1: 2010/09/05(日) 21:42:32.17
唯「あーずにゃん!」ギュッ

梓「! …こ、こんなことでいつまでも動揺する私じゃないですよ。唯先輩…って」

唯「んあー…」

梓「ちょっ!? なに噛みつこうとしてるんですかっ」ドン

唯「あいたぁっ…もぉー、見て分かんないかなぁ」

唯「私は吸血鬼なのです!」

梓「あぁ! よく見たら歯が! って、これただのおもちゃの着け歯じゃないですか」

唯「ちがーうもんっ」

3: 2010/09/05(日) 21:45:11.31
唯「吸血鬼です!」キラーン

梓「はいはい」

律「おーす」

唯「あ、りっちゃん! よーし…」ギュッ

律「うおっ、なんだよ急に抱きついてきて」

唯「んあー…」

律「へ?」

ガブッ

律「あ痛ぁっ!?」

梓「律せんぱーい!」

4: 2010/09/05(日) 21:48:41.88
唯「はい! これでりっちゃんは私に吸血されました!」

律「なんですと」

梓「唯先輩は今吸血鬼ってことらしいですよ」

唯「がおー!」

律「ほほう…やっぱりこんなことになると思ってたぜ」

梓「?」

律「唯ー! このにんにくが目に入らぬかー!」ババン!

唯・梓「!」

5: 2010/09/05(日) 21:51:06.66
律「吸血鬼はにんにくが苦手なんだぞー、うりうり」グリグリ

唯「や、やめてよりっちゃーん…にんにくをほっぺに摺りつけないでよぉ」

律「うりうり~」グリグリ

唯「やめてぇ」

梓「なんでそんなものを学校に…」

律「今日唯がこういうことしてくるだろうと思って用意してたんだー♪」グリグリ

唯「ま、まいったよぉ」

梓「へ、へー…」

7: 2010/09/05(日) 21:54:11.80
グリグリ

唯「きゅう…」

梓「ああ、唯先輩がダウンしたっ」

律「ふっ、大した吸血鬼じゃないな」

唯「…と見せかけてとりゃー!」ガブッ

律「ぐばっ!?」

梓「律せんぱーい!」

9: 2010/09/05(日) 21:57:21.47
唯「はい! りっちゃんは二回吸血されました! 氏にました!」

律「あーれー…ばたり」パタッ

梓「律先輩が氏にましたっ」

唯「1、2、3、4、5、6、7…」

律「……」ムクッ

梓「律先輩が立ちあがりましたっ」

律「うおー! あーずさぁっ!」ギュッ

梓「そして…私に抱きつきました!?」

唯「むむっ!」

10: 2010/09/05(日) 22:00:10.63
律「吸血鬼に血を吸われた人間はなぁ…梓。吸血鬼になっちゃうんだぜ!」

梓「そんなのアリですか!?」

唯「おお! 仲間が増えた!」

律「ふっふっふっ…まだまだ、これからもう一人増えるぞ。唯」ニヤリ

梓「ま、まさか」

律「んあー…」

梓「うきゃー!?」

11: 2010/09/05(日) 22:04:13.87
律「…という遊びなんだけど」ス

梓「…え?」

唯「えー、もう終わりー!?」

律「いやいや、まだまだこれからだぞ。もっといい反応する奴が控えてるしなぁ」

梓「また澪先輩が…かわいそうですよ。ていうかこの唐突な遊びは何なんですかっ」

律「実は昨日唯に吸血鬼モノのホラー映画貸してさぁ」

・・・

律「もしもし、唯?」

唯『りっちゃん! 私吸血鬼になるよ!』

律「それは進路のことかい?」

唯『それは違うよ』

律「でーすわよねぇ。OK、OK、それじゃあ唯吸血鬼よ。明日…」

・・・

律「ということだよ。中野隊員」

梓「いい迷惑です」

12: 2010/09/05(日) 22:07:33.04

唯「でもあずにゃん何気にノリノリだったじゃーん」

梓「哀れな先輩方に気を使ったんですよ」

唯・律「かっわいくねー」

梓「結構です!」

唯「また噛みつくよー全身至るところまで噛みついちゃうよー」ワナワナ…

梓「そ、それは勘弁願いたいです…」

律「ちなみに奥様。至るところとはあーんなとこや、こーんなとこまでですかぁん?」

唯「ビーチクまでかなぁ」

梓「やめてくださいっ、セクハラで訴えますよっ」

13: 2010/09/05(日) 22:11:45.87
紬「わー!」ドン

唯・律・梓「わー!?」

紬「やった、大成功♪」

律「し、心臓止まるかと思ったぞ!! たちの悪いことしやがってー」

唯「もー、ムギちゃんのイジワルっ」

梓「…あなたたちも人のこと言えませんからね」

紬「えへへ、ごめんね。ところで何か面白そうなことしてるように見えたんだけど…」

唯「がぶりんちょ!」ガブッ

紬「あんっ」

梓「唯先輩、不意打ちだー!」

15: 2010/09/05(日) 22:15:09.52
律「という遊びだ」

紬「人に噛みつく遊び? 変わってるけど今までにない感じね!」

梓「いや、ちょっと違いますよ…これは吸け…」

ギュッ…ガブッ

梓「ぎゃあああああ!?」

紬「ほひはへふあふふぁひゃふにかふぃふぅいてみふぁひふぁ!(訳:とりあえず梓ちゃんに噛みついてみました!」

唯・律(ガチ噛みだ…)

17: 2010/09/05(日) 22:18:55.97
梓「あうう…首元に歯型ががっちり…」

紬「ご、ごめんね。梓ちゃん…」

律「気にするなよ。失敗は誰にでもあるもんさ」ポンポン

紬「りっちゃあん」パァァ…

梓「いや、失敗とかそんな…はぁ」

唯「もう噛みついちゃったし、ムギちゃんは最初から吸血鬼でいっかー」

律「そうだなー。ってかムギが吸血鬼は何か様になるよな!」

紬「今宵は月が赤いわ…ああ、私の体が新鮮な生き血を欲している…」キラーン

唯「おおうっ」

紬「澪ちゃんを吸血するぞー! おー!」

唯・律「おー!」

梓(ターゲットは既に決められていらっしゃった…!)

19: 2010/09/05(日) 22:21:12.18
澪「……」

唯「獲物はただいま読書中のようです」ヒソ

律「部室にこないでこんなところで…けしからんっ」ヒソ

紬「一気に押し倒して噛みついちゃいましょ!! 唯ちゃんは右腕!! りっちゃんは左腕!! わ、わ、私は太ももっ!!」ヒソ

梓「ヒソじゃありませんよっ、十分声大きいですっ」

紬「失敗、失敗~。てへ♪」

梓(わぉ)

律「ていうか梓もしっかり参加してるのな」

梓「…いや、えっと…まぁ…私は澪先輩がどんな反応するかなーって…いや、そんなやましい考えから生まれた行動じゃないですからね。勘違いしないでくださいね。ね? 別に私も澪先輩に噛みつきたいとか…」

唯「はい、あずにゃん。これ」ス

梓「これは…」

唯「着け歯だよ。同士あずにゃん」

梓「装着すーるーでーす」カチャ

20: 2010/09/05(日) 22:25:15.40
澪「……!」

和「……」

唯「こいつは予想外! 和ちゃんが現れましたっ」ヒソ

梓「厄介ですね…」ヒソ

律「大丈夫だ。獲物が二匹になっただけ…和もやっちまおうぜ」ヒソ

紬「ううん。ここは放置して一人になったところを襲いましょ?」ヒソ

律「なぜだ?」

紬「個人個人で襲った方が反応がいいはずっ」

唯・梓「なるほどなー」

律「…よし、それじゃあ……唯! 和をどこかに誘導しろー!」

唯「えー! 何で私ー? めんどっちーよぉ」

律「お前は私たちの中でも優れた吸血鬼なんだ。これはお前にしかできないミッションなんだぞ! 唯!」

唯「任されたー!」

梓(それでいいのか、唯先輩隊員よ)

21: 2010/09/05(日) 22:28:23.12
唯「和ちゃーん」

澪「あ、唯」

和「ん? 唯、何か用?」

唯「ちょーっとこっちおいでー」クイクイ

和「誘ってるの? そそるじゃない」

唯「わ~」トコトコ…

和「ああ、唯が…ごめん、澪。私はこれで」ス

澪「あ、ああ…うん」

唯「私を捕まえてごらんなさ~い」フワフワ

和「ふふっ、止まらないと生徒会に行くわよ~」フワフワ

ウフフーアハハー

澪「…変なの」

23: 2010/09/05(日) 22:32:02.70
梓「上手くいきましたっ」ヒソ

紬「うん。それじゃあ作戦通り…」ヒソ

律「突撃じゃあっ…と、その前に」ヒソ

澪「…ん、もうこんな時間か。そろそろ部室に…」

澪(うわ、ここ私以外誰もいないよ…なんか怖いなぁ…)

