2: 2011/04/26(火) 02:47:50.83
キョン「なぁ古泉、相談があるんだが」

古泉「おや、あなたが僕に相談ですか?珍しいですね」

キョン「ちゃかすな。いや、まぁお前くらいしか相談できる奴がいなくてな、聞いてくれると助かる」

古泉「ふふっ、それは光栄ですね。で、どうされたんです?」

キョン「えーとだな、もうすぐ森さんと付き合って一ヶ月になるだろ?」

古泉「…………はい?」

長門「……」ピクッ

キョン「だからもうすぐ俺と森さんが付き合い初めて一ヶ月たつだろ?」

古泉「」

3: 2011/04/26(火) 02:49:57.46
キョン「ん?どうした?」

古泉「どういうことですか!」バンッ

キョン「え?お前知らなかったの?」

古泉「初耳ですよ!何で僕が知ってるって思ってたんですか!」

キョン「いやだって新川さんも田丸兄弟も知ってるし、機関公認なのかと」

古泉「」

4: 2011/04/26(火) 02:51:23.88
古泉「え……、え?」

キョン「落ち着け古泉」

古泉「……はい、もう大丈夫です。それでどういうことなんですか」

キョン「どういうことってどういうことだよ?」

古泉「何であなたと森さんが付き合っているのかと聞いているんですよ!」バンッ

キョン「いや、だから落ち着けって」

古泉「これが落ち着いていられますか!」バンッ

5: 2011/04/26(火) 02:52:10.96
クイクイ

キョン「ん、どうした長門」

長門「あなたと森園生がどのようにして付き合い始めたのか知りたい」

古泉「そ、そうですよ!そもそもあなたと森さんはあんまり接点が無かったはずです!」

キョン「うーむ、だが正直恥ずかしいんだが」

長門「話して」ズイ

キョン「いやしかしだな……」

長門「話して」ズイッ

キョン「お、おう」

古泉(長門さん怖い)

6: 2011/04/26(火) 02:54:57.16
《回想》

キョン(今日は親も妹も親戚の家に行ってるわけだが……さて何をするか)

ピンポーン

キョン(ん?客か?)

ピンポーンピンポーン

キョン(はいはい、分かりましたよ)

ピンポーンピンポーンピピピピピピンポーン

キョン「はいはい、どなたですか!」(こんな非常識なことする奴は一人しか思い浮かばないわけだが)

森「こんにちは、キョンさん」

キョン「え、森さん?」

:
:
:
古泉「森さん何やってるんですか……」

キョン「あれは本当に驚いた。あんな真似するのはハルヒくらいだと思っていたからな」

古泉「それで、その後はどうなったんですか?」

キョン「ん……それから色々あったじゃ駄目か?」

長門「駄目」ズイッ

7: 2011/04/26(火) 02:55:53.41
キョン「わっ分かった」(長門が怖い……)

《回想》

キョン「えーと……どうしたんですか、森さん」

森「ええ、ちょっと用事がってところでしょうか」

キョン「はぁ、またハルヒがなんかやらかしたんですか。……古泉はどうしたんです?こういう時は毎回古泉が来るでしょ?」

森「いえ、今回涼宮さんの能力は関係ありませんし、世界改変も行われていません。話の内容が内容なので私が来ました」

キョン「?じゃあなんで……」

森「ふふっそれより中に入れてもらえませんか?」

キョン「あ、すいません。どうぞ」(一体何なんだ?)

8: 2011/04/26(火) 02:57:21.11
【リビング】

キョン「それで、ハルヒが関係ないなら今日はどうしたんですか?」

森「はい、今日はキョンさんのことで来ました」

キョン「俺の?俺がどうかしたんですか?」

森「実はキョンさんの働きについて謝礼金、というのでしょうか?早い話がキョンさんにもお給料を、と機関が決定しました」

キョン「は?いや、何で、てかいいですよそんな……」

森「これは機関が決定したことですので。勝手ながら入学してから先月までの分は振り込ませていただきました」つ明細

キョン(9桁……だと?)

9: 2011/04/26(火) 02:58:18.98
キョン「え、ちょっと、ちょっと待ってください。これ多分、いや絶対親の生涯年収より高い……四捨五入したら桁変わるんですけど」

森「いえ、世界を救ってくれたことを考えると安いくらいです。それに普段一番涼宮さんの被害を受けてるのはキョンさんですから」

キョン「いや、被害って……まぁそうなんですけど、俺も結構楽しんでたんで……とにかくこんなに貰えるわけがないですよ!」

森「ちなみに古泉の給料の約半分+αです。」

キョン(古泉は四年以上前から機関にいたはずだから……パネェ)


10: 2011/04/26(火) 02:59:48.20
キョン「で、+αというのは?」

森「去年の春や12月のような世界の危機を救ってくれたとき、命の危険かあったとき、また涼宮さんに大きく譲ってくれたときなどです」

キョン(朝倉の時や映画撮影の時とかか?)

キョン「いや、けど本当にこんなに……これ高校三年通うだけで人生遊んで暮らせますよ」

森「正直にいえば、もちろん機関の利益も考えていますよ。橘京子が所属する組織、未来人達への牽制のようなものです」

キョン「……なるほど。けどそれを聞くとやっぱり」

森「キョンさん」

キョン「はい?」

森「受け取ってくださいね」ニコッ

11: 2011/04/26(火) 03:00:30.45
:
:
:
キョン「てことがあった訳だ。」

古泉「なるほど。森さんの笑顔に押し切られたんですか。しかし確かに僕たちは今まであなたが協力してくれて当たり前と考えていた節がありましたからね。むしろあなたが報酬を得るというのは当然、ということですか」

キョン「まぁな。てか今までは逆に財布が軽くなってたんだがな」

古泉「ふむ。仕事、任務だった僕は我慢できてたんですが……そう考えてみるとあなたは何で我慢出来てたか不思議ですね」

キョン「話の展開ゲフンゲフン、それだけSOS団が楽しかったってことさ」キリッ

クイクイ

長門「肝心のことをまだ話していない」

キョン「あぁ……。ま、ここまで話したから最後まで話すか」


13: 2011/04/26(火) 03:02:00.48
《回想》

キョン「分かりました。けどやっぱりこんなには貰えませんよ」

森「機関は本当にキョンさんに感謝しているんですよ。涼宮さんが中学生の頃と比べると、閉鎖空間の量はずっと少ないですからね」ニコッ

キョン「はぁ、分かりました。ありがたく頂戴させていただきます」

森「いえいえ。今月の分からは月末に振り込んどきますんで。あと御両親も含めてあまり人にもらさないようなお願いします」

キョン「額が額ですしね。バイトじゃ通じませんよね」

14: 2011/04/26(火) 03:02:57.25
森「あと古泉にも言わないでください」

キョン「え、何でですか?」

森「機関としてはあなた達の関係を変えてしまうことは出来るだけ排除したいんですよ」

キョン「あいつは俺が金を貰うくらい何とも気にしないと思いますけど」

森「ふふっ念のためですよ」

:
:
:
古泉「思いっきり言ってますよね」

キョン「状況が変わったってやつだな。いや俺の思い違いだったのかね」

古泉「?」

キョン「さて、ここからが本題だ」

15: 2011/04/26(火) 03:04:05.11
《回想》

森「……」ニコニコ

キョン(帰ろうとしないってことはまだ何かあるのか?)

キョン「えっと、まだ何かあるんですか?」

森「……、はい。今週の日曜日はSOS団の活動がないはずです。あの、キョンさんは何か予定がありますか?」

キョン「何もありませんけど、何か?」

森「大したことではありません。ただ少しお付き合い願おうかと」

キョン「……機関とやらにですか?」

森「いえ、ちょっと二人でお茶でもと」

キョン「はい?」

16: 2011/04/26(火) 03:05:30.77
:
:
:
キョン「ま、それから時々あって話したり散歩したりしてるうちにってな」

古泉「なるほど。まぁ納得できる話ですけど、よく新川さん達、いや機関が許してますね。というか何で僕は知らされてないんでしょうか」

キョン「色々あったんだよ。お前に知らされてないのは知らん。直接聞いてみろ」

古泉「ええ、そうします。その時森さんとは何を話したんですか?」

キョン「んー、お互いに愚痴ったり古泉について話したりハルヒについてとか長門や古泉、機関についてとか、他愛もないこととか後は古泉についてだな」

古泉「どんだけ僕について話してるんですか!」

キョン「共通の話題って大事だろ」キリッ

17: 2011/04/26(火) 03:06:16.53
ガチャ

キョン「ん?長門どっか行くのか?」(いるの忘れてた……)

長門「最優先事項が出来た。今日は帰らせてもらう」

古泉「長門さん、あの森さんには……」

長門「あなた達が悲しむようなことはしない。安心して。それと涼宮ハルヒが一分後に来る」

ガチャ

キョン「どうしたんだ長門は」

古泉(十中八九あなたのことだと思いますけど)

18: 2011/04/26(火) 03:07:25.24
ズドーン

ハルヒ「待たせたわね、団長様の登場よ!」

キョン(長門の出ていったドアと同じドアなんだろうか……)

古泉(そろそろドアの換え時ですかね。ふぅ、もう何度目でしょうか)

ハルヒ「あら、有希はどうしたの?いないなんて珍しいじゃない」

キョン「なんかやることがあるらしいぞ」

ハルヒ「ふーん。今日はみくるちゃんも来れないって言ってたからもう解散しましょうか。解散!」

ドスン

キョン「はぁ、全く。落ち着きのない奴だ」

古泉「僕達も帰りましょうか。森さんに聞きたいこともありますし」

キョン「そうするか」

34: 2011/04/27(水) 14:26:26.20
《帰宅中》

古泉「しかし今日は本当に驚きましたよ。まさかあなたが森さんと付き合っているとは。全くそのような素振りを見せなかったじゃないですか」

キョン「いやな、お前が全く知らないようにしてるから俺もそう振る舞うべきだろうと」

古泉「なるほど。高校生になって一番の驚きでした。ひとまずおめでとうございます、でしょうか」

キョン「おうサンキュー」

35: 2011/04/27(水) 14:27:09.23
古泉「しかし、あの、……涼宮さんはどうするんですか?」

キョン「何のことだ、とは流石にもう言わんさ。森さんに聞いてるしな」

古泉「ほう。それはあなたがどのように反応したのか、非常に興味深いですね」

キョン「悪趣味だぞ。まぁだが俺はその時ハルヒのことが好きだと思ってたんだ」

古泉「……はい?」

キョン「だから俺はその話を聞いたとき、自分はハルヒが好きだと思っていたんだ」

古泉「」

36: 2011/04/27(水) 14:27:40.56
古泉「ちょっと待ってください。いや、僕も今日までそう思っていたんですが……。確認しますけど今は森さんのことが好きなんですよね?」

キョン「付き合ってるんだから当たり前だろうよ。お前は俺がそんなに軽い男に見えるか?」

古泉「見えないから聞いているんですよ!一体何があったんですか!」

キョン「断っておくがハルヒのことが嫌いになったってわけじゃないぞ?若さ故の勘違いと気づいたからだ」

古泉「いや訳が分かりません!詳しく説明してください!」

キョン「はぁ、しょうがないな。あれはさっき話したときから一週間後のことだ」

37: 2011/04/27(水) 14:28:24.39
《回想》

【喫茶店】

森「ふふふ、……ところでキョンさん、あなたは涼宮さんのことをどう思ってるんですか?」ニコニコ

キョン「はい?何ですかいきなり」

森「キョンさん、これは機関にとって非常に大事なことなんです。あなはは『鍵』なんですから」ニコニコ

キョン「えーと、大事な仲間だと思ってますよ?なんだかんだで付き合いも長いですし」

森「それだけですか?」ニコニコ

キョン「……はい」

森「キョンさん」ニコニコ

キョン(笑顔が怖すぎる……笑顔は元々威嚇だったと聞いたことがあるが……実感したくなかった)

38: 2011/04/27(水) 14:29:10.06
キョン「……分かりました。認めます。確かに俺はあいつに惹かれていると思います」

森「それはどんなところに?」

キョン「えっと、笑顔、とかですかね」

森「それだけですか?」

キョン(他?見た目というのは……無しだな、人として。なら性格?いや、ないな。せめてもう少し大人しく、俺にやさしくしてくれれば……)

キョン「あー、えーと……」

森「……キョンさん。あなたは本当に涼宮さんが好きなのですか?」

キョン「え?」

39: 2011/04/27(水) 14:29:41.71
キョン「……どういうことですか?」

森「文字通りの意味です。そしてあなたのこれからについての話です」

「涼宮さんはあなたに好意を抱いています」

「しかし、もしあなたが中途半端な気持ちで涼宮さんを選ぶのであれば、機関は全力で阻止します」

「それは世界のためでもありますし、あなた自身のためでもあります」

キョン「……」

40: 2011/04/27(水) 14:30:24.06
森「涼宮さんは以前に比べると随分丸くなったように思えます」

「しかしそれでも彼女は『わがまま』な女性なのです。」

「あなたは高校を卒業して大学に入り、そして就職をして家庭を持つようになるでしょう」

「これは、あなたをフォロー出来る人は少なくなっていくということです」

「あなたは長い人生を涼宮さんとずっと歩んでいけますか?」

「あなたはずっと彼女の『わがまま』についていけますか?」

キョン「……」

41: 2011/04/27(水) 14:31:19.13
:
:
:

《帰宅中》

【公園】

古泉「……すいません。予想していたよりずっと重い話で驚いているんですが」

キョン「俺も驚いたさ。いつもは本当に軽い感じに話してるのに、いきなりこれだぞ?」

古泉「いや、いつもってまだ一週間しか経ってないじゃないんですか?」

キョン「その一週間で5回会ってたらいつもでいいだろ」

古泉「……ちなみに待ち合わせを取り付けるのはどちらです?」

キョン「森さんだ」

42: 2011/04/27(水) 14:32:02.60
古泉「で、その後はどうしたんです?」

キョン「帰った」

古泉「帰った!?」

キョン「二人で喫茶店を出てな、しばらく歩いていたんだ。その間ずっと無言でな、俺も少し考えたかったし、そう言って解散した」

古泉「それで、どうしたんですか」

キョン「一晩考えて、朝一で電話したさ。俺なりの答えって奴だ。森さんに大分気を使わせていたみたいだしな」

古泉「そしてその答えが……」

キョン「ま、そういうことだ」

43: 2011/04/27(水) 14:32:39.36
古泉「……ではあなたは涼宮さんのことはどう思ってるんですか?」

キョン「妹に近いな」

古泉「はい?」

キョン「一晩考えたんだ。俺はなぜハルヒのわがままに付き合ってきたのかと」

「財布は軽くなり、よく分からん理由で罵倒され、雑用だからと無茶苦茶させられ」

「時々言い返すと閉鎖空間がどうとか言われる始末」

古泉「……」

キョン「なぜそんな状況でもハルヒのわがままに付き合ってきたか、俺にとってハルヒはどんな存在なのか」

44: 2011/04/27(水) 14:33:21.88
古泉「その答えが妹に近い、ですか」

キョン「そうだ。俺のハルヒに対する感情は異性に対するものではなく、家族に対するものに近かったんだ」

古泉「確かに兄と妹の関係なら多少のわがままなら許してしまいそうですが……」

キョン「確かに多少とは言いがたいが、俺としてはそう結論づけた」

古泉「……しかしそれも愛情と言えるのではないですか?女性を守ってやりたいと思う男性も多いはずです」

キョン「あいつの場合、守ってやりたいじゃなく見張っていないとだろ」

古泉「それは確かに」

45: 2011/04/27(水) 14:33:54.42
キョン「まぁSOS団が楽しかったというのもあるんがな。だが今まで深く考えなかったことは問題だったと思ってる」

