1: 2010/03/10(水) 21:57:46.88
唯「えっ?」

紬「はい、どうぞ」

唯「えっ……えっ」

梓「……!?」

澪「……」

律「……」

唯「む、ムギちゃん……」

紬「なあに?」

唯「なんで私、お水……」

紬「唯ちゃんにはその方が良いかなって」

唯「え……」

4: 2010/03/10(水) 22:00:24.98
梓「???」キョロキョロ

澪「……」

律「……」

唯「う……」

紬「いらないの? 唯ちゃん」

唯「……っ、…………」ごくっ

梓「……!」

唯「……」ごくごくごく

梓「……」

澪「……」

律「……」

紬「……」

唯「…………」ぐすっ

12: 2010/03/10(水) 22:07:04.56
いつものティータイム、
唯にだけ水道水の入ったコップが差し出された。
それがさも当然であるかのように。

唯は驚き、そしてショックを受けた。
まさか自分がこのような扱いを受けるとは思わなかったからだ。
水道水のコップを差し出された瞬間、唯は頭が真っ白になった。
紬に対してどういうことなのかを問いただしてみようとしたが、
うまく言葉が出てこなかった。
結局唯は水道水を飲んだ。
屈辱感と疎外感を味わいながら。
そして飲み干した後、
溢れてくる涙を必氏に抑えようとした。

梓は唯に水道水が出されたことに驚いた。
この部活でいじめが起こってしまったのか、
なぜ澪と律は何食わぬ顔で座っているのか。
様々な疑問が頭の中を駆け巡った。
紬を糾弾したい気持ちもあったが、
唯が水道水を飲み始めたのを見て
何も言えなくなってしまった。

14: 2010/03/10(水) 22:09:36.12
唯「……」

梓「っ……」

紬「……」

律「……」

澪「練習しようか」

紬「そうね」

律「ああ」

梓「えっ……、……はい」

唯「……」

梓「ゆ、唯せんぱ……」

唯「へへ……」

梓「……」

25: 2010/03/10(水) 22:15:34.20
澪の一言で練習が始まることになった。

他の部員がいつにも増して淡々と
練習の準備を始める中で、
みんなから遅れて立ち上がった唯に
梓は言葉をかけようとした。
しかし唯の想像以上に悲痛そうな顔を見て、
言葉は引っ込んでしまった。

唯は何も考えられなかった。
早くこの場から消えてしまいたかった。
ここからいなくなれば、
今日のこと出来事を忘れてしまえる。
夢だったと思い込むことができる。
ただの現実逃避に過ぎないが、
自分の存在が拒まれているこの空間にいることは
唯の精神が耐えられなかった。
梓が心配そうな顔で話しかけてきたとき、
唯は梓が何を言おうとしているのか悟っていた。
心配をかけまいと愛想笑いを作ったが、
それが余計に自分の顔を悲しく見せていることに
唯は気がつかなかった。

練習は散々だった。
唯はギターをまともに弾くことができなかった。
澪たちは唯を注意しなかった。
ただ「もう一度やろう」と言うだけだった。

29: 2010/03/10(水) 22:18:27.25
2日目。

紬「澪ちゃんは水道水でいいわよね」

澪「!!」

律「……」

唯「……」ほっ

梓「????」

澪「え……」ちらり

唯「……」

澪「ああ……」

律「……」

梓「……?」

紬「……」

40: 2010/03/10(水) 22:26:30.95
今日は澪の前に水道水のコップが置かれた。

澪は昨日の唯ほどにショックを受けはしなかった。
ああこういうシステムなのか、と一人で納得した。
昨日、唯が水道水を出された際、
澪は紬に対してどういうことだと尋ねようとしたが、
部室の異様な雰囲気に飲まれて
言い出せないでいたのだった。
それを澪は後悔していたが、
イジメでもなんでもなく、
ただの紬のいたずらだったのだと分かった今、
昨日は黙っていて正解だった……と
自分の気の弱さを正当化した。

唯は心の底からホッとしていた。
自分がいじめられているわけではなかったのだ。
紬がただいたずらをしているだけだった。
昨夜の食事が喉を通らなかったこと、
部室に来ようかずっと考えて胃を痛めたことを
我ながら馬鹿らしいと思った。

梓もひそかに安心していた。
自分の知らぬうちにイジメなどが発生していれば、
この部活の居心地が悪くなってしまうだけだ。
たわいもないいたずらなら、なんてことはない。
しかし、梓は昨日の唯の表情を忘れられなかった。
いたずらにしては悪意がありすぎる、
紬に対して注意しなければならない。

46: 2010/03/10(水) 22:31:32.17
注意しなければならない、
と思ったがこうして全ての部員が
これはただの紬のいたずらで、
順番に水道水が回っていくシステムだと理解したであろう今日、
注意するタイミングとしてはまったくズレてしまっている。
紬に対して注意するとしたら昨日の時点で、
唯がショックを受けて涙目になっている時点ですべきだったのだ。
そこで注意をしていたならば、
紬のやったことがただの遊び、いたずらであっても、
唯を材料にして紬のやったことは悪いことだと
糾弾することができたのに。
梓は自分のタイミングの悪さが嫌になり、
同時に唯にたいして申し訳ない気持ちを抱いた。

ティータイムの後、練習が始まった。
今日はみんないつもどおりの演奏をしていた。

51: 2010/03/10(水) 22:38:01.34
3日目。

紬「りっちゃんは水道水でいいわよね」

律「おう」

唯「……」

澪「……」

梓「……」

もうみんなは完全に慣れてしまっていた。
律は水道水を受け取るのが楽しいと感じていた。
最初唯に水道水を出されたときは変だと思ったが、
こういう遊びなんだと理解すれば悪いものでもない、
むしろ楽しい。

もっとも律はこれが何かの遊びなのだと
初日から気づいていた。
なんだか部室の雰囲気がいつもより重かったし、
心なしかみんなの動作が淡々としているように見えたからだ。
部長たる律はそれを異様に思ったが、
とりあえず空気を読んでみんなに合わせておくことにした。
唯に水道水が出された時も、みんなの反応をうかがって
黙っておくのが正解だと考え、そうしていたのだ。

その日の練習もいつもどおりに終わった。

56: 2010/03/10(水) 22:42:14.09
4日目。

紬「私は水道水でいいわ」

唯「うん」

澪「……」

律「……」

梓「……?」

梓は気づいていた。
ここ最近、軽音部の空気が重い、ということに。
澪はともかくとして、
ムードメーカーの律が黙り込んでいるというのは異常だ。
いつもなら、自分からみんなを盛り上げてくれるのに。
よくよく考えてみれば、律以外の部員は
自分から雰囲気を盛り上げるということをしない。
澪はツッコミ役、イジラレ役だし、紬は完全に聞き手だ。
唯は……性格は明るいが、あまり積極的な方ではない。

