1: 2019/01/07(月) 00:46:10.708 ID:eVSOkPiI0
【サタニキア邸】


ゼルエル「緊急天使会議を開く!」バ-ン

ラフィエル「……と、集められましたが」

ヴィーネ「あの、一部悪魔が混じってるんですけど」

サターニャ「ていうかなんで私の家でやるのよ!?」

ゼルエル「細かいことは気にしなくていい」

サターニャ「全然細かくない!」

タプリス「天使会議という割には天真先輩がいませんね……」キョロキョロ

ゼルエル「うむ、実はな」

ゼルエル「ガヴリールと喧嘩した!」

ラフィエル「あ、いつもの事ですね」

タプリス「緊急だなんて言うから大ごとかと思いましたよ~」

2: 2019/01/07(月) 00:48:02.437 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「こらこらこら、充分大ごとだろう! 私と口も聞いてくれないんだぞ!?」

タプリス「でも、お義姉さんが口聞いてもらえない事よくあるじゃないですか」

ラフィエル「おおむね普段通りだと思いますよ。お義姉さん」

ヴィーネ「それに喧嘩するほど仲がいいとも言いますしね。お義姉さん」

サターニャ「……///」

ゼルエル「ええい私をお義姉さんと呼ぶんじゃない! 絶対に認めんからな!」

3: 2019/01/07(月) 00:49:02.233 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「ひとまず経緯を説明するから聞いてくれないか」

ヴィーネ「まあ、聞くには聞きますけど……」

サターニャ「話したらとっとと出て行きなさいよ」

ゼルエル「うむ……少々長くなるかもしれないが、腰をすえて話したい」

ゼルエル「どれ小悪魔、私に熱い日本茶淹れてくれ」

ラフィエル「あ、私レモンティーで」

タプリス「このうなぎパイあけていいですか?」

ヴィーネ「え、えっと……コーヒーある?」

サターニャ「図々しいわねあんた達。全員一律牛乳とミニドーナツよ」

5: 2019/01/07(月) 00:50:09.164 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「それで、先週ガヴリールが天界に帰省した時のことなんだが」モグモグ


【先週・天界天真家】

ガヴリール「……あのさあ、姉さん」

ゼルエル「な、なにかな? ガヴリール」

ガヴリール「久々に帰ったら自分の部屋が物置になってるんだけど」

ガヴリールの部屋『』ゴチャゴチャ

ガヴリール「なにこれ」

ゼルエル「いやっ、あの、その……大掃除するから、い、一時的に物を移動させていてな!」

ガヴリール「乗ってるほこり的にだいぶ前からここにあるっぽいけど」

ゼルエル「ぎくっ」

6: 2019/01/07(月) 00:51:37.372 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「母さんの健康器具とか置いてあるし、これとかハニエルが遊ばなくなったおもちゃだよね」

ゼルエル「で、でも、ルームランナーとかロデオボーイとか自由に使えるぞ?」

ガヴリール「私がこんなの使うと思う?」

ゼルエル「思わない」

ガヴリール「でしょ」

ゼルエル「か、代わりにほら、ガヴリールの天使学校の制服や教科書はきちんと整理してあるんだ!」

ガヴリール「どうでもいいよそんなの……どうせスペース空けるために片付けたんでしょ」

ガヴリール「なんかベッドまで侵食してるし。私今日どこに寝ればいいんだよ……」

ゼルエル「お姉ちゃんと一緒に寝よう? ガヴリール」

ガヴリール「えー……」

ゼルエル「嫌そうな顔をしないでくれ」

ガヴリール「はぁ、最悪そうするしかないか」

7: 2019/01/07(月) 00:53:02.676 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「えーと、私のパジャマは……」

ゼルエル「!!」

ガヴリール「あれ? ないな。いったいどこに……」

ゼルエル「」コソコソ

ガヴリール「……姉さん?」

ゼルエル「」ダッ

ガヴリール「あっ、こら逃げるな!!」

ゼルエルのタンス『』コンモリ

ガヴリール「……これ全部私の服だよね」

ゼルエル「お姉ちゃんは知らない」

ガヴリール「私の部屋のもの勝手に持って行かないでって言ったよね」

ゼルエル「」プイ

ガヴリール「そっぽを向くな」

8: 2019/01/07(月) 00:54:02.618 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「そもそも部屋に入らないでって約束したと思うんだけど」