古泉「僕達のカミングアウト以降は言わずとも強制していた部分もありますしね。惰性、というのもあったのでしょうか」

キョン「まぁそういうのもあるかもしれんな」

46: 2011/04/27(水) 14:34:41.48
キョン「話は変わるが、これが俺と森さんが付き合うきっかけ、いや、俺が森さんを好きになったきっかけと言えるだろう」

古泉「それはまたいきなりの発言ですね。詳しく教えていただけるのでしょうか」

キョン「これだけ話せばどれだけ話しても一緒だからな」

古泉「ありがとうございます」

47: 2011/04/27(水) 14:35:22.33
キョン「さて、さっき朝一に森さんに電話したといったな」

古泉「はい。その後に会ったりしたんですか?」

キョン「いや、その電話での森さんがだな、そのヤバかったんだ」

古泉「?」


48: 2011/04/27(水) 14:36:10.32
《回想》

prrrrr

森『はい、森です』

キョン「あ、キョンです。朝早くからすみません」

森『いえ大丈夫ですよ。それよりどうしたんですか?』

キョン「あの……昨日言われたことを一晩考えたんですが…………」



「…………と言うわけです」

森『……』

キョン「森さん?」

森『はい。聞いてますよ。あの……怒ってないんですか?』

キョン「はい?」

49: 2011/04/27(水) 14:36:56.40
キョン「はい?」

森『私は昨日酷いことを言いました』

『あなたの感情に他人である私が口を出しました』

『その結果あなたと涼宮さんの関係を変えてしまったかもしれない。いや、変えてしまったでしょう』

『私は怒られても、嫌われてもしょうがないことを言ったと思っています』

『キョンさんは……怒ってないんですか?』

50: 2011/04/27(水) 14:37:49.65
キョン「……全く怒ってなんかいませんよ」

「森さんは俺のことを考えていってくれたんですよね」

「むしろ一晩考えてすっきりしたしました」

「ですから……ありがとうございました」

森『……』

キョン「森さん?」

森『……ウー』グスグス

キョン「え?森さん?」

森『私……キョンさんに……嫌われたとばかり……』グスグス

キョン「え?いや、全然そんなことないですよ!感謝してますって!」

森『……グスッグスッ……こちらこそ……ありがとうございます』グスグス

『これからも……また会ってくれますか?』グスグス

キョン(何これ萌える)

51: 2011/04/27(水) 14:38:39.46
:
:
:

キョン「てな感じでだな」

古泉「」

キョン「おいどうした」

古泉「……いです……」

キョン「は?」

古泉「ズルいですよ!どうしてあなたばかりがそんなにおいしい目に!」

「僕でもそんなしおらしい森さんを見たことないっていうのに!」

「それに何ですか!あの恥ずかしい発言は!どこの主人公ですか、あなたは!」

キョン「今はもう俺の彼女だからな。見られてたら困るぞ、おい」

古泉「なんですって!自慢ですか!彼女がいるって言う自慢なんですか!」

キョン「こいつマジどうしよ」

52: 2011/04/27(水) 14:39:28.76
:
:
:

