1: 2012/09/23(日) 21:08:28.01
側 近「人間が造った言葉だそうですが、色恋沙汰に消極的で子をもうける意志も無く、
    万事に意欲を持たぬ男子を『草食系』と呼ぶそうで」

魔 王「その草食系魔族の増加が、我が僕の質の低下を招いているというのか」

側 近「左様でございます」

魔 王「ふむ……」

側 近「草食系化は性欲以外にも、戦闘意欲の減退や精神的弱体化といった症状も
    見られ、早期の対策が望ましいかと」

魔 王「しかし、何故そのような者共が増え始めた?」

側 近「長きに渡る平穏と経済の安定からくる文化及び生活習慣、そして社会構造などの変化が
    一つ。それと……何と言いますか」

魔 王「ん? 申してみよ」

側 近「昨今のサキュバス一族の存在も、一因に挙げられるとの報告もあります」

2: 2012/09/23(日) 21:11:06.93
魔 王「何だ、そ奴らは」

側 近「女だけの種族でして、希少な古種族の一つに数えられております」

魔 王「希少な古種族……だと……!? ゴホン、それで」

側 近「戦時中は諜報部隊として活動をしておりましたが、平和が訪れてからは専ら……」

魔 王「? はっきり申せ」

側 近「その……」

メイド長「若様、お茶にございます」

魔 王「ちょうど良いメイド長、お前はサキュバスを知っておるか」

メイド長「ええ、多少は存じておりますが」

魔 王「そ奴らは近頃、何か問題でも起こしておるのか?」

メイド長「問題……ああ、ずいぶん骨抜きになってる人達が多いようで……」

側 近「め、メイド長、こっちへ」

メイド長「なんです?」

3: 2012/09/23(日) 21:12:56.41
側 近「お前は今の役に就いて日が浅いゆえ、知らぬだろうが……若はな、魔族とは思えぬ程
    純朴な方なのだ」

メイド長「? どういうことですか」

側 近「まだお若いゆえ、その手の性的な方面についてはまるで知識も経験も無い。概念も知らず、
    子が出来るのも魔力を相手に注入して宿すものだと信じておられる」

メイド長「……はぁ」

側 近「先代様も純粋な方であったが、若ほどの歳にサキュバスを知ってからというもの、女に溺れ、性格と
    素行が一変してしまった。後の結果は知ってのとおり」

メイド長「横暴が過ぎてクーデター起きましたからね……」

側 近「先代様を凌ぐ程の力を持つ若が、サキュバスと接触し道を誤れば……わかるな?若の性教育には
    極めて慎重を期さねばならぬ」

メイド長「り、了解です……」

魔 王「何をこそこそ話している?」

メイド長「も、申し訳ありません若様、そのサキュバスらは少し精神年齢が幼い者達で」

魔 王「幼い?」

メイド長「とにかく遊び好きでして、相手の精根尽き果てるまで満足しないのでございます。その
    影響で、草食系が増えているのやも」

5: 2012/09/23(日) 21:19:37.48
魔 王「遊び好きなのか……」

側 近「その対策でありますが、私が彼女らに話を……」

魔 王「ならば我自ら長に会い、話を付ける」

側 近「わ、若御自ら!? そ、それはなりませ」

魔 王「そうと決まればすぐに使いを出せ、日取りを決めようではないか」

メイド長「……そ、側近殿」

側 近「若は大の珍種族好きだ、こうなったら引かんぞ……まずいことになった……」

魔 王「貴重な古種族か……楽しみだな」


<サキュバスの城>
メイド長「……と、いうわけです」

サキュ姫 「で、私達にどうしろと?」

側 近「うまく誤魔化して欲しい。今は若が第一だ」

サキュ姫 「真面目でお堅い方とは聞いてましたけどねぇ」

側 近「くらだぬと思うだろうがな。前例のあることだ」

サキュ姫 「まー、了解です。他の者にも申し付けておきます」

6: 2012/09/23(日) 21:24:27.02
側 近「うむ」

サキュ姫 「でも一つ、心配事があるんですけど」

側 近「何だ?」

サキュ姫 「陛下って正直、相当な力の持ち主ですよねぇ」

側 近「歴代と比べても、抜きん出ておられる」

サキュ姫 「強い魔力って、サキュバスの本能を刺激するんです。あのレベルになると、自分を
    コントロール出来ないコとか出てくるかも」

側 近「……なんと?」

メイド長「要するに、若に対する性的欲求を抑えられなくなる、ということですか」

サキュ姫 「そんなトコかなぁ」

側 近「それはいかんぞ! 若を誘惑などということは」

サキュ姫 「人払いはしますけどね。話は手短に済ませて頂いた方が良いかと?」

側 近「……わかった。当日はなるべくすぐに終わらせよう」

7: 2012/09/23(日) 21:28:57.13
<当 日>
魔 王「ここか……立派な居城だな」

メイド長「長い歴史を持つ古種族ですから、それなりの地位を持っているようです」

側 近「迎えが参ったようですな」

サキュ姫 「我が城にお越し頂き、光栄の極みに存じます」

魔 王「お前がサキュバスの姫か?」

サキュ姫 「は」

魔 王「外見は人族とあまり変わらぬのか……ほうほうほう」ジロジロ

サキュ姫 「…… では、中へどうぞ」


<城 内>
サキュ姫 「陛下、本日はどのような御用向きでありましょう」

魔 王「我自らこうして出向いたのは、大事な話があるからだ」

サキュ姫 「はい。どのような……」

魔 王「単刀直入に言う」

側 近(何事もなく終わりそうだな。色々いらぬ心配をし過ぎたか?)