ゼルエル「……」

ガヴリール「いったい何のために持ってきたの?」

ゼルエル「……ガヴリールに会えなくて寂しいから」

ゼルエル「せめて、残り香を……私の服に移そうと思って……」

ガヴリール「……」

ゼルエル「……」

ガヴリール「……はぁー……」

ゼルエル「が、ガヴリール?」

ガヴリール「もういいわ。好きにして」

ゼルエル「え……」

ガヴリール「私居間で寝るから。静かにしててもらえる?」

ゼルエル「あ、あの……」

ガヴリール「」スタスタ

ゼルエル「ガヴリール!」

ドア「」バタン

ゼルエル「ガヴリール……?」

9: 2019/01/07(月) 00:55:01.934 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「……そこからなんというか、どうにも話しかけづらくなってしまって」

ヴィーネ「あー……これは……」

ラフィエル「色々とタイミングが良くなかったですねー……」

タプリス「そ、そのあと天真先輩とすぐに仲直りは?」

ゼルエル「いや、結局ガヴリールの帰省中はろくに話もできなかった」

ゼルエル「私もきっかけが無いとなんとも動きづらくてだな……」

サターニャ「すごいわね……あんたそういう気まずい雰囲気感じ取れたんだ」

ラフィエル「サターニャさん、リアルに感心してますけどすごく失礼な事言ってますよ」

10: 2019/01/07(月) 00:57:02.935 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「う……ぐす、どうしよう、このまま妹から見放されてしまったら……」

サターニャ「ふふんざまあないわ。今度こそガヴリールに嫌われたわね」

ヴィーネ「こ、こらサターニャ!」

ゼルエル「私はもう姉として扱われることはないのだろうか……」ズビビ

ゼルエル「ガヴリールとおしゃべりがしたいよぅ……」メソメソ

ヴィーネ「ドラゴンをも倒す神の腕が姉妹喧嘩で号泣してる……」

ラフィエル「鬼の目にも涙というやつですねー」

ヴィーネ「鬼にしては流す涙が情けないんだけど」

サターニャ「本当に天界でこんなのが尊敬されてるの?」

タプリス「えっと、お姉さんは先輩以外の事なら本当に素晴らしい方なので……」

11: 2019/01/07(月) 00:58:01.231 ID:eVSOkPiI0
ラフィエルの携帯『』ヴヴヴヴ

ラフィエル「あら?」

ラフィエル「はい、もしもし……え? ええ、はい。はい」

ラフィエル「あー、そうですね。分かりました。では今からそちらに向かいますね」

ラフィエル「すみません皆さん。天界の者から呼び出しがあったので少し席を外しますね」

サターニャ「ちょっとラフィエル! こいつをなんとかしていきなさい!」

ゼルエル「がゔりぃーるぅー、私をお姉ちゃんと呼んでくれぇ」ギュウウウウウ

サターニャ「だー!私をガヴリールの代わりにしてんじゃないわよ!!」ググググ

ラフィエル「あー」

12: 2019/01/07(月) 00:59:01.697 ID:eVSOkPiI0
タプリス「ぷぷぷ、胡桃沢先輩が困ってます。ほんのちょっぴりいい気味ですね」