キョン「落ち着いたか?」

古泉「……えぇ、すいません」

キョン「お前があんなに取り乱すとは……流石森さんだな」

古泉「そうですね」

キョン「……」

古泉「……」

キョン「……」

古泉「……少しまじめな話していいですか?」

キョン「……おう」


53: 2011/04/27(水) 14:40:14.00
古泉「以前から考えてたことがあるんです」

キョン「何がだ」

古泉「涼宮さんはSOS団の存在に何を願っているか、です」

キョン「……聞こうか」

古泉「ありがとうございます」

54: 2011/04/27(水) 14:40:44.88
「まず涼宮さんは不思議なことを探すためにSOS団を作った」

「しかし涼宮さんは不思議なことは簡単には起こらないと思っていますし、また否定しながらも『普通』な日常も楽しみたいと思いもあった」

「これは以前も似たようなことを言ったはずですし、すぐに理解してくれると思います」

キョン「まぁな」

古泉「さて、では宇宙人、未来人、超能力者はなぜ存在するのでしょうか」

キョン「それは、あいつが願ったからだろ」

古泉「確かにそうです。では逆に、なぜあんなに気が合っているのに鶴屋さんはSOS団に正団員にしようと言い出さないのでしょうか」

55: 2011/04/27(水) 14:41:23.02
キョン「……一般人だからじゃないのか?」

古泉「あなたは『鍵』とはいえ一般人です。それでは少し弱いですね」

「僕はこう思うんです。SOS団は涼宮さんがパートナー、つまり『鍵』であるあなたを手に入れる為の鳥かごのようなものだと」

キョン「……」

古泉「これは想像ですが、涼宮さんはあなたのように文句を言いながらもついてきてくれる人を求めていた」

「そしてあなたを手に入れる、つまりあなたと恋人同士になるための駒、それが僕達ではないかと」

56: 2011/04/27(水) 14:42:32.32
キョン「……正直話が見えてこないんだが」

古泉「では聞きましょう。あなたから見て未来人の役割はなんですか?」

キョン「ハルヒの観察と、あとは未来を確定させるとかじゃないのか?」

古泉「そうです。あなたは去年の七夕に中学生の涼宮さんに会いに行ったそうですが、何故だか考えたことはありませんか?」

キョン「ハルヒに北高でSOS団を作らせるためだろ」

古泉「それはなぜ?」

キョン「知らん。朝比奈さんにでも聞け。どうせ禁則事項だろうが」

57: 2011/04/27(水) 14:43:15.39
古泉「確かにそうです。ではこう考えることも出来ませんか?」

「涼宮さんはあなたと出会う、あなたとSOS団を作ることを確実にさせたかった」

「また、もし平行世界というものが存在するのなら、出来るだけ多くの世界でもあなたと出会いたかった」

「だから過去であなた自身からキーワードを受け取った。そのために未来人が必要だった、利用した。こう考えられませんか?」

58: 2011/04/27(水) 14:44:03.53
キョン「確かにあり得ないとは言えない話だが……妄想の域を出ないんじゃないか?」

古泉「確かにそうです。僕も平行世界というものがあるかも分からないですしね」

「ですから僕の妄想と思っていただいてもかまいません」

「あと朝比奈さんに課せられた役割と考えられることは、あなたをSOS団に繋ぎ止めること、ですかね」

キョン「……それは前に言ってた籠絡云々の話か?」

古泉「いえ、違います。あなたと涼宮さんがくっつくにしろ、あなたや彼女の性格からしてすぐにくっつくとは考えられない」

「だからそれまで、出来るだけあなたをSOS団に繋ぎ止める要素は必要だった」

「事実あなたは朝比奈さんに目を奪われることが多いですしね」

キョン「ぐ、それは否定できないが」

59: 2011/04/27(水) 14:44:57.18
キョン「だが、それじゃあ俺が朝比奈さんのことを……いや、あぁなるほど」

古泉「そう、それが鶴屋さんの話に繋がるのです」

「ですがひとまず置いておきましょう。ではあなたから見て機関の役割は何ですか?」

キョン「閉鎖空間の処理とハルヒの無茶実現機」

古泉「まぁ主にそんなところでしょう。それに加えてあなたたちの身の安全の確保という役割もあります」

「無茶実現……合宿とかのことでしょうがそれは置いときまして閉鎖空間のことに目を向けましょう」

60: 2011/04/27(水) 14:45:41.87
「知っての通り閉鎖空間は早い話が彼女が不機嫌になると発生します」

「しかし、涼宮さんが高校生になってからは、あなたとの関係が理由で発生することも少なくありません」

「あなたが原因の時、僕は何をしますか?」

キョン「仲直りしろとかだろ?あとは嫌みを言ったりだな」

古泉「そうです。あとは事前にあなたに涼宮さんに従ってくれと伝えたり、ですね」

「つまり二人に仲直りをさせる、いえ仲違いさせない役目、それが一つ」

キョン「未来人とか平行世界とかの話よりは納得できるな」

61: 2011/04/27(水) 14:46:20.37
古泉「そして二つ目。これはあなたの交友関係を縛る役目です」

キョン「は?なんだそりゃ」

古泉「少し分かりにくいことだと思います」

「しかし、もしその状況になっていたら間違いなく働いていたでしょう」

キョン「?」

62: 2011/04/27(水) 14:46:51.95
古泉「学校において長い時間を過ごす教室ではほとんどの時間、涼宮さんはあなたの後ろにいます」

「では、もし教室であなたと可愛い女性が仲良さげに話していたら、涼宮さんはどうするでしょう」

キョン「……機嫌悪くなるんじゃないのか?」

古泉「そうです。そして間違いなく閉鎖空間が発生します」

「そして、僕はあなたにこう言うでしょう」

「『あの女性と仲良くするのはやめてくれ』と」

キョン「……なるほど」

古泉「そしてもしあなたに彼女が出来た時も、それが涼宮さんにバレているかに関わらず同じようにこう言うでしょう」

「『彼女と別れてくれ』とね」

63: 2011/04/27(水) 14:47:36.44
古泉「あなたが素直に話を聞くとは思いませんが、世界改変について、その後の世界などについて話せば、」

キョン「従う可能性も十分にあると」

古泉「そうです」

キョン「つまりあれか?閉鎖空間ってのはハルヒのストレス発散だけじやなく、俺の行動を縛るためにもあると」

古泉「ええ。十分考えられることだと思います」

64: 2011/04/27(水) 14:48:15.84
古泉「そしてこれは、先ほどのあなたをSOS団に繋ぎ止める理由にもなります」

「例えばあなたが部室に来ない、不思議探索に参加しない」

「そのような状況になったら僕たちはどうするでしょう」

キョン「『世界の危機だ。我慢してくれ』ってとこか」

古泉「ええ。まさしくそれです」

「つまり機関の存在だけでも十分にあなたを縛れる、いや縛っていたと言えるでしょう」

「閉鎖空間の本当の役割とは何なんだと考えるほどに」

キョン「……」

65: 2011/04/27(水) 14:48:46.04
「そして長門さん。彼女たちは緊急時の対応のためといったところでしょう」

「彼女がいないと大きな問題があったときに対処できない……」

「ある意味自分よりも万能な能力の持ち主を加えることで、SOS団の解体を防ぐってところでしょうか」

キョン「少し厳しいな」

古泉「ふふっそうですね。彼女たちは人間にはとても理解できないような存在ですからね」

「何か他の、考えもつかないような役割もあるのかもしれません」

66: 2011/04/27(水) 14:49:28.35
古泉「そして、鶴屋さんについての話です」

「僕はここだけで未来人、宇宙人の位置づけも納得できるような気もします」

キョン「ああ。ま、話すことはだいたい想像できるが説明してくれ」

古泉「はい。話は単純で、あなたが朝比奈さんや長門さんを好きになってもそれが成就されることは、とても難しい」

「長門さんはどうなるのか分からないですが、あなたが惚れると考えられる朝比奈さんはまず確実に未来に帰るでしょう」

「長門さんにしても人間の感情を理解するのが難しい、といったところでしょうか」

「まぁ実際はあなたと大分仲良くなっているようですが」

「それにお二人の性格上、団長だからと言えば無理に離すことも、まぁ可能でしょうから」

キョン「なるほどな」

67: 2011/04/27(水) 14:50:26.61
古泉「しかし、鶴屋さんは違います」

「彼女は現代人であり、もちろん普通の人間で、非常に魅力的です」

「そして僕の知る限り涼宮さんと唯一人対等以上に話せる人です」

「つまり、あなたを手に入れるための鳥かごに居座られたら困るんですよ」

「だから正式な団員にしない、不安要素は必要以上に近づけない」

68: 2011/04/27(水) 14:51:20.42
古泉「そしてまた、僕の位置に女性が当てはめられていない理由であるとも考えられます」

キョン「はぁ?」

古泉「超能力者と言っても現代人で人間ですからね」

「もし超能力者が女性の場合、SOS団には適さないというわけです」

キョン「ああ、なるほど。超能力者とくっつかれたら困るわけだ」

古泉「そうです。あなたが同姓愛者とは考えられないですしね」

「仲が良くなっても恋人にはなり得ないメンバー」

「それがSOS団の宇宙人、未来人、超能力者です」

キョン「……」

69: 2011/04/27(水) 14:51:51.92
古泉「では、あなたの行動がどのように縛られているかまとめてみましょう」

「教室では涼宮さんが後ろの席から見張られ、放課後の行動は制限される」

「週末は不思議探索で制限され、奢らせられることでその他行動も金銭的理由で縛られる」

「涼宮さんに反抗しても、未来人と超能力者に諌められ」

「逃げようとしても世界の危機だからと逃げられない」

「そして徐々にその生活があなたにとっての日常になっていく……」

キョン「否定できないのがムカつくし、悲しくなってくるんだが」

古泉「ふふ、すいません」

「しかし、なかなかに説得力のある、いえ否定できない説ではないですか?」

キョン「少なくとも俺には否定しきれない」

古泉「では、全体のまとめといきましょう」

70: 2011/04/27(水) 14:52:36.69
古泉「あなたは涼宮さんや僕たちによって交友関係は制限される」

「まぁそれにあなたは積極的に交友関係を広げようという人じゃありませんしね」

「そしていつも一緒にいるメンバーであなたが気兼ねなくくっつけるのは涼宮さん一人」

「加えて彼女はとても魅力的な方です」

「つまり、あなたの選択肢は自然と一人だけに絞られているんです」

71: 2011/04/27(水) 14:53:11.66
キョン「それで、鳥かごだと」

古泉「そうです。涼宮さんも彼女なりの愛情表現もされてますし、普通にいけば卒業までにはゴールインですか」

キョン「ゴールインておい。だがあれが愛情表現だと分かるのは他人事だからだろ」

古泉「ふふ、確かにそうかもしれません。彼女は素直じゃありませんから」

キョン「素直じゃないってレベルじゃないだろうよ」

古泉「ふふ、それは同意しときましょう」

72: 2011/04/27(水) 14:53:51.32
古泉「……しかし鳥かごは壊されてしまったというわけです」

「僕たち超能力者の裏切りによって」

キョン「裏切りっておだやかじゃねぇな」

古泉「いえ、僕たちが彼女のために存在しているとしたら、今回の件は彼女に対する立派な裏切りです」

「……そして鳥かごはあっさり壊れた」

「あなたは鳥かごの外に出てしまった訳です」

「それほどSOS団が危ういものだったということでしょうか」

キョン「……SOS団はまだ続くだろ」

古泉「ええ。僕もその方が望ましいです。しかし、涼宮さんが望んだと思われるSOS団は崩壊した。これは確かだと思います」

73: 2011/04/27(水) 14:54:32.87
キョン「……そんなもんか?」

古泉「そんなもんです」

「さて、SOS団内の関係は大きく変わってしまったわけです」

「それによって不利益を被るのは誰でしょうか」

キョン「……それはハルヒだろ」

古泉「いえ、涼宮さんだけではありません。今回の件によって未来は大きく変わるかもしれない」

「そうなれば未来人の介入は必至だと思われます」

74: 2011/04/27(水) 14:55:27.31
「また、当然機関以外の、橘京子の組織なども手を出してくるかもしれません」

「あまり考えられませんが、情報統合思念体も何かしてくるかもしれません」

「何せ涼宮さんを取り巻く状況が変わったのだから、何があっても不思議ではありません」

75: 2011/04/27(水) 14:56:09.12
キョン「……それで俺にどうしろと?」

古泉「どうか、森さんをお願いします」ペコッ

「彼女は僕にとって大切な人の一人です」

「ですから、幸せになってもらいたいのです」

キョン「……未来人や宇宙人に対して俺に何が出来るか分からんが、まぁまかせろ」

古泉「ありがとうございます」

76: 2011/04/27(水) 14:56:37.49
キョン「……まさかとは思うが、お前はそれを言うためだけにあの長話を?」

古泉「そういうことになりますかね」

キョン「回りくどいってレベルじゃないだろ!どんだけ話してんだ!」

古泉「でもこれからのことにも関係ある話だったとおもいますよ?」

キョン「む、それはまぁそうかもしれんが」

古泉「でしょう?ふふっそろそろ帰りましょうか。随分と長く話してしまいました」

キョン「主にお前がな。はぁ、やれやれ」

77: 2011/04/27(水) 14:57:05.70
《帰宅中》

古泉「ところで涼宮さんにはまだ隠しておくつもりなんですよね」

キョン「まぁな。世界が終わらないと確信できる位にあいつが成長するまでは、って話だ」

古泉「また随分と曖昧ですね。まあ帰ったら森さんや新川さんに聞いてみますよ」

キョン「おう、そうしろそうしろ。じゃ、俺はこっちだから」

古泉「ええ、また明日」

キョン「おう」

90: 2011/04/28(木) 17:12:07.59
《少し前》

【長門宅】

長門「情報統合思念体に朝倉涼子の再構成を申請する」

「……制限付きで許可がでた。再構成を開始する」

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長門「……完了」

あちゃくら「あちゃくらりょうこ、復・活!……って何ですかこの姿は!」

長門「制限付きであなたを再構成した。食事を作るとき以外はその姿でいてもらう。そして今のあなたはあちゃくらりょうこ」

あちゃくら「な……酷いですよ長門さん!あぁそれに何故か敬語しか話せない!」

長門「それは仕様」

91: 2011/04/28(木) 17:12:44.81
:
:
:

あちゃくら「それで、どうして私を再構成したんですか?」

長門「彼が……メイドにとられた……」プルプル

あちゃくら「彼ってキョン君ですよね?未来人メイドと付き合い始めたとか?」

長門「違う。これだからバックアップは駄目」

あちゃくら「」イラッ

長門「彼が付き合い始めたのは森園生。断じて朝比奈みくるではない」

あちゃくら「森園生?」

92: 2011/04/28(木) 17:13:36.04
あちゃくら「……なるほど。この外見にこのスペック……キョン君が落ちるのも無理ないわ」

長門「そう」

あちゃくら「で、長門さんはどうしたいんですか?」

長門「……彼は私の理解者。有機生命体でない私を本気で心配してくれるのは彼だけ。だから」

あちゃくら「彼が取られるのはイヤだと」

長門「」コクン

あちゃくら「だけどキョン君はもう付き合っているんですよね?いわゆる略奪愛って奴ですか?」

長門「NTRでも可。コンピ研から資料も借りてきた」

あちゃくら「キョン君に嫌われるかもしれませんよ?」

長門「それでも」

あちゃくら「……分かりました。それじゃあどうするか考えましょう」

93: 2011/04/28(木) 17:14:16.31
あちゃくら「といっても私たちじゃ有機生命体の恋愛を理解し切れていないんですよね……」

長門「それが問題」

あちゃくら「……ならいっそ誰かに協力してもらうというのはどうですか?」

長門「?」

あちゃくら「キョン君のことが好きな人にも考えを出してもらうんです。そこからは多分競争ですが」

長門「なるほど。流石私のバックアップ。けど……誰がいい?」

94: 2011/04/28(木) 17:14:45.92
あちゃくら「誰か心当たりはないですか?」

長門「涼宮ハルヒ」

あちゃくら「私としては嬉しいですけど……多分キョン君が危ないですよ?」

長門「そう。彼女はヒステリー持ち。彼が危険」

あちゃくら「他にはいないんですか?」

長門「朝比奈みくるは彼と涼宮ハルヒをくっつけようとするはず。彼が可愛そう」

あちゃくら「(さっきから酷いなぁ)他には?」

長門「あることにはある。しかし彼女たちは敵対組織」

あちゃくら「もしかして天蓋領域の?」

長門「そう。しかし背に腹は代えられない」

あちゃくら「長門さん!?」

長門「行ってくる」



そして長門は佐々木と九曜を召集
彼女たちの夜は更けていくのでありました

95: 2011/04/28(木) 17:15:33.16
【機関のどこか】

古泉「森さん!」

森「何よ古泉。大声なんか出して」

古泉「彼と付き合ってるというのは本当ですか?」

森「あら、キョンさんに聞いたの?」

古泉「そうですよ!何で僕に教えてくれなかったんですか!」

森「それはキョンさんとの仲が悪くなる可能性があったからに決まってるでしょ。そんなことになったら涼宮ハルヒに悪影響だわ」

古泉「彼と付き合っているあなたが言いますか!?」

96: 2011/04/28(木) 17:16:15.44
古泉「……それで、どういうことなんです?機関が交際を認めるとは思えないんですが」

森「上の考えが変わったのよ。前々から議論されてきたことだけど」

古泉「それはどのような……」

森「簡単に言えば『鍵』である彼の待遇をあげることと、涼宮ハルヒのご機嫌取りの縮小よ」

古泉「……前半は理解出来ますし賛成ですが、後半は理解できません。そんなことをしたら閉鎖空間が……」

97: 2011/04/28(木) 17:16:59.71
森「まあ今までより発生するかもしれないわね」

古泉「なら何故!」

森「今まで私たちは涼宮さんの機嫌を取ることだけ考えてきたわ。しかしそれは本当に涼宮さんのため、世界のためになっていたのかしら」

「要は通せないわがままもあるってことをもう少し認識してもらおうってこと」

「他にも色々あるみたいだけど、そういうことよ」

98: 2011/04/28(木) 17:19:04.93
古泉「分かりました。しかしそれが何故彼とあなたと付き合うことに……」

森「それは私の独断よ」

古泉「はい?」

森「初めはキョンさんとの交流を深めろと言う命令だったわ。確かに気になってはいたけど付き合う気はなかった。けど私は愚痴を嫌な顔せずに聞いてくれる彼にさらに惹かれていったのよ!」

古泉(普通逆では……)

森「思えば彼は涼宮さんに文句を言いながらも付き合っているし、優しい人なんだと思う」

「思わず泣きそうになった私に彼は言ったわ」

『森さん、何かあったら言ってください。愚痴くらいならいくらでも聞きますよ』

森「あれでおちない女はいないわ!」

古泉(だから逆では……)

99: 2011/04/28(木) 17:19:34.38
森「ま、上には報告してないけどバレてるでしょうね」

古泉「」

森「何も言われないから黙認されてるんじゃないの?」

古泉「ちょっ!大丈夫なんですか!?」

森「大丈夫よ。新川なんか凄い喜んでたんだから」

古泉「いや、けど!」

森「それにね古泉、私今凄い幸せなのよ」

100: 2011/04/28(木) 17:21:20.45
古泉「……分かりました」

森「ありがと、古泉。……それで、キョンさん私のこと何か言ってた?」

古泉「はい?ああ、電話での森さんがヤバかったと」

森「電話って……内容も聞いた?」

古泉「『これからも……また会って』……って殴らないでください!」

森「忘れなさい!早く忘れるのよ!」


超能力者の夜も更けていく……

107: 2011/04/29(金) 01:10:15.30
森キョンとキョン争奪戦をどう両立させようかと考えていたら脳味噌がエクスタシーもとい暴走した
思いつきで書いたからこれは無いwとか思ったら遠慮なく言ってくれ
お試し番ってことでよれしく

108: 2011/04/29(金) 01:10:58.45
……控えめな目覚ましの音で目が覚めた。時刻は午前4時45分。天気は晴れ、気分は普通。
最近では早起きするのも苦痛じゃなくなってきた。人の適応力とやらは半端無いことを実感させられる。
昨日は古泉に対して思わぬカミングアウトをすることになってしまったが、機関の皆様方が危惧するような仲違いは起こさなかった。ま、当然といえば当然だ。しかし古泉のあの長話はどうにかならないのだろうか。だった一言のために一体どれだけの時間を要したのだか。

109: 2011/04/29(金) 01:11:28.94
欠伸を一つして寝間着からジャージへ着替える。寝ている家族を起こさないように階段を下りる。台所で水を一杯飲み玄関から外へ。そこで待っていたのは……
「おはようございます、キョンさん」
「おはようございます、新川さん」
機関の一員である初老の執事、新川さんであった。まだ五時前だというのに眠気を全く感じさせないその姿。ただいつもと違うのは……ジャージ姿で自転車に乗っていることである。
「さて、今日も始めましょうか」
何を始めるか。ジャージ姿の俺、自転車に乗っている新川さん。もうお分かりだろう。

そう、ランニングである。

110: 2011/04/29(金) 01:11:55.28
軽く準備運動をした後に走り出す。速度は学校で行うマラソンの時よりは断然速い。何せ自転車に乗っている新川さんを追いかけてるのだから。軽くこいでいたとしても自転車は自転車である。ちんたら走ってたらすぐにおいて行かれるだろう。
毎朝のランニングが日課となったのは約二ヶ月前。そう、森さんが訪ねてきた時あたりである。何でも俺も最低限の体力を付けておいた方が良いとのこと。確かに非現実的な世界にいるのだから当然といえば当然なのだろうか。今まで考えもしなかった俺の方がおかしいのか……。まあいい。過去のことを気にしてはいけないな、うん。そういうことにしとくが吉だろう。

111: 2011/04/29(金) 01:12:26.91
さてこのランニングなのだが、どうやら機関は俺の身体能力も完全に把握しているらしい。初めたばかりの頃、新川さんは今よりずっと遅いペースだった。だが運動部に所属せずにダラダラと過ごしてきた俺には十分すぎるほど辛かったのは言うまでもない。走り終えた頃、俺はもうクタクタでへばっていたわけである。
だがどうしたことか、走った後の状況はペースが速くなり距離が伸びた今でも変わりはない。それはもう俺の体力を完璧に把握してるとしか思えず……おそるべし、機関といったところか。

112: 2011/04/29(金) 01:13:48.30
野郎が汗だくになって走っている描写なんて誰の得になるんだ、て感じなので少し昔を振り返るとしよう。
一ヶ月くらい前、俺は森さんに告白した。あの柔らかな笑顔と頼りになる雰囲気。そしてその奥にある女の子のような素顔。好きになるなという方が無理ってもんだ。そんな魅力的な女性に告白し、しかもオッケーをもらえるとは入学した手の俺には考えもつかないだろうな。
少し驚いた顔をした後に涙目で微笑みながら『こちらこそ、よろしくお願いします』と言う森さんは、今までの人生のベストショットだと言っても過言ではないね。

113: 2011/04/29(金) 01:14:21.14
俺と森さんはその時交際を隠そうと話していたわけだが、喫茶店の奥の方に座る俺たちに話しかけてきた方がいるのだ。そう、新川さんである。
『その話、詳しく聞かせてはいただけませんでしょうか』
そう話しかけられたときの驚きと言ったらなかった。森さんもビクッとしたあとどうしようという表情で珍しく取り乱していた。せっかく恋人同士になったのにもう別れさせられるのか、もしかしたらもう会えないかもしれない、と内心大荒れの俺たちに新川さんは優しい口調で続けたのだ。

114: 2011/04/29(金) 01:14:57.56
『安心してください。別れさせようなどと思っていません』
そういうと一礼して新川さんは森さんの横に腰を下ろし、これからのことを話し始めた。
簡単に言うと、機関は気づくだろうが黙認するだろう。だがハルヒには気づかれないようにしてくれって感じだ。
その後新川さんは俺に向かってこう言った。
『この娘をよろしくお願いします』
ってな。


115: 2011/04/29(金) 01:15:34.20
さて、もう40分くらい走っただろうからそろそろランニングも終わりである。家の近くの公園に寄り、新川さんの指示の元に筋トレとストレッチ。いやはや俺も大分筋肉がついてきたものだ。
筋トレの後新川さんと一緒に我が家に戻り、俺はシャワーを浴びた後に朝飯と弁当の準備を始める。新川さんは横で俺の手元などを見ている。初めの頃は大分指導されたものだが今ではほとんど何も言われない。俺も少し成長したのかね。
両親が起きてくる頃には朝飯は並べ終わっている。両親もさすがに新川さんの存在に慣れており、談笑しなさっておられるぜ。ま、もう二ヶ月たつしな。ちなみに新川さんはバイト先の上司ってことにしてある。俺に料理を教えるってことで朝飯に同席しているのである。俺の料理への母親の評価は『私を越えた』。新川さん恐るべし。

116: 2011/04/29(金) 01:16:21.47
いつもはこの後何事もなく学校に行くのだが、新川さんが母親にこう切り出した。
「実は、彼に手伝ってほしい仕事がありまして」ん?こういうことを新川さんが言い出すのは初めてじゃないだろうか。
俺は一応バイトしてるってことになっているが、実はしていない。バイトの時間となっている時間は新川さんに執事の何たるかを叩き込まれている時間だからだ。何故そんなことをしているのかというと、新川さん曰く『これも修練』。よく分からん。だが御陰様で俺は家事が人並み以上に出来るようになった。母親は滅茶苦茶喜んでいた。あの穀潰しをここまで……と新川さんにそれはもう感謝していなさったさ。余計なお世話だ全く。

