3: 2012/10/14(日) 20:54:25.75
貴音「今宵は満月、あなた様月見はいかがですか?」

P「月見か・・・お前団子目当てだろ」

貴音「なんのことでしょう?」グー


4: 2012/10/14(日) 20:55:10.80
あずさ「あ、プロデューサーさん!」

P「はい?」

あずさ「上です、上」



P「……お、すごいですね」

あずさ「綺麗なお月さまですね」

6: 2012/10/14(日) 20:58:41.88
あずさ「……あの」

あずさ「あそこの公園で、お月見でもしませんか?」

P「はい、いいですよ」

あずさ「決まりですね、では行きましょー!」

P「はい」

8: 2012/10/14(日) 21:03:58.58
……




ギーコ ギーコ


P「……それにしても、あずささんのお買い物に付き合っているうちに夜になるなんて」

あずさ「楽しい時間は早く流れるものですよ?」

P「……はぐれたあずささんの捜索の時間がほとんどでしたけどね」

あずさ「うっ……」

15: 2012/10/14(日) 21:10:20.05
P「まあ、後ろからおどかした時のあずささんが可愛いかったので問題ありません」

あずさ「もうっ!」

P「そんなむくれないで」


つんつん


あずさ「いじわるなプロデューサーさんなんて知りません」

P「困ったなぁ」

16: 2012/10/14(日) 21:13:26.93
あずさ「……あっ!」

P「どうしました?」

あずさ「いま、流れ星が」

P「え、どこですか!?」


ちゅっ


P「!?」

あずさ「ふふっ、さっきのお返しです!」

P「これは一本取られましたね…」

20: 2012/10/14(日) 21:16:54.60
あずさ「じゃあ、私はこれで帰りますね」

P「え?」

あずさ「ふふっ、続きは私を捕まえられたら……ね?」



タタッ


P「ちょ、待って下さい!」

P「また迷子になっちゃいますって!」


あずさ・P
おわり

29: 2012/10/14(日) 21:24:04.28
P「お待たせ!酒持ってきたぞ!」

冬馬「お疲れ。袋貸せよ」

黒井「ご苦労だったな」

北斗「ワインにビールに……おっ泡盛ですか」

P「今日のために取ってた秘蔵なんだ、飲むだろ?」

北斗「もちろん。俺柚子で割りますけどプロデューサーさんは?」

P「俺も同じので頼むよ」

冬馬「チータラにチーちく、チーズおかき……全部チーズじゃねーか!」

P「ドライカルパスならあるぞ。そっちの袋だ」

冬馬「それを早く言えって!」

翔太「ポテチ開けていい?」

黒井「毎度ながらやかましい連中だ」

北斗「まぁまぁ。せっかくのお月見なんですから」

黒井「ふん」

32: 2012/10/14(日) 21:27:02.94
冬馬「俺ずっと月見って9月と思ってたぜ」

P「中秋の名月だったか? 俺もそのへんは詳しくないけど」

北斗「サイダーとコーラとなっちゃんどれがいい?」

翔太「僕なっちゃん!」

冬馬「スミノフ」

黒井「本来は旧暦の8月15日に月を鑑賞する行事だな。現行に合わせると丁度9月の中旬から下旬になるのだ」

P「なるほど……ただ月の綺麗な日に団子を食べるだけじゃないんですね」

北斗「ほら、なっちゃんとコーラな」

冬馬「どうせならコーラハイがよかったぜ……」

翔太「ありがとーっ!そういえばお団子は買ってきてないの?」

P「いいんだよ。月が綺麗だ酒が美味いってできればいいだけだから」

黒井「ウィ。風習など土地によって様々だしな。私達が楽しめればそれでいい」

北斗「そういうものなんですかね」

P「そういうものなんだよ」

34: 2012/10/14(日) 21:30:05.46
黒井「グラスは行き渡ったな? では始めるか」

P「今日もお疲れ! 乾杯!」

北斗「乾杯☆……ふぅ、いけますねこれ」

P「だろ? 前に響の実家から貰ったやつでさ。美味かったからもう1本取り寄せてもらったんだ」

冬馬「春に桜、夏には星。秋には月、冬には雪。これで十分酒は美味いんだ」

黒井「随分渋いことを言うな」

冬馬「俺も成長してるってことだぜ」

冬馬(漫画の受け売りだけどな)

翔太「冬馬君が飲んでるのはコーラだけどね」

冬馬「うるせーよ!」

P「俺なら夏に枝豆で秋にサンマだな」

北斗「春はたらの芽の天ぷらなんてどうです?」

黒井「菜の花も捨てがたいな」

P「ははっ所詮俺達は花より団子みたいですね」

黒井「違いない……うむ、美味いな」

36: 2012/10/14(日) 21:33:24.93
翔太「次のお菓子はっと……あっ!」ガシャ

黒井「ウィイイイ!? しょ、翔太! 貴様なんてことを!」

P「まぁまぁ酒のひとつやふたつ、いいじゃないですか。泡盛飲みます?」

北斗「いいやつなんですか? ……こ、これは!!」

P「森伊蔵!? こんな酒どうしたんですか!?」

黒井「高島屋の抽選で当選したのだ! 早く回収しろ!」

翔太「あははーごめんごめん」

冬馬「これいくらくらいすんの?」

北斗「諭吉さんが裸足で逃げ出すくらいだっ! ……あぁもう殆ど残ってない……」

黒井「なんという……なんということだ……!」

黒井「翔太ァアアア!」ガタッ

翔太「ひぃぃぃぃ!!」ダッ

北斗「これもある意味風流なんでしょうかね……どうぞ」

P「サンキュ。 ふぅ……そうだ。折角の月見なんだし誰か呼ぶか?」

北斗「いいですね。それじゃあ――」  おわり

40: 2012/10/14(日) 21:35:51.47
亜美真美3レス行きまーす

亜美「月なんて見てもね→……」

真美「そう?真美は結構こういうのも良いかも」

亜美「おう?真美は一足先に大人になっちゃったのかな?」

真美「別にそんなことないっしょ→、亜美もすぐに分かるよん」

亜美「いやいや真美センセイ、亜美はまだまだ月よりタンゴですわ」

真美「ほほうそれではフロイライン、私めと一曲願えますかな?」

亜美「……ふふ」

真美「ふふふっ」

亜美「へいへいへ→い」

真美「いよ、いよっ、いよぉっ」

亜美「真美のそれ、ブレイクじゃ→ん」

真美「亜美も、ロボットじゃんよ→」

亜美「……真美が遠くに行っちゃった気がしてたけど、気のせいだったみたい」

真美「だね→、真美も、亜美が竜宮行っちゃってからなんだか淋しかったけど、全然変わんないや」

41: 2012/10/14(日) 21:37:25.79
亜美「……」

真美「……」

亜美「んっふっふ~」

真美「んっふっふ~」

律子「亜美、真美ー!お団子食べるんでしょ、手伝いなさーい」

亜美「ラジャ→、お月見戦隊!」

真美「ガッテンダー→!」

律子「……あんた達ほんと仲いいわね、手まで繋いじゃって」

亜美「当たり前っしょ→!」

真美「たった二人の姉妹だかんね!」

律子「そう。最近ちょっと互いに避けてるように見えたけど、気のせいだったわね。じゃ、そのお団子運んでおいてね」

亜美「行っちゃったねぃ」

真美「こりはチャンスだねぃ」

亜美「辛子団子でロシアンル→レットじゃ→!」

真美「ええいサ→ビスでぃ、今宵は当たり三つで→ぃ!」

42: 2012/10/14(日) 21:38:55.17
P「たまには、こういうお月見もいいもんだな」

律子「ですね、皆でこういうイベントが出来るのは素直に嬉しいです」

P「の割には、なんだか疲れた顔してるぞ?」

律子「ええ、まあ。スケジュール調整とか、スケジュール調整とか……」

P「はっはっは、律子もまだまだだな」

律子「9人も同時に相手出来るプロデューサー殿がおかしいんですっ」

P「はっはっは……それはそうと、律子以上にすごい顔になってるあの三人は、何かあったの?」

亜美「ひぎぃ!」

真美「口の中がぁ!」

社長「おお、おあぁ!」

律子「……さあ?」

44: 2012/10/14(日) 21:39:32.25
おわりって入れ忘れてら、おわりだす

52: 2012/10/14(日) 21:45:12.35
響「今日はまんまるお月様さー!」

貴音「ええ。まこと、美しいものです」

響「そういえば貴音ってよく月を見てるよね。なにか意味でもあるの?」

貴音「月を見ていると、心が安らぐのです。響は月見など好きではありませんか?」

響「ううん、好きだぞ! 沖縄で見る月はさ、直接見るのもいいけど海に映った月もすごくキレイなんだ」

貴音「水面に浮かぶ月、というものでしょうか。皆で海に行った時に見ましたが、風流なものですね」

響「そうそう、あんな感じ! でも沖縄の海はもっとすごいぞー? こう……なんていうか、すごく澄んでて……青白くて……うぎゃーっ! うまく説明できないーっ!!」

貴音「ふふっ……十分に伝わりましたよ、響。月には様々な表情あるのです。水面に浮かぶ月もまた、月の表情のひとつ……」

響「表情……三日月とか半月とか?」

貴音「いいえ、もっともっとです」

響「うーん……なんか難しいぞ……」

55: 2012/10/14(日) 21:46:23.78
響「コオロギの声、キレイだね」

貴音「ええ。秋の夜はまこと様々な面を見せてくれます」

響「うん。月に、虫の声に……うっひゃあっ!」

貴音「……響、今のはくしゃみですか?」

響「そうだ……ちっひゃあっ!!」

貴音「面妖な……」

響「ぐずっ……うぅ…ちょっと冷えてきたね……」

貴音「確かにそうですね。何か暖かいものを──」

パララ~ララ~パラララララ~♪

貴音「──響、月見らあめんはいかがですか?」

響「結局ラーメンなんだな……まあいっか! いっしょに食べよっ!」


おわり

60: 2012/10/14(日) 21:49:06.38
やよい「わぁっ♪」

やよい「プロデューサー!見てくださいっ!」

やよい「今日のお月さま、とーってもまんまるですよっ!」

P「おっ、ホントだな」

P「月見の約束、今日にして良かったな」

やよい「はいっ♪」ニコニコ…

P「(かわいい)」

P「ところで、やよい?団子とかサトイモとか見当たらないんだけど…」キョロキョロ…

やよい「う?お団子?」

61: 2012/10/14(日) 21:51:03.46
P「あぁ、いや。やよいが「お供えもの作って待ってまーす」って言うものだからてっきり…」

P「あっ、もしかして今から持ってくるのか?」

やよい「えっとぉ…?」ウーン…

やよい「お団子におイモ…?」

やよい「お月見って、おうどんのことじゃあ…?」

P「えっ?」

やよい「あっ!もしかして、お蕎麦でしたか!?」

やよい「あれ?でも、それだけじゃあお団子もおイモも…」

やよい「……」

やよい「あっ!」ティン!

やよい「もしかして、その中にお団子やおイモも入れないとダメなんですか!?」

P「……やよい、もしかして」

62: 2012/10/14(日) 21:52:13.64
やよい「ううー…ごめんなさいー…卵しか入れてませーん…」

やよい「私…卵を入れれば、お月見になると思ってましたぁ…」シュン…

P「……」

P「…ははっ」

やよい「…う?」

P「そっか、そっか。そうだな、それも月見だな」ナデナデ…

やよい「は、はわっ?」

P「大丈夫だよ、やよい。何も間違ってないよ」

やよい「え?で、でもぉ…」

やよい「さっき、お月見にはお団子やおイモって…」

P「それは嘘でした」

やよい「ええっ!?」ガーン

63: 2012/10/14(日) 21:54:20.54
やよい「な、なんでウソついたんですかぁ!?」

P「いやー、やよいの慌てた反応が見たくてさ」

やよい「うー!?いじわるですっ!」ムスッ

P「ははっ、ごめんごめん」

やよい「つーん!もう許しませんっ!」プイッ…

P「やよいー…」

やよい「……」チラッ…

やよい「……甘えさせてくれたら許してあげる」

P「えっ?」

やよい「やよいに甘えさせてくれたら許してあげるっ!」

やよい「……お兄ちゃんっ♪」ペト~…

P「うわああああああああああああ」

67: 2012/10/14(日) 21:55:44.25
次の日

伊織『お団子とサトイモ?それで合ってるわよ?』

やよい「プロデューサー!?私にまたウソつきましたねー!?」

やよい「もー!」

やよい「ウソツキはだめですー!」ムー!

やよい「罰として今日も私に甘えさせなさいっ!」ビシッ!

やよい「……」

やよい「……いいよね?」ペトッ!

おわり

74: 2012/10/14(日) 22:04:13.27
……




千早「高槻さんは、何に見えるの?」

やよい「うさぎさんです!」

やよい「月でピョンピョン踊っているんですよ」

千早「ふふっ、可愛らしいわね」


やよい「千早さんは何に見えるんですか?」

千早「私? そうね……」

78: 2012/10/14(日) 22:08:11.81
千早「顔…に見えるわ」

やよい「顔ですか?」

千早「ええ、優しく微笑んでいる顔に」

やよい「お月さまが見守ってくれているんですね」

千早「でも…」

千早「昔は、泣いている顔に見えた事もあったの」

やよい「うーん……それはきっと」

千早「……?」

82: 2012/10/14(日) 22:13:48.16
やよい「千早さんが悲しいとお月さまも泣いて」

やよい「千早さんが楽しいと、お月さまも笑うんだと思います」

千早「……!!」

やよい「私も、事務所のみんなも同じですからね!」

千早「……そうね、ありがとう」

やよい「え?」


千早(今日、こうしてお月見ができて本当に良かった)

やよい(うーん、なにかお礼を言われるようなことしたかな…?)