ゼルエル「髪、金色、小さい……ガヴリール? ガヴリール!!」バッ

タプリス「ひゃああ!? 私は天真先輩じゃないですよお姉さん!?」

ゼルエル「おっOいが大きい。ガヴリール違う」ムニムニ

タプリス「んっ……あっ、ど、どこで判断してるんですかぁ!」

ゼルエル「ガヴリールどこ、ガヴリールがいない」ベソベソ

ヴィーネ「なんか地獄絵図なんだけど……」

ラフィエル「ここはサターニャさん達に任せていても大丈夫そうですね。行きましょうかヴィーネさん」

ヴィーネ「えっ、私も?」

ラフィエル「しっかり捕まっててくださいね。神足通!」

13: 2019/01/07(月) 01:00:02.340 ID:eVSOkPiI0
【ガヴリール宅】


ラフィエル「はい着きましたー」シュン

ガヴリール「おわっ!? 急に現れるなよ!!」ビク

ヴィーネ「……って、ガヴじゃない。天界の者って……?」

ラフィエル「ガヴちゃんに呼び出されたと言えばゼルエルさんが取り乱してしまうでしょう? 嘘は言っていませんよ」

ヴィーネ「ん……なるほど」

ラフィエル「さてと、ガヴちゃん。私に相談したい事ってなんでしょう?」

ヴィーネ「相談したい事?」

ガヴリール「いやちょっと待て、呼んだのはラフィだけだろ! なんでヴィーネまで連れてくるんだよ!」

ラフィエル「あ、やっぱりだめでした?」

ガヴリール「ヴィーネはいらない!」

ヴィーネ「え」ガ-ン

14: 2019/01/07(月) 01:01:29.603 ID:eVSOkPiI0
ラフィエル「もう、ガヴちゃんったら素直じゃないから、基本的に悩み事は他人に隠したがるんですよね」

ヴィーネ「じゃあほんとなんで私を連れて来たのよ」

ラフィエル「誰かに話したくても恥ずかしいから、唯一私にだけ頼ってくるガヴちゃんの可愛さをヴィーネさんに自慢したかったんです」ニコニコ

ヴィーネ「ほーう?」イラ

ラフィエル「でもガヴちゃん。ヴィーネさんなら親身に聞いてくれると思いますよ」

ガヴリール「……んん」

ヴィーネ「えっと……私じゃ悩み事は話せない?」

ガヴリール「ぐ……」

ガヴリール「まあいいやもう。連れて来ちゃったわけだし……ヴィーネになら」

15: 2019/01/07(月) 01:03:02.751 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「その……大した事じゃないんだけど……」

ガヴリール「実は、姉さんと喧嘩しちゃってさ……」

ヴィーネ(おお)

ラフィエル(あら)

ガヴリール「いや、喧嘩自体はよくするんだけど、なんか今回は気持ち悪い感じになっちゃって……」

ヴィーネ「それってこの前帰省した時の話よね」

ガヴリール「うん。私も家に着いたばかりで疲れてて余裕なかったから、あんま良い態度じゃ無かったんだ」

ラフィエル「そんな所にゼルエルさんがいつものシスコンっぷりを発揮するからうんざりしてしまったわけですね」

ガヴリール「そうなんだよ」

ヴィーネ「で、結局仲直りするタイミングも掴めず微妙な感じで今に至ると」

ガヴリール「その通り……なんだお前ら。やたら察しがいいな」

ヴィーネ「ま、まあね」

16: 2019/01/07(月) 01:05:14.406 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「それで、どうしたらいいかなって……」

ヴィーネ「ふふ、そりゃもちろん」

ラフィエル「そうですね、ヴィーネさん」ニコニコ


ヴィーネ「謝って仲直りしましょう」
ラフィエル「面白いので少し放っておきましょう」


ヴィーネ「えっ」

ラフィエル「えっ」

ガヴリール「……」

17: 2019/01/07(月) 01:07:14.172 ID:eVSOkPiI0
ヴィーネ「いやなんで放っておくのよ! 二人とも元の関係に戻りたがってるでしょ!? ていうか面白いってなに!?」

ラフィエル「あー、ついつい本音が」

ヴィーネ「こういう時はなんでも早めに行動した方がいいわ。さあ行きましょうガヴ!」

ラフィエル「ダメですヴィーネさん!」

ヴィーネ「どうして!?」

ラフィエル「そうやっていつもいつもガヴちゃんから折れてしまうからゼルエルさんが甘えてしまうのだとは思いませんか?」

ヴィーネ「えっ?」

ラフィエル「私は、本当に良い関係とはお互いの好きな事や嫌いな事を知った上で全て受け入れることだと思っています」

ラフィエル「今後のためにも、ゼルエルさんにはきちんとガヴちゃんが嫌な思いをしているんだって事を伝える必要があるんです!」

ヴィーネ「な、なるほど……」

ガヴリール「ラフィ。それっぽいこと言ったって面白いから放っておこうと言った言葉は取り消せないからな」

ラフィエル「もー、ヴィーネさんみたいに簡単に丸め込まれてくださいよー」

ヴィーネ「はっ、私いま丸め込まれてたの!?」

18: 2019/01/07(月) 01:09:05.295 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「まあでも、確かにラフィの言うことも一理あるな。実際シスコンは控えて欲しいし」