メイド長(だといいんですが)

8: 2012/09/23(日) 21:33:59.17
魔 王「……と思ったが、せっかく来たのだ。少しそなたらのことが知りたい」

側 近「!?」

魔 王「姫、今この城には、そなたの他にもサキュバスがいるのだろう」

サキュ姫 「おりますが……」

魔 王「一人二人で良い、この広間に呼べ。見てみたい」

側 近「!!」

メイド長「!!」

側 近「わっ、若、そのようなお戯れを……」

魔 王「本物を見られる貴重な機会だ。頼むぞ」



サキュ姫 「……いかがでしょう? 魔王様」

サキュ1 「……」

サキュ2 「……」

魔 王「翼があり、髪や瞳の色はバラバラと……ふむふむ」カキカキ

側 近「何ということだ、事細かにスケッチを始められた」

9: 2012/09/23(日) 21:38:01.77
メイド長「み、見てください」

サキュ1 「……はぁっ、はぁ……」

サキュ2 「ん……ふぅぅ」

メイド長「彼女達、必氏に衝動を抑えているようです」

側 近「がんばれ……! 何とか持ちこたえろ……!」

魔 王「よし出来た! また一つ珍種族コレクションが潤ってしまったな」

サキュ姫 「では……下がってよろしい」

側 近(よしっ!)

二 人「は、はい……」バタッ

魔 王「どうした? いきなり倒れたが」

サキュ姫 「いえ、大したことは……」

メイド長「必氏に耐えすぎて失神したようです」

10: 2012/09/23(日) 21:39:30.01
側 近「……さっきから気になっていたが、姫は平気なのか?」

メイド長「魔法を使っているようです。さすがは一族の長……」

???「姉さん? 姉さんいるの?」

魔 王「ん?」

側 近「な、何だ? 誰か来たぞ!?」

メイド長「あれは……」

サキュ妹 「姉様久しぶり! 来ちゃった」

サキュ姫 「……ご、ご紹介いたします、我が妹にございます」

側 近「妹だと!? ききき聞いとらんぞ!?」

メイド長「……今ヤバッて顔しましたよ、姫」

魔 王「妹か。似てるな」

サキュ妹 「ってちょっと、誰? そこ姉さんの場所じゃない」

サキュ姫 「控えなさい。魔王陛下よ」

サキュ妹 「魔王? ホント……に……」ドクン

魔 王「何だ、どうした」

11: 2012/09/23(日) 21:41:25.20
サキュ妹 「……ハァッ」バッ!

側 近「わ、若!」

魔 王「……」キラーン

サキュ妹 「きゃぁっ!」ドンッ!

魔 王「……これは何の真似だ」ギ口リ

サキュ姫 「こ、これは……」

サキュ妹 「かはっ……!」

魔 王「真実を申せ。返答次第では貴様ら、只では済まさん」



魔 王「……なるほど、あれもサキュバスの特徴なのか」

サキュ姫 「はっ、強き魔力にあてられると、稀に暴走を起こしてしまうのです」

魔 王「そうか。ならば仕方ないなうむうむ」

メイド長(何か納得しちゃいましたね)

側 近(本来ならばその場で殺されてもおかしくない狼藉だが……)

サキュ姫 「謝りなさい、妹」

13: 2012/09/23(日) 21:47:13.14
サキュ妹「うー……何がなんだかわかんないけど、悪かったわよ」

サキュ姫「妹」

サキュ妹「ご、ごめんなさい!……これでいいでしょ」

魔 王「気にするな、むしろ珍しいものが見られて良かったウフフ」

側 近「機嫌がよくなってしまった」

魔 王「さて本題に入るが……姫よ、そなたら一族は我が僕に……特に魔王軍の精鋭相手に、色々と
    手を出しているらしいな」

サキュ姫「は……」

魔 王「その影響で、何事にも消極的な『草食系魔物』が増えているそうではないか。お前達の
    性質を否定する気は無いが、魔王軍にも影響が出ているのも確かだ」

サキュ妹「ちょっと待ってください、私達はきちんと法に乗っ取って営業を……」

サキュ姉「妹」

メイド長(え、営業とか言い出しましたよ!?)

側 近(まずいぞ)

14: 2012/09/23(日) 21:50:07.17
魔 王「営業といったが、それはどういうことだ?」

サキュ妹「営業って言うか、生きる糧かな」

魔 王「糧だと?」

サキュ妹「そうやって、今まで生きてきたんです。他人からすれば戯れかもしれませんが」

魔 王「ふむ」

側 近(な、何故かはわからんが、話が集束に向かいそうだ)

メイド長(このまま終われればいいんですけどね)

