1: 2012/10/02(火) 03:09:18.47
妹「みんな避難所に向かってるって。お姉ちゃん」

姉「うるさいなぁ。ドア閉めてよ」

妹「だからクラムボン警報だって。お姉ちゃんクラムボンになってもいいの」

姉「いいよ別に。もう面倒くさい」

妹「お姉ちゃん」

姉「どうせ逃げ場なんてないよ。私はウチに残る」

妹「じゃ私も残る」

姉「それがいいよ。あちょっとそこのお菓子取って」

2: 2012/10/02(火) 03:11:30.13
姉「やっぱ私はリコよりビーのが好きだな。特にこのバターしょうゆ味が」

妹「学校が休みになって、毎日休日だね」

姉「ね。どこもかしこもクランボンクランボンで馬鹿じゃんね」

妹「クラムボンね。お父さんとお母さんは大丈夫かな」

姉「さぁね。とっくにクランボンになっちゃってるかもね」

妹「お姉ちゃん」

姉「まーそれも人生としてアリなんじゃない。別に哀しくもなんともないし」

妹「お姉ちゃんは、私がクラムボンになったら哀しい?」

姉「さあ。アンタは? 私がクランボンになったら」

妹「わかんない」

姉「でしょ? 考えるだけムダだって」

4: 2012/10/02(火) 03:12:16.11

妹「いつぐらいにココもダメになるのかなあ」

姉「さあね。結構すごいスピードなんでしょアレ」

妹「冷蔵庫の食べ物もつかな」

姉「まぁ全部無くなる前にはクランボンも来てるでしょ。まだだったら」

妹「まだだったら?」

姉「適当にそのへんのセブンやローソンから買ってくればいいし」

妹「たぶん店員さんいないよ」

姉「無人販売とおんなじでしょ。あー、だったらうまくいけば盗り放題かも」

妹「私万引きなんてやったことない」

姉「私だってないけど、まあ非常時だし」

妹「うまくやれるかな」

姉「不安ならお金だけ置いとけばいいよ。小遣いがなくなってから考えな」

妹「じゃあそうする」

姉「あ。また氏んだ。きー」

7: 2012/10/02(火) 03:16:21.63
妹「テレビつけていい?」

姉「いーよん」

ピッ

『――クラムボンは勢力を増して北上しております。
 やむを得ず外出する際は、必ず支給されたコートを忘れずに着用して――』

ピッ

『――ですから、一概に政府が悪いともいえない訳ですよ。
 人為的に放出されたといっても、自然発生した形となんら変わりない経緯で――』

ピッ

『ザーーー』

姉「うるさい」

ピッ

『んなで なかよく ランランラン♪ ランランラン♪』

姉「あっまだコレあってたんだ観よ観よ」

妹「この非常時なのによく続いてるね」

姉「ね。日本に生まれて良かったねぇ」

8: 2012/10/02(火) 03:17:35.71
クラムボンはポポポポーン♪

10: 2012/10/02(火) 03:20:14.92
姉「むう。何でこゆときに限ってケータイもネットが繋がんないかなー」

妹「こういうときだからじゃないの」

姉「ケータイは圏外だし、ネットは配線ちゃんと繋がってるのに接続できない表示。どうして?」

妹「わかんない。ひまになる?」

姉「いんや。暇つぶしなら家に山ほどあるし」

妹「またゲームする?」

姉「お。やるかー? やるきかー?」

妹「勝負」

姉「じゃあ~目ぇ瞑って~……今日はコレ! で勝負! げっ、これかー」

妹「これ二人プレイできたっけ」

姉「できるできる。私あんまやったことないけど。まいーややろ。あコレ片付けてね」

妹「思ったより散らかってるね」

姉「うーんクランボンが来るまで当分散らかしモードだな。こりゃ」

13: 2012/10/02(火) 03:24:58.43
妹「もうこんな時間」

姉「このゲーム意外と面白かった。あ。もうこれ空っぽ」

妹「ご飯つくろっか」