ガタッ

澪「ひっ! 椅子が…」

ヒラヒラ

澪「ひぃっ! カーテンが…」

ドボン

澪「ひゃあっ! 外の水溜まりにとんちゃんが…」

キャー……

澪「ひゃんっ! どこからか悲鳴が…」

律「よし、煽りはこんなもんでいいだろ」ヒソ

梓(…あれ、最後の悲鳴、唯先輩の声だったような)

24: 2010/09/05(日) 22:36:03.17
澪「は、早く部室に!!」

カチッ

澪「ひぃー!? 教室の電気が消えたー!」

律「澪ー」

澪「り、律! ああ、律!! よかったぁ…」

澪「電気消したのお前だな! 驚かせるなよっ、もう…」

律「澪、見てみてー…んが」

澪「…? なんだよ口なんか開けて…何? 歯?」

律「んがー」

澪「ああ、真っ白で綺麗な歯だよ。クリアクリーンで毎日丁寧に歯磨きしてた賜物だな。歯並びも申し分ない。それに随分と犬歯が鋭くて立派…ん?」

律「んがー」

澪「お、お前…なんでそんなに歯が…え、え、え?」

律「むふふのふ」キラーン

25: 2010/09/05(日) 22:40:18.88
紬「澪ちゃん」

梓「澪先輩」

澪「ムギ! 梓! お、おかしいんだ…律の歯が鋭く…」

紬・梓「んがー」

澪「お前らもかチクショウ! ど、どうせ私を驚かせようとかしてるんだろ? な?」

律「澪、実は私たち。澪には内緒にしてたけど」

梓「吸血鬼だったんです。だから澪先輩を吸血しに来ました」

紬「も、もう我慢の限界なの…はぁ、はぁ…今まで襲わなかった自分を褒めてあげたいわ」

澪「あ…あわわわ…ふ、ふざけるなよ…」ガクガク

律「澪。いただきます」

梓・紬「いただきます」ジュルリ

澪「う、う、うわあああ…いやあああ…」ブルブル

紬(まるで生まれたての子羊ちゃんの様なガクブルっぷりだわ)

26: 2010/09/05(日) 22:44:09.75
律「今だー! 喰らいつけー!」

梓・紬「あいあいさー!」

ガブッ、ガブッ、ガブッ

律「ふっふっふ…吸血しちゃったぞー澪」

澪「  」

紬「澪ちゃん…?」

澪「  」

梓「み、澪先輩?」

澪「  」

律・紬・梓「……」

律「…氏んでる」

梓「生きてますよっ! 泡吹いて気絶してるだけです! シャレにならないこと言わないでくださいっ」

澪「ブクブク…」

28: 2010/09/05(日) 22:47:32.21
澪「ん…」

紬「あ、目が覚めたわ!」

澪「ここはー…ていうか私…何が…」

梓「あー、澪先輩! よかったぁー…無事でなによりです。廊下で倒れてたんですよ」

澪「…そうだっけ」

梓「はい!」

律「何ともないか? 澪」

澪「うん、まぁ…ていうかさっきお前ら三人が…」

律「嫌だなぁ、澪。そいつは夢だよ」

澪「夢?」

紬「澪ちゃんきっと疲れてたんだわ」

梓「澪先輩、真面目ですしね」

澪「夢だったのか…」

律「ああ、違いない」

29: 2010/09/05(日) 22:50:29.12
澪「ところで唯は?」

律「さぁ…和と一緒に帰っちゃったかな」

澪「え、何で?」

律「…澪は鈍いなぁ。ねぇ?」

紬・梓「ええ、ええ」

澪「ちょ…まさか…」

澪「……」

澪「……///」ボンッ

澪(いや、ここは女子高だし、それに唯と和は幼馴染だし…ありえなくも…)

澪「なんだか…良い歌詞が浮かびそうだよ…」ドキドキ

紬「ぜひ作ってもらいたいなぁ。澪ちゃん」

澪「タイトルは…禁じられた遊びってところかな」

梓「初心者がギターの課題曲に出されるやつですか」

律「ふわふわ時間、カレーのちライス、ごはんはおかず、禁じられた遊び、私の恋はホッチキス…あれ、そんなに浮いた感じしなくね?」

31: 2010/09/05(日) 22:54:52.43
スタスタスタ…

紬「唯ちゃんと連絡がつかないわ」

律「私もだ。メールも返ってこないぞ」

澪「困ったな…」

梓「憂に連絡してみたら、まだ帰ってないみたいですよ。唯先輩」

律「うーん…和には連絡してみた? 澪」

澪「待って、今電話かけてみる」

和「あら、みんな揃って…帰りの途中?」

澪「ああ、和! よかった、電話代が浮いたよ」ホッ

33: 2010/09/05(日) 22:58:46.70
和「唯? いるわよ。そこに」
一同「え?」
唯「ふしゅるー、ふしゅるー」
梓「唯先輩! もー、心配したんですよ!」
紬「とりあえず見つかってよかったわぁ」
律「ずっと二人でいたのか?」

和「ええ」

唯「ふしゅるー」

和「あら、唯ったらお腹空いたみたいね」

澪「見ただけでわかるの?」

和「何年幼馴染してると思ってるのよ、ふふ」

律「おお…私もそのうち見ただけで澪があの日かどうか判別できるようになるのかな」

和「多分ね」

梓(具合の悪さとかで大抵わかると思うけど)

37: 2010/09/05(日) 23:02:11.08
ゴツン

律「いたーい…うぐぅ…」

澪「お前が馬鹿なこと言ってるからだ!」

和「血の匂いで分かるようになるわ。律」

律「は? 血?」

和「ふふ、さぁ、私たちはそろそろ帰るわ。行きましょう、唯」

唯「ふしゅるー」

スタスタスタ…

紬「それじゃあ私たちもそろそろ帰りましょ」

澪「そうだな。いくぞ、律」

律「はいさー」

梓(私も今日はまっすぐ帰ろっと)

38: 2010/09/05(日) 23:06:09.94
梓母「梓ー。暇ならちょっと買い物いってきてちょうだい」

梓「えー…さっきお夕飯食べたばっかりなのに」

梓母「あら、この間新しいエフェクター買う時にお金足してあげたのは誰だったっけ?」

梓「うぐっ…わかったよー。もぉ…」

梓母「素直でよろしい。余ったお金はあげるからそれで勘弁しなさい」

梓「はーい」

梓(余りで美味しいアイス買ってきて、お母さんの目の前で見せつけるように食べてやるっ)

39: 2010/09/05(日) 23:10:20.72
梓「ふぅ、とりあえずこれで全部かな…うわ、真っ暗…」

梓「これは澪先輩じゃなくてもなんかおっかないなー…ん?」

唯「……」

梓「今のって唯先輩? こんな時間にあんなところで何してるんだろ」

梓「おーい、唯せんぱーい!」

唯「……」

梓「唯先輩、こんなところで何してるんですか? まだ制服だし…こんな時間にウロウロしてたら襲われちゃいますよ」

唯「…誰に?」

梓「誰にって…不審者とか」

唯「…ねぇ、あずにゃん」

梓「?」

40: 2010/09/05(日) 23:14:04.44
唯「…私ね、とっても喉が渇いてるの」

梓「そうなんですか? それじゃあそこの自販機で私ジュースを」

唯「いくら水飲んでもね…喉が潤わないんだー…」

梓「それは困りましたね。大丈夫ですか?」

唯「お腹もいっぱいにならないんだ…アイス食べたのに」

梓「…そ、それじゃあ…私のアイス食べますか…? ちょうど買ってきてたんですよ、どうぞ。…食べたかったけど」ス

唯「!!」バッ

梓「うわっ」

唯「アイス…アイス、アイス、アイス…」ムシャムシャ、パクパク

梓(ああ、グッバイ私のアイス…)

41: 2010/09/05(日) 23:18:33.57
唯「……」

梓「美味しかったですか?」

唯「美味しいけどお腹いっぱいにはならなかったよ。ふしゅるー」

唯「ふしゅるー、ふしゅるー」

梓「唯先輩…? どうかしましたか、なんか…」

梓「ていうかさっきから何で後ろ向いてるんですか。顔くらい見せてくださいよ」

唯「ふしゅるー」

梓「…むっ」ガシッ

梓「ちょっと唯先輩!」

クルッ

梓「!」

唯「アズニャーン…」

梓(制服が…所々真っ赤だ…それに唯先輩の口の周りも…まさか!)