やよい・千早
おわり

85: 2012/10/14(日) 22:18:02.29
「綺麗だね」

春香の声
窓越しに月を見上げながら

「綺麗ね」

これは私の声
窓には背を向けて

「明日は満月かな?」

見上げたまま春香が尋ねる

「分からないけど、きっとそう」

背を向けたまま私は答える

雲一つ無い10月の夜空
月明かりは殺風景な私の部屋を照らす
ベッドの端に腰掛けた二人
部屋の明かりは、消したままで

96: 2012/10/14(日) 22:26:49.03
「ねぇ、千早ちゃん?」

「言わないで」

だって、きっと泣いてしまうから
言った春香も、言われた私も

「……月、見ないの?」

「珍しくもないもの、月なんて」

そう
月なんて、夜になれば勝手に登ってくる
私たちが何を思っていようと、お構いなしに


101: 2012/10/14(日) 22:32:37.58
「私ね?」

「聞かないわよ?」

「いいよ。勝手に喋るから」

「そう」

「千早ちゃんのこと、好きだよ」

ええ、知ってるわ

「だけど、あの人のことはもっと好き」

それも知ってる
胸が痛いくらいに

112: 2012/10/14(日) 22:43:35.88
「やっぱり綺麗」

春香の声
溢れてくる何かを堪えながら

「そうね」

私の声
今度は、月を見上げながら

ずっと同じ人を見ていた私たち
いまは、同じ月を見ている

「明日は満月ね、きっと」

私の声
やっぱり何かを堪えている


お し ま い

121: 2012/10/14(日) 22:46:55.23
やよい「お月見?」

真美「うんうん、なんかね、月を見ながらお団子食べるらしいよ?」

やよい「へぇー、そんなのがあるんだ」

真美「というわけでさ、真美たちもやらない?」

やよい「お月見を?」

真美「うんうん」

やよい「いいよー! じゃあ早速、私の家でお団子つくろっか」

真美「え?お団子って作れるの…?」

やよい「あたりまえだよー」

真美「真美はみたらし団子が好きだけどそれもできる?」

やよい「もっちろん!私に任せておいてー!」

124: 2012/10/14(日) 22:50:28.08
やよい「で、こうやって転がすの」コロコロ

真美「ほぇー……真美もやっていい?」

やよい「うん、っていうか手伝ってね」

真美「分かった!……こんな感じ?」コロコロ

やよい「そうそう、うまいうまい!」コロコロ

真美「なるほどなるほど…」コロコロ

真美「ティンときた!」

やよい「?」

真美「ここにこうして…」コネコネ

真美「見て見て!うさぎ!」

やよい「あ、ほんとだー 丸くないお団子もかわいいかもー!」

126: 2012/10/14(日) 22:53:43.08
真美「んっふっふ~♪真美の創作意欲はとどまることを知らない…!」コネコネ

やよい「あんまり遊ばないでよー?それにこの後茹でるからあんまり複雑な形だと…」

真美「できた!やよいっち団子!」

やよい「はわっ!確かに私の髪型に見えるかもー!」

真美「でしょでしょー?やよいっちも真美団子をつくってくれていいんだよ?」

やよい「うーん、丸くするのは簡単だけど形を作るって難しいかも…」コネコネ

真美「よっし、じゃあその間に真美は765プロ団子を…」コネコネ

やよい「こんな感じかな?って真美作るのはやい…!」

真美「んー?どれどれ?ほー、やよいっちも中々にやりますなー」

やよい「茹で終わったら海苔とかで顔もつくろー?」

真美「さっすがやよいっち!じゃあ今から真美は海苔を切る作業を…」チョキチョキ

128: 2012/10/14(日) 22:57:16.06
やよまみ「「かんせーい!!」」

やよい「なんだか食べちゃうのがもったいないかもー」

真美「せっかくだから皆に写メって羨ましがらせよう!」

やよい「みんなは呼ばないの?」

真美「時間も時間だし流石に無理っしょー それに竜宮は今日お仕事で帰ってこないし…」

やよい「……もしかして真美、今日亜美が帰ってこないからウチに?」

真美「うぐっ…そ、そんなわけないっしょ!真美はもうオトナなんだし…」

やよい「ふふっ、はいはい」

真美「あー!信じてないっしょ!」

やよい「えー、信じてるよー?」

129: 2012/10/14(日) 22:58:00.78
やよい「月、綺麗だねー」

真美「うん、すっごく綺麗」

やよい「お団子もおいしいね」

真美「うん、すっごくおいしい」

真美「…」

真美「ねぇ、やよいっち」

やよい「なあに?」

真美「あ、ありがとね」

やよい「どういたしまして」

やよい「ねぇ、真美。今日は一緒に寝よっか」

終わり

138: 2012/10/14(日) 23:00:40.41
春香「お月見お月見~♪」ガサゴソ

伊織「……何なの、このお菓子の量は」

春香「月見だんごに月見クッキー! 真ん中の栗を月に見立てたモンブランもあるよ!」

伊織「太るわよ」

春香「ぐさっ」

伊織「また双子にしりりんなんて言ってからかわれるわよ」

春香「ぐさぐさっ!」

伊織「お尻だけナイスバディな天海春香ですっ! てへっ☆」コツンッ

春香「ちょっと! それ私のモノマネ!?」

伊織「安心しなさい、春香ならお尻からコケても全然平気よ。にひひっ♪」

春香「やめて! ホントやめて!」

伊織「むしろ春香のお尻がお月様なんじゃないかしら?」

春香「いい加減にしなさーい!!」

140: 2012/10/14(日) 23:01:56.16
伊織「まあそんなことは置いといて、なんで私なのよ?」

春香「たまたまだよ、たまたま」

伊織「何よ……この伊織ちゃんを誘っておいてつれないわね」

春香「ふんだ! さっきのお返しですよーだ!」

伊織「子供ね」

春香「いっ、伊織の方が年下じゃない!」

伊織「何よ!!喧嘩売ってるの!?」

春香「そっちこそ!!」

はるいお「う~……」

144: 2012/10/14(日) 23:03:10.52
春香「──ぷっ……」

伊織「──ふふっ……」

はるいお「あははははっ!!」

伊織「あーバカらしい。アンタの顔を見てたらどうでもよくなっちゃったわ!」

春香「私も、なんだかバカらしくて笑えてきちゃった!」

伊織「……静かね」

春香「うん」

伊織「こうやって過ごすのも、たまに悪くないわね」

春香「……ねぇ伊織」

伊織「何よ?」

春香「私、伊織のこと好きだよ」

伊織「はぁ!? い、いきなりなんなのよ!?」

151: 2012/10/14(日) 23:04:40.35
春香「まあまあ、誰も見てないんだし♪」

伊織「そういう意味じゃないわよ! ま、まあ……私も春香のこと、嫌いじゃないわよ」

春香「ホント? なんか嬉しいかもっ!」

伊織「そもそも嫌いだったら一緒にいないわよね」

春香「それもそっか。あ、お菓子忘れてた……。ほら、何か食べよ?」

伊織「まあ、ほどほどにね。それじゃあ──」

春香「私はこれを──」

ぴとっ

はるいお「あっ」

152: 2012/10/14(日) 23:05:38.44
春香「伊織の手、冷たいね」

伊織「結構冷えてるから……もっと重ね着すればよかったかしら」

春香「私の手も、ほら!」ムギューッ

伊織「ひゃっ!? ちょっ、ちょっとやめなさいよ!」

春香「あはは、ごめんごめん! ほら、こうすれば暖かいよ!」

ぎゅーっ

伊織「……何で手を暖めるのに抱き締められなきゃいけないわけ?」

春香「いいじゃない、誰も見てないんだし!」

伊織「はぁ……春香、アンタはホントにバカね」

春香「えぇっ!? ひどいよ伊織~!!」

伊織「──月が見てるじゃないの……ばか」


おわり

165: 2012/10/14(日) 23:09:56.82
貴音「あなた様は月に行きたいのですか?」

P「月に? 俺が?」

貴音「ええ」

P「それはまた、どうして」

貴音「旅行誌を片手に、月を物憂げに見上げているものですから……」

P「……なるほど」

貴音「雑誌をお借りしても?」

P「あ、いいよ」

貴音「ありがとうございます」

貴音「……」ペラッ…

貴音「……なるほど」パタン

貴音「どうやら、この雑誌には月への旅行案内は載っていないようですね」

P(そりゃそうでしょう)

貴音「これではあなた様が落ち込んでしまうのも、もっともです……」

P「はは……」

166: 2012/10/14(日) 23:12:14.44
貴音「ですが、これしきのことで諦めてはなりません」ズイッ

P「お、おう」

貴音「雑誌で取り扱っていないのなら、わたくしたちで計画を立ててしまえば良いのです」

P「ははは、月面旅行計画か。そりゃあいい」

貴音「ええ、まこと心踊る響きです」

P「……」

貴音「あなた様は、月に行ったらなにをしてみたいですか?」

P「そうだな……」

P「うさぎのついた餅とか、食べてみたいな」

貴音「土産の品にも喜ばれそうですね」

P「あと、かぐや姫にも会ってみたい」

貴音「有名人ですから、お忙しいのでは?」

P「そっか。そうかもな」

P「……」

貴音「……」

168: 2012/10/14(日) 23:15:35.91
P「いけるかな、月に」

貴音「いけますとも」

P「その時は一緒に行こうな」

貴音「約束ですよ?」

P「じゃあ、指切りでもしようか?」
スッ

貴音「ふふ…」キュ…

P「……」

貴音「……」


169: 2012/10/14(日) 23:17:20.20
貴音「あなた様」

P「ん?」

貴音「わたくしには、愛する星があるのです」

P「月か?」

貴音「いいえ、月より綺麗な青い星……」

P「そんなに綺麗なのか?」

貴音「ええ、それはもう」

P「見に行ってみたいな」

貴音「そうですね。いつか、見に行きましょう」

貴音「眺めるのに、丁度良い場所を知っております」

P「よし。じゃあ指切りだな」

貴音「……その必要はありませんよ」

P「?」

貴音「約束なら、もう済んだではありませんか」


おわり

175: 2012/10/14(日) 23:21:05.04
カチャリ

P「鍵締め完了、よーし帰るか」

律子「そうですね、今日もお疲れ様です」


P「しっかし今日も遅くなっちまったな」

律子「仕方ないですよ、もうすぐ大きなライブだし、色々打ち合わせもあるしね。失敗するわけにはいかないんだから私達に出来ることはやらないとね!」

P「まぁそりゃそうだな……どうだ?もし良かったらこの後メシでも……?って律子?」

律子「えっ?あ、何か言いましたか?」

P「……いや、なんでもない。急にボーっとしてどうしたんだ?」

律子「いや、今日は月が綺麗だなーと思ってですね」

P「おー、確かに見事なお月さんだな」

律子「ですねー、なんだかこんな風に眺めるのも久しぶりな気がします」

P「確かに、忙しいし悠長に空眺めてる時間なんか無いわな…しかし秋月律子と見る秋の月とはなんだか贅沢だな!はっはっはっ」

律子「つまらないこと言わないでくださいよ…社長みたいですよ」

P「酷いこと言うなよ…」

177: 2012/10/14(日) 23:23:17.38
律子「でもたまにはこんな風に夜空を見上げるのもいいわね、ちょっとはリラックスできるかもー」ボキボキ

P「骨を鳴らすな骨を…全く風情のない奴だな……」

律子「風情ー?そんなんじゃ仕事は上手く行きませんし疲れは取れませんよ!」

P「まぁそりゃそうだがな…」

律子「それにウチの事務所なんて年中、月やら星やら太陽みたいな子ばっかりでもう見飽きてるようなもんですよ」

P「はは、一理あるな。確かに風情なんて無いかもしれん」

律子「でしょう?ぼんやり見上げてる暇があるなら、皆がもっと輝けるようにしてあげないとね、まぁライブが終わったらお月見ってのも……って、あっ!流れ星!!」

P「おっ、マジか!?うおおお…見逃してしまった…」

律子「次のライブが成功しますように…竜宮小町の新曲が売れますように…美希がしっかりしますように…」

P「律子さん…こういう時くらい自分のこと願ってもいいんじゃ…」

律子「何言ってるんですか!今一番の願い事なんだから良いんですよ!」

178: 2012/10/14(日) 23:25:45.94


P「律子らしいな……」

律子「なんか運が向いてきたのかも!よーし、さぁご飯食べに行きますよ!もちろんプロデューサーのおごりで!」

P「ちょ、何でだよ!!」

律子「え?だってさっき誘ってくれてたじゃないですか?」

P「聞いてたのかよ!」

律子「ふふふ、実は私1度行ってみたかったお店があるんですよねー」

P「色気より食い気だな全く、俺の財布の中身で行けるところなんだろうな…?」

律子「あ、もうこんな時間!さぁさぁ行きましょうプロデューサー!ほらもう置いて行っちゃいますよー!」ギュッ

P「お、おい…!ちょっと待て!ひ、引っ張るなってばー!」




終わり


お月見してないね、すまぬ

184: 2012/10/14(日) 23:30:30.35
ガチャ

小鳥「プロデューサーさん、甘酒買ってきましたよ!」

P「音無さん、ありがとうございます。みんなを送って今ついたところです」

小鳥「そうなんですか、遅れたと思って焦っちゃいましたよ」

P「大丈夫ですよ、では外に出ますか」

187: 2012/10/14(日) 23:34:30.27
小鳥「…………プロデューサーさん。」

P「はい?」

小鳥「月、見えるでしょうか?」

P「……無理でしょうね。曇っていますし」

小鳥「ですよね、せっかくのお月見なのに……」

P「とにかく、外に出ましょうか」

小鳥「はい」

189: 2012/10/14(日) 23:38:35.58


P「ここにお団子をおいて、と……音無さん、ここにきてください」

小鳥「失礼します……やっぱり曇っていますね……」

P「残念ですね、ま、気分だけでも楽しみましょう」

小鳥「はい!」

P「それじゃ、乾杯!」

小鳥「雲の向こうのお月様に乾杯!」

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194: 2012/10/14(日) 23:45:53.25
小鳥「Pさん!次持ってきてください!」