魔 王「まあいい。とにかく、いき過ぎれば悪影響を及ぼすこともある。今後は自制せよ」

サキュ妹「むー……」

サキュ姫「わかりました。妹」

サキュ妹「……わかりました」

魔 王「話は以上だ。……ところで二人、近う。耳を貸せ」

16: 2012/09/23(日) 21:53:47.06
姉 妹「?」

側 近「?何の話だ?」

メイド長「さぁ……」

魔 王「……お前ら、俺と歳が近いってマジ?」

サキュ姫「!? は、はい、その通りでございますが」

魔 王「じゃあ今度、城に遊び来いよ。同じくらいの歳の奴がいなくてさ、退屈してんだ」

サキュ妹「ふぇっ!? あ、遊びにって」

サキュ姫「しっ、しかし、よろしいので……」

魔 王「堅いこと言うなって。あ、もちろんあいつらには内緒だぜ?」ニコッ

姉 妹「は、はいっ///」

側 近「話が終わったようだな」

メイド長「そうみたいですね。ていうか……」

サキュ妹「……」

サキュ姫「……妹」

17: 2012/09/23(日) 21:59:57.38
サキュ妹「何よ」

サキュ姫「あんたもしかして、陛下に……」

サキュ妹「べっ、別になんでもないわよ!」

サキュ姫「じゃあ何その顔」

サキュ妹「き、興味ないしあんな奴! ていうか姉さんだって」

メイド長「……側近殿」

側 近「なんだ? どうした」

メイド長「女のカンなのですが、あの子達……」

サキュ妹「ったく!」

魔 王「ん?」

姉 妹「///」

メイド長「陛下に惚れてしまったかも……」

側 近「……       わ、若、そろそろ参りましょうぞ」

魔 王「そうだな……邪魔をした」

19: 2012/09/23(日) 22:01:52.24
サキュ姫「では、お送りいたします」

サキュ妹「じゃあ、わ、私も」

側 近「いやいや見送りは不要だ! ここでよい!」

メイド長「さあ若様、帰りましょ帰りましょ」

魔 王「? 見送りくらい良いではないか」

側 近「い、いえいえさあさあ帰りましょうか」



<その後:魔王城>

側 近「あれからサキュバス達も、少しは自制しているようだな。よかったよかった」

将 軍「ああ側近殿、魔王親衛隊員募集の件でお話が」

側 近「む? そういえば選抜が始まっていたな。候補者が決まったのか?」

将 軍「ええ、陛下に最終面接をしていただきたく……」

側 近「ちなみに、どれほど残った?」

20: 2012/09/23(日) 22:03:42.44
将 軍「3名の女が残りました。そこの窓から中庭をご覧ください、ちょうど説明を受けている所です」

側 近「ふむ、どれど……            女?」

将 軍「女だてらに、かなりの実力者です。我が軍にも、あれほどの使い手はおりません」

側 近「ちょっと待て、お主今……女と申したか?」

将 軍「? ええ、候補者3名、全員女です」

側 近「……」ズーン

将 軍「ど、どうしました?」

側 近「親衛隊といえば若に四六時中付き従い、護衛するのが任務……」

将 軍「そうです。そして女の親衛隊員は、求められればいつ何時でも、若に御奉仕を……」

側 近「それで何故女を候補者に残したのだ!? あれほど男にしろと言ったのに!」

将 軍「そ、そう言われましても、実力第一という陛下の意向で」

21: 2012/09/23(日) 22:08:44.36

側 近「実力はこの際関係ないわ! 若の性教育すなわち魔界の将来がかかっているのだぞ!」

将 軍「それが、あの3名を無下に切れぬ事情がありまして」

側 近「事情だと?」

将 軍「……側近殿であればおわかりになるかと思いますが、御自分の目でお確かめください」

側 近「何だ? 何が……  !? あっ、あの方々は!?」

将 軍「覚えておられましたか」

側 近「なっ、何ということだ! まさか、あの3名が……」

将 軍「というわけで、今は予定通り親衛隊の選抜を行うしかないのです」

側 近「ぬうぅ……」

23: 2012/09/23(日) 22:16:56.78
<中庭>

審査員「最終試験は魔王陛下による面談となる。日取りが決まるまで、城に滞在される
    が良いだろう。何か質問は……」

竜人娘「はい。親衛隊の任務の一つに『御奉仕』とありますが、これは一体どういった
    ものでしょうか?」

獣人娘「もしもの時は体張ってお守りするとか、そういう感じじゃないの?」

竜人娘「そんなことは至極当然のことじゃないか」

吸血娘「……苦労させられそう」

竜人娘「吸血娘、君はわかるっていうのか?」

吸血娘「知らないのなら教えてあげる。ご奉仕というものは……(略)」

獣人娘「ちょちょちょっと待って!? えっ、あたしそんなことしなきゃいけないの!?」

吸血娘「当然」

審査員「い、今のはいき過ぎた表現だが……まあ、そのようなことだ」

獣人娘「……すいません、今から辞退って」

審査員「かまわんよ。一族の名に泥を塗る覚悟があるのなら」

獣人娘「うぐふぅ……」

24: 2012/09/23(日) 22:21:32.14
吸血娘「今の反応からすると、内容を理解するくらいの知識はあるのね。成長したじゃない」

獣人娘「こんな時にセクハラやめて……」

竜人娘「よくわからないが、僕は覚悟が出来ている。問題ない」

吸血娘「相変わらず……」

竜人娘「なっ、何がだ?」

審査員「ちなみにだが、安心したまえ。現陛下には御奉仕の必要がないと思われる」

吸血娘「つまり、陛下は知識や免疫が無い、と」

審査員「……その件については答えられない」

竜人娘「知識や経験がないなら、僕達が教えて差し上げればいいということだろう」

獣人娘「竜ちゃんそれ、どういうことかわかってる?」

竜人娘「どういうことだ」

獣人娘「つまり……  よろしく」

25: 2012/09/23(日) 22:23:39.14
吸血娘「あなたにもわかるように言うと……」

(説 明 中)