ラフィエル「ですよねっ」

ヴィーネ「だからと言ってこのままにしておくのは……」

ラフィエル「とりあえず、ちょうどサターニャさんのお家にいるので様子を伺ってみませんか?」

ガヴリール「え? まさか姉さん下界に来てるの?」

ヴィーネ「えっと、まあ、ガヴと同じような相談事をしにね」

ラフィエル「ですが、どうやってゼルエルさん達を観察しましょうか」

ガヴリール「んー、千里眼で覗いたら速攻で姉さんにバレそうだよな。ヴィーネはそもそも使えないし」

ヴィーネ「……そう言えば私、魔界通販の遠くの場所を見る道具を持ってるわ」

ラフィエル「悪魔のアイテムですか?」

ヴィーネ「うん。いま魔法陣で持ってくるわね」シュワワワ

19: 2019/01/07(月) 01:11:03.423 ID:eVSOkPiI0
水晶『』ゴトン

ヴィーネ「これ買ってみたはいいけど映りが悪いのよね」ポチ

水晶『ザー……ザザ、ザー……』

ガヴリール「砂嵐しか見えないんだけど……」

ヴィーネ「やっぱりだめ?」

ガヴリール「お、横にHDMIさせる場所あるぞ。これモニターに繋がるんじゃね」

モニター『』パッ

ヴィーネ「あっ、すごい。綺麗に映ったわ」

ガヴリール「おー、やるじゃん」

ヴィーネ「よかったー、不良品じゃなくて!」

ラフィエル「……」

ラフィエル「ヴィーネさん、これを買って一体何を見るつもりで……」

ヴィーネ「はいはいさっそくゼルエルさん達の様子を見てみましょう!!」ポチ

20: 2019/01/07(月) 01:13:05.242 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「ガヴリール……ガヴリール……」メソメソ

タプリス「お姉さん、そろそろ泣き止んでください」

サターニャ「そうよ。いつまでも枕にしがみ付いて泣かれたらうざったらしいわ」

ゼルエル「ぐすっ、ガヴリールに嫌われたらもう生きていけない……!」ズビビビビ

サターニャ「ごああっ!?いま枕で鼻をかんだ!? なにしてんのよ弁償しなさいよちょっとこら!!」

タプリス「生きていけないと言われましても、お姉さんは神の腕として色んな天使に期待されているんですよ?」

ゼルエル「もう神の腕やめる!」

タプリス「えぇー……」

サターニャ「もろいわね神の腕」

21: 2019/01/07(月) 01:15:00.916 ID:eVSOkPiI0
サターニャ「そもそもあんたガヴリールに構いすぎなのよ。子供じゃないんだからほっときなさい」

ゼルエル「何を言う。可愛い妹が危険な下界で頑張っているんだぞ。姉として心配するのは当たり前だろう」

ゼルエル「犬が徘徊するこの恐ろしい世界ではとてもじゃないが並大抵の精神では耐えられないはず」

ゼルエル「私としても癒してあげたいが、心を鬼にして我慢しているんだ……!」

ゼルエル「せめて様子を見に来るぐらいは許されてもいいはずだろう!!」

サターニャ「安心しなさい。あいつ結構人間界で活き活きとしてるもの」

タプリス「お姉さん下界の修行でだいぶ苦労されたんですね」

22: 2019/01/07(月) 01:16:03.532 ID:eVSOkPiI0
タプリス「大丈夫ですよ。天真先輩が本当にお姉さんの事を嫌いになるはずないじゃないですか!」

ゼルエル「……なぜそう言える?」

タプリス「だって元々あんなに優しい妹さんですよ? 心の奥底ではいつもお姉さんの事を想っているはずです!」

サターニャ「駄天してても?」

タプリス「うっ……だ、駄天してても……です」

ゼルエル「会いに行くといつも鬱陶しがられるが」

タプリス「き、きっと恥ずかしいだけで、家族にはちょっと素っ気なくなるというか」

サターニャ「ていうか基本あんたもぞんざいに扱われてるわよね」

タプリス「私も同列でした」ガ-ン

23: 2019/01/07(月) 01:18:06.241 ID:eVSOkPiI0
タプリス「天界にいた頃はとても優しくて、清らかで、笑顔がとっても素敵で可愛かったのに」