姉「あんまお腹空いてないな。間食しまくっちゃって」

妹「じゃあいいかな」

姉「アンタお腹空いたの?」

妹「すこし」

姉「お菓子食べると太るから? まだダイエット中?」

妹「うん」

姉「どーせクランボンになっちゃうのに?」

妹「ならなかったとき、損しちゃう」

姉「どーせもうダメだって。この国はクランボンで果てる運命なんだって」

妹「ふうん」

姉「卵まだあったっけ。いつもの作るね」

妹「はーい」

15: 2012/10/02(火) 03:31:40.43

妹「いただきます」

姉「たっきますと」

妹「おいしい」

姉「ね。私の腕もまだ落ちちゃいないっぽい。しょう油とって」

妹「もうあと少ししかないよ」

姉「あー。しょう油のでかい奴ってどこにあったっけ」

妹「分かんない」

姉「詰め替えるのめんどくさいからいっか」

妹「あとで私やっとく」

姉「いーよ別に。しょうゆ使うの最後かもしれんし」

妹「やっとく」

姉「そ。で? もうごちそうさま?」

妹「ごちそうさまでした」

姉「ごちそーさまでした。一緒にお皿洗うの手伝ったげる」

17: 2012/10/02(火) 03:40:15.38
姉「一緒にシャワー浴びる?」

妹「いい」

姉「おっOいどんだけおっきくなったか見してよ」

妹「やだ。お姉ちゃんより小っちゃいに決まってるし」

姉「お姉ちゃん、クランボンになっちゃう前に一目見たいんだけども」

妹「だめ。お姉ちゃんはもうゼッタイ私の胸を見ることはないの」

姉「このー恥ずかしがり屋さんめ。かわいいやつめ」

妹「だめ」

姉「けち。ケチになるとおっOい大きくならないんだぞ」

妹「お姉ちゃんケチなのにおっOい大きいじゃん」

姉「そこがお姉ちゃんのすごいところ。一揉みしとく?」

妹「いいです」

姉「思い出作りの下手なコだねー。……スキあり!」

妹「きゃあ」

19: 2012/10/02(火) 03:43:19.30
妹「消灯」

姉「うえ真っ暗。あそっか外の明かり点いてないからか」

妹「夜のうちにクラムボンが来たらどうするの」

姉「そんときゃそんとき。むしろ寝ている間な分、ありがたいかもよ」

妹「そうかな」

姉「それよりさ、恋バナしようぜ恋バナ」

妹「なにそれ」

姉「ありゃー氏語になっちゃってるのかね。『夜の甘ったるい恋のおはなし』の略だよ」

妹「長い」

姉「アンタさ、気になるオトコノコとか、いるの?」

妹「わかんない」

姉「ほー。いる訳ね。ほー。誰?」

妹「お姉ちゃんはいるの?」

姉「いたけど、どうも一足先にクランボンになっちまったらしい」

妹「えええ」

21: 2012/10/02(火) 03:50:27.06
姉「ま、好きっていうか、こいつとなら付き合ってもいいかなレベルだよ」

妹「クラムボンになったって」

姉「別に私らも近いうちに仲間入りするんだから、別に悲しくもなんとも」

妹「そうなんだ」

姉「まあヒトでいられるうちに、しといた方がいいこともあるかもだけど」

妹「私、まだオトコノコとキスもしたことない」

姉「あらーピュアーな純潔を守ってるのネ」

妹「お姉ちゃんはあるの」

姉「ないけど」

妹「えっないの」

姉「うん。男の子を選り好みしてたらいつの間にか間に合わなくなってた」

妹「かわいそう」

姉「そう? クランボンになったらキスぐらいできるんじゃないの?」

妹「そうなの?」

姉「さあ。適当言ってみた」

22: 2012/10/02(火) 03:52:26.61

妹「おやすみ」

姉「ヤすみ」

妹「」

姉「Zzz」

妹「」

姉「Zzz」

妹「Zz」


24: 2012/10/02(火) 04:10:21.19
妹「んーん。おはよう」

姉「はよ」

妹「あ。寝坊しちゃった」