P「だ、だいぶのみましたね……」

小鳥「せっかく明日休みにして入れたお月見なのに月が見えないなんてだめですよ!」

P「ははは……まあ、俺はこうして音無さんとゆっくり話したかったですから、いいんですけどね」

小鳥「なんだかごまかされた気がしますよ……」





小鳥「……月が見えたら」

196: 2012/10/14(日) 23:51:06.35
P「はい?」

小鳥「月が見えたら、きっともっと雰囲気がでますよね」

P「……そうですね」

小鳥「そうしたら、勇気が出せるのに……」

P「…………」

小鳥「私のいくじなし……」

P「…………」

小鳥「……今のは、忘れてください。」

P「…………」

小鳥「月、どの辺にあるんでしょうね」

P「…………」

小鳥「…………」

199: 2012/10/15(月) 00:00:57.14
P「音無さん、一杯くれませんか?」

小鳥「はい、どうぞ」

P「……」

小鳥「……」

P「音無さん」

P「--見えなくても、月はありますよ」

P「そして月よりも綺麗なものも、きっと側にあります」

小鳥「……あ」


小鳥「月が……」


204: 2012/10/15(月) 00:04:28.50
小鳥「こんな事って……奇跡かしら?」

P「あとは月から、勇気をちょっと借りるだけですよ」

P「……言ってみただけです」

小鳥「勇気を……」

P「……柄じゃないですね。聞かなかったことにしてください」

小鳥「ふふ……」



P「……」

小鳥「わかりました、では、聞かなかったことにします」

小鳥「でも、次は聞いてくださいね?一度しか言いませんから」



小鳥「……私は、あなたのことがーー」


おわり


217: 2012/10/15(月) 00:09:48.58
小鳥「久しぶりですね、こうして集まるのも」

社長「うむ、その通りだね。お月見と言っても簡単なものになってしまったが、今日は無礼講ということでだな」

小鳥「ふふ、お注ぎします」

社長「ありがとう」

小鳥「アイドルのみんなもこの月明かりのように輝いてきましたね」

社長「月日がたつというのは早いものだ、今のアイドル達はアイドル候補生としての頃から、またプロデューサーも新米の頃から見ているとなると、何か心を打たれるものがあるね」

小鳥「もー社長、おじさん臭いですよ?」

社長「んん?はっは、私ももう5X歳だからね」

小鳥「私の真似しないでください!」

社長「う、ううむ!ささ、音無くんも呑みたまえ」

小鳥「もう、少しだけですよー?」

221: 2012/10/15(月) 00:12:20.71
社長「もっとも、今日のメインは成長したアイドル達だけどもね」

小鳥「ダメですよ?社長、早々に隠居決めたら」

社長「……音無君には敵わないな」

小鳥「考えてることくらいわかります、確かにプロデューサーさんはもうアイドルマスターといえる存在です、でも765プロには……社長が必要なんです」

社長「ううむ……」

小鳥「社長、何故月が光っているかは、分かりますよね?」

社長「太陽、か」

小鳥「きっと、ファンのみんな、プロデューサーさん、私、それにもちろん社長も、きっと太陽の一部なんだと思いますよ。そうして、同じようにアイドル達もそのうち太陽になって……ふふ、それの繰り返しなんですよ……きっと」

社長「やれやれ……今日の酒は、一味違うようだね。小鳥くん、君も成長したんだな」

小鳥「何年も事務員やってませんから!うふふ」

P「社長!小鳥さんも、こっちで呑みましょう!」

社長「さて、行こうか、今月明かりの如く光り輝く者たちの元へとな」

小鳥「はい!」

終わり

233: 2012/10/15(月) 00:17:14.30
響「ふー。これで今日の仕事、終わりっ!」

P「お疲れ様、響。こんなに遅くまで仕事を入れてしまってごめんな」

響「このくらい、全然平気さー! プロデューサーが頑張ってとってきてくれた仕事だからな!」

P「そう言ってくれると助かるよ。せめて帰りは車で送っていくから」

響「本当? それは嬉しいなー。じゃあ自分、ちょっと飲み物買ってくるな!」

P「ああ、じゃあ表に車回しとくから」

響「りょーかい! ダッシュで行ってくるね!」タタッ

P「おい響、疲れてるだろうからそんなに急がなくても……。行っちゃったか」

236: 2012/10/15(月) 00:18:51.22
響「お待たせ。はい、プロデューサー」ヒョイ

P「? ってなんだ、コーヒーか」パシ

響「ついでに買ってきたんさー。運転してもらうのに、自分だけのんびりするのも悪いからな!」

P「そんなに気を使わなくてもいいのに。それにこれ……俺がいつも飲んでるやつじゃないか。どうして分かったんだ?」

響「ふふん、自分はカンペキだからな! それくらい分かるよ!」

P「あはは、そうか。ありがとうな。ええと、お金お金……」ゴソゴソ

響「い、いいよプロデューサー、そのくらい!」

P「いやでも、お前……」

響「タクシー代だと思って取っておきなよ! 自分、こんなことじゃ返せないくらい、プロデューサーには助けられてるんだからさ!」

P「……」

響「さ、それより早く帰ろう?」

238: 2012/10/15(月) 00:20:48.74
キッ

P「うわ、この信号捕まったか。ここ、長いんだよなあ……」

響「ねえ、プロデューサー。ちょっと空見てみてよ」

P「空? おお……。今日は満月か。全然気付かなかったよ」

響「空気が澄んでるのか、すっごく綺麗だな……」

P「ああ、そうだな。あんまり普段気にしないから、なんだか新鮮だ」

響「自分は貴音と一緒に帰るとき、よく見上げてるよ! それでも今日の月は、特別綺麗な感じだ」

P「そっか、響は貴音と仲がいいもんな。……そういえば、最近事務所のみんなとはどうなんだ?」

響「どうだも何も、みんな仲良しさー! 自分、本当765プロに来てよかったと思ってるんだ」

P「……そうか。そりゃ良かった」

240: 2012/10/15(月) 00:22:25.11
響「……でもさ」

P「?」

響「でもときどき、言いようの無い寂しさが襲ってくるときがあるんだ」

P「寂しさ?」

響「うん。みんなといるときはすっごく楽しいんだけど。帰るときになって、今日も楽しい時間は終わっちゃうのかな、って」

響「自分、家を飛び出してきちゃったからさ。こうやって月を見上げたりして、ああ、あんまーも兄貴も同じ月を見上げてるのかな、って思っちゃうことがあるんだよ」

P「……そうか」

響「もちろん、ハム蔵たちがいるからひとりってわけじゃないんだけどね。……ああもう、なんか湿っぽい話になっちゃって、ごめんなプロデューサー!」

P「……ちょっと寄り道しようか、響。時間あるか?」

響「え? ……うん、大丈夫だけど」

242: 2012/10/15(月) 00:27:35.20
~公園~

響「どうしたんだプロデューサー? この公園に何かあるのか?」

P「何か、ってわけでもないんだけどな。ほら、ちょうどベンチが二つあるから、寝そべってお月見でもしよう」ゴロン

響「お月見かあ。悪くない考えだね」ゴロン

P「当てがコーヒーとオレンジジュースっていうのがしまらないけどな」クス

響「だな。せっかくだから、乾杯でもするか?」

P「お、いいな。じゃあ、お疲れ様ってことで」

P響「かんぱーい!」

P「……なあ、響」

響「何だ?」

P「さっきの話だけどな。……俺は、ずっと一緒にいるから」

響「えっ?」

P「家族の代わり、なんて簡単には言えないけど。響がトップアイドルになって、胸を張って沖縄に帰れるまで。俺がずっと一緒にいるから。だから、寂しいのはもうちょっと我慢してくれないか」

響「プロデューサー……」

P「なんて、ちょっとキザすぎたかな。はは」

244: 2012/10/15(月) 00:29:09.14
響「ううん、そこまで言ってくれるなんて、とっても嬉しいさー」ニコ

響「じゃあ約束だよ、プロデューサー。トップアイドルになる日まで、自分が寂しいときはこんな風に一緒に居てよね」

P「ああ、約束だ」

響「家族の代わり、なんだよ? それで、トップアイドルになったその後は……」

P「その後は?」

響「ううん、なんでもない! それより、そろそろ帰ろうよ! ちょっと寒くなってきちゃった」

P「おっと、そりゃまずい。じゃあ帰るとするか」

245: 2012/10/15(月) 00:35:26.15
P「そういえば意外だったんだけどさ」

響「?」

P「響ってお兄さんのこと、兄貴って呼ぶんだな」

響「え、あ、うーん……。うん、そういうことにしとくよ」

P「家族の代わりって言うなら、俺のことも兄貴って呼んでみるか? なーんて。ははっ、これじゃあセクハラかな」

響「……っ! に、にーにー……」ボソボソ

P「ごめん響、エンジンの音で聞こえなかった。何て言ったんだ?」

響「何でもないよっ! でも……」


いつかにーにーでもなくて、Pさんって名前で呼べる日が来るといいなっ!

252: 2012/10/15(月) 00:42:19.75
「──くだらない」

765プロの屋上。そう呟いて俺は空を見上げた
俺は何をしているんだろうか。彼女達を上へと押し上げることも出来ず、一人燻っている

「本当に……くだらない人間だよ。俺は」

「本当にそうでしょうか?」

「音無さん……」

この人はどこか苦手だ。飄々としているフリをして、奥を見透かされているような気さえする

「くだらない人間なら、涙を流したりはしないんじゃないですか?」

──本当だ
自分の愚かさ故だろうか。気付けば熱い涙が頬を伝っていた

253: 2012/10/15(月) 00:43:36.52
「はは……こんな状態がいつまでも続くのかと思うと、自分が情けなくてですね」

俺はそう吐き捨てると、だらしなく寝転んだ
月が俺を見ている。まるで俺を叱責するかのように

「プロデューサーさん。私達の時間は有限なんです。アイドルの活動期間は特に短いんですから」

それぐらいわかっている。わかってるからこそ自分が情けないんだ

「だから……振り返ってる時間があるなら、もっとがむしゃらに走り続ければいいんじゃないでしょうか?」

「音無さん、それって逆にすごく難しいような気がしますよ」

「ええ。ごちゃごちゃ言わずにキリキリ働け、と言うことですね」

本当に、この人は無茶を言う
だが、音無さんの顔は笑っていた。この人なりの励ましなんだろう
嘲笑う表情でもなく、ただただ美しい──笑顔

254: 2012/10/15(月) 00:45:10.26
「……音無さん、ありがとうございます」

その無茶に乗っかってみるのもいいかもしれない
今まではただがむしゃらに走り続けて結果が出なかった
だが、ここでそれをやめてしまっては今までついてきてくれたアイドル達に申し訳が立たない

