1: HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/02/06(金) 18:53:19.78 ID:ogvLqeml0
少女「はぁ・・・ねえお兄さん、ここどこ??」

男「え??」

少女「ここどこ??」

男「(この子いつの間に??)」ドキドキ

3: 2009/02/06(金) 18:54:45.51 ID:ogvLqeml0
少女「ここはどの辺??」

男「えと・・・○○県の○○市っていうとこで」

少女「??ごめんやっぱわかんないや」

男「??」

6: 2009/02/06(金) 18:56:39.28 ID:ogvLqeml0
男「君どこから来たの??」

少女「ん」

男「え??上??」

少女「ん」

男「北??」

少女「んん」

男「違うのか・・・」

少女「(ホントのことは自分から言っちゃいけないんだよね・・・どうしよ)」

少女「(この人が勝手に気付く範囲ならOKなんだけど)」

少女「まあいいや」

男「なにが??」

7: 2009/02/06(金) 18:58:59.17 ID:ogvLqeml0
少女「お兄さん何してるの??」

男「おれ??おれは、ここで唄ってんの」

少女「歌手なの??有名な人??」

男「いや違うよwだってお客いないでしょwww」

少女「じゃあ何で唄ってんの??」

8: 2009/02/06(金) 19:01:07.98 ID:ogvLqeml0
男「おれはね、唄いたいから唄ってんの」

男「有名になって、お客が増えて、CD出してキャーキャー言われたりは・・・」

男「そりゃまあ少しは期待しちゃうけど・・・でもそういうために唄ってるんじゃないんだ」

少女「ふーん。よくわかんないや」

少女「お兄さんなんて名前??」

男「ムサシ。君は??」

少女「あたし名前ないの」

男「・・・(家出少女か??)」

9: 2009/02/06(金) 19:03:04.73 ID:ogvLqeml0
少女「ムサシ、一人暮らし??」

男「うんまあ」

少女「じゃあさ、泊めてよ。変なことしないからさ」

男「それ普通男のセリフじゃね??」

少女「大丈夫。あたし強いから」

11: 2009/02/06(金) 19:07:02.49 ID:ogvLqeml0
少女「家せまー」

男「しゃあないだろ。一人暮らしなんだからこれで十分」

少女「くさー・・・くはないな。なんでだろ」

男「男の部屋がみんな臭いと思ったら大間違いだ」

少女「しばらくご厄介になるね」

男「友達来る時は、席外せよ」

少女「友達いんの??」

男「・・・いないけど」

12: 2009/02/06(金) 19:09:18.18 ID:ogvLqeml0
少女「ベット占領~」

男「おめーは床で寝ろ」

少女「客だよ」

男「居候だろが」

13: 2009/02/06(金) 19:11:56.33 ID:ogvLqeml0
少女「ね」

男「ん」

少女「名前付けてよ」

男「お前ペットかよ」

少女「いいじゃんか。ね」

男「・・・じゃあタマ」

少女「にゃー」

14: 2009/02/06(金) 19:14:17.10 ID:ogvLqeml0
少女「冗談だよね」

男「うん///(激しく萌えてしまった)」

男「(金髪ショート・・・でも不良っぽくはなく)」

男「(何人だろ)」

男「(つけるなら洋名かなぁ)」

16: 2009/02/06(金) 19:16:32.59 ID:ogvLqeml0
男「リサ」

少女「んー微妙」

男「リア??」

少女「黒船かい」

男「リリー」

少女「フランキー??」

少女「リから始まるのばっかだね」

男「洋名となると、なんとなくリが思いつくんだが」

少女「さては口リコンか」

男「それは冤罪だ」

17: 2009/02/06(金) 19:19:08.54 ID:ogvLqeml0
男「コジローは??」

少女「なんで??嫌だよ」

男「いやなんとなく・・・w」

男「リン」

少女「あ、それいいかも」

男「じゃあお前リンな」

少女「♪」

18: 2009/02/06(金) 19:21:03.63 ID:ogvLqeml0
少女「唐揚げうまー」

男「冷凍だけどな」

少女「揚げ方が絶妙ですね」

男「いやチンしただけだから」

少女「はふはふ。うまー」

男「それ言いたいだけか??」

少女「んんん」

男「片付けは手伝えよ」

少女「えー」

19: 2009/02/06(金) 19:23:30.77 ID:ogvLqeml0
少女「♪」ぱたぱた

男「どした。嬉しそうにして」

少女「おいしいものでお腹いっぱいになると機嫌良いのあたし♪」

男「単純で良いことです」

少女「明日も唐揚げがいいな」

男「リンなんか作れないの」

少女「あたし料理とか家事系全部落第だったの」

男「落第??」

少女「あ、いやこっちの話」

20: 2009/02/06(金) 19:25:51.31 ID:ogvLqeml0
男「風呂先入っちまいな」

男「新品のタオル使っていいから」

少女「ムサシは??」

男「作曲してるから。邪魔しないでくれよ」

少女「覗くなよー///」

男「うん」カリカリ

少女「(・・・そういう反応も傷付くなあ・・・)」

男「(裸には興味ない。脱いだ下着こそおれの嗜好品)」

21: 2009/02/06(金) 19:30:16.05 ID:ogvLqeml0
ざぷーぱしゃぱしゃ

少女「あー今日は疲れたー」

少女「ってなんもしてねー」

少女「天界に帰るには・・・どうしなきゃいけないんだっけか」

少女「大天使様が言うには、人間を一人天国へ導けばいいんだっけ」

少女「まあつまり善良な市民を一人頃して来いってことだよね」

22: 2009/02/06(金) 19:32:03.52 ID:ogvLqeml0
??「んなわけねーだろこのどあほう」

少女「!!」

大天使「天使の仕事が殺人のわけねーだろこのスカが」

少女「だ、大天使様・・・の声??」

大天使「テメーのことは、雲の上からしーっかりと見張ってる」

大天使「変な真似したら、一生地上で暮らさせるからな」

少女「そ、それはいやっす・・・」

24: 2009/02/06(金) 19:34:27.81 ID:ogvLqeml0
少女「どうしたらいいんですか」

大天使「テメーのその腐れ脳味噌で頑張って考えな、と言いたいところだが」

大天使「まあヒントをやるとしたら、『一人の人間に、笑顔で安らかな氏を迎えさせろ』ってとこだ」

少女「ほうほう」

少女「つまりあたしのこの谷間に溺れさせて殺せば」

大天使「谷間??平地しか見えんぞ」

少女「くっ・・・///」

25: 2009/02/06(金) 19:36:03.17 ID:ogvLqeml0
少女「大体、大天使様だって平地・・・」ボソボソ

大天使「なにか・・・言ったか??」

少女「いえ」

27: 2009/02/06(金) 19:37:47.43 ID:ogvLqeml0
大天使「早くも一人の人間と接触しているな」

大天使「落ちこぼれのテメーにしては上出来だ」

大天使「まあ気長にその男を幸せにして、最後を看取ってやれば良い」

少女「長くないですかそれ・・・」

大天使「氏にそうな人間なんて、ホイホイ落ちているもんじゃないだろう」

少女「うう」

28: 2009/02/06(金) 19:40:23.36 ID:ogvLqeml0
大天使「まあそんな感じで私はいつでも見張っているから」

大天使「気を抜かないようにしろよ」

少女「・・・はぁーい」

大天使「返事は短く」

少女「はいはい」

大天使「一回だ」

少女「・・・はい」

29: 2009/02/06(金) 19:42:43.33 ID:ogvLqeml0
少女「お風呂ありがと」

男「うん」カリカリ

少女「ね」

男「うん??」

少女「持病とかない??」

男「ない」

少女「そっか」ガッカリ

30: 2009/02/06(金) 19:45:12.92 ID:ogvLqeml0
少女「彼女は??」

男「いないよ」

少女「寂しいね」

男「・・・ほっとけよ」

少女「あたしに欲情すんなよw」

男「おれのストライクゾーンはもっと上だ」

少女「年齢??」

男「あと胸も」

少女「むー」

31: 2009/02/06(金) 19:47:04.92 ID:ogvLqeml0
男「おれ、まだ氏ぬ予定はないからな」

少女「え!?」

男「聞こえてたから。風呂の・・・会話」

少女「・・・マジで」

男「マジで」

少女「・・・信じたの??」

男「羽根付いてたらもっと信じるんだけど」

男「(下着チェックしに行ってたなんて言えない・・・)」

男「(しかし縞々は反則だろ・・・JK)」

32: 2009/02/06(金) 19:49:36.69 ID:ogvLqeml0
いつもにも増して人がいないんだが、どうしよう


少女「羽根は、大天使様に取られちゃって」

男「さっきの会話の人だよな」

少女「うん」