117: 2011/04/29(金) 01:16:55.27
新川さんの指導は厳しく、それを乗り越えた俺はもう使用人として働いても恥ずかしくないらしい。ド素人を二ヶ月で鍛え上げるその手腕は機関の名は伊達ではないということなんだろうか。しかし、新川さん曰く『執事の道は修羅の道』。まだまだ叩き込まれそうであったのだが……。ちなみに森さん曰く『メイドの道は修羅の道』。まさか森さんも新川さんに鍛えられてるのではと疑う今日この頃な訳だ。

118: 2011/04/29(金) 01:17:21.66
話を戻そう。
「実はこのあたりの名家に使用人を募集しているところがありましてね。本当は私ともう一人が受けたのですが、私は家の事情で断らなければいけなくなったのです。そこで彼にお願いしようと。なに、心配いりません。彼はどこに出しても恥ずかしくない能力を持っています。しかし、住み込みでの募集なのでご両親の許可を頂きたいと。ええ、もちろん学生であることを配慮してもらった仕事内容になっております。私としては彼にもう一歩成長してもらいたいと思っておりますので、是非と……」
なんか凄いことになっていた。結局新川さんの話術によって承諾されることになった。母親曰く、せっかく楽だったのに残念だわ。うるせぇやい。

119: 2011/04/29(金) 01:18:16.59
どうやら今日の帰りにお迎えが来るらしい。学校に行く時新川さんが耳打ちしてきた。
「もう一人というのはもちろん森のことです。最近なかなか会えないと言っていたでしょう?しかし、仕事中ということを忘れないように」
新川さん……あなたは神か……。
新川さんと別れて学校に向かう。その前に一言君らが思っているだろうことを代弁しよう。

お前誰だよってな


執事見習いキョンの憂鬱

128: 2011/05/02(月) 20:35:17.54
《翌朝》

【登校中】

キョン(昨日は古泉の話の長さに驚いた。あいつも動揺してたのだろうか……)テクテク

「やあ、キョン」

キョン「ん?ああ、佐々木か。何でお前こんなとこいるんだ?学校はどうした?」

佐々木「くつくつ、いや君にちょっと用事があってね」

キョン「それは今じゃないと駄目なのか?」

佐々木「ああ。実はお弁当用のものを作りすぎてしまってね。そこで、君にお裾分けにきたわけさ」つ弁当

129: 2011/05/02(月) 20:35:57.70
キョン「ん、いや悪いな。ってお前それだけのためにわざわざ来たのか?」

佐々木「それだけとは酷いな。君の顔が真っ先に浮かんだから届けに来ただけさ。じゃ、僕は失礼するよ。遅刻しそうなんでね」タッタッタッ

キョン「おい佐々木!……何なんだ一体。ま、今日は弁当持ってきてなかったからな。ありがたく頂戴しておこう」

130: 2011/05/02(月) 20:36:24.46
【再び登校中】

九曜「ーーーおはーーーーーーーようーーーーーーーーーー」ヌッ

キョン「ぬおっ。何だ九曜か。頼むから何もないところからいきなり現れてくれるな」

九曜「ーーーおー弁ーーーーー当ーーーー」

キョン「ん、何だ?」

九曜「ーーつくっーーーーーたーーーーー」つ弁当

キョン「……お前がか?しかし俺は佐々木から……いない。はぁやれやれ。まあこれくらいなら食べきれるかな」

131: 2011/05/02(月) 20:36:51.80
【さらに登校中】

長門「待ってた」

キョン「お、長門か。待ってたって……何かあったのか?」

長門「あなたが危惧しているようなことではない。安心して」

キョン「ならいいが……じゃあお前は何してんだ?」

長門「あなたの昼食を用意した」つ弁当

キョン「長門もか……一体どうしたんだ揃いも揃って。またハルヒ関係か?」

長門「違う。これは私の意志。どうか受け取ってほしい」ジー

キョン「……分かった。ありがとよ」

長門「そう。……また放課後」

キョン(行っちまった……)

132: 2011/05/02(月) 20:37:18.70
【やっぱり登校中】

国木田「おはよう。キョン」

谷口「よーすキョン」

キョン「国木田に谷口……谷口はえらい落ち込んでやがんな」

国木田「いつものことだよ。昨日ナンパにこっぴどく失敗したらしいよ」

キョン「なるほどいつも通りか」

国木田「うん」

133: 2011/05/02(月) 20:37:44.70
谷口「キョン聞いてくれよ!昨日駅前でOLっぽい服着たかわいらしい人がいたんだ。髪を後ろで二つに分けてるかわいらしいとも美人ともとれる人でな、声をかけたらなんて言われたと思う?」

キョン(ん?)

谷口「『女性に声をかける前に鏡を見た方が良いのではありませんか』だ!酷すぎるー」

キョン(ああ、森さんっぽいな)

谷口「そして言ったんだ。『あと私には素敵な彼氏がいますので』だとよ!誰だあの毒舌A+美女の彼氏って幸せもんは!」

キョン「なんか照れるな」ボソッ

谷口「キョンなんか言ったか?」

キョン「いや何も。お前も相手が悪かったな」

谷口「キョンが慰めてくれる……だと?」

キョン「失礼な奴だ」


134: 2011/05/02(月) 20:38:11.72
国木田「あれ、キョンなんか荷物多いけどどうしたの?」

キョン「ん?なんか知り合いから弁当渡されてな。やっぱこれだけあると食べきれるか心配だよな」

国・谷「……」

キョン「どうしたよ二人とも」

国木田「その知り合いって複数だよね?もしかしなくても全員女性?」

キョン「ま、そうなるかな(内二人は宇宙人だが)」

谷口「キョンシネキョンシネキョンシネキョンシネキョンシネキョンシネキョンシネキョンキョンシネシネキョンシネ」

国木田「……流石としか言いようがないね」

キョン「はいはい。ほら早く行かないと遅刻するぞ」

135: 2011/05/02(月) 20:38:40.10
【教室】

キョン(ハルヒは寝てるみたいだな。おっと弁当は鞄に入れてっと)

キョン「よっす、ハルヒ」

ハルヒ「」

キョン(返事がない。ただの屍のようだ……)

ハルヒ「」ムクッ

キョン(お、起きた)

ハルヒ「……」バタッ

キョン「あ、寝た(まあ静かだからありがたいけど)」



《幕間・宇宙人+αの夜》

【長門宅】

長門「…………」

九曜「ーーーー」

あちゃくら「……」

佐々木「……あれっ何だか疎外感」

136: 2011/05/02(月) 20:39:50.61
長門「……」

あちゃくら「……長門さんいい加減に話を進めてください」

長門「分かった。集まってもらったのは他でもない。彼のこと」

佐々木「(橘さんも連れてくればよかったなぁ)彼ってキョンのことでしょ?キョンがどうかしたの?」

長門「彼に恋人が出来た」

佐々木「っ!」ガタッ

九曜「ーー!」ガタッ

あちゃくら「キョン君人気だなあ」

137: 2011/05/02(月) 20:40:20.31
佐々木「くつくつ。なるほどね。それで私たちを呼んだってわけ」

長門「そう。彼女の名前は森園生。古泉一樹が所属する機関の一員」

佐々木「……確認するけどそれは」

長門「彼の意志。機関の介入はないと思われる」

佐々木「そう……じゃあ彼を出来るだけ悲しまないようにしないとね」

あちゃくら「奪い取るのは決定なんですか?」

佐々木「当たり前でしょ?これくらいで諦めているなら涼宮さんがキョンを好いている時点で諦めてるわよ」

長門「そう当たり前。眉毛にはそれが分からない」

佐々木「くつくつくつくつ」

長門「…………」

あちゃくら(長門さんが笑って……)ブルブル

九曜「ーーーわたーーしーーーーーくうーーーーき」

138: 2011/05/02(月) 20:40:47.59
長門「問題はどう行動するか。私たちには人間の心という物が完全には理解できていない。助言を求める」

佐々木「なるほど。それで私たちを呼んだって訳ね……じゃあ確認だけどキョンを傷つけないようにしたい、そうよね」

長門「そう」

佐々木「なら私たちに魅力を感じさせるのが一番だろうね。ひとまず……明日お弁当をキョンの作っていく?」

長門「それは名案。しかし三人分渡すとしたら彼が食べきれるとは思えない。一人一人の量を減らすべき」

佐々木「(九曜さんも人数に入ってるのか)そうね。渡す方法は……彼の通学路で順番に待てばいいわよね」

長門「了解した。あなたは学校があるはずだから最初に渡すべき。逆に私は最後でいい」

佐々木「分かったわ。じゃあ九曜さんは二番目でいいわよね」

九曜「ーーーいーーーーーーいー」

長門「中身も被らないように話し合うべき」

佐々木「ええ。そうしましょう」

あちゃくら「私空気だなぁ」


結局彼女たちは徹夜で話し合っていました。
ちなみに空気のあちゃくらさんは長門さんに提案したご褒美として朝倉さんにしてもらいました。

139: 2011/05/02(月) 20:41:15.60
《ひーるーやーすーみー》

キョン(やっと午前中終了か。結局ハルヒの奴はずっと寝てたな)

ハルヒ「」シーン

キョン(起きる気配なしっと。やれやれ、飯喰う前に便所でも行くか)

:
:
:

キョン「ふう。ん?教室がうるさいぞ」

「おい、涼宮!お前それは駄目だろ!」

「そうだよ涼宮さん!やめときなよ!」

「うるさいわね!黙ってなさい!」

「おい涼宮やめバギッ」ブコォ

「谷口ー!?」

キョン「やばい……滅茶苦茶やばい予感がする……」

140: 2011/05/02(月) 20:41:43.74
キョン(教室に帰ると弁当を喰うハルヒ、ハルヒに話しかけている国木田、氏んでる谷口、それを遠巻きにみるその他多数がいた訳だが……)

キョン「……おいおい、何の騒ぎだよ全く」

国木田「あ、キョン!」

キョン「国木田。どうしたんだ一体」

国木田「えっと……涼宮さんがキョンのお弁当を……」

キョン「何!?」

キョン(よく見るとあれは佐々木の……横の空の弁当箱は長門のか……)

キョン「……おい、ハルヒ。それは俺の弁当なんだが」

ハルヒ「何よ。なんか文句あんの?」バクバク

キョン「喰うのを止めろ(機嫌を出来るだけ損ねないようにしなければ)」

ハルヒ「何よ」ジロッ

141: 2011/05/02(月) 20:42:09.60
キョン「お前ならその弁当は恥ずかしながら俺が貰ったものだと分かるはずだよな」

ハルヒ「そんなことしらないわよ。第一私は団長なのよ?雑用係がもらったものを団長がもらうのは当然でしょ」

キョン「……それをくれた奴らに悪いとは思わないのか?」

ハルヒ「これ誰に貰ったのよ」

キョン「(シカトか)……佐々木と長門だ。もう一つのは九曜」

ハルヒ「ふーん。うわ、これは食べれないわね」パカッ

「じゃ、ごちそうさま」スタスタスタ

キョン「………」

142: 2011/05/02(月) 20:42:55.32
国木田「……怒らないの?」

キョン「怒ってるさ。ちょっと事情があるんだよ」

国木田「そう……大変だね……」

谷口「全くだ涼宮の野郎。キョン、お前もよくあんな奴に一年半近くも付き合ってられんな」

キョン「谷口……すまんな。……色々あるんだよ」

谷口「ふぅん?ま、お前が言い出すまでは聞かないさ」

国木田「そうだよ。何かあったら相談してよキョン」

キョン「……すまんな」

143: 2011/05/02(月) 20:43:21.30
谷口「で、何で涼宮の奴は最後の弁当を喰ってかなかったんだ?意地でも食うだろあいつなら」

国木田「確かにね……う、これは凄いや」

キョン(海苔弁……しかも固形ではなく、ご○ですよみたいなタイプで真っ黒のご飯。さらに黒豆にひじきが残り半分を占め……九曜パネェ)

谷口「あーキョンこれ食うのか?」

キョン「……あぁ」

国木田「ちなみに佐々木さんのお弁当はふりかけご飯に卵焼きにハンバーグ、ミニトマトのようなオーソドックスなもの。長門さんのはサンドイッチにりんごだったよ」

キョン(九曜には悪いがそっちを食べたかった……)バクバクグスッ

149: 2011/05/05(木) 18:20:33.65
《放課後!》

キョン(結局その後ハルヒとは一言もしゃべらず、ハルヒは号令の後すぐに帰ってしまったようだ)

谷口「なあキョン。涼宮の奴は帰ったみたいだがSOS団とやらには行くのか?」

キョン「ひとまず長門に謝ってくるわ」

谷口「あーがんばってこい」

キョン「おう」

150: 2011/05/05(木) 18:21:02.13
【文芸部室】

コンコン

キョン「ちーっす」

古泉「こんにちは。朝比奈さんは受験対策の授業で今日は来られないそうですよ」

キョン「ん、ハルヒも帰ったぞ」

古泉「昼頃に小規模の閉鎖空間が発生したんですが、それと何か関係が?」

キョン「あーなんというか」

クイクイ

長門「お弁当」

キョン「……」

長門「どうだった?」

古泉「おやおや」

キョン「……スマン長門。トイレに行ってる隙にハルヒが全部食っちまって蓋を開けてすらいないんだ。本当にスマン」

長門「………………………………………………………………………………涼宮ハルヒを敵性と判断」

151: 2011/05/05(木) 18:21:29.78
キョン「おい!」

古泉「長門さん!?」

長門「抹殺の許可を」

キョン「いや、出来る訳ないだろ!」

長門「安心して。数百m離れていても確実にヘッドショットが可能。バレるようなへまはしない」

キョン「何を安心しろと!?てかお前はどこの白い悪魔だ!」

152: 2011/05/05(木) 18:21:58.92
古泉「長門さん、お気持ちはよく分かります。ですからどうか落ち着いてください」

長門「……許可を」

キョン「駄目だ」

長門「……ならば私は今から急進派に鞍変えする。涼宮ハルヒを追いつめて涼宮ハルヒの反応を見る」

キョン「頼む!それだけは勘弁してくれ!!」

古泉「長門さん、落ち着いてください!」

長門「私はやらずに後悔するよりやって後悔する女」

キョン「うっ腹が……」ズキズキ

長門「…………却下された」チクショウ

キョン「良かった……あの悪夢が甦るところだったぜ……」

長門「……」

キョン「長門、本当にすまなかった」

長門「いい……あなたが悪いわけではない。……今日は帰る」スタスタ

キョン「長門……」

153: 2011/05/05(木) 18:22:24.92
古泉「なるほど。昼間の閉鎖空間はそういうことでしたか」

キョン「……あぁ。長門には改めて謝っておくか」

古泉「それが良いと思います。あなたが悪くないというのは長門さんと同じ意見ですがね。
ところで、昼の涼宮さんとの会話を詳しく聞かせていただけますか?」

キョン「ん?なんでだ?」

古泉「いえ、少し気になることが」

キョン「まぁいいけどな」

154: 2011/05/05(木) 18:22:54.06
キョン「(説明中)」

古泉「……なるほど。そういうことですか……」

キョン「おい、一人で納得してんな。俺にも分かるように説明しろ」

古泉「はい。まず僕が気になっていたのは昼に発生した閉鎖空間が小規模であったことです。
最初は涼宮さんの力が弱まっているためかと思ったのですが、あなたの話を聞いてある程度推測できました」

キョン(しまった!長話のきっかけを与えてしまった!)