姉「ぎゃーもうこんな時間」

妹「学校やってないよ」

姉「えっなんで? 今日休みだっけ? げげっ何でこんなリビング散らかってんの」

妹「クラムボン」

姉「あっ、あーね。なるほど。そういうのもあったか」

妹「いい天気」

姉「来てる? クランボン」

妹「来てないかも」

姉「そ。でもあと一時間後にくるかも。五分後かも。そっから見えてないだけかもねぇ」

妹「別に怖くないよ」

姉「あそうつまんないの」

27: 2012/10/02(火) 04:14:35.66
姉「今日はどうしよっか」

妹「また遊ぶの」

姉「んーそうしたいのは山々なんだけどね。ちょっと出かけよっか」

妹「避難所に行くの」

姉「いやーあんな遠いとこまで歩いていけないっしょ」

妹「どこいくの」

姉「お菓子補充。ちょっとそこのコンビニまで。一緒に来る?」

妹「うん」

姉「外に出ると危ないかもよ」

妹「平気」

姉「そ。じゃ行こっか。サイフどこに置いてたっけ」

妹「お財布もっていくの?」

姉「えっ当たり前じゃん」

妹「そうだったね」

姉「あったあった。じゃそっち裏の戸締りよろしくねー」

28: 2012/10/02(火) 04:21:02.09
妹「外、誰もいないね」

姉「車も通らない昼下がりの道路」

妹「みんなクラムボンになりたくなかったんだね」

姉「変だなー。私らみたいなのはもっといそうなもんだけどなー」

妹「みんな家に閉じこもってるのかも。あ。コンビニ電気ついてる」

姉「開くかな。おー開いた」

妹「やっぱり誰もいないね」

姉「あ、でもほら。あっこカウンター」

妹「あ。引き出し飛び出してる。レジの」

姉「ところがお金が荒らされた様子はないですねぇ」

妹「電卓も用意されてる。ちゃんと準備されてるんだ」

姉「日本人の良心だね。あとほら、商品もぽつぽつなくなってる」

妹「やっぱり私達みたいに残った人がいるんだ。いるのかな」

姉「さーて何買おっかなー。今日は多めに持ってきたから奮発しちゃうぜ」

妹「カゴ持ってくるね」

30: 2012/10/02(火) 04:27:03.59
姉「これスキャナー動いてないじゃん。てかレジの画面ついてないし」

妹「お会計は完全手動だね」

姉「もう。どれがいくらかいちいち覚えてないし」

妹「確かこれは200円。これは298円」

姉「これは?」

妹「これは、分かりません」

姉「しゃーないかー。えーっと待って。えーっ。148円!」

妹「いち……よん……はち」

姉「あとは。これとこれね。えーっと、えーっと。もー面倒くさい」

妹「おいくら」

姉「たぶん200円と300円ぐらい。いーのいーの、お金払わないよか罪は軽いし」

妹「じゃあ1146円」

姉「じゃ1200円ここに突っ込んどこ」

妹「お釣りは?」

姉「とっておけぇい」

31: 2012/10/02(火) 04:32:17.66

姉「なーんか入るときも出るときも静かなコンビニって変なの」

妹「悪いことしてるみたい」

姉「してもいいのよ。どうせ誰も見てないし」

妹「誰か見てるかも」

姉「うん、ほら、あっこの警察の人とか」

妹「えっ。あっ」

姉「やっぱりそうだ。ほら、こっち自転車でくる!」

妹「クラムボンだったらどうしよう」

姉「うーん。もしそうならちょっと早いね。買ったお菓子まだ食べてないし」

妹「まだ心の準備できてない」

姉「大丈夫、そんときゃそんとき」

妹「大丈夫かな」

姉「てか、クランボンって自転車乗るの?」

妹「わかんない」

姉「乗らないんじゃね??」

34: 2012/10/02(火) 04:39:13.02
巡査「やあ。ここにもまだ人はいましたか」

姉「こんちわー」

妹「こんにちは」

巡査「こんにちは。お嬢さん方は、避難所に行かれないのですか」