梓「お夕飯は…ミートソースでしたか…!」

42: 2010/09/05(日) 23:22:06.35
唯「アズニャーン…ふしゅるー」

梓「制服にソースが跳ねてますよ? 明日これでどうする気なんですか」

唯「ノドガカワイタヨ、アズニャン…カラカラダヨ…」

梓「アイス甘すぎましたか? やっぱり私そこの自販機でお茶買ってきますよ」

ガシッ

唯「ノドガ…」ジュルリ

梓「だから買ってきますよ。私もなんか話してたら喉渇いてきました」パッ

唯「アウ…」

梓「ここで待ってて下さい。すぐに戻ってきますから」タタタ…

唯「ウウウ…ウン」

44: 2010/09/05(日) 23:26:20.79
梓「せんぱーい! 買ってきましたよー」

梓「はい、どうぞ」

唯「ふしゅるー、ふしゅるー…トマト…ジュース…?」

梓「はい。ほら、今日吸血鬼ごっこしてたじゃないですか。だからほら、トマトジュース」ニコ

唯「ア、アリガトネ…」

梓「これ飲み終わったら帰りましょうね。時間も時間だし、親に怒られちゃいますっ」

唯「ソウダネ……」

唯「ふしゅるー! …モ、モウゲンカイダヨ…!」

梓「え?」

唯「ガマンデキナイヨー!」ギュッ

梓「わあっ!? と、トマトジュースが零れちゃったじゃないですかっ」

唯「ゲンカイ…ナンダヨ…」

梓「唯先輩…? は…! これはまさか…!」

―…禁じられた遊びってところかな―

梓(え…いや…そんな…うそぉ…///)

46: 2010/09/05(日) 23:30:36.51
梓「ゆ、唯先輩…いくら人目がないからって…そんな…」

唯「ふしゅるー…」

梓「まさかそんな…唯先輩が…あふっ///」

梓「で、でも! あなたには和さんがいるじゃないですかっ、私なんかじゃダメですよっ」

唯「ガ…マ…ン…デ…キ…ナ…イ…ヨ…」

梓「ああ! もう! だめですってば! …それに私、心の準備が///」

唯「ふしゅるー! …ンアー」ガァ…

梓(こ、これは…! まさかキッスに!? あわわわ、まだ経験ないのに! わわわ)

梓「いやー!」グイッ

唯「モガァッ!?」

唯「ウッ…ゲエエエアアアア!? ウエエエ!!」パ…ヨロヨロ…

唯「ニン…ニクゥゥゥ!? ヒイイイイ!」

梓「…ダメですよっ。ちゃんと段階踏まなきゃっ…さよなら!」タタタタ…

唯「ウゲェーッ…ウグゥ…ア、アズニャンマッテ……ウゥ…」ヨロヨロ…

47: 2010/09/05(日) 23:34:06.81
梓「た、ただいま!」

梓母「遅いっ…ってあんた、何顔真っ赤にして」

梓「…なんでもないもんっ」

梓母「そう? で、頼んでおいたにんにくはちゃんと買ってきた?」

梓「うん。ちゃんと…ってあれ!? ない!」

梓(あ…そういえばあの時唯先輩のキッスを防ぐ時に…!)

梓「落としてきちゃったかも…」

梓母「えー…もうっ!」

梓「ご、ごめんなさいぃっ」

49: 2010/09/05(日) 23:37:54.72
梓(昨日はなんか唯先輩に悪いことしちゃったかな…後で謝りにいこっと)

純「お、梓! なんか今日は憂お休みみたいだよ」

梓「え、なにかあったのかな」

純「さぁ? 昨日寝る手前ってとこで憂から明日休むってメールがきてて」

梓「そっか…。それじゃあ放課後お見舞いにいこうよ」

純「そうだねー。きっと憂もよろこぶよ~」

純「お土産は何がいいと思う?」

梓「うーん…無難にお菓子とか」

純「無難すぎるなぁ…そうだ! この前憂と雑貨屋にいったときに欲しがってたネックレス! あれ買っていってあげよ!」

梓「あ、それいいかもね。じゃあそれ買っていってあげよう」

純「きっと歓喜の涙で平沢家水没しちゃうよ~」

50: 2010/09/05(日) 23:42:03.90
澪「え、唯休みなの?」

紬「そうみたいなの。体調崩したのかしら」

律「アイスの食い過ぎで腹でも壊したんだろ?」

澪「ありえそうだよな。それ」

和「唯はドジだから…そうね。今日みんなでお見舞いに行ったらどうかしら」

律・紬「さんせー!」

澪「うん、そうだな…そうしよう。それじゃあ梓にも伝えておくか」

律「ああ、きっとあいつのことだから心配するだろうな」

紬「梓ちゃん。唯ちゃんのこと大好きだもんね」

律「ていうか和はいかないのか?」

和「ええ。私はやらなきゃいけない仕事があるから…終わったらいくわ」

律「そっかー」

51: 2010/09/05(日) 23:45:03.48
律「いやーにしても憂ちゃんもダウンしてたとはなー」

梓「まさか唯先輩もだったとは…姉妹揃ってズル休みですっ、きっと」

紬「休んで何をしようってのかしらね!」ワクワク

純「私もこのメンバーと一緒でよかったのかなぁ」

澪「気にしなくていいよ。私たちも気にしてないから。純ちゃんのこと気にしてないから」

純「はぁ………って、ん?」

紬「ところで二人はさっき何を買っていたの?」

梓「あ、ネックレスです。といってもあまり高価なものじゃないですけど…」

純「憂は良い子だよね。質素な物を欲しがるんだから」

律「ちなみにどんなやつ? 見せてー」

梓「あ、ダメですっ。あっちについてから憂に見せてもらってください!」

律「ちぇー! ぶーぶー」

52: 2010/09/05(日) 23:48:38.95
律「ごめんくーださい」

「……」

澪「出てこないな。二人とも寝てて気づいてないとか」

純「出かけてたりするんじゃないんですか?」

紬「そうねー…お部屋のカーテンも閉まってるし」

律「えー! ここまで来てあがれないとかやだーいっ」プイッ

梓「子供みたいなこと言わないでくださいよ。だから連絡してからいこうって言ったのに」

律「だってアポなし訪問の方がなんかいいじゃんっ」

紬「あら?」

純「どうかしました?」

紬「玄関の鍵がかかってない…」

律「不用心だなー。入ろうぜ」

梓「はい」

純「いやいやいや!」

53: 2010/09/05(日) 23:52:15.66
純「なんの躊躇いもなしですか!」

律「純ちゃんよ。君はRPGとかで鍵がかかっていない家には入らないってのかい? 入るだろう? タンスとか調べるだろう? 宝箱あけちゃうだろう? ん?」

純「ゲームと現実を一緒にしないでくださいよっ」

澪「でもまぁ…なんか心配だな。一応中に二人がいるか確認だけはしておこうよ」

梓「そうですね。いなかったら私たちがここにいて留守番してればいいだけですし」

紬「留守番するの、夢だったの~」

律「ま、話はこれぐらいにしてお邪魔しちゃおうぜー…お邪魔しまーす…って、真っ暗だぁ」

純「室内に明りがまったくないですね」

紬「やっぱりお出かけなのかしらね?」

54: 2010/09/05(日) 23:56:03.00
澪「おーい、唯ー! 憂ちゃーん! いるかー?」

澪「…返事がない…いなさそうだな」

律「唯の部屋見てきたけどやっぱりいなかったよ」

梓「憂もいませんでした」

紬「それじゃあお留守番決定♪」

純「ほんとにいいのかなぁ…」

律「そうと決まれば、ムギ! お茶の用意を!」

紬「そうくると思って既に用意しておきましたー」

澪「おい! 一応ここは人様の家なんだぞ…もぐもぐ…ん、このクッキー美味しいな…」

純(説得力ねぇ…)

梓「もうっ、皆さん勝手すぎます! あ、ムギ先輩。私は砂糖二つで」

紬「かしこまりました~」

純「こ、こんな神経が図太い人たちとなんか一緒にいられないよ! もうっ」ガチャリ

梓「純っ、待って! どこ行くのっ」

純「帰るんだよ! ふんっ」プイッ、タタタ…

55: 2010/09/06(月) 00:00:27.33
純「まったく! あの人たちどうかしてるよ! 澪先輩まで…失望した!」

純「あ、帰る前にトイレ貸してもらおう…さっきから我慢してたんだよねぇ…」

ガチャッ…ガチャガチャ

純「あれ? 鍵掛ってる。誰か入ってるのかな? もーしもーし」コンコン

「……」

純「…仕方がない。さっさと帰って家でしよ……」

ガチャ、キィー……

純「! 開いた…てか中に誰も入っていませんよ…?」

純「立てつけ悪いのかなぁ。ここのトイレ…まぁ、いいや。お邪魔しまーす」

「ふしゅるー、ふしゅるー」

57: 2010/09/06(月) 00:05:23.11
純「ふぅ…」ジャー

純「よし、今度こそ帰ろう…ってあれ? またドアが、開かないっ、んもうっ!」

「ふしゅるー」

純「ん? なんか変な息づかいが聞こえる…う、後ろ? …いない」

純「やだなぁ…なんか怖いよぉ…誰かー! ここを開けてー!」

「ふしゅるー、ふしゅるー」

純「開けてぇっ! なんか変な声聞こえるのー! おっかないからー!」

「ふしゅるー、ジュンチャンジュンチャン」

純「…この声、まさか憂?」

「ジュンチャン…ノドガカワクノ…オナカガスイタノ…」

純「憂? どこ? どこにいるの…?」

「ココダヨ…ジュンチャン…ふしゅるー」

純「ここって…!? ひゃああ!」

憂「ジュンチャアン…」

純「うわー!! 憂がトイレの天井に張り付いてる!? …は、そうか!」

58: 2010/09/06(月) 00:08:28.55
憂「ジュンチャン…チヲ…チヲ…」

純(憂はああ見えてとっても悪戯好きなんだよねー! だからわざと家の鍵を開けたままにしたり真っ暗にしてたりして、私がトイレに入ることを予測した上でここに隠れて脅かそうとしていたんだ! 違いない!)