少女「魔法も・・・使えなくなってて」

男「うん」

男「え、天使って魔法使えるの??」

少女「うん。まあゲームとかで出てくるような派手なのじゃないけどね」

少女「まあそれも使えないし。だから、天使とか証明するものがないわけで」

男「あのさ」

少女「え」

34: 2009/02/06(金) 19:52:03.31 ID:ogvLqeml0
男「いや・・・お前さ、いきなり目の前に現れて、おかしいとは思ってて」

少女「うん」

男「よく見たらさ、お前頭の上にわっか付いてんじゃん」

少女「・・・ほんとだ」

男「知らなかったのか」

少女「うん」

男「ベタだな」

少女「だよね」

36: 2009/02/06(金) 19:54:33.95 ID:ogvLqeml0

少女「外しとこ」

男「え、外せんの、それ」

少女「うん、まあアクセサリーみたいなものだよ」

男「それ取っちゃうとほとんど人間だよな」

少女「そーだねw」

38: 2009/02/06(金) 19:57:13.21 ID:ogvLqeml0
男「で、なんで下界に落とされたの」

少女「あたしの成績不良、素行不良に対しての罰。あとまあ下界研修も兼ねて」

男「下界研修ね」

少女「そんなのいらないって思うんだけどね」

男「何でこの街に??」

少女「あたしの意思は関係ないよ。気づいたらここに落とされてた」

男「罰だって言っても、わざわざこんな戦中の街に落とすかなw」

少女「そういや家とか結構壊れてたね」

男「某組織に狙われちゃったからな」

少女「この街が??」

男「うん」

少女「何でこの街が狙われるの??」

男「それはおれも知らない」

39: 2009/02/06(金) 20:00:29.30 ID:ogvLqeml0
少女「某組織ってそいつら、どこにいるの??」

男「街の大きな建物とか占領して、そこで暮らしてるみたい」

少女「ムサシ外に出て大丈夫だったの??」

男「最初は暴れまわってたイメージがあるけど、最近じゃはむかう人たち以外には何もしてこないよ」

少女「そっか」

男「まあ怖いやつらであることは変わりないけどね」

少女「だから人が少なかったのね」

男「ほとんど家の中にこもってるんじゃないかな」

41: 2009/02/06(金) 20:03:24.15 ID:ogvLqeml0
少女「警察とか・・・動いてくれないの??」

男「動いてるよ」

少女「じゃあ」

男「人質がいるんだ」

少女「!!」

男「それもたくさん。要人の親族ばかり狙って、全国で同時に誘拐があったんだよ」

少女「そんなに大きな・・・組織なの」

男「うん。今大問題になってる。そういう話・・・聞いたことない??」

少女「・・・あたしあんまりニュースとか見ないから」

42: 2009/02/06(金) 20:04:42.41 ID:ogvLqeml0

少女「ねえ、家族は??」

男「いない」

少女「この戦争のせい??」

男「いや。もっと昔に亡くなったんだ」

少女「そっか。ごめん」

男「・・・父さんと母さんは、科学者だったんだ」

少女「・・・え??」

43: 2009/02/06(金) 20:06:57.94 ID:ogvLqeml0
男「実験中に事故があって、それで父さんが亡くなって」

少女「・・・」

男「母さんも後を追うように・・・」

少女「・・・」

男「まあ、小さい頃だから全然覚えてないんだけど。人から聞いた話だし」

少女「・・・悲しいね」

男「うん」

少女「ごめんね」

男「うん」

44: 2009/02/06(金) 20:09:25.25 ID:ogvLqeml0
少女「帰ってくる途中にあった、あの大きい建物・・・」

男「うん。あれが研究施設だった。もう中にはほとんど何にもないけど」

少女「でも人の気配してなかった??」

男「あいつらが拠点にしてるんだ」

少女「!!」

45: 2009/02/06(金) 20:12:56.74 ID:ogvLqeml0
男「時々出てきては、見回りとかして威圧してる」

男「だからおれの唄を聴いてくれるやつも全然いないしw」

男「まあ人がいたからって聴いてもらえるかどうかはわからんけどなw」

少女「・・・」

男「だからこんな街に来たってさ、天界??とか言うところに帰れるのか??」

少女「・・・」

男「幸せなんて全然ないぜ、この街」

少女「・・・」

46: 2009/02/06(金) 20:14:46.17 ID:ogvLqeml0
少女「ムサシは今幸せ??」

男「おれ??おれはそんなに・・・」

少女「だよね。だからね、あたしはとりあえずムサシを幸せにする」

男「そして近いうちに殺されるのか??w」

少女「・・・そんなことしないってば」

男「(その間はなんだよ)」

47: 2009/02/06(金) 20:18:23.74 ID:ogvLqeml0
少女「その組織がいなくなれば、この街も元に戻るよね」

少女「そしたらムサシ幸せだよね」

男「まあ、そうだな」

少女「じゃああたし組織やっつけるよ」

男「!!」

少女「とりあえず」

男「やめろ」

少女「え??」

男「危ないって!!武器だってたくさん持ってるし」

男「警察がどうにもできない相手なんだぞ」

48: 2009/02/06(金) 20:20:24.94 ID:ogvLqeml0
少女「でも」

男「お前が氏んじゃうじゃん」

少女「天使は氏なないし」

男「今はただの人間に見えるぞ」

男「魔法とかも使えなくなってるんだろ」

少女「・・・それは」

男「氏なない保証あるのかよ」

少女「・・・」

49: 2009/02/06(金) 20:23:42.78 ID:ogvLqeml0
男「じゃあ、さ・・・おれも手伝うよ」

少女「え」

男「お前よりは相手のこと知ってるし」

少女「うん」

男「いざとなったら守るし」

少女「・・・うん」

男「こんな冴えないおれでも、女の子の盾になって氏ねたら本望だし」

少女「でも」

男「そしたらお前天界に帰れるだろ」

50: 2009/02/06(金) 20:26:11.36 ID:ogvLqeml0
少女「・・・そんな帰り方いや」

男「おれも飽き飽きしてたしな。こんな生活」

少女「・・・いや」

男「リンが言い出したんだろ」

少女「・・・いざとなったら先に逃げろよな」

男「どうかなw」

51: 2009/02/06(金) 20:28:18.77 ID:ogvLqeml0
男「なんか使える魔法残ってないのか」

少女「・・・えいっ」

男「??」

少女「・・・ダメだった」

男「今の何??」

少女「お菓子出す魔法」

男「犯しだす??」ぬぎぬぎ

少女「ちょ、やめろ」

52: 2009/02/06(金) 20:30:46.82 ID:ogvLqeml0
男「親玉をとっ捕まえれば、組織も壊滅するとは思うんだけど」

少女「親玉ってどんなやつ??」

男「いや知らねーんだけど」

少女「研究所のとこにいるのか」

男「多分な。研究所の何かが目的なのかなってずっと思ってんだけど」

少女「それが何かは」

男「わからん」

少女「警察に要求とかはないの??」

男「我々の邪魔はするな、って。それだけ」

53: 2009/02/06(金) 20:32:25.66 ID:ogvLqeml0
少女「お父さんの研究に何か関係あるんじゃ」

男「あ」

少女「何か知ってる??」

男「・・・前に研究所からもらってきた、父さんの形見のノートPCがある。でもパスワードが解けなくて、ほったらかしにしてる」

少女「とりあえず見せてよ」

55: 2009/02/06(金) 20:35:36.03 ID:ogvLqeml0
カタカタ・・・

男「パスワードは半角英数と数字で3文字以上10文字以内」

少女「名前とかは??」

男「おれのも父さんのも母さんのも試した」

少女「生年月日とかは」

男「それもダメだった」

男「vip、vipvip、vipper、vippest」

男「zip、zipzip、zipper、zippest」

男「sage、鏡、蟹、今日4、今日8、愛、鯛・・・」

少女「何の呪文よ」

男「宝箱を開ける魔法の呪文。効かなかったけどな」

56: 2009/02/06(金) 20:38:16.49 ID:ogvLqeml0
少女「この町の名前とか」

男「えーと・・・違った」

少女「じゃああたしの名前」

男「R・・・I・・・N・・・って、いや無理だろこれw」

ウィーン

58: 2009/02/06(金) 20:41:10.70 ID:ogvLqeml0
少女「開いた!!」

男「え??マジで??なんで??」

少女「なんでだろ」

男「でもファイルほとんどないぞ」

少女「『父さんからのファイル』ってのがあるよ」

男「開けてみる」

59: 2009/02/06(金) 20:43:20.96 ID:ogvLqeml0
―父さんからのファイル―
このファイルを見たということは、おそらくお前はもういい大人になっているのだろう。