とにかくこんな空気は嫌だ、と梓は思った。

その日の練習もいつもどおりに終わった。

57: 2010/03/10(水) 22:44:34.34
5日目。

紬「唯ちゃんは水道水でいいわよね」

唯「へっ?」

梓「!!……」

澪「……?」

律「……」

唯「え。なんでわt」

紬「唯ちゃんにはその方が良いかなって」

唯「え、でも」ちらっ

梓「……」

唯「え……」

紬「早く飲まないと、ぬるくなっちゃうわよ」

唯「…………うん……」

70: 2010/03/10(水) 22:52:17.07
梓は期待していた。
自分の前に水道水の入ったコップが置かれることに。
しかし紬の手は梓を素通りし、
唯の前にコップを置いたのだ。
その時、梓はすべてを理解した。
これは唯に対するイジメでも、
紬の変なイタズラなんかでもない、
明確に、自分だけに対して、
悪意が向けられているのだと。
それを悟った瞬間、
梓の心臓の鼓動は異様なほどに早くなった。
全身の毛穴から嫌な汗が吹き出してくるようだった。
え、どうして。なぜ、私が。なぜ、紬は。
そんな問い掛けを自分の中で繰り返してみても、
答えは一向に見つからなかった。

唯は不思議に思った。
今日は梓が水道水を飲む番ではないかと。
しかし紬は唯の前に水道水を置いたのだ。
唯は、紬に「今日は梓の番だ」と言おうとした。
しかしそれをすぐにやめた。
水道水なんて誰も飲みたくないもので、
それを後輩に押し付けるようなことは、したくなかったからだ。
唯は紬が自身の記憶違いを思い出してくれることに期待しつつ、
水道水を口に含んだ。

77: 2010/03/10(水) 23:00:30.27
澪は理解した。
これはイジメなのだ。
紬の、梓に対する、イジメだ。
まずは唯を犠牲にし、
唯に対するイジメなのだと梓に印象付ける。
しかし水道水を順番に回していくことで、
これがただの遊びであるのだと思わせ、
そして自分に水道水が回ってくることを期待させる。
ここがミソだ。
そう、「期待」してしまうのだ。
飲みたくもない水道水が、自分にも回ってくることを。

しかしその期待は容易に打ち破られる。
水道水は、梓には回ってこないのだ。
ここで初めて、梓はこれが自分へのイジメだと理解する。
期待していたぶんだけ、
「水道水の輪に入れる」と思っていたぶんだけ、
ダメージも大きいのだ。

そして梓は紬に反抗することはできない。
「誰も飲みたくない」はずの水道水が
自分に回ってこないということは、
本当ならば喜ぶべきことなのだから。
それを無視して紬に「なぜ私にだけ水道水が来ないのか」
と反抗すれば、後はどうなるか簡単に想像が付く。
梓にだけ、毎日、水道水が出されることになるのだ。

86: 2010/03/10(水) 23:07:55.65
反抗の余地はない。
いや、反抗すれば悪い方に進んでしまう。
梓は甘んじて、この状況を受け入れるしかない……。
澪は感心した。
よくもまあこんなことを思いついたものだ、と。
同時に安心した。
このイジメの標的が、自分でなくて良かった、と。

しかしこれはイジメなのだろうか?
と澪は思った。
イジメというのは、集団で一人を攻撃することだ。
しかしこれは今のところ、紬と梓の1vs1でしかない。
……いや、本当に1vs1なのか。
もしかしたら自分以外の全員が、
梓イジメに加担しているのではないか……。
考えれば考えるほど、
澪の思考はこんがらがっていった。

とにかく、こんなことはやめさせなければいけない。
しかし、もし紬に注意したとしたら、
今度は自分に対してイジメが行われるのではないか……
そう考えると、澪は行動を取ることができなかった。

その日の練習は、梓が散々な演奏をして終わった。

94: 2010/03/10(水) 23:13:21.50
練習後。

唯「あずにゃん、今日の演奏いまいちだったけど、どうしたの?
  体調でも悪い? そういえばなんか顔色良くないような」

梓「いえっ……な……なんでも、ないです」ささっ

唯「ありゃ、帰っちゃった」

紬「……」

律「……」

澪「……」

紬「じゃあ、私も、帰るわね」

唯「うん、ばいばい」

紬「また明日」ガチャバタン

澪「……」

律「……」

102: 2010/03/10(水) 23:18:46.69
イジメの的になったことを知って、
精神に深くダメージを負ってしまった梓。
みんながイジメに加担しているのではないかと
疑心暗鬼に陥ってしまっている澪。
空気が重いのを読み取って、
騒ぐのを自重している律。
いつも通りの静かな紬。

音楽室全体が沈鬱な雰囲気になっている中で、
唯だけがいつものように振舞っていた。

唯「澪ちゃん、りっちゃん、一緒に帰ろ」

律「ん、ああ」

澪「おう……」

3人は明かりを消し、
戸締まりをして、音楽室を後にした。

律は「用事がある」と言って
校門を出たところで
いつもとは違う道へと行ってしまった。

唯と澪が一緒に帰ることになった。

106: 2010/03/10(水) 23:22:28.39
唯「最近寒いねえ」

澪「ん、ああ……」

唯「地球温暖化はどうしたんだろうね」

澪「温暖化しようと冬は寒いんじゃない?」

唯「そういうもんかな」

澪「そうだよ、多分……」

唯「どうすれば冬は暖かくなるのかな」

澪「どうにもならないと思うけど」

唯「そっか」

澪「うん」

唯「……」

澪「……」

何気ない会話。
しかし澪には唯に探りを入れられている気がして、
ぎこちない受け答えになってしまっている。

112: 2010/03/10(水) 23:25:29.16
唯「そういえばさ」

澪「?」

唯「最近のムギちゃん、なんか変だよね」

澪「!」

唯「水道水とか出してきたりさ」

澪「え、ああ」

唯「あれ最初やられたときはびっくりしたよー、
  なんかイジメなんじゃないかって思っちゃった」

澪「はは、いきなりだったからな……」

唯「もー、笑い事じゃないよ。
  あ、そうだ、今日あずにゃんの番だったのに、
  飛ばされちゃってたよね」

澪「ん? あ、ああ、そうだったな」

116: 2010/03/10(水) 23:30:01.01
唯「ムギちゃんもうっかりさんだね、
  あずにゃんの番を忘れちゃうなんてさ」

澪「忘れ……?」

唯「うん、あずにゃんの番を忘れて
  私のとこに来たからさー、
  ムギちゃんにそれを言おうと思ったんだけど」

澪「うん……」

唯「でもやめといたんだ、
  水道水を押し付けるみたいだったからさ。
  誰も飲みたくないよねえ、水道水なんて」

澪「……ああ、そうだね」

唯「それにしても、なんでムギちゃんは
  いきなりこんなこと始めたんだろうねえ」

澪「さ、さあな……」

唯「なんか意味があるのかなあ。
  明日、ムギちゃんに聞いてみるよ」

澪「えっ……い、うん」

123: 2010/03/10(水) 23:38:33.83
澪は唯の言葉を聞いて、
自分の考えを見直してみた。

勝手にイジメだと決めつけていたが、
紬がただ梓の番を忘れていただけなのかも知れない。
もしそうならば、水道水回しとは
梓に対するイジメではなく、
ただの紬のいたずらだということになり、
部のみんなが梓イジメに加担しているという疑惑も消え去る。