憂「チィー…」

純「びっくりしたよぉ、憂。でもあんた凄過ぎ! まさか天井に張り付いちゃうとは…憂は現代のアサシンになれるよ! あ、でもさきにサスケに出場してみようよ! 憂ならゴールまで10秒切るよ~」

憂「ジュンチャアアアン…」ヒュ…ボトッ

純「ああ! 落ちちゃった! だ、大丈夫憂!? 怪我はない? もうっ、あんな変な所に隠れるからだよっ」

ギュッ

純「って、いきなり抱きついて…どうした? ずっと待ってて寂しかったかい? おーよちよち」ナデナデ

憂「ウガー…」ガァ…

59: 2010/09/06(月) 00:12:10.08
純「ていうかこんなところで甘えてないでみんなのところに連れていった方がいっかー。一応軽音部の皆さんも来てるんだよ。でも勝手にお茶会とか始めちゃって…ほんと無神経だよね。あ、そういえば憂にプレゼント持ってきたんだよ。ほら」ス

憂「ガー…ウ?」

純「開けてごらん? 憂が前から欲しがってたやつ」

憂「ングゥ…ゲェェッ!!!?」ガサゴソ…バッッ

純「あれ!? 欲しがってたやつそれだよね? 十字架ついたネックレスだよね?」

憂「キャアアアアアア!!」ゴロンゴロン

純「おお、よかった。転げまわるほど嬉しいんだね! でも憂には十字架が似合うねーまるで聖母さんだよ。あははっ」

憂「ヤメテェー!! アアアアアアア!!」

純「恥ずかしがんなって~。ほら、私がつけてあげるよ。後ろ向いて、動かないで~」ガシッ

憂「ヤーーーーッッ!!?」

60: 2010/09/06(月) 00:16:16.49
律「あれ? 純ちゃんいない」

梓「気がつかなかったんですか? さっき帰っちゃいましたよ」

律「えー、なんでさぁ」

梓「面倒になったんじゃないですか?」

律「薄情なやつだなー」

澪「それにしてもまだ帰ってこないな…もう一回電話かけてみるか」ピッ

prrr

紬「あら? 電話の音?」

律「誰のだ?」

梓「私のじゃありません」

紬「向こうの部屋から聞こえてくるわ。私見てくる」

律「ああ」

61: 2010/09/06(月) 00:19:02.06
紬「どこかしらぁ…あ、これね」

紬「って、これ。唯ちゃんの携帯じゃない!」

紬「お出かけするときに忘れて行っちゃったのかな?」

紬「……」

紬(私、人の携帯を黙って盗み見するのが夢だったのー)ピ、カチカチ

「ふしゅるー」

紬「あっらまぁー! 唯ちゃんったらこんな画像を…しかもフォルダにジャンル分けしてあるわ…! あらあらまぁ…ふむふむ…」

「ふしゅるー、ふしゅるー」

紬「やだっ、ムービーまであるわ…なんてゴーゴーマニアックなの…うふふ…やだぁ…♪」

「ふ、ふしゅるー…ふしゅるー」

紬「メールの方は…男の気配は……あ! 電話帳にお父さん以外の男の人の名前が! 中学の同級生かなにかかしら…やだわぁ…ノーセンキューよっ」

紬「…こんなところかな。さて、みんなのところに戻りましょ」スタスタ…

唯「ウグゥ…」グスン…

62: 2010/09/06(月) 00:23:17.54
紬「ただいま~」

律「おお、どうだった?」

紬「唯ちゃん、携帯を忘れて行っちゃったみたい」

梓「さすが唯先輩。ドジっ子ちゃんですね」

澪「そこが可愛いんじゃないか」

「AHAHAHAHAHA!!」

澪「あ、そろそろ冷蔵庫にいれておいたコーラ、冷えたころかな。ちょっと見てくるよ」

律「あいよー」

63: 2010/09/06(月) 00:26:20.26
ガチャリ

澪「うーん、冷え冷えだぞ~♪」

澪「やっぱりコーラは瓶でよく冷えてるやつが美味しいよな。エリに瓶のやつ見つけたら買っておいてって頼んでおいてよかったよ」

「ふしゅるー」

澪「んぐ、んぐ、んぐ…ぷはー! 美味しいっ」

「ふしゅるー」

澪「それにしてもここの冷蔵庫は良いのを使っているな。これでも私は家電に詳しいんだ」

「ふしゅるー、ふしゅるー」

澪「でもこのさっきから聞こえる息みたいな音はなんだろう? 氷でも作ってるのかな」

澪「いや…野菜室から聞こえるぞ…何が…!」パカッ

唯「ふしゅるー」

澪「唯!?」

唯「ミオチャーン…」

64: 2010/09/06(月) 00:30:41.46
澪「この馬鹿!!」グイッ…ペチン!

唯「アウッ」

澪「小さい頃によく言われてただろう!? 冷蔵庫の中に入るなって! 私もしょっちゅう言われてたもんだぞ!!」

唯「ウウウ…ゴメン…」

澪「冷蔵庫は内側から開けられないんだから、危険なんだ。まぁ、かくいう私も子供のころは冷蔵庫に入ることが好きだったんだけどな…」※絶対にマネしないでね

唯「チヲ…ミオチャーン…」

澪「あの心地いい狭さと薄暗さと寒さがなんか癖になるんだよな。でもさすがの私も野菜室には入らなかったぞ?」

唯「ソンナコトヨリ…モウゲンカイナンダヨォォ…」

澪「なに? まだ入りたらないのか? 仕方がない私が見てるからもう一度入っててもいいぞ」

唯「エ…」

澪「ほら、遠慮するな唯」グイグイ

唯「イ…イヤ……ソウジャナイノ…チョ…」パタン

澪「出たくなったら中でノックしてよ」

唯『…ナンダカナァ』

66: 2010/09/06(月) 00:34:52.02
梓「澪先輩」

澪「梓、どうかした?」

梓「帰りが遅いからどうしたのかなって」

澪「ああ、唯が冷蔵庫に入りたがってたから付き合ってたんだよ」

梓「…は? ていうか唯先輩いたんですか!?」

澪「ああ、この中だよ」

梓「何してるんですか!? そんなところに入ってたら氏んじゃいますよ!?」ガチャリ

梓「…いないじゃないですか、唯先輩」

澪「え? おかしいなぁ、さっきまで入ってたのに…は! ま、まさか…」ガクガク

澪「おばけぇーっ!!! きゃー!!」

梓「えー…あ、律先輩」

律「おう」

68: 2010/09/06(月) 00:38:07.80
澪「おばけなんかいないおばけなんかいないおばけなんか…」ガクブル

律「どしたの? こいつ」

梓「ええ、まぁ色々ありまして…それよりどうかしましたか?」

律「汗かいてきて…ちょっと気持ち悪くてな。風呂いってくるよ」

梓「あ、はい…って人の家のお風呂に勝手に入るつもりですか!?」

律「後で断れば大丈夫だって~! んじゃ」

梓「あ、ちょっ…もう! 勝手なんだから…」

澪「おばけなんかいないおばけなんか…あわわわ」

梓「ほら、行きましょう澪先輩? きっと何かの見間違いだったんですよ」

澪「あうー…」

70: 2010/09/06(月) 00:42:18.75
チャポン…

律「ふー…いいお湯だ。さっき沸かしておいて正解だったよ」

律「それにしても平沢姉妹遅いよなぁ…まったく、学校サボって何してんのやら」

唯「リッチャン」

律「うおおぉぉっ!? ななな…ゆ、唯ぃっ!」

唯「ふしゅるー」

律「お前いつのまに帰ってたんだよ! ていうか物音もしなかったぞ」

唯「スワセテヨ…リッチャン…モウガマンデキナイヨ…」

律「お、おいおい…入ってきていきなり乳を吸わせろって…とんでもない爆弾発言だな。さすがの私も引いちゃうぞ…」

唯「チヲー…」

律(…なんか様子がおかしいな。ん?)