姉「まぁ気が向いたら行きますんでお構いなく」

妹「おじいさんは、一人だけですか?」

巡査「はい。こうやって周囲に避難勧告を出しながら――」

姉「出しながら?」

巡査「クランボのところに向かっているんですよ」

妹「どうして」

巡査「いやあ、待ちきれなくて、とでも言っておきましょうか」

姉「クランボンになりたいの? それって職務放棄じゃないの?」

巡査「ええ、私の独断です。まぁ今となっちゃ、警察なんて、なんの権限もありゃあしません」

妹「ふうん」

35: 2012/10/02(火) 04:44:17.58
巡査「そうだ。良かったらこれ、使いますか?」

姉「これは? おもちゃ?」

巡査「本物ですよ。一応まだ弾も入ってます」

妹「ひえ」

姉「どうしてまた」

巡査「これを手放すことで、私はただのヒトになれるのです。もしよければ」

姉「要らないなら捨てればいいじゃないですか。なぜ?」

巡査「それは、頑なにクランボになるのを拒むヒトが、いるかもしれない、と思ったからです」

妹「ヒトのまま氏ぬってこと? これを使って?」

姉「物騒なこと勧めるおじいちゃんだね」

巡査「これは失礼、そういう、まともな考えのヒトに会うのは久しぶりでして」

妹「怖いな」

姉「私たちなら大丈夫なんで、コレはそういうコトが必要な人に譲ったげてください」

巡査「そうですか。いやはや、気を悪くさせて申し訳ありませんでした。では、どうかお気をつけて」

姉「バイバイ、またね」

41: 2012/10/02(火) 04:57:01.59
妹「お姉ちゃん、どうするの」

姉「外には怖い人がいるかもだって。帰ろっか」

妹「うん」

姉「ウチ、すぐそこだけど」

妹「着いた」

姉「カギカギ。開いた」

妹「ただいま」

姉「ただいまー」

妹「おトイレ」

姉「行っトイレ。あ、もう石鹸こんなすり減ってる。まいっか」


姉「がらがらがら。ぺっ」

姉「ふいー。お菓子何から食べよっかな」

43: 2012/10/02(火) 05:04:37.13
妹「ねえお姉ちゃん」

姉「何じゃらほい」

妹「さっきのおじいさん、何でクラムボンになりたかったのかな」

姉「さぁね。嫌気がさしてたんじゃない?」

妹「嫌気?」

姉「多分、すごい詰め寄られたと思うよ。警察は市民を守るもんじゃないのかーとか」

妹「なるほど」

姉「だからこう、言い方は悪いけど、逃避的な? 厭世的な?」

妹「ふうん。でも、アレを使ってヒトのまま氏ぬより、クラムボンになるのを選んだんだね」

姉「そりゃまー氏ぬのは痛いだろうし、残された人はハッピーになれないだろうしねぇ」

妹「クラムボンはそうじゃないの?」

姉「そりゃ分かんないけど、だからこそ、より良い結果を未知なものに賭ける、みたいな?」

妹「ごめん分かんない」

姉「お姉ちゃんもよく分かんない。まーじきに分かることでしょうよ」

44: 2012/10/02(火) 05:12:57.05
妹「テレビつけていい?」

姉「いーよん」

ピッ

『ザーーー』

姉「うるさい」

ピッ

『ザーーー ……の……危険……』

ピッ

『ザーーー ……が……放棄……』

姉「うるさーい」

妹「どこもダメみたい」

ピッ

妹「昨日はちゃんとついたのに」

姉「ふーん。いよいよかもねぇ」

妹「うん」

45: 2012/10/02(火) 05:19:04.60
姉「あー。ゲームの充電切れちゃった」

妹「充電器は」

姉「どっかいっちゃった」

妹「探す」

姉「いーよ。どうせクリアできないし。ぽいっ」

妹「クリアしないの」

姉「したところでねー。うん、なんかもう締めに入っちゃってる感じだし」

妹「締めって?」

姉「なんか精神的に整理がついてるっていうかー。そう、心の準備! ね」