竜人娘「そっ、そっ、そんなことできるかっ!!」

吸血娘「私達の意志は関係ない。魔王陛下に身も心も尽くすのが我々の使命」

竜人娘「本当なのか今の話はっ!?」

審査員「まぁ、間違ってはいないが言っただろう? 陛下に御奉仕の必要はないと」

吸血娘「でもあなたは、知識や経験が無いなら、私達が教えてあげればいいって言った」

竜人娘「そっ、そんなものは……」

吸血娘「嘘をつくの? 親衛隊員になろうという者が?」

竜人娘「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ」

獣人娘「あの……どうでもいいけど、あたし巻き込まないでね」

竜人娘「親衛隊になる以上は、僕達は運命共同体だ!」

吸血娘「当たり前」

獣人娘「うぐふぅ……」

審査員「お前ら……」

28: 2012/09/23(日) 22:26:35.33
<最終試験当日:魔王の間>

将 軍「……最終試験は、陛下直々に面談をなさる。くれぐれも無礼の無いように」

3 人「はい」

将 軍「では、私はこれで」

魔 王「うむ。では3名……」


<別 室>

将 軍「始まりました」

側 近「そうか」

メイド長「お二人ともこんな所に息を潜めて、どうしたんです?」

側 近「親衛隊員の最終候補者の件は聞いているな」

メイド長「はい、全員女だとか……えっ、その他にまた問題が?」

将 軍「側近殿」

側 近「メイド長には話してもよかろう。筆頭種族の存在は知っておるか?」

メイド長「獣人族に竜人族、吸血族のことですよね」

29: 2012/09/23(日) 22:31:21.21
側 近「そう、かつて三つ巴で争った歴史があり、今も微妙な関係の上にあるのだが……
    今回残った候補者3名というのが、その三種族の王女なのだ」

メイド長「えっ……  えぇぇぇ!?」

側 近「以前それぞれの自治領に赴いた際、私もお目にかかったことがある。間違いない……!」

メイド長「はぁ、まためんどくさいことに」

将 軍「貴族の子女が主の侍女を務めるのはよく聞く話だが、親衛隊とは……」

メイド長「若って基本、身の回りに侍女付けないですよ」

将 軍「そうなのか?」

メイド長「ええ、魔王が身の回りの世話をされてたら、威厳がどうのこうのって。だから私達、あまり
    若と接する機会はないです」

側 近「なるほど、だからこそ魔王の傍に立つ親衛隊、というわけか。……妃の座に近い場所だ」

メイド長「やっぱり、そういう話ですかねぇ」

将 軍「一体どうしたものか……仮に若があの3名のうち誰かを見初めたとなれば、我らはそれに従うしか」

メイド長「表立っては止められないですよねぇ」

30: 2012/09/23(日) 22:34:07.90

側 近「まだそうなると決まったわけではなかろう。若にはそれなりの歳にそれなりの分別が付いてから、
    それなりに波風が立たぬような相手を見つけて頂くよう仕向ければ良い」

メイド長「……側近殿、結構なこと言いますね」

将 軍「と、とにかく、我々はそのように事が運ぶよう、尽力するしかないと」

側 近「うむ……それしか……」  バタン

魔 王「終わったぞ」

メイド長「ひゃぁっ!?」

将 軍「わっ、若!?」

側 近「もっ、もう面談を終えられたのですか!?」

魔 王「うむ」

側 近「お、お早いことで……して、その結果は」

魔 王「合格だ。3名ともな……」

将 軍「そっ、そうですか」

31: 2012/09/23(日) 22:36:13.57
魔 王「あぁ……」

メイド長「? 浮かない顔ですね、若」

魔 王「そっ、そのようなことはない! 3名とも、有望な者達であった」

側 近「…… ちなみに、どんな面談をされたので?」

魔 王「そっ、それは……」


(回想:面談中)


魔 王「……」ズーン

吸血娘「魔王陛下はどんな御方かと思ったら……久しぶりね」

獣人娘「ここで幼馴染4人揃うとか……出来すぎじゃない?」

竜人娘「まさか、お前が魔王になっていたとはな」

33: 2012/09/23(日) 22:38:39.29
魔 王「はぁ……お前ら、一体ここに何しにきたんだ?」

竜人娘「栄光ある魔王親衛隊に入隊するためだ。お前達と再会したのは偶然にすぎない」

吸血娘「偶然、ね」

獣人娘「ねぇ、一つ気になったんだけど、聞いていい?」

魔 王「何だ?」

獣人娘「さっき中庭で説明受けてた時、側近さんが遠くから睨んでたんだけど……」

竜人娘「敵意むき出しのような視線だったな。あれは僕も気になっていた」

魔 王「あぁ……気にするなと言いたいところだが」

吸血娘「……」

魔 王「若い娘が親衛隊員になることで、俺が女に狂わないか心配してるらしい」

獣人娘「はぁ」

魔 王「あいつはどうやら、俺が何も知らない純粋な青少年とでも思っている節がある」

35: 2012/09/23(日) 22:40:13.48
吸血娘「実際はどうなの? 私達に興味はないの?」

魔 王「……何だと?」

吸血娘「魔王親衛隊を拝命する以上、当然御奉仕のことも聞いてるわ」

魔 王「そんなのは気にしなくていい。護衛さえ出来れば十分だ」

竜人娘「当然だな。親衛隊たるもの、それこそが使命」

獣人娘「さんせー」

吸血娘「そう……じゃあ、御奉仕担当は私ということで」

魔 王「えっ」

竜人娘「……ちょっ、ちょっと待て、たった今それは必要ないということに決まっただろう!」

吸血娘「必要はないけれど、するなとは言われてないし」

獣人娘「まぁ……いいんじゃない? そういうのは吸ちゃんに任せれば」

竜人娘「しっ、しかし!」

37: 2012/09/23(日) 22:43:13.68
吸血娘「彼にずっと片思いしてるからって、嫉妬は醜いわね竜人娘」

竜人娘「なな何を言い出すっ!!」

獣人娘「わかりやすいリアクションだねー……ちなみにそれっていつから?」

吸血娘「そうやって興味がないフリをしているけど獣人娘、その首飾りは確か彼に」

獣人娘「あーあーあーあー!!」

魔 王「…… とりあえず合格でいいから、もう帰れお前ら」


(回想終わり)