男「これ小学生とかの時に開けてたらどういうリアクション取ればいいんだろう」

少女「そういう突っ込みはナシね」

61: 2009/02/06(金) 20:45:42.97 ID:ogvLqeml0
私がまだ生きているのならば、すぐにこのPCを閉じなさい。この先を見る必要はない。
私がもしなんらかの理由でお前とコンタクトを取れないのならば、この先のメッセージをしっかりと読んでほしい。

私は研究についてお前に一切話したことはないな。
私の研究は世界を救うものであると信じているが、世界にはまだ認められていないものだ。
また、これを悪用しようと企んでいる人間も少なからず存在する。

今の段階ではまだ表立った活動をしていないようだが、この研究が完成したとき、そういった連中が狙ってくる可能性がある。
もしそうなったら、お前が私の研究を守ってほしい。

これを読んでいるということは、私の研究は完成してはいない。
私の研究の最終調整は、お前とリンにかかっているのだ。

62: 2009/02/06(金) 20:49:40.10 ID:ogvLqeml0
男「リン!?」

少女「なんでお父さんはあたしの名前を知ってるの!?」

男「リン・・・リン・・・あっ!!」

男「そうだ、おれには・・・妹がいた。ほとんど覚えてないけど、確かにいた」

少女「どうしてそれ忘れてたの」

男「まだお互いちっちゃかったし、少しの間しか一緒にいなかったんだった」

少女「『いた』ってことはまさか」

男「父さんと一緒に・・・氏んだんだ。思い出した」

少女「その妹さんの名前が、まさか」

男「リン・・・だった」

63: 2009/02/06(金) 20:54:01.89 ID:ogvLqeml0
男「いきなり父さんが連れてきた。新しい妹だよって」

少女「それって変じゃない??何でいきなり妹ができるの」

男「その時は深くは考えてなかったな。拾い子だったのかも」

少女「で、その妹さんがキーなら、ムサシピンチじゃない??」

男「それはきっとリンが代わりになってくれるさ」

少女「名前偶然一緒なだけじゃん」

男「きっと記憶の奥底に残ってたんだろうな。お前が気に入ったのは偶然かもしれないけど」

66: 2009/02/06(金) 20:57:44.83 ID:ogvLqeml0
研究所にある機械の一つが、この世の中を良くしてくれる。
そう信じている。
研究の完成には、まだ被験者になっていない人間のデータが必要だ。
リンにはすでに被験者になってもらったことがあるから、ムサシのデータを入れてくれ。
パスワードを入れて解除し、画面に従って進めていけば