タプリス「下界に降りてからは不規則な生活! ゲームが恋人! 日中は基本的に寝てるだけ!」

タプリス「私にはゴミ出しさせたり夜食の買い出し行かせたりどうでもいいような扱いばかりです!」

タプリス「私だって、私だって……!」

タプリス「私だってもっと天真先輩に愛されたいですよぉうおうおう!」ピエ-ン


ラフィエル「ぶふっ、ぷ、ぷくくくく……」プルプル

ガヴリール「おい、なんか違う所に波及したぞ」

24: 2019/01/07(月) 01:19:05.302 ID:eVSOkPiI0
タプリス「天真先輩のダメダメ天使ー!」ビエ-

ゼルエル「ガヴリールに会いたい。寂しい」グスングスン

サターニャ「あーもう!うるっさいわね!!」

サターニャ「あんた達構って欲しいとか愛されたいとか、それなら自分から行けばいいでしょ。なに受け身のままグズグズしてんのよ!」

サターニャ「私は自分の望みを叶えるために行動してるわ。ガヴリールから来ないならこっちから行けばいいだけの話じゃない!」

ゼルエル「しかし小悪魔はそれが原因でガヴリールに邪険に扱われているじゃないか」

サターニャ「うっ、ぐぅ……知らないわよ! 私はガヴリールの都合なんて気にしないもの!」

サターニャ「あいつは私のライバルなのよ? いがみ合ってるぐらいがちょうどいいの」

タプリス「でもライバルとか言いつつ普通に無視とかされてますよね」

ゼルエル「単純に相手にされていないだけなのでは」

サターニャ「ぐぐうう……!」

25: 2019/01/07(月) 01:21:06.377 ID:eVSOkPiI0
サターニャ「そ、それなら私だって無視しちゃうんだから!」

ゼルエル「お前は本当にそんな関係でいいのか?」

タプリス「ちょっとぐらい仲良くしてもらいたいとか思いません?」

サターニャ「ぬぐぐぐ……ぐ、ぐぅぅ……!」

サターニャ「わ、私もたまにはヴィネットみたいに普通におしゃべりしたりお弁当交換したりしてみたいわよ!」

サターニャ「でも私がいきなり仲良しな態度取るなんておかしいでしょ!?」

タプリス「それは胡桃沢先輩の作り出したキャラクターに問題があると思いますけど……」

ゼルエル「引っ込みつかなくなる前に素直になれば良かったんじゃないか」

サターニャ「なんでよ! ガヴリールからもっと私に構うべきじゃない!」

サターニャ「私にも優しくしなさいよ! ガヴリールのばかー!!」


ヴィーネ「……ちょっとぐらいサターニャに優しくしてあげれば?」

ガヴリール「…………あー」

26: 2019/01/07(月) 01:22:08.067 ID:eVSOkPiI0
ラフィエル「んー、これ以上は進展しそうにないですねー」

ヴィーネ「むしろ被害が拡大してるでしょ」

ラフィエル「……でも、ガヴちゃん。ゼルエルさんの気持ち少しは分かりました?」

ラフィエル「ゼルエルさんはただ、ほんの少し寂しかっただけで、本当にガヴちゃんの事が好きなんです」

ラフィエル「下界に降りてくるのもガヴちゃんが元気でいるか心配なんですよ」

ガヴリール「……」

ガヴリール「…………勝手だよ。私のこと可愛がったり、かと思えば厳しく躾けてきたり」

ガヴリール「結局姉さんは自分が正しいと思い込んで全然人の事なんて考えてないだろ……」

ヴィーネ「ガヴったら……」

27: 2019/01/07(月) 01:25:07.897 ID:eVSOkPiI0
ラフィエル「ふふ、そう言うガヴちゃんこそわがままな所があるじゃないですか」