73: 2010/09/06(月) 00:46:44.03
律(…鏡に…私しか映ってないぞ…どういうことだ…)

唯「ふしゅるー」ギュッ

律「あ、このやろ…! 最近胸がでてきたからって私にひっつけて自慢してんのか!」

律(って、そうじゃない! 鏡に唯が映っていないんだ! 今しっかり私に抱きついているのに…)

唯「ンアー…」ガァ…

律「鏡に映らない…それって…ま、まさか」

唯「イタダキマース」

ガブッ

78: 2010/09/06(月) 00:50:23.97
澪「律遅いな」

紬「のぼせちゃってるのかしら…心配だわ」

梓「仕方がありませんね。私、見てきます」

澪「悪いな、梓。頼むよ」

梓「はい。では…」タタタ…

紬「あら、もうすぐ6時になっちゃうわ。日が暮れるの早くなったね」

澪「そうだなー。暗くならないうちに唯と憂ちゃんが帰ってきてくれるといいんだけど…ん?」

純「……」

澪「純ちゃん! 帰ったんじゃなかったのか?」

純「……」

紬「どうしたの? 俯いたままで…具合悪い?」

純「……ぐっ」

純「ふしゅるー」

79: 2010/09/06(月) 00:54:30.55
ガチャリ

梓「律せんぱーい、のぼせてませんかー?」

梓「って、あれ? いないよ?」

梓「もしかして上がったのかな…そういえば服もそこになかったし…」

律「…あ、梓……」ヨロヨロ

梓「律先輩! どうしたんですか? 顔色悪いですっ」

律「よ、よく聞くんだ…梓…唯は…唯は…」

ガブッ

律「う…あ…!?」

唯「ングング…ウマウマ…リッチャンノチ…シンセンデオイシイヨー」

梓「!? な、何!?」

律「唯は…吸血鬼だ…あぐ…に、逃げろ…澪とムギを連れて…は、はやく…私が血を吸われているうちに…ああっ」

梓「律せんぱーいっっ!?」

81: 2010/09/06(月) 00:58:15.16
律「は…はや……うぐっ」バタッ

唯「ふぅ! ごちそうさま。やっとお腹いっぱいになったよ」

梓「な、なんてことを…」

唯「仕方がないよ、あずにゃん。血を吸わなきゃ私氏んじゃうんだもん…」

梓「だからって友達を襲うんですか!? おかしいですっ」

唯「仕方がないんだもん! それにもっと私たちの仲間を増やさなきゃいけないんだよ」

梓「な、仲間って…まさか…!」

律「……」ピク…ピクン

唯「すぐにりっちゃんは吸血鬼になるよ。覚えてる? 吸血鬼に血を吸われた人間は吸血鬼になるって…あずにゃん」

律「…う、ぐ…あああ…」ユラ…

梓「律先輩っ! そ、そんなことないですよね? 吸血鬼になんてなりませんよね!? これもまたごっこ遊びなんですよね!?」

律「…ふしゅるー」

梓「うわー! 律せんぱーいっっ!!」

82: 2010/09/06(月) 01:02:14.15
梓「うわあああ!!」タタタ…

唯「あ、待ってよ! …あずにゃん逃げちった」

律「ノドガ…ハラガ…」

唯「うんうん。わかるよ、りっちゃん。苦しいよね…だから私たちは人の血を吸わなきゃいけないんだよ! この苦しみから逃れるために!」

律「ふしゅるー」

唯「頑張ろうね! りっちゃん!」

和「唯」

唯「あ、和ちゃん」

和「あんたにしてはよくやったわ。昨日吸血鬼になったばかりなのに…上出来よ」

唯「悲しいけど…本能に従っただけだよ。それになんかしらないけどみんなウチに勝手に来てくれたしね。なんでだろ?」

和「学校を休んだからでしょう。唯は普通の吸血鬼だから日が出てる時間外にでれないから」

和「まぁ、私がお見舞いに行けって催促しただけなんだけどね。ふふ」

唯「ありがとー、和ちゃん」

85: 2010/09/06(月) 01:05:48.57
梓「はぁ、はぁ…澪先輩! ムギ先輩!」

梓「いない!? なんで!?」

梓「わ、私をおいて帰っちゃったの!? チクショウあのコンチキショウどもっ!」

グイッ

梓「え、わあっ!? きゃあああ!!」

澪「しっ、静かにしろ! 梓っ」

梓「み、澪先輩…! それにムギ先輩も!」

紬「ああ、無事でなによりだわぁ…ふぅ」

梓「たたた大変なんですっ、唯先輩が…律先輩がぁ…」

澪「やっぱりそうだったか…」

梓「え…?」

紬「あの影の薄い子…えっと、純ちゃんだったかしら? あの子がさっき私たちを襲撃してきたのよ」

梓「じゅ、純が!?」

86: 2010/09/06(月) 01:08:50.09
紬「普通じゃない様子だったわ…それで私、もしやと思って吸血鬼に対抗する手段を色々とってみたの…そしたら」

澪「全部効いたんだ。最後に純ちゃんを窓から思いっきり外に放り投げたら日の光を浴びて苦しみながら塵になった」

梓「そんな…ていうか澪先輩、怖くないんですか」

澪「…ただのやせ我慢だよ。あんなのが出てきたんだ…ワガママは言ってられないよ」

梓「先輩…」

紬「しっ。…誰か部屋に入ってくるわ。物音を立てずにこのままここに隠れましょう」

スタスタスタ…

憂「あれ…? 純ちゃん? どこー?」

梓(憂!?)

88: 2010/09/06(月) 01:12:59.30
憂「純ちゃーん! おかしいな…確かに澪さんたちのところに向かわせたのに」

憂「…それに澪さんたちがいない。まさか、逃げちゃったのかな…だったら困ったよ…」

紬(憂ちゃん…やっぱりあの子も)

澪(まったく! どうなってるんだこの家は…)

梓(憂が着てるエプロン…真っ赤だ…もしかして昨日唯先輩についていた赤いのって…ミートソースなんかじゃなくて…血…!)

憂「…ん? くんくん、くんくん…」

憂「澪さん、ムギさん、梓ちゃんの匂いがする…くんくん」

澪・紬・梓(っ!!)

90: 2010/09/06(月) 01:16:43.38
憂「もしかしてまだ家の中…?」

憂「くんくん…匂いはするけど…血の匂いがまだ残ってて上手く嗅ぎ分けられない」

紬(嗅覚が発達してるんだわ…!)

澪(まずいぞ…下手に動くわけにもいかないし、ここにずっと隠れているわけにもいかない…)

梓(待って…また誰か来ますっ)

律「ウ、ア…アアア…」

憂「あ、律さん! 律さんも吸血鬼になったんですね! よかったぁ~」

澪(律…っ)

律「ノドガカワイテ…ウイチャン…」

憂「かわいそうに…早く血を飲ませてあげないと! 待ってて下さいね。きっとこの家の中にまだ残りの3人がいるはずですから…あの人たちの血を…」

梓(憂…どうしちゃったの…)

94: 2010/09/06(月) 01:20:24.20
澪(隠れてからもう30分ぐらい経った…この分じゃ外はもう日が沈んでるよ)

紬(なんとかこの家を脱出しても…逃げ切れるのかしら…)ガクガク

梓(なにか…なにかいい策は……あ! ありますっ、リーサルウェポン!)

紬(え…梓ちゃん?)

梓(こんなこともあろうかと…)ガサゴソ

梓(買っておいたんです。にんにく!)テッテレー

澪・紬(GJ!!)

澪(ていうか出すならもっと早くに出してくれよっ)

梓(えへへへー)

95: 2010/09/06(月) 01:23:31.81
紬(1、2の3で出て行こう? 出たらまっすぐそこの窓から外に…)

澪(飛び降りるんだ。梓)

梓(なんで私ですか!?)

澪(最後まで聞け。いいか? 梓は窓から…私は玄関からムギは1階のベランダから逃げるんだ。散り散りになって逃げた方が纏まって逃げるよりいいはずだ)

梓(いいかもしれませんけどなんで私だけそんなハードなポイントから脱出しなきゃいけないんですか!? ここ一応3階なんですよ!? 飛び降りたらちょっとの怪我じゃ済みません!)※現在、3階の部屋

澪(大丈夫。運が良ければ足を挫くぐらいですむはずだよ)

梓(運が良い!? 足挫いたら逃げることできないでしょ!? もう澪先輩がやってくださいよ!)