「俺、生意気を言ってましたね。自分に甘えてたのかもしれない」

「私になら甘えてくれてもいいんですよ? ふふっ……」

「はい、人生の先輩に教えを請うことにします」

「わ……私もそこまで年上じゃないんですけど……」

そう言ってもじもじする音無さんは、どこか可愛く見えた
この人はこんなにも魅力的だったのか──

「ぷっ……あはははは!!」

「もうっ! 笑わないでください!」

この人を苦手だと思っていたさっきまでの俺に、助走をつけてドロップキックを食らわせてやりたい


俺もいつの日かまた、輝けるだろうか。アイドル達と一緒に──

──今宵の月のように



255: 2012/10/15(月) 00:46:04.38
長介「姉ちゃん、みんな寝かせたよ」

やよい「ありがとう長介。えへへ、楽しみだね!」

長介「別にいいけど、いきなりどうしたのさ? 月見がしたいなんて」

やよい「んー……ほら、最近お仕事が忙しくてあんまりお話できなかったでしょ?」

長介「まあ、そうだなあ。ここのところはオレとかすみで何とかしてたし」

やよい「ごめんね、長介……長介だって友達と遊──」

長介「はぁ……その話はいいってば。オレだって休み時間はちゃんと友達と遊んでるし」

長介「それに姉ちゃんだって遊んでるわけじゃないんだ。オレにだってそこのところの分別は付いてるよ」

やよい「長介……大人になったんだね」

256: 2012/10/15(月) 00:47:13.86
長介「そんな大したものじゃないって。ほら、アレだよ、アレ」

やよい「アレ? えーっと……プリクラ?」

長介「……プライドだよ、プライド。きょうだいの一番上はやよい姉ちゃんだけど、オレは長男なんだ」

やよい「えへへ……」

長介「な、なんだよ?」

やよい「今の長介、ちょっとかっこいいかなーって」

長介「べ、別にそんなんじゃねーし! 今は姉ちゃんが助けてくれてるけど、高槻家の長男として父さんの後を継ぐのはオレなんだから!」

やよい「やっぱりかっこいいよ、長介。私の自慢の弟!」

257: 2012/10/15(月) 00:48:10.40
長介「あ、あんまり恥ずかしいこと言うなよな! ほら、雲から月が出てきたよ」

やよい「あ、ホントだ! ……お月様、きれいだね」

長介「うん、きれいだ。……月って明るいんだなあ」

やよい「うん。私たち家族みたいだね!」

長介「どこが?」

やよい「明るいところ!」

長介「それって太陽でもいいような気がするけど」

やよい「はわっ! 長介のいじわる~!!」

長介「いじわるなんかしてないって!」

やよい「ほらほら、怒ってないで響さんが作ってくれたサーター……ナントカ? これ食べよ?」

259: 2012/10/15(月) 00:49:21.66
長介「ナントカって……あ、これうまい。ドーナツみたいだ」

やよい「でしょー? 響さんがいっぱい作ってくれたんだよ! みんなの分もちゃんと残してあるからいっぱい食べてね!」

長介「響さんかあ。浩太郎や浩二たちの相手もしてくれて、いい人だったな」

やよい「うん! 私もすっごくかわいがってもらってるんだよ!」

長介「……でもオレは……伊織さんにお礼と報告をしたいかな。プライドを保ってるって……」

やよい「ん? どうしたの?」

長介「なんでもない! それじゃあ姉ちゃん、オレもう寝るよ。おやすみ」

やよい「ん、おやすみ。私ももう寝なきゃ……」

やよい「……いつもありがとう、長介。大好きだよ」


おわり

264: 2012/10/15(月) 00:52:28.46
終わったみたいだから失礼して投下


雪歩「プロデューサー、お茶淹れて来ました~」

P「お、ありがとう、雪歩」

雪歩「こんなに綺麗な月は初めてです」

P「雪歩の淹れてくれたお茶を飲みながら月を見るっていうのも風流だな」

雪歩「これだけ綺麗な月を見てたら嫌な事も忘れられそうです」

P「そうだな」

雪歩「今日だってお仕事でミスしちゃって、こんなダメダメな私はアイドルに向いてないんじゃないかって思ってました」

P「そんなことないさ、雪歩はいつも頑張ってるよ」

雪歩「プロデューサーはいつもそう言って慰めてくれますけど、それでも一度考えるといつもはなかなか抜け出せないんです」

P「それは気付かなかったな」

266: 2012/10/15(月) 00:53:39.29
雪歩「だけど今日は、この月を見てたら私の悩みなんかちっぽけなんじゃないかって思えるんです」

P「きっと雪歩は気が小さいから臆病風に吹かれやすくて、だから小さな失敗でも大袈裟に考えちゃうんだよ」

雪歩「そうでしょうか……?
でしたらプロデューサー、私をちゃんとトップアイドルにまで連れていってください!」

P「ああ、もちろんだ!これからもよろしくな、雪歩」


おしまい

270: 2012/10/15(月) 00:56:29.07
千早「こうしてゆっくり月を見るのはいつぶりかしらね。」

昼間の喧騒を忘れたかのように静まり返る夜半の公園。

千早は嘆息と共に惚けた表情で空を見上げる。

冬らしく澄んだそこには、煌々と白銀の月が輝いている。

春香「お仕事、最近忙しいもんね。」

隣に腰掛ける春香の顔は僅かな月の影に照らされ、白々としている。

春香「でもなんで、いきなりお月見に誘ってくれたの?」

無垢な笑みを浮かべて、可愛らしく首を傾げる。

千早は黙ったまま、そっと俯いた。

口にするには少しばかり恥ずかしい理由で彼女を誘ったことを悟られないよう、深く目を伏せる。

271: 2012/10/15(月) 00:57:54.98
春香「千早ちゃん?」

目線を合わせようと春香は体を少し寄せ、身を乗り出して顔を覗き込む。

春香「ねぇ千早ちゃんってばー?」

あわせた目が逸らされることはなく、せがむようにこちらを見据えている。



千早「・・・のよ。」

観念した千早は、消え入りそうな声で呟く。

春香「え?」

気恥ずかしさで頬を桜色に染めながら、再び口を開く。

千早「人肌が恋しくなったというか・・・寂しかったのよ。」

273: 2012/10/15(月) 00:59:44.58
春香「そっか。そんなこともあるよね。」

そっと春香の手が千早のそれに重ねられる。

寒い中だからこそ、余計に感じられるその温かみ。

何かが溶けていくような不思議な感覚を千早は味わった。

春香「ねぇ、千早ちゃん。」

千早「なに?」

春香「私の部屋に小さい望遠鏡があるんだ。」

顔いっぱいの天真爛漫な笑いを浮かべた春香は立ち上がり、ぐっと千早の手を引く。

いつもは見せることの無い強引さで腕を引かれる千早。

春香「一緒に見ない?」

それが春香なりの気遣いだと気付くまでに時間はかからなかった。

274: 2012/10/15(月) 01:02:01.69
千早「ええ。じゃあ、今日は泊まっていってもいいかしら。」

春香は振り向くと、悪戯っぽく口角を吊り上げる。

春香「いいよ。甘えんぼさん?」

千早「ちょっと春香…」

軽く声色に抗議の色を滲ませながらも、千早の内心は密かな嬉しさで満ちていた。

自分の隣を歩いてくれる親友の存在を改めて感じ、知らず知らずのうちに顔が綻ぶ。

千早は小走りの春香に置いていかれないよう、閑散とした夜道を軽い足取りで駆けた。



中秋の名月、と形容するに相応しい月は、先ほどよりもひっそりと控え目な輝きを地上へと送っていた。

それはまるで、心の隙間を埋めることを手伝うかのように。


そしてまた、身を寄せ合う二人の少女を見守るかのように。

fin

280: 2012/10/15(月) 01:11:30.18
P「……ん?」

あずさ「……どうしました?」

P「あずささん、起きられますか?」

あずさ「ええと…腰が抜けちゃって…」


P「少し乱暴にしすぎましたね…すいません」グイッ

あずさ「いえ、大丈夫です………あ」

P「綺麗な満月でしょう?」

あずさ「……本当ですね」

283: 2012/10/15(月) 01:14:57.01
P「……」

あずさ「……くしゅん!」

P「室内とはいえ、いつまでも裸だと寒いですよね」

あずさ「それに…外から見られちゃいますね」


ファサ


P「毛布に包まっておきましょう」

あずさ「はい」

あずさ「プロデューサーさん、あたたかいですね」

P「あずささんは、少し冷えてますね」

287: 2012/10/15(月) 01:20:15.25
P「静かで、いい夜ですね」

あずさ「はい、とっても……」


コツン


あずさ「肩、お借りしますね」

P「なんだか今日は甘えん坊さんですね」

あずさ「駄目ですか?」

P「いえ、大歓迎ですよ」

あずさ「ではお言葉に甘えて……」




しっぽりエンド

292: 2012/10/15(月) 01:27:58.14
美希「……誰?」

ミキ「ミキはミキだよ。キミもミキなの?」

美希「うん、ミキも美希なの。同じだね」

ミキ「でも髪型、ちょっと違うかも。美希はゆるふわってカンジ!」

美希「これ、結構時間掛かるんだよ? ミキは髪切ったんだね。どうして茶髪にしたの?」

ミキ「んー……ハニーにいろいろ思うことがあって。いっぱい助けてもらったの」

美希「そっか。ミキもハニーのこと、大事に思ってるんだね」

ミキ「あはっ! 最初はそこの人、なんて言っちゃってたの!」

美希「それひどいの……ミキでもそんなことしないよ?」

ミキ「ミキ、世の中をちょっと舐めてたみたい。今はいろいろ改心したんだよ」

294: 2012/10/15(月) 01:29:23.32
美希「美希もそういうところ、あったかも。でも律子、さんにからいろいろ言われて、やっと気付けたの」

ミキ「律子…さん? 律子……さんがどうかしたの?」

美希「律子………さん、プロデューサーをやってて、新しいユニットを組んだんだ。竜宮小町っていうんだよ!」

ミキ「律子…………さん、プロデューサーになれたんだ! おめでとうなの!」

美希「その律子率いる竜宮小町を見てて、美希も頑張らなきゃなーって」

ミキ「……美希はすごいんだね。ミキはハニーに助けてもらうまでおバカさんだったの」

美希「ミキだって気付けたんでしょ? そんなにおバカさんじゃないの。それにミキ、すっごくキラキラしてるってカンジ!」

ミキ「美希もそう思うの? だってミキたち、二人ともミキだもんね!」

297: 2012/10/15(月) 01:31:19.34
美希「あはっ☆ ジガジサンってやつなの! ……美希、頑張るから。ミキも頑張ってね」

ミキ「トーゼンなの! ミキ、ハニーと結構いいところまで行ってるんだよ?」

美希「ぐぬぬ……羨ましいの……。でも、ミキの方がちょっとだけおっOいおっきいもん!」

ミキ「み、ミキだってまだまだ成長期だもん! これからまだまだ──」

美希「あっ、月がもうすぐ隠れちゃう……キレイな月だったのになあ」

ミキ「──そろそろお別れみたいだね」

美希「えっ? もう行っちゃうの?」

ミキ「うん。ミキ、もうすぐここにいられなくなるの」

美希「そっか……頑張ってね、ミキ。美希も頑張るから!」

ミキ「美希こそ、ぜーったいハニーと幸せになってね! 約束だよ!!」ギュッ

美希「うんっ! 美希とミキの……多分、最初で最後の約束!!」ギュッ


──────────────────

298: 2012/10/15(月) 01:32:41.75
──────────────────


美希「……消えちゃったの。なんだか不思議なカンジだったなあ」

貴音「美希、どうかしたのですか?」

美希「貴音……貴音は、もう一人の自分って信じる?」

貴音「どうでしょうか。少なくとも私は逢ったことはありませんね」

美希「じゃあ、月が魔法をかけるとか、そういうのは?」

貴音「月は膨大な魔力を持つものと、古来より言われていますね」

美希「ふーん……じゃあ月のせいなんだね!」

貴音「……美希? ここで一体何があったのですか?」

美希「んー……ヒミツなの! 美希とミキの約束だもんっ♪」


おわり

309: 2012/10/15(月) 01:43:51.90

「綺麗だな……」

宙に真ん丸と浮かぶお月様を見て、あまりの美しさに俺は呟いていた。
爛々と放たれる輝きと、どこか儚さを感じさせる印象に――765プロに所属するアイドル達を重ねてしまう。

ステージ上で歌い踊り笑うアイドル達は誰よりも輝くけど、アイドルとしてステージに立てる期間は短い。
その短き命を、精一杯に輝かせる自慢の彼女達は。

「重なって見えたか……」

彼女達と出会って数年が経過し、今や彼女達はトップアイドルの仲間入り。
苦労、喜び、悲しみ、意見の食い違いによりぶつかり合い。
人間が感じる一生分の喜怒哀楽を、俺は彼女達にぶつけて、俺は彼女達に与えられたのだろう。

この出会いに感謝を。
きっと何度人生をやり直したって、こんな巡り合わせはもう一生訪れまい。
だから感謝を。この巡り合わせを与えてくれた彼女達に。それを支えてくれる社長や音無さん。現場の人達に。

「いかんなぁ……ちょっと酔いすぎたか」

あまりにもお月様がキレイだから。
自分の周囲を見れば自慢の彼女達が、俺と同じようにお月様を見上げていて。――キレイだ。
酔うのも無理はない。
上も左も横も。こんなにも綺麗な――包まれているんだから。少しぐらいは酔っても仕方ないよな。


311: 2012/10/15(月) 01:45:12.95
自分の思考に笑っていると、俺の様子に気付いたのか彼女達から視線が集中する。
そして彼女達は一斉に笑うと、

『プロデューサ――月が綺麗ですね』

十三人の声が揃って、俺の聴覚に飛び込んでくる。
俺も笑うと、

「ああ。綺麗だよなー」

ありきたりな感想しか返せないけど、万感の思いを乗せて口を開いた。
何故か彼女達はやれやれと溜息を付き首を振るが、俺は何か間違っただろうか?

「なんでもないですよー。プロデューサさんだからそれでいいんです」

やっぱり意味がわからなくて首を捻るが、みんながそう言うのならいいのだろう。
そう納得した俺は、また空を見上げると爛々と輝くお月様を見る。

「まあ月より、俺のアイドル達の方が綺麗だけどさ」

そう呟き、飽きもせずお月様を見上げる。周囲が何か慌しいが、俺は気にしなかった。今はこの一瞬に浸っていたい。
また明日から頑張ろう。道はまだまだ続く。
閃光のように輝くアイドル達の活躍を、もっともっと多くの人に見て貰うために。
嗚呼。
本当に。
キレイだ。