妹「そうなんだ」

姉「アンタはまだ不安なの?」

妹「少し」

姉「そう。そういうときは~あったかいもの! ミルクココアでも作っかー」

妹「ありがと」

姉「アレ、一番でかいカップあったでしょ記念品の。あれ今つかお、出しといてー」

50: 2012/10/02(火) 05:28:23.33
姉「ふうー……」

妹「ふう」

姉「リラックスしたわー最高」

妹「落ち着いた」

姉「大丈夫? 落ち着いた?」

妹「もう平気だよ」

姉「そ。じゃあ~」

妹「じゃあ?」

姉「ゲームしよっか。アンタの一番得意な~こいつで!」

妹「いいよ。いつも通り適当に選ぼう」

姉「そう? せっかくのチャンスを棒に振っちゃっていいのかしらー?」

妹「望むところ」

姉「よしよし、なら正々堂々、適当に選んだゲームで白黒つけますかねぇ」

52: 2012/10/02(火) 05:37:41.77
妹「あ。もう夕方になってる」

姉「きー何で勝てんのじゃあ」

妹「お姉ちゃんは見切るのが早過ぎるから。もっと粘らないと」

姉「そんなの私の性分に合わんのじゃー!」

妹「そろそろ終わ」

姉「待って! コレ最後! ほんと最後だから!」

妹「いいよ、最後なら」

姉「あっ、アンタまたわざと手抜くつもりでしょ! それダメだから!」

妹「だってお姉ちゃん、自分が勝つまでずっと『これが最後』って」

姉「じゃ、じゃあこの一戦で負けた方が今日の夕飯作るってのは!」

妹「ごはん? ほんと?」

姉「ほんとほんと絶対」

妹「やる」

姉「よしきた。じゃあこれスタート画面に戻すかんねー」

54: 2012/10/02(火) 05:43:33.05
妹「いただきます」

姉「いたっきまーす」

妹「おしょうゆ取って」

姉「はいよ。お。中身入ってんじゃん」

妹「任されよ」

姉「いいねぇ、調味料大臣の称号を与えよう」

妹「いらない」

姉「コレおいしい?」

妹「おいしい」

姉「ふふん。知ってる」

妹「おしょうゆ返して」

姉「お代わりしよ。あー今日2合しか炊いてなかった」

妹「もうちょっと炊く?」

姉「炊きましょうかねえ!」

55: 2012/10/02(火) 05:48:54.88


妹「ごちそうさまでした」

姉「ごっそさまー」

妹「おなかいっぱい」

姉「おや、ダイエット姫が腹十分とは」

妹「お姉ちゃんは平気なの?」

姉「デザートまで入るよ」

妹「あるの?」

姉「今こそ打ち明けましょう……冷蔵庫の奥に秘蔵のプリンが!」

妹「あやっぱりアレお姉ちゃんのだったんだ」

姉「バレてる! まいいやアレ二人で食べよ」

妹「いいの」

姉「いーよ。食べれるうちに食べとこっ」

58: 2012/10/02(火) 06:03:32.44



姉「ふいー、久々の姉妹水入らずのシャワーだったねぇ。水入らずってのは変か」

妹「お姉ちゃんが勝手に入ってくるから」

姉「いいじゃん。お姉ちゃんのおっOいおっきかったっしょ?」

妹「もうサイテー」

姉「そんなに怒んなさんなて。結局アンタだっておっOい見してくんなかったじゃん」

妹「でも後ろからいきなり揉んだでしょ」

姉「だって。見してくんなかったから」

妹「ひどい。お姉ちゃんのばか」

姉「でも発育途上ながら十分実ってたじゃない。お姉ちゃんは嬉しいよ」

妹「私は嬉しくない」

姉「今日はいい夢見れそうだー」

妹「もう。お姉ちゃんのばか」

62: 2012/10/02(火) 06:06:59.26

姉「消灯」

妹「ん」

姉「どら。一緒の布団で寝るか」

妹「お断りします」

姉「今日も一日。有意義に過ごしたね」

妹「結局ぐうたらデイだったけど」

姉「でもお姉ちゃん疲れちったよ。寝よ寝よ」

妹「潜ってこないでよ」

姉「おあすみー」