パスワードは

男「おいこんなところで終わってるぞ」

少女「大事なトコないじゃん」

68: 2009/02/06(金) 21:01:24.92 ID:ogvLqeml0
男「その機械ってのが、あいつらの狙いか。多分まだ使えてないんだな」

少女「それだけのためにこの街を攻撃したの・・・??ひどい」

男「多分親玉が持ってるんだろうけど、取り返さなきゃいけないな・・・」

少女「そいつらが、使い方を知ってしまう前に・・・ね」

69: 2009/02/06(金) 21:04:07.41 ID:ogvLqeml0
少女「じゃあさっそく潜入作戦考えようよ」

男「待て、何かと準備が必要だし、明日にしないか。考えるの」

少女「もう寝るの??」

男「もうって、結構いい時間だろ」

少女「あ、ほんとだ」

男「で、さ。布団一組しかないんだけど」

少女「ソファあるじゃん」

男「いや、さすがに女の子をソファに寝かせるってのはダメだろ」

少女「それは当たり前でしょ??」

男「・・・え」

70: 2009/02/06(金) 21:06:44.06 ID:ogvLqeml0
男「結局布団取られた・・・」

少女「すーすー」

男「・・・しかし・・・お尻可愛いな・・・」

少女「すーすー」

男「あーやべー。むしゃぶりつきたい。口リでもいい、この際」

少女「・・・」

男「あー我慢できねー」ハァハァ

少女「聞こえてるんだけど」

男「あ、ごめん」

72: 2009/02/06(金) 21:10:19.49 ID:ogvLqeml0
少女「変なことすんなよ」

男「しないしない。大丈夫大丈夫」

少女「2回言うと嘘っぽいよね」

男「そ、そんなことないない!!」

少女「こっちきていいよ」

男「え」

少女「あたしもそのほうが温いし」

男「お、おう」

少女「へんなことすんなよーむにゃむにゃ」もぞもぞ

男「・・・」ドキドキ

73: 2009/02/06(金) 21:12:37.97 ID:ogvLqeml0
男「寝れない」

少女「すーすー」

男「あーいい匂いだ」

少女「すーすー」

チュンチュン

男「・・・え??もう朝??」

少女「んー??」

76: 2009/02/06(金) 21:15:48.69 ID:ogvLqeml0
男「全然眠れなかった・・・」

少女「おはよ」

男「・・・おはよ」

少女「さ、今日は作戦会議だー」

男「お、おう」

少女「元気ないよ??ほらしゃきっとしゃきっと!!」

男「お、おう」

77: 2009/02/06(金) 21:18:38.09 ID:ogvLqeml0
男「パンでいい??」

少女「なんでもいーよー」

男「ほれ」コト

少女「おお、朝からスープまであるとは」

男「インスタントだぞ」

男「ってか昨日の唐揚げといい、天使ってあんまいいもの食べてないのか??」

少女「朝は基本パンと水だね」

男「囚人みたいだな」

78: 2009/02/06(金) 21:20:53.74 ID:ogvLqeml0
男「昼とか夜はいいもの食べてるのか??」

少女「あたしはヒラ天使だから昼はラーメンとか。夜はカレーとかかな」

男「学生みたいだな」

男「・・・え、毎日??」

少女「まあ大体ね」

少女「まとめて食券買うと安いから」

男「学食かよ」

79: 2009/02/06(金) 21:24:22.99 ID:ogvLqeml0
男「なんかイメージ狂うな」

少女「こっちもそんな感じなの??」

男「多分ほとんど一緒だわ」

少女「いいもの食べたいと思ったら、上級天使の先輩にねだったりー」

男「ほとんど一緒だわ」

少女「自炊するのはお金が浮く代わりに面倒だしー」

男「・・・ほとんど一緒だわ」

80: 2009/02/06(金) 21:26:32.32 ID:ogvLqeml0
男「なんか夢が壊れたなー」

少女「ごちそうさまー」

男「はいよ」

少女「さ、作戦会議しよー」

男「んーまずは武器かな」

男「相手が何持ってるかはわからんけど、きっとやばいもの持ってる」

少女「あたしの美貌とかでさー」

男「ナイフと飛び道具くらいはほしいところだな」

少女「おい聞いてたか??」

81: 2009/02/06(金) 21:30:25.49 ID:ogvLqeml0
少女「ナイフなんてどこで手に入れるの」

男「・・・サバゲーとか好きだったから、一応サバイバルナイフ持ってる」

少女「ほほう。銃刀法違反ですね」ニヤリ

男「いや使ってないから大丈夫」

少女「え、でもナイフとか持ってるだけで・・・」

男「お前ほんと下界の知識ないのな。それだと主婦みんな捕まるじゃん」

少女「・・・そりゃあ法律とかも落第だったからね!!」

男「いばるなw」

82: 2009/02/06(金) 21:33:05.69 ID:ogvLqeml0
男「リンお前なんか得意なものなかったのかよ」

少女「飛ぶスピードはかなり自信あるよ」

男「他には」

少女「あとは魔法系かな。相手を操ったり、色々なもの出したり」

男「・・・どっちにしても今は役に立たないな」

少女「うう・・・」

84: 2009/02/06(金) 21:35:09.16 ID:ogvLqeml0
少女「飛び道具はどうするー??」

少女「ピストルとかはさすがにないよね・・・」

男「・・・あ、改造モデルガンなら何丁か」

少女「え、それって・・・違反じゃないの??」

男「・・・だ、大丈夫大丈夫」

少女「そーなのか」

男「そうそう」

85: 2009/02/06(金) 21:37:26.15 ID:ogvLqeml0
男「あとは・・・まあ色々入れてくか」

少女「リュックでけー」

男「結構入るんだぜ。便利なんだから」

少女「じゃあさ、サンドイッチと、唐揚げと、あとコーヒーと」

男「ピクニックじゃねえ」

86: 2009/02/06(金) 21:40:12.90 ID:ogvLqeml0
少女「で、作戦は」

男「まずは問題の機械を手に入れなきゃ始まらん」

少女「うんうん」

男「それをどうするか」

少女「どうするの??」

男「・・・」

少女「ノープランか」

男「・・・」

87: 2009/02/06(金) 21:43:25.16 ID:ogvLqeml0
少女「ムサシのお父さんって研究所の偉い人だった??」

男「んーまあヒラではなかっただろうな」

少女「じゃあもうばらしちゃおうよ。研究員の息子ですって」

少女「それで、大事な秘密を知ってるから入れてくれ、みたいな」

男「・・・危険じゃないか??」

少女「やってみなきゃわかんないよ」

男「お前はどうすんの」

少女「妹・リンを演じる」

88: 2009/02/06(金) 21:45:52.92 ID:ogvLqeml0
男「そんなにうまくいくのか??」

少女「やってみなきゃわからないじゃない」

男「そりゃそうだけど」

少女「それの使い方を知ってるんだけど、返してくれーみたいな」

男「まあ持って逃げるのは無理だろうな」

少女「なんとかなるって」

男「お前のその楽観的なのは性格か」

90: 2009/02/06(金) 21:48:32.69 ID:ogvLqeml0
少女「とりあえずそれっぽいの借りて、パスワード入れて、画面に従って進めていけば」

男「・・・そしたら、どうなるんだろうな」

少女「・・・さあ」

男「何の研究かくらい書いといてくれよな・・・」

少女「ほんとにね」ぷりぷり

男「・・・」

少女「ぷりぷりっておならじゃないよ。怒ってるんだよ」

男「わかってるって」

91: 2009/02/06(金) 21:52:04.35 ID:ogvLqeml0
男「しかしこのリュック目立ちすぎるな」

少女「物を見えないようにする魔法が今使えたらなー」

男「そ、そんなのあるのか」

少女「便利だよー。でもさわれちゃうけどね」

男「ってててててててことはそれの魔法をおれにかけてくれればあんなことやこんn」

少女「そういうことには使えません」

92: 2009/02/06(金) 21:55:04.50 ID:ogvLqeml0
男「正面から入るとしたら、どう考えてもリュック入り口で没収されるな」

少女「裏口とかから入る??」

男「・・・それができたら警察がとっくにやってる」

少女「だよね」

大天使「何やらお困りのようだな・・・ふふふ」

男・少女「!!」

94: 2009/02/06(金) 21:57:45.96 ID:ogvLqeml0
男「この声は・・・昨日脱衣所で聞いた・・・」

少女「大天使様!!」

少女「・・・ん??そういえば何でムサシ脱衣所にいたの??」

男「!!」ビクッ

男「ま、まあそんなことより・・・」

大天使「この男はお前の下着の品定めをしていた」

男「あばばばばばばばばばばばば」

95: 2009/02/06(金) 22:01:14.56 ID:ogvLqeml0
少女「大天使様、あの、お願いが」

大天使「テメーに魔法の力を戻せと、そういうことだろう」

少女「は、はい。やっぱり大天使様は何でもお見通しなんですね」

大天使「ふん、いつでも見ていると言っただろう」

少女「・・・そうでした」

大天使「時に少年、意識はあるか」

男「・・・だいびょうびゅでふ」

大天使「一瞬でここまでのダメージを与えるとは、落ちこぼれのテメーも少しは成長したようだな」

少女「えへ♪」

96: 2009/02/06(金) 22:04:35.46 ID:ogvLqeml0
シュイーン

大天使「・・・ほれ。少し力を戻しておいたぞ。感謝しやがれ」

大天使「しかし下界の日常があまりにも変わってしまうような類のものは使えないから注意することだ」

少女「ありがとうございました!!」

大天使「私もつくづく甘いな・・・じゃあな。まだしっかり見ているからなw」

少女「はい!!」

少女「これで・・・リュックが消せるなムサシ!!」

男「(・・・おれのダメージも消してくれ)」

98: 2009/02/06(金) 22:08:03.51 ID:ogvLqeml0
少女「ムサシーそんなに痛かった??」

男「・・・」

シュイーン

男「・・・あれ・・・傷が消えた」

少女「ふふん♪こんくらい朝飯前だって」

男「すげーほんとに消せるのか」

少女「逆のこともできるから、今後気をつけなさい」

男「(・・・今さら気付いたけど、コイツ悪魔の方が近いよな)」

99: 2009/02/06(金) 22:12:16.53 ID:ogvLqeml0
少女「お腹すいた」

男「早いな」

少女「消化は早いのです」

男「天使ってその辺人間と変わりないのか」

少女「うん、ほとんど一緒じゃない??」

男「へー。昼は何食べたい??」

少女「おいしいものなら何でも」

101: 2009/02/06(金) 22:15:08.98 ID:ogvLqeml0
男「じゃあ、普段高くて手の出せないメニュー作ってやるよ」

少女「マジで!!マジで!!じゃあね・・・」

少女「・・・天丼!!」

男「結構現実的だなw」

少女「ヒラ天使はお金がなくて生活ギリギリなんだからね」

102: 2009/02/06(金) 22:17:43.54 ID:ogvLqeml0
少女「うーめえええええ」

男「そりゃあよかった」

少女「ムサシきっといいシェフになるよ」

男「残念だがそういう夢はないな」

少女「音楽で食べていくの??」

男「そのつもりもない」

少女「・・・そういえばムサシ生活費どっから出してるの」

男「・・・内緒だ」

103: 2009/02/06(金) 22:20:55.66 ID:ogvLqeml0
男「ごめん、眠い」

少女「まだ昼だよ」

男「昨日あんま寝れなかったから」

少女「あたしにハァハァしてて寝れなかったかーw」

男「・・・」

少女「図星かい」

男「皿とか水につけといて・・・」

少女「ほいほい」

男「晩飯とか・・・腹減ったら・・・そこのチラシでも見て出前頼め・・・」

少女「おう」

男「ちょっと寝る・・・」

106: 2009/02/06(金) 22:25:15.18 ID:ogvLqeml0
少女「おーい」

男「んん・・・」

少女「起きた??」

男「・・・今何時??」

少女「7時」

男「そっか・・・もう夜か」

少女「朝だよ??」

男「・・・寝すぎた・・・」

107: 2009/02/06(金) 22:29:52.43 ID:ogvLqeml0
少女「さ、今日こそ行くぜ!!」

男「おーし!!」

少女「目覚めすっきり??」

男「おう。ところでその服は」

少女「あ、シャツ借りてるね。ちょっと大きいけど」

男「下着とかは??」

少女「そこはタブー」

108: 2009/02/06(金) 22:32:53.03 ID:ogvLqeml0
少女「さ、じゃあとりあえずリュックだけ消しとくね」

ヒューン

男「・・・おお、すげえ」

少女「頑張ればムサシごと消せるんだけど、まあ今はリュックだけでいいでしょ」

男「なあ、おれとお前の両方消せたら、簡単に侵入できるんじゃね??」

少女「残念、消せる人間は一人だけなのです」

少女「その人の服とかカバンとかは一緒に消せるけど、二人消すことはできないの」

男「そっか。まあそんなに万能じゃないよな・・・これだけでも十分だ。ありがとう」

111: 2009/02/06(金) 22:39:59.94 ID:ogvLqeml0
少女「さ、じゃあ行こうよ。丸腰の若者をいきなり頃すことはないでしょ」

男「そうだな」

・・・移動中・・・

男「で、どっから入ろうか」

少女「そりゃあやっぱり正面から突破!!」スタスタ

男「お、おい!!」

少女「すいませーん」

男「あーもう」

113: 2009/02/06(金) 22:43:55.78 ID:ogvLqeml0
少女「誰かいますかー」

男「ったく」

??「誰だお前たちは!?」

少女「石像が喋った!?」

男「それは石像じゃない!!ちょっと大きめの人だ!!」

114: 2009/02/06(金) 22:46:47.36 ID:ogvLqeml0
門番1・2「ここが我々の組織の本拠地と知って、ノコノコ入ってくるような馬鹿は久しぶりだ」