魔 王「あ、あれほどの実力者ならば、多く語る必要もないということだ」

側 近「はぁ」

魔 王「ところで、だ。叙任が済み次第、任務に就かせる予定であったが……しばらく国元へ帰す」

39: 2012/09/23(日) 22:47:46.98
将 軍「く、国へ?」

魔 王「3名とも有力諸侯の子女という立場ゆえ、各々支度があろう。時が来れば呼び寄せる」

将 軍「かしこまりました」

魔 王(なんだかんだ理由をつけて、奴らはしばらく放っておこう)

側 近「……将軍よ、彼女らの帰国はなるべく引き延ばすように」

将 軍「しょ、承知しました」

メイド長「それでは陛下、面談でお疲れでしょう。そろそろ食事の用意が整いましてございます」

魔 王「いつもより早いが」

メイド長「明日は、大魔王陛下との謁見でございます。出立も早いため、早めにお休みになられた方が」

魔 王「そうであったな……」

41: 2012/09/23(日) 22:50:31.95
メイド長「では……」ガチャッ

側 近「そうか、大魔王陛下との謁見か」

将 軍「……私の気のせいかもしれませんが、若の表情は浮かないようで」

側 近「緊張なされているのだろう。このような急の召喚など、通常では考えられんからな」

将 軍「何か、緊急の事態が起こったのでしょうか」

側 近「うむ……」


<翌 日>

魔 王「行ってくる。留守を頼むぞ」

側 近「お任せ下さい。……と陛下、一つよろしいでしょうか」

魔 王「何か」

側 近「供の者に、あまり見覚えの無い顔がいるのですが……」

サキュ姫 「……」

サキュ妹 「(ギクッ!)」

42: 2012/09/23(日) 22:57:16.00
魔 王「侍女だと聞いているが」

側 近「……」ギ口リ

サキュ姫「何でしょう?」

側 近「(気のせいか……)いや、何でもない。しっかりお仕えするように」

2 人「はっ」

魔 王「では、出発だ」


<道 中>

サキュ妹「ふぅ……なんとかごまかせたかぁ」

サキュ姫「あんだけ興味ないとか言って、本当に若の侍女になるとか」

サキュ妹「へっ、陛下に遊びに来いって言われたから、仕方なく……」

サキュ姫「カレに近づきたいからって、そこまでやるとか……マジすぎでしょ」

サキュ妹「私と同じことやってる姉様に言われたくないんですけど」

サキュ姫「ええ私はマジですけど何か? 近日中にカレをどうにかしようって思ってますけど
    何か異論でも」

44: 2012/09/23(日) 23:00:43.07
サキュ妹「……何でもないです」

魔 王(会話が馬車の中まで丸聞こえなんだが……)

サキュ妹「それより姉様、大魔王様が若を呼び出したって聞いたけど」

サキュ姫「けど?」

サキュ妹「これってやっぱ、ヤバい感じなんでしょ?」

サキュ姫「……」

サキュ妹「姉様?」

サキュ姫「……前に大魔王の護衛だって男堕とした時に、聞いたことあるんだけど」

サキュ妹「なっ、何?」

サキュ姫「魔王三柱が召喚される理由はただ1つ、魔界全体に関わる何かが起きた時だけ……
    そのくらいおっきな事なんだってさ」

魔 王「……」

サキュ妹「魔界全体って……サキュバスの情報網でも、今の所そんな話聞いてないんだけど」

サキュ姫「ま、私的に興味があるのは若一人だけだし、そのへんはどうでも……」 ドンッ!!

45: 2012/09/23(日) 23:02:23.41
護 衛「うおぁっ!!」ドサッ

サキュ妹 「きゃぁっ!?」

魔 王「! 何事だ!?」

護 衛「てっ、敵襲です! あっという間にやられ……ぐあっ!」 バタッ

サキュ妹 「きゃー! きゃー!」

サキュ姫 「魔王相手に襲撃……!?」

 賊 「……」

魔 王「きっ、貴様らは……!!」

47: 2012/09/23(日) 23:05:21.08
――― 大魔王城

若側近「……若魔王はまだ来られぬのか?」イライラ

兵士1「はっ、まだお姿は見えませんが」

若側近「大魔王陛下の呼び出しだというのに、よくも遅刻など出来るものだ。自覚が足らんのではないか?」

兵士1「実力、器量ともに申し分なしとの評判ですが……何かあったのでしょうか?」

若側近「私とすれば、このまま来られぬ方が好ましいのだがな」

兵士1「はぁ」

若側近「全く……」

兵士2「若側近様、若魔王陛下がお見えになられました。今ちょうど城門を……」

若側近「ようやくのご到着か。どれどれ……    !!」

兵士1「? 何だあれは……? おっ、女?」

兵士2「うらやましいというか、好きモノというか……ああいう方だったのか」

若側近「わっ、わっ、若魔王様を今すぐ連れて来いっ!!」

2 人 「しっ、承知しましたっ!」

48: 2012/09/23(日) 23:06:37.61
(中庭)