おわり

316: 2012/10/15(月) 01:50:57.93
P「そうして、かぐや姫はお月様へと帰っていきましたとさ。おしまい。」

絵本をぱたりと閉じ、隣を見遣る。

p「zzz」

案の定、pは小さな寝息をたて、あどけない表情で眠っていた。

P「寝ちゃったか。」

真「誰に似たんですかね?本が苦手って。」

pを挟んで向こう側にいる真がくすくすと笑う。

319: 2012/10/15(月) 01:55:30.81
P「俺は別に本苦手じゃないぞ。むしろ真じゃないのか?」

真「わたしは本好きですよ!だって読むと胸がドキドキするじゃないですか。」

真「それに引き換えあなたは漫画ばっかり。」

P「うっ・・・ 漫画だって立派な本さ。」

視線を逸らすように寝返りをうつ。

pが生まれて、夜川の字になって寝るようになってから早数ヶ月。

322: 2012/10/15(月) 01:58:14.32
こうして最後まで聞くことはないであろう物語を読んでやるのがPと真の習慣になっていた。

真「なんか、夫婦って感じがしますね。」

P「幸せってこういう時間のことを言うんだろうな。」

頬を染めた真は照れ隠しに横の窓の外を覗き込む。

真「あ、月だ。」

P「うん。綺麗だな。」

真「あそこにかぐや姫がいるのかぁ。」

325: 2012/10/15(月) 02:02:25.53
真「かぐや姫も王子様と巡りあっていれば、月まで王子様が迎えにきてくれたんだろうなぁ。」

P「昔話をアレンジするなよ。」

密やかに煌めく月を見上げ、ふとある考えが頭に浮かぶ。

P「なぁ、真。」

真「はい?」

P「明日、お月見に行かないか。pは誰かに預けて、久しぶりに二人きりで。」

327: 2012/10/15(月) 02:05:10.13
真「え、いいの?」

P「ああ。」

真「へへっ やりぃ♪」

P「じゃあ明日の夜眠くならないように、今日は早く寝ようか。」

真「うん。じゃあおやすみなさい、私の、王子様。」

言い切るや否や、布団をばふっと被って顔をうずめる真。

328: 2012/10/15(月) 02:07:24.11
P「小っ恥ずかしいことをさらっと言うな・・・」


P「まぁいいか。おやすみ。俺の、お姫様。」

おしまい

329: 2012/10/15(月) 02:10:22.90

雪歩「月、見えませんね」

P「もう少し晴れたらよかったのにな」

雪歩「せっかく来てもらったのに、ごめんなさい」

P「いいよ。最近会ってなかったし」

雪歩「……寂しかったり、しました?」

P「………………」

雪歩「やっぱり、そんなことないんですね。酷い人」

P「……それは、君が一番よく知っているんじゃない?」

雪歩「そう、なんですか?」

P「うん。だって、俺がここに来てから、
  しばらくの間は、ずっと一緒だったじゃないか」

雪歩「最近は?」

P「……すまない」

331: 2012/10/15(月) 02:12:00.03

雪歩「私、プロデューサーがいないと、やっぱりダメダメなまま、なんです」

P「君の活躍は、よく耳にしているけど」

雪歩「そう言う問題じゃ、そう言う問題じゃなくて――」

P「うん」

雪歩「……あまり、意地悪しないでください」

P「あー……、うん」

雪歩「…………ねえ、何か隠してませんか?」

P「……わかる?」

雪歩「わかりますよ。長い付き合いでしたもん」

P「おいおい、過去形になっちゃうのか」

雪歩「……もう、知らないです」

P「わかったよ。教える教える」

雪歩「………………」


332: 2012/10/15(月) 02:13:47.17
P「また、君につくことになった」

雪歩「……そうですか」

P「あれ? 驚かないの?」

雪歩「だって私、信じてましたから」

P「そうか」

雪歩「はい」

P「それはよかった。じゃあ、そろそろ中に入ろう。
  冷え込んできたし、今日は月も見えそうにない」

雪歩「いいえ、もう少し待たせてください」

P「わかった。じゃあ……」

雪歩「あ――」

P「……でも、やっぱり寒いな」

雪歩「いいんです。もう少し、もう少し――」

おわり

335: 2012/10/15(月) 02:16:32.23
春香「うーん、月と言えばみんなどんな歌思い出す?」

やよい「月、月ですかー……私は『月明かりふんわり落ちてくる夜わ~♪』ってやつが好きですー!」

春香「ああ!あのクレヨンしんちゃんのエンディングだね!」

やよい「はい!よく長介が小さいころビデオ借りに行ってて……えへへー、なんとなく聞いてたら好きになっちゃいました」

春香「うんうん、ほっこりした歌で良いよねー!」

貴音「私はやはり、カバーをさせてもらった月のワルツ、でしょうか」

春香「貴音さんにピッタリの曲だよね」

貴音「はい、あの曲にはどこか……面妖なる思いがこもっていると思います」

春香「うんうん……!」

貴音「こんなにも月が綺麗な夜は歌いたくなります」

春香「じゃあ二次会のカラオケで!」

貴音「はいっ」

338: 2012/10/15(月) 02:17:35.32
千早「私は……月光かな」

春香「おお、流石千早ちゃん……クラシックだよね?」

千早「そう、ピアノソナタ第14番よ」

春香「よく聞くの?」

千早「ええ……今度春香も聴いてみると良いわ。ごめんなさい、歌じゃなかったんだけど」

春香「ううん!大丈夫だよ!」

P「そういう春香は何を思い浮かべたんだ?」

春香「わ、私ですか!?え、えーっと……『出た出た月が』?」

P「ど、童謡か!?」

春香「は、はい!って、それくらいしか出てこなくって、うぅ……」

P「はっはっは!春香らしいな」

340: 2012/10/15(月) 02:18:22.51
小鳥「私もいいですか!」

P「え?こ、小鳥さん?」

小鳥「もちろん!月と言えば……『ムーンライト伝説』ですよ!」

P「」

小鳥「ムーン・クライシス・メイクアップ!」

P「な、なんでスーパーセーラームーンなんですか……」

小鳥「あれ?プロデューサーさんも見てた口ですか?」

P「しまった」

終わり

345: 2012/10/15(月) 02:22:30.32
真「ん~! 月の綺麗な夜だなあ。こんな夜はいい出逢いが……なーんちゃって! へへっ♪」

涼「あれ……真さん?」

真「うわぁっ!? や、やあ涼! こんなところで奇遇だね」

涼「やっぱり真さんだ! お久しぶりです! 舞台の時はありがとうございました!」

真「涼のティンカーベル、すごく良かったよ! いや~、ボクも感動しちゃったなー!」

涼「いえいえ、真師匠のおかげです! 真さんには本当にお世話になりましたから」

真「涼の飲み込みが早いおかげだよ。涼の身体能力はボクでもびっくりすることがあるからね!」

涼「えっ!? い、いやー……あははは……」

真「ところで、こんな時間までどうしたんだい? 涼の家、ここから結構離れてるみたいだけど」

涼「少し、眠れなくて。真さんは?」

真「ああ、ボクはちょっとコンビニに。家がこの近所でさ。でも防犯対策もバッチリだよ!」

347: 2012/10/15(月) 02:24:24.51
涼「(真さんには必要ない気がするけど……)……真さん、少し話を聞いてもらってもいいですか?」

真「うん、いいよ。ここじゃなんだからそこのファミレスにでも入ろうか」


真「それで、話って何かな?」

涼「真さんから見て、今の私ってどう思いますか?」

真「どうって……可愛いと思うよ。女のボクから見てもね」

涼「……でも、それじゃダメなんです」

真「……涼?」

涼「ぼ……私は強くなりたいんです。真さんみたいに!」

真「落ち着きなよ、涼。事情を聞いてもいいかい?」

涼「…………はい」

348: 2012/10/15(月) 02:25:17.09
涼「夢を……夢を掴み損ねた子がいるんです。彼女は夢に向かってまっしぐらで……」

涼「でも、一直線過ぎてちょっといけないことをしてしまった。それが引き金となって、彼女は夢を失ってしまった」

涼「僕は彼女の力になりたい! 彼女に夢を再び掴ませてあげたいんです!!」

涼「でも僕には力が足りない! 何もかも足りない!! 結局彼女のために何もしてあげられない!!」ドンッ

ざわ……ざわ……

真「……涼……。わかった、でもちょっと冷静になろうか」

涼「はぁはぁ……すみません、真さん」

真「ふぅ、もうここにはいられないな……すみません! お勘定をお願いします!」

349: 2012/10/15(月) 02:26:26.39
真「涼、君はその子を救ってあげたいって言ったよね?」

涼「はい。私も現状で精一杯のことをやりました」

真「でも、現状以外のことは?」

涼「……つまり?」

真「力を付けるんだよ、今以上に。アイドルとして大きくなろう。誰にも文句を言わせないぐらいに!」

涼「!! ……なるほど、そんな簡単なことだったんですね。わかりました、やってみます」

真「涼、簡単なことって言うけど、この業界で成り上がるのは難しいよ?」

涼「大丈夫です。私は真さんのお墨付きですから!」

真「……ちょっと訂正させてもらおうかな」

涼「何がですか?」

真「今の涼、すっごくかっこいいよ! まるで王子様みたいだ」

350: 2012/10/15(月) 02:27:27.42
涼「王子様……なら、必ず囚われのお姫様を助けてみせますね! ありがとうございました!」

真「もういいのかい?」

涼「ええ。あまり迷惑は掛けられませんし。それに私達は──」

真「──コンサバティブな関係、だね?」

涼「ええ!」

真「あははは! それでこそ涼だ! よーし、頑張ってきなよ!!」

涼「はいっ! 真さん、ありがとうございました!!」


真「月の綺麗な夜にいい出逢いが……あったね。弟子の成長を見守る師匠ってこんな感じなのかな」

真「それにしても涼、さっき『僕』って……いや、まさかね」

真「よしっ! ボクも涼に負けないぐらいに可愛さを磨かないと!」

真「きゃっぴぴぴぴ~ん! まっこまっこり~ん☆ ってね♪」


涼「ぎゃおおおおん!! さっき興奮し過ぎて僕って言っちゃったよぉ~!!」


おわり

355: 2012/10/15(月) 02:34:50.57
P「よし。撮るぞ!」

三脚の上に固定されたカメラのシャッターボタンを押して、すぐさま駆け出す。

律子「プロデューサー殿、早く早く。」

真「真ん中来てください!」

P「えっ 俺は端っこで・・・」

春香「もうタイマーが切れちゃいます。えいっ!」

358: 2012/10/15(月) 02:37:32.36
亜美真美「そいやっ!」

P「お、押すな うわっ」

カシャッ

満月をバックに春香に押され、真と千早に引っ張られ、亜美と真美に抱きつかれているというなんとも形容しがたい状態でシャッターが切られた。

P「ったく・・・ ちょっとは手加減してくれよ。」

360: 2012/10/15(月) 02:41:19.44
軽く頭を掻きながら、こう思う。

どれだけ時間が経っても、皆、全く変わらないものだと。

そして、それもきっと、彼女達の魅力なのだと。

P「よし、これをお守りにして、明日からも頑張るぞ!」

皆「はいっ!」

fin

364: 2012/10/15(月) 02:49:15.26

「ここからじゃ、あんまりみえないなぁ」

ベランダから身を乗り出すようにして、
プロデューサーが残念そうな声を上げる。

「仕方ありませんよ、時間が時間ですもん」

「せっかくこんな夜だってのに……」

別に特別な夜ではないはずだけど。
でも、さっき出たときに見た月は確かに綺麗だったわ。

「まぁまぁ、お団子どうです?コンビニのですけど、結構おいしいですよ」

「じゃあ、いただくよ。……うまいな、これ」

プロデューサーは子供みたいにはしゃいで、
ひとつ、またひとつとつまんでは食べた。

私も得意げに鼻を鳴らしながら、お団子にぱくつく。

365: 2012/10/15(月) 02:50:27.73

「あと……これも買ってきました」

「お、いいね」

差し出したのは、マイルドセブン。
あなたの好きな、マイルドセブン。

「……煙草、やめないんですか?」

「そうだなぁ……。律子に子供が出来たら、考えるよ」

「ばか」

どうせまた、いつもの冗談に決まっている。
だから私も平常運転。
いつもと違ったのは、そこでプロデューサーが笑わなかったことだ。

「これを見ても、同じことが言えるかな?」

言うなりプロデューサーは、その箱を掲げてぐしゃっと潰した。

366: 2012/10/15(月) 02:51:07.98

「な、なにを――」

「なあ律子、その団子何個入ってた?」

おかしなことをしたかと思えば、いきなり何を言い出すのかしら。
まったく、読めない人ね。
仕方なく、袋に書かれた内容量の欄を覗き込む。

「八つ、です」

「俺さぁ、五つも食べちゃったからお詫びしたいんだよ」

「別に、それくらい――」

続くはずの言葉を遮って、
プロデューサーは私の身体を無理やり抱き寄せた。

私の息がかかって、その胸がどんどん熱が帯びていくのがわかる。

367: 2012/10/15(月) 02:52:06.19

「こんな月が見えないようなところ引き払ってさ、
 マンション、買おう。俺達なら、こんなところより、もっといいところに住めるよ」

身体から、私を引きはがして、
プロデューサーがにっと笑う。

「どう?」

「……どうせ、返事は聞いてもらえないんでしょう?」

「正解」

わざとらしく指を、私の鼻先に突き付ける。
まったく、もうちょっとロマンチックにできないのかしら。

369: 2012/10/15(月) 03:00:07.94
「それで、もう一個分は?」

「……よくわかったね」

私が次に来る台詞を見越したとき、
プロデューサーはいつもがっかりとした顔になる。

私はいつもそれを見て優越感に浸るのだけど、今日は全部違った。
まったく意に介していない様子だったのだ。。

それどころか、やけに真面目なトーンの声でプロデューサーは私の耳元で囁いた。

「ここでしちゃおう」

月無き空に、頬をひっぱたく音だけがこだました。

おわり

371: 2012/10/15(月) 03:07:22.92


事務所

雪歩「えぇ!?明日のイベントの台本、テレビ局においてきちゃったんですか!?」

P「すまん!すぐとって来るから!ちょっとだけここで待っててくれないか?帰りは二人とも送るから!」

貴音「わたくしは構いませんが…雪歩、大丈夫ですか?」

雪歩「は、はいぃ、お父さんがちょっと怒るかもしれないですけど…ないと困りますから…」

P「ほんっとーにすまん!すぐ戻るから!じゃあ!」ガチャッ

…バタン

雪歩「…プロデューサーも意外とおっちょこちょいなところ、ありますよね」

貴音「今日の撮影は慌ただしいものでしたからね…けれどわたくし、プロデューサーのああいうところを見ると少し安心いたします」

雪歩「安心…ですか?」

貴音「えぇ、最近わたくしたちが人気を得るようになってからというもの、あの方との会話は幾分か減りました…それにあの方もあまり隙を見せぬようになったといいますか…」

372: 2012/10/15(月) 03:08:45.56

雪歩「少し近寄りづらい雰囲気になったってことですか?」

貴音「そう、ですね…だから今回の様な慌てている姿を見ると、やはりあの方は変わっていない、と…そう思えて少し嬉しくなるのです」

雪歩「ふふっ、あんまりおっちょこちょいだと困っちゃいますけどね。…でも…四条さんは、そんなプロデューサーのことが好きなんですね」

貴音「すき…ですか?…そうですね…確かにお慕いもうしております。ただ…飽くまでも…あくまでも同じ志を持つ者として、ですよ?」

雪歩「……なんだか四条さん、可愛いです」

貴音「なっ! ……萩原雪歩…貴女は少し意地が悪くなったやもしれませんね…」

373: 2012/10/15(月) 03:09:48.45

雪歩「そ、そんなことないですよ~!うぅ…」

貴音「ふふふっ。雪歩、貴女の可愛いらしいところはそのままのようですね」

雪歩「もう…からかわないでください。……プロデューサーが戻ってくるまでまだ時間ありますね」

貴音「そうですね…。ただこうして話をするのも良いですが……雪歩?少し屋上へ行ってみませんか?」

雪歩「屋上ですか?何か…あるんですか?」

貴音「ふふっ。それは、秘密です」

雪歩「…もう、分かりました。屋上ですね」

貴音「えぇ、何か暖かい物を羽織った方が良いですよ?」

雪歩「はい、じゃあ行きましょう」

374: 2012/10/15(月) 03:11:52.44

屋上

キィィ…バタン

雪歩「……わぁあ~!とっても綺麗な満月ですぅ!」

貴音「今日はまこと、美しい月が出ておりますね…」

雪歩「なんだか…こうしてちゃんと月を見るのって久し振りな気がします…。心が暖かくなるような、優しい光ですね…。」

貴音「えぇ…優しくて、力強い光です」

雪歩「……四条さんはこうして月を眺めるのが好きなんですか?」

貴音「そうですね…月を見ると懐かしき故郷を思い出します…それに、あの神秘的な輝きはわたくしに、力を与えてくれるような…そんな気がするのです…」

雪歩「……もしかしたら四条さんの強さの秘訣は、月を眺めることなのかもしれないですね…」

貴音「ふふっ…そうですね。辛いことがあろうとも、月を眺めていれば忘れてしまうものです」

雪歩「…………」

雪歩「私も、月を眺めて力をもらえたら……強くなれるでしょうか?」

375: 2012/10/15(月) 03:13:26.86

貴音「えぇ。ですが雪歩、貴女はもう既に強い心を持っていると思いますよ?」

雪歩「私なんて…まだまだダメダメですぅ。少しは言いたいことも言えるようになりましたけど…水着撮影だと恥ずかしがってカメラマンさんに迷惑かけちゃいますし、男の人もプロデューサー以外は触れることも出来ません…」