しかしこれはあくまで仮説に過ぎない。
紬の真意がはっきりしない以上、
簡単に結論を出してしまうのは危険であろう。
まずは紬がなぜ水道水回しを始めたかを
突き止めねばなるまい。
唯が「明日紬に尋ねる」と言っていたので、
その答えを聞けば分かるだろう。

まあそれはともかくとして、
澪は、少なくとも唯はイジメに
加担していないと感じていた。
100%唯のことを信じているわけではないが、
どうもこの唯が誰かに敵意をもつということは
澪には考えられなかった。

126: 2010/03/10(水) 23:42:16.90
6日目。
朝の教室。

ガラッ
唯「おはよー」

律「おーっす」

唯「ムギちゃんまだ来てない?」

律「そのうち来るだろ」

ガラッ
紬「……」

唯「あ、おはよう、ムギちゃん」

律「おっす」

紬「あら、おはよう。
  ……」

唯「……」

129: 2010/03/10(水) 23:46:14.56
紬「どうしたの、唯ちゃん」

唯「ん、えーっと……
  ムギちゃんさあ、最近お茶のときに、
  水道水、出すよね。あれなんで?」

律「あー、それ私も気になってたー」

紬「な、何で、って……それは……」

律「勿体ぶらずに教えろよー、
  なんか理由があってあんなことやったんだろ?」

唯「りっちゃん、興味津々だね。
  部活の時はスルーしてたのに」

律「いやあ、部活の時は
  なんか言い出しにくい空気だったからさあ。
  で、どうなんだ、ムギ」

紬「い、言えないわよ」

唯「えー、言ってよー」

180: 2010/03/11(木) 00:22:24.90
紬「……」

律「誰かに口止めされてるとか?」

紬「……」

唯「誰にも言わないから言ってよーねーねー」

紬「でも……」

律「言ってくれ、頼む」

唯「気になって夜も眠れないよ」

紬「う、うん……じゃあ、言うわ」

唯「うんうん」

紬「実はね」

律「うん」

紬「澪ちゃんにやれって言われてたの」

唯「へ」

196: 2010/03/11(木) 00:28:09.30
それから紬は「誰にも言わないで」と念を押した後、
何を聞いても答えなくなってしまった。

唯には信じられなかった。
なぜ澪がそんなことを?
どうして楽しいティータイムに、
文字通り水をさすようなことをするのか……
とそこまで考えて、
唯はある仮説に行き当たった。
澪はティータイムをやめさせようとしているのではないか。
ティータイムをなくして練習に集中するために、
こんなことをしてティータイムをする気を
削ごうとしているのではないだろうか。
でも何故こんな回りくどいことをしなければならない。
こんなことをする必要が、どこにある。
そもそもこれは、真実なのだろうか。
疑惑の念は、澪だけでなく、紬にも向けられた。

律はさほど驚かなかった。
まあ紬自身からこんなことをやり始めるはずはないし、
誰かから強制されてのことだろう……と考えていた。
とすれば、後は誰がやったかは簡単に想像が付く。
律は水道水回しを楽しんでいたし、
特に自分にデメリットはないので、
まあ面白ければ良いか、と考えていた。

唯はその日、一日中いやな気分で過ごした。
そして放課後、澪に真意を確かめるべく、
音楽室へと向かった。

200: 2010/03/11(木) 00:31:34.90
一方、澪のクラス。

和「ごめん澪、昼休みは生徒会があって……
  お昼ごはん一緒に食べられないのよ」

澪「あ、そうなんだ……」

クラスメイト「ざわざわざわざわ」

澪「……」

クラスメイト「ざわざわざわざわ」

澪「……」

クラスメイト「ざわざわざわざわ」

澪「食堂行こ」

澪「……」

澪「……」

澪「……」

207: 2010/03/11(木) 00:34:18.13
食堂。

紬「あら」

澪「あ、ムギ。
  珍しいな、学食にいるなんて」

紬「飲み物を買おうと思って」

澪「ふうん……、……」

紬「どうしたの?」

澪「あ、いや……
  ……ちょっと、いいか?」

紬「なに?」

澪「その、部活でのことなんだけどさあ。
  お茶の時間に、水道水出してるけど、
  あれ、なんなのかなーって思って」

紬「……」

213: 2010/03/11(木) 00:38:18.27
澪「なんか、理由があって……」

紬「……」

澪「やってんの……」

紬「……」

澪「かなー……と」

紬「……私だって……
  やりたくてやっているわけじゃないわ」

澪「えっ……
  それはどういう」

紬「……」

澪「誰かにやらされてるのか?」

紬「……」こくん

澪「……だ、誰に……?」

紬「梓ちゃん」

222: 2010/03/11(木) 00:44:30.50
それから紬は「誰にも言わないで」と念を押した後、
何を聞いても答えなくなってしまった。

澪はもうワケが分からなかった。
水道水回しはてっきり梓に対する
遠まわしなイジメだとばかり思っていた。
しかし唯の話を聞いて、
これは紬のイタズラにしかすぎず、
梓が飛ばされたのは
ただ紬が忘れていただけなのではないか、
という仮説も生まれた。
しかし今、紬の口からはっきりと
「梓に命令された」という言葉が出てきた。
なぜ梓が、こんな意味不明なことをさせるのだ。
何か意味があって、やっているのか。
なんのために、なにを考えて?
だが梓が主犯だとすれば、
納得できることがひとつだけある。
梓が飛ばされた理由だ。
梓はいじめられたのでも
忘れられたのでもなく、
自分が首謀者だから、
紬に自身の番を飛ばさせたのだ。
4人の先輩が水道水をすすっているのを見て、
心の中ではニヤニヤと笑っていたのだろう。
いや、こんなことを考えてはいけない、
可愛い後輩のことを悪く思ってはいけない、
澪は必氏に自分自身にそう言い聞かせたが、
想像に浮かんだ梓の「裏の顔」が消えることはなかった。

227: 2010/03/11(木) 00:50:39.36
放課後、音楽室。

ガチャ
唯「……やあ」

澪「おう」

唯「澪ちゃんだけ?」

澪「うん」

唯「あ、そう……」

澪「……」

唯「……」

澪「……ムギに聞いた?」

唯「えっ……な、何を?」

澪「昨日言ってただろ、
  お茶の時間に水道水出す理由を聞くって」

唯「あ、うん……そ、そうだったね」

233: 2010/03/11(木) 00:55:41.55
澪「私、昼休みにムギに会ってさ。聞いたんだ」

唯「えっ?」

澪「梓があれをやるように命令してたんだって」

唯「はっ?」

澪「信じられない気持ちは分かるよ、
  私だって完全に信じたわけじゃない」

唯「……」

澪「でもムギは確かにそう言ったんだ。
  この発言が本当のことかはどうか分からないけど……
  こういうのもなんだけど、
  ムギってちょっとワケ分かんないとこあるよな」