ラフィエル「自分の気持ちを察してほしいという思いは分かりますが、相手にそれを求めるのは少々難しい事だと思います」

ヴィーネ「ラフィ……?」

ラフィエル「時として、思っている事はきちんと言葉にしないと相手に伝わらないものなんですよ」

ガヴリール「……ふん」プイ

ラフィエル「仕方ないので、いじっぱりな親友のために今回はひと肌脱いであげます」

ラフィエル「仲直りできたら、きちんとゼルエルさんとお話ししてくださいね」

ラフィエル「───神足通」シュン

28: 2019/01/07(月) 01:26:05.689 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「がゔりーるぅ」メソメソ

タプリス「てんまぜんぱーい!」グスグス

サターニャ「……こいつらクール宅急便で天界に送りつけてやろうかしら」

ラフィエル「お疲れ様でしたサターニャさん」シュン

サターニャ「え、あ? ラフィエル? あんた今までどこで油売ってたのよ」

ラフィエル「はい、バトンタッチでーす。神足通」

サターニャ「は? なに言って───」シュン


【ガヴリール宅】

サターニャ「ん……の?」

ガヴリール「よう」

サターニャ「え? ここガヴリールの家?」

29: 2019/01/07(月) 01:28:06.303 ID:eVSOkPiI0
水晶『』

サターニャ「ん、これ魔界通販の遠隔テレビじゃ……」

モニター『し、白羽先輩? どうしてここに……きゃああああ!?』

ヴィーネ「あ、タプちゃんも飛ばされたわ」

サターニャ「………………」

サターニャ「みた?」

ガヴリール「んー、なにを?」

サターニャ「みたのね!?」

ガヴリール「あー、なんだっけ。サターニャちゃんは私に優しくして欲しいんだっけ?」

ガヴリール「ほらガヴちゃんがナデナデしてやろうか?」ニヤニヤ

サターニャ「うぎゃあああああああああああああ」

30: 2019/01/07(月) 01:30:10.075 ID:eVSOkPiI0
【サタニキア邸】


ゼルエル「ふむ、悪魔と天使の二人を瞬く間に神足通で飛ばすとは。鮮やかな腕前だなラフィエル」

ラフィエル「どうもありがとうございますー」ニコ

ラフィエル「……ってそうではなく」

ラフィエル「ゼルエルさん、ガヴちゃんとお話ししたいですよね?」

ゼルエル「もちろんだ」

ラフィエル「良ければ私に仲直りのお手伝いをさせて頂けませんか?」

ゼルエル「ん、んん……それは、願っても無い話ではあるが……」

ラフィエル「?」

ゼルエル「今回の事は私自身、まだガヴリールになんと声をかければいいのか分かっていないんだ……」

ゼルエル「ガヴリールの機嫌を損ねてしまった事について謝ることは簡単だ」

ゼルエル「しかし仮に謝って許してもらっても、それは一時的な関係の修復にしかならないだろう」

ゼルエル「私自身がもう少しガヴリールの気持ちが分かってやれなければ意味がない……」

ラフィエル「ゼルエルさん……」

31: 2019/01/07(月) 01:31:37.574 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「妹の元へ行きたくても、見つからない答えに歯がゆさを覚える。……なかなかつらいものだな」

ラフィエル「そう、ですね……話を聞くと本当に間が悪かっただけだとは思いますが……」

ラフィエル「私は、少しだけガヴちゃんの気持ちも分かる気がするんです」

ゼルエル「なに? ぜ、ぜひ教えてくれ!」

ラフィエル「例えば、久しぶりに自分の家に帰って部屋の様子が変わっていたら……」

ゼルエル「ん……」

ラフィエル「しまっていた物がいつもの所に無かったら。なんだか寂しくなりませんか?」

ゼルエル「それは……」

32: 2019/01/07(月) 01:33:06.190 ID:eVSOkPiI0
ラフィエル「不在の間、窓を開けて換気していたり、簡単に掃除していたり、なんて事ない小さな変化だとしても離れている者からするとよく気がつくんです」