少女「こんな長いセリフをハモった!!」

男「そこに突っ込むのか」

門番1「何用だ」

門番2「返答次第では多くの人質を危険に晒すことになるぞ」

少女「え、えーと」

男「(言葉を選べよ)」ボソボソ

少女「(ちょ、あたしが言うのかよ。ムサシが言いなよ)」ボソボソ

門番1「どうした」

115: 2009/02/06(金) 22:50:52.48 ID:ogvLqeml0
男「えーと」

門番2「・・・」

男「僕はここで働いていた研究員の息子でして」

男「この研究所にある、ある機械の操作方法を知っています」

門番1・2「!!」

男「ボスに会わせていただけませんか」

門番1・2「・・・少しここで待て」スタスタ

ピ 『ボス・・・研究員の息子らしき少年が来ています』ボソボソ

116: 2009/02/06(金) 23:01:39.35 ID:ogvLqeml0
少女「(・・・結局、正直作戦??)」ボソボソ

男「(これが一番妥当じゃないか。人質の運命がおれたちにかかってること忘れてたよ)」ボソボソ

門番1「・・・おい、お前名前は」

男「・・・アマノです」

ピ 『アマノだそうです』ボソボソ

・・・

門番1「ボスのOKが出た。通れ。こいつが案内する」

少女「あの、あたしもOK??」

門番2「お前はなんだ??」

男「おれの妹です」

門番1「よし、二人とも通れ」

117: 2009/02/06(金) 23:05:30.34 ID:ogvLqeml0
少女「・・・お父さん有名だったのかな」

男「さあ・・・どうだろう」

門番2「ふうふう」

少女「門番さん、もう息切れ??」

男「階段降りてんのになんで疲れるんすか」

門番2「ふうふう」

118: 2009/02/06(金) 23:09:58.16 ID:ogvLqeml0
門番2「一番奥の・・・扉の向こうに・・・ボスが・・・い・・・るから・・・」

少女「はいはい、ありがとう」

門番2「他の・・・部屋には・・・勝手に・・・入るなよ・・・」

男「戻る方が大変そうだな」

門番2「ふうふう」

少女「太りすぎは身体に毒ですよー」

男「よし、いくか」

119: 2009/02/06(金) 23:12:57.29 ID:ogvLqeml0
ギギギ・・・

少女「お邪魔しまーす」

??「ふむ・・・アマノ博士に娘がいるとは聞いていないが・・・」

男「あんたがこの組織のボスか」

紳士「そうだ。アマノ君、よく来てくれた」

男「ど、どうも」

少女「どもっす」

121: 2009/02/06(金) 23:16:08.78 ID:ogvLqeml0
紳士「私たちの目的の品について、知っていることがあるそうだね」

男「はい。父が残してくれたメッセージを読みました」

紳士「そうか。そんなものが・・・」

少女「お、お父さんは有名な研究者だったんですか??」

紳士「有名というか、生きていればきっと有名になっていただろうな」

紳士「それほどアマノ博士の研究は素晴らしいものだった」

男「・・・(研究内容を尋ねたら・・・怪しいよな)」

少女「どんな研究だったんですか??」

男「!!」

紳士「なんだ、妹さんの方は知らないのか」

紳士「君たちのお父さんの研究はね、世界を救う反面、使い方によっては世界を滅ぼすものだった」

男「(なんか流れで説明してくれそうだ・・・ラッキー)」

123: 2009/02/06(金) 23:19:50.63 ID:ogvLqeml0
紳士「人の身体能力を・・・数十倍に引き上げる装置だ」

少女「!!」

紳士「いや、脳にかかっているブレーキを、無理やり外すといった方が正しいか」

男「(脳のブレーキを!?って聞きたい・・・ああ、リン頼むお前が誘導しろ)」

少女「脳のブレーキってなんですか??」

男「(ナイス!!)」

紳士「人間は身体に負担がかかりすぎないよう、脳が制御している」

紳士「普段我々が使っている力は、人間本来のものの数%でしかないのだよ」

少女「ほほー」

125: 2009/02/06(金) 23:23:01.71 ID:ogvLqeml0
紳士「火事場の馬鹿力などと言うだろう。危機に陥った時、人間は脳のブレーキを少し外すのだ」