唯「え……そ、そだね……」

澪「ほんとに梓なのかなあ。
  唯はどう思う?」

唯「う、うーん……
  決めつけちゃうのもアレだと思うよ……」

澪「まあそれはそうだけどさ」

243: 2010/03/11(木) 01:05:43.22
唯は混乱した。
今朝、紬は澪が命令犯だと言った。
しかし澪によると、
紬は梓に命じられてやっているらしい。
何が嘘で、何が真実なのか。
紬の言うことがすべて真実とも限らないし、
澪の発言もまた然り……
理論的にはそう理解しているものの、
人間の感情とは不思議なもので。
澪の方から積極的に
「梓が命令犯」という話をふられたことが、
唯にとっては澪が自分の罪を
梓になすりつけているように見えてしまうのだった。
だがそれすらも完全に信じきっているわけではない。
では、本当に梓が命令犯なのか?
澪は?
紬は怪しくないのか……?
軽音部の中の誰かが命令犯だとして、
なんのためにこんなことをさせているのか?
考えても考えても頭がこんがらがるばかりだった。

唯は、
紬から「澪が命令犯」と聞いたことは
黙っておくことにした。

252: 2010/03/11(木) 01:12:55.75
唯「……」

澪「ムギの言うことも、
  手放しには信用できないしなあ」

唯「……」

澪「梓が犯人ってのも、あり得る気がするんだよな」

唯「……」

澪「なあ、唯は……」

唯「もうやめてよ!」

澪「!?」

唯「友達同士で疑い合うなんて、良くないよ……」

澪「あ……そ、そうだな、ごめん」

258: 2010/03/11(木) 01:18:15.37
唯「ムギちゃんにはっきり言おうよ、
  水道水出すのはもうやめて、ってさ。
  これがすべての元凶でしょ?」

澪「まあ確かにそうだけど」

唯「それで、ムギちゃんが誰かに言われて
  水道水を出してたって言うんなら、
  それもちゃんと説明してもらおうよ。
  なんで命令されてたのか、
  なんの目的でやってたのか……」

澪「そうだな……
  とにかく全てをはっきりさせなきゃ、
  無駄に仲間を疑うだけだもんな……」

唯「うん、そうだよ」

澪「ああ、分かったよ、唯」

そうしているうちに、
律と紬がやってきた。
梓は来なかった。

そして、ティータイムが始まった。

263: 2010/03/11(木) 01:29:16.76
紬「はい、どうぞ」

唯「あ……うん」

紬「どうぞ」

澪「……? うん」

紬「どうぞ」

律「サンキュー」

紬「じゃあ、いただきましょうか」

唯「え」

澪「う、うん」

律「……おう」

紬「♪」

267: 2010/03/11(木) 01:35:47.51
この日、水道水は出されなかった。

唯は迷った。
今日このタイミングで水道水を出すのをやめられると、
紬に対してやめるように言えなくなってしまう。
いや、やめてもらえるのなら、
それはそれで構わないのだが、
なぜこんなことをしていたのか、
何のためにやっていかのか、
ということまでも聞けなくなる。
今聞けないこともないが、
わざわざやめてもらえたのに
今さら蒸し返すこともないだろうか?
聞くべきか聞くまいか、
唯は悩んだ。
どうにも唯は、
この手の空気を読むことが苦手だった。

澪は梓犯人説を完全に否定できなくなった。
梓が不在のこの日、
紬は水道水を出さなかったからだ。
しかし梓への疑いが増していくと同時に、
紬への疑いもまた増していくのだった。
紬が梓を犯人に仕立て上げようとしている?
でも、なんのために?

272: 2010/03/11(木) 01:41:38.92
そう、「なんのために」。
それが一番の問題だった。
梓が命令したにしろ、
紬が一人でやったことにしろ、
「理由は何か」と問われれば
答えに詰まってしまうのだ。

紅茶の代わりに水道水を順番に回していく。
この行為には、
果たしてどんな意味が込められているのか。
それが分からない。
どれだけ考えても、考えても、
さっぱり理解出来ない。

今のところ、
紬が梓をいじめるため、
というのが最も納得できる理由だ。
梓に命令された、と言ったのも
おそらく梓を陥れるためのものだろう。
しかしこんな短絡的な結論に達して良いのだろうか。
まだ何か裏がある気がする。
澪にはそう思えてならなかった。

軽音部の部員たちは、
疑心暗鬼の渦に飲み込まれていた。

律を除いて。

278: 2010/03/11(木) 01:46:41.39
律「なあムギ、水道水出すのやめたの?」

唯「!!!」

澪「!?」

紬「ええ、今日は」

律「ふーん。ていうか何で
  水道水なんか出してたんだ?
  面白かったから良いけどさあ」

紬「……」

律「だんまりかよー。
  そうだ、澪が命令してたんだろ?
  いいかげん何でやってたのか白状しろよ」

澪「はっ?」

律「はっ、って……
  え、澪がムギに水道水を出すよう言ってたんだろ」

澪「ち、違うよ、なんで私がそんな」

286: 2010/03/11(木) 01:51:49.78
律「え、だってムギが……
  なあムギ」

紬「もう、言わないでって言ったでしょ、
  りっちゃんったら」

澪「えっ……ちょっとまてよ。
  私は何も言ってない、命令なんてしてないぞ!
  ムギ、いい加減なことを言うな!」

紬「ごまかすのはやめて、澪ちゃん。
  澪ちゃんが私に命令したんじゃない」

澪「んなわけないだろ、
  なんの理由で、私がこんな、
  わけのわかんないことを……!」

唯「そ、そうだよムギちゃん……
  澪ちゃんがやったって言うなら、
  理由を教えてよ……」

紬「……梓ちゃんを、いじめるため」

唯「!」

澪「お、お前……!」

288: 2010/03/11(木) 01:57:36.91
紬「……私は脅されてたの。
  それで、梓ちゃんをいじめるように言われて……
  水道水も澪ちゃんが考えたの。
  まずは唯ちゃんを犠牲にし、
  唯ちゃんに対するイジメなのだと梓ちゃんに印象付ける。
  しかし水道水を順番に回していくことで、
  これがただの遊びであるのだと思わせ、
  そして自分に水道水が回ってくることを期待させる。
  ここがミソだ。
  そう、『期待』してしま以下略」

律「そ、そんな凝ったイジメを……
  おい澪……」

澪「私じゃない!
  おいムギ、でたらめを言うんじゃない!!」

紬「でたらめなんかじゃないわ、
  全部澪ちゃんが言ったことじゃない」

澪「そんなわけないだろ!
  おい、唯……、……」

唯「……」

300: 2010/03/11(木) 02:06:45.62
唯に助けを求めようとして、澪はハッとした。
さっき、澪は梓が犯人であると
唯に対して主張してしまっていたのだ。
今、唯はそのことについてどう思っているか。
言うまでもなく、
澪が梓に罪を擦り付けていたようにしか見えなかったろう。
はめられた。
すべては紬の策略だった。
本当の犯人は梓なんかじゃなく、
紬だったのだ。
軽音部の部員は、
紬の手のひらの上で踊らされていたのだった。
しかし、それに気がついたときは手遅れだった。
律にも唯にも疑われ、
澪はもう、八方塞がりだったのだ。

唯は冷静だった。
自分でも意外だった。
こんなとき、自分は真っ先に取り乱す方だと思っていた。
しかし、不思議と心は落ち着いていた。
落ち着いて、現状の把握に努めた。
澪は梓が犯人だと紬から聞いた。
紬は澪が犯人だと唯と律に言った。
今、澪は犯人扱いされている。
これはどういうことか、
澪が嘘をついているのか、
それとも紬が?