警備兵「し、しばらくお待ちを」

魔 王「……」ズズーン

サキュ姫 「……若」

魔 王「何だ」

サキュ妹 「か、顔色が悪いですけど」

魔 王「悪くもなるだろ……」

サキュ姫 「魔王キャラ忘れてますよ」

魔 王「今はどうでもいい……」

竜人娘「大魔王城、か。久方ぶりだな」

吸血娘「さて、と」

獣人娘「あんまり強そうじゃないよね、警備兵」

魔 王「お前らのせいで、俺の印象が危うくなっているんだが」

49: 2012/09/23(日) 23:07:59.34
吸血娘「侍女にサキュバスを付けるなんて、それは危うく思われても仕方ないわ」

サキュ姫 「ヴァンパイアを親衛隊に選ぶこと自体、正気の沙汰じゃないしねぇ」

吸血娘「……」

サキュ姫 「……」

魔 王「こいつらはどうにかならんのか?」

サキュ妹 「私達とヴァンパイア、商売敵みたいな所があるんです。特にあの二人、仲の悪さは
    尋常じゃないので」

魔 王「そんなの知るかよ……」

竜人娘「おい侍女、若はお疲れだ、水を持って来い。僕らの分もだ」

サキュ妹 「はぁ」

竜人娘「はぁ、じゃなくてさっさと行け。ったく」

サキュ妹 「……ていうか、しばらくここで待ってろって言ってたのに」

竜人娘「吸血娘の言った通りだな。サキュバスは使えないというのは本当だった」

50: 2012/09/23(日) 23:11:11.36
サキュ妹 「竜人族は脳筋揃いって本当だったんだねー」

竜 娘「……もう一度言ってみろこのバカ淫魔!!」

サキュ妹 「っさいわね脳筋男女!!」

魔 王「……獣人娘、お前らどうして国に帰らなかった? というかあれは何の真似だ」

獣人娘「吸ちゃんがさ、帰ったらしばらく呼ばれなくなるから、やめなさいって言って。そしたら
    若君が大魔王の所に行くって聞いて……ちょっと、強引に合流を……」

魔 王「護衛をぶっ倒すのはちょっとどころじゃないぞ」

獣人娘「まあ、いいじゃん。昔みたいな感じで、楽しくない?」

魔 王「昔、か……」

獣人娘「正直、みんな王女でしょ? 大きくなったら一緒に遊べなくなるって思ってたから、
    親衛隊に入って良かったと思うよ」

魔 王「良かったのか、悪かったのか」

獣人娘(若君とも会えたし……)

警備兵「お待たせしました。こちらへ……」

51: 2012/09/23(日) 23:15:19.16
(城内:客間)

兵 士「供の方々は別室で待機していただいております」

魔 王「うむ」

兵 士「では、こちらの部屋へ」 ガチャッ

魔 王「…… ! お前は」

若側近「遅い! 大魔王陛下の呼び出しに遅刻など、どういうつもりだ」

魔 王「大魔王の側近になったと噂は聞いてたが、本当だったんだな」

若側近「そっちこそ、南の魔王の後継者に選ばれたと知った時は驚いたぞ」

魔 王「まあ、なりゆきって奴だ」

若側近「それより驚いたのは、お前が連れてきた供の者だ。……あれについて説明を求める」

魔 王「それは……どうにもならん事情というのがあり……」

若側近「百歩、いや万歩譲ってサキュバスを愛人に置くのは許そう。しかし……あの3人はどういうことだ!?」

魔 王「それに関しては俺は被害者だ! 最終面接っていうから会ってみれば、あいつらがいたんだよ!」

53: 2012/09/23(日) 23:17:44.02
若側近「奴らも一応王女なんだぞ! 幼馴染5人が顔を合わせるという悲劇は、防がねばならん……
     側近としての俺の威厳に関わる!」

魔 王「いじめられてたからなぁお前……特に吸血娘に」

若側近「それにも増して問題なのが、だ……今回お前を呼び出した件にある」

魔 王「俺も気になってたんだ。大魔王陛下と直に会ったことはないが、何か問題でも起きたのか?」

若側近「直に会ったことがない? 鈍感もそこまでいくと罪悪と知れ」

魔 王「なんなんだ一体!? ってことは、俺は大魔王陛下に会ったことが」

若側近「……覚えているか? 憎き勇者が、この魔界へ乗り込んできたことを」

魔 王「ああ。ウチの先代は奴に殺されたからな」

若側近「その時、お前は現陛下と顔を合わせているのだ」

魔 王「今の陛下と?」

若側近「陛下は今でも、その時のことを覚えておられる。そして……」ガチャッ

兵 士「失礼いたします、陛下がお呼びですが」

55: 2012/09/23(日) 23:20:10.04
若側近「い、今若魔王殿をお連れする」

魔 王「……おい、途中で話を止めるなよ」

若側近「いくらお前でも、どういうことかわかるだろう。とにかく来い」


(別 室)