妹「もう。おやすみ」

姉「Zzz」

妹「ふう」

姉「Zzz」

妹「Zz」


64: 2012/10/02(火) 06:10:25.06

姉「Zzz」

妹「Zz」




 ガタ

       ガタ


妹「……!」

姉「Zzz」

妹「お姉ちゃん」

妹「お姉ちゃん」

妹「きた」

妹「ウチ、入ってきてる」

姉「んー?」

妹「クラムボンきた」

姉「えっまじで?」

67: 2012/10/02(火) 06:15:03.78
姉「もー……どうして起こしたのさ。寝ている間に済ませてくれたかもしんないのに」

妹「だって。まだ心の準備」

姉「ええー。じゃー飲む? あったかいの」

妹「もうリビングにいる。今からじゃ無理」

姉「アンタ震えてんの?」

妹「別に」



 ガタガタ    ガタ

妹「!」

姉「あー。近いね」

妹「逃げよ。ね。裏口から」

姉「夜中だよ?」

妹「懐中デント準備してる」

姉「なんだ。アンタ、ハナから逃げる気まんまんだったんじゃん」

69: 2012/10/02(火) 06:20:30.69

 ガタガタ   ガタガタ

姉「よしいまっ!」

妹「うん!」

バタン!

姉「へへ、間抜けめー」

妹「ライトライト!」

ポチッ


妹「!!」

姉「うわっ。もう外にいるじゃん、こんなたくさん!」

妹「逃げよ、ね」

姉「逃げるったってどこに」

妹「クラムボンに捕まらないところ!」

姉「しょーがないなー。じゃ、とりあえず公園のあたり行こ。手、放さないでね」

妹「うん!」

72: 2012/10/02(火) 06:27:37.18


姉「はっ……はっ……」

妹「はっ……はっ……」

姉「あー。外灯の一つくらい点いてりゃ楽なのになぁ」

妹「お姉ちゃん、そっち右にいる!」

姉「げっやば!」


 「」
       「」


姉「なんかどんどん増えてる気がする」

妹「追っかけてきてる!」

姉「ライトのせいじゃないの?」

妹「でもこれないと何にも見えない」

姉「しゃーないか。とりあえず足掻くだけ足掻いてみよ。ほら、もうひとっ走り!」

妹「う、うん!」


75: 2012/10/02(火) 06:36:12.69


姉「あー。こりゃダメだわ」

妹「はぁ……はぁ……」

姉「ゲームで鍛えた私にゃ分かる。これ全方位囲まれてるわ。万事休す。」

妹「はぁ……はぁ……」

姉「どうする?」

妹「はぁ……はぁ……ふうう」

姉「とりあえずそこベンチ座ろ」

妹「お姉ちゃん」

姉「ん?」

妹「逃げよう」

姉「だからもう無理だって。ほら、先頭がもうあっこまで来てる」

妹「私、あんなのになりたくない。クラムボンはいや」

姉「も、腹を括るしかないよ。こうなったらさ」

妹「やだよぉ。逃げようよう」

77: 2012/10/02(火) 06:45:07.81
姉「泣くんじゃないの。女の子でしょ」

妹「だって。だって」

姉「ま、最初のクランボンが出てきたときから、みんな覚悟しなきゃいけなかったんだよ」

妹「お姉ちゃん」

姉「だーいじょうぶだって。多分痛くないから」

妹「お姉ちゃん!」

姉「おーよしよし。よく頑張った。うん。今日までアンタ、よく頑張ったよ」

妹「うええん」

姉「よしよし。さて」

姉「妹を泣かせたクソンボンどもさん」

姉「やるならとっとと、手短にお願いしますね」

 「」     「」    「」  「」「」
   「」「」   「」   「」   「」「」


姉「これで終わりかぁ。 ま こんな もん でっしょ」

80: 2012/10/02(火) 06:52:58.06
「」「」  「」 「」「」「」   「」「」
 「」  「」   「」   「」「」  
 「」        「」    「」
 