古泉「涼宮さんはあなたに好意を抱いています。そんなあなたが美しい女性、それも複数からお弁当を貰ったんです。涼宮さんの心中が穏やかな訳がありません」

155: 2011/05/05(木) 18:23:21.88
古泉「だからせめてあなたに食べさせないために彼女たちのお弁当を食べた。分かりますか?」

キョン「……あぁ」

古泉「恐らく涼宮さんはあなたが激昂すると思っていたのでしょう。しかし予想に反してあなたは静かに諫める程度に怒った。
さて、涼宮さんはこのときどう思ったか」

キョン「こっちはお前と違ってハルヒ専門家じゃないんだ。分かる訳ないだろ」

156: 2011/05/05(木) 18:24:09.00
古泉「なに、単純なことです。あなたが本当に貰いたい人から貰ったものならばあなたの怒りはこんなものである訳がない。
ならばあなたが好きな人はこの中にいないだろう、というところですか」

キョン「結論だけは間違えていないな。てか俺は結構キレかけていたんだけどな」

古泉「ほぅ。そうなのですか?ではなぜ怒らなかったのです?」

キョン「いや、閉鎖空間が出来ると森さんが危ないだろ?」

古泉「……なるほど。愛の力ですね」

キョン「うるさい。話の続きはどうした」

古泉「……ええ。そうでした」

157: 2011/05/05(木) 18:24:38.74
古泉「あなたがお弁当を貰ってきた悲しみよりもあなたの好きな人があの中にいないだろう、という考えを喜ばしく思い、閉鎖空間は小規模にしかならなかったと僕は思います。
確かに普通に考えるなら彼女たちは第一候補ですからね」

キョン(それほど長くならなくて良かった)

キョン「はぁ、あいつも少しは成長したかと思ってたんだがな」

古泉「しょうがありませんよ。彼女はいままでその能力によってほとんど挫折というものを覚えたことはないでしょうから。
人は挫折を覚えて初めて成長するものだと僕は思います」

キョン「あれだけ何でも出来るんだからそりゃそうか」

prrrrrr

古泉「おや、機関からの呼び出しですね。すみませんが鍵をお願いします」

キョン「おう。じゃあな」

古泉「では」バタン

キョン「ふぅ。…………………………………………あ、相談するの忘れてた」

158: 2011/05/05(木) 18:25:10.16
《帰宅中》

キョン「さてと、佐々木にも謝らなきゃな」テクテク

佐々木「やぁキョン」

九曜「ーーーーーー」

キョン「あ?何でお前等ここに?」

佐々木「くつくつ。タイミングが良すぎるって言いたいんだろ?こっちには九曜さんがいるんだよ?」

キョン(確かに九曜なら俺がいつこの道を通るかなんてすぐ分かるよな)

佐々木「それでキョン。僕たちのお弁当はどうだったかな?」

159: 2011/05/05(木) 18:25:46.06
キョン「……すまん佐々木。実はカクカクシカジカなんだ」

佐々木「……それは酷いね。キョンにいっても仕方がないことだけど」

キョン「いや、佐々木本当にすまん」

佐々木「キョンは謝らないでくれ。どう考えても悪いのは涼宮さんだ」

九曜「ーーどうーーだっーたーーー?」クイクイ

キョン「……九曜。美味かったが次からはもう少し彩りを考えてほしいかな」

九曜「ーーわかっーーーーたーーー」

佐々木「それじゃあキョン。僕たちは行かなければいけないところがあるから失礼するよ」スタスタ

九曜「ーーじゃーーあーー」スタスタ

キョン「おい佐々木!……行っちまった……」

160: 2011/05/05(木) 18:26:38.09
《幕間・その頃の長門さん》

【長門宅】

長門「……」バタン

朝倉「あら、長門さんおかえりなさい。キョン君にお弁当喜んでもらえた?」

長門「うるさい」ビビビ

あちゃくら「ちょっと!?長門さん!?」

長門さん「……」

あちゃくら「……何かあったんですか?」

長門「カクカクシカジカ」

あちゃくら「酷い……涼宮さんの横暴さは全く変わってないんですね」

長門「彼も森園生のことを気にして強く怒れない。涼宮ハルヒの一人勝ち」

あちゃくら「ほら長門さん、元気出してください。また違う方法を考えましょう」

長門「でも」

あちゃくら「ほら、次は私もついていきますから」

長門「あちゃくらりょうこ」

あちゃくら「何ですか長門さん」

長門「その姿では無理」

あちゃくら「誰がこうしたんですか!」

ピンポーン

佐々木「やあ。打倒涼宮さん、いや打倒涼宮ハルヒのために来たよ」

九曜「ーーーーけっーーーーせんーーー」

あちゃくら「お二人とも……やりましょう長門さん!」

長門「そう。私たちの戦いはこれから」

《終》

166: 2011/05/09(月) 23:19:13.84
《翌朝》

キョン(さてさて、学校に行こうと家を出ましたら……)

キョン「どうしたんです、森さん。何かあったんですか?」

森「おはようございますキョン君。その……2人っきりの時は、ね?」

キョン「あぁ、そうでした。おはようございます園生さん///」

園生「はい!おはようございます、キョン君///」


【物陰】

古泉「何という閉鎖空間」監視中

新川「2人っきりのときはいつもこんな感じですぞ」監視中

167: 2011/05/09(月) 23:19:49.24
キョン「それで、こんなに早くからどうしたんですか?」

園生「えっと……昨日古泉からキョン君が長門さん達にお弁当をもらったと聞いて……」つお弁当

キョン「園生さんが作ってきてくれたんですか?ありがとうございます!!」

園生「ふふっ大事に食べてくださいね///」

キョン「もちろんです!それじゃあ行ってきます」

園生「行ってらっしゃい///」


【物陰】

古泉「森さんデレ過ぎワロタ」監視中

新川「若いですなぁ」監視中

168: 2011/05/09(月) 23:20:18.87
【教室】

キョン(今日はハルヒに食われないようにしないとな。ま、席を立たなきゃ問題ないさ)

谷口「よぉキョン。昨日の件は許してもらえたか?」

キョン「ん、多分な。俺は悪くない、だと」

国木田「実際キョンは悪くなかったけどね」

谷口「そうだそうだ。悪いのは……っとまた後でなキョン」

ハルヒ「……」スタスタ

キョン(まだご機嫌斜めみたいだな。やれやれ)

169: 2011/05/09(月) 23:20:45.16
《昼休みー》

キョン(ふふふ。今日は弁当を取られる心配はない!森さんが俺を待ってるぜ!
森さんの手作り弁当……楽しみだ……。一口一口噛みしめながら美味しくいただこう)

国木田「キョン、お昼食べよう」

キョン「おう、そうするか」

谷口「てかお前は今日も貰ってきたのか……なぜお前ばかり」

国木田「さすがキョンだね」

キョン「ほれ馬鹿なこと言ってないで食うぞ」

先生「おい、○○。ちょっと進路のことで話があるから職員室に来てくれ」

キョン「なん……だと……?」

170: 2011/05/09(月) 23:21:20.81
【廊下】

:
:
:

キョン「なんてことはない話だった。てかなぜこのタイミングで呼び出した先生よ」

「おい、だから涼宮止めろって。さすがにキョンがキレるぞ!」

「そうだよ。今日はキョンも怒ると思うよ」

「うるさいって言ってるのが分からないの?」ブンッ

「ひでぶっ」バキッ

「谷口ー!?」

キョン「何というデジャブ……何という悪夢」

171: 2011/05/09(月) 23:21:53.01
【教室】

ガラッ

キョン(教室に帰ると以下略)

国木田「あ、キョン!ごめん……何とかしようとは思ったんだけど」

キョン「悪いな国木田。おいハルヒ」

ハルヒ「ムシャムシャ」ムシャムシャ

キョン「聞け!」

ハルヒ「ムシャムシャ」ギロッ

キョン「俺の弁当を勝手に食うなってのが何で分からん!」

ハルヒ「ムシャムシャ」

キョン「(落ち着け落ち着け)おいハルヒ」

ハルヒ「……今日は誰から貰ってきたのよ。昨日のより明らかにおいしいわ」

キョン「そんなの今は関係ないだろ。俺の弁当を勝手に食うな、返せ」

ハルヒ「……ふん。もう全部食べちゃったわよ」スタスタスタガラッバンッ

キョン「ちっ、くそ!」ガンッ

国木田「……キョン、机なんか蹴ったら怪我するよ」

172: 2011/05/09(月) 23:22:25.53
谷口「キョン、あいつは口で言って分かる奴じゃねぇよ」

キョン「……お前も二日連続で殴られて災難だったな」

谷口「全くだ。涼宮の奴最近おとなしくしてると思ったらこれだよ」

キョン「はぁ……」

国木田「キョン達も涼宮さんを甘やかし過ぎじゃないの?」

キョン「それは認めるが……色々あんだよ」

谷口「そりゃSOS団とやらも涼宮の滅茶苦茶に付き合ってんだから色々あんだろうが……やりすぎだろ」

キョン「はぁ……」

173: 2011/05/09(月) 23:22:53.60
国木田「……ところでキョン、今日は誰から貰ってきたの?」

谷口「そうだそうだ。今日のは俺らから見ても手が込んでて美味そうだったぞ」

キョン「……古泉のバイトの上司だよ。昨日会って話した時にちょっとな」

谷口「ちょっとって何だよ!頼む!その技を教えてくれ!」

国木田「どうせ谷口じゃ無理だよ」

谷口「何だとー?」

キョン「やれやれ」

174: 2011/05/09(月) 23:23:20.50
《放課後》

キョン(おそらく昼に俺が呼び出されたのもハルヒの力だよな……
古泉と長門に意見を聞きたいところが……ハルヒも今日は部室に行ったみたいだし……)

キョン「どうすっかなぁ」

古泉「どうも」

キョン「お前か。いや丁度良かった」

175: 2011/05/09(月) 23:23:50.95
《移動中》

【廊下】

古泉「昼の騒動見ていましたよ。大変でしたね。
ちなみに閉鎖空間も発生しました」

キョン「はぁ……。なぁ俺が昼に呼び出されたのは」

古泉「十中八九涼宮さんの力でしょうね」

キョン「はぁ……」

古泉「随分とお疲れのようですが……」

キョン「森さんお手製のお弁当を食い逃したんだぞ?俺は今日一日それだけを楽しみにしてたんだ」

古泉「同情しますよ」

キョン「あと……これからのことを考えると少しな」

古泉「……心中お察しします」

176: 2011/05/09(月) 23:24:27.83
キョン「はぁ、今日は部室に行くべきか行かないべきか。古泉、どう思うよ」

古泉「おそらく……行かない方がいいでしょうね」

キョン「だがそうすると閉鎖空間が」

古泉「あなたが行ったとしても昼のことで言い争いになる可能性が高いです。長門さんもいることですしね。
そうなると、より巨大な閉鎖空間が出来ると考えられます」

キョン「確かにな……じゃあ今日は帰るかな」

古泉「ご一緒しますよ。涼宮さんには今日はバイトで帰ると伝えてあります」

キョン「そうか。じゃあ行くか」

177: 2011/05/09(月) 23:24:54.77
《帰宅中》

古泉「ところで……あなたはすでに聞いていると思いますが、機関は方針を改めました。
あなたは涼宮さんのご機嫌をそこまで損ねないように振る舞わなくてもいいんですよ?」

キョン「だから昨日も言ったが森さんに出来るだけ危険な目にあって欲しくないからだ」

古泉「……では、森さんが閉鎖空間の処理に参加しないようにこちらで調整しましょう」

キョン「それでもだ。お前等の負担が増えても森さんが悲しむし、それを良しとする人じゃないのは分かるだろ」

古泉(これはやはり……)

178: 2011/05/09(月) 23:25:21.62
キョン「!そうだ、すっかり忘れてた」

古泉「はい?何がです?」

キョン「元々はお前に相談しようとしてたんだったわ」

古泉「あ!そうでしたね。あまりに衝撃的なカミングアウトですっかり忘れていました」

キョン「で、古泉相談があるんだが……」

古泉「はい。何でしょう」

179: 2011/05/09(月) 23:25:49.30
キョン「俺と森さんが付き合い始めてからもうすぐ一ヶ月だろ?」

古泉「ええ、そのようですね」

キョン「で、だ。京都行かないか?」

古泉「はい?」

キョン「だから次の連休で京都行かないか?」

古泉「……すいません。話の繋がりが全く理解できません」

キョン「はぁ古泉よ。お前なら理解できると思ったんだがな」

古泉「今の流れで理解できる人がいるとは思えませんけど」

キョン「しょうがない。説明してやろう」

古泉「……なんだか納得できませんがお願いします」

180: 2011/05/09(月) 23:26:24.07
キョン「まず俺と森さんは軽いデートしかしたことがないんだ。
ハルヒに見つかるとヤバいから周りには気をつけなきゃいかんし、あまり遠くには行けんしな」

古泉「はぁ大変ですね」

キョン「そこで次の連休に2人で旅行でもと考えたんだが、不思議探索やハルヒの思いつきや閉鎖空間とか考えるとどうしても心から楽しめそうもない」

「ならどうすればいいか。
答えは簡単だ。SOS団を巻き込んでしまえばいい」

古泉「つまりSOS団と森さんで京都旅行に行こうと」

キョン「そうだ。行っちまえばはぐれたとかで2人になる方法はいくらでもある」

182: 2011/05/09(月) 23:28:08.06
古泉「ふむ……」

キョン「それでだ。ハルヒの奴は俺の意見はまるで聞かんしな。お前からハルヒに話を出してくれれば助かるってことだ」

古泉「なるほど。しかし今聞いただけでもいくらか問題になりそうなことがありますね」

キョン「ほう、言ってみろ」

古泉「はい。まず涼しい宮さんがその話に乗るとは限らないということです」

キョン「その時は古泉や国木田達とで行ってくるとでも言えばあいつの性格からして行くことにするだろ。
それでも駄目なら他の方法を考えるまでだ」

古泉「そうですか。そして次に京都に行ったとしても涼宮さんがあなたを離さないのではないかと」

キョン「ふむ。ま、そのときはそのときで何とかするさ」

古泉「行き当たりばったりですね」

キョン「そうでもしなきゃ行けないんだからしょうがないさ」

古泉「ちなみにこの話は森さんには?」

キョン「ん、前からしてあるぞ。だから古泉が知ってると思ってたっていうのもあるな」

古泉「……そうですか。
分かりました。機関に話を出してみましょう」

キョン「ん、助かる」

古泉「この時期の京都はきれいですから僕も行きたいですしね」


※今更ですが季節は秋です

183: 2011/05/09(月) 23:28:51.38
《幕間・その日のSOS団》

長門「……」

朝比奈「……」

長門(涼宮ハルヒは彼が来ないと分かったとたんに帰ってしまった。だから朝比奈みくると2人きり)