306: 2010/03/11(木) 02:15:00.62
律「澪、そんな意地はらなくても……
  別に怒ってるわけじゃないんだからさあ。
  素直になってくれれば良いだけだから」

澪「わ、私じゃないっ!
  ムギが、ムギがハメようとしてるんだ、私を!
  梓をいじめたのも全部ムギの一存だ!
  それを全部私になすりつけて!
  私じゃない!」

律「お、落ち着けって……」

澪「わ、私じゃないっ……ぞ……ひぐっ」

律「分かった、分かったから」

紬「ふざけないで!」

唯「!」

澪「!?」

314: 2010/03/11(木) 02:22:22.32
紬「罪をなすりつけようとしてるのは澪ちゃんの方じゃない……!
  澪ちゃんが全部私にやらせたくせに……
  直接手を下すのは私で、澪ちゃんは見てるだけで……
  私がどれだけつらかったか……!」

澪「なっ……バカなこと言うな!
  そっちが……!!」

紬「酷い、酷すぎるわ……澪ちゃん……
  ううっ……うああああああっ……」

律「む、ムギ……」

紬「うううええぅ……りっちゃあん……」

律「よしよし……」ちらり

澪「っ……!!
  もういい、今日は帰る!!」

鳴き始めた紬の背中をさする律。
その律に非難の混じった視線を向けられた澪は、
耐えられなくなって音楽室を飛び出した。

ムギが泣き止んだ後、今日の部活は解散となった。

391: 2010/03/11(木) 12:50:23.74
少し時間は戻る。
音楽室から飛び出した澪は、
昇降口で梓と出会っていた。

澪「あ、梓……」

梓「!! ……」ささっ

澪「ま、待ってくれ梓!
  私は梓をいじめてなんかない!」

梓「……な、何を」

澪「というか私も被害者だ。
  全部ムギが企んだことだったんだよ」

梓「そ、そんなの……信じられません」

澪「梓……」

梓「みんなで私を仲間はずれにして、
  面白がってたんでしょ……
  あの水道水で……」

澪「ち、違うよ、だからそれはムギが……」

394: 2010/03/11(木) 12:56:36.61
梓「どうやって澪先輩のことを信じろって言うんです?」

澪「そ、それは……
  ……・」

梓「説明できないじゃないですか」

澪「わ、わかった……
  じゃあもう信じてくれなくて良い、
  とにかく私の話を聞いてくれ」

梓「……はい」

澪「あの水道水回しは、
  間違いなく梓をいじめるためのものだった」

梓「……」

澪「そしてその首謀者はムギだ。
  他にも仲間がいるかも知れないけど、
  ムギが首謀者なのは確実だ」

梓「どうしてそんなことを言い切れるんですか」

395: 2010/03/11(木) 13:05:51.03
澪「唯と律、そして私はムギに聞いたんだ、
  なんで水道水回しをやってるのか、ってな。
  そしてムギは、唯と律に対しては『澪に命じられた』、
  私に対しては『梓に命じられた』と答えたんだ」

梓「私、そんなこと命令してません!」

澪「分かってるよ、それくらい。
  そして、ムギは梓イジメの罪を
  全部私になすりつけようとしたんだ。
  私はまんまとハメられてしまった」

梓「……」

澪「どう考えてもムギが主犯だ。
  問題は、律や唯もグルなのか……」

梓「……」

澪「……無理に信じようとしなくて良いから」

梓「信じはしませんけど……
  あ、いえ、いいです。信じます」

澪「え」

梓「もう失うものは何もありませんから」

397: 2010/03/11(木) 13:17:35.02
梓は部室に行けなかった。
あれほどまでにはっきりとした拒絶を
他人から受けたのは梓にとって初めてだった。
昨夜は食事もまともに食べられず、
ベッドの中で何時間も泣いた。
水道水回しは梓の精神を深く傷つけたのだ。

今日学校に行くことさえも躊躇われたが、
何も事情を知らない親に怒られて
重い気分のままで登校した。
さいわい放課後まで軽音部員と会うことはなかった。
そして問題の部活だ。
梓は軽音部を辞めてしまおうと思った。
ただの逃げなのかも知れないが、
信じた人たちから悪意を向けられるのは、
梓にとって耐えられないことだったから。

梓は部室には行かずに帰ることにした。
そこで澪と出会ったのだ。
自分を拒む先輩の一人、澪。
澪の顔を見た瞬間、梓の体に鳥肌が立ち、
脚が勝手に逃げることを選んだ。

400: 2010/03/11(木) 13:29:46.22
しかし澪に呼び止められ、
澪は「信じなくて良いから」と前置きして話し始めた。
それが真実かどうかは分からなかった。
いや、それが真実かどうかなんて、どうでもよかった。
自分が軽音部から拒絶されているには
変わらないのだから。

だが梓は澪の話を信じることにした。
何も信じられないと割り切った上でなら、
むしろ信じられないことを信じてみるのも
別に悪くはないだろう。
心から相手を信頼するのではなく、
一歩引いたところで斜に構えていれば、
傷つけられることもあるまい。
それに、どうせ辞める部活だ。
自分が拒絶されている以上、
先輩たちとの人間関係において、
もう何も失うものはないのだ。
また自分が痛い目を見るようなことになりそうなら、
その時点で縁を切ればいいだけのこと。
それに、自分がイジメられた理由も、
知っておきたかった。

梓は澪に協力することにした。

404: 2010/03/11(木) 13:36:19.70
梓「で、これからどうするんです?」

澪「うーん……
  まずは唯と律がムギとグルなのか確かめないとな」

梓「はあ」

澪「グルじゃなかったとしても、
  2人はムギの味方だろうけど」

梓「どういうことです?」

澪「さっきも言っただろ、ハメられたんだ。
  律と唯の中では、梓をいじめた犯人は
  私だってことになってると思う」

梓「つまり律先輩と唯先輩は、
  澪先輩と敵対状態にあるわけですか」

澪「そういうことになるな」

梓「じゃあ、澪先輩が2人に直接確かめるのは難しいでしょうね」

澪「そうだな」

梓「私がやりますよ」

407: 2010/03/11(木) 13:44:06.37
澪「え……いいのか?」

梓「はい」

澪「で、でも」

梓「いいんですよ。
  言ったでしょ、澪先輩を信じるって」

澪「あ……ありがとう、梓」

梓「いえ」

澪「とにかく、こんなことは絶対やめさせよう。
  みんなが疑いあって、つらい思いをするだけだ」

梓「はい。
  とりあえず明日にでも、
  唯先輩か律先輩に話を聞いてみます」

澪「うん、頼むよ」

409: 2010/03/11(木) 13:50:54.28
7日目。
昼休み、唯、律、紬の3人は昼食を摂っていた。

律「でさあ、昨日のテレビでさあ」

紬「あらあらうふふ」

唯「あーそれ私も見てたよ」もぐもぐ

律「あはは、あれ面白かったよなー」もぐもぐ

唯「うん、憂と一緒に笑い転げてた……
  あ、ちょっとごめん」
ヴーッ ヴーッ

紬「……」

唯「メール……」カパッ

律「……」

唯「! ……」カチカチ

律「……」

唯「……ちょっと憂に呼ばれたから、
  行ってくるね」

律「……おう」

411: 2010/03/11(木) 14:02:10.19
唯に届いたメールの送り主は梓だった。
『話したいことがあるので、
 体育館裏まで来て欲しい』という内容だった。
澪のことも紬のことも信じきってはいない唯にとって、
この件について梓と話せることは好都合だった。
今までとはまた違った視点からの意見を
取り入れることができるからだ。
それでまた混乱してしまうことになるかもしれないが、
何も分からないままで立ち止まっているよりはマシだ。
唯は体育館裏へと向かった。

