、いられないの』

妹「……っ、ならっ、なら……!!」

妹「わたしも……わたしも、連れてってよ!」

姉『妹……』

妹「嫌だよ、いなくなっちゃうなんて、いやだよぉ……っ」

妹「ひとりは、ひとりは、やだよぉっ……」

妹「せっかく……想いが伝えられたのにっ……」

妹「ずっと、ずっと、一緒にいたいよぉっ……」

姉『ごめんね、妹』

妹「……!」

姉『私だって、ずっと一緒にいたいよ』

姉『せっかく妹が気づいてくれたのに、消えたくない』

妹「じゃ、じゃあ……」

姉『でも、でも……だめなの』

妹「……え」

姉『私のことは……忘れて』

妹「……そんな」

姉『氏んだ人にいつまでも固執しちゃ、ダメ』

姉『妹は、私の分まで生きてほしいの』

60: 2014/10/28(火) 01:19:39.57 ID:a7oHHalLO
妹「そんな、そんなのって……っ」

姉『ごめんね、妹……』

妹「やだっ!! わたし、ぜったい、ぜっっっったいお姉ちゃんを忘れないもん!!」

姉『妹……』

妹「だって、だって……だって、おねえちゃん……っ」

姉『妹……おねがい、最後くらい……おねえちゃんの言うこと、聞いてよ……っ』ウルウル

妹「だって、だって、わたし……おねえちゃんが、好きなんだもん……っ」ポロポロ

妹「大好きなんだもん……ひっく……っ」

姉『……っ、いもうとの、ばかぁっ……』ギュウッ

妹「ふえ……っ」

姉『やめてよ…………はなれられなく、なっちゃうよぉっ……』ポロポロ

妹「おねえちゃん……」ギュ

姉『わたしだって、わたしだって……いもうとが好きだよ、大好きだよ』

姉『でも、でも…………わたしはもう、しんじゃったから……だから……っ』

妹「おねえちゃんっ、ひっく、やだよぉっ、いかないでよぉっ!」

姉『ごめん……ごめんなさい、妹ぉっ……』

妹「やだ、やだやだっ、うわああああぁぁんっ!!」

61: 2014/10/28(火) 01:20:36.04 ID:a7oHHalLO
───────────────




妹「ひっく…………ふえぇっ……ひっく……」

姉『ん……よしよし……』ナデナデ

妹「ん……そういえば、おねえちゃん、さわれるんだね……」

姉『……え、あ、あれ? なんで!?』

妹「え、な、なに?」

姉『い、今まで何回も触ろうとして触れなかったのに……!?』

妹「……触ろうとしてたんだ」

姉『……あ、いや、その』

妹「えへへ、いいよ……お姉ちゃん……」ギュウ

姉『む、むぅ……』

62: 2014/10/28(火) 01:21:29.95 ID:a7oHHalLO
姉『……』ナデナデ

妹「……ね、お姉ちゃん」

姉『うん?』

妹「……ごめんなさい」

姉『え?』

妹「わがままばっかり言って……」

姉『……ううん、私も思ってたことだから』

妹「……でも、やっぱり行っちゃうんだ」

姉『……うん』

妹「……ね」

姉『うん?』

妹「……ありがとね、お姉ちゃん」

姉『……え?』

妹「こんなわたしを好きになってくれて……甘えさせてくれて……」

妹「ありがとう、おねえちゃん……ありがとう……っ」

姉『いもうと……っ』ギュ

63: 2014/10/28(火) 01:22:24.01 ID:a7oHHalLO
妹「これが、言いたかった……ずっと……」

姉『うん……』

妹「ずっと……」カクン

姉『え? 妹!?』

妹「……すぅ……すぅ……」

姉『……ふふ、泣き疲れちゃったかな』

姉『ありがと、か……』ナデ

妹「ふぁ……」

姉『……こちらこそ、ありがとね、妹』

姉『好きだよ、妹……ん……』チュ

妹「んぅ……」

姉『ぷは……おやすみ』

64: 2014/10/28(火) 01:23:54.94 ID:a7oHHalLO
時計を見ると、ちょうど夜中の二時半を指していた。

妹に布団をかけ、寝顔を見つめる。


姉『……この時のためにも、今まで見守ってた甲斐があったかな』

姉『なんだか、すっごく嬉しいかも』ナデナデ

妹「んん……」

姉『……けど』


ここで、お別れだね。

今まで本当にありがとう、妹。

あなたのおかげで、私は逝けそうです。


姉『……また、どこかで会えるといいね』ナデ

妹「ん……おねえちゃん……」



姉『……さよなら、妹』

65: 2014/10/28(火) 01:26:48.56 ID:a7oHHalLO
おわりです。
このSSは、
姉「…ただいま、妹」
の別ルートです。
だいぶ前に書いて某所に投下しましたが、こちらに投下するのを忘れていました。


ありがとうございました。

66: 2014/10/28(火) 01:42:00.22
乙 泣いた

引用元: 姉「…さよなら、妹」