長門「……」

朝比奈「……」

長門「……」

朝比奈「な、長門さん!」

長門「なに」

朝比奈「えーと、昨日キョン君にお弁当を作ってあげたそうですね」

長門「そう。しかし涼宮ハルヒが全て食べてしまった」

朝比奈「あー。それは残念でしたね。
涼宮さんも素直じゃないんですから」

長門「そう。素直じゃない。だから彼を取られる」

朝比奈「ふぇ?」

長門(しまった)ヤバイ

朝比奈「えぇぇー?彼が取られたってキョン君ですよね?ど、どういうことですかー!?」

長門「……知らない」

朝比奈「うぅ。また私の知らないところで……」

長門(やばい……やばい……)

《終》

190: 2011/05/14(土) 12:25:08.66
《週末、ていうか翌日》

キョン(今日の予定は午前中に京都についての話、午後に不思議探索。
おそらくもうみんな待ち合わせ場所に来てるだろう)

ハルヒ「遅い!罰金よ罰金!」

キョン「へいへい」

ハルヒ「なによ、気合いが足りないのよ気合いが」

キョン「奢らされるのに気合いを入れてどうすんだよ」

ハルヒ「うるさいわね。さっさと行くわよ!」スタスタ

キョン「へいへい」

191: 2011/05/14(土) 12:25:47.07
古泉「どうも。今日は涼宮さん荒れてますね」

キョン「あいつの精神は常人には理解できんよ」

朝比奈「駄目よキョン君、そんなこと言ったら」

キョン「あ、おはようございます朝比奈さん」

朝比奈「ふふ、おはようキョン君」

ハルヒ「遅い!早くしなさい!」

キョン「へいへい」スタスタ

192: 2011/05/14(土) 12:26:23.12
長門「古泉一樹、話がある」

古泉「おや、長門さんどうかしましたか?」

長門「彼と森園生のことが朝比奈みくるにバレた」

古泉「……本当ですか?」

長門「すまない。私のミス」

古泉「分かりました。
おそらく朝比奈さんは彼の関心を涼宮さんに戻そうとするでしょうが……今回僕は彼と森さんに味方しますよ」

長門「そう」

193: 2011/05/14(土) 12:26:52.87
【喫茶店】

ハルヒ「さて!今日は古泉君が面白い話を持ってきてくれたそうじゃない!」

古泉「ええ。僕の親戚が京都の……以下略……
歴史ある町なので不思議を探すというのならこれ以上無い場所ではないかと」

ハルヒ「さすがね古泉君!
いいでしょ、みくるちゃん、有希」

朝比奈「大丈夫ですぅ」

長門「問題ない」

キョン(当然のように俺には聞かないな)

ハルヒ「よし!次の連休は京都に決まりよ!」

194: 2011/05/14(土) 12:27:22.54
古泉「では先方に連絡をつけておきますので」

ハルヒ「よろしくね、古泉君。
はぁ……本来はこういうのは雑用の仕事だと思うんだけどねぇ」

キョン「俺は古泉みたいに顔が広くないんだ。仕方がないだろ」

ハルヒ「あんたには元から全然期待してないけどね」

キョン「じゃあ言うなよ」

ハルヒ「ふん。
それじゃあ詳しい予定を決めていきましょ」

195: 2011/05/14(土) 12:27:50.91
《昼過ぎ》

【喫茶店】

ハルヒ「よし!だいたいの予定はこれくらいにして後は向こうに行ってから考えましょ」

朝比奈「きちんと予定を決めとかなくて大丈夫ですかぁ?」

ハルヒ「甘いわよみくるちゃん。完璧な予定を建てても結局上手くいくわけ無いのよ!なら最初から詳しく決めすぎないでその場その場で考えた方が無駄がないわ!
それにそっちの方が不思議を見つけられそうじゃない!」

古泉「確かにその通りですね。さすがは涼宮さん」

ハルヒ「あったり前よ!それじゃあお昼を食べて今日もいつも通り不思議を探すわよ!」

196: 2011/05/14(土) 12:28:23.29
《昼食中》

キョン「サンキュー古泉。やっぱおまえに頼んで正解だったわ」ゴニョゴニョ

古泉「いえいえ。僕としても涼宮さんの機嫌が直って万々歳ですよ」ゴニョゴニョ

キョン「お、そうなのか。そりゃ良かったな」ゴニョゴニョ

古泉「ええ。あと後で少しお話したいことが」ゴニョゴニョ

ハルヒ「そこの2人!何を小声で離してるのよ。
食べ終わったのならグループ決めるわよ!」

197: 2011/05/14(土) 12:29:04.67
結果

・ハルヒ朝比奈
・キョン古泉長門


ハルヒ「……」

長門「……♪」

古泉(丁度いいですね)

キョン「じゃ、行くか」

朝比奈「……うーん」

キョン「どうしました、朝比奈さん」

198: 2011/05/14(土) 12:30:00.93
朝比奈「いえ、少し具合が」

キョン「だ、大丈夫ですか?」

ハルヒ「ちょっとみくるちゃん、大丈夫なの?」

朝比奈「うーん。ちょっと調子が悪いので今日は帰ってもいいですかぁ?」

ハルヒ「もちろんよ!みくるちゃんは大事な団員だもの!
あ、けどそうするとあたしが一人になっちゃうわね。……キョン!あたしと行くわよ!」

朝比奈「ありがとうございますぅ」

古泉(早速ですか。ですが……)

199: 2011/05/14(土) 12:30:31.49
古泉「涼宮さん、ちょっといいでしょうか」

ハルヒ「なによ古泉君」

古泉「いえ、朝比奈さんが具合が悪いというなら送っていくべきではないかと」

朝比奈「!だ、大丈夫ですよぉー」

古泉「いえいえ、女性が具合が悪いといっているのにそれをほってなんかいられませんよ。
それに一人だけ仲間外れにしているようであまり気が進まないと言いましょうか」

キョン「確かにな。ハルヒ、午後の分は今度にして朝比奈さんを送っていこうぜ」

200: 2011/05/14(土) 12:30:58.24
ハルヒ「……確かに古泉君の言う通りね。
よし!今日の午後は中止!みくるちゃんはあたしが送っていくわ」

キョン「一人で大丈夫か?」

ハルヒ「大丈夫よ。それにキョンがいたら別の意味で危ないじゃない」

キョン「な……、失礼なこと言うな!」

朝比奈「ふ、ふぇぇー」

201: 2011/05/14(土) 12:31:26.99
《解散後》

キョン「朝比奈さんは大丈夫かね」

古泉「おそらくは。
さて、あなたにお伝えしとかなければならないことがあります」

キョン「何だよ」

古泉「あさh(ry」

長門「朝比奈みくるにあなたと森園生の関係がバレた」

キョン「な、マジか」

長門「マジ。私のミス。すまない」

キョン「……じゃあさっきのは」

古泉「……えぇ。恐らくあなたと涼宮さんを近づけようとしたのでしょう。未来人にとっては好ましくないことだと考えられますから。
とはいっても詰めが甘いのが朝比奈さんらしいですが」

キョン「マジかよ……。古泉、お前は」

古泉「今回はあなたの味方をしたいと思います。あなただけでなく森さんも関係していますし、機関の指示もないですしね」

森「あら、うれしいことを言ってくれるじゃない」

古キョン「!」

202: 2011/05/14(土) 12:31:53.65
古泉「も、森さん!?どこから湧いてきたんですか?」

森「あら、ずっと後つけてたもとい監視してたのに気づかなかったの?」

古泉「気づきませんでした……それでどうして」

森「私たちのことを話していたから顔出したのよ。
だけどそんなことより解散したなら今から遊びに行きたいんだけど」

古泉「いやそれより未来人たちへの対策を」

森「対策っていっても何も思い浮かばないに決まってるじゃない。
それこそ洗脳されないように気をつける程度よ」

古泉「それはそうですが」

森「でしょ?
キョン君も遊びに行きたいですよね?」

キョン「昼から暇でしたしいいんじゃないですか?」

古泉「そうですか……。では僕はこの辺で」

森「何勘違いしてんのよ。あんたも行くわよ」

古泉「えぇ?」

森「長門さんも来ますよね?」

長門「……行く」

森「はい、決定!それじゃあカラオケにでも行きましょ!」

203: 2011/05/14(土) 12:32:39.43
【カラオケ前】

古泉「僕たちが来て良かったんですか?」

キョン「別に俺は構わんぞ。お前らとSOS団関係なしに遊ぶなんて滅多にないしな」

古泉「そうですか。ありがとうございます」

キョン「それに明日は二人でデートする予定だしな」

古泉「……仲が良さそうで何よりですよ」

204: 2011/05/14(土) 12:33:09.13
【カラオケ】

キョン「格好付けてー強がってー理屈ばかりの俺でーす♪」

古泉「ふむ。彼は確かに理屈っぽいとこがありますね。ぴったりじゃないですか」

森「お前が言うな」

長門「……」コクッ

古泉「……」

キョン「格好付けてー強がってー言い訳くさい俺でーす♪」

205: 2011/05/14(土) 12:33:40.81
長門「僕へと触れーつーづーけーたーその手はやーさーしかったー」

キョン「少し平坦だが上手いじゃないか」

森「そうですねぇ。綺麗な声でうらやましいです」

キョン「森さんの声も綺麗だと思いますよ?」

森「うふ、ありがと」

古泉「長門さんもこういう歌を知ってるんですねぇ」

長門「何気なくーそしてつよーくー、僕はいつーも守られてたー」

206: 2011/05/14(土) 12:34:10.06
森「だからもっと遠くーまでー君をー奪ってにーげーるー♪」

キョン「さすが森さん、上手いな」

古泉「ですね。選曲も今の森さんにぴったりです」

長門「……強敵」

森「ラララ千の夜を跳び越えてー走りつづーけーるー♪」

207: 2011/05/14(土) 12:35:12.04
古泉「世界あるーいはきーみが壊れてしまーうというーなら話は別ーだが♪」

森「そういう話だから困る」

長門「……」コクッ

キョン「ですよね」

古泉「パレットの上の青色じゃとてもー♪」




古泉「きーみのーかーたちーぼくーのかたーちー♪」

森「これって恋人と別れる歌ですよね。選曲に悪意を感じるのはなぜでしょう」

キョン(古泉からかう場所と人選べよ……)

古泉「いーまーいーえるこーとはひとつ、サヨナラってことーだーけ♪」

208: 2011/05/14(土) 12:35:42.48
:
:
:

古泉「すいません、調子に乗りました」←森さんに殴られた

森「次はないぞ」

古泉「……はい」

キョン「……古泉に対する森さんの態度が新鮮だな」

長門「嫉妬?」

キョン「そんなんじゃないさ」ナデナデ

長門「……♪」

209: 2011/05/14(土) 12:36:08.38
森「夜空をかける流れ星を今ー見つけられーたらー何を祈るーだろー♪」

古泉「森さんとこういう所にはよく来るんですか?」

キョン「まぁたまにな。そういうお前は機関で来たりすんのか?」

古泉「何度かは。基本忙しいですけどね。
同年代の人と来たのは初めてかもしれません」

キョン「……せっかくなんだから楽しめよ」

古泉「もちろんですよ」

210: 2011/05/14(土) 12:36:35.14
キョン「むげーんだーいな夢の中のー何もない世の中じゃー♪」

古泉「そうさ愛しいー思いも負けーそうになるーけどー♪」

森「キョン君も古泉も楽しそうですねー」

長門「彼らはSOS団の活動などでSOS団以外の友人と遊ぶ機会が限られているためだと思われる。
それに私も楽しんでいる」

森「ふふ、そうですか」


キョン「これはお決まりだよな」

古泉「ええ、これを歌うのは常識です」

211: 2011/05/14(土) 12:37:05.87
キョン「黒か白か、分からーないーままーこんな愛は時代ー遅れーなのかー♪」

森「明日もーし君ーがこーわれてーもー♪」

古泉「これって男女二人で歌う曲じゃないですよね」

長門「しかし息が合っている」

古泉「妬けますか?」

長門「……少し」

212: 2011/05/14(土) 12:37:35.40
キョン「だーれも触れーないーふーたりだけの国ー♪」

長門「きーみの手を離さぬよーうにー」

古泉「おーおきな力でーそーらに浮かべーたらー♪」

森「ルーララー宇宙の風にのるー♪」

213: 2011/05/14(土) 12:38:03.32
:
:
:

キョン「あー楽しかった」

森「ふふ、そうですね。また来たいですねぇ」

古泉「僕も今日は楽しかったですよ。また誘ってください」

長門「……私も」

キョン「もちろんだ」

森「けど明日は二人でデートだから駄目よ」

古泉「分かってますよ」

キョン「んじゃ今日は解散すっか」

古泉「そうですね」

長門「さよなら」

森「ええ、キョン君また明日ね」

218: 2011/05/21(土) 23:44:06.00
《次の日》

【駅前】

古泉「長門さん」

長門「なに」

古泉「なんでここにいるんですか?」

長門「私の勝手」

古泉「……もう一つお聞きします。この人数は何ですか?」

朝倉「あら、私達がいて何か問題でも?」

佐々木「だね。僕達にも見る権利はあるはずだよ?」

古泉「……分かりました。しかし彼らに見つかりますよ?」

佐々木「その時はその時だよ」

長門「……来た」

219: 2011/05/21(土) 23:44:49.14
キョン『ーーーーー』

森『ーーーーーー』

佐々木「この距離じゃ会話が聞こえないね」

長門「分かった。聞こえるようにする」

キョン『園生さん、まずは昼飯を食べに行きませんか?』

森『そうですねキョン君』

長門「名前で呼びあっている……」

古泉「二人の時は名前で呼んでるそうですよ」

朝倉「あらあらラブラブねぇ」

佐々木「涼宮さん以外を名前で呼んでいるのを初めて聞いたよ……」

220: 2011/05/21(土) 23:45:23.56
朝倉「おしゃれなお店に入っていったわね」

佐々木「ふむ……さすがに同じ店にはいったらバレるわね」

古泉「長門さん、外から森さん達の様子が見れるように出来ませんか?」

長門「可能」つ手鏡



佐々木「手鏡に映像が映っているのってメルヘンだね」

古泉「そうですね。もしくは魔法少女といったところでしょうか」

キョン『園生さん、おいしいですか』

森『えぇ、おいしいですよ。一口どうですか?』

キョン『え?』

長門「……この流れは」

朝倉「まさか」

佐々木「あの王道の」

長朝佐「『あーん』だ!!」

古泉(テンション高いですね……)