澪(やだ! 梓は軽いから高い所から落ちてもきっと大丈夫なはずだろ!?)

梓(コノヤロー!! なめてんですかっ!?)

紬(ちょ、ちょっと二人とも! そんなに騒いだら外に音が…)

ガチャリ

憂「みーつけたっ、あはっ」

澪・梓「うわあああああ」

96: 2010/09/06(月) 01:26:23.10
憂「こんなところに隠れてたんですね。全然気がつきませんでしたよ?」ニコ

澪「あわわわ…」ガチガチガチ…

紬「も、もうダメだわ…」

梓(さっきの勇ましさはどこへ行った!?)

憂「さぁ、観念してこっちに…」

梓(…私が、やるしかないっ)

梓「やってやるです!!」グイッ

憂「ふぐっ、…ひっ! そ、それは…に…に…に…」

梓「にんにくだよ…憂!」グイイッ

憂「ワアアアアアァァ! イヤアアアァアアア!!」

梓「今ですっ、逃げますよ!」

澪「よ、よし! 梓! 窓から…」

梓「いい加減にしてくれませんかね!?」

97: 2010/09/06(月) 01:31:23.01
タタタ…

澪「なんで着いてきたんだ!」

梓「嫌だって言ってるでしょ! 私も玄関から逃げますっ」

紬「じゃあ私も…」

バッ

律「ウアア…ミオー…ムギー…アズサァー…アアアア」

澪「り、律っ」

律「ノドガカワクンダ…クルシイヨ…チヲ…チヲ…」

梓「何してるんですか! はやくにんにくを!」

澪「律…」

紬「えーいっ」ドン

律「ゲッ…アアアアア」ドンガラガッシャーン

紬「これで少しは時間稼ぎになるはず…いこうっ」

ギュッ

紬「え…」

98: 2010/09/06(月) 01:35:16.70
唯「んあー…」

ガブッ

紬「っああ!?」

澪・梓「ムギ(先輩)!?」

紬「あ…ああ……」バタリ

唯「ごちそうさま! ムギちゃん!」

澪「ゆ、唯…お前…」

唯「ほら、りっちゃんしっかりして? ねー、みんなも吸血鬼になろうよ! なんかすっごく気持ちいいんだよ~」

律「アアア…アアー…」

梓「い、嫌です…そんなの嫌ですっ! 唯先輩どうしちゃったんですか!?」

唯「どうもしないよー、吸血鬼になっただけだよ…さて、と」ズンズンズン…

律「チィ…チィ…チィヲクレー…」ズンズンズン…

梓(逃げ場がない…お、終わった…)

101: 2010/09/06(月) 02:00:04.51
ガシッ

唯・律「!」

紬「は、はや…く…逃げて! 私が二人を抑えてるから! うぐぅっ…」

澪「む、ムギ!!」

梓「そんな…」

唯「うー…ムギちゃん力強すぎだよー」

律「ハナセー」

紬「ボーっとしてないで! 逃げなさいっ!」

澪「…梓っ、逃げよう!」

梓「…ごめんなさい…ありがとうございますっ、ムギ先輩!」

タタタ…

ガブッ

紬「ああうっっ」

律「ごきゅ、ごきゅ…ふー、ふー…」

唯「たーんとお飲み♪ りっちゃんっ」

103: 2010/09/06(月) 02:05:22.68
澪・梓「はぁ、はぁ…」

梓「これから…どうするんですか…たぶん家に逃げても…」

澪「どこか、安全なところに逃げよう」

和「その必要はないわ」

澪「和!? ま、まさか…お前まで」

和「そうお察しのとおりよ」

梓「どうしてみんな急に…くっ」

和「あの方が動き出したからよ」

澪「あの方…?」

和「ふふふ…」

104: 2010/09/06(月) 02:10:22.67
澪「そいつが和も…唯も吸血鬼に変えたの…?」

和「唯は私がやったわ。私はその通りだけれども」

梓「…えいっ! にんにくをくらいやがれですっ!」ヒュッ…

和「……」パシッ

梓「に、にんにくを掴んだ…!? しかもなんともない…」

和「私は普通の吸血鬼とはちょっとだけ違うのよ。突然変異体なの」

澪「なんだそれ…」

和「昼間でも日の光を気にせず行動できるし、にんにくに十字架…そんなチャチな物も効かないわ」

和「さすがに心臓に杭でも打たれたりすればどうなるか分からないけど」

梓「…あ、ふふっ! 弱点自分でばらしやがりましたねっ! やってやるです!」

澪「いくら和だからって…容赦しないぞ!」

和「ふふっ、やれるものならやってみなさい!」

澪・梓「やああああああ!!!」

105: 2010/09/06(月) 02:15:05.93
和「  」

梓「あっさり倒せましたね」

澪「ああ、案外楽勝だった。けど…」

澪「いくら相手が化物だとはいえ…友達を頃すのは気分がいいものじゃないな…」

梓「はい…ですけど奴らはもういつもの先輩たちじゃありません。私は容赦する気はありませんよ」

澪「…それにしても和が言ってたあの方っていったい…」

梓「そいつを倒しましょう」

澪「え」

梓「そいつを倒して残りの吸血鬼を倒せばそれで全部解決です」

梓「何もかも元通りというわけにはいきませんけど…」

澪「…そうだな、辛いけどそうするしかないっ。でもそのあの方ってやつがどこにいるのか…」

梓「…聞き出しましょう。奴らから直接」

106: 2010/09/06(月) 02:20:05.99
憂「澪さんに梓ちゃん…どこに逃げたのかな。家の方には帰ってなかったみたいだけど」

憂「それにしても私たちの仲間もいっぱい増えてきたなぁ…これもお姉ちゃんや律さん、ムギさんのお陰だよ。ふふふ」

憂「吸血鬼になってからお姉ちゃんもこのあいだよりも楽しそうだし、私もなんか気分がいいし、うふふ♪」

ガシッ

梓「捕獲成功! 澪先輩!」

憂「え、え、え? なになに!? 梓ちゃん!?」

梓「うるさいっ! これでも咥えてて!」グイッ

憂「猿ぐつわ!? もがっ…あうあうーっ」

澪「よし、手も足もガッチリ縛ったぞ」

梓「奴らに察知される前にどこかに移動しましょう」

憂「…は、はひをふるひはほ?(な、なにをする気なの?)」

梓「…静かなところでお話しようってだけだよ。憂」

108: 2010/09/06(月) 02:25:29.12
律「やっぱり憂ちゃんどこにもいないぞー」

唯「もー、憂ったらどこまで行っちゃったのかなぁ」

紬「心配ねぇ。悪い人に捕まってたりなんかしなければいいけれど」

エリ「おーい! また仲間が増えたよ~!」

信代「ウッホッホ」

しずか「えへへ、なんかいい気分だね」

三花「ねー」

アカネ「エリ、次のポイントに向かおう」

エリ「あいあいさー! では行ってきまーす!」

律「おうっ、あはは…順調だなぁ。この調子なら一晩で何十人も仲間が増えそうだよ」

唯「そだねー。私たちはこのまま憂と澪ちゃん、あずにゃんを探そう!」

紬「ああっ、二人ともはやく仲間になればいいのに…」

111: 2010/09/06(月) 02:35:20.93
姫子「このあたりで匂いが途絶えてる…」

春子「そんなに遠くに行ってはないと思うな。しょせんただの人間だし」

姫子「うん…あーあ、バイトサボっちゃった…」

春子「いいじゃんいいじゃん。バイトなんかより大切なことなんだしっ」

姫子「そうだね―――――――ああぁっ!!?」

ドスッ…

春子「姫子ぉ!! くそっ、隠れてたのか!」

澪「…う、うわあああああ!!」ドスッ

春子「っあぁあ!!?」

ドサ…

澪「な、なんとか両方とも一発で仕留められた…」

澪(下手ににんにくや十字架で追っ払うより杭を心臓に打ちこんで倒した方が後で仲間を呼ばれるよりマシだな…)

112: 2010/09/06(月) 02:40:36.51
梓「倒せました?」

澪「ああ、確実に仕留めたはずだよ…そっちは?」

梓「長時間お食事を摂取してなかったからか…この通りですよ」

憂「アアア…アズサチャーン…チガスイタイヨー」

澪「これじゃあ話ができない…」

梓「…適当な人間捕まえてきて血を吸わせましょうか。吸わせた人間は吸血鬼になる前に仕留めて」

澪「お、おい! それはいくらなんでもやりすぎだろ!!」

梓「このままじゃ奴ら、どんどん増えていって手の施しようがなくなっちゃいます! だから早いうちに手は打たなきゃいけないんです! その為には小さな犠牲が出ても仕方がないんですっ」