ラフィエル「自分の知っているものが変わっている。それはなんだか自分の手のひらから離れてしまったような感じがして」

ゼルエル「……ああ」

ラフィエル「久しぶりにハニエルちゃんと会って随分成長していたら。なんだか自分が置いていかれるような、そんな寂しさにふと気がつくんです」

ゼルエル「……それは、私だって同じだ」

ゼルエル「ガヴリールがたまの帰省で私の知らない下界の知人の話をすると無性に寂しくなる」

ゼルエル「会うたびに大きく変化する妹に嬉しくも戸惑いを覚えるのは確かだ」

ゼルエル「ガヴリールが下界でどのように過ごしているのか、私が日常的に知ることはできない」

ゼルエル「だから、会いたくても……簡単には会えないからこそ……」

ゼルエル「私はどうしようもなく、残り香を探してしまうんだろうな」

33: 2019/01/07(月) 01:34:13.478 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「姉さん……」

ヴィーネ「……ねぇ、ガヴ」

ヴィーネ「私はみんなみたいに姉妹や兄弟がいないから共感はできないかもしれないけど」

ヴィーネ「でも、こんなに自分の事を想ってくれるお姉さんがいたら、ちょっと良いなって思う」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「だからちょっぴりガヴが羨ましいわ」

ガヴリール「……べつに、姉妹なんてそんないいもんじゃないって……」

ヴィーネ「でも、少しは嬉しいでしょ?」

ガヴリール「……」

ガヴリール「…………うん」

ヴィーネ「普段からそんな風に素直になればいいのに」ナデナデ

34: 2019/01/07(月) 01:36:02.639 ID:eVSOkPiI0
ラフィエル「ふふ、気づきました? ガヴちゃんもゼルエルさんも同じなんですよ。どちらも寂しいんです」

ラフィエル「少し離れているだけでお互いの知らない部分はたくさん生まれていきます」

ラフィエル「でも知らないからこそ、お互いを理解するところから始めていけばいいんです」

ラフィエル「戸惑いを乗り越えた先にはより強い絆が産まれます。お二人ともそれができるはずですよ」

ラフィエル「だって姉妹ですから」

ゼルエル「……ああ」

ラフィエル「大丈夫です。ゼルエルさんの気持ちはしっかりガヴちゃんに伝わっていますから」

ゼルエル「うん。そうだと信じたい」

ゼルエル「すまない、君たちの模範となるべき大人が元気付けられたよ。どうも私は妹のことになると不器用になってしまう」

ゼルエル「ようやく答えをつかむ事ができた。本当にありがとう。ラフィエル」

ラフィエル「いえいえ私の大好きな親友のためでもありますから」ニコ


ヴィーネ「……ほら、ガヴ」

ガヴリール「うん、わかってるよ」

ガヴリール「神足通」パァァ

35: 2019/01/07(月) 01:37:01.795 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「姉さん」

ゼルエル「ガヴリール! どうしてここに?」

ガヴリール「実はその、全部見てたんだ。姉さんのこと」

ゼルエル「!」

ガヴリール「私も、下界に来てから姉さんのこと、うっとうしがって遠ざけてたし、自分から壁を作ってた」

ガヴリール「ごめんね。姉さん」

ゼルエル「……いや、私も自分の想いだけ押し付けていたかもしれない。こちらこそ申し訳なかった」

ガヴリール「……ん」

ゼルエル「ガヴリール」

ガヴリール「……なに」

ゼルエル「今日は姉さんとゆっくり話をしないか。下界でのお前の様子も知りたいんだ」

ゼルエル「ガヴリールが楽しかった事や嬉しかった事、下界でどんな風に感じたかをありのまま聞かせてほしい」

ガヴリール「うん」

36: 2019/01/07(月) 01:38:06.571 ID:eVSOkPiI0
ガヴリール「姉さんも天界の話を聞かせてよ。ハニエルの事とか、姉さんの大学のこととか」