少女「ふむふむ」

紳士「それを常時出せるようにすることで、人間はとてつもない力を手に入れる」

少女「・・・人間ってすげー」

男「その装置には・・・パスワードがかかっていますよね」

紳士「そうだ。そして我々にはそれを解くすべがない」

男「恐らくですが・・・僕ならそれを解けます」

127: 2009/02/06(金) 23:26:06.86 ID:ogvLqeml0
紳士「・・・なるほど・・・そういうことか」

紳士「しかし我々は日本警察すら敵に回したテロ組織として世間の注目を集めている」

紳士「そんな組織にやすやすと手を貸そうとする理由は何かね」

紳士「さらに我々としても、今初めて会った少年に目的の品を使わせるという行為は非常にリスクの高いものだ」

少女「大人って難しいんだね」

紳士「まあそんなものさ」

男「まあ僕にも確信があるわけではないのですが・・・」

男「父の遺作なのだとしたら、その研究は僕らが完成させたいと思いました」

紳士「我々に加担してまでかね??」

少女「えー」

男「ただし」

男「悪用しない場合に限りです」

紳士「ふむ」

128: 2009/02/06(金) 23:31:18.95 ID:ogvLqeml0
紳士「我々が悪用しないと思っているのかね??」

男「あなた方の最終目的は知りません」

男「ただ、その機械の封印を解いたら、人質の人たちを解放してもらえますか??」

紳士「・・・君たちは・・・警察の回し者かねw」

少女「違うよー」

男「僕らは、ただ自分たちの意志で来ました」

130: 2009/02/06(金) 23:34:47.10 ID:ogvLqeml0
紳士「・・・わかった。人質を解放すると約束しよう」

男「本当ですか!?」

紳士「おい、例の機械をここへもってこい」

黒服「はっ」スッ

男「!!(他にも人いたのか)」

少女「黒子だー黒子だー」

少女「ほくろじゃないよーくろこだよー」

男「お前は黙ってろ」

少女「だってあたしほとんど空気じゃん。たまには喋らせろよー」

男「緊迫感がなくなるんだよ、お前が喋るとさ」

132: 2009/02/06(金) 23:40:31.28 ID:ogvLqeml0
男「その機械を使えるようにしたら、そのあとはどうするつもりですか??」

紳士「もちろん大量生産だ。残念ながらあの一台しかない上に、具体的な調整方法の記録が残っていないのだ」

男「でも、今までしてきたことは・・・」

紳士「確かに我々は非人道的なやり方でここまで来たが、人を殺めたことはない」

紳士「アマノ博士の意志を受け継ぎ、研究を完成させ、生産が軌道に乗れば罰でも何でも受けるさw」

男「・・・そうですか」

133: 2009/02/06(金) 23:43:39.45 ID:ogvLqeml0
少女「(おじさん結構いい奴じゃん)」ボソボソ

男「(・・・簡単に信用していいものか迷うけどな)」ボソボソ

紳士「・・・」ニヤリ

少女「(黒子の人他にもいるかな)」ボソボソ

男「(これだけ大きなことをやらかした組織だ。山ほど仲間はいるだろ)」ボソボソ

黒服「・・・お持ちいたしました」スッ

少女「うおう!!」

紳士「うむ」

男「ほんとに音もなく忍び寄るなこの人は」

135: 2009/02/06(金) 23:46:18.44 ID:ogvLqeml0
少女「小型のヘルメットみたいだね」

男「思ったほど大掛かりじゃないな」

紳士「さあ、パスワードを教えてもらおうか」

男「・・・入力は僕にやらせてはくれませんか」

紳士「なぜだ」

男「パスワードを解いたあと、僕が実験台になり、データを入力する必要があるらしいのですが」

紳士「そこまで信用できないな」

136: 2009/02/06(金) 23:48:51.05 ID:ogvLqeml0
少女「むー」

男「信用云々は、もとより僕らの間には存在しないでしょう」

紳士「うむ、しかし」

男「もし何らかの脅しが介入しても、僕は父の研究が悪用される未来は作りたくありません」

黒服「・・・」ピクッ

男「僕らが氏ねば、もうパスワードを知るものはいませんよ」

紳士「・・・仕方ない、渡せ」

黒服「はっ」スッ

138: 2009/02/06(金) 23:52:00.28 ID:ogvLqeml0
少女「あたしが付けたげる♪」カチャカチャ

男「ちょw痛い痛い」

少女「ほれほれ♪」グイグイ

少女「(・・・)」ボソボソ

ヒューン

男「!!」

少女「(・・・)」ニヤリ

139: 2009/02/06(金) 23:55:33.48 ID:ogvLqeml0
男「そ、それでパスワードを入れるにはどうしたらいいんですか??」

紳士「右耳の部分にいくつかボタンがついている。赤色のボタンで起動し、あとは前を見ていればいい」

少女「ゴーグル部分は下ろすの??」

紳士「ああ。そこを見つめていれば目線で操作できる」

少女「すげー!!そんなの天界にもないって!!」

紳士「てん・・・??何かね??」

少女「あ、いやなんでもないっすw」

140: 2009/02/07(土) 00:01:42.73 ID:YuZpmXq40
男「ボタン押して」

少女「ほい」ピッ

ブーン

男「おお、これか」

少女「・・・」ワクワク

紳士「いろいろなパスワードを試したが、ついに解くことはできなかった」

紳士「vip、vipvip、vipper、vippest」

紳士「zip、zipzip、zipper、zippest」

紳士「sage、鏡、蟹、今日4、今日8・・・」

少女「おじさんも呪文唱えれるんだね」

紳士「効かなかったけどね」

142: 2009/02/07(土) 00:07:06.00 ID:YuZpmXq40
男「(パソコンの方のパスワードがRIN・・・)」

男「(なら、こっちはきっと・・・おれの名前だ)」

ブーン

少女「!!」

紳士「!!」

男「解けました」

少女「やった!!」

男「で・・・と。おれのデータを入れるのか」

紳士「・・・」チラッ

黒服「・・・」コクッ

男「面倒くさいな」

143: 2009/02/07(土) 00:10:08.92 ID:YuZpmXq40
少女「頑張れお兄ちゃんー♪」

男「(お兄ちゃんか・・・)」

男「(しかし、妹にはやはり『おにぃ』か『にいに』と呼ばれたいものだ)」

男「(そしてお姉ちゃんには『ムサしゃん』とか呼ばれて・・・)」ハァハァ

男「(・・・ハッいかんいかん雑念が)」プルプル

黒服「・・・」スッ

男「年齢・・・性別・・・父親のフルネーム・・・こんなのまで入れるのか」

男「いかん目が疲れてきた」

144: 2009/02/07(土) 00:13:27.14 ID:YuZpmXq40
少女「あはは目ぇ動きすぎーwww」

男「間違いはないですか・・・か。よしこれでOK・・・と」

ピピッ

ビリビリビリ!!!