澪「あ、梓…」

113: 2010/09/06(月) 02:45:04.57
梓「……」

憂「チヲ…チヲー…ノドガカワイタヨ…」

梓「…哀れだね、憂。どうしてこんなことになっちゃったのかな」

梓「……」ス…ポト、ポト

憂「チ! チダー! アズサチャンノチダー! OUIIIIIII!!!!」

澪「あ、梓? お前何を…」

梓「どれくらいでお腹いっぱいになるかわかりませんけど…これで済むのなら」ポト、ポト

憂「OUIIIIIIIIIIIIッ!!!」

澪「あんまり血を出したらお前の身が持たなくなるぞ!?」

梓「言ったでしょう…? 小さな犠牲が出ても仕方が…ないって…」ポト、ポト

澪「あ、梓さん…」

114: 2010/09/06(月) 03:00:03.25
梓「はぁ、はぁ…」

憂「ふぅ…お腹いっぱいだよ♪」

梓「しょ、小食で助かった…これ以上あげてたら…」フラ…バタリ

澪「梓! 大丈夫か!?」

梓「ただの貧血です…少し休ませて下さい…後はお任せしますよ。澪先輩」

澪「は、はいっ」

憂「梓ちゃんの血、美味しかったなぁ。いい匂いだし」

澪「憂ちゃん。さっきの続きだ…答えてくれ」

憂「答える必要、ないです」ニコ

澪「…なに?」

憂「たぶんもうそろそろ梓ちゃんの血の匂いに何人かの私の仲間が反応して駆けつけてくれると思いますよ」

澪「なに!?」

120: 2010/09/06(月) 09:05:29.36
澪「それじゃあ梓は何のためにっ!」

憂「ご、ごめんなさいっ。でも仕方がないんです…私、お腹ペコペコだったんで…///」

澪「くそ…!」

唯「憂はっけ~ん! それに澪ちゃんにあずにゃんもいるよ」

憂「お姉ちゃん!」

澪「もう来たのか!? しかも唯っ」

唯「憂、そのかっこどうしたのー? SMプレイってやつ?」

憂「帰ったら教えてあげるね、お姉ちゃん…///」ポッ

唯「そだね…じゃあとりあえずあずにゃんから吸血を…」

澪「触るなぁっ!」

121: 2010/09/06(月) 09:10:29.19
唯「…それじゃあ最初は澪ちゃんからかな」

澪「私に手を出したら梓には手を出すなよ」

唯「そいつぁ約束できねぇよい!」

澪「外道めぇーっ!」

唯「なんとでも言いなさーい!」フンス

憂「お姉ちゃん頑張れー!」

澪「ふんっ」ドスッ

唯「っぁ!!?」ガクッ

122: 2010/09/06(月) 09:15:22.21
唯「ひぃ…ひぃ…ひぃ……」

澪「少しずれたか…次は確実に…!」

唯「や、やめてよぉ…うう…とんだお痛だよぉ…」

憂「お姉ちゃーん!? やめてー! お姉ちゃんを殺さないでー!!」

澪「やらないとこっちがやられるからな…甘いことは言ってられないよ。憂ちゃん」

憂「いやー!!」

澪「……」ガシッ…ス

唯「あわわわ…」

123: 2010/09/06(月) 09:20:19.29
唯「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃっ」

唯「もう悪いこともしませんっ、アイスも程々にしますっ、おねしょもしませんっ、だからゆるじでぇーーっっ! ごろじゃないでぇーーっっ! うええ~ん! うええ~ん!」

澪「ダメだ」

唯「うわああ~ん! うわああ~ん! いやだよぉぉぉっ、じにだくないよぉおぉぉおお」

憂「っぐ…ふぇ…おねえちぁあん…いやぁ…いやぁ…」

澪「……」ス

唯「ああ…あああ…あ…ゆる…し…てぇ…」

澪「お前らの親玉の居場所を言え」

憂「桜高ですっ! 桜高の軽音部にいますっ!」

125: 2010/09/06(月) 09:25:17.31
唯「ああぁっ!? 憂!?」

澪「…なるほどな」

ヒュッ…

唯「!?」ベチャア

唯「くっさ…ってギャアアアアアア!! ニンニクダァーーー!!」

憂「ギャアアアアアア!!」

澪(私もまだまだ甘いな…)

澪「ほら、唯! はやくどっかに行かないとヤバいんじゃないか? 憂ちゃんを連れてここから消え失せろ!」

唯「う、憂! に、逃げようっ」

憂「うんっっ!!」

澪「こっちにはまだまだにんにくのストックがあるんだからなー?」

唯・憂「ひー!」スタコラサッサ

澪「…っていうのは嘘で、今のが最後だったわけなんだけどな」

126: 2010/09/06(月) 09:30:04.71
澪「それにしても梓はまだ起きそうにないな…さすがに私一人で突撃ってのは無謀だろうし」

梓「……」

澪「梓をここに置いたままにはできないしな」

「ここにいたのね、二人とも」

澪「!!」

さわ子「おっと、私は奴らじゃないわ。勘違いしないでね」

澪「さわ子先生…」

127: 2010/09/06(月) 09:35:05.69
さわ子「大変なことになっちゃったわね」

澪「…はい」

さわ子「昔ね、私が学生時代のころにも同じことがあったの。その時は被害を少数で抑えてなんとか親玉も仕留めたわ。…この私が! すごくない!?」

澪「さ、さわ子先生が!? す、すごいですっ」

さわ子「きたー! これよぉ~! この反応よー! もう誰もこの話信じてくれなくて…」

澪「そ、それより親玉ってのは…奴らが言ってるあの方ってやつと」

さわ子「ええ、同じよ。そして奴は復活してしまった。止めは刺したはずなのに」

澪「誰だったんですか…その親玉ってのは」

さわ子「実はね…ウチのクラスによく似た子がいるのよ。そいつに」

さわ子「名前は―――――」

ガブッ

さわ子「あうっ!?」

128: 2010/09/06(月) 09:40:05.57
律「お喋りは命を縮めるぜー、さわちゃん」

澪「律っ!」

さわ子「ちょ…嘘……こんなところで…私……あ」バタリ

律「一人っと、さーて澪ちゃん。覚悟しなよ…ってあれ?」

律「いねーし…ついでに梓もいなくなってる…」

律「澪寂しがってんだろうなー、私がいなくて」

律「まーてよぉ、澪ー! にげんなよー! あはは」

さわ子「ウアアア…チガホシイワァ」

スタスタスタ…

澪「……」

梓「…行きましたね」

129: 2010/09/06(月) 09:45:11.50
澪「もう大丈夫なのか…?」

梓「ええ、大丈夫です。それよりさっきのさわ子先生の話…」

澪「聞いてたのか?」

梓「途中からですけどね…でも澪先輩たちのクラスによく似たのがいるって…」

澪「…そいつが親玉だとは今は断定できないよ。とりあえず桜高に行こう。私たちの部室に親玉が潜んでる!」

梓「唯先輩たちどころか…部室まで奪うなんて…!! 絶対に許しません!」

澪「ああ! ただじゃおけないっ」

梓「やっぱりにんにく風呂に突っ込んでやるです!」

澪「よし、その後は私が奴を縛り上げて朝日が昇った瞬間窓から放りなげる!」

澪・梓「おー!」

130: 2010/09/06(月) 09:50:13.27
澪「着いたぞ」

梓「はい」

エリ「やっぱり来たね! 来ると思ってたよー」ニッ

あかね「ここは意地でも通さない! この」

エリ・あかね「コーラ大好きバレー部員二人組が!!」

澪「二人組とか…プリキュアのつもりか? 感動的だな。だが無意味だ。ひっこんでろ」

梓「それいうなら私たちも二人組ですよ」

澪「……キュアホルスタイン」

梓「キュアコックロ…キャット」

澪・梓「二人はプリキュア!!」ドン!