律は唯に届いたメールの内容が、
だいたい想像できていた。
今朝、律も梓からのメールを
受け取っていたからだ。
しかし律は時間がなかったため、
梓の呼び出しに応じることはできなかった。
律はそれを少し反省したが、
今こうして唯が呼び出されたことで、
自分の代わりに唯が行ってくれるならそれでいいか、
と考えた。

414: 2010/03/11(木) 14:10:17.38
体育館裏。

唯「あずにゃん」

梓「あ……唯先輩。
  いきなり呼び出してすみません」

唯「ううん、いいんだよ別に。
  で、話っていうのは……」

梓「ムギ先輩の水道水についてなんですけど」

唯「ああ……それが、どうしたの?」

梓「……唯先輩は、どう思います?」

唯「最初は……びっくりしたよ。
  いきなり私の前に水道水が置かれたんだもんね。
  すごくショックだった」

梓「……はい」

唯「でも次の日になったら、
  水道水は澪ちゃんの前に行って、
  ああこれはただの遊びなんだって分かったよ」

418: 2010/03/11(木) 14:20:07.02
梓「……」

唯「あずにゃんの番が飛ばされたのは、
  ムギちゃんが忘れてただけなんだって思った」

梓「……」

唯「でもそれは私の勘違いだったみたい。
  ムギちゃんはわざとあずにゃんを飛ばしたんだよ。
  あずにゃんを傷つけるために」

梓「それは誰かから聞いたことですか」

唯「ううん、でも今は、私はこうだって確信してる。
  実はあの翌日いろいろあってさ、
  全部澪ちゃんのせい、みたいな雰囲気になっちゃって」

梓「……」

唯「澪ちゃんは全部、ムギちゃんがハメたって主張してた。
  で、りっちゃんは完全にムギちゃんの味方になってる」

梓「……唯先輩は、どっちを信じるんです?」

422: 2010/03/11(木) 14:27:30.51
唯「……どっちも信じられないよ。
  何もはっきりしてないんだから」

梓「そうですか」

唯「澪ちゃんもムギちゃんも信じないけど、
  あずにゃんのことは信じるよ」

梓「え……」

唯「あずにゃんはこの件で、
  何一つ嘘っぽいことは言ってないもん」

梓「ありがとう……ございます」

唯「あずにゃん、安心して。
  すぐに真相を明らかにするから。
  こんな馬鹿みたいなこと、絶対やめさせてみせるから。
  またみんなで、楽しくバンドやろ」

梓「……はい」

その時、チャイムが鳴った。
唯と梓は、それぞれの教室に戻った。

438: 2010/03/11(木) 14:38:55.61
梓は今の唯の会話を反芻した。
唯の発言を言葉通りに受け取るとすれば、
澪の言っていたことは真実であるということになる。
ただし、「唯が紬の味方だ」という一点だけは違う。
これについては、澪のただの勘違いと考えていいだろう。
唯は本当は中立を保っており、
紬、澪のどちらにも味方はしていない。

しかしこれが罠で、最初から唯もみんなとグルだったら……
いや、それはないだろう。
水道水回しの初日、
梓は確かに唯のショックを受けた表情を見た。
あれは演技なんかじゃない、
唯は演技であんなつらそうな顔を出来る人ではない。
つまり唯は水道水回しのことを知らなかったのだ。
紬が唯を味方に取り込むつもりだったのなら、
事前に言っておくはずだろう。
唯をいたずらに傷つけてしまえば、
仲間になるものもならなくなってしまうからだ。

ともかく、唯が紬とグルであるという説は間違いで、
唯は中立を保っていると考えてもいいだろう。
いや、正確には完全な中立ではない。
唯は梓を信じる、と言った。
澪を信じる梓を信じたということは、
唯が澪の味方になったと同義だ。
あとは、律。

446: 2010/03/11(木) 14:50:20.43
唯と澪の話によれば、
律は紬の味方になっているらしい。
最初からグルだったのか、
それとも雰囲気に流されて味方についたのかは
まだ定かではないが、
もし後者だった場合、
律をこちらに引き入れれば
紬を糾弾する体勢は整う。
前者ならば今の3vs2のままで
律と紬を糾弾すればいい。
とにかく、律の真意を確認することが最優先だ。

放課後、梓は教室で
澪に唯との会話の成果を報告した。

澪「ふうん、それなら唯はこっちの味方についたも同然だな」

梓「そうですね」

澪「こっちが3人になったのは心強いな。
  形勢逆転ってとこか」

梓「はい」

澪「これで律をこっちに引き込んでで、
  ムギを問い詰めれば……」

梓「……」

449: 2010/03/11(木) 15:01:56.75
澪「どうした?」

梓「いや、今ふと思ったんですけど」

澪「なんだ」

梓「唯先輩は、完全にこっちの味方になった……
  と言ってもいいんでしょうかね」

澪「どういうこと?」

梓「確かにこっち側に傾いてくれてはいるでしょうけど、
  結局のところ唯先輩は誰の味方でもないんですよ。
  唯先輩はあくまで中立を保っていますから、
  こっちを信じてくれるだけで、
  紬先輩を糾弾するための仲間としては……」

澪「攻撃には役に立たないってことか」

梓「そうです。
  まあでもこっちが有利なのには変わりませんけど、
  過信するのも禁物ですよ」

澪「そうだな……」

452: 2010/03/11(木) 15:12:05.71
梓「あ、そういえば律先輩にも話を聞こうと思ったんですが」

澪「聞けなかったのか」

梓「はい、メールで呼び出しても無視されました」

澪「そうか……ううむ」

梓「わざわざ無視する理由なんて、
  ありますかね」

澪「理由があるとすれば……
  ムギとグルだから……?」

梓「……まあ決めつけちゃうのもあれですけど」

澪「でもこれ以外には考えられないだろう」

梓「それはそうですけどね」

澪「とにかく、律がどうなのかが問題だ。
  ムギと初めからグルだったのか、
  ただ味方についてるだけなのか……
  どうやって確かめればいいだろう」

梓「……唯先輩に頼みましょう」

453: 2010/03/11(木) 15:18:34.38
音楽室。
唯、律、紬はすでに集まっていた。

律「……澪のやつ、今日来るかな」

唯「さあ……」

紬「……」

唯「……!」
ヴーッ ヴーッ

紬「……」

唯「……」カパッ

律「♪~」

唯「…………
  ……りっちゃん、ちょっと」

律「ん、なんだ?」

唯「ちょっと、来て」

律「お……おう」

454: 2010/03/11(木) 15:27:51.16
唯に届いたメールは言うまでもなく梓からのものだった。
『この件について、律先輩から考えを聞き出してください』
という内容であった。
唯はこの依頼を受け入れた。
律の考えは唯自身も知りたかったからだ。
そして唯は音楽室から律を連れ出した。