竜人娘「……」イライラ

吸血娘「落ち着きなさい竜人娘」

竜人娘「若をお守りするのが僕達の使命だ。それがなぜ、ここで待機しないといけない!?」

サキュ妹 「ホンット竜人族って短気ね。これじゃ若も苦労するわ」

獣人娘「ま、まあまあ……大人しく待ってればいいじゃん?」

吸血娘「大魔王陛下からの召喚なら、本来魔王三柱が呼ばれるはず。……匂うわね」

竜人娘「何がだ?」

吸血娘「陛下が、若一人を呼び出したということよ」

竜人娘「それが、どう問題……」

56: 2012/09/23(日) 23:21:20.49
サキュ姫 「妹ー、行くよ」

サキュ妹 「えっ? 行くってどこに」

サキュ姫 「大魔王の間。……さっき通りがかった男から聞き出したんだけど、そこにいるって
     いうから……ちょっと様子見に」

吸血娘「!」

サキュ妹 「様子見って……あっ、ちょっと、姉様待って!」 タタタ……

吸血娘「……二人とも、私達も行くわよ」

竜人娘「吸血娘? 何だ、どうしたんだ」

吸血娘「何だか、嫌な予感がするわ」

獣人娘「そうは言われても……」

吸血娘「詳しいことは後で話す。いいから来なさい」

竜人娘「よくわからないが、行ってみるか」

57: 2012/09/23(日) 23:23:04.80
(大魔王の間)


魔 王「……」ダラダラ

若側近「陛下、南の魔王殿にございます」

魔 王「だ、大魔王陛下、南の魔王にございます」

大魔王「……」

若側近(……どういうことかわかったか?)

魔 王(信じられんが、信じざるを得ん……)

大魔王「側近」

若側近「はっ、では、私はこれで……」

魔 王(! まっ、待て! 俺はどうすればいい!?)

若側近(…… お前次第だ) コツコツコツ……

大魔王「……」ジー

魔 王「……」ダラダラダラ

59: 2012/09/23(日) 23:29:35.12
(回 廊)

若側近「ふぅ……  うわっ!?」

吸血娘「久しぶりね」

若側近「きっ、貴様ら!?」

竜 娘「何が貴様らだ、このモヤシが」

若側近「別室にいるはずじゃないのか!?」

獣人娘「色々あって、ちょっと中の様子を見に来たんだ……あはは」

若側近「お前らだけには会いたくなかったのに……」

サキュ姫 「彼が大魔王の側近? まあまあ、かな」

サキュ妹 「あんまし精力なさそうね。このモヤシ」

吸血娘「昔話でもしたい所だけど、単刀直入に聞くわ。……」ボソボソ

若側近「……」

吸血娘「本当だったのね……」

60: 2012/09/23(日) 23:30:49.99
竜人娘「待て待て、僕達にも説明しろ!」

吸血娘「二人とも覚えてる? 例の戦乱を」

獣人娘「戦乱って、勇者が攻めてきた……」

竜人娘「忘れるものか。血も涙もない、悪鬼羅刹のようなヤツだった」

若側近「吸血娘!」

吸血娘「私達は当事者よ。この状況で黙っていろと?」

若側近「~~~」

サキュ姫 「話してくれていいんじゃないの? ってか、無理やりにでも吐かせるけど」 

若側近「しかし……」

竜人娘「さっさと言えモヤシ。また泣かされたいのか」

獣人娘「大丈夫だよもっちゃん、誰にも言わないから

若側近「ぐっ……   わかった。別室へ行こう」

61: 2012/09/23(日) 23:35:11.26
(別 室)

一 同「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」

若側近「俺も我が耳を疑ったさ。だが、大魔王の座は代々力で先代を超えた者のみ後継できると
     いう、掟がある。本人が継ぐと言った以上、従うしかないのだ」

竜人娘「だっ、だからといってそんなことが許されるのか!? とても信じられん!」

吸血娘「先代だって出自を辿れば、元々辺境の蛮族の出よ」

獣人娘「蛮族って言っても……この場合さすがに……」

サキュ妹 「それより、大魔王は何で若を呼びつけたワケ?」

若側近「……」

吸血娘「それを知っているのはあなただけ、ね。」

若側近「お前らだけには言いたくなかったが、仕方あるまい……陛下は……」 ガチャリ

64: 2012/09/23(日) 23:37:26.70
兵 士「若側近様、陛下がお呼びです」

若側近「! わかった、今行く。……すまんが、話は後で……」

兵 士「それと、若魔王様のお付きの方々も、と……」

獣人娘「へっ?」

若側近「へ、陛下は本当にそう言われたのか!? この者達もか!?」

兵 士「は、はぁ……」

吸血娘「……行きましょう」

竜人娘「ちょっ、ちょっと待て、こ、心の準備が」

65: 2012/09/23(日) 23:39:07.34
(大魔王の間)