澪「三下吸血鬼ども!」

梓「とっとと塵となりやがれです!」

エリ・あかね「……」

131: 2010/09/06(月) 10:00:05.31
梓「ブラックサンダー!」ドスッ

澪「ホワイトサンダー!」ドスッ

梓・澪「プリキャア! マーブルスクリュー!!」ドスッ

エリ「こ、こんなふざけた奴らに…ウソデショー…」

あかね「ム、ムネン…」

梓「こんなテンションでもなきゃ、やってられないっての…」

澪「よし、先を急ごう」

ドカーン

「!」

紬「うふふ、待っていたわぁ」

梓「む、ムギ先輩っ」

澪「壁を突き破ってきたぞあいつ…」

132: 2010/09/06(月) 10:05:42.65
紬「私ね、吸血鬼になったらすっごく力が強くなっちゃって…いわゆる怪力ね!」

澪「なるほどな…梓、逃げよう。勝ち目が見えないよ」

梓「諦め早いですね!?」

澪「諦めも肝心ってことだよ…」

紬「あらあら、そういうの嫌いじゃないわ」

律「じゃあこんなことしてもいいってことだな~、澪」ギュッ

澪「え…」

梓「しまった!!」

ガブッ

澪「ああっ」

134: 2010/09/06(月) 10:10:08.70
梓「澪先輩!? うわああ!!」

澪「あ…ああ……そんな…律…」

律「よかった、私が澪の血を吸うことができて…他の誰にも吸わせたくなかったんだぜー?」

紬「愛だわ…♪」ウキウキ

澪「っく、は…はな…せ……」

律「やだよっ、全然吸い足りないもん」

ガブッ

澪「うああっっ」

梓「わああああ!! 澪先輩から離れろぉっ!」ブンブンッ

律「おっと! 相変わらず騒がしい後輩だなぁ。ムギー」

紬「心得たー」

梓「ああああ!!!」

135: 2010/09/06(月) 10:15:12.54
澪「ひぃ、ひぃ、はぁ、はぁ…こ、こんなの…いやだ…」

律「澪、何もお前は氏ぬんじゃないだ。私たちの仲間、吸血鬼になるだけなんだよ?」ギュウッ

澪「それが嫌だって…言ってるんだろ…」

律「どっちみちもう遅いよ。すぐにお前は吸血鬼だ。あはは、やったな澪! 私と一緒なんだぞー嬉しいだろーえへへ」

澪「そうだ…なぁっ!」ドスッ

律「っが!!?」

澪「うぐぅっ…っあ…!」

紬「ああ! りっちゃん澪ちゃん!」

梓「そ、そんな…嘘……」

137: 2010/09/06(月) 10:20:16.34
律「お、お前ぇ…何考がえテンダッ…ジブンゴトクイヲウチヤガッテ…オエエッ…ゲェッ…」

澪「おえっ…また少しずれちゃったか……吸血鬼?…そんなのごめンダヨ…ソレナラ…」ドスッ

律「ギャアアアアアア!!!」

澪「…ハァ、ハァ……マッタク、サイゴマデオマエトイッショダナンテナ…ジャアソロソロイコウカ、リツ……」ドスッ

律・澪「  」

梓「あ…あ……」

紬「二人とも、消えちゃった」

138: 2010/09/06(月) 10:25:10.90
梓「っ!」

紬「あ、梓ちゃん待って!」

タタタ…

紬「待ってってばー…って、いないわ」

紬「トイレに逃げ込んだのかしら…こっちから匂いがする」

梓(はぁ…はぁ…)

ガチャリ

紬「梓ちゃーん」

ガチャリ

紬「梓ちゃーん」

梓(はぁ…はぁ…!)

ガチャリ

紬「みーつけたー」ニタァ

139: 2010/09/06(月) 10:30:11.82
ピカーン

紬「!? ま、眩しいっ…イヤアアアアアアァァァァ」ジュゥゥ…

梓「この対吸血鬼用ライト…澪先輩とこっちに来る前で作ってきたんです。さわ子先生が吸血鬼になる間際で作り方が書いたメモを落としてくれてたんです。全身に染み渡りますか、この光…」

紬「アアアアアアァァァァァァアアアアアアァァァアアア」ジュゥゥ…

梓「塵になるまで浴び続けててください…。もうすぐ終わりますから」グイッ

紬「アァァアアアアア………」

シュー…

梓「あはは、出し惜しみなんかしないで最初からこれを使ってればよかったんだ…」

梓「…って、電池の消費が激しいから何度も使えないんだっけ」

梓「…っ、澪先輩…」

140: 2010/09/06(月) 10:35:13.60
ガチャリ

梓「……」

梓「いるんですよね、親玉さん」

梓「ここは私たちの部室です。部外者は入らないでくださいよ」

梓「……」

梓「返事しろコラアアアアアアアァァァァ!!!!」

梓「……」

梓「まさか、いない? 憂が教えた情報は嘘だったの…?」

ギュッ

梓「!」

141: 2010/09/06(月) 10:40:10.16
梓(う、後ろから抱きつかれた…顔は見えない…)

「あー…」ガァ…

梓「こ、このぉっ」ピカーン

「キャアアアアアアア」

ドンッ

梓「離れた! よし、このまま…」

ピカー…フッ

梓(電池が切れた…!)

「ふーっ、ふーっ、ふーっ!」

梓「…随分と可愛らしい親玉ですね。コノヤロー」

いちご「グルルルル…」

142: 2010/09/06(月) 10:45:10.42
梓「…あなた、以前にもこんな騒ぎ起こしたんじゃないですか?」

いちご「グルルル…それはいちご2世…私はその子孫の3世」

梓「ああ、そうなんですか。別にどうでもいいです」

いちご「……」

梓「単刀直入に訊きます。なんでこんなことをしてるんですか?なんでそれも今になって」

いちご「…私には家族がいない。寂しかったの。時期はどうでもよかった。ただ寂しさ紛らわせたかった…それだけ」

梓「あちゃー、勝手な人ですね。いけませんよそういうの」

いちご「……」

梓「私、決めてたんです。あなたをにんにく漬けにしたり、にんにく風呂に入れたりしようって」

いちご「…勘弁」ピクッ

梓「でもそれはやめにしました」

いちご「……?」

梓「……」ギュッ

いちご「!」

144: 2010/09/06(月) 11:00:03.58
いちご「何を…」

ガブッ

いちご「っ!!?」

梓「はひほろひへはふ~(噛み頃してやる~)

ガブッ、ガブッ

いちご「あっ…ん!」

梓「ふぅ…もとから吸血鬼のあなたはこうやって噛みつかれたことありますか? どんな気分です?」

ガブッ

いちご「い…やっ…ああ! んっ…あぅ…」

梓「がうーーーっ」



ガブリッ

145: 2010/09/06(月) 11:05:04.58
チュンチュン、チュンチュン…

梓「ん…朝だ」

いちご「  」シュゥゥ…

梓「…そっか、私がやったんだっけ」

梓「我ながらとんでもないことしたかな…」シュゥゥ…

梓「あ、あれ…! なんか…苦しっ…ううっ…」シュゥゥ…

梓「そ…そっか……私も噛まれちャッタンダッケ…」シュゥゥ…

梓「アア…アアアアアアア………」


シュゥゥ………

146: 2010/09/06(月) 11:10:02.85
・・・

澪「ん、んー…」

澪「…うわああああああ!!! って、あれ…」

紬「あ、澪ちゃん気がついたわっ」

律「澪ー! なんともないか? ごめんなぁ、ちょっと今回はやりすぎちゃったよ」

梓「ごめんなさい、澪先輩。私は止めましたけど律先輩がやるって聞かなかったんです。だから仕方がなかったんです」

律「てめぇこら中野」

澪「えっと…何だったっけ…みんな何を謝ってるんだ? ていうか吸血鬼は…律は…」

律「寝ぼけてんのか? 私はここだぞー澪ちゃんやー」

紬「えっとね、澪ちゃん。さっき澪ちゃん私たちのいたずらで気絶しちゃったのよ」

澪「…思い出した。そしてムカついてきた。全員その場で歯を食いしばれ」グッ

律・紬・梓「優しくしてね♪」

147: 2010/09/06(月) 11:15:06.60
梓「いだだ…でもいいパンチでしたよ。一瞬星が見えました」

紬「私、一度グーで顔面殴られてみたかったのー…」

律「ったく…やるならもっと優しくやれよなっコノヤロー」

澪「こっちは氏ぬかと思うぐらい怖かったんだぞ! それで済んだことをありがたくおもえ」

澪「…ところで、唯は?」

紬「あ、そういえば和ちゃんを引きつけてからそれっきりね…」

梓「澪先輩が倒れてからそれどころじゃなかったですもんねー」

律「それじゃあ探しに行くかー」

ガチャリ

唯「やっほー」

律「このタイミングの良さ…貴様、狙ってたな!」

唯「やれやれ、待ちくたびれたところだよ」

148: 2010/09/06(月) 11:20:08.36
紬「和ちゃんはどうしたの?」

唯「生徒会に行ったよ~」

梓「あの人の友達は生徒会ですもんね」

澪「そんなこと言ってやるなよ」

唯「ところで吸血鬼ごっこはもうお終いですか!」

律「お終いです!」

唯「やーんっ!」

澪「……!」

その時私には見えてしまったのです。

唯の口からチラチラと覗かせる鋭い犬歯…口元に付着している血のようなもの…

唯「ちぇー、せっかく吸血鬼になったのにー!」

律「はいはい、よーございましたねー」



唯「…ふしゅるー」


終わり

149: 2010/09/06(月) 11:22:06.49
やだなにこれ怖いホラー

引用元: 唯「バンパイアガール!」