唯「……」

律「どしたんだよ、いきなり」

唯「最近の軽音部についてなんだけど」

律「なんだ、やっぱそれか」

唯「うん……水道水回しから始まって、
  みんな喧嘩になっちゃって……
  りっちゃんはどう思う?」

律「どう思う、っつったってなあ。
  そりゃあみんなが仲直りするに越したことはないけど、
  そのためには澪とムギの言い分の
  どっちが正しいのかをはっきりさせなきゃなあ」

唯「……」

457: 2010/03/11(木) 15:38:13.90
律「難しいよなあ」

唯「……りっちゃんは、どっちが正しいと思う?」

律「うーん……澪のことは信じたいけど。
  どっちなんだろうなあ」

唯「昨日はムギちゃんの方に付いてなかった?」

律「あれはムギが泣き出したからだよ」

唯「あ……そう」

唯はいける、と思った。
おそらく律も、自分と同じく中立だ。
紬とグルだとか仲間だとかいう説は、
きっと澪の思い込みだったのだろう。
いや、もう律の考えなど関係ない。
中立であると分かった以上、
どうにかして律をこっちに引き込まねばならない。
そうすれば紬に対して4vs1の状況を作ることができ、
紬も何か行動を起こさざるを得なくなるだろう。
多少強引だが、紬の真意を確認するためには
これくらいしないと埒があかない。

460: 2010/03/11(木) 15:45:22.84
唯「実はお昼にさ、あずにゃんに呼び出されて」

律「ああ、やっぱあれはそうだったのか」

唯「気付いてたの?」

律「うん、実は今朝、梓にメールで呼び出されたんだ。
  気付いたのが始業直前だったから、
  無視する形になっちゃったけど」

唯「そうなんだ」

律「……梓は、イジメられてた、んだよな」

唯「うん」

律「それをやったのは、ムギか、澪」

唯「……うん」

律「絶対許さない……
  可愛い後輩を、ヒドイ目にあわせやがって……!」

唯「!……
  りっちゃん、協力して犯人を突き止めよう」

律「おう!」

468: 2010/03/11(木) 15:55:22.18
唯は安心した。
律をこちら側に引き込むことができたからだ。
しかし同時に問題が発生した。
こちらには、澪がいるのだ。
律はまだ澪を疑う立場にいる。
唯の味方に澪がいると分かれば、
唯も梓も澪とグルだったと見なされてしまうだろう。
こうなってしまっては意味がない。
今までやってきたことが水の泡になり、
さらに疑いが生まれ、部内での対立は深まるだろう。
とりあえず澪がこっちの仲間であることは秘密にしよう、
と唯は思った。

律は奮起した。
後輩を、梓をいじめた犯人を突き止めるために。
犯人は間違いなく澪か紬だ。
しかしどちらを信じきることも、
心の底から疑ってかかることもできなかった。
一人でははどうしようもできなかったが、
今、唯が自分の味方になってくれた。
唯と一緒に犯人を突き止められるかは分からないが、
少なくとも一人きりで悩むよりはいくらか心強い。
それに、おそらく梓もこちら側の味方についてくれている。
3vs1vs1の構図だ。
澪も紬も孤立している。
もう放っておいても、どちらかがそのうちボロを出すかも知れない。

472: 2010/03/11(木) 16:06:01.01
教室。

ピ口リ口リンリ口リン
梓「あ、唯先輩からメールが来ました」

澪「なんて書いてある?」

梓「『りっちゃんは中立のようです。
  特にムギちゃんに肩入れしているわけではないと思われます』
  ……だそうですよ」

澪「ようです、とか思われます、とか、心もとないな」

梓「仕方ないですよ、
  他人の心情は、発言や表情からは
  完全に読み取れるものではありません。
  ……あ、まだ続きがあります」

澪「何?」

梓「『りっちゃんは澪ちゃんのことも疑っています。
   澪ちゃんがこっち側だと分かれば、
   私達はみんなグルだと思われてしまいます。
   だからあずにゃんだけ、音楽室に来て。
   勝負を決めよう』」

澪「勝負って……」

476: 2010/03/11(木) 16:11:37.44
梓「一気に仕掛けるつもりですかね」

澪「性急すぎやしないか?
  もっと慎重に行動した方が……」

梓「……いえ、問題はないでしょう。
  ムギ先輩以外の4人の考えはもうハッキリしています。
  あとは、ムギ先輩だけですから」

澪「で、でも」

梓「唯先輩にも何か考えがあるんだと思います」

澪「……唯を信じるのか」

梓「唯先輩は私を信じると言ってくれました」

澪「そ、そうか……」

梓「……今は澪先輩のことも信じてますから。
  じゃあ、行ってきます」

澪「……うん」

481: 2010/03/11(木) 16:17:52.55
音楽室前階段の踊り場。

唯「あ、来た」

梓「どうも」

律「よう、今朝はゴメンな」

梓「ああいえ、別にいいです」

唯「じゃあ、行くよ。
  音楽室にムギちゃんいるから、
  3人で一気に問い詰める」

梓「はい……」

律「うまくいくか……?
  昨日みたいに泣き出されたりしたら」

唯「その時はその時……
  失敗しても、ムギちゃんに
  味方はもういないんだから」

律「そのうちボロを出す、か」

唯「そう」

484: 2010/03/11(木) 16:22:26.91
律「澪はどうするんだ?」

唯「……澪ちゃんはまた明日にでも。
  今日はとりあえず、ムギちゃんに」

律「そうだな」

梓「……」

短期決戦に打ってでたのは、
澪が仲間だと律にバレないようにするためだったのか、
と梓は悟った。
このままの状態を長く続けても、
すぐに澪のことがバレてしまっただろうから、
唯にしては賢明な判断だった。

唯「じゃあ、心の準備はいいね。
  いくよ」

律「おう」

梓「はい!」

3人は階段を上がり、
音楽室の扉を開けた。

489: 2010/03/11(木) 16:29:02.91
ガチャ
唯「……」

律「……」

梓「……」

紬「どうしたの? みんな」

唯「正直に言って……
  あずにゃんをイジメたのは、
  ムギちゃんが一人でやったことなんでしょ?」

紬「な、何を……」

唯「その罪を全部澪ちゃんに被せようとしたんでしょ」

紬「ち、違うわ!
  唯ちゃんまでそんなことを言うの?
  あれは澪ちゃんに言われてやったことで……!」

唯「もう誰もムギちゃんの味方はしないよ!」

紬「!!」

494: 2010/03/11(木) 16:34:53.77
唯「ね、りっちゃん」

律「お、おう」

唯「あずにゃんも」

梓「はい」

紬「…………」

唯「もちろん、ムギちゃんの言い分が本当なら、
  ムギちゃんの味方はするよ。
  でも、何もはっきりしない状態で、
  感情に流されての味方はしないから」

紬「……私のいうことが嘘だと、
  どうやって証明できるのかしら?」

唯「それはできないけど……
  とにかく、本当のことを言って」

紬「言ってるでしょう、さっっきからずっと。
  あなたたちがそれを嘘だと決めつけているだけだわ。
  証拠もなく人を疑っているだけよ。
  そんなことをして、恥ずかしくないのかしら」