221: 2011/05/21(土) 23:46:01.54
森『はいキョン君、あーん』

キョン『あー』パクッ

森『おいしいですか?』

キョン『まずいって言える奴がいたらぶん殴ってやりますよ』

長門「……」

佐々木「……」

古泉「さっきのテンションはどこにいったんでしょう……」

朝倉「これが乙女心ってやつじゃないの?」

222: 2011/05/21(土) 23:46:57.32
古泉「結局森さん達は一時間以上店にいましたね」

朝倉「恋人同士なら普通なんじゃないの?私はそんな経験ないから分からないけど」

佐々木「僕もないから分からないね。くつくつ、出来れば相手はキョンがいいんだけど」

長門「……」コクッ

朝倉「なんか二人ともヤバそうね……」

223: 2011/05/21(土) 23:47:42.86
古泉「おや、デパートに入ったみたいですね」

朝倉「デートでデパートってどうなの?」

佐々木「値段が高いものが多いから若者のデートには向かないんじゃないかな?それに人も多いしね」

キョン『園生さん、こっちみたいです』

森『分かりました』

長門「……何か目的があるよう」

古泉「そうですね……服か何かを買うつもりなのでしょうか?」

キョン『これなんてどうです?』

森『こっちもいいと思います』

キョン『あぁ、そうですね』

朝倉「何を選んでるのかしら?」つ手鏡

古泉「さぁ、装飾品関係の店のようですが」

佐々木「くつくつ、なるほどなるほど。おそらく指輪を買いに来たんだね。くつくつくつ」

長門「……」

224: 2011/05/21(土) 23:48:13.36
朝倉「……長門さん、佐々木さん。もう帰ります?」

長門「……帰らない」

佐々木「そうだね。僕は森園生さんのことをほとんど知らないからせめてどんな人か頭に刻みつけないと」

225: 2011/05/21(土) 23:49:12.60
『アリガトーゴザイマシター』

キョン『なかなか高かったですね』

森『そうですねー。けどあまり安いのはすぐに壊れそうですしこれくらいのがいいと思いますよ』

キョン『気に入るのがあって良かったですね』

森『けどキョン君、ペアのネックレスを買おうなんてよく思いつきましたね』

キョン『こういうの憧れだったんですよ』

226: 2011/05/21(土) 23:49:44.34
長門「……」ガクガク

佐々木「なるほどネックレスなら目立たないし指輪より年相応だよね。さすが、さすがキョンだねくつくつくつ」

朝倉「ダメージ大きそうね」

古泉「自分の思い人のデートなどは見るものじゃありませんね……」

朝倉「うわ、この人ゴミの中でお互いの首にネックレスかけ合ってるわよ。あれがバカップル」

古泉「あちらは幸せそうですねぇ」

227: 2011/05/21(土) 23:50:12.35
古泉「買い物の後は公園ですか」

朝倉「まさに王道ね。よく分からないけど」

古泉「……お二人の様子は?」

長門「……」

佐々木「……」

朝倉「長門さんまで分かりやすく落ち込んでるわね」

228: 2011/05/21(土) 23:50:44.64
古泉「おや、そういえば森さん達は手を繋いでいますね」

朝倉「ラブラブねぇ。憧れるわ」

古泉「あなたでもそういうのに憧れるのですか?」

朝倉「言ってみただけよ。けど長門さんを見てればあり得ないことはないって分かるでしょ」

古泉「仰るとおりで」

prrrrrrr

229: 2011/05/21(土) 23:51:21.13
古泉「彼に電話のようですね」

朝倉「あらあら、デート中に電話鳴らすなんてキョン君は駄目ね」

古泉「いえ、彼でもさすがにそういうのは気にしていると思いますが……通用しない相手が一人いるでしょう?」

キョン『は?今から駅前集合?もう夕方近いぞ?』

朝倉「あーなるほどね。けどさすがに断るでしょ。あなた達は大変でしょうけど」

古泉「いえ、おそらく……」

キョン『分かった、分かったよ。じゃあな。……すいません園生さん』

森『はい、しょうがないですよ。頑張ってきてください』

キョン『すいません』タッタッタッ

230: 2011/05/21(土) 23:51:56.51
朝倉「え!?何でよ?」

長門「……森園生がこちらに来る」

森「古泉ー。監視のつもりならバレないようにしなさい」

古泉「やはりバレてましたか」

森「この人数で騒いでたらそりゃ分かるでしょ。キョン君も気づいてたわよ」

佐々木「あの……キョン帰っちゃいますけどいいんですか?」

231: 2011/05/21(土) 23:52:28.16
森「あら、佐々木さんと……朝倉さんね。こんにちは」

朝倉「えぇ、こんにちは。ねぇだからキョン君帰っちゃったけどいいの?」

森「涼宮ハルヒの呼び出しなんだから仕方ないですよ。私は多少閉鎖空間がでても良いって言ったんだけど……。
古泉、あんたも言ったんでしょ?」

古泉「えぇ。機関の今後の方針も話しましたよ。ですが森さんに迷惑はかけられんと」

朝倉「あーキョン君は身内にはやさしいからね」

長門「……」コクッ

232: 2011/05/21(土) 23:52:55.19
古泉「最近の彼は前より一層涼宮さんを気にかけています。前なら激怒したであろうことも我慢したりと」

朝倉「ふーん。それって涼宮さんの力は関係あるんじゃない?」

森「おそらくそうでしょうね。キョン君が周りの娘と付き合ったら所属する組織の問題とか色々ありますから。
私なんかまだ良い方だと思いますよ?」

古泉「えぇ、彼が相手のことを考えるほど涼宮さんを蔑ろに出来ない。困ったものです」

佐々木「……涼宮さんはズルいね。無意識なんだろうけど」

長門「……ズルい」

233: 2011/05/21(土) 23:53:33.61
森「ま、そんなことを考えてもしょうがありませんよ。ほらほらもう帰りましょう」

古泉「そうですね。僕は失礼させていただきます」

朝倉「キョン君も帰っちゃったしね。ほら、長門さん帰りますよ」

長門「少し待って」

森「あら、長門さんに佐々木さん。どうかしました?」

佐々木「あなたには悪いけどキョンは必ず私が貰います」

長門「……負けない」

森「ふふふ、簡単にキョン君は渡しません」ニコッ

234: 2011/05/21(土) 23:54:09.38
《幕間・その日の夜》

キョン「はぁ……ハルヒの奴こんな遅くまで拘束しやがって」

朝比奈「こんばんは、キョン君」

キョン「……朝比奈さん(大)ですか」

朝比奈「えぇ、久しぶりねキョン君」

キョン「……何の用です?」



朝比奈「分かってると思うけど……今のキョン君はどんどん規定事項から外れようとしています」

キョン「……」

朝比奈「ですから……涼宮さんと……」

キョン「朝比奈さん……」

朝比奈「はい」

キョン「俺には恋愛の自由もないんですか?」

朝比奈「……」

235: 2011/05/21(土) 23:56:25.89
キョン「俺は今まで何回も未来の規定事項を満たすために協力してきました。
けど、今回だけは聞けません」

朝比奈「それは……絶対ですか?」

キョン「……はい」

朝比奈「分かりました……じゃあね、キョン君」テクテク

キョン「……すいません朝比奈さん」









朝比奈「ごめんなさい、キョン君」

236: 2011/05/21(土) 23:57:01.61
《次の日・朝》

【教室】

ワイワイガヤワイガヤガヤ

キョン「ん?何か今日は教室が騒がしいな」

ガラッ

キョン「ちーす」

谷口「おいキョン!お前どういうことだ!」

キョン「は?何がだよ?」

谷口「この写真だよ」

キョン「ん?は?おい!これ!」

(俺と森さんが公園で手を繋いでる写真じゃねーか!)

237: 2011/05/21(土) 23:57:50.21
キョン「……おい谷口。これどうした」

谷口「キョ、キョン怖い顔すんなよ。俺が撮ったんじゃなくて今日の朝に俺の家のポストにだな……」

キョン(誰だ?こんなことすんのは。タイミングから考えると……朝比奈さん(大)か)

谷口「で、この毒舌美女が言ってた彼氏がお前だとは……」

国木田「キョンって彼女いたんだね。前に持ってきてたお弁当はこの人の?」

キョン(……ヤバい。この騒ぎの大きさからいってクラスの奴はほとんど知ってるだろう。ってことは……)

谷口「おい、キョン聞いてんのかよ」

ハルヒ「どきなさい谷口」

キョン「ハルヒ……」

238: 2011/05/21(土) 23:58:34.53
ハルヒ「あんた……森さんと付き合ってんの?」

キョン(下手に誤魔化すのは逆効果だよな……)

キョン「あぁ、そうだ」

ハルヒ「っつ!あんた!SOS団の雑用の分際で黙って恋愛なんて生意気なのよ!」

キョン「お前に俺の恋愛に口を出す権利があるのか?」

ハルヒ「あ、当たり前でしょ!あたしは団長であんたは雑用なのよ!」

239: 2011/05/21(土) 23:59:07.53
キョン「……それで?」

ハルヒ「どうせあんたが森さんの弱みでも握って脅してるんでしょ!
森さんもあんたなんかと付き合ってるなんて迷惑してるに決まってるわ!」

キョン「違うな。俺と森さんはお互いの同意の上で付き合っている」

ハルヒ「う、嘘を言わないでよ!」

キョン「……なぁ、ハルヒよ。世界はお前の思い通りにはいかないんだ」

ハルヒ「は?あんた何言ってんのよ」

キョン「聞け。いいかハルヒ、特に人の心なんていうのは自分自身にも分からん不確かなもんだ。
それなのに他人の心が自分の思い通りにならないからと喚き散らすのはお前の言う団長としてふさわしい行動なのか?」

ハルヒ「……」

240: 2011/05/21(土) 23:59:49.58
ハルヒ「キョンは……キョンは黙ってあたしの言うことを聞いてればいいのよ」プルプル

キョン「ハルヒよ、まずは少し落ち着こう。な?」

ハルヒ「うるさい!!!」ダッダッダッガラッバン

キョン「……」

国木田「キョン、涼宮さんどうするの?鞄持っていったから帰っちゃったみたいだけど」

谷口「ほっとけばいいだろ。ありゃ涼宮が悪い」

キョン「……すまんが今日は帰る」スタスタ

241: 2011/05/22(日) 00:00:57.32
【廊下】

キョン(ヤバいヤバいヤバい!ハルヒの反応からして世界崩壊ルート一直線じゃねぇか?
ひとまず、ひとまずは長門か古泉に……)

【部室】

キョン「長門!いるか!?」

長門「いる」

キョン「状況は分かるか?」

長門「分かる。外を見て」

キョン「は、灰色?ってことはここは閉鎖空間なのか?いつの間に……」

長門「少し異なる。ここは涼宮ハルヒの世界改変に多少の影響を与えることが出来るよう」

キョン「……古泉は?」

長門「来る」

242: 2011/05/22(日) 00:02:05.59
古泉「長門さん!」バンッ

キョン「古泉……」

古泉「あなたもいましたか……
状況を説明します。今いつもの閉鎖空間は発生していません。しかし、涼宮さんが消えました。おそらくは前と同じように閉鎖空間に閉じこもっているようです。しかし今回は誰も入ることが出来ません。
そしてここは僕たちSOS団以外は入ることが出来ない空間のようですね。元の世界と閉鎖空間の中間みたいなものですか」

243: 2011/05/22(日) 00:02:50.02
キョン「それはかなりヤバいってことか……」

古泉「えぇ。しかし涼宮さんにバレたのは……」

キョン「おそらく未来の朝比奈さんの仕業だろ。だろ、長門」

長門「そう」

古泉「まさか……未来人がこんな馬鹿げた手段をとろうとは」

長門「そう。馬鹿げている。情報統合思念体にも予想外。
しかし非常に有効」

古泉「長門さん……改変後の世界には、その……」

長門「おそらくだが森園生は存在しない。もしくはあなた達と接点を持つことはない」

キョン「……」

古泉「……」

244: 2011/05/22(日) 00:03:20.10
キョン「そ、そうだ長門!さっきハルヒの力に介入できるって言ってたな?
それなら今朝の記憶をハルヒから消せば……」

長門「無理」

古泉「な、何故ですか?」

長門「古泉一樹に話す前ならばその事実を知っている人物は少数の機関の関係者のみ。また、古泉一樹に話した後も今朝までは涼宮ハルヒの関係者以外は知らなかった。
よって今朝の騒動をなくせば小規模の情報操作で済む。
しかしそれでは未来人が納得しない。よって未来人から同様の介入が予想される。
そのときに涼宮ハルヒが今回のことを思い出すかもしれないし、精神に異常をきたすかも知れない。
それは情報統合思念体も望んでいない」

245: 2011/05/22(日) 00:06:00.88
キョン「じゃ、じゃあ俺はどうすればいいんだよ!」

長門「あなたの選択肢は二つ。世界改変を受け入れるか、森園生と付き合っていた事実をなかったことにするか」

キョン「付き合っていた事実を無かったことにって……どうするんだ?」

長門「涼宮ハルヒだけでなく、あなたの約二ヶ月の記憶を曖昧にする。
おそらく未来人の目的はこれ」

キョン「……」

古泉「それはあまりにも……」

246: 2011/05/22(日) 00:07:41.73
キョン「じゃ、じゃあ俺はどうすればいいんだよ!」

長門「あなたの選択肢は二つ。世界改変を受け入れるか、森園生と付き合っていた事実をなかったことにするか」

キョン「付き合っていた事実を無かったことにって……どうするんだ?」

長門「涼宮ハルヒだけでなく、あなたの約二ヶ月の記憶を曖昧にする。
おそらく未来人の目的はこれ」

キョン「……」

古泉「それはあまりにも……」

247: 2011/05/22(日) 00:10:37.79
キョン「それ以外に方法は……」

長門「ごめんなさい」

キョン「……」

古泉「……」

長門「……」

249: 2011/05/22(日) 00:40:20.60
キョン「分かった長門。それで頼む」

古泉「ま、待ってください!あなたはそれでいいんですか?」

キョン「良くはないが仕方がないだろ!森さんが消えるなんて耐えらるか!」

古泉「す、すいません。」

古泉「……これを」つ手紙

キョン「なんだそれ」

古泉「森さんからです。もしあなたが自分と別れるような選択をしたときに渡してくれと」

キョン「……」ペラッ

古泉「もういいんですか?」

キョン「ん、一言しか書いてなかった。『私は諦めません』だとさ」

古泉「そうですか……森さんらしいですね」

キョン「あぁ、全くだ。それに、俺も諦めんよ。森さんに伝えといてくれ」

古泉「はい、必ず」

250: 2011/05/22(日) 00:40:47.36
長門「そろそろ時間」

キョン「分かった。すまんな古泉。約束は守れなかった」

古泉「いつか必ず守ってください。僕はずっと覚えています」

キョン「……あぁ」

古泉「それと、この数日間楽しかったですよ。あなたに驚かされるのはとても新鮮でした」

キョン「そうかい」

長門「森園生といるあなたはとても幸せそうだった。私はそんなあなたと再び会えることを強く望んでいる」

キョン「長門、ありがとな」ナデナデ

キョン「じゃあやってくれ」

長門「……」コクッ

251: 2011/05/22(日) 00:41:13.90
《幕間・長門家》

朝倉「おかえりなさい、長門さん」

長門「……ただいま」

朝倉「つらかった、ですね」

長門「……」ダキッ

朝倉「……」ナデナデ

252: 2011/05/22(日) 00:41:45.64
《幕間・機関》

森「終わったようね」

古泉「ええ。
状況はどうっていますか?」

森「涼宮ハルヒの存在を確認したわ。自分の部屋で寝ているそうよ」

古泉「……世界の崩壊は回避されたみたいですね」

森「そうじゃなきゃ困るわよ。
……キョン君は?」

古泉「……病院を手配しました。長門さんが言うには明日には目を覚ますそうですが、周囲の記憶では一週間前から意識不明となっているそうです」

森「……そう」

253: 2011/05/22(日) 00:42:15.95
古泉「……」

森「……」

古泉「……彼からの言づてがあります。『俺も諦めん』だそうです」

森「……そう」

古泉「泣いてもいいんじゃないですか?」

森「あんたの前で泣くなんて屈辱だわ」

古泉「すぐ忘れますから」

254: 2011/05/22(日) 00:42:45.68
森「すぐに忘れなさいよ」プルプル

古泉「もちろんです」

森「……う、う、う、う~。う~。なんで、何でなのよ。せっかくキョン君とやっとヒクッキョン君と仲良くなれたのに。グスッいつも見てるだけだったのにやっと」ポロポロ

森「やっと私も幸せに、ズッなれるグスッって思ったのに。ねぇ古泉、何で?何でなの?」グスグス

255: 2011/05/22(日) 00:43:18.25
森「何で?何でなのよ!何で涼宮ハルヒだけ幸せになるの?あんな自分のことしか考えないで好き勝手やってる女が!」ポロポロ