貴音「…それでも、少し前の貴女よりも成長したとおもいますよ?……雪歩、ゆっくりで良いのです。焦らず、少しずつ雪の上を歩くように…ゆっくりと…」

雪歩「そ、それ…プロデューサーが言ってくれた…」

貴音「ふふっ、実はあの話、通りがかりに聞いていたのです…ですがわたくしも本心からそう思いますよ?」

雪歩「き、聞いていたならそう言って下さいよぉ…うぅ…恥ずかしいですぅ…」

貴音「盗み聞きしてしまったことは謝罪いたします…しかし雪歩、まずは自分の成長を自分で認めてあげる…それが大事ですよ?」

376: 2012/10/15(月) 03:16:57.70

雪歩「自分の成長を…認める…」

貴音「貴女の一途に努力する姿は月の兎たちも見てくれています。だから己を卑下するのはもうおやめなさい」

雪歩「えぇ!?つ、月のうさぎさんですか!?」

貴音「えぇ、他にも月には蝙蝠やサンタが居るそうです。皆、貴女の成長を見てくれていますよ」

雪歩「そ、そうですか…四条さんは月に詳しいんですね」

貴音「……わたくしの故郷ですから」

雪歩「えええええ!!?」

貴音「ふふっ。じょーく、というやつです。夜にあまり大きな声を出すと近所迷惑になりますよ?」

377: 2012/10/15(月) 03:18:08.97

雪歩「四条さんだとジョークに聞こえませんよぉ……」

貴音「そうですか…?ふふっ、ふふふふふっ」

雪歩「なんだか四条さん怖いですぅ~~!!!」

ダッダッダッ…ガチャッ バダン!

P「どうした雪歩!!」

貴音「これはあなた様、どうしたのです?そのように息を切らせて」

雪歩「ぷ、プロデューサー。戻って来てたんですね…」

P「今戻って来たとこだよ…はぁはぁ……事務所にいないからどこに居るのかと思ったら雪歩の大きな声が聞こえたから…はぁはぁ」

雪歩「あぅぅ…ごめんなさい…」

379: 2012/10/15(月) 03:19:49.83

P「はぁはぁ…いや、何もないなら…はぁ…良いんだ…。何か…っふぅ…あったのか…?」

貴音「あなた様…?それは、とっぷしーくれっとです」

P「な、なんだよ。分かった分かった、それじゃ台本もちゃんと取って来たから早く帰ろう。雪歩のお父さんに殺されちゃうよ」

雪歩「さ、流石に頃したりなんかしませんよぉ!……たぶん」

P「…たぶんて……。さっさと帰ろう!貴音は駅前までで良いんだよな?」

貴音「えぇ、そこから先は、とっぷしーくれっと、ですので」

P「はいはい、じゃあ下に降りよう。車まわしてくるから帰る準備しててくれ」

貴雪「「はい」」

381: 2012/10/15(月) 03:21:08.38



貴音「少しは元気が出ましたか?」

雪歩「え?」

貴音「最近の貴女は少し悩んでいたように見えましたから…」

雪歩「四条さん……ありがとうございますぅ!とっても元気出ました!」

貴音「それなら、良いのです。同じ目標を持つ者として、これからも共に歩んで行きましょう」

雪歩「はい!」


P「お~い、何やってるんだー?早くしないとほんとに雪歩のお父さんに殺されちゃうって~!」

貴音「ふふっ、あの方は本当に面白い方ですね。では行きましょうか、雪歩」

雪歩「はい!四条さん!」

終わる

383: 2012/10/15(月) 03:27:26.51

「響、月を見に行きませんか?」

貴音に誘われるがままに、自分はその背中を追った。
確かに、今日はよく晴れているし、屋上に出れば、とてもきれいな月が見られるだろう。

問題は、今が真昼間で、ここが給湯室ってことだ。

「ねえ貴音」
「はい?」
「月が出るのは夜だってことくらい、知ってるよね?」

貴音は呆れた様なため息をつくと、物知り顔をして言った。

「なにも、月は夜だけに見るものではないのですよ。
 はい、どうぞ。これは響の分です」

自分の目の前に突きつけられたのは、何の変哲もない割り箸。

「なあ、どうしろっていうんだ? これで、月が見えるの?」

「まあまあ。そう急くものではありませんよ。ほら、見てください」

恭しく差し出されたのは、カップラーメンと……生卵?

「これにお湯をかけて三分待てば、月が見えるのです」

自分は、その黄身の中心に箸を突き刺して、それを思いっ切りかき混ぜた。

おわり

398: 2012/10/15(月) 07:56:04.85

美希「月の光ってね、人をおかしくさせちゃうんだって」

P「ああ、英語のルナにもそういう意味があるよな。偏執狂とか」

美希「ハニーはなんでも知ってるね」

P「まさか。明日のことだって分からないのに」

美希「……」

P「……ごめんな」

美希「ううん。それはしょうがないの。お月さまのせいだよ、きっと」

P「月の光で、俺も美希も狂っちゃったからって? はは」

美希「うん! お月さまのせいだから、ハニーはなんにもわるくないんだよ?」

P「じゃあ美希だって悪くないよな。天災なら。……もういいか、そんな理由で」

美希「あはっ、やっと笑ったの」

P「……」

美希「ねぇハニー? いまからあの月、見に行こうよ」

P「そうだな。外の風に当たるのも悪くないか」

399: 2012/10/15(月) 07:59:08.13

美希「冷えるね、思ってたより。汗かいてたからかな?」

P「すっかり秋だな。本当、季節なんて忘れてたよ。美希のおかげで忙しくてさ」

美希「はーにいっ」

P「おい美希、人が……いや、人がいなくてもだ!」

美希「や。ハニーがあっためてくれなきゃダメなの」

P「おかしいな。三年ほど見てきたが、こんなに聞き分けの悪い子だったか?」

美希「だって、見て? すごいよ、あんなに月がキレイなんだよ?」

P「……おお。すげえ」

美希「ね? だから、今日はおかしくなってもしょうがないよね?」

P「しょうがない、か。ま、今さらだよな」

美希「……ハニー、あったかい」

400: 2012/10/15(月) 08:02:11.64

P「でもびっくりするほど人がいないな、この時間は」

美希「びっくりなの。東京って、こんなに広かったんだね」

P「終電もとっくに終わってるしな。渋谷駅まで歩けば別だろうが」

美希「スペイン坂のスイパラ、おいしかったね。いこっか?」

P「はは、さすがに開いてねえよ。そりゃ」

美希「開いてたらキセキなの!」

P「確かめに行ってみるか? そろそろ3時だし、スイーツにはちょうどいい時間だな」

美希「あはっ、ハニーもおかしくなってきちゃった」

P「しょうがない、んだろ? ほら、くらくらするほど満月」

美希「じゃあミキも、もっともっとおかしくなるね!」

たったったっ

410: 2012/10/15(月) 10:04:06.49
P「真美、上見てみろ」

真美「どしたの……あっ!」



真美「すごい……」

真美「チョ→綺麗だね!」

P「そうだなぁ」

411: 2012/10/15(月) 10:08:53.89
真美「……うっ」

P「どうした?」

真美「ヤ、ヤバ……あぁ」プルプル

P「お、おい……大丈夫か?」


真美「満月をみると……血が…」プルプル

P「……うん?」

真美「あ……ぁ…」

412: 2012/10/15(月) 10:14:49.97
真美「あおーーーん!」


カプッ


P「ギャアァァァァ!!」

真美「んっふっふ~、実は真美は狼人間なのでした!」

P「甘噛みはやめろ……甘噛みは」

真美「そして、真美に噛まれた兄ちゃんも狼人間になる!」

P「な、なんだってー!?」



真美・P
おわり


420: 2012/10/15(月) 11:00:40.87
美希「ハニー!」


むぎゅ


P「……っと、どうした?」

美希「お月さまが、すっごく綺麗だよ!」

P「へえ、今夜は満月なのか」

P「よし! せっかくだしお月見しよう」

美希「おー!」

421: 2012/10/15(月) 11:07:14.04
美希「わぁ……おっきい」

P「……」

美希「どうしたの? 前かがみになって」

P「なんでもない……気にするな」

美希「ヘンなハニー」

P「ぐぬぬ」

423: 2012/10/15(月) 11:10:57.15
美希「そうだ!」

美希「はい、月見おにぎり!」

P「団子じゃなくておにぎりか」

美希「そうだよ」


もきゅもきゅ


P「……うまい」

美希「トーゼンなの」

425: 2012/10/15(月) 11:14:59.69
P「うん、程よく腹も膨れたな」

美希「じゃあ……ここでハニーする?」

P「今の時期外でミキするのは寒いぞ」

美希「そっか……」

美希「じゃあ、部屋でカーテン開けてハニーしよ?」

P「そうだな」

美希「今夜は寝かさないの!」

P「それはこっちの台詞だ」



美希とミキするEND

431: 2012/10/15(月) 11:59:49.41

P「あ、おい……行っちゃったよ」

P(ったく。さっきまで泣かせてたくせに。現実逃避してる場合じゃないってのに、)

 Prrrr

P「ん。もしもし? ……おお。やっぱり歩道橋の上からだと、見晴らしいいのか?」

美希『うん! ちょっと暗いけど、ハニーのへんな顔はバッチリみえるの!
   なんかね、空が低くて落っこちてきそう! ミキたちつぶれちゃうかも?』

P「あんまり乗り出すと危ないぞ? って、言ってるそばから踊るなってば」

美希『あはっ。ねえっ、ハニーはミキのこと、見える?』

P「……ああ。電灯に照らされて、星のかけらみたいにキラキラして見えるよ」

美希『ぷふっ、ハニーはそういうの似合わないって思うな』

P「うるせえ。美希、そっち行っていいか?」

美希『? なんで聞いたの?』

P「あ……なんでだろう。すまん、なんでもない」


432: 2012/10/15(月) 12:00:19.44

美希『大丈夫だよ。ミキは、ハニーに見えるように、ここでキラキラしてるからね』

P「じゃあ俺はここでそんな美希をしばらく眺めてようかな」

美希『もう、なんで来ないのー?! ミキ、やっぱりどっか行っちゃうよ?』

P「あはは、それなら俺も着いていくしかないな」

美希『とーぜんなの。だってハニーは、ミキの……』

P「……」

美希『……やっぱり、ほんとに今からどっか行こ? このまま、二人で旅したいな』

P「……いいな、それじゃあどこ行こうか?」


433: 2012/10/15(月) 12:00:49.52

美希『ハニーと一緒なら、どこでもいいよ』

P「うーん、それなら疲れを癒せるところがいいかもな、二人きりで」

美希『温泉! ロマンスカーって、ハニーとミキにピッタリだって思うな!』

P「箱根か、そりゃいいな。そしたら小田原かどっかで降りて、昼飯でも食おう」

美希『海の幸がたーっぷりなの! エビもイクラも、温泉たまごも!』

P「温泉たまごは箱根入りしてからだな、どっかいい旅館でも取ろう」

美希『露天風呂がいいな、ハニーとおそろいの浴衣で』

P「おいおい、昼過ぎから風呂に入ったら、今日はそれっきりになりそうだ」

美希『あはっ、ハニーのエOチ。でも、いいよ? ハニーになら、まためちゃくちゃにされたって』


434: 2012/10/15(月) 12:01:19.76

P「いや、でも記念写真ぐらいはほしいな。芦ノ湖の遊覧船をバックに、二人でさ」

美希『ミキ知ってるの! すごくゴージャスな船なんだよね!』

P「それから宿に戻って、うまい懐石料理をいただいて、二人っきりで過ごす」

美希『ケータイの電源なんか切っちゃって、ハニーとミキだけの世界で』

P「うん、全部忘れて、どこまでも遠くに旅に出て」


美希『そしたら、あした世界が終わっちゃっても、

   ……いいかもって、思うな」


P「……」

美希「ほんと、このまま旅に行けちゃったら、よかったのにね」

435: 2012/10/15(月) 12:02:21.69

P「……美希」

美希「ハニーは悪くない! ミキがね、ミキがワガママだったから、」

P「……それも引っくるめて、プロデューサーの、責任なんだよ」

美希「今は“プロデューサー”じゃないよ、ハニーと話してるんだよ?
   ねぇハニー、ミキは大丈夫だから、そんな顔、」

P「同じことだろうが! 俺が、この俺がアイドル星井美希に泥を塗って――」


美希「はむっ……ん…ちゅ」

P(お、おい・・・!)