少女「!!」

男「!!」

紳士「!!」

黒服「!!」

147: 2009/02/07(土) 00:16:22.99 ID:YuZpmXq40
少女「な・・・なに??」

男「ふう、びっくりした。いや別に大丈夫」

男「なんか電流が流れた気がしたけど、気のせいみたい」

少女「そ、そっか。よかったぁー」

紳士「さて・・・ではそれをこちらに返してもらおうか」

黒服「・・・」スッ

少女「きゃ!!」グィ

男「!!」

148: 2009/02/07(土) 00:20:02.83 ID:YuZpmXq40
少女「ちょ」

男「け、拳銃!?」

黒服「・・・動くな」

少女「ひいいいい」プルプル

男「ちょ、あんた!!やめさせろ!!」

紳士「君がおとなしくその機械をこちらに渡せば、妹さんには何も危害は加えないよ」

男「・・・嘘だ!!」

紳士「ほう??」

男「・・・あんた・・・人を殺めたことがないと言ったのも・・・嘘だな??」

紳士「ふふふ・・・どう思おうが君の自由だよ」

149: 2009/02/07(土) 00:24:52.43 ID:YuZpmXq40
少女「ね、ちょっと腕が苦しいんだけど」

黒服「・・・」

少女「ちょーっとだけ、緩めてくれない??絶対逃げないしさ」

黒服「それはできない」

少女「ちぇー堅物ー」

男「妹を離してくれ。そいつは何もしていないだろう」

紳士「だから、それをこちらに返してくれれば」

男「そんな言葉は、信用できないって言ってるんだよ!!」

紳士「・・・あまり私を怒らせないほうがいい。早くしたまえ」

150: 2009/02/07(土) 00:28:07.12 ID:YuZpmXq40
男「(あと・・・何秒だ・・・)」チラッ

少女「(もうちょっと・・・もうちょっとだけ待って・・・)」チラッ

紳士「さあ、早くしないとこの子がどうなるか・・・わからんわけじゃあるまい」

男「わ、わかった・・・わかったから二人ともその物騒な物を下ろしてくれ」グィ

・・・

男「あれ、取れない」グィ

紳士「なに??」

152: 2009/02/07(土) 00:32:22.67 ID:YuZpmXq40
紳士「おい、ふざけたことを言ってると」

シューン

紳士「!!」

黒服「お、男が消えた!?」

少女「ふっ!!」ブン

ドシャッ

黒服「ぐはっ」

紳士「ど、どうした!!お前が投げ飛ばされるだと!?何が起こっている!?」

154: 2009/02/07(土) 00:36:33.91 ID:YuZpmXq40
男「はっ」ヒュン

ガシッ ガシッ

カラン カラン

紳士「くっ銃が・・・」

男「体が軽い!!あんたたちの動きが止まっている様に見えるぞ!!」

黒服「・・・」スッ

黒服「・・・」スッ

黒服「・・・」スッ

黒服「・・・」スッ

男「ちょ、何人いんだよお前ら!!」

少女「に、逃げようよ!!相手してらんないよ!!」

158: 2009/02/07(土) 01:03:37.37 ID:YuZpmXq40
黒服「・・・」ジャキ

黒服「・・・」ジャキ

黒服「・・・」ジャキ

黒服「・・・」ジャキ

男「ちょ、こいつら見えてんじゃないのか」

少女「ムサシが喋るからだよ!!」

男「くそ!!」シュン

少女「きゃあ!!」グィ

男「いったん逃げるぞ!!」シュン

159: 2009/02/07(土) 01:08:21.25 ID:YuZpmXq40
紳士「なぜ姿が見えなくなったのか・・・そんなことはどうでもいい」

紳士「早く連れ戻せ。氏体で構わん。もちろんあの機械には傷一つ付けるなよ」

紳士「傷の一本が腕一本だと思え!!」

黒服一同「はっ!!」

紳士「しかし・・・あの少年、あの機械を使いこなされると厄介だ」

160: 2009/02/07(土) 01:12:06.68 ID:YuZpmXq40
少女「ね、ねえ。このまま逃げても、人質の人たちが危ないだけだよ」

男「確かにそうだな」

少女「てゆーかムサシめちゃめちゃ足速いね」

男「この機械のおかげだろうな。昔のおれはいつも徒競争とかで最下位争いしてたからなw」

少女「・・・あたし独り言言ってる変な人みたいだよぉ・・・」

男「ま、まだ解除しないでくれよ、魔法」

少女「へへ・・・でもうまくいったね」

男「ああ。タイマー機能までできるなんてな」

少女「・・・で、さ。そろそろ下ろしてくんない??」

男「あ、ごめん」

161: 2009/02/07(土) 01:15:36.95 ID:YuZpmXq40
男「どんだけ魔法使えるかもわからないし、ナイフ持ってろ」

少女「うん、ありがと」

男「と、言いたいところだが、おれも手さぐり状態。こういうとこ不便だな」

少女「万能じゃないのさ」

男「あったあった、ほい。それで、人質の人たちはどこにいるんだろうな」

少女「しっ!!」

男「??」

少女「ほら、あそこ」

男「見張りか・・・2人いるな」

少女「あの部屋怪しくない??いかにも何かありますって感じ」

162: 2009/02/07(土) 01:17:56.08 ID:YuZpmXq40
男「おれが行ってくる。ここで待ってろ」

少女「おう。気ぃつけろよー」

ヒュッ

見張り1「ん??何か言ったか??」

見張り2「いや、なにも」

ガスッ ガスッ

見張り1・2「ッ!!」ドサドサ

男「おし、楽勝」

少女「すげー。でもあれだな。姿見えないとなんか滑稽だな」

男「もう来ていいぞー」

163: 2009/02/07(土) 01:20:56.27 ID:YuZpmXq40
少女「やっぱ鍵かかってるな」

男「針金ならあるんだけどなー」ゴソゴソ

少女「突っ込んでみなよ」

男「おう」ガチャガチャ

少女「入れた??じゃあちょっとそのままね」

フォーン

ガチャガチャガチャガチャ・・・

男「うおお、針金が勝手に!!」

少女「これでいつかは開くでしょ」

165: 2009/02/07(土) 01:24:22.85 ID:YuZpmXq40
男「どんな魔法だよこれ」

少女「物質を凶暴にさせる魔法だよ」

男「はー、ものは使いようだなー」

少女「他は落第でも、魔法は得意なんだからなっ」

ガチャリ

少女「開いた!!」

男「じゃ、中入ってみるぞ」

166: 2009/02/07(土) 01:27:57.46 ID:YuZpmXq40
少女「おじゃましまーってうわ!!」

男「ひっでーなこれ」

少女「もうちょっとまともな生活させてあげなよ」

男「すげー臭いだし・・・」

少女「こんなところで生活させられてたなんて・・・やっぱあのおじさん悪い奴だね」

男「ああ」

少女「みなさん、助けに来ましたよー!!」

・・・

男「返事する気力さえないみたいだな」

少女「どうしよ」

167: 2009/02/07(土) 01:30:09.65 ID:YuZpmXq40
男「この人ら連れて上まで行くのは無理だな」

少女「むー」

男「なんとか魔法で上まで移動させられないか??」

少女「出来なくはないけど・・・」

男「頼む」

少女「・・・きっと魔力使い切っちゃうんだよね」

男「そしたら??」

少女「動けなくなっちゃう」

男「・・・」

168: 2009/02/07(土) 01:33:17.36 ID:YuZpmXq40
少女「ムサシがおぶって行ってくれるなら、頑張ってみるけど」

男「よし、後のことは任せろ」

少女「変なことしたら、回復したあとボコボコだからね」

男「・・・わかった」

少女「(その間はなんだよ)」

少女「ざっと・・・20人くらいか」

男「やれるか??」

少女「うん。やってみる」

176: 2009/02/07(土) 02:08:57.19 ID:YuZpmXq40
少女「ちょっと集中させてね」

男「おう」

・・・

・・・

・・・

少女「・・・」

男「(・・・少女祈祷中・・・てか)」

178: 2009/02/07(土) 02:14:41.42 ID:YuZpmXq40
少女「は!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・

男「うおお」

少女「ご、ごめん、ちょっと座標ミスったかも」

男「座標ってなんだよ!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・

少女「えっと、つまり、つまり、周りの壁とかも移動しちゃうかも!!」

男「ま、マジかよ!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・

少女「あ、あとは頼んだ・・・」

ゴゴゴゴゴゴ・・・

男「!!」

179: 2009/02/07(土) 02:20:55.15 ID:YuZpmXq40
男「しゃーねえ。透明になる魔法も解けちゃったみたいだな」

少女「・・・」グッタリ

男「よっと・・・重」グイ

男「もしかしたら崩れるかもな。早くしないと」タタッ

見張り1「クッ・・・(あれは・・・なんだったんだ・・・)」ゴソ

見張り1「誰かが・・・逃げる・・・」ゴソ

見張り1「逃がしては・・・ならない・・・」ゴソ





・・・パン

181: 2009/02/07(土) 02:24:38.36 ID:YuZpmXq40
男「はぁ・・・はぁ・・・」

少女「ム・・・サシ・・・??」

男「おう、起きたか」

少女「・・・??明るい??」

男「おう、もう外まで逃げたぞ。ここまで・・・来れば、多分・・・大丈夫だ」

少女「人質のみんなは??」

男「さあ、な」

少女「魔法、うまくいったかな」

男「どうかな。でも研究所はつぶれちまったよ」

少女「そっか・・・ちょっと時空歪めすぎちゃったかな」

男「ばーかwww」

182: 2009/02/07(土) 02:28:35.33 ID:YuZpmXq40
少女「ムサシ・・・息荒いよ??」

男「いや、さすがに機械付けてても、女の子背負って走るのは無茶だったかなーなんて」

少女「そっか・・・そうだよねw」

男「・・・」

少女「・・・」

男「・・・」



少女「ムサシ・・・その血、何??」

185: 2009/02/07(土) 02:32:06.76 ID:YuZpmXq40
男「たいしたことないって」

少女「・・・うそ」

男「本当だって。痛くねーもん」

少女「・・・うそ!!」

男「・・・ゴメンちょっと痛いかも」

少女「・・・なんで」

男「・・・見張りの人さ、銃持ってたっぽいな」

男「うまいこと気絶してくれてなかったっぽいな」

少女「うう・・・ううう・・・」グス

男「泣くなよ」

187: 2009/02/07(土) 02:36:17.75 ID:YuZpmXq40
少女「泣いてない」

男「泣いてる」

少女「泣いてない!!」

男「・・・はは」

男「もう魔力・・・ないんだよな」

少女「・・・うん・・・」グス

男「でも・・・おれ・・・幸せだぜ??この街救ったんだから」

少女「・・・うん」グス

男「これで・・・リンも、向こ・・・うへさ・・・帰れるんだろ??」

少女「こんな帰り方、やだ」グス

男「泣くなって」

少女「泣いてない!!」グス

188: 2009/02/07(土) 02:41:05.98 ID:YuZpmXq40
男「あれ・・・目が見えね」

少女「・・・うう」ポロポロ

男「あはは・・・あっけなかったな」

少女「・・・」ポロポロ

少女「うあああああああああああああああああ」

少女「今!!今だけ!!今だけでいいから!!」

少女「お願い!!魔力を戻して!!ねえ!!大天使様!!」

少女「ムサシを助けて!!」

少女「大天使様!!聞いてるんでしょ!!見てるんでしょ!!」

少女「こんな終わり方ないよ!!ねえ!!」

男「リン・・・ありがとうな・・・」

男「22年間・・・平凡だったけど・・・最後に、ヒーローの真似事ができて、楽しかった・・・」

少女「いや!!いやだよ・・・」

男「あり・・・がと・・・」

190: 2009/02/07(土) 02:45:02.46 ID:YuZpmXq40
男「・・・ん??」

辺りが白い。

白一色に染められている。ペンキでもぶちまけたような毒々しい白。

今、僕は目を開けているのか??それとも閉じているのか??

