1: 2015/10/23(金) 21:40:26.07 ID:g2ah9tul0
Aパート

2: 2015/10/23(金) 21:41:17.13 ID:g2ah9tul0

1年前。

俺の言葉を聞いた両親の反応は、予想どおりだった。

父「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

母「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

男「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

父「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

母「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

男「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

母「待って!お願い!」

父「もうあんな奴は放っておけ!」


3: 2015/10/23(金) 21:42:03.51 ID:tsuXlbKW0

男「やっぱり、認めてくれなかったか…」

猫「ごめんね…私が、人間じゃないから…」

男「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

猫「男…

帰ろう。私たちの家に」

俺は猫を抱き上げ、家に帰った。


4: 2015/10/23(金) 21:43:24.44 ID:L8DUcd7r0

11ヶ月前。

男「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

猫「どうしたの?」

男「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

猫「男…なに恥ずかしいこと言ってんの///」

男「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

うーん、だけど、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

猫「それいいね!やろうやろう!」

元気一杯な猫を見ていると、俺にも元気が湧いてくるようだった。

5: 2015/10/23(金) 21:43:57.68 ID:g2ah9tul0

10ヶ月前。

男「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

猫「ど、どうしたの?大丈夫?」

男「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

猫「男、泣かないで。

私は、ずっと男の傍にいるから」

男「猫…ありがとう。

ありがとう…」

猫を抱きしめ、俺は涙を拭った。

6: 2015/10/23(金) 21:44:57.45 ID:g2ah9tul0

3ヶ月前。

プルルルル

プルルルル

猫「男ー!電話鳴ってるよー!」

男「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

猫「なんの電話だったの?」

男「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

猫「ふーん…私はちょっとテレビに出てみたかったかも、なんてね」

男「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」

俺と猫の関係は、あまり良くない噂として少しずつ広まっていった。

最初は、近所の人に遠巻きにされたり

逆に好奇の目でジロジロ見られたりする程度だった。

それぐらいなら、別にどうってことなかった。でも…

そのうち、イタズラ電話や嫌がらせを頻繁にされるようになってきた。

動物愛護を唱える団体が押しかけて、俺に文句を言いに来たこともあった。

だから、引っ越すことにしたんだ。

7: 2015/10/23(金) 21:45:43.86 ID:tsuXlbKW0
2ヶ月前。

男「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

猫「どこ、ここ…知らない場所…」

男「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

猫「…嫌っ!」

男「あっ!?ちょっと、待って!」

半開きのドアから飛び出した猫を追って、俺も外に走り出た。

8: 2015/10/23(金) 21:46:13.08 ID:g2ah9tul0

男「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」

夜になるまで探し回っても、猫は見つからなかった。

9: 2015/10/23(金) 21:46:48.93 ID:L8DUcd7r0

男「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

トボトボと家に歩いて帰ると、聞き慣れた猫の声が聞こえてきた。

慌てて辺りを見回すと、近くの路地裏から猫が走り寄ってきた。

猫「男!!」

男「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

猫「ごめんね、もうどこにも行かないから…

許してくれる?」

男「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」

10: 2015/10/23(金) 21:47:25.76 ID:g2ah9tul0

今日。

男「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

猫「男、あなたの子供が今お腹にいるのよ」

男「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

猫「男、お願い、信じてよ…」

男「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

猫「違う!ねえ、聞いてよ…」

男「ああああああ!黙れ黙れ!」

俺はあの時の猫のように家を飛び出して、走り続けた。

11: 2015/10/23(金) 21:47:58.33 ID:g2ah9tul0

そうだ…そして、俺はここに来たんだ。

ここから海に向かって飛び込めば、氏ねるだろうか。

猫との思い出を振り返ってみたけど、やっぱり俺は…

俺には猫しかいなかったのに。

あいつは俺を裏切った。

猫のために、家族とも友達とも縁を切ったのに。

俺には、猫しか。

だから

12: 2015/10/23(金) 21:48:27.97 ID:tsuXlbKW0

男「さよなら」


13: 2015/10/23(金) 21:48:55.92 ID:L8DUcd7r0

Aパートおわり

14: 2015/10/23(金) 21:49:27.81 ID:tsuXlbKW0

Bパート

15: 2015/10/23(金) 21:49:55.94 ID:g2ah9tul0

男「猫と結婚することにした」

16: 2015/10/23(金) 21:50:24.60 ID:tsuXlbKW0

父「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

母「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

男「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

父「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

母「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

男「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

母「待って!お願い!」

父「もうあんな奴は放っておけ!」

17: 2015/10/23(金) 21:50:56.48 ID:L8DUcd7r0

男「やっぱり、認めてくれなかったか…」

猫「にゃあ」

男「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

猫「にゃあ」

18: 2015/10/23(金) 21:51:30.14 ID:L8DUcd7r0

男「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

猫「にゃあ」

男「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

猫「にゃ~ん」

男「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

でも、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

猫「にゃー」

20: 2015/10/23(金) 21:52:06.67 ID:g2ah9tul0

男「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

猫「にゃ~」

男「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

猫「にゃ~ん」

男「猫…ありがとう。

ありがとう…」

21: 2015/10/23(金) 21:52:34.11 ID:g2ah9tul0

プルルルル

プルルルル

猫「にゃー」

男「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

猫「にゃあ」

男「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

猫「ごろごろ…」

男「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」

22: 2015/10/23(金) 21:53:15.40 ID:tsuXlbKW0

男「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

猫「フー…」

男「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

猫「…にゃっ!」

男「あっ!?ちょっと、待って!」

24: 2015/10/23(金) 21:53:50.99 ID:L8DUcd7r0

男「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」

25: 2015/10/23(金) 21:54:14.87 ID:g2ah9tul0

男「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

猫「にゃあ」

男「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

猫「にゃあ」

男「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」

26: 2015/10/23(金) 21:54:38.87 ID:tsuXlbKW0

男「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

猫「にゃ~」

男「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

猫「にゃーん」

男「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

猫「にゃあ」

男「ああああああ!黙れ黙れ!」

27: 2015/10/23(金) 21:55:06.06 ID:tsuXlbKW0

男「さよなら」

28: 2015/10/23(金) 21:55:26.04 ID:L8DUcd7r0

Bパートおわり

29: 2015/10/23(金) 21:55:53.01 ID:L8DUcd7r0

おまけ

30: 2015/10/23(金) 21:56:18.45 ID:g2ah9tul0

男「う…



ここは…



砂浜?



俺は



生きてるのか…



どこなんだここ…」

31: 2015/10/23(金) 21:56:57.70 ID:tsuXlbKW0

男「とりあえず歩いてみたけど



そんなに大きくもない無人島?なのかな



外周をぐるっと回って



また砂浜に戻ってきた



これからどうしよう…







あれは?



なんだ?」



エイ「…」スイー



男「…



エイだ…







お前が助けてくれたのか?」



エイ「…」スイスイ



男「…



ありがとう…」

32: 2015/10/23(金) 21:57:23.79 ID:tsuXlbKW0

男「エイと結婚することにした」

33: 2015/10/23(金) 21:57:52.86 ID:L8DUcd7r0

おわり

35: 2015/10/23(金) 22:13:15.04
いつか結婚相手の毒で氏にそうだ

引用元: 男「猫と結婚することにした」