姉「あれ?」

姉「あれあれ? どうしたのあんた等」

妹「……?」

姉「なに、私らがどこにいるか分かんないの?」

姉「こんなに声出してるのに?」

姉「あそう。多分そういうこと?」

姉「よくあるゾンビものの逆? うん、きっとそうっぽい」

妹「お姉ちゃん?」

姉「うん、あのね、追われてるときおかしいと思ってたんだけど」

姉「こいつらどういう理屈か分かんないけど多分」

姉「私達がしゃべってる間、私達の姿が見つけられないみたい」

妹「えっ?」

姉「こりゃーチャンスかもね」

86: 2012/10/02(火) 07:03:55.75
姉「あっこらへん、大きな隙間あるね?」

妹「うん」

姉「あっこから切り抜けよっか」

妹「だ、大丈夫かな」

姉「ダメ元じゃなきゃ切り抜けられないって。行くよ」

妹「うん」

姉「その代わりがんがん会話しなきゃ。ほら何かしゃべって」

妹「え? えーっと雨にも負けず風にも負けず雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体が欲しいです」

姉「そっかー。そういうことだったんだねー」

妹「なにが?」

姉「今思えばさー。私ら起きてる間、ほとんど喋りっぱなしだったよね」

妹「うん」

姉「だから家に残ってた私ら、すごく見つかりにくかったんじゃないかな」

妹「なるほど」

姉「ほらー。こんな声出して喋ってるのにやっこさん、必氏になってウロウロ探してて受ける!」

89: 2012/10/02(火) 07:18:27.04
妹「このこと、多分私達が第一発見者じゃないの」

姉「かもねぇ。大体ヒトが追い詰められたときって、こんなペラペラ喋ったりしないだろうしね」

妹「これがきっかけで、もしかしてクラムボン騒動解決の糸口が掴めるんじゃないの?」

姉「かもねぇ」

妹「じゃあ誰かに伝えよ。はやく」

姉「あはは。なんかすっかり巻き返した感じ」

妹「やっぱり諦めちゃいけなかったんだよ。ね」

姉「うーん」

妹「?」

姉「正直、私ね。すっかりクランボンになる気だったんだよね」

妹「どうして?」

姉「この事件が起こる前も、ろくなことなかったし……全部元に戻ってもしょーもなかったし」

妹「そんなこと言わないでよ。またゲームしようよ」

妹「またお料理つくってよ。卵の。ちゃんと、おしょう油入れ替えるから」

姉「ん……。……。おっといけない、喋んないと喋んないと たはは」

90: 2012/10/02(火) 07:19:21.80
姉「じゃ、前向きにいきますかね」

妹「どこにいくの?」

姉「このままパジャマ姿でフラフラとー。夜道を徘徊する姉妹が向かう先はー」

妹「語呂わるい」

姉「避難所」

妹「避難所?」

姉「とりあえず誰かに、このピーチクパーチクでクランボンが凌げることを伝えるんだよ」

姉「お父さんとお母さんもいるかもしれないしね」

妹「行こっ、行こっ、避難所!」

姉「遠いぞー。イサドより遠いぞー」

妹「いいの! 早く行こっ!」

姉「こらこら引っ張りなさんな。おっ、ようクランボン!」

妹「クラムボン!!」



END

92: 2012/10/02(火) 07:20:03.54

93: 2012/10/02(火) 07:20:18.01
いい話だなー

100: 2012/10/02(火) 07:30:06.61
後書き色々考えましたがめんどくせぇ全部バックスペース
お付き合いいただきありがとうござおやすみなさい

73: 2012/10/02(火) 06:30:07.81
元ネタ分からん
が面白いな

74: 2012/10/02(火) 06:32:33.34

引用元: 妹「クラムボン警報だ。お姉ちゃん早く逃げよ」 姉「いやだ」