若側近「……」ダラダラ

魔 王「……」ダラダラ

サキュ妹 「じ、実際目にしてみると……すごく不自然な光景だわ」

サキュ姫 「尋常じゃないくらい、王座が似合ってないねぇ」

竜 娘「本当だったのか……」

吸血娘「そうよ、あれが、私達の主」

獣人娘「言葉を失うって、こういうこと言うんだね」

若側近「こ、こちらが……大魔王陛下である」

67: 2012/09/23(日) 23:42:00.77
女勇者「である!」ビシッ

一 同「……」イラッ

若側近「……えー、見てのとおり、陛下はかつての……勇者であらせられる」

女勇者「事情は若側近から聞いたと思うケド、そのとおりだよー」

吸血娘「恐れながら陛下、一つお聞きしてもよろしいでしょうか」

女勇者「どうぞー」

吸血娘「我らの主である若魔王を召喚なされたのは、どういったご事情があってのことでしょうか」

女勇者「えっそれ聞いちゃう? 君らみたいな取り巻きがそれ聞いちゃう?」

竜 娘「……」ビキビキ

サキュ妹 「……」ビキビキ

魔 王「勘弁してくれ……」

70: 2012/09/23(日) 23:45:26.46
吸血娘「…… 若魔王の僕として、お聞かせ願えればと」

女勇者「えっとねー、私がここで先代倒した時、若側近と若キュンが隠れてたのね。
     あのへんに」

獣人娘「わ、若キュン……」

女勇者「一緒に片付けようかと思ったんだけど、けど……若キュン見たら……////
     これはもう恋でしょってことでさぁ、勇者とかどうでもよくなって」

サキュ姫 「あー凄い、これだけのイラっと感は数年ぶりだわ」

女勇者「ぶっちゃけ大魔王討伐とか、やらされてる感全開だったしねー。で、それで大魔王に
     なったらお近づきになれる!? じゃあさっきのお誘い乗りますわwwって思って」

吸血娘「……」ゴゴゴゴ

獣人娘「き、吸血娘ちゃん、静かに魔力高めちゃダメ」

女勇者「……で、大魔王になってゴタゴタも落ち着いたし会いたいなぁ~とか思ってたら、何か
    南の魔王とかにおさまっちゃってんのww いやちょっと待てww って思って今日呼んだわけ」

サキュ姫 「それで陛下、我が主の処遇はどのように?」

72: 2012/09/23(日) 23:47:05.72
若キュン

73: 2012/09/23(日) 23:47:10.02
女勇者「処遇も何も、一緒にいたいからここにいなよって言ったんだー」

若側近「若魔王は、へ、陛下直属の親衛隊に任命された……」

サキュ妹 「しっ、親衛隊!?」

魔 王「……」ダラダラ

竜 娘「!? でっ、では、我らはどうなるのですか!?」

女勇者「帰れば?」

獣人娘「へっ?」

女勇者「親衛隊の親衛隊とかいらないし、この城に住むから侍女もいらないでしょ。若側近に聞いたけど、
    みんないいとこのコなんだって? 実家戻れば?」

吸血娘「……」ゴゴゴゴゴゴ

サキュ姫 「……」ゴゴゴゴゴゴ

竜 娘「……」ジャキッ

獣人娘「はわわわ……」ブルブル

74: 2012/09/23(日) 23:49:17.26
若側近「きっ、貴様ら! 陛下の御前だぞ!」

竜 娘「止めるな若側近……一度この女はわからせないといけない」

魔 王「バカ、何のつもりだお前ら!?」

サキュ妹 「何のつもりって……こういうつもりよ!!」バッ!

竜 娘「そこへなおれっ!!」 ダッ!

女勇者「なになに? やー怖いー(棒)」ガッ!

2 人「くっ!?」

若側近「やっ、やめろっ! 反逆するつもりか!?」

吸血娘「巻き込まれたくなかったら、そこをどきなさい」キュィィィィ

サキュ姫 「邪魔」カッ……!

女勇者「若キュン助けてー(棒)」バシュッ!

吸血娘「!」

サキュ姫 「片手で2つの魔法を打ち消すとか……」

若側近「陛下は先代を圧倒したほどの強さだぞ……バカ共が」

75: 2012/09/23(日) 23:52:09.07
吸血娘「それなら、全員でかかるまでね」

サキュ姫 「あんたに同意したかないけど、右に同じ」

若側近「だからやめろと言っ…… ぶっ!」バシッ  バタン

魔 王「わっ、若側近!? しっかりしろっ!」

サキュ妹 「モヤシは黙ってなさいよバカ」

竜人娘「……覚悟はいいか?」

女勇者「めんどくさいわー、こういう遊びの女って」

一 同「……」ビキビキ

魔 王「まずい……」

獣人娘「わっ、若君、ここは避難しないと!」

魔 王「しっ、しかし……うわっ!?」ぐいっ

竜人娘「しねぇぇぇぇぇっ!!」

76: 2012/09/23(日) 23:55:42.22
( 外 )

ズドォォォォン!!

魔 王「うおっ!?」

獣人娘「しっ、城が……壊れそう……」

兵 士「なっ、なんだなんだ!? 敵襲か!?」

魔 王「まぁ、そのようなもんだ……」

獣人娘「とりあえず出てきちゃったけど、ど、どうしよう?」

魔 王「どうするも何も……奴らがああなった以上、もう止めるのは無理だ……」

獣人娘「じ、じゃあ」

魔 王「落ち着くまで、どこかでやり過ごすしか……」

77: 2012/09/24(月) 00:02:24.15

ドォォォォン!!

兵 士「しっ、城が!?」

兵 士「大変だ、大魔王の間から凄まじい魔力が……うわー!」

魔 王「……安全な所でな!」

獣人娘「安全な所って……と、とにかく城から出ようよ」

魔 王「仕方ない……か。行くぞ獣人娘、ここにいたらお前も危ない」

獣人娘「うっ、うん//」





獣人娘「         ……計画通り」 ニヤリ

79: 2012/09/24(月) 00:04:58.40





おわり。

78: 2012/09/24(月) 00:02:27.86
そういやここまで草食系魔族の出番なしだな

82: 2012/09/24(月) 00:07:12.93
釣りかと思ったが日をまたいでるからわからんな

83: 2012/09/24(月) 00:09:48.10
>>82
ああごめん、まじでおわりです

84: 2012/09/24(月) 00:11:08.85
そうか乙

引用元: 魔 王「……草食系魔族が増えている?」