436: 2012/10/15(月) 12:03:09.66

美希「ぷはっ……ね? いまだって、先にキスしたのは、ミキだよ?」

P(本当、何やってるんだよ俺は・・・! 右も左も分からない娘に、責任まで感じさせて)

美希「……ううん。最初から、わかってた。とーぜんだよね。
   トップアイドルの星井美希と、プロデューサーさんは、お付き合いしちゃいけないの」

P「美希……」

美希「ミキ、いつかみんなにバレて世界の終わりが来るって、今日までずっとそう思ってた」

美希「だから、ハニーがぎゅってしてくれて、一瞬だけでも忘れさせてくれて、助けられたんだよ」

P(ベッドで見せた泣き顔が嘘のように、慈しむような目をしてる)


437: 2012/10/15(月) 12:04:28.76

美希「ねぇ、耳かして。ハニーだけにすごいこと教えたげるね。
   今日のことは、全部お月さまのせいなんだよ。大好きな人が言ってたの」

P「え……?」

美希「東京の、低く暗くてすぐ落っこちてきそうな夜空が、
   パパラッチみたいにハニーをつけ回す衛星がいけなかったんだよ」

P「ああ……天災なら、しょうがない、か」

美希「でしょ? だからミキが代わりにハニーを許してあげるね。
   アイドルじゃないただのミキが、プロデューサーじゃなくてハニーのことを、
   夜が明けるまでは……明日になるまでは、ヒミツで許しておいてあげる!」

P「……許して、くれるのか」

美希「うん!
   だから、そんな……お願いだから、そんな氏んじゃいそうな顔、しないで」

438: 2012/10/15(月) 12:05:14.25

美希「ただいまなの! って、言うのもこれで最後だね」

P「明日からは、そういうわけには行かないしな」

美希「明日、事務所には一緒に行くね」

P「そう、だな。社長に事実関係を説明して、今後の方針を」

美希「明日になったら、プロデューサーさんだね」

P「ああ。美希にも、星井美希が待ってるぞ」

美希「……」

P「……」

439: 2012/10/15(月) 12:05:56.96

美希「空、明るくなってきちゃった。もう4時だもんね」

P「7時半にはここを出るからな」

美希「……ハニー、おねがいがあるの」

P「?」

美希「いつか、何年先でもいいの、また、こんな風に会えるよね?」

P「……ああ。約束する。そのときは、一緒に箱根にでも行くか」

美希「あはっ。じゃあその時まで、あのお月さまのことを覚えていて」

美希「それでね、こんな満月を見るたびに、ミキのことを思い出してほしいな」

441: 2012/10/15(月) 12:06:49.20

 夜が明けるまでの短い間、呼吸を求めるようにキスを交わしあった。

 身体の輪郭を、汗と熱を、どうにか忘れないようにと探りあった。

 そんな、あの日の夜明けから、俺はいくつの月を眺めて過ごしたんだろうか?

 夕過ぎ、表参道のCDショップでディスプレイ越しに懐かしい顔を見つけた時、あの満月が頭をよぎった。


  『私、星井美希は芸能活動を休止します』


 線香花火のように瞬くフラッシュが、21歳の完璧なアイドルに向けられる。

 会見中に挿入されたステージ映像はいつかの歩道橋と重なって見える。

 お疲れさま。一通り終わったら、久しぶりに羽を伸ばしに行こうか。

 軽くはない胸の熱さと苦さを持て余しながら冗談混じりでメールの文面を考えていると、


442: 2012/10/15(月) 12:07:35.88

「――はい、765プロの」


『ねえっ、ハニーはミキのこと、見える?』


 見上げる。そこにはあの日と同じ、おかしくなりそうなほど綺麗な満月と、

 数メートル先で街灯に照らされて手を振る、画面越しに再会したばかりの懐かしい姿。

 深夜の国道で交わしたキスの味が滲み、唇を湿らせる。

 そういえばそんな季節だったと今さら思い出して、相変わらず季節に無頓着な自分に笑った。


おわり

454: 2012/10/15(月) 13:05:30.91
──────
おじさんへ

こんにちは。お元気ですか。

今日は兄弟みんなでお月見しながら、お外でお団子を食べました。
妹のかすみと一緒にたくさん作ったんですけど、うちは食べ盛りの弟たちが多いので
すぐになくなってしまいます。
だけど、みんなおいしそうに食べてくれたのでとっても嬉しい気持ちで一杯です。
来年もできたらいいなぁ。

一人になってから、このお手紙を書いています。
少し傾いていますけど、まん丸な月がとっても綺麗です。
それに耳を澄ますと、とっても静かで気持ちが良いです。
風もほどよく冷たくて、なんだか幸せな気分です。

おじさんは今頃何をしているんでしょうか。
私と同じように、綺麗なお月様を見ているんでしょうか。
おじさんと知り合って随分経ちました。
こうしてお手紙でお話する以外におじさんのことを知る機会なんてほとんど無いですけど、
それでもどんな人なのか、なんとなく想像がつく気がするんです。

おじさんはきっと、私が昔お世話になったプロデューサーにそっくりなんだと思います。

455: 2012/10/15(月) 13:06:19.25

私が何かを話したとき、返ってくる言葉がそっくりです。
「きっとプロデューサーもこう言っただろうなぁ」って、感じるんです。
プロデューサーもとっても優しい人でした。
わけあってきちんとしたお礼もできないままお別れになっちゃいましたけど、
おじさんからのお手紙を読んでいると時々その人のことを思い出します。
気のせいなのは分かってるんですけどね。
プロデューサー、元気にしてるかな。

でも、寂しいことがあっても、こうやって鉛筆を走らせるだけで
私は元気が湧いてきます。
おじさんからお返事がくるの、毎日待ってるんですよ。
何が書いてあるか、いつも楽しみにしてるんですよ。

なんだか感傷的になっちゃいました。ごめんなさい。
いつか、おじさんとも一緒にお月見したいです。
私の夢はかなうでしょうか。

お返事くださいね
                高槻やよい
──────

456: 2012/10/15(月) 13:07:06.67

──────
やよいちゃんへ

こんにちは。元気かな。

いつもなら君のお返事を待ってお手紙を書くところなんだけど、
今日は特別に送ります。
なんてったって十五夜だもんね。

やよいちゃんのおうちは兄弟が多いから、きっとお月見も賑やかなんだろうね。
僕は他のお仕事でなかなか忙しくて、ゆっくりする機会が無いのだけれど、
きっとやよいちゃんは素敵な時間を過ごしていると思うので、その時の君に宛てた手紙を書きます。

満月は月に一度しか見られない。
そしてやよいちゃんからのお手紙も月にたった一通。
君はどんな気持ちで満月を眺めているのかな。

457: 2012/10/15(月) 13:07:40.61

君のことはお手紙でしか分からないけど、きっと君は僕の昔の知り合いにそっくりなんだと思う。
今はわけあって離ればなれになってしまったけど、
またいつか会って話をしたいなあ。
元気でやってるといいけど。

その人と一緒にいるととっても元気になれたし、
やよいちゃんのお手紙を読むと同じくらい元気になれるから、
なんだか自然と思い出されるんだ。

いつかその人とまたどこかで出会って、今度は一緒にゆっくりお月見でもしてみたいな。
もちろん、やよいちゃんともね。
こんな夢はかなわないかも知れないけど。

どうか素敵な夜を。
お返事待ってます
             あしながおじさん
──────

458: 2012/10/15(月) 13:08:46.27
正直本当にすまないと思っている
だけどどうしてもこういう書き方をしたかった

後はまた誰かよろしく

461: 2012/10/15(月) 13:21:43.33
美希「綺麗なの」

貴音「えぇ。とても」

美希「ずっと眺めていたいの」

貴音「本当に」

美希「屋上に出てみる?」

貴音「わたくしはこの景色も好きですね」

美希「窓枠が邪魔なの」

貴音「区切られる事で一幅の絵画のようにも見えます」

美希「そういう見方もあるんだね」

465: 2012/10/15(月) 13:36:20.18
貴音「他の皆とは会えていますか?」

美希「うーん。やっぱり現場が多いの」

貴音「わたくしもです。こんな時間は本当に貴重です」

美希「変だね。前は殆ど話なんかしなかったのに」

貴音「ふふ……。魔力というものかもしれません」

美希「"アレ"の?」

貴音「えぇ」

美希「……うん。そうかもしれないね」

貴音「ですが……」

美希「……?」

貴音「きっかけがあの星だとしても」

美希「……うん」

貴音「これからのわたくし達の時間は、きっと今までとは違う物になるでしょうね」

美希「ミキもそう思うの」

466: 2012/10/15(月) 13:41:56.62
P「ふぃー……い?」

美希「あ、ハニー」

P「……どうしたんだ? こんなトコロで」

貴音「ひさかたの、です」

P「ん?」

美希「ハニーこそどうしたの?」

P「あ、あー……ちょっとな」

貴音「一服ですか?」

P「うっ……あぁ」

美希「ハニーは絵画なの?」

P「え?」

467: 2012/10/15(月) 13:47:24.71
P「それにしてもこのツーショットは珍しいな」

美希「あはっ☆ 魔力に惹かれたの」

P「? へー……」

貴音「とっぷしーくれっとなのです、あなた様」

P「そ、そうか」

美希「2人だけのね」

貴音「秘密です」

P「?」



おわり

470: 2012/10/15(月) 13:52:18.89
真「ふっふーん♪ どう? 貴音に借りたんだけど」ヒラヒラ

伊織「……そのドレスのこと? 何かあんたが着ると胡散臭いわ」

真「もうちょっとオブラートに包んだ言い方あるんじゃない?」

伊織「何か違和感が凄まじいわ」

真「もういいよ……とりあえず屋上出よう、屋上!」

伊織「なんで?」

真「今日の僕は月のお姫様だからね!」

伊織(こいつがお姫様気取り出すと、ろくなことが起きないのよね……主に私に)

真「まあ、基本伊織相手にしかお姫様やんないからね」

伊織「なんなの? 心を読むスキルでも付いてるの、その服?」

471: 2012/10/15(月) 13:55:08.79
真「うわぁ……綺麗だね」

伊織「青い月を見るとこう……涼しくなってくるわね」

真「♪こんなに月が青い夜は 不思議なことが起きるよ」

真「でもね、この世には不思議なことなど何一つ無いのだよ、伊織君。ふっふっふ」

伊織(影響されやすい性格ねぇ、こいつは……)

真「わかりづらいネタだったかなぁ、伊織には」

伊織「…………」

伊織「せいぜい月の光を浴びるがいいわ、真」

伊織「私達は、月に反射した、氏んだ光を体中に浴びて、少しだけ生きるのを止めるの。月光の中でだけ、生き物は生命の呪縛から逃れることが出来るのよ」

真「?」

伊織「……にわかねぇ、あんた」

472: 2012/10/15(月) 13:58:21.32
真「青い月はロマンチックでいいねぇ 」

伊織「……ブルームーン、って言葉には色んな意味があってね」

真「うん」

伊織「『叶わぬ恋』とか『出来ない相談』って意味もあるのよ」

真「うわぁ……」

伊織「だから、バーでプロポーズされたときに『ブルームーン』ってカクテルを頼むのが、オシャレな断り方なのよ。『それは出来ない相談です』ってね」

伊織「……ロマンチックよね、青い月。ぷぷっ」

真「台無しだよ……」

473: 2012/10/15(月) 14:00:18.42
伊織「さあ、もういいでしょ。そろそろ帰りましょう」

真「あ、待ってよー。お腹空いたから何か食べて帰ろうよ」

伊織「まあいいけど……」

真「せっかくだからお蕎麦屋さんでもいく?」

伊織「そうね……っていうかあんたその格好で蕎麦って」

真「よーし、そうと決まればレッツゴー!」

伊織(……ブルームーンには『完全なる愛』って意味もあるけど……)

伊織(まあ、真には縁遠い言葉ねぇ)