森「神だからってこんなこと許されるの?ねぇ古泉、私は幸せになっちゃいけないの?古泉、お願いだから教えてよ」ポロポロ

古泉「……」

森「教えてよ、ねぇ古泉。じゃないと私は、私は……うわぁぁぁぁぁぁん」ポロポロ

256: 2011/05/22(日) 00:43:45.84
[エピローグ]

その日最初に見たのは見慣れた自室の天井ではなく、いつかの病室の天井だった。
何故俺が病院にいるのか、いや何故入院しているのかと考えても全く思い出せずにベッドの上で唸っていると、病室のドアが開いたわけだ。
入ってきたのはSOS団の面々であり、団長殿からそれはもうたっぷりお小言を頂いた。
 それから俺がどうして入院しているかを聞いたのだが

「あんた一週間くらい前から原因不明の意識不明だったのよ?何があったのかこっちが聞きたいわよ」

などと返されますます訳が分からなくなった。

257: 2011/05/22(日) 00:44:14.39
 その後長門や古泉に聞いても分からないと言うからおそらく不思議関係が原因じゃないんだろう。多分な。
朝比奈さんは病室に入ってきてからずっと泣いていた。見た感じだいぶ痩せたようにも見えた。心配させて本当にすいませんでした。

258: 2011/05/22(日) 00:44:44.09
そして今、俺は不思議探索に出かけている。あの後わりかしすぐに退院が出来たのだが、退院の次の日に外出させるか普通?
 こんなことさせるのは
世界広しといってもハルヒくらいだろう。前入院したときは一週間かそこらで雪山に連れていかれたわけだし。
うちの親もよく許すもんだと思うね。もしかして長門が情報操作でもしてるんじゃないか?……否定できないから考えないでおくとしよう。

259: 2011/05/22(日) 00:45:26.98
 ところでやはり俺が意識不明になった原因はついに医者でも分からなかったらしい。
 俺は一週間どころかもっと前からの記憶もかなりあやふやになっている。生活するのには困らないが、それでもやはり怖いことは怖い。
 ハルヒが言うにはいつもと変わらずぼんやりしてたというから、恐らくいつも通りだったんだろうが。
それと、俺は今買った覚えのないネックレスをしている。古泉達に聞いても知らないというから俺が自分で買ったんだろう。
この買った覚えのないネックレスだが、なぜか付けておかないといけない気がする。理由は分からんけどな。俺の記憶がはっきりしたら分かるんだろうか。

260: 2011/05/22(日) 00:45:57.19
 なんて考えてるうちに集合場所が見えてきた。もう全員揃ってやがる。いや、朝比奈さんはいないな。
俺が目を覚ました日以来朝比奈さんには会っていない。おそらく受験勉強で忙しいんだろう。
ハルヒの奴がなんか叫んでやがる。あいつは今日も俺に奢らせるつもりのようだ。
やれやれ、いつもは無駄と分かっていても少しは反抗するんだが、今日くらいは素直に払ってやるか。
俺が入院してる間毎日来てくれてたみたいだし、結構感謝してるんだぜ?口には出さんがな。
さてと、今日も一日頑張りますか。

261: 2011/05/22(日) 00:46:35.98
彼が来ました。どうやら調子は悪くないようですね。
いえ、調子が悪くないというのはおかしいかもしれません。なんせ彼は約二ヶ月分の記憶を失っているのですから。
長門さんが言うには記憶を消したわけではなく、あくまで封じただけなんだそうです。
いつ記憶が蘇ってもおかしくないらしいですが、ずっと記憶が戻らない可能性も低くない、と。
あの日以降、長門さんは僕にも分かるくらいに落ち込んでいるようです。思い人の記憶をいじって幸せな日々を無かったことにしたのですから当然ですか。
彼女も随分人間味がでてきたようです。本来は喜ぶべきことなのですが、今回の出来事程それを恨んだことはないのでしょう。

262: 2011/05/22(日) 00:47:06.76
未来人、朝比奈さんは彼が目を覚ました日以降SOS団には顔を出していません。
彼と顔を合わせるのが辛いのでしょうね。なにせ自分の組織が彼の幸せを奪ってしまったのですから。
 正直に言いますと僕は彼女らに対して強い怒りを感じています。未来のためだからといって僕の大切な人たちの気持ちを踏みにじったのですから。
朝比奈さんは未来の自分が実行したと知ったとき、何を思うんでしょうか。

263: 2011/05/22(日) 00:48:23.78
彼と話しているときの涼宮さんはとても生き生きとしています。彼のおかげで閉鎖空間はほとんど発生しません。
そういえば彼女には「恋愛は精神病」という持論がありましたね。
ええ、まさしくその通りだと思いますよ。なにせ思い人の記憶を変えさせてまで手に入れたいと願うのですから。これを精神病と言わずして何を、ですよね。
 

ところで森さんは大分参っているみたいです。僕と話しているときは意地を張っていたのでしょうが、一回泣き出したらもう止まらなかったようです。結局あの日は泣き疲れて寝てしまうまで泣き叫んでいました。
新川さんが言うにはあの日からずっと部屋にこもって彼とお揃いのネックレスを眺めて過ごしているそうです。
僕は一日も早く森さんに立ち直ってほしいと思っているのですが、あの日からまだ数日。しょうがないことなのかもしれません。

264: 2011/05/22(日) 00:48:53.44
今回の件で機関は『鍵』の解放は可能か、可能ならば別の『鍵』をあてがうことは可能かを見たかったようです。
もし成功していたのならその時は僕が選ばれたのでしょうね。実際は成功せず、彼女は無理矢理『鍵』を取り返してしまいましたけど。
ふふふ、彼と森さん、そして僕の気持ちなんてお偉いさん方には関係ないんでしょう。ふざけないでほしいですよ、本当に。

265: 2011/05/22(日) 00:49:26.25
喫茶店でくじ引きをして探索に行きます。午前中の探索は彼と二人。ええ、非常に都合がいい。
実は今日の僕にはしなければならない仕事があります。それは彼に彼の通帳に入っている多額のお金について説明すること。
 全く、気が重いなんてものじゃありませんよ。しかし、彼には必ず受け取ってもらわなければなりません。なぜなら、これが彼と森さんの始まりだったんですからね。

266: 2011/05/22(日) 00:49:58.11
彼と町をぶらぶらと歩いてもうすぐ集合時間です。そろそろ話を切り出すとしましょうか。

「は?お前そんな大金受け取れるわけがないだろうが」

えぇ、あなたならそういうと思っていました。けどこれはあなたがやってきたことを考えると当然の報酬です。

「しかしだな、これは俺が一生働いても得られんだろう大金だぞ?」

えぇそうかもしれません。しかしあなたはそれだけの事をしてきてるんです。僕の一生のお願いですよ。どうか受け取ってください。

「分かった、分かったから肩を掴むな。痛ぇよ。ったく、どうしたんだ一体」

どうやら僕は無意識のうちに彼の肩を掴んでいたようです。自分でも驚きですよ。僕がそんなことをするなんて。僕は意外と熱い性格なのかもしれませんね。
 ……少し泣きそうになってしまいましたよ。

267: 2011/05/22(日) 00:50:34.19
 先に集合場所に着いていた涼宮さんに呼ばれて彼が走っていきます。
 前の僕なら「微笑ましいですね」などと言ったのでしょうが、今はとてもそんなことを言えません。
記憶を失う前の彼はあれだけ幸せそうだったのですから。
 そして僕もそんな彼と話しているのがとても楽しかった。
 いつか彼が世界のことなど気にせず人を愛せる日は来るのでしょうか。 また彼が僕を驚かせてくれる日は来るのでしょうか。



僕はずっと待ってますよ。あなたが全てを思い出して、そして僕との約束を守ってくれる日を。


[終]

269: 2011/05/22(日) 00:53:19.31
[+α的後日談]

俺たちSOS団は電車に揺られて京都に向かっている。三年生の卒業式から数日、ようは朝比奈さんと鶴屋さんの卒業記念の旅行みたいなもんだ。 元々は京都には去年の秋に行く予定だったらしいのだが、俺の入院でお流れになってしまったらしい。

「あなたが行きたがっていたんですよ、京都」と古泉は言う。

「そんなこと言ったって覚えてないんだからしょうがないだろう」

「そう……ですか」

……古泉は俺の入院や記憶喪失の話になるとあからさまに落ち込む。それは朝比奈さんや長門も同様だった。

270: 2011/05/22(日) 00:53:45.61
朝比奈さんは退院してしばらくは俺の顔を見ると毎回涙目になっていた。あれ?俺なんかしたのか?とも思ったのだが、長門からは何もなかったと言われた時は安堵したものだ。今は元のような関係に戻ることが出来た。ま、一安心ってとこか。
それと朝比奈さんはまだ未来には帰らないらしい。俺の勝手な予想だが俺たちが卒業するまではこっちにいるのではないだろうか。いつか来る朝比奈さんとの別れは、今は考えないようにしないとな。

271: 2011/05/22(日) 00:54:15.09
そういえば佐々木からも連絡があった。「君のために僕は神を目指そうと思う」なんて言われたときには口から心臓が飛び出るかと思ったね。
それが冗談であったのか否かはまだ分からない。その話になるとあいつは見事に話を逸らしてしまうからな。佐々木相手に口で勝つのは俺には無理だ。
だがこれを言ったのがハルヒでなく佐々木であったのが助かった。佐々木はハルヒと違って理性的で常識人だからな。きっと馬鹿なことはしないだろう。
もしハルヒが言ってきたら?考えたくもねぇな。その時は古泉達にでも相談するとしよう。

272: 2011/05/22(日) 00:54:43.76
「キョーン!なーに湿気た顔してんのよ!」

「別にいつも通りだろうよ」

「みくるちゃん達の卒業記念旅行なんだからね?空気ぶち壊したらただじゃおかないわよ?」

はいはい。俺もハルヒの扱いに慣れたもんだなと思う。ハルヒは笑顔は眩しいくらいだよ、本当に。
きっと俺は今年もハルヒに振り回されていくんだろうよ。だがそれもいいさ。こいつといると楽しいのはもう否定できないだろうからな。

273: 2011/05/22(日) 00:55:19.67
なんだかんだで京都に着いたようである。どうやらまずは泊まる旅館に荷物を置いてくるらしいのだが……。おい古泉。その旅館はまた機関のあれか?

「ええ、まぁそうなりますかね。いくら町中と言っても機関の手の届かないところに涼宮さんを行かせるなんてとてもとても」

まぁそうだろうな。やれやれハルヒの奴も可哀想な奴だ。どこに行くのも監視監視か。

「それはあなたも同じですよ。もう気づいているでしょ?」

言うなよ。そんなこと知りたくもなかったぜ。

「それは申し訳ございません」

はぁ。こいつとのやりとりも当たり前になったな。こう考えると二年間ってのは長いよな。その時は短く感じても振り返ってみるとあの頃の俺と今の俺は大分違うんだろうからな。
あの頃の俺は古泉との問答を俺が楽しんでるなんて考えもしないだろうさ。

274: 2011/05/22(日) 00:55:47.84
古泉と話してるうちに目的の旅館に着いたようだ。またこれは大きな旅館だな。お迎えもいるとは……だけど執事服ってのは旅館に合わないんじゃねぇか?

「お久しぶりね!新川さん」

ま、その執事ってのは新川さんなんだがな。

「あれ?森さんはいないの?」

「森は大事な用事がごさいまして迎えに出れませんでした。申し訳ありません」

ふーん。機関の人も大変だね。閉鎖空間でとんでもバトルしたり執事やメイドになったりと。

275: 2011/05/22(日) 00:56:26.79
「すいません、ちょっと」

ん?なんだよ古泉。ハルヒ達はもう入ってってしまったぞ。

「いえ、大事な用事ですよ」

「そう。大事な用事」

長門もか……。何だよ、ハルヒ関係か?

「ええ、そんなところです。涼宮さん達に言い訳してきますんで、ちょっと待っていてください。あ、鞄は僕が運んどきますよ」

本当になんなんだよ。そんなことよりここで俺を待たせとく意味はあんのか?後で部屋で話せばいいものを……。ったく古泉の奴。

276: 2011/05/22(日) 00:57:02.43
俺が古泉を待っていると後ろから声がかかった。

「お久しぶりですね、キョン君」

その声を聞いたとき、俺は世界が止まったかのように感じた。

「言ったでしょう?私は諦めませんって」

凛とした声。そこから感じ取れる優しさ。
振り返った先にあった姿は



「ええ、本当にお久しぶりです。園生さん」




[The End]

277: 2011/05/22(日) 01:02:01.10
蛇足?終了
段落毎に一マスずつ開けたはずなのに反映されたりされなかったりするのは何故なのか

ちなみに俺はハッピーエンド大好きだからこんな終わりは好き

見ている人がいるか分からないけど、見てくれた人はどうもありがとう


この後はまだスレが余ってるから前に出した執事ネタ?を出だしをスレタイにしてやってみようかなと思ってます

278: 2011/05/22(日) 01:51:34.83

282: 2011/05/22(日) 07:16:47.33

森さんペロペロ

283: 2011/05/22(日) 10:41:43.28
おつ
楽しかった

引用元: キョン「なぁ古泉、相談があるんだが」