唯「っ……」

502: 2010/03/11(木) 16:40:03.23
梓「この物言い……どう考えても
  ムギ先輩が犯人じゃないですか……」

律「そうだぞムギ……」

唯「……」

紬「……はあ、もういいわ」

唯「?」

紬「そうよ、私よ。
  全部私がやったのよ」

梓「なっ……」

律「おいムギ、本当か?」

唯「ムギちゃん……」

紬「そうよ。私がやったの」

律「な、なんで……」

510: 2010/03/11(木) 16:47:41.34
紬「あら、今度はあっさりと信じてくれるのね。
  さっきはあんなに疑っていたのに」

唯「……信じきったわけじゃないよ。
  とにかく、何でこんなことしたのか話して」

紬「試してみたかったの、みんなを」

梓「試す?」

紬「みんなの仲が乱されて、どうなるか。
  全員が疑心暗鬼に陥って、
  誰も信じることができない状態になって」

唯「……」

紬「その中で、私の味方でいてくれる人はいるのかな、って思って」

律「お前、そんなしょうもないことのために……」

紬「しょうもない?
  自分の味方を、本当の友達を探すことが?」

律「それが見つかりさえすれば、
  他の友達はどうでもいいってことかよ」

紬「友達なんてそんなものよ」

517: 2010/03/11(木) 16:54:39.59
唯「……そんなことしなくても、
  私達とムギちゃんは友達だよ……」

紬「そうかしら」

唯「そうだよ……」

紬「じゃあなぜ私の味方をしてくれなかったの?」

律「それとこれとは話が別だろ」

紬「いいえ、同じよ。
  友達なら友達を最後まで擁護すべきだわ」

唯「……ムギちゃんとは友達だけど、
  澪ちゃんとも同じくらいに友達だから」

紬「だから私だけをかばうわけにはいかなかったって?」

唯「そうだよ」

紬「ふん……だからそんな友達はいらないと言っているのよ。
  他人と他人を天秤にかけて比べるような友達は」

唯「比べるだなんて……!」

528: 2010/03/11(木) 16:59:37.78
紬「もういい、もういいわ。
  結局私に味方してくれる人は誰もいなかった。
  それが結論よ」

律「そうかよ」

唯「それなら澪ちゃんやあずにゃんに謝ってよ」

紬「謝る? なんでそんなことしなきゃいけないの」

律「おいムギ、お前いい加減に……あれっ」

梓「ん……なんですこれ……」

唯「頭が、くらくらする……」

律「おいムギ、これ……!!」

唯「ムギ、ちゃ……」

紬「7日間楽しかったわ。ありがとう」

唯「…………」

540: 2010/03/11(木) 17:07:24.11
紬は不安だった。
自分がこの軽音部で必要とされているのか。
この軽音部に存在してもいいのか。
他の部員たちは、自分のことをどう思っているのか。

部員たちは自分を好いてくれている。
それは理解しているのだ。
しかし、それは「紬自身」を好きなわけではない。
紬がお茶菓子を出してくれるから、
紬が別荘を使わせてくれるから、
紬が楽器店で割引してくれるから、
そういった理由で紬を好いているのだ。
もし自分が金持ちではなく、
菓子も別荘も用意できなくなっても、
部員たちは今と同じように
自分に接してくれるだろうか。
琴吹紬という人間そのものを
好きになってくれるのだろうか。
そんなことを何度も考えて、
不安で枕を濡らす夜もあった。

そこで紬は確かめてみることにした。
軽音部の中に、
本当に自分のことを好きでいてくれる人がいるのかどうか。

555: 2010/03/11(木) 17:17:30.89
それが水道水回しだった。
紅茶の代わりに水道水を出すという
意味の分からない行動は、
軽音部の部員たちを動揺させるのに効果的だったと思う。
特に害はない、誰も損しないことなのだが、
「意図不明で不気味」というだけで
人の精神を揺さぶることが出来るものだ。

そしてそれは実は梓への攻撃であり、
それを受けた梓は大きなショックを受けた。
梓に対するイジメだと見破ったのは澪だけだったが、
それで充分だ。
ひとつの意見で全体が支配されては
不和を起こす意味がなくなってしまうから。

さらにその罪を澪になすりつけ、
他の部員たちの信頼関係にヒビを入れた。
だがそれはうまくいかなかった。
もっとパニックになるかと思ったのに、
唯も律も予想以上に冷静だったからだ。
ここは完全に読み違いだった。

結局、唯たちは結託し、
自分が犯人であると断定してしまった。
誰も自分の味方をしてくれなかった。
誰も。
誰も。

569: 2010/03/11(木) 17:28:00.13
紬は確信した。
自分は人として好かれているわけではないのだ、と。
お茶や別荘を用意するだけの
ロボットにしかすぎなかったのだ、と。

しかし悲しくはなかった。
自分が好かれていない、というのは
現時点の結果でしかないのだ。
好かれていないならば、
好かれればいいだけのこと。
これから、未来に向かって、
本当の友達としての信頼関係を
築きあげていけばいいのである。

自分のことを本当に好きでいてくれる友達。
それは不和の中で生まれる。
誰も信用できない状況下でこそ、
心の底から信頼しあえる人間関係を
作ることが出来るのだ。

自分を信じて、
自分を裏切らない、
自分の味方でいてくれる、
そんな関係が生まれるまでは、
何度でも。
やり直せばいい。

572: 2010/03/11(木) 17:30:56.51
唯「ん……あれ」

律「……あ、澪」

澪「あれ、ここ音楽室……?」

梓「……私、何をしてたんでしたっけ」

紬「みんな、お茶にしましょう」

唯「あ、うん、そうだね」

律「お菓子お菓子~♪」

澪「お菓子食べたら、すぐ練習だからなっ」

紬「はい、どうぞ。紅茶よ」

梓「ありがとうございます」

紬「唯ちゃんは水道水でいいわよね」

唯「えっ?」


       お      わ          り


575: 2010/03/11(木) 17:31:39.29
これでおしまい

疲れた
さようなら

576: 2010/03/11(木) 17:31:47.20
無限ループかwww
乙、面白かった

577: 2010/03/11(木) 17:31:57.37
まさかのループwww

584: 2010/03/11(木) 17:33:58.58
おまけ

紬「唯ちゃんは水道水でいいわよね」

唯「えっ、何いきなり」

澪「何やってんだ、ムギ」

紬「唯ちゃんにはその方が良いかなって」

律「おいおい、冗談にしちゃ笑えないぞ」

梓「そうですよ、
  バカなことしないでください」

唯「水道水なんて飲みたくないよ、
  まったくもう」

澪「ムギ、悪ふざけも大概にしとけよ」

律「そうだぞ」

紬「………………」

618: 2010/03/11(木) 18:28:08.61
一応補足しておくと時間がループしたんじゃなくて
紬以外の4人が記憶を失ったみたいな感じで

引用元: 紬「唯ちゃんは水道水でいいわよね」