ゼルエル「ああ、なんでも話してやるぞ」

ガヴリール「……はは、落ち着いたらお腹すいてきちゃった」

ゼルエル「よし今日は姉さんが夕飯を作ろう。ガヴリールにも手伝ってほしい」

ガヴリール「姉さん料理できるの? 下界のフライパン握ったら天使力強すぎて取っ手もげたりしないよね」

ゼルエル「なっ……姉さんだって力加減ぐらいできる! お前も普段はカップラーメンばかりだろう!」

ガヴリール「また千里眼で覗き見してたのかよ!」

ゼルエル「違う。世話焼き悪魔が教えてくれたんだ。まったくお前は成長期にそんな不健康なものばかり」

ゼルエル「姉さんが教えるから少しぐらい料理をしなさい!」

ガヴリール「やだよめんどくさいもん!」

ゼルエル「お菓子やコンビニ弁当ばかりじゃ身体を壊すんだぞ!」

ガヴリール「ヴィーネがたまにご飯作ってくれるからいいんだよ!」

37: 2019/01/07(月) 01:40:33.127 ID:eVSOkPiI0
【ガヴリール宅】


ヴィーネ「……上手く仲直りできたみたいね」

タプリス「姉妹愛って素晴らしいですね。私、感動しました……!」

ラフィエル「元々お二人とも仲良しですからね。今日はこのまま二人きりにしてあげましょうか」

サターニャ「いや、ていうかそこ私の家なんだけど!? あいつらここに来ればいいでしょ!!」

ヴィーネ「まあまあ、しばらくはいいじゃない。ガヴもお姉さんとゆっくり話せて嬉しいだろうし」

ラフィエル「私たちもこのままここでガヴちゃんかわいい会議を開きましょうか」

ヴィーネ「拗ねたガヴが素直になった時はとってもかわいかったなぁ」ニコニコ

サターニャ「ふん、普段からそうしてればいいのよ」

ラフィエル「あ、サターニャさんがガヴちゃんに構ってほしいって素直になったシーンも可愛かったですよ」

サターニャ「んなっ……忘れなさいよそれは!///」

38: 2019/01/07(月) 01:42:02.456 ID:eVSOkPiI0
【後日】


ガヴリール「はぁー、学校だるかった。とっとと帰ってスマブラやろ……」

ガヴリール「ただいまー」ガチャ

ゼルエル「おかえりガヴリール」

ガヴリール「……なんで今日もいるの」

ゼルエル「ほら早く制服を脱ぎなさい、姉さんがシワ取りをしてやろう。どら焼きがあるから手を洗ってくるように」

ガヴリール「なに当たり前のように私の生活に馴染んでるんだよ!」

ゼルエル「お姉ちゃんがいては邪魔か?」

ガヴリール「普通に邪魔だよ。最近毎日ウチ来てんじゃん」

39: 2019/01/07(月) 01:43:36.221 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「私はな、ガヴリール。先日の一件でお前の友人からとても大切な言葉を貰ったのだ」

ガヴリール「はぁ? なんの話?」

ゼルエル「思えば私はお前からの愛ばかり欲しがり受け身のままだったんだ」

ゼルエル「だが、自身の望みを叶えるためには例え邪険に扱われようが、勇気を持って自ら行動するべきである。と教わってな」

ゼルエル「私はその言葉を胸に、これから自信を持って積極的にお前を愛することに決めたんだ!」

ガヴリール「誰だ余計なことを言ったのは!!」

サターニャ「がっゔりーるぅ! スマブラしにきてあげたわよー!」ガチャ

ゼルエル「師匠、お久しぶりです」ペコリ

サターニャ「は? なに言ってんのあんた」

ガヴリール「こいつか」

40: 2019/01/07(月) 01:46:59.560 ID:eVSOkPiI0
ゼルエル「師匠。粗末ながらお茶を淹れました。どうぞおくつろぎ下さい」

サターニャ「ふふん、なんだか分からないけどいい気分ね。存分に私をもてなしなさ───」

ガヴリール「師匠。ちょっと向こうで話そうか」ガシ

サターニャ「へ? あんたまでなに……ちょっと顔怖いんだけど……いや、あの、まって、引きずらないで」

サターニャ「あっ、あっ…………だ、だれかー!!!」

ゼルエル「あ、もしもしハニエル? お姉ちゃんもう少し下界にいるから父さんと母さんに言っておいてくれ。ガヴリールも元気だぞ」

ゼルエル「ガヴリールが寂しくないようにお姉ちゃんがしっかり癒してあげなくてはな!」



41: 2019/01/07(月) 01:55:14.168 ID:eVSOkPiI0
ゼルエルシスコンSS読まないと結構違和感あるかも

42: 2019/01/07(月) 02:28:21.739
乙乙

引用元: ガヴリール「シスコンな姉さんはどうしようもない」