真「なんかたぬきそばが食べたくなっちゃった」

伊織「いや月見そば食べなさいよ!」


終わり

479: 2012/10/15(月) 15:08:21.66
美希「見て見て貴音! 月! 月がとってもキレイなの!」

貴音「おや、今宵は満月でしたか」

美希「うん。なんだかすっかり秋も深まってきたってカンジ」

貴音「ふふ、そうですね。月の周りの星も、見事に光り輝いています」

美希「絶好のお月見日和なの」

貴音「ええ、本当に」

480: 2012/10/15(月) 15:12:27.02
美希「……」

貴音「……」

美希「……ねぇ貴音」

貴音「何ですか? 美希」

美希「この間ね、ミキが貴音に言ったこと覚えてる?」

貴音「……はて、どのことでしょうか?」

美希「……貴音は、自分もミキと同じ気持ちだって言ってくれたけど、それはミキの思ってることとは違うの」

貴音「……」

美希「ミキの想いは、本物なんだよ?」

貴音「……」

美希「だからミキね………ううん、やっぱりやめとくの。なんだかミキ、一人で悩んじゃってバカみたいだね。どうしようもないのに」

481: 2012/10/15(月) 15:16:19.50
貴音「……」

美希「……」

貴音「……今宵は真、月が綺麗ですね」

美希「……うん。ミキ、氏んでもいいの」

貴音「……まさか美希がその返答の言葉を知っていたとは」

美希「あはっ☆ これくらい知ってないと貴音の相手はつとまらないってカンジ」

貴音「ふふふ、やはり何も間違ってなどいませんでした。わたくしは初めから、分かっていましたよ?」

美希「……やっぱり貴音には敵わないの」

482: 2012/10/15(月) 15:19:16.44
貴音「……そろそろ戻りましょうか。風邪を引いてはいけませんので」

美希「……うん、そうだね。…また、一緒にお月見しようね」

貴音「ええ、勿論です。これから何度でも出来ますよ」



おわり

493: 2012/10/15(月) 16:24:08.68
響「うあーっ今日は疲れたぞぉーっ!」

雪歩「響ちゃん、今日はハードそうだったね」

春香「真も同じメニューだったんでしょ?」

真「うん! ボクはまだ踊れるけどね!」

美希「さっすが真クンなの!」

響「じっ自分もまだ踊れるもんね!」

貴音「響。ムリはいけませんよ」

響「ほんとだってばぁ~っ!」

495: 2012/10/15(月) 16:31:09.51
千早「ふふっ。二人とも頼りになるわね」

美希「そういう千早さんを、ミキは頼りにしてるの!」

千早「ありがとう、美希」

春香「わたしも頼りにしてくれていいんだよ!」

美希「春香はもうちょっとアドリブできるようになるべきって思うな」

春香「はうっ」

雪歩「私はちゃんと司会できてるって思うよ、春香ちゃん」

響「アドリブなら自分に任せろー!」

496: 2012/10/15(月) 16:41:01.37
真「響チャレンジはどんどんハードルあがっていくよね」

貴音「響。月に行くのはいつになるのですか?」

響「月!? た、たかね、さすがの自分でも月は無理だってば。ねぇ春香」

春香「えっ、あ、うん!」

美希「春香ーもうちょっとコメントがんばるの」

春香「今のもダメなの!?」

千早「……頼りにしてるわ、春香」

春香「千早ちゃん!?」

499: 2012/10/15(月) 16:52:04.67
真「月といえば、今日は満月だね」

雪歩「まんまるお月さま、すごくきれい……」

美希「空にぽっかりキラキラ、キレイなの!」

響「はっきり見えるなぁ! スポットライトみたいだ」

貴音「月光に照らされた舞台……なかなか良い表現ですね。響」

千早「たしか月は太陽の光を反射しているのよね」

春香「私たちもファンのみんなからの応援で輝いてるんだよね!」

美希「……春香、ムリはよくないの」

春香「ムリはしてないよ!」

500: 2012/10/15(月) 17:00:17.09
響「ん? 向こうから来るのは、竜宮小町じゃないか?」

美希「ホントなの! あの輝きはでこちゃんに違いないの!」

伊織「だーれがでこちゃんよ! せめて外ではやめなさい!」

真「おつかれ! あ、やよいは竜宮といたんだ?」

やよい「はい! 今日は伊織ちゃん家にお泊りなんですよー」

千早「お疲れ様、律子」

律子「ええ、お疲れ様。そっちはレッスンの帰りかしら」

雪歩「あ、はい、ちょうどみんな時間がいっしょだったので……」

春香「偶然にもね! みんなでこうやって帰るなんてひさしぶりだよ」

501: 2012/10/15(月) 17:08:17.21
貴音「今宵の満月がまじないをかけてくれたのかも知れませんね」

響「ホントか!? 満月ってすごいなー」

貴音「冗談です」

響「うがーっ貴音の冗談はわかりにくいさ!」

亜美「ひびきーん今のがわからないってかなりまずいっしょー」

真美「言わないであげようよ亜美、ひびきんは純粋()なんだYO!」

あずさ「あらあら、響ちゃんは月に魅入られちゃったのかしら?」

伊織「話が迷子になってるわよ、あずさ」

503: 2012/10/15(月) 17:13:49.29
雪歩「でも、ほんとにそうだったら素敵ですぅ」

やよい「それじゃあお月さまにありがとうしますー!」

美希「ありがとなのー!」

伊織「なにやってんのよ……」

亜美「とかいっちゃって→」

真美「みんなに会えて嬉しいいおりんなのでした→」

伊織「なっ、ばっ、そんなんじゃないわよ!」

真「ボクも嬉しいよ。やっぱりみんなといると楽しいよね」

律子「騒がしさが五割増だけれどね」

504: 2012/10/15(月) 17:20:13.89
春香「千早ちゃん? どうしたの?」

千早「ええ。すこし考え事を。さっき春香は私たちがファンのひとからの応援で輝いているっていったわよね」

春香「う、うん。あの、もう一回言われると恥ずかしいんだけど……」

千早「アイドルとしてはそうかもしれないわ。でも、こうも思うのよ」

春香「?」

千早「私たちは、お互いが太陽で、お互いが月。みんながみんなを照らし合ってる。
   だから、みんなでいるとこんなにも楽しいんだって、そう思うの」

春香「千早ちゃん……。うん! 私もそう思うよ!」



おしまい

510: 2012/10/15(月) 17:41:55.46
876プロ事務所

愛「今日は待ちに待ったお月見ですねーーっ!!」

絵理「ひぅ…!愛ちゃん、お願いだから声抑えて…?」

愛「あっ…すいません…」ショボーン

涼「ま、まあまあ愛ちゃんも悪気があったわけじゃないんだしさ、気に病むことないって!」

愛「うーん…でも、それもそうですよね!じゃあ、今日は目一杯楽しみましょー!!」

涼「うんうん、そうだね…って、あれ?お団子は?」

絵理「そういえば、見当たらない?」

愛「えーーっ!!?あたしすっごく楽しみにしてたのにー!!」

ギャーギャーワーワー

511: 2012/10/15(月) 17:44:09.56
屋上

石川「騒がしいわねぇ、あの子達」

まなみ「ふふふ、でもあれくらいで丁度いいんだと思いますよ。最近はみんなで集まる機会も少なかったですし」

玲子「ホント、みんな立派になっちゃってまぁ」

石川「まあ、立派になってもらわないと困るのだけどね」

まなみ「それもそうですねぇ、ふふ」

玲子「そろそろあの子たちも気付く頃かしらね」

バタバタ バタン!

愛「あーっ!!社長にまなみさんに尾崎さんこんなところにいたんですね!」

涼「よく見たらお団子持ってるし…社長たちが持って行ってたんですね」

絵理「ふぅ…尾崎さんたちこんなところにいたんだ…」

愛「もーそれならそうと言ってくださいよー!」

石川「ごめんなさいね、ちょっと驚かせてやろうと思って」

512: 2012/10/15(月) 17:50:16.61
涼「まぁ、お団子も見つかったことだしそろそろ始めよっか」

愛「そうですね!じゃあ、いただきまーす!」

絵理「いただきます…?」

玲子「じゃあ私たちもいただきましょうか」

まなみ「ですね」

石川「そうね。愛、食べてばっかりじゃなくてお月様もちゃんと見なさいよ?」

愛「わはっへまふほー!!(わかってますよー!!)」


おわり

書いてから気づいた、まったく月を見てねぇ!!

514: 2012/10/15(月) 18:08:06.08
春香「月といえばかぐや姫だよね、真」

真「お姫様かあ…ボクもいろんな人に求婚されたいなあ」

春香「あはは、女の子のファンからはいっぱい求婚されてるけどね」

真「うー、ボク的には王子様がいいんだけどなー」

春香「ね、その王子様ってもしかしてプロデューサーさん?」

真「うえっ!?な、な……………あうう」///

515: 2012/10/15(月) 18:16:26.85
春香「あ、どんぴしゃ」

真「だーっ、ひどいよ春香!黒春香!そんなはっきり言わないでよ!」

春香「真は分かりやすいんだもん。王子様って言ってるとき、プロデューサーさんって顔に出てたよ?」

真「あう…春香はすごいなあ…」

春香「えへへっ、私はみんなの事をずっと見ているからね!」

真「ちょっと怖いよ…」

春香「でも貴音さんの事はよく分からないんだよねー、不思議な人っていう感じ」

真「まるでかぐや姫みたいな感じだよね」

516: 2012/10/15(月) 18:22:34.32
春香「………」

真「………」

春香「…貴音さんって生まれた所とか言わないよね」

真「…後、よく月を見てるよ。満月の時は何だか嬉しそうにしてるし」

春香「………」

真「………」

春香「えへへ、まさかねー」

真「あはは、まさかねー」

貴音「はて、何がまさかなのでしょうか」

春香「わっほい!」 真「うわあっ!?」

518: 2012/10/15(月) 18:30:43.92
貴音「お団子、を持ってきましたが…何故そのように驚くのでしょう」

春香「あっ、はははは!な、何でもないよ!真と話していて、貴音さんはかぐや姫なんじゃないかとか思ってないよ!」

真「春香ぁ!」

春香「ひゃあ!」

真「ち、違うんだ貴音!月が綺麗だねーって話しててさ!
ほら、よく貴音は月見てるでしょ?だからもしかしたらなーって…あはは」

貴音「………」

真「貴音?」

貴音「そう…知られてしまったのですね…」

春香「えっ?」

貴音「そう知られてしまっては…私はもうこの場にはおられません…」

真「え?」

貴音「………時に、帰らねばならない日が来ると思っていました」

521: 2012/10/15(月) 18:39:39.07
春香「う、わあああっ!!駄目だよ貴音さんっ!!」

真「そうだよ!みんなには黙っておくからさ!」

貴音「………」

春香「貴音さんっ!」 真「貴音!」

貴音「………ふふ、申し訳ありません。じょーく、というものですよ
ですから、そう泣かないで下さい」

春香「………うああっ、よかったぁ…!」

真「もう!驚かせないでよ!貴音ぇ…ひっく…」

貴音「…まあ、当たらずとも遠からず…ですが」

春香「えっ…?今なんて言ったの?」

貴音「…ふふっ、トップシークレットです」

P(あの演技ってかぐや姫じゃなくて鶴の恩返しだよな………まさかな)

おわり、はるまこじゃなくてたか+はるまこになった

529: 2012/10/15(月) 19:10:24.25
P「……」カリカリ

律子「……」カタカタ

P「何か喋れよ」カリカリ

律子「貴方と話すことなんて無いですよ」カタカタ

P「あん?」カリカリ

律子「はぁー…何が悲しくてこんなオジサンと事務所で仕事なんて…」ハァ

P「折角の満月なのにな」カリカリ

律子「貴方がいると台無しですよ」ハァ

530: 2012/10/15(月) 19:11:26.84
P「んーオバサンのため息が聞こえるなぁ幻聴かなぁ」ハテ

律子「喧嘩売ってるんですかね…言い値で買いますよ」ギリッ

P「いたのか律子。全然気付かなかった」

律子「よっく分かりました喧嘩売ってるんですね買います」ガタッ

P「海老のくせにカルシウム足りてないみたいだな」カリカリ

律子「ファッションが理解できないとは…プロデューサーのくせにセンス無いんですね」

P「あ゛?」ギリッ

律子「いやはや全く、だからモテないんですよ」プッ

P「よーし喧嘩ならいくらでも買うぞ? ん?」ガタッ

律子「こっち来ないで下さい。センスが腐ります」

P「腐るセンスなんて持ってたのか」

律子「ええ、貴方よりは」

531: 2012/10/15(月) 19:13:12.54
P「……なあ律子」

律子「何ですかキングオブチェリー」

P「月が綺麗だな」

律子「そうですね」

P「……」

律子「……」

P「何か喋れよ」

律子「電気消したほうがもっと綺麗に見えますよ」

パチッ

P「おー…ほんとだ」

律子「でしょう?」

P「律子」

律子「何ですか」

P「こっちのほうがもっと綺麗に見えるぞ」チョイチョイ

律子「……」トコトコ

533: 2012/10/15(月) 19:14:22.22
律子「本当ですね」

P「だろ」

律子「……」

P「……」

律子「…あの」

P「なんだ」

律子「手、繋いだほうがもっと綺麗に見えると思います」

P「ん」

ギュッ

律子「月が、綺麗ですね」

P「ああ」

おわり
文章書くの難しすぎんだろ…

538: 2012/10/15(月) 19:47:01.39
じゃあ少しだけ


貴音「今宵の月は、格別に素晴らしいものです。」

貴音は悦に入った表情で抜けるように黒い空を見上げる。

夜風に靡いた貴音の風呂上りの髪から、シャンプーの微薫が立ち上る。

P「そうだな。」

539: 2012/10/15(月) 19:51:55.18
ベランダの柵にもたれかかったまま、月を映したかのように煌めく銀髪に彩られた彼女の横姿を見つめる。

大きく膨らんだそのお腹を時折所在無さげに撫でるその姿は、映画の一こまを見ているかのような感慨を呼び起こす。

P「その子が生まれたら、名前には月って文字を入れたいな。」

貴音「そうですね。十六夜、など如何でしょう。」

540: 2012/10/15(月) 19:56:44.97
P「いい響きだな。」

貴音に倣って、ほぼ真上に座する名月に目をやる。

P「月みたいに、澄んだ明るい子になるといいな。」

貴音「なれば私達で、この子を輝かせてあげなくてはなりませんね。」

P「それなら、俺の得意分野だ。なんならアイドルにだってしてみせるぞ。」

貴音「気が早いですこと。」

541: 2012/10/15(月) 20:02:37.45
口元を手で隠し、くすくすと淑やかに笑う。

P「そりゃ気もはやるさ。」

P「愛しい貴音との子、だからな。」

貴音「貴方様…」

そっと貴音の体を抱き寄せ、いつになく優しい口付けを交わす。

貴音「今宵の貴方様は、落落とした雰囲気が御座います。」

543: 2012/10/15(月) 20:07:04.18
P「そうかな。」

貴音「ええ。」

P「…そろそろ中に入ろうか。夜風に当たりすぎるのもよくない。」

貴音「名残惜しゅう御座いますね。」

P「なに、また来年も再来年も見られるさ。」

貴音「そのときは、きっと三人でお月見、ですね。」

544: 2012/10/15(月) 20:09:57.76
貴音の熱っぽい目線に射抜かれ、胸が少し高鳴る。

P「ああ。勿論だ。」

後ろ手でドアを閉め、貴音に聞こえないような小さな声で呼びかける。

P「あんな綺麗な母親に恵まれて、羨ましい奴だな。お前は。」

P「早く、生まれて来いよ。」

おわり

546: 2012/10/15(月) 20:14:39.14

引用元: P「お月見でもしようか」