何も見えない。

??「・・・起きて」

嗚呼、その声を聞いて僕は直感した。

僕は、氏んだんだ。

191: 2009/02/07(土) 02:48:43.45 ID:YuZpmXq40
??「ねえ、起きて??」

誰かの声がする。聞いたことのあるような。ないような。

目を開けると、真っ白な空間の中心に、少女が立っていた。

少女「おはよう」

男「君は、誰??」

少女「あたし、リン」

男「そうか、リン。僕は、氏んだ・・・のか」

少女「そうよ。ここは天界。言い換えれば天国」

少女「そして、あなたは今から天使になったの」

男「・・・そうか」

理解が付いていかない。ただ、僕のことを知っているような彼女を、僕は知らない。

そして、僕のことも、僕は知らない。

195: 2009/02/07(土) 03:04:04.48 ID:YuZpmXq40
少女「人は氏ぬとね、生前の記憶を一切失うの」

少女「だから、誰も名前なんかないし、生前の地位とか名誉も一切関係ないの」

男「でも、君さっきリンだって」

少女「この名前はね、ムサシがつけてくれたのよ」

男「ムサシ??」

少女「そ、ムサシ。あなたの生前の名前」

男「・・・悪いけど、何にも覚えてないな」

少女「・・・うん、しょうがないよね」

197: 2009/02/07(土) 03:09:47.99 ID:YuZpmXq40
男「君はなぜ僕との関わりを覚えているの??氏んだら忘れるんだろ??」

少女「それはちょっとややこしい話があるから、ゆっくり話してあげる」

男「そっか・・・で、僕はこれからどうしたら」

少女「まずは、大天使様に挨拶に」

男「・・・連れてってくれる??」

少女「うん、それがあたしたちの仕事だからね」

201: 2009/02/07(土) 03:15:51.79 ID:YuZpmXq40
大天使「よく来たな」

男「はぁ・・・」

まあ氏後の世界だ。来たくて来たわけじゃあるまいが。

それにしても、大天使というからにはもっとでっかい人を想像してたが、幼女じゃないか。

大天使「まあ素行は良好。人助けもしたし、こちらに来るには十分すぎるほどだな」

少女「・・・」

大天使「なんだ、お前はまだ機嫌を損ねたままか」

少女「・・・」

男「??」

202: 2009/02/07(土) 03:20:31.54 ID:YuZpmXq40
大天使「さ、これからお前のすべきことを説明する」

男「はぁ・・・」

どんなに偉そぶっても、威厳がない。

大天使「まず、お前はこれからヒラ天使として勉学に励むこと」

大天使「魔法学、家事学、スポーツ学、医学、経済学、芸能学、歴史学・・・」

大天使「とまあ色々あるが、これらをある水準まで学べば少しずつ天使としてのランクが上がる」

大天使「最終的にはまた地上に戻り、人間として生活ができる」

男「そういう・・・システムだったんですか」

大天使「まあ天界での記憶は一切消去され、赤ん坊からのスタートだがな」

男「リンは・・・」

大天使「コイツはだめだ。落ちこぼれだからな。10年以上も天使をやってるのはこいつくらいのもんだ」

少女「・・・ふん」

203: 2009/02/07(土) 03:25:32.37 ID:YuZpmXq40
天使1「大天使様」スッ

大天使「ん、どうした」

天使1「Bの北地区で、またあの男が騒ぎを起こしたようです」

大天使「・・・またか・・・性懲りもなく」

大天使「おい、勉学以外の仕事を説明するからよく聞け」

大天使「一口に天使といっても、色々なタイプがいる。中には地獄向きとまでは言わないが、変わった性格のやつもいる」

大天使「そいつらの監視と、制圧だ。男、お前は平凡そのものだったから危険思想もないだろう」

大天使「ちゃちゃっと抑えてきてくれ」

男「は、はあ・・・」

少女「はい。ムサシ、行こ」グィ

男「う、うん」

204: 2009/02/07(土) 03:30:25.19 ID:YuZpmXq40
男「すげー。空飛んでる」

少女「・・・」

男「なーリン、大天使様と口利かなかったのはなんで??」

少女「別に」

男「機嫌悪いのか??」

少女「ちょっとね」

男「あ、あれか。人だかりできてる」

206: 2009/02/07(土) 03:36:18.65 ID:YuZpmXq40
大天使「10年以上・・・か」

大天使「そういえば、あの男も、同じ頃からいるな・・・」

天使「あの、『ハカセ』がですか??」

大天使「ああ、懐かしいなw思えば、こっちに来た時からずっと勉学そっちのけで・・・w」


少女「ハカセ!!」

博士「おお、どうした」

少女「どうしたーじゃないよ。何やってんの!?」

博士「いや、新しい研究に目処がついたから、実験しようかと思ってね」

少女「って周り瓦礫だらけじゃん。氏者が出るよ!?」

博士「大丈夫だって。天使はめったなことじゃ氏なないだろ」

少女「ったく」

博士「おや??そっちの君は、新入りかい??見ない顔だね」

男「あ、どうも、初めまして。僕は―」


★おしまい★

207: 2009/02/07(土) 03:40:39.88
乙!これでやっと寝れる……

こういう終わり方凄く好み
どっかで母親とも会うのかな?

208: 2009/02/07(土) 03:44:53.20 ID:YuZpmXq40
母親については想像してくれ あえて出さなかった

さて・・・もう1時間程付き合ってくれる元気がある人がいたら、ムサシ生存END貼っていきます

210: 2009/02/07(土) 03:49:00.50 ID:YuZpmXq40


男「・・・ん??」

辺りが白い。

白一色に染められている。レースのカーテンでも引いてあるかのように、儚い白。

今、おれは目を開けているのか??それとも閉じているのか??

何も見えない。

??「・・・起きて」

嗚呼、その声を聞いておれは直感した。

おれは、生き延びたんだ。

213: 2009/02/07(土) 03:56:19.95 ID:YuZpmXq40
少女「ムサシ・・・」

男「リン・・・あれ??おれ氏んだんじゃ」

少女「大天使様がね、最後の最後に、魔力を全部戻してくれたんだ」

男「大天使様が・・・??そっか・・・そっか・・・」

少女「助かって・・・よかった」

男「ありがとう」

少女「いいよ、お礼なんて」

男「ありがとう」

214: 2009/02/07(土) 04:01:45.03 ID:YuZpmXq40
男「な、これって膝枕??」

少女「う、うん、一応ね」

男「・・・照れるなー」

少女「・・・うっさい」

男「空が青いな」

少女「そう・・・だね」

男「??」

少女「ん??」

216: 2009/02/07(土) 04:06:41.21 ID:YuZpmXq40
男「なんか元気ないな」

少女「気のせい気のせい」

男「ほんとか??」

少女「ほんとほんと」

男「2回言うと嘘っぽいよな」

少女「・・・」

219: 2009/02/07(土) 04:14:14.32 ID:YuZpmXq40
少女「これから・・・どうしようっかな」

男「・・・え??」

少女「もう、魔法、使えないかもしれないんだ」

男「なんで??」

少女「・・・てゆーかね、もう、天界に帰れないかもしれない」

男「・・・え??」

220: 2009/02/07(土) 04:17:07.65 ID:YuZpmXq40
少女「お父さんの機械、壊れちゃったね」

男「あ、ほんとだ・・・」

少女「・・・」

男「まあ、最後に役に立ったし、父さんの研究は完成したし、いいさw」

少女「・・・」

男「あ、あのさ」

221: 2009/02/07(土) 04:21:02.33 ID:YuZpmXq40
男「さ、さっきのって、どういうこと??」

少女「いや・・・えっと・・・忘れて」

男「ゴメン・・・おれのせいか・・・ゴメン・・・」

少女「まあ・・・お互い、無事でよかったじゃん。ね」

男「でも、リンお前、天界に帰れなくなったって・・・よかったのか??大丈夫なのか??」

222: 2009/02/07(土) 04:24:42.81 ID:YuZpmXq40
少女「見て・・・この手」

男「手??」

少女「苦しくて、怖くて・・・ほら、震えてる。帰りたいけど、帰りたくない・・・そんな気持ち」

男「だ、大丈夫か??」

少女「さっきまで・・・平気だったんだよ??でも・・・」

少女「理由は・・・なかったよ。ただ、ムサシを助けたかった。一緒にいるのが・・・心地よかったから・・・かな」

223: 2009/02/07(土) 04:30:24.92 ID:YuZpmXq40
男・少女「あ、あのさ・・・」

男・少女「・・・」

男「リンから、言っていいよ」

少女「頑張って、さ。魔力戻すよ。そしたら、色々できるし」

少女「友達が家にきたら・・・隠れてるしさ」

男「うん。友達いないけどなw」

224: 2009/02/07(土) 04:36:04.68 ID:YuZpmXq40
少女「だから・・・もう少しだけ・・・一緒にいさせて」

男「・・・いいよ。おれも、さ・・・お前のこと」

少女「・・・」

男「好き、だし・・・多分」

男「きっと上手くやっていけると思うし」

少女「!!」

226: 2009/02/07(土) 04:41:05.71 ID:YuZpmXq40
少女「・・・ありがとう」

男「うん」

少女「・・・安心したら、お腹すいたな」

男「うんw」

少女「リュック貸して」ゴソゴソ

少女「ほら、これ食べよ」

男「サンドイッチ!!お前・・・いつの間に入れ・・・」

男「・・・いや、お前今魔法で出したろw」

少女「あは、ばれたw」

男「魔法使えるじゃん」

少女「ん??・・・そうだね。これは使えるみたいだね」

228: 2009/02/07(土) 04:44:28.94 ID:YuZpmXq40
少女「ね、なんか唄ってよ」

男「ここで??」

少女「なんか楽しい唄」

男「・・・じゃあ、さ。お前の唄作ってやるよ」

少女「あたしの??」

男「そ。唄いだしは・・・」

男「戦場みたいな、街に堕ちてしまって♪」

男「とかどう??」

★今度こそ、おしまい★

229: 2009/02/07(土) 04:48:12.97

231: 2009/02/07(土) 04:54:53.71
乙、読んでて楽しかったW

引用元: 少女「戦場みたいな街に